JP5895786B2 - 発泡性複合樹脂粒子及び複合樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

発泡性複合樹脂粒子及び複合樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂とを含む複合樹脂を基材樹脂とする発泡性複合樹脂粒子、及び該発泡性複合樹脂粒子を加熱発泡して得られる複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体に関する。
オレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、スチレン系樹脂発泡粒子成形体と比較して、耐衝撃性、曲げたわみ、繰り返し応力ひずみの復元性に優れているため、精密部品及び重量の大きな製品等の梱包材や包装材として利用されている。また、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、耐熱性及び耐油性にも優れているため、衝撃吸収材、バンパー、フロアースペーサー等の自動車部材としても利用されている。このように、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、様々な用途において広く用いられている。
オレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、次のようにして製造されていた。
即ち、まず、オレフィン系樹脂粒子を水性媒体と共に密閉容器内に入れ、更に物理発泡剤を容器内に圧入し高温高圧条件下でオレフィン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。続いて、得られる発泡性オレフィン系樹脂粒子を水性媒体と共に低圧域へ放出することなどにより、発泡させてオレフィン系樹脂発泡粒子を得る。次に、該オレフィン系樹脂発泡粒子を型内成形することにより、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
スチレン系樹脂発泡粒子成形体は、発泡粒子を型内成形して得られる点においては、上述のオレフィン系樹脂発泡粒子成形体と同様にして製造することができる。しかし、スチレン系樹脂発泡粒子の製造工程においては、飽和炭化水素化合物等の物理発泡剤を含有した発泡性スチレン系樹脂粒子を密閉容器から取り出した後、物理発泡剤を含む状態、すなわち発泡性を維持した状態で長時間保管できる点で、オレフィン系樹脂発泡粒子の製造工程と大きく異なる。
即ち、スチレン系樹脂発泡粒子成形体の製造にあたっては、まず、密閉容器内にてスチレン系樹脂粒子の重合中或いは重合後に、密閉容器内に圧入された飽和炭化水素化合物等の物理発泡剤をスチレン系樹脂に含浸させる。得られる発泡性スチレン系樹脂粒子は、密閉容器内から取り出しても、発泡性を維持した状態をある程度の期間維持できるため、周知の方法にて保管又は輸送することができる。その後、適時、発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡機に入れ、加熱媒体にて加熱することにより発泡させてスチレン系樹脂発泡粒子を得る。得られたスチレン系樹脂発泡粒子を、上述のとおり型内成形することにより、スチレン系樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
一方、オレフィン系樹脂は、ブタン等の飽和炭化水素化合物からなる発泡剤を透過しやすい性質がある。そのため、このような発泡剤をオレフィン系樹脂粒子に含浸させて発泡性オレフィン系樹脂粒子を製造しても、製造後数時間で発泡剤が散逸し、発泡性が著しく低下してしまう。それ故、発泡性オレフィン系樹脂粒子をその製造後に長時間保管することは困難であり、製造後短時間で発泡させて発泡粒子とする必要がある。したがって、発泡剤含浸設備の近くに発泡機及び成型機を設置する必要があったり、あるいは、所謂ダイレクト発泡により発泡粒子を製造する必要があったりして、生産拠点が限定されてしまう。
このように、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造工程においては、発泡性樹脂粒子の状態での輸送及び保管が困難であり、発泡粒子や成形体の状態で輸送及び保管を行わなければならない。そのため、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体は、製造時の輸送費及び保管費が高くなりやすく、スチレン系樹脂発泡粒子成形体に比べて経済的に不利であった。
また、スチレン系樹脂発泡粒子成形体は、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体と比較して圧縮強度に優れるため、用途によっては、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体と比較して発泡倍率を高くすることができる。そのため、スチレン系樹脂発泡粒子成形体は、オレフィン系樹脂発泡粒子成形体と比較して軽量性という点において有利であった。
上記のオレフィン系樹脂発泡粒子成形体に関する問題点を解決するために、例えば次のような技術が開発されている。
即ち、ポリエチレン等の脂肪族オレフィン系重合体、尿素およびポリアミドからなる樹脂粒状物質に架橋剤を添加し、水、低沸点のアルコール類およびケトン類から選ばれる分散媒中で、懸濁、加熱して架橋処理することにより、該分散媒を発泡剤として該架橋処理した樹脂粒状物質に含浸させる方法が開発されている(特許文献1参照)。
また、ポリエチレン樹脂核粒子にビニル系芳香族モノマーを含浸させて該ビニル系芳香族モノマーの重合および架橋を行い、改質されたポリエチレン樹脂粒子を得る方法が開発されている(特許文献2及び3参照)。
また、アクリロニトリル−スチレン共重合体とポリエチレン系重合体から、ポリエチレン系樹脂核粒子を作製し、ポリエチレン系樹脂核粒子を水性媒体中に懸濁させ、この懸濁液にスチレン系単量体を加え重合及び発泡剤の含浸を行う発泡性ポリエチレン系樹脂粒子の製造方法が開発されている(特許文献4参照)。
特開昭50−139167号公報 特公昭45−32623号公報 特開平1−284536号公報 特開2007−321021号公報
しかしながら、特許文献1の方法においては、発泡剤の保持性は優れるものの、低沸点のアルコール類やケトン類がポリエチレン系樹脂粒子の発泡剤として十分な機能を果たすことができず、発泡性が低いという問題点がある。
一方、特許文献2及び特許文献3の方法においては、ポリエチレン系樹脂粒子に対するビニル系芳香族モノマーの比率を高めることにより、発泡剤の保持性および発泡成形品の強度を向上させることができる。しかし、充分な発泡剤保持性を得るためにはビニル系芳香族モノマー比率を相当に高める必要がある。その結果、ポリエチレンの優れた粘り強さ(靱性)を得ることができなくなるおそれがある。
また、特許文献4の方法にて得られる発泡性ポリエチレン系樹脂粒子は、特許文献2及び特許文献3の方法にて得られるものに比べると、発泡剤の保持性は改善されるものの、発泡性スチレン系樹脂粒子と比べると充分ではなく、未だ改良の余地を残すものであった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであって、発泡剤の保持性及び発泡性に優れると共に、発泡成形後にスチレン系樹脂の優れた剛性とオレフィン系樹脂の優れた粘り強さ(靱性)とを兼ね備えた複合樹脂発泡粒子成形体を得ることができる発泡性複合樹脂粒子、及び該発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる複合樹脂発泡粒子成形体を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、20〜40質量%のオレフィン系樹脂(A)と60〜80質量%のスチレン系樹脂(B)とを含む複合樹脂(ただし、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)との合計が100質量%である。)を基材樹脂とし、炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物を発泡剤とする発泡性複合樹脂粒子において、
上記スチレン系樹脂(B)には、共重合成分として、メタクリル酸メチル成分(b1)と、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル成分及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル成分から選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)とが含まれており、
上記スチレン系樹脂(B)100質量%における、上記メタクリル酸メチル成分(b1)の含有量が10〜40質量%、上記(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量が2質量%以上であり、
上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度が85〜100℃であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子にある(請求項1)。
本発明の他の態様は、上記発泡性複合樹脂粒子を加熱発泡して得られる複合樹脂発泡粒子を型内成形してなり、見掛け密度が10〜200g/Lである複合樹脂発泡粒子成形体にある(請求項6)。
上記発泡性複合樹脂粒子において、上記複合樹脂は、上記オレフィン系樹脂(A)を含有すると共に、上記メタクリル酸メチル成分(b1)と上記(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)が含まれた上記スチレン系樹脂(B)を上記所定の割合で含有している。そして、上記スチレン系樹脂(B)中のメタクリル酸メチル成分(b1)及び(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量が上記特定の範囲に調整されており、さらに上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度が85〜100℃という特定の範囲に調整されている。
そのため、オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂との組成比が同等の従来の発泡性複合樹脂粒子に比べて、上記発泡性複合樹脂粒子は、発泡剤の保持性に優れる。それ故、上記発泡性複合樹脂粒子は、密閉容器に入れた状態での保存温度条件の簡素化、保存可能期間の延長を可能にする。その結果、密閉容器に入れた状態で発泡力を充分に保持したまま、例えば、常温にて長期間の保存が可能である。したがって、上記発泡性複合樹脂粒子の製造後短時間のうちに、上記発泡性複合樹脂粒子を発泡させる必要がなくなり、嵩張らない発泡性複合樹脂粒子の状態での輸送及び保管が可能になる。
また、上記発泡性複合樹脂粒子を実際に長期間保存し、その後発泡させて複合樹脂発泡粒子を得ると、該複合樹脂発泡粒子の見掛け密度のバラツキを小さくすることが可能になる。更に、上記複合樹脂発泡粒子は、型内成形性が良好であるため、上記複合樹脂発泡粒子を型内成形して得られる上記複合樹脂発泡粒子成形体は、外観及び発泡粒子相互の融着性に優れる。また、上記複合樹脂発泡粒子成形体は、機械的物性のばらつきが少なく、スチレン系樹脂が備える優れた剛性を示すことができるだけでなく、オレフィン系樹脂が備える優れた粘り強さ(靱性)を示すことができる。
実施例1における、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面を模式的に示した説明図。 実施例1における、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 実施例7における、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 実施例8における、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。 比較例1における、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面における透過型電子顕微鏡写真を示す図。
次に、上記発泡性複合樹脂粒子及び上記複合樹脂発泡粒子成形体の好ましい実施形態について説明する。
上記発泡性複合樹脂粒子は、基材樹脂として、20〜40質量%のオレフィン系樹脂(A)と60〜80質量%のスチレン系樹脂(B)とを含む複合樹脂を含有する。ただし、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)との合計が100質量%である。
上記発泡性複合樹脂粒子は、上述の配合割合でオレフィン系樹脂とスチレン系樹脂とが配合された複合樹脂を基材樹脂とするため、上記発泡性複合樹脂粒子を発泡成形して得られる複合樹脂発泡粒子成形体は、これを構成する発泡粒子自体がオレフィン系樹脂特有の優れた粘り強さを示すことができる。さらに、上記複合樹脂発泡粒子成形体は、スチレン系樹脂特有の優れた剛性を示すことができる。
スチレン系樹脂(B)が80質量%を超える場合には、オレフィン系樹脂の特性が損なわれてしまうおそれがある。即ち、上記発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる複合樹脂発泡粒子成形体の靱性、耐熱性、耐薬品性等が低下するおそれがある。同様の観点から、スチレン系樹脂(B)の含有量の上限は、78質量%であることがより好ましく、75質量%であることがさらに好ましい。
一方、スチレン系樹脂(B)が60質量%未満の場合には、発泡性複合樹脂粒子の球状化が困難になるおそれがある。また、スチレン系樹脂の特性が損なわれ、上記発泡性複合樹脂粒子を用いて得られる複合樹脂発泡粒子成形体の機械的強度が低下するおそれがある。同様の観点から、スチレン系樹脂(B)の含有量の下限は、65質量%であることがより好ましく、70質量%であることがさらに好ましい。
上記オレフィン系樹脂(A)としては、例えば直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のエチレン系樹脂を用いることができる。また、上記オレフィン系樹脂(A)としては、例えばプロピレンホモ重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン-1共重合体、プロピレン−4-メチルペンテン-1共重合体等のプロピレン系樹脂を用いることもできる。また、オレフィン系樹脂としては、1種の重合体でもよいが又は2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。
好ましくは、上記オレフィン系樹脂(A)は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とすることがよい。直鎖状低密度ポリエチレンは、好ましくは直鎖のポリエチレン鎖と炭素数2〜6の短鎖状の分岐鎖とを有する分岐構造を有するものがよい。例えば、エチレン-α-オレフィン共重合体が挙げられる。
この場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の良好な発泡剤の保持性をより向上させることができる。また、上記発泡性複合樹脂粒子を発泡成形させてなる上記複合樹脂発泡粒子成形体の強度をより向上させることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度(g/cm3)は、通常、0.88〜0.945であるが、0.90〜0.94であることが好ましく、0.91〜0.93であることがより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンのメルトマスフローレート(MFR190℃、2.16kgf)は、発泡性の観点から0.5〜4.0g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。更に好ましくは、メタロセン系触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンのMFR(190℃,2.16kgf)は、JIS K7210(1999年)に基づき、条件コードDで測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる。
また、上記オレフィン系樹脂(A)の融点(Tm)は、95℃〜115℃であることが好ましい。
この場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の製造時に、上記オレフィン系樹脂にスチレン系モノマーを充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、得られた発泡性複合樹脂粒子を用いると、スチレン系樹脂の優れた機械的物性とオレフィン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた複合樹脂発泡粒子成形体を得ることが可能になる。より好ましくはオレフィン系樹脂(A)の融点(Tm)は100〜110℃であることがよい。なお、上記オレフィン系樹脂(A)の融点(Tm)は、JIS K7121(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)にて測定することができる。
また、上記オレフィン系樹脂(A)の結晶化度は、20〜35%であることが好ましく、20〜30%であることがより好ましい。
この場合には、発泡剤の保持性及び発泡性をより向上させることができる。即ち、オレフィン系樹脂(A)の結晶化度が上記範囲内にある場合には、気体分子(発泡剤)がオレフィン系樹脂の高分子鎖を押し広げにくくなると考えられる。その結果、発泡剤の透過性が低くなり、上述のごとく発泡剤の保持性が高くなると推察できる。なお、上記オレフィン系樹脂(A)の結晶化度は、JIS K7122(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定(DSC)にて測定した融解熱量から求められる。
上記スチレン系樹脂(B)は、スチレン系モノマー成分(b0)を主成分とする樹脂である。上記スチレン系樹脂(B)100質量%におけるスチレン系モノマー成分(b0)の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記スチレン系モノマーは、単独で重合させることもできるが、2種類以上を重合させることもできる。
これらのスチレン系モノマーの中でも、発泡性粒子の発泡性に優れ、得られる発泡粒子成形体の機械的強度に優れるという観点から、スチレンが好ましい。
さらに、上記スチレン系樹脂(B)には、共重合成分として、メタクリル酸メチル成分(b1)と、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル成分及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル成分から選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)とが用いられている。以下、明細書中においては、「メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル成分及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル成分から選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)」を適宜「(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)」という。
上記発泡性複合樹脂粒子における複合樹脂のモルフォロジーには、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)とが共連続相をなすモルフォロジー(海海構造)、オレフィン系樹脂(A)が分散相(島相)をなしスチレン系樹脂(B)が連続相(海相)をなすモルフォロジー(島海構造)、又はオレフィン系樹脂(A)が連続相をなしスチレン系樹脂(B)が分散相をなすモルフォロジー(海島構造)がある。
好ましくは、上記発泡性複合樹脂粒子における複合樹脂は、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)とが共連続相をなすモルフォロジーを示すか、またはオレフィン系樹脂(A)が分散相をなしスチレン系樹脂(B)が連続相をなすモルフォロジーを示すことがよい(請求項2)。
この場合には、オレフィン系樹脂(A)が連続相をなしスチレン系樹脂(B)が分散相をなすモルフォロジーに比べて、発泡剤の保持性をより向上させることができる。
上記特定のモルフォロジーを示す発泡性複合樹脂粒子において、発泡剤の保持性が特に優れる理由は次のように推察される。
即ち、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂と、メタクリル酸メチルを共重合成分として含むスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂においては、該複合樹脂に含浸された発泡剤は、オレフィン系樹脂の相から散逸しやすく、メタクリル酸メチルを共重合成分として含むスチレン系樹脂の相から散逸し難い。したがって、複合樹脂に含浸された発泡剤は、時間の経過とともに、発泡剤の散逸が起こりやすいオレフィン系樹脂の相から速く抜けると考えられる。
上記発泡性複合樹脂粒子のように、上記オレフィン系樹脂(A)と上記メタクリル酸メチル成分(b1)を共重合成分として含むスチレン系樹脂(B)との複合樹脂のモルフォロジーが共連続相をなすモルフォロジーを示す場合、またはオレフィン系樹脂(A)が分散相をなしスチレン系樹脂(B)が連続相をなすモルフォロジーを示す場合には、上記オレフィン系樹脂(A)と上記メタクリル酸メチル成分(b1)を共重合成分として含むスチレン系樹脂(B)との界面の面積が小さくなる。そのため、上記メタクリル酸メチル成分(b1)を共重合成分として含むスチレン系樹脂(B)から上記オレフィン系樹脂(A)への発泡剤の移動をより抑制することができる。その結果、発泡剤の散逸が起こりやすい上記オレフィン系樹脂(A)の相からの発泡剤の散逸量を抑制することができると考えられる。したがって、上記発泡性複合樹脂粒子において発泡剤の保持性がより高くなると推察できる。
上記スチレン系樹脂(B)100質量%におけるメタクリル酸メチル成分(b1)の含有量は、10〜40質量%である。
上記メタクリル酸メチル成分(b1)の含有量が少なすぎる場合には、発泡性複合樹脂粒子から発泡剤が散逸し易くなり、発泡剤の保持性を向上させる効果が不十分となる傾向がある。また、多すぎる場合には、重合時に凝結が発生し易くなるという製法上の問題が生じる虞がある。好ましくはメタクリル酸メチル成分(b1)の含有量は15〜30質量%がよく、更に好ましくは20〜30質量%がよい。
また、上記スチレン系樹脂(B)は、共重合成分として、さらに(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)を含有する。(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)としては、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル成分、及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル成分から選択される1つ又は2つ以上の成分を用いることができる。
メタクリル酸のアルキルエステル成分におけるアルキル基の炭素数が2〜10という範囲から外れる場合、又はアクリル酸のアルキルエステル成分におけるアルキル基の炭素数が1〜10という範囲から外れる場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡性を十分に向上させることが困難になる虞がある。
具体的には、(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等を用いることができる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが良い。より好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)は、アクリル酸ブチル成分であることがよい(請求項3)。
この場合には、少量の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)でスチレン系樹脂(B)のガラス転移温度を下げることができる。また、この場合には、重合時の懸濁安定性を高めることができる。
上記スチレン系樹脂(B)100質量%における(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量は、2質量%以上であり、上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が85〜100℃である。
(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量が2質量%未満の場合には、上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度が高くなりすぎ、発泡性が低下する虞がある。また、発泡時における収縮をより確実に回避するという観点から、(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量は20質量%以下が好ましい。
また、上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)が85℃未満の場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡時に収縮が起こるおそれがある。一方、100℃を超える場合には、発泡性が低下する虞がある。上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)の下限は、好ましくは90℃、より好ましくは95℃であることがよい。
上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の種類及び含有量により調整することができる。例えば、スチレン系樹脂(B)中の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)としてアクリル酸ブチル成分を含有する場合、その含有量は、2.5〜10質量%であることが好ましく、3〜5質量%であることがより好ましい。
上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は以下の方法で求めることができる。
具体的には、150メッシュの金網袋中に発泡性複合樹脂粒子1.0gを入れる。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットする。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。
次いで、抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得る。得られたスチレン系樹脂2〜4mgについて、JIS K7121(1987年)に基づいて熱流束示差走査熱量測定を行う。そして、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を、上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)とすることができる。測定装置としては、ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型DSC測定器などを用いることができる。
また、上記発泡性複合樹脂粒子において、上記スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量は15×104〜30×104であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡性を向上させることができ、発泡時の収縮を防止することができる。さらに、発泡後に得られる上記複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性を向上させることができ、複合樹脂発泡粒子成形体の寸法安定性を向上させることができる。より好ましくは、上記スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量は20×104〜30×104であることがよい。
上記スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックスゲルカラム)により測定することができる。具体的には、東ソー(株)製の測定装置(GPC−8020 ModelII)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分、カラム:東ソー(株)製のTSK−GEL GMHという測定条件で測定することができる。即ち、重量平均分子量は、スチレン系樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで校正することにより求めることができる。
また、上記発泡性複合樹脂粒子は、キシレンに不溶なゲル量が30質量%以下(0質量%を含む)であることが好ましい(請求項5)。
キシレンに不溶なゲル量を上記特定範囲にすることにより、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができる。また、この場合には、上記発泡性複合樹脂粒子を発泡成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体の剛性及び復元性をより向上させることができる。
上記発泡性複合樹脂粒子におけるキシレンに不溶なゲル量は以下の方法により測定することができる。
即ち、まず、150メッシュの金網袋中に発泡性複合樹脂粒子1.0gを入れる。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットする。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行い、抽出終了後、空冷で冷却する。
次に1000mlのビーカーにアセトン約600mlを入れ、抽出終了後に抽出管から金網を取り出したサンプルを洗浄し、アセトンを揮発させてから120℃乾燥器で4時間乾燥する。残留分をゲル分とし、初期の発泡性複合樹脂粒子量に対するゲル分量の重合比をキシレンに不溶なゲル量とすることができる。
次に、上記発泡性複合樹脂粒子は、発泡剤として炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物を含有する。
具体的には、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどを用いることができる。これらの発泡剤は、単独で又は2種以上の混合物で用いることができる。
好ましくは、上記発泡剤は、イソブタン30〜80質量%とその他の炭素数4〜6の炭化水素20〜70質量%とからなることが好ましい。但し、イソブタンとその他の炭素数4〜6の炭化水素との合計量は100質量%である。
イソブタンとその他の炭素数4〜6の炭化水素の割合を上記のごとく調整することにより、上記発泡性複合樹脂粒子に発泡剤を充分に含浸させることができ、また、充分に保持させることができる。より好ましくは、上記発泡剤中のイソブタンが占める割合は30〜60質量%がよく、さらに好ましくは35〜50質量%がよい。
上記のように発泡剤として炭素数が4〜6の炭化水素化合物を使用することにより、発泡性複合樹脂粒子の発泡剤の保持性、及び成形時における発泡力をより向上させることができる。さらに、複合樹脂発泡粒子成形体における発泡粒子相互の融着性をより向上させることができる。
また、上記発泡性複合樹脂粒子における発泡剤の含有量は、3〜10質量%であること好ましい。
この場合には、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡性をより向上させることができ、発泡時の収縮を防止することができる。さらに、発泡後に得られる上記複合樹脂発泡粒子の型内成形時に、複合樹脂発泡粒子同士の融着性をより向上させることができ、複合樹脂発泡粒子成形体の寸法安定性を向上させることができる。より好ましくは、上記物理発泡剤の含有量は4〜9質量%がよい。
次に、上記発泡性複合樹脂粒子の製造方法について説明する。
まず、オレフィン系樹脂を主成分とする核粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を作製する。次いで、スチレン系モノマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルから選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステル(以下、これら3者を合わせて重合性モノマーともいう。)を懸濁液中に添加する。そして、上記核粒子に該重合性モノマーを含浸させ、重合させ、さらに粒子に発泡剤を含浸させることにより発泡性複合樹脂粒子を製造することができる。
上記オレフィン系樹脂核粒子に重合性モノマーを含浸させて重合させるにあたって、使用量の全量の重合性モノマーを一括して添加することもできるが、後述の分散工程及び改質工程のように、重合性モノマーの使用量を例えば第1モノマー及び第2モノマーに分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することもできる。後者のように、重合性モノマーを分割して添加することにより、重合時に樹脂粒子同士が凝結することを抑制することが可能になる。
上記発泡性複合樹脂粒子は、例えば下記の分散工程、改質工程、及び含浸工程を行うことにより製造することができる。
上記分散工程においては、オレフィン系樹脂を主成分とする核粒子を水性媒体中に懸濁させた懸濁液中に第1モノマーと重合開始剤とを添加し、上記懸濁液中に上記第1モノマーを分散させる。
上記改質工程においては、上記懸濁液を加熱し、上記核粒子におけるオレフィン系樹脂の融点をTmとした時、(Tm−30)〜(Tm+20)℃の温度で、第2モノマーを所定の添加時間をかけて上記懸濁液中へ連続的に添加し、上記オレフィン系樹脂核粒子に重合性モノマーを含浸、重合させる。
ここで、上記分散工程で添加する核粒子を構成するオレフィン系樹脂の重量をa(質量部)とし、該オレフィン系樹脂100質量部(a=100)に対して上記分散工程で添加する第1モノマーの添加量をb(質量部)、上記改質工程で添加する第2モノマーの添加量をc(質量部)とし、さらに上記改質工程で添加する第2モノマーの添加時間をd(h)とした時、下記の式(1)及び式(2)を満足するように上記分散工程及び上記改質工程を行う。
1≦b/c≦8 式(1)
c/(a×d)≦1 式(2)
また、上記含浸工程においては、得られるスチレン系樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とするとTg−10〜Tg+40(℃)の範囲内の温度で、上記重合性モノマーの重合中及び/又は重合後に樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させ、発泡性複合樹脂粒子を得る。
上記分散工程、上記改質工程、及び上記含浸工程を行うことにより、発泡剤の保持性及び発泡性に優れる上記発泡性複合樹脂粒子を得ることができる。また、該発泡性複合樹脂粒子を発泡成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体は、剛性及び靱性に優れる。
以下、上記発泡性複合樹脂粒子の製造方法における各工程について説明する。
上記分散工程においては、核粒子を例えば懸濁剤、界面活性剤、水溶性重合禁止剤等を含む水性媒体中に懸濁させ、懸濁液を作製することができる。また、上記分散工程においては、上記懸濁液に上記第1モノマーと重合開始剤を添加する。
また、上記核粒子は、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、難燃剤等の添加剤を含有することができる。
上記核粒子は、オレフィン系樹脂及び必要に応じて添加される分散径拡大剤を配合し、溶融混練してから細粒化して製造することができる。溶融混練は押出機により行うことができる。このとき、均一な混練を行うために、予め各樹脂成分を混合した後に押出を行うことが好ましい。各樹脂成分の混合は、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダー、レディーゲミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。
また、発泡剤の保持性及び発泡成形性を向上させ、さらにオレフィン系樹脂の特徴である粘り強さを維持しつつ強度に優れた発泡粒子成形体を実現するためには、上記オレフィン系樹脂(A)と上記スチレン系樹脂(B)とのモルフォロジーを制御する熱可塑性樹脂(分散径拡大剤)を上記核粒子の上記オレフィン系樹脂中に均一に分散させることが好ましい。そのため、例えばダルメージタイプ、マドックタイプ、ユニメルトタイプ等の高分散タイプのスクリュや二軸押出機を用いて溶融混練を行うことが好ましい。
上記分散径拡大剤としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ゴム変性ポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂から選択される1種、又はこれら2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、アクリロニトリル−スチレン共重合体がよい。また、アクリロニトリル−スチレン共重合体中のアクリロニトリル成分量は20〜40質量%であることがよい。
上記核粒子のオレフィン系樹脂に分散されている分散径拡大剤の分散径は10〜1000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましい。分散径拡大剤の分散径は、核粒子の断面における分散径拡大剤からなる相の円相当径の平均値である。
また、分散径拡大剤のメルトマスフローレート(MFR(200℃、5kgf))は、1g/10min〜20g/10minであることが好ましく、2.5g/10min〜15g/10minであることがより好ましい。分散径拡大剤のMFR(200℃,5kgf)は、JIS K7210(1999年)に基づき、条件コードHで測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる
上記核粒子中の分散径拡大剤の含有量は、核粒子を構成するオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。
上記分散径拡大剤の含有量が上記範囲内であれば、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)が共連続相(海海構造)を示すモルフォロジーを形成しやすくなり、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡剤保持性能を充分に向上させることができる。また、上記発泡性複合樹脂粒子を発泡し、型内成形して得られる上記複合樹脂発泡粒子成形体の良好な靭性、強度を維持するという観点からも、上記分散径拡大剤の含有量を上記範囲にすることが好ましい。
また、上記核粒子には、発泡後の上記複合樹脂発泡粒子の気泡サイズを調整するため、気泡調整剤を添加することができる。
上記気泡調整剤としては、例えば、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸金属塩等の有機物、又は無機物等を用いることができる。有機物の気泡調整剤を用いる場合には、その配合量を、上記核粒子用の樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部の範囲にすることが好ましい。また、無機物の気泡調整剤を用いる場合には、その配合量を、核粒子用の樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲にすることが好ましい。
上記核粒子の微細化は、上記押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、水中カット方式等により行うことができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法により行うこともできる。
核粒子の粒子径が小さすぎる場合には、発泡剤の保持性が低下するおそれがある。一方、粒子径が大きすぎる場合には、発泡後の発泡粒子の粒径も大きくなり、型内成形時に金型への充填性が低下するおそれがある。したがって、上記核粒子の粒子径は、好ましくは0.1〜3.0mmがよく、より好ましくは0.3〜1.5mmがよい。
なお、押出機を用いる場合には、例えば略粒子径の範囲内の口径を有する孔から樹脂を押出し、カットスピードを変えて所定の粒子径の核粒子が得られる長さに切断することにより粒子径の調整を行うことができる。
上記核粒子の粒子径は、例えば次のようにして測定できる。
即ち、核粒子を顕微鏡写真により観察し、200個以上の核粒子について各々の核粒子の最大径を測定し、測定された最大径の算術平均値を核粒子の粒子径とする。
上記核粒子は、通常、水性媒体中に懸濁させて懸濁液とする。水性媒体中への分散は、例えば撹拌機を備えた密閉容器を用いて行うことができる。上記水性媒体としては、例えば脱イオン水等が挙げられる。
上記核粒子は、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。
上記懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、水酸化チタン、水酸化マグネシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、ベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。好ましくは、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムがよい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量部が好ましい。より好ましくは0.3〜5質量部がよい。上記懸濁剤が少なすぎる場合には、重合性モノマーを懸濁して安定化させることが困難になり、樹脂の塊状物が発生するおそれがある。一方、上記懸濁剤が多すぎる場合には、製造コストが増大してしまうだけでなく、粒子径分布が広がってしまうおそれがある。
また、上記懸濁液には界面活性剤を添加することができる。
上記界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α‐オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
上述の界面活性剤は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
好ましくは、アニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)がよい。これにより、懸濁を充分に安定化させることができる。
また、上記懸濁液には、必要に応じて、例えば塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。
また、靭性、機械的強度に優れる複合樹脂発泡粒子成形体を得るためには、上記懸濁液に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。
上記水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、クエン酸等を用いることができる。
上記水溶性重合禁止剤は上記核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、上記核粒子に含浸した上記重合性モノマーの重合は行われるが、上記核粒子に含浸されていない水性媒体中の上記重合性モノマーの微小液滴、及び上記核粒子に吸収されつつある上記核粒子表面付近の上記重合性モノマーの重合を抑制することができる。その結果、上記発泡性複合樹脂粒子の表面のスチレン系樹脂の量を少なく制御することができ、発泡剤の保持性をさらに向上できると推察される。
水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.06質量部がよい。
また、上記核粒子内で重合性モノマーを均一に重合させるためには、重合性モノマーを核粒子に含浸させて重合させる。この場合には、重合性モノマーの重合と共に架橋が生じることがある。重合性モノマーの重合においては重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予め重合性モノマーに重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。
なお、重合性モノマーの重合過程においては、上記核粒子中に含まれるオレフィンの架橋が生じる場合があることから、本明細書において、「重合」は「架橋」を含む場合がある。
上記重合開始剤としては、重合性モノマーの懸濁重合法に用いられるもの、例えばビニルモノマーに可溶で、10時間半減期温度が50〜120℃である重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えばクメンヒドロキシパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることができる。これらの重合開始剤は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合開始剤は、溶剤に溶解させて添加し、上記核粒子に含浸させることもできる。 上記重合開始剤を溶解する溶剤としては、例えばエチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素等が用いられる。
上記重合開始剤は、重合性モノマー100質量部に対して0.01〜3質量部で使用することが好ましい。
また、上記架橋剤としては、重合温度では分解せず、架橋温度で分解する10時間半減期温度が重合温度よりも5℃〜50℃高いものを用いることが好ましい。具体的には、例えばジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物を用いることができる。上記架橋剤は、単独または2種類以上併用して用いることができる。上記架橋剤の配合量は、重合性モノマー100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
なお、上記重合開始剤及び上記架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。
また、上記重合性モノマー又は上記溶剤には、気泡調整剤を添加することができる。
上記気泡調整剤としては、例えば脂肪族モノアミド、脂肪酸ビスアミド、タルク、シリカ、ポリエチレンワックス、メチレンビスステアリン酸、メタクリル酸メチル系共重合体、シリコーンなどを用いることができる。
脂肪族モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等を用いることができる。
脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。
上記気泡調整剤は、重合性モノマー100質量部に対して0.01〜2質量部用いることが好ましい。
また、重合性モノマーには、必要に応じて可塑剤、油溶性重合禁止剤、難燃剤、染料等を添加することができる。
可塑剤としては、例えば脂肪酸エステル、アセチル化モノグリセライド、油脂類、炭化水素化合物等を用いることができる。脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ブチルステアレート等を用いることができる。また、アセチル化モノグリセライドとしては、例えばグリセリンジアセトモノラウレート等を用いることができる。油脂類としては、例えば硬化牛脂、硬化ひまし油等を用いることができる。炭化水素化合物としては、例えばシクロヘキサン、流動パラフィン等を用いることもできる。
油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ベンゾキノン等を用いることができる。
次に、上記改質工程においては、上記分散工程後の上記懸濁液の加熱を開始する。そして、上記核粒子におけるオレフィン系樹脂の融点をTmとした時、(Tm−30)〜(Tm+20)℃の温度で、第2モノマーを所定の添加時間をかけて上記懸濁液中へ連続的に添加する。これにより、上記核粒子へ重合性モノマーを含浸させ、重合させる。
上記第2モノマーを添加する温度が(Tm−30)〜(Tm+20)℃という温度から外れる場合には、懸濁系が不安定化し、樹脂の塊状物が発生するおそれがある。上記第2モノマーを添加する温度は、より好ましくはTm−25〜Tm+10(℃)、更に好ましくはTm−25〜Tm(℃)であることがよい。
また、上記式(1):1≦b/c≦8、及び上記式(2):c/(a×d)≦1の関係を満足するように、上記分散工程及び上記改質工程を行う。なお、式(1)及び式(2)において、a:分散工程で添加する核粒子を構成するオレフィン系樹脂の量(質量部)、b:核粒子を構成するオレフィン系樹脂100質量部(a=100)に対する、上記分散工程で添加する第1モノマーの添加量(質量部)、c:改質工程で添加する第2モノマーの添加量(質量部)、d:改質工程で添加する第2モノマーの添加時間(h)である。
分散工程で添加する第1モノマーと改質工程で添加する第2モノマーの配合質量比であるb/cが1未満の場合には、重合後に樹脂粒子の形状が扁平になる虞がある。一方、b/cが8を超える場合には、重合性モノマーを核粒子に充分に含浸させることができず、懸濁系が不安定化して樹脂の塊状物が発生する虞がある。また、分散径拡大剤を含む場合においては、スチレン系樹脂の連続相中に分散される分散径拡大剤の分散相の分散径が小さくなる虞がある。そのため、分散径拡大剤の添加による発泡剤の保持性の向上効果が十分に得られなくなる虞がある。より好ましくは1≦b/c≦4、更に好ましくは1.5≦b/c≦3であることがよい。
また、c/(a×d)が1を超える場合には、重合性モノマーを核粒子に充分に含浸させることができず、懸濁系が不安定化して樹脂の塊状物が発生する虞がある。より好ましくはc/(a×d)≦0.5であり、更に好ましくは、c/(a×d)≦0.3である。
上記核粒子と上記重合性モノマーとの配合は、上記核粒子中に含まれるオレフィン系樹脂(A)と重合後に生成するスチレン系樹脂(B)との質量比(A:B)が20:80〜40:60となるように調整することが好ましい。さらに、質量比(A:B)が22:78〜35:65となるように調整することがより好ましく、25:75〜30:70となるように調整することが更に好ましい。
また、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)との共連続相構造を確実に形成し、発泡剤の保持性を高めるという観点からは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル、及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステルから選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステルは、上記第1モノマーとして添加することが好ましい。
また、上記改質工程において、重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃が好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃が好ましい。
次に、上記含浸工程においては、上記重合性モノマーの重合中及び/又は重合後に、樹脂粒子に発泡剤(物理発泡剤)を含浸させ、発泡性複合樹脂粒子を得る。即ち、上記分散工程における発泡剤の含浸は、重合性モノマーの重合中または重合後に行うことができる。具体的には、重合中の又は重合後の樹脂粒子を収容する容器内に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に含浸させる。
発泡剤の含浸温度は、スチレン系樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg−10〜Tg+40℃の範囲内であることが好ましい。
上記発泡剤の含浸温度がTg−10℃未満の場合には、初期の発泡剤含有量が多くなり、発泡性複合樹脂粒子を直ちに発泡させる場合には問題ないが、常温以上の雰囲気下で保管又は輸送後に発泡させる場合には、発泡剤の保持性が低下するおそれがある。また、可塑化が不充分になり、上記発泡性複合樹脂粒子の発泡時に負荷がかかり、発泡成形後に得られる複合樹脂発泡粒子成形体において独立気泡率や復元性が低下する虞がある。これは、物理発泡剤が含浸されやすいオレフィン系樹脂の相に発泡剤が含浸されるが、スチレン系樹脂相には発泡剤が充分に含浸されず、物理発泡剤が散逸しやすいオレフィン系樹脂の相から物理発泡剤が抜けてしまうためと推定される。一方、物理発泡剤の含浸温度がTg+40℃を超える場合には、発泡剤含浸時に発泡性複合樹脂粒子同士が凝結する虞がある。より好ましくは、発泡剤の含浸温度はTg−5(℃)〜Tg+25(℃)の範囲内であることがよい。
また、発泡剤の含浸後には、発泡性複合樹脂粒子を脱水乾燥し、必要に応じて表面被覆剤を被覆させることができる。
表面被覆剤としては、例えばジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油などが挙げられる。また、機能性の表面被覆剤として帯電防止剤などを使用することもできる。上記表面被覆剤の添加量は、上記発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2質量部であることが好ましい。
上記発泡性複合樹脂粒子を加熱媒体により加熱して発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子を得ることができる。具体的には、発泡性複合樹脂粒子を供給した予備発泡機にスチーム等の加熱媒体を導入することにより、発泡性複合樹脂粒子を発泡させることができる。なお、得られる複合樹脂発泡粒子の嵩密度は10〜200g/Lが好ましく、15〜100g/Lであることがより好ましい。
また、上記複合樹脂発泡粒子を周知の成形手段により型内成形することにより、複合樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。得られる複合樹脂発泡粒子成形体の見掛け密度は10〜200g/Lであることが好ましく、15〜100g/Lであることがより好ましい。
以下に、上記発泡性複合樹脂粒子及び複合樹脂発泡粒子成形体の実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
本例においては、実施例にかかる発泡性複合樹脂粒子を作製し、これを用いて複合樹脂発泡粒子及び複合樹脂発泡粒子成形体を作製する。
図1に、本例の発泡性複合樹脂粒子1における基材樹脂を構成する複合樹脂10の断面構造を模式的に示す。同図に示すごとく、発泡性複合樹脂粒子1は、オレフィン系樹脂2とスチレン系樹脂3とを含む複合樹脂10を基材樹脂とし、炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物を発泡剤(図示略)とする。本例の発泡性複合樹脂粒子1は、オレフィン系樹脂2とスチレン系樹脂3とが相互に連続相となる共連続相のモルフォロジーを示し、所謂海−海構造を形成している。また、発泡性複合樹脂粒子1において、複合樹脂10には、飽和炭化水素化合物からなる発泡剤(図示略)が含浸されている。
以下、本例の発泡性複合樹脂粒子の製造方法につき説明する。
(1)核粒子の作製
オレフィン系樹脂として、メタロセン重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」20kg、及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(電気化学工業(株)製「AS−XGS、重量平均分子量:10.9万、アクリロニトリル成分量:28質量%、MFR(200℃、5kgf):2.8g/10min)1kgを準備し、これらをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製;型式FM−75E)に投入し、5分間混合した。
次いで、この樹脂混合物を押出機(アイケージー(株)製;型式MS50−28;50mmφ単軸押出機、マドックタイプのスクリュ)にて温度230〜250℃で溶融混練し、水中カット方式により0.4〜0.6mg/個(平均0.5mg/個)に切断し、核粒子を得た。
(2)発泡性複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。
次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.5g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.5g、及び核粒子125gを投入した。
次いで、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル1.29g(日油社製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート2.58g(日油社製「パーブチルE」)と、架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)0.86gとを、分散工程で添加する第1モノマーに溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した(分散工程)。なお、第1モノマーとしては、スチレン145g、メタクリル酸メチル100g、及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した後、撹拌速度を450rpmに下げた。30分かけて88℃から80℃まで冷却し、この重合温度80℃で8時間保持した(改質工程)。尚、80℃到達時に改質工程で添加する第2モノマーとしてスチレン115gを、5時間かけてオートクレーブ内に添加した。
次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。
その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてシクロヘキサン20g、ペンタン(ノルマルペンタン約80質量%、イソペンタン約20質量%の混合物)15g及びブタン(ノルマルブタン約20質量%、イソブタン約80質量%の混合物)50gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した(含浸工程)。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が約1.6mmの発泡性複合樹脂粒子を得た。本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部断面の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図2に示す。同図において、濃い灰色部分がオレフィン系樹脂であり、薄い灰色部分がスチレン系樹脂である。
得られた発泡性複合樹脂粒子を篩いにかけて直径が0.7〜2.0mmの粒子を取り出し、発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して、帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.008質量部を添加し、さらにステアリン酸亜鉛0.12質量部、グリセリンモノステアレート0.04質量部、グリセリンジステアレート0.04質量部の混合物で被覆した。
本例において得られた発泡性複合樹脂粒子について、複合樹脂におけるオレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)との配合割合(オレフィン系樹脂(A)/スチレン系樹脂(B);質量比)、使用したオレフィン系樹脂(A)の種類、スチレン系樹脂(B)100質量%中におけるメタクリル酸メチル成分(b1)の含有量(質量%)、スチレン系樹脂(B)中に含まれる(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の種類、スチレン系樹脂(B)100質量%中に含まれる(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量(質量%)、及びメタクリル酸メチル成分(b1)及び(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の添加工程を後述の表1に示す。
次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子について、スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)、スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)、キシレンに不溶なゲル量(XYゲル量)、複合樹脂のモルフォロジー、発泡剤の保持率、及び発泡性を以下のようにして調べた。その結果を表1に示す。
「スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)及び重量平均分子量(Mw)」
まず、150メッシュの金網袋中に発泡性複合樹脂粒子1.0gを入れる。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットした。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行う。抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション、減圧蒸発乾固を行い、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得た。
得られたスチレン系樹脂2〜4mgについて、ティ・エイ・インスツルメント社製の2010型DSC測定器を用い、JIS K7121(1987年)により熱流束示差走査熱量測定を行い、加熱速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度(Tg)をスチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)とした。
また、スチレン系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックスゲルカラム)により測定した。
具体的には、東ソー(株)製の測定装置(GPC−8020 ModelII)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分、カラム:東ソー(株)製のTSK−GEL GMHという測定条件で測定した。
「キシレンに不溶なゲル量(XYゲル量)」
150メッシュの金網袋中に発泡性複合樹脂粒子1.0gを入れた。次に、丸型フラスコ200mlにキシレン約200mlを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットした。マントルヒーターで8時間加熱し、ソックスレー抽出を行い、抽出終了後、空冷で冷却した。
次に、1000mlのビーカーにアセトン約600mlを入れ、抽出終了後に抽出管から金網を取り出したサンプルを洗浄し、アセトンを揮発させてから120℃乾燥器で4時間乾燥した。残留分をゲル分とし、初期の発泡性複合樹脂粒子量に対するゲル分量の重合比をキシレンに不溶なゲル量とした。
「モルフォロジー」
発泡性複合樹脂粒子中心部から観察用のサンプルを切り出した。観察用サンプルをエポキシ樹脂に包埋し、四酸化ルテニウム染色を行った後、ウルトラミクロトームにより超薄切片を作製した。この超薄切片をグリッドに載せ、発泡性複合樹脂粒子の中心部断面のモルフォロジーを倍率10000倍の透過型電子顕微鏡(日本電子社製のJEM1010)で観察し、断面写真(TEM写真)を撮影した。
断面写真から、発泡性複合樹脂粒子におけるオレフィン系樹脂の相とスチレン系樹脂の相のモルフォロジーを目視にて観察した。
オレフィン系樹脂の相とスチレン系樹脂の相とが相互に連続相(共連続相)をなすモルフォロジーの場合には、その結果を「海海」として表1に示す。また、オレフィン系樹脂が連続相をなしスチレン系樹脂が分散相をなすモルフォロジーの場合には、その結果を「海島」として表1に示す。また、オレフィン系樹脂が分散相をなしスチレン系樹脂が連続相をなすモルフォロジーの場合には、その結果を「島海」として表1に示す。
「発泡剤の保持率」
メトラートレド社製「コンパクトハロゲン水分計HB-43S」を用いて、発泡性複合樹脂粒子1gを温度195℃に加熱し、加熱前後の質量変化量を測定した。これにより、発泡剤の含有量(S0;質量%)を求めた。
なお、発泡剤の含有量=(加熱前の質量−加熱後の質量)/加熱前の質量である。
また、発泡性複合樹脂粒子を温度23℃の開放状態で24時間放置した後、前述の方法により発泡剤の含有量を測定した。これを温度23℃24時間放置後における発泡剤含有量(S1;質量%)を求めた。
次に、発泡剤含有量(So)を温度23℃24時間放置後における発泡剤含有量(S1)で除した値を百分率で表すことにより、発泡剤保持率(S1/S0×100)を求めた。
「発泡性」
発泡性複合樹脂粒子を温度23℃の開放状態で24時間放置し、発泡性複合樹脂粒子から発泡剤を散逸させた。次に、物理発泡剤を散逸させた発泡性複合樹脂粒子を加熱スチーム温度107℃で270秒加熱することにより発泡させ、その後温度23℃で24時間乾燥させた。そして、乾燥後の発泡粒子の嵩密度(g/L)を測定し、その結果を発泡性として表1に示した。なお、発泡粒子の嵩密度(g/L)は、1Lのメスシリンダーを用意し、空のメスシリンダー中に発泡粒子を1Lの標線まで充填し、1Lあたりの発泡粒子の質量(g)を測定することより求めた。
(3)複合樹脂発泡粒子の作製
次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を用いて、嵩密度約25g/Lの発泡粒子を作製した。
具体的には、まず、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を30L常圧バッチ発泡機内に入れ、この発泡機内にスチームを供給した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を嵩密度約25.0g/Lまで発泡させ、発泡倍率40倍の複合樹脂発泡粒子を得た。
なお、複合樹脂発泡粒子の嵩密度(g/L)は、上述の発泡性複合樹脂粒子の発泡性の評価と同様に、メスシリンダーを用いて測定することができる。この操作にて求められた嵩体積1Lあたりの発泡粒子の質量を複合樹脂発泡粒子の嵩密度(g/L)とした。また、発泡粒子の嵩発泡倍率は(1000/嵩密度(g/L))にて算出した。
(4)複合樹脂発泡粒子成形体の作製
上記で得られた複合樹脂発泡粒子を室温で1日間熟成した後、型物成形機(DABO(株)製DSM−0705VS)で、300mm×75mm×25mmの直方体状の成形体を成形した。得られた成形体を温度40℃で1日乾燥した後、さらに室温で1日間以上養生した。
このようにして、嵩密度約25.0g/Lの複合樹脂発泡粒子を成形し、発泡倍率40倍の複合樹脂発泡粒子成形体を得た。
なお、複合樹脂発泡粒子成形体の発泡倍率は、該成形体の質量を該成形体の体積で除することにより複合樹脂発泡粒子成形体の見掛け密度(g/L)を算出し、該見掛け密度に基づき、該成形体の発泡倍率を(1000/見掛け密度(g/L))にて算出した。
次に、複合樹脂発泡粒子成形体について、融着率(%)、最大曲げ強さ(MPa)、及び圧縮応力(MPa)を以下のようにして測定した。その結果を表1に示す。
「融着率」
まず、複合樹脂発泡粒子成形体から150mm(長さ)×75mm(幅)×25mm(厚み)の直方体状の試験片を切り出した。そして、試験片の一方の表面(長さ150mmを長辺とし、幅25mmを短辺とする長方形の面)における長さ方向中央部に、深さ2mmの切込みを、全幅を横切るように入れ、これを試験片とする。次いで、試験片の切り込みを広げる方向に、試験片が破断するまで、又は試験片の両端部が当接するまで折り曲げた。
次に、試験片の破断面を観察し、目視により内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測した。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計数に対する内部で破断した発泡粒子の割合を算出し、これを百分率で表して融着率(%)とした。尚、試験片が破断しなかった場合の融着率は100%とする。
「最大曲げ強さ」
JIS K 7221−2(2006年)に準拠して3点曲げ試験(スパン200mm)を行って、複合樹脂発泡粒子成形体(試験片)の最大の曲げ強さ(MPa)を測定した。同様の試験を5つの試験片について行い、平均して最大の曲げ強さ(MPa)を求めた。
「圧縮応力」
上記複合樹脂発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片を切出し、JIS K 7220(2006年)に準じて圧縮試験を行った。尚、圧縮歪みが10%の時の圧縮応力を10%圧縮応力、圧縮歪みが50%の時の圧縮応力を50%圧縮応力とした。
(実施例2)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン195g、メタクリル酸メチル50g、及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例3)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン135g、メタクリル酸メチル100g、及びアクリル酸ブチル25gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例4)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン90g、メタクリル酸メチル100g、及びアクリル酸メチル70gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例5)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン135g、メタクリル酸メチル100g、及びアクリル酸2−エチルヘキシル25gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例6)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン120g、メタクリル酸メチル125g、及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例7)
本例においては、オレフィン系樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレンである東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」20kgを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部断面の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図3に示す。同図において、濃い灰色部分がオレフィン系樹脂であり、薄い灰色部分がスチレン系樹脂である。
(実施例8)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとしてスチレン260gを用い、改質工程で添加する第2モノマーとしてメタクリル酸メチル100g及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。即ち、本例においては、スチレンモノマーの共重合成分であるメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルを改質工程において添加した。
本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部断面の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図4に示す。同図において、濃い灰色部分がオレフィン系樹脂であり、薄い灰色部分がスチレン系樹脂である。
(比較例1)
本例は、共重合成分としてメタクリル酸メチル成分(b1)を含有していないスチレン系樹脂を含む複合樹脂を基材樹脂とする発泡性複合樹脂粒子を作製する比較例である。以下、その製造方法について説明する。
(1)核粒子の作製
まず、オレフィン系樹脂として、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ 9P51A」15kg、酢酸ビニルを15質量%含有したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:東ソー社製「ウルトラセン626」)5kg、及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(電気化学工業(株)製「AS−XGS、重量平均分子量:10.9万、アクリロニトリル成分量:28質量%、MFR(200℃、5kgf):2.8g/10min)1kgを準備した。そして、これらを混合し、実施例1と同様にして核粒子を得た。
(2)発泡性複合樹脂粒子の作製
次に、実施例1と同様にして、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製し、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)1.5g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.05g及び核粒子150gを投入した。
次いで、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル1.675g(日油社製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.25g(日油社製「パーブチルE」)と、架橋剤としての1,1−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)シクロヘキサン(アルケマ吉富(株)製「ルペロックス331M70」)4.25gとを、分散工程で添加する重合性モノマーに溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した(分散工程)。なお、重合性モノマーとしては、スチレン335g及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた。
次いで、オートクレーブ内を窒素置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した後、撹拌速度を450rpmに下げた。30分かけて88℃から80℃まで冷却し、この重合温度80℃で5時間保持した(改質工程)。
次いで、温度120℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度120℃で5時間保持した。
その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤としてシクロヘキサン20g、及びブタン(ノルマルブタン約20体積%、イソブタン約80体積%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した(含浸工程)。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、そのまま温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。
冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加し樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径(d63)が約1.6mmの発泡性複合樹脂粒子を得た。本例で得られた発泡性複合樹脂粒子の中心部断面の透過型電子顕微鏡写真(拡大倍率10000倍)を図5に示す。同図において、濃い灰色部分がオレフィン系樹脂であり、薄い灰色部分がスチレン系樹脂である。
また、実施例1と同様にして、得られた発泡性複合樹脂粒子を篩いにかけて直径が0.7〜2.0mmの粒子を取り出し、帯電防止剤(N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン)を添加し、さらにステアリン酸亜鉛、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンジステアレートの混合物で被覆した。
(比較例2)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン70g、メタクリル酸メチル175g、及びアクリル酸ブチル15gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例3)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン160g及びメタクリル酸メチル100gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(比較例4)
本例においては、分散工程において添加する第1モノマーとして、スチレン110g、メタクリル酸メチル100g、及びアクリル酸ブチル50gの混合モノマーを用いた点を除いては、実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を作製した。
(実施例及び比較例の結果)
実施例2〜8及び比較例1〜4において作製した発泡性複合樹脂粒子について、実施例1と同様に、スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)、スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)、キシレンに不溶なゲル量(XYゲル量)、複合樹脂のモルフォロジー、発泡剤の保持率、及び発泡性を調べた。その結果を表1及び表2に示す。
また、実施例2〜8及び比較例1〜4において作製した発泡性複合樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして複合樹脂発泡粒子成形体を作製した。そして、実施例1と同様に、複合樹脂発泡粒子成形体について、融着率(%)、最大曲げ強さ(MPa)、及び圧縮応力(MPa)を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2より知られるごとく、オレフィン系樹脂(A)、スチレン系樹脂(B)、スチレン系樹脂(B)中のメタクリル酸メチル成分(b1)、及び(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の組成を調整し、スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度を特定範囲に調整することにより、発泡剤の保持性及び発泡性に優れる発泡性複合樹脂粒子が得られた。さらに、かかる発泡性複合樹脂粒子を発泡成形してなる複合樹脂発泡粒子成形体は、剛性と粘り強さ(靱性)に優れた性能を示していた。
これに対し、比較例1の発泡性複合樹脂粒子は、発泡剤の保持性が不十分であった。また、比較例1の発泡性複合樹脂粒子は、発泡性が不十分であった。そのため、比較例1の発泡性複合樹脂粒子を実施例1と同様の条件で発泡成形しても40倍まで発泡させることができなかった。
また、比較例2においては、重合時に樹脂粒子同士が凝結した。そのため、発泡性複合樹脂粒子を得ることができず、各種評価を行うことができなかった。
また、比較例3及び4は、発泡性が不十分であった。そのため、比較例3及び4の発泡性複合樹脂粒子を実施例1と同様の条件で発泡成形しても40倍まで発泡させることができなかった。なお、比較例3の発泡性複合樹脂粒子は、加圧条件下という特殊な条件下においては何とか40倍近くまで発泡させることは可能であるが、実施例1と同様の通常条件下では上述のように40倍まで発泡させることができなかった。また、比較例4の発泡性複合樹脂粒子は、スチームのみを用いた条件下では収縮が起こり、上述のごとく40倍まで発泡させることができなかった。スチームと空気とを用いた低温発泡による発泡も試みたが、発泡させることができなかった。これは、発泡に時間がかかり過ぎて、発泡工程中に発泡性複合樹脂粒子から発泡剤が散逸したためであると考えられる。
1 発泡性複合樹脂粒子
10 複合樹脂
2 オレフィン系樹脂
3 スチレン系樹脂

Claims (6)

  1. 20〜40質量%のオレフィン系樹脂(A)と60〜80質量%のスチレン系樹脂(B)とを含む複合樹脂(ただし、オレフィン系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)との合計が100質量%である。)を基材樹脂とし、炭素数3〜6の飽和炭化水素化合物を発泡剤とする発泡性複合樹脂粒子において、
    上記スチレン系樹脂(B)には、共重合成分として、メタクリル酸メチル成分(b1)と、メタクリル酸の炭素数2〜10のアルキルエステル成分及びアクリル酸の炭素数1〜10のアルキルエステル成分から選択される1以上の(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)とが含まれており、
    上記スチレン系樹脂(B)100質量%における、上記メタクリル酸メチル成分(b1)の含有量が10〜40質量%、上記(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)の含有量が2質量%以上であり、
    上記スチレン系樹脂(B)のガラス転移温度が85〜100℃であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  2. 請求項1記載の発泡性複合樹脂粒子において、上記複合樹脂は、上記オレフィン系樹脂(A)と上記スチレン系樹脂(B)とが共連続相をなすモルフォロジーを示すか、または上記オレフィン系樹脂(A)が分散相をなし上記スチレン系樹脂(B)が連続相をなすモルフォロジーを示すことを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の発泡性複合樹脂粒子において、上記(メタ)アクリル酸エステル成分(b2)がアクリル酸ブチル成分であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子において、上記スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量が15×104〜30×104であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子において、キシレンに不溶なゲル量が30質量%以下(0質量%を含む)であることを特徴とする発泡性複合樹脂粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性複合樹脂粒子を加熱発泡して得られる複合樹脂発泡粒子を型内成形してなり、見掛け密度が10〜200g/Lである複合樹脂発泡粒子成形体。
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