JP2022134655A - 発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、およびそれらの利用 - Google Patents

発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、およびそれらの利用 Download PDF

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Abstract

【課題】経日の安定性が高い、新規な発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。【解決手段】発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、ポリスチレン系樹脂粒子内においてスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とを含浸し、重合させることで改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る、重合工程と、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、発泡剤とともに酸化防止剤を含浸させる、含浸工程とを包含する。【選択図】なし

Description

発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、およびそれら利用に関する。
発泡性樹脂粒子として発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が良く知られている。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は型内発泡成形により容易に成形体を得ることができ、安価であることから一般的に広く利用されている。
特許文献1には、ポリスチレン種樹脂にスチレンと共役ジエンを含浸し、重合した後、発泡剤を含浸させる発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が記載されている。
特許文献2には、ポリスチレン種樹脂にスチレンと共役ジエンを含浸し、重合した後、更にスチレンを反応させ、最終工程で発泡剤を含浸させる発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が開示されている。
国際公開第98/029485号 国際公開第2001/048068号
上述のような従来技術は、耐割れ性の観点において、従来技術の開発当時の技術水準における一般的な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子からすれば、改善されたものであった。しかしながら、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、その内部において重合されたスチレン-ジエン共重合体に起因して、経日の安定性が低くなるという点においてさらなる改善の余地があることがわかった。
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、経日の安定性が高い、新規な発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、およびその関連技術を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕ポリスチレン系樹脂粒子内にスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とを含浸し、重合させることで改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る、重合工程と、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、発泡剤とともに酸化防止剤を含浸させる、含浸工程とを包含する、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
〔2〕前記重合工程後、含浸工程前に前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、少なくともスチレン系単量体を追加して含浸し、重合させる追加重合工程を包含する、〔1〕に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
〔3〕ポリスチレン系樹脂、および、スチレン系単量体に由来する構成単位と共役ジエン系単量体に由来する構成単位とを含む共重合体を含有する、改質ポリスチレン系樹脂粒子と、発泡剤と、酸化防止剤と、を含み、前記酸化防止剤が、前記発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子中に含まれている、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
〔4〕前記酸化防止剤の含有量が、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を100重量%として、0.03重量%以上である、〔3〕に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
〔5〕前記酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、〔2〕または〔3〕の何れかに記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
〔6〕前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、オクタデシル―3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである、〔5〕に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
〔7〕〔3〕~〔6〕の何れかにに記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させてなる、発泡粒子。
〔8〕〔7〕に記載の発泡粒子を成形してなる、発泡成形体。
本発明の一実施形態によれば、経日の安定性が高い新規な発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、およびその関連技術を提供できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の一実施形態に係る技術的思想〕
従来から、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂粒子内に、スチレン系単量体、および共役ジエン系単量体を共重合させる工程、共重合により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子内に発泡剤を含浸させて、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程を包含する製造方法によって製造されている。これらの工程は、一連の工程として、水性懸濁液に含まれるポリスチレン系樹脂粒子に、スチレン系単量体、および共役ジエン系単量体を含浸し、共重合させることで行われることがある。すなわち、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、その内部にスチレン-ジエン共重合体を含む。
スチレン-ジエン共重合体中の共役ジエン系単量体に由来する構成単位は、酸素および/または光などの作用により発生するラジカルにより、経日的に劣化し得、共役ジエン系単量体に由来する構成単位に起因する弾性を失う虞がある。そのため、酸化防止剤を内部添加剤(内添剤ともいう)として、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に含有させることが好ましい。しかしながら、上述のようにスチレン系単量体、および共役ジエン系単量体の共重合から、発泡剤の含浸までを一連の工程として行なう、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の個々の粒子中に、十分に酸化防止剤を含浸させる方法は見出されていなかった。
より具体的には、ポリスチレン系樹脂粒子においてスチレン系単量体、および共役ジエン系単量体を共重合させる工程において酸化防止剤を添加すると、当該酸化防止剤をポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させることができるが、共重合反応が阻害されてしまうという問題があった。また、共重合反応を十分に進行させ、発泡剤を含浸させた後に酸化防止剤を添加すると、当該酸化防止剤を十分にポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させることができないとう問題があった。この場合、たとえば、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の系外へのロスが生じ、酸化防止剤の効果を十分に発揮できないという問題があった。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、酸化防止剤を発泡剤とともに、ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させることで、粒子状である発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子における個々の粒子中に酸化防止剤を十分に内添でき、これにより効果的に経日の安定性が高められる、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を見出し、本願発明を完成させるに至った。なお、本明細書でいう「経日の安定性」は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、および発泡体から得られる発泡成形体の経日的な耐割れ性の安定性にて確認される、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の酸化安定性を指す。
〔2.発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、上述の問題を鑑みなされたものであり、ポリスチレン系樹脂粒子内にスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とを含浸し、重合させることで改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る、重合工程と、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、発泡剤とともに酸化防止剤を含浸させる、含浸工程とを包含するという構成を備えている。
上記構成により、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合を阻害しないようにして、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子内部にまで酸化防止剤を含浸させることができる。よって、当該酸化防止剤を内添剤として発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に作用させることができ、経日的な安定性を好適に高めることができる。
以下に、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法をより詳細に説明する。
(重合工程)
発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、重合工程を包含している。当該重合工程は、ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させたスチレン系単量体および共役ジエン系単量体を含む単量体を共重合させることにより、ポリスチレン系樹脂粒子の内部においてスチレン系単量体に由来する構成単位と、共役ジエン系単量体に由来する構成単位とを有する共重合体(本明細書において、「スチレン-ジエン共重合体」と称する場合がある。)を調製する工程である。
まず、重合工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造に供するポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、たとえば、懸濁シード重合法に例示される懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法、溶液重合法などが挙げられる。これらの重合法の中で、粒子径がより均一な改質ポリスチレン系樹脂粒子を得られることから、ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は懸濁シード重合法が好ましい。
重合工程では、ポリスチレン系樹脂粒子は水系に懸濁された水性懸濁液として用いられる。本明細書において、「水性懸濁液」とは、攪拌機などを用いて、樹脂粒子、発泡性樹脂粒子および/または単量体の液滴を、水または水溶液中に分散させた状態の液体(水溶液)を指す。
水性懸濁液に含まるポリスチレン系樹脂粒子は一般的なポリスチレン系樹脂の粒子でよく、粒子に含まれるポリスチレン系樹脂には、スチレンの単独重合体のほか、スチレンと他の単量体との共重合体が挙げられる。ここで、他の単量体には、たとえば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどの不飽和脂肪酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸;α-メチルスチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂粒子は、造核剤、充填材、可塑剤、難燃剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない量で含んでいてもよい。
ポリスチレン系樹脂粒子の体積平均粒径は約0.1mm~3.0mmの範囲内であることが好ましく、0.5mm~1.5mmの範囲内であることがより好ましく、0.6mm~1.0mmの範囲内であることが更に好ましい。ポリスチレン系樹脂粒子の体積平均粒径は、粒度分析計、一例として画像処理式粒子径分布測定装置(Millitrac JPA 日機装株式会社製)により測定すればよい。体積平均粒径は、粒度分析計によって、ポリスチレン系樹脂粒子の画像写真から計測されるポリスチレン系樹脂粒子の粒径を体積に換算し、得られた結果を累積分布として表示したときにおける体積累積50%に相当する粒径である。体積平均粒径は、体積中位径、または累積による体積分布のメディアン径(D50)と称されることもある。
水性懸濁液は、ポリスチレン系樹脂粒子の水への分散性を高めるために、たとえば、有機系分散剤および無機系分散剤などの分散剤を含むことが好ましい。有機系分散剤には、たとえば部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられる。また、無機系分散剤には、たとえばピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。なお、無機系分散剤を用いる場合は界面活性剤を併用することが好ましい。界面活性剤には、たとえば、α-オレフィンスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダなどのアニオン系界面活性剤が挙げられる。分散剤および界面活性剤の使用量は、特に限定されない。
重合工程において、水性懸濁液における水の重量比は、改質ポリスチレン系樹脂粒子の重量/水の重量の比として、1.0/0.6~1.0/3.0であることが好ましい。
重合工程では、さらに、連鎖移動剤および重合調整剤を使用してもよい。連鎖移動剤には、たとえばn-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系の化合物が挙げられる。重合調整剤には、たとえばアクリロニトリル-ポリスチレン系樹脂の重合に一般的に用いられるα-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。α-メチルスチレンダイマーは、共重合体の重量平均分子量の調整にも寄与しているため、連鎖移動剤ともいえる。連鎖移動剤は、主に、改質ポリスチレン系樹脂粒子の重量平均分子量を調整するために機能する。重合調整剤は、主に、重合速度を調整するために機能する。
重合工程では、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量、スチレン系単量体の含有量、および共役ジエン系単量体の含有量の合計を100重量部として、水性懸濁液に含まれるポリスチレン系樹脂粒子の含有量を60.0重量部以上とすることが好ましい。当該構成によると、単量体をポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させたときに重合系を安定化させることができる。重合工程では、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量、スチレン系単量体の含有量、および共役ジエン系単量体の含有量の合計を100重量部として、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量を90.0重量部以下にすることが好ましい。当該構成によると、得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形体としたときの耐割れ性を充分に高くすることができる。このような観点から、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量は、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量、スチレン系単量体の含有量、および共役ジエン系単量体の含有量の合計を100重量部として、さらに好ましくは65.0~85.0重量部である。
以下、本明細書中、「単量体成分」とは、重合工程で使用される単量体の総称として記載される。すなわち、「単量体成分」とは、重合工程で使用される(a)スチレン系単量体、(b)共役ジエン系単量体、並びに、(c)スチレン系単量体および共役ジエン系単量体とは異なる他の単量体、の総称として記載される。
また、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量と、単量体成分の含有量との合計を100重量部として、水性懸濁液中の単量体成分の含有量は、10.0重量部~40.0重量部であることが好ましい。これにより、ゲル分率の高い改質ポリスチレン系樹脂粒子を製造できる。ここで、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量と、単量体成分の含有量との合計を100重量部として、水性懸濁液中のスチレン系単量体の含有量は、7.0重量部~22.0重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5.0重量部~25.0重量部であり、最も好ましくは5.0重量部~30.0重量部である。
なお、後述する追加重合工程を行わない場合、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量と、単量体成分の含有量との合計を100重量部として、水性懸濁液中の単量体成分の含有量は、15重量部~40重量部であることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させるスチレン系単量体には、スチレンのほか、スチレン誘導体が含まれる。スチレン誘導体としては、たとえばα-メチルスチレン、α-エチルスチレン、α-クロロスチレンなどのほか、ジビニルベンゼンも含まれる。これらのスチレン系単量体は、単独でまたは混合して用いることができる。なお、ジビニルベンゼンは併用の場合に有用である。さらにスチレン-ジエン共重合体の性質を本質的に変えない程度に他の単量体を共単量体成分として加えてもよい。
また、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量と、単量体成分の含有量との合計を100重量部として、水性懸濁液中の共役ジエン系単量体の含有量は、3.0重量部~18.0重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5.0重量部~15.0重量部であり、最も好ましくは5.0重量部~10.0重量部である。これにより、得られる改質ポリスチレン系樹脂粒子に十分なゲル分率のスチレン-ジエン共重合体を与えることができ、当該改質ポリスチレン系樹脂粒子から製造される発泡成形体に良好な耐割れ性を与えることができる。なお、スチレン系単量体、および共役ジエン系単量体は、ポリスチレン系樹脂粒子内で混合されていればよく、スチレン系単量体と共役ジエン単量体を別々にポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させてもよい。スチレン系単量体および共役ジエン系単量体は、ポリスチレン系樹脂粒子の内部までよく含浸させることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させる共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエンなどが挙げられ、なかでもブタジエンがより好ましい。また、共役ジエン系単量体は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
耐割れ性により優れる発泡成形体が製造できる改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る観点から、単量体成分において、スチレン系単量体量は共役ジエン系単量体よりも多いことが好ましい。単量体成分中のスチレン系単量体量および共役ジエン系単量体の合計量100重量%中、スチレン系単量体量の含有量は、55.0重量%を超え90.0重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60.0重量%~85.0重量%であり、さらに好ましくは60.0重量%~80.0重量%である。
スチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合は重合開始剤によって行なう。ここで、重合開始剤は溶剤に溶解させた重合開始剤溶液として重合工程に供される。重合工程は、スチレン系単量体および共役ジエン系単量体を、ポリスチレン系樹脂粒子に均一に含浸させた後、溶剤に溶解した重合開始剤を均一に含浸させ、これにより重合を開始することが好ましい。
有機溶剤(溶剤)は、SP値が7.0~9.5の範囲内であり、分子構造に含まれる炭素数が8以下の有機溶剤を用いる。SP値とは、溶解性パラメータとも称され、フョードル(Fedors)法で評価されたものを採用し、単位は(J/cm1/2で表される。有機溶剤(溶剤)のSP値は、7.0~9.5の範囲内であり、7.5~9.5の範囲内であることがより好ましく、8.0~9.0の範囲であることがさらに好ましい。SP値が7.0~9.5である溶剤を用いることにより、重合開始剤を好適に溶解でき、当該重合開始剤を、スチレン系単量体および共役ジエン系単量体を含む単量体成分と好適に混合させることができる。よって、ポリスチレン系樹脂粒子から得られる改質ポリスチレン系樹脂粒子の粒子間の品質のバラつきを低減することができる。また、SP値が7.0~9.5である溶剤であれば、ポリスチレン系樹脂(SP値9.0(参考値))との相溶性も高く、重合開始剤をポリスチレン系樹脂粒子内に好適に含浸させることができる。よって、ポリスチレン系樹脂粒子から得られる改質ポリスチレン系樹脂粒子の粒子間の品質のバラつきを低減することができる。なお、本明細書に記載されたSP値は参考値であり、公知の技術資料から適宜参照してもよい。
また、分子構造に含まれる炭素数が8以下の有機溶剤であれば、改質ポリスチレン系樹脂粒子に残留しても、後述する発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に含まれる発泡剤としての機能を付与することができる。このような、有機溶剤には、たとえば、トルエン(SP値8.9)、n-ヘキサン(SP値7.3)、シクロヘキサン(SP値8.2)、ノルマルペンタン(SP値7.0)、ノルマルヘキサン(SP値7.4)、ノルマルヘプタン(SP値7.3)などが挙げられる。
重合開始剤としては、10時間半減期温度が74℃以上90℃未満である重合開始剤を使用することが好ましい。このような、重合開始剤として、たとえば、有機過酸化物が挙げられ、有機過酸化物には、たとえばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-2,4-ジ-t-ブチルシクロヘキサンなどのラジカル重合開始剤があげられる。そのなかでも、スチレンと共役ジエンとを効率よく反応させることができる観点から、重合開始剤は、ラウロイルパーオキサイドが好ましい。水性懸濁液中の重合開始剤の含有量は、水性懸濁液中のポリスチレン系樹脂粒子の含有量と、単量体成分の含有量との合計を100重量部として、0.05重量部~5.00重量部であることが好ましく、0.10重量部~2.00重量部であることがより好ましい。
重合工程では、ポリスチレン系樹脂粒子を水に分散懸濁させた系において、単量体成分および重合開始剤溶液を、重合温度、または重合温度より低い温度で均一に含浸させた後、50℃~100℃の温度条件にて、4時間~20時間重合することにより行なうとよい。より好ましくは、単量体成分、並びに重合開始剤溶液の含浸は60℃~75℃の温度条件にて6時間以上行い、その後の重合は、75℃~85℃の温度条件にて4時間以上行なうことが好ましい。これにより、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体とを、有機溶剤に溶解した重合開始剤と共にポリスチレン系樹脂粒子内部まで含浸させ、均一に重合させることができる。また、これにより、重合工程後に行なう含浸工程において酸化防止剤を含浸させても、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合体の物性を損なわれない程度にまで共重合反応をポリスチレン系樹脂粒子内部において進めることができる。
かくして得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子は、たとえば、ポリスチレン系樹脂の連続相の全体にわたって均一にスチレン-ジエン共重合体が分散している状態か、または表層部より中心部の方が共重合体の密度が高い状態で共重合体が散在し得る。また、中心部分に存在するスチレン-ジエンの共重合体の平均面積円相当径は、高い耐割れ性及び緩衝性能を発現できる発泡成形体を得ることができるという観点から、0.01μm~0.20μmであることが好ましい。なお、「中心部分」とは改質ポリスチレン系樹脂粒子を真球とみなし、その中心から半径50μmの球内の領域をいう。
平均面積円相当径は、改質ポリスチレン系樹脂粒子の染色、当該改質ポリスチレン系樹脂粒子の透過型電子顕微鏡写真撮影、当該透過型電子顕微鏡写真からの測定により求められる。より具体的には、改質ポリスチレン系樹脂粒子の染色では、改質ポリスチレン系樹脂粒子に含まれるスチレン-ジエン共重合体を酸化オスミウムで染色する。染色した改質ポリスチレン系樹脂粒子を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製のJEM-1200EX4)にかけ、4万倍の倍率で撮影し、写真を取得する。当該写真のスケール目盛り(0.5μm)から計算した、例えば、3.76μm相当部分を当該写真から切り出して平均面積円相当径の測定に供する。平均面積円相当径の測定では、切り出した写真をさらに4倍に拡大複写し、拡大複写した複写紙から酸化オスミウムで染色された黒いスチレン-ジエン共重合体に相当する部分を切り取る。ただし、複写紙において、スチレン-ジエン共重合体の内部にポリスチレン粒子が形成された、いわゆるオクルージョンポリスチレン粒子を含む改質ポリスチレン系樹脂粒子では、当該オクルージョンポリスチレン粒子を含んだままの状態にてスチレン-ジエン共重合体部分を切り取る。切り取ったスチレン-ジエン共重合体部分に相当する全ての紙の重さEgを測定する。この紙の重さEgを改質ポリスチレン系樹脂粒子の個数Fで除して改質ポリスチレン系樹脂粒子1個あたりに含まれるスチレン-ジエン共重合体(ゲル分)の平均重さG(単位:g)を計算する。別途、平均重さGを計算に供した透過型電子顕微鏡写真と同じ写真におけるスケール目盛り(0.5μm)を含む部分を、4倍に拡大複写し、拡大複写した複写紙から0.25μm相当の部分を切り取る。そして切り取った複写紙の重さを測定し、0.25μmの複写紙の重量H(単位:g)を求める。切り取った複写しの面積0.25μmを複写紙の重量Hgで除して複写紙1gあたりの面積I(単位:μm/g)を計算する。改質ポリスチレン系樹脂粒子1個あたりに含まれるスチレン-ジエン共重合体(ゲル分)のG(単位:g)と複写紙1gあたりの面積I(単位:μm/g)を乗じることで、改質ポリスチレン系樹脂粒子1個あたりに含まれるスチレン-ジエン共重合体(ゲル分)の平均面積J(単位:μm)を算出する。このスチレン-ジエン共重合体の平均面積J(単位:μm)を円周率πで除したものの平方根に2をかけて得られた値を平均面積円相当径K(単位:μm)とする。
また、改質ポリスチレン系樹脂粒子に含まれるスチレン-ジエン共重合体は、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合体で構成される粒子であることが好ましい。ここで、改質ポリスチレン系樹脂粒子は、60.0重量部~90.0重量部のポリスチレン系樹脂粒子に10.0重量部~40.0重量部の単量体を含浸させた状態で共重合して得られた粒子であり、かつ共重合して得らたれ共重合体は、7.0重量部を超え22.0重量部以下のスチレン系単量体に由来する構成単位と3.0重量部以上18.0重量部未満の共役ジエン系単量体に由来する構成単位とを備えていることが好ましい。
また、改質ポリスチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は20万~50万が好ましく、より好ましくは25万~40万、さらに好ましく27万~35万である。この範囲であれば、良好な品質が得られる。重量平均分子量の測定方法は、たとえば、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPCと称する場合もある。)を用いた測定方法が挙げられる。
また、改質ポリスチレン系樹脂粒に含まれる共重合体(スチレン-ジエン共重合体)は、改質ポリスチレン系樹脂粒子の内部において、スチレン系単量体と共役ジエン単量体にとの両方が略均一に混ざり合った状態でラジカル重合している。このため、スチレン系単量体に由来する構成単位と共役ジエン単量体に由来する構成単位とのそれぞれが、ブロック構造でなくランダムに共重合するランダム共重合体が形成され得る。このランダム共重合体の一部は、共重合に供した共役ジエン単量体単位を介し、ポリスチレン系樹脂粒子に由来するポリスチレン鎖の末端、または、共重合において部分的に生成されるポリスチレン鎖の末端にグラフト重合を形成し得る。更に、複数の共役ジエン単量体単位を介し、少なくとも2つポリスチレン鎖、またはランダム共重合体が架橋した構造をも形成し得る。言い換えれば、改質ポリスチレン系樹脂粒子は、共役ジエン単量体単位のみからなるブロック部分を実質的に含まない構造となっている。このため、改質ポリスチレン系樹脂粒子におけるスチレン-ジエンの共重合体は、従来の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(HIPS)に含まれる、ブタジエン単位のみからなる長い連鎖を有するゴム状重合体粒子とは全く異なる構造を備えており、この点において本発明の一実施形態に係る改質ポリスチレン系樹脂粒子は従来の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂と相違している。
さらに改質ポリスチレン系樹脂粒子は、すでに説明したようなグラフト構造や架橋構造などを含むため、従来のHIPSよりも高いゲル分率を有している。改質ポリスチレン系樹脂粒子の高いゲル分率は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子のゲル分率の高さと実質的に等しく、改質ポリスチレン系樹脂粒子は15.0重量%~40.0重量%という高いゲル分率を有し得る。また、改質ポリスチレン系樹脂粒子は、粒子間におけるゲル分率のバラつきも少なく、その差は5.0重量%以下であり得る。改質ポリスチレン系樹脂粒子のゲル分率および、粒子間におけるゲル分率のバラつきの差は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子が15.0重量%~40.0重量%という高いゲル分率を有し、粒子間におけるゲル分率の差が5.0重量%以下であることから確認できる。これにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子は、後述する発泡成形体における発泡粒子同士を好適に融着させることができ、発泡体の耐割れ性および緩衝性が高めることができる。
〔含浸工程〕
本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、改質ポリスチレン系樹脂粒子内に発泡剤と酸化防止剤とを含浸する含浸工程を包含している。
これにより、重合工程により得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子のように、スチレン-ジエン共重合体におけるグラフト重合や架橋構造を有する改質ポリスチレン系樹脂粒子に対しても、発泡剤を可塑剤として作用させることができる。すなわち、グラフト重合や架橋構造を有する改質ポリスチレン系樹脂粒子を、発泡剤を用いることで、可塑剤を用いるときと同様に膨潤させることができる。このため、膨潤した改質ポリスチレン系樹脂粒子内に発泡剤とともに、酸化防止剤を含浸させることができる。よって、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に内添剤として酸化防止剤を含有させることができる。従って、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子内部において、より効率的に酸化防止剤を作用させることができる。
含浸工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させる酸化防止剤としては、長期的に酸化を防止できる(耐割れ性を維持できる)という観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-α,α’,α”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]などが挙げられる。中でも、長期的に良好な耐割れ性を維持できるという観点から、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートを用いることがより好ましい。
酸化防止剤の含有量は、100重量部の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に対し、0.03重量部以上の範囲内が好ましく、0.03重量部~0.20重量部の範囲内がより好ましい。酸化防止剤の含有量を、100重量部の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に対し、0.03重量部以上にすることで、経年劣化を好適に抑制でき、品質悪化を防止できる。また、酸化防止剤の含有量を、100重量部の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に対し、0.20重量以下にすることで、添加量を低減しつつ、好適な酸化防止効果を得ることができる。
含浸工程において用いる発泡剤は、揮発型発泡剤が好ましく、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、およびネオペンタンなどの揮発型発泡剤が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これは単独使用してもよく、イソブタンと、ノルマルブタンとのブタンの混合使用、もしくはイソペンタン、ノルマルペンタン、およびネオペンタンなどのペンタンの混合使用などが好ましく、ノルマルペンタン、およびイソペンタンを含むペンタンの混合使用であることがより好ましい。発泡剤としては、ジフルオロエタン、およびテトラフルオロエタンなどのオゾン破壊係数がゼロであるフッ化炭化水素類、などの揮発性発泡剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述した発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤の使用量は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して4.0重量部以上10.0重量部以下であることが好ましく、5.0重量部以上9.0重量部以下であることがより好ましく、6.0重量部以上8.0重量部以下であることがさらに好ましい。
含浸工程では、さらに、発泡速度を調整するために有機溶剤(溶剤)を用いてもよい。有機溶剤としては、たとえばシクロヘキサンのほか、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。これらは、上述の重合開始剤溶液に用いられる溶剤であり得る。これらの有機溶剤に酸化防止剤を溶解し、含浸工程に供してもよい。
含浸工程の温度は、発泡剤および酸化防止剤を改質ポリスチレン系樹脂粒子に効率的に含浸させるという観点から、110℃以上で行うことが好ましい。これにより、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を用いて発泡倍率50倍以上の発泡粒子を製造することが可能となる。
その他、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲において、含浸工程において、気泡調整剤、可塑剤を発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させてもよい。
気泡調整剤としては、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイドなどの脂肪族ビスアマイド、ポリエチレンワックス、アクリル系ポリマー(ブチルアクリレート/メチルメタクリレートの共重合体)などが挙げられる。本発泡性樹脂粒子における気泡調整剤の含有量は、発泡性樹脂粒子100重量部に対して0.3重量部未満であることが好ましい。0.3重量部未満であれば均一なセルが形成され、良好な品質のセルができる。
可塑剤としては、沸点が200℃以上の高沸点可塑剤が挙げられる。そのような可塑剤としては、たとえば、(a)ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどの脂肪酸グリセライド、(b)ヤシ油、パーム油、パーム核油などの植物油、(c)ジオクチルアジペート、ジブチルセバケートなどの脂肪族エステル、および(d)流動パラフィンなどの有機炭化水素、などが挙げられる。
ただし、当該発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子から製造される発泡成形体の耐熱性が過度に悪化することを回避すべく、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子中の可塑剤の含有量は低くなるように適宜設定することが好ましい。本発明の一実施形態に係る当該発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、可塑剤に代えて発泡剤により酸化防止剤を含有させることができるため、可塑剤の含有量を低減できる。このため、発泡成形体の耐熱性が高くなるように設計しやすいことも利点の一つである。
また、含浸工程後、得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に、外添剤として、ブロッキング防止剤を配合することが好ましい。これにより、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子から後述する発泡粒子を製造するときに、得られた発泡粒子同士が結合する、所謂ブロッキングを好適に防ぐことができる。
ブロッキング防止剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシロキサン、ポリメチルシロキサンなどのシリコーンオイルなどが挙げられる。
発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に改質ポリスチレン系樹脂粒子および発泡剤に加えて、任意でその他の添加剤を含有させる工程を包含してもよい。前記その他の添加剤としては、溶剤、難燃剤、難燃助剤、熱線輻射抑制剤、顔料、染料および帯電防止剤などが挙げられる。
含浸工程後、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を乾燥処理する乾燥工程をさらに含むことが好ましい。発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は水性懸濁液中に分散した状態で得られ得る。そのため、乾燥工程を行なうことにより、得られた発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を後述するポリスチレン系予備発泡粒子、発泡成形体の製造などに好適に利用できる。なお、本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は含浸工程において、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子中に酸化防止剤を添加することができるため、乾燥工程時、または乾燥工程後において発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を添加するよりも、ロスが少なく効率的に酸化防止剤を添加することができる。
乾燥工程において、発泡性樹脂粒子を乾燥処理する方法は特に限定されず、たとえば、溝型または円筒型撹拌乾燥器、箱型またはバンド型の通気乾燥器、流動層乾燥器などを用いることができる。
〔2-1.発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子〕
本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂にスチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合体が分散されてなる、改質ポリスチレン系樹脂粒子と、発泡剤と、酸化防止剤とを少なくとも含み、前記酸化防止剤が、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子に内部添加剤として含まれている。
また、改質ポリスチレン系樹脂粒子が有する高いゲル分率に由来して、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒を100重量%として15.0~40.0重量%というゲル分率を有し得る。当該ゲル分率は、より好ましくは20.0重量%~35.0重量%であり、更に好ましくは、24.0重量%~28.0重量%である。発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子のゲル分率を、15.0重量%以上にすることで、発泡成形体の耐割れ性を向上でき、40.0重量%以下にすることで50倍という所定倍率まで好適に発泡させることができる。
一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、上述のような高いゲル分率を有する発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子内部において、スチレン-ジエン共重合体のようにグラフト重合した構造、および架橋構造を有するゲル分にまで、より効率的に酸化防止剤を作用させることができる。
発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、内添剤として含まれる酸化防止剤の含有量が、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を100重量%として、0.03重量%以上であることが好ましい。
また、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、前記酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことが好ましく、なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、オクタデシル―3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートであることが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子におけるゲル分率の差は5.0重量%以下であり得る。これにより、発泡成形体の粒子間における品質のバラつきに起因して生じる耐割れ性のバラつきを改善することができる。ゲル分率の差は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子から複数のサンプルを採取し、これらサンプルのそれぞれにおいて評価したゲル分率の測定結果の差として求められる。発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子のゲル分率の差の評価方法については、実施例の欄に詳細が記載されているので参照されたい。
〔2-2.一変形例に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、一変形例に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が包含する重合工程後、含浸工程前に前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、単量体成分を追加して含浸し、重合させる追加重合工程を行なうとよい。
本変形例に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、重合開始剤と、SP値が7.0~9.5であり、分子構造に含まれる炭素数が8以下の有機溶剤とを含む重合開始剤溶液による重合は、少なくとも重合工程において行うとよいが、追加重合工程において行ってもよい。
なお、追加重合工程における、ポリスチレン系樹脂粒子、スチレン系単量体、および共役ジエン系単量体、並びに、溶剤と重合開始剤とを含む重合開始剤溶液は上記の実施形態に含まれる重合工程と同じであるため、その説明を省略する。
本変形例に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法によれば、追加重合工程を行なうことにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を材料として製造された発泡粒子を型内成形により融着させるときの融着性をさらに向上させることができる。
追加重合工程で、重合工程で得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させる単量体成分は、当該改質ポリスチレン系樹脂粒子と、追加重合工程における単量体成分との合計量を100重量部として、3.0重量部~50.0重量部であり得、好ましくは5.0重量部~30.0重量部であり、さらに好ましくは5.0重量部~20.0重量部である。追加重合工程で、重合工程で得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子内に含浸させるスチレン系単量体の量が、当該改質ポリスチレン系樹脂粒子と、追加重合工程における単量体成分との合計量を100重量部として、(a)50.0重量部を超えないことで、改質ポリスチレン系樹脂粒子に含まれるゴム状重合体粒子、つまりスチレン-ジエン共重合体の含有量が少なくなることを防止し、これにより後述する発泡成形体としたときの耐割れ性を充分に高めることができ、(b)3重量部を下回らないようにすることで、改質ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体を成形するときにおける熱による融着性を高めることができる。
さらに、追加重合工程では、上述の融着性に影響を与えない程度に共役ジエン系単量体を加えてもよい。共役ジエン系単量体としては重合工程で使用する共役ジエン系単量体として例示したもの挙げられ、重合工程における単量体成分中の共役ジエン系単量体と同種でも異種のものを含んでもよい。また目的とする耐割れ性、粒子同士の融着性、緩衝性に影響を与えない程度に他の単量体を追加重合工程における単量体成分として加えてもよい。追加重合工程において、共役ジエン系単量体を用いる場合、重合工程で得られた改質ポリスチレン系樹脂粒子と、追加重合工程において追加する単量体成分の合計量とを100重量部として、共役ジエン系単量体の使用量(追加量)は、0.1重量部~10重量部であり得、好ましくは0.1重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~2重量部である。
追加重合工程で使用する重合開始剤は、重合工程において用いられる重合開始剤と同じであってもよく、異なるものであってもよい。追加重合工程で使用する重合開始剤は、重合工程と同じく、すでに説明した10時間半減期温度が74℃以上90℃未満である重合開始剤を使用することが好ましい。なかでも、効率的にスチレンの重合反応を進めることができるという観点から、追加重合工程では、過酸化ベンゾイルであることが好ましい。
追加重合工程で使用する重合開始剤の量は、追加重合工程で使用するスチレン系単量体と重合開始剤との合計を100重量部として0.05重量部~5.00重量部、好ましくは0.50重量部~2.00重量部である。重合工程において未消費の重合開始剤が残存している場合は、追加重合工程にて、重合開始剤の使用量を減量するか、または重合開始剤を使用しなくてもよい。
また、追加重合工程においても、重合工程と同じく、SP値が7.0~9.5であり、分子構造に含まれる炭素数が8以下の有機溶剤と、重合開始剤とを含む重合開始剤溶液により、単量体の重合を行なってもよい。
追加重合工程の温度および時間は、90℃~98℃で1時間以上、スチレンと重合開始剤との含浸を行い、105℃~120℃で2時間以上、重合を進めることが好ましい。
かくして得られる改質ポリスチレン系樹脂粒に含まれるスチレン重合体、および/またはスチレン-ジエン共重合体は、たとえば、その一部においてポリスチレン系樹脂粒子のポリスチレン鎖にグラフトしたり、重合工程で生成したランダム構造を有する共重合体にグラフト重合したりすることがあり、さらにこれらが架橋した構造をも有し得る。
また、改質ポリスチレン系樹脂粒子は、すでに説明したような従来のHIPSよりも高いゲル分率を備えており、さらには、当該改質ポリスチレン系樹脂粒子を材料として製造された発泡粒子を型内成形により融着させるときの融着性をさらに向上させることができる。
このようにして得られた本変形例に係る改質ポリスチレン系樹脂粒子に、上述の含浸工程を行なうことで、改質ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体を成形するときにおける熱による融着性を高めつつ、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、酸化防止剤を内添剤として含有させることができる。
〔3.発泡粒子、およびその製造方法〕
本発明の一実施形態に係る発泡粒子の製造方法は、本発明の一実施形態に係る発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法で製造した発泡性改質ポリスチレン系樹脂を発泡する発泡工程を包含する。
発泡工程では、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を水蒸気などにより加熱して発泡させることに行なうとよい。具体的な発泡方法としては、下記(1)~(3)を順次行う方法が挙げられる:(1)攪拌機を具備した容器内に発泡性樹脂粒子を入れ、(2)水蒸気などの熱源により発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を加熱することにより、(3)所望の発泡倍率に到達するまで発泡を行い、発泡粒子を得るとよい。
得られた発泡粒子は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子と同じく、内添剤として酸化防止剤が十分に含まれている。よって、高い経日安定性を有している。また、当該発泡粒子は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂と同じく、粒子間におけるゲル分率のばらつきが少ない。よって、本発明の一実施形態に係る発泡粒子の製造方法により製造された発泡粒子も本発明の範疇である。
なお、本発明の一実施形態に係る発泡粒子は、それ自身が高い耐割れ性を有しており、そのままでバラ緩衝材などにも利用できる。
〔4.発泡成形体、およびその製造方法〕
本発明の一実施形態に係る発泡成形体の製造方法は、本発明の一実施形態に係る発泡粒子の製造方法で製造した発泡粒子から発泡成形体を成形する成形工程を包含する。
得られた発泡成形体は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子と同じく、内添剤として酸化防止剤が十分に含まれている。よって、高い経日安定性を有している。また、当該発泡成形体は、改質ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、発泡粒子と同じく、品質、すなわちゲル分率のばらつきが少ない。よって、本発明の一実施形態に係る発泡成形体の製造方法により製造された発泡成形体も本発明の範疇である。
発泡成形体の製造としては、型内成形法を採用するとよい。型内成形法とは、発泡粒子を型内に充填し、加熱することによって発泡粒子同士を融着させて発泡成形体を得る方法である。具体的な型内成形方法としては、閉鎖し得るが密閉し得ない金型内に発泡粒子を充填し、水蒸気により発泡粒子を加熱および融着することで発泡成形体とする方法が挙げられる。
かくして得られる発泡成形体は発泡粒子同士が充分かつ、均一に融着しており、耐割れ性の評価におけるバラつきが少ない。耐割れ性の評価は、JISK7211-1:2006に準拠した、半数破壊高さによって評価される。評価方法の詳細は、実施例の記載を参照されたい。
本発明の一実施例について以下に説明する。
(発泡性の評価)
まず、計量した10gの発泡性改質ポリスチレン樹脂を蒸し器内に投入し、5分間蒸し、得られた予備発泡粒子の嵩体積を1000mLのメスシリンダーで測定した。嵩倍率を以下の式で求め、65倍以上の場合を「〇」とした。それ以外は「×」とした。
嵩倍率(cm/g)=予備発泡粒子の嵩体積(cm)÷10g
(耐割れ性の評価)
実施例および比較例のそれぞれについて、450×300×25(厚さ)mmである20枚の発泡成形体を準備し、各発泡成形体から200mm×40mm×20(厚さ)mmのサンプルを10枚ずつ、つまり、10枚を1組として、20組の試験片を作製した。
半数破壊高さは、JISK7211-1:2006に準拠し、200mm×40mm×20(厚さ)mmの発泡成形体試料を、10枚を1組として重ね合わせ、重ね合わせた発泡成形体試料に、321gの剛球を落とし、下記の式(1)により算出した。実施例および比較例のそれぞれについて、20回、同じ評価を行なうことで発泡成形体における測定バラつきの範囲を確認した。測定バラつきの範囲は、計20回における評価のうち、最大値と最小値の差が2cm未満の場合を「〇」、それ以外を「×」として評価した。なお、経日評価に使用した発泡成形体は、発泡成形体を製造後、屋外に50日間保管したものを使用して試験片を作製した。
Figure 2022134655000001
50:半数破壊高さ(cm)
:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さのことである。
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hのときを0とし、1つずつ増減する高さ水準(i=…-3、-2、-1、0、1
、2、3、…)
:各水準において破壊した(または破壊しなかった)試験片の数
N:破壊した(または破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)。いずれか多いほうのデータを使用する。なお、同数の場合はどちらを使用してもよい。
±0.5:破壊したデータを使用するときは負を、破壊しなかったデータを使用するときは正とする。
(ゲル分率の評価)
実施例および比較例のそれぞれについて、0.05gの発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を20mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。得られた溶液をマグネチックスターラーで3時間撹拌した。次いで、秤量済みのろ紙で、撹拌後の溶液を濾過し、ろ紙上に残った物質(ゲル成分)をろ紙と共に30℃で24時間乾燥させた。乾燥後のゲル成分をろ紙と共に秤量し、以下の式(2)にてゲル分率を算出した。ゲル分率は、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子に含まれる有機溶剤に対する不溶分の含有率として求められる。
ゲル分率(重量%)
=(濾過後のろ紙重量-濾過前のろ紙重量)/0.05×100…(2)
実施例および比較例のそれぞれについて、10回のゲル分率の評価を行ない、その平均値、及び各評価結果のバラつきを確認した。ゲル分率の評価における最大値と最小値との差をバラつきの評価とし、当該バラつきが、5.0%未満であるものを「○」とし、5.0%以上であるものを「×」として評価した。
〔実施例1〕
(1)発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法
内容積5リットルの攪拌機付き反応器内に、水性懸濁液として110重量部の水、0.013重量部のα-オレフィンスルホン酸ナトリウム、0.44重量部のリン酸カルシウム、および、71.0重量部のポリスチレン系樹脂粒子を投入した。投入したポリスチレン系樹脂粒子の平均粒径は1mmであった。次に、反応器を密閉し、攪拌下、70℃まで反応器内の水性懸濁液を加熱した。続いて、重合工程として、70℃に加熱した水性懸濁液に、以下の表1の実施例1に示す量のスチレンおよび共役ジエンの混合単量体を4時間含浸し、当該混合単量体を含浸したポリスチレン系樹脂粒子の水性懸濁液に、0.42部のシクロヘキサンと0.066重量のラウロイルパーオキサイドとを含む、重合開始剤溶液を部加え、更に80℃まで昇温し、6時間、重合を行なった。
つづいて、追加重合工程として、重合工程を行なった水性懸濁液を98℃に昇温し、9.10重量部のスチレン、および0.05重量部の30%ベンゾイルパーオキサイド水溶液を1時間かけて追加し、さらに1時間かけて114℃まで昇温し、2時間重合を行なった。これにより、改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
その後、発泡剤含浸工程として、改質ポリスチレン系樹脂粒子が得られた反応容器内にシクロヘキサン0.38部に溶解させたイルガノックス(登録商標)1076(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASFジャパン社より入手)を圧入し、次いで発泡剤としてペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=40/60)6重量部を圧入した。114℃、2時間の条件で、改質ポリスチレン系樹脂粒子にペンタンを含浸させた後、30℃まで冷却し、反応器から取り出し、脱水乾燥することで、実施例1の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
(2)発泡粒子の製造方法
常圧発泡器に、1kg~2kgの発泡性樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.061MPaの設定で蒸気を吹き込みつつ、空気を供給し、約1分間~3分間かけて、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率が50倍になるまで発泡させることで、実施例1の改質発泡粒子を得た。
(発泡成形体の製造方法)
型内成形法により当該発泡粒子から実施例1の発泡成形体を製造した。なお、型内成形法は、改質発泡粒子を24時間放置した後に行なった。型内成形法の条件は以下の通りであった。
成形機:東洋機械金属(株)TH90VMII
成形条件
予備加熱:3秒
一方加熱:4秒
逆一方加熱:1秒
両面加熱:12秒
補助加熱:3秒
保熱:3秒
水冷:20秒
真空放冷:100秒
両面加熱時の設定蒸気圧:キャビティ/コア=0.066/0.087(MPa)
〔実施例2~6、比較例1~4〕
以下の表1に示す原料および添加量を採用した以外は、実施例1に示す製造方法と同じ製造方法により、実施例2~6および比較例1~4の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体の製造し、耐割れ性評価、ゲル分測定を実施した。評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2022134655000002
表1に示すように、実施例1~6および比較例1、2の評価結果から、含浸工程において、改質ポリスチレン系樹脂粒子に対し、発泡剤とともに酸化防止剤を含浸させることにより、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子から製造される発泡成形体の経日的な劣化を効果的に防止できることを確認できた。また、比較例3、4の評価結果から、重合工程時において、酸化防止剤を含浸させることで、スチレンとブタジエンとの共重合が阻害されることを確認した。
さらには、実施例1~6の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子は、比較例1の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子と比較して、製造直後、および50日経過後の試験の両方において、半数破壊高さの評価結果にバラつきが少ないことを確認した。このことは、SP値が7.0~9.5であり、分子に含まれる炭素数が8以下である溶剤に重合開始剤を溶解して重合を行なうことにより、発泡成形体の品質にバラつきが少なく製造できていることよるものと判断される。
本発明の一実施形態によれば、経日の安定性が高い、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子、およびそれらの利用方法を提供できる。そのため、本発明の一実施形態は、自動車分野および建材分野において、好適に利用できる。

Claims (8)

  1. ポリスチレン系樹脂粒子内にスチレン系単量体と共役ジエン系単量体とを含浸し、重合させることで改質ポリスチレン系樹脂粒子を得る、重合工程と、
    前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、発泡剤とともに酸化防止剤を含浸させる、含浸工程とを包含する、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記重合工程後、含浸工程前に前記改質ポリスチレン系樹脂粒子内に、少なくともスチレン系単量体を追加して含浸し、重合させる追加重合工程を包含する、請求項1に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. ポリスチレン系樹脂、および、スチレン系単量体に由来する構成単位と共役ジエン系単量体に由来する構成単位とを含む共重合体を含有する、改質ポリスチレン系樹脂粒子と
    発泡剤と、
    酸化防止剤と、を含み、
    前記酸化防止剤が、前記改質ポリスチレン系樹脂粒子中に含まれている、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記酸化防止剤の含有量が、発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を100重量%として、0.03重量%以上である、請求項3に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記酸化防止剤がヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む、請求項3または4に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、オクタデシル―3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートである、請求項5に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 請求項3~6の何れか一項に記載の発泡性改質ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させてなる、発泡粒子。
  8. 請求項7に記載の発泡粒子を成形してなる、発泡成形体。
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