図1は実施例における画像形成装置の概略側断面図である。
図1(a)において、画像形成装置100は、上位装置から受信した印刷ジョブ(印刷データ)に応じて媒体に現像剤画像としてのトナー画像を形成して印刷を行うものであり、例えば電子写真方式のプリンタである。なお、画像形成装置100は、複数色のトナーの画像を形成するカラープリンタであっても良く、また単色のトナーの画像を形成するモノクロプリンタであっても良い。
画像形成装置100は、装置本体1と、画像形成部2と、排紙部3と、媒体搬送経路4と、手差しトレイ5と、通常トレイ6と、オプションカセット7と、オプショントレイ8と、操作表示部9とを有している。本実施例では、通常トレイ6およびオプショントレイ8を第1のトレイ、手差しトレイ5を第2のトレイとしている。
装置本体1は、画像形成装置100の本体であり、画像形成部2、媒体搬送経路4、および通常トレイ6を収容し、オプションカセット7およびオプショントレイ8を付加的に設けることができるものである。また、装置本体1には、排紙部3、手差しトレイ5、および操作表示部9が設けられている。
画像形成部2は、搬送される印刷媒体に画像形成を行うものである。本実施例の画像形成部2は、媒体搬送経路4に配置された転写ベルトに対向配置され、内部に備えられた感光ドラムの表面にトナー画像を形成する。感光ドラムは、対向配置された露光手段としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッドによって選択的に露光されて静電潜像が形成され、現像材収容部としてのトナーカートリッジに収容された各色のトナーによって静電潜像が現像されてトナー画像が形成される。感光ドラムに形成されたトナー画像は、転写ベルトによって媒体としての印刷媒体に転写される。
なお、印刷媒体に転写されたトナーは、定着器により加熱および加圧されて印刷媒体に定着される。
排紙部3は、装置本体1の上部に設けられたものであり、トナーが定着された印刷媒体を集積するものである。ユーザは印刷されて排紙部3に集積された印刷媒体を取り出すことができるようになっている。
媒体搬送経路4は、手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8と排紙部3とを結ぶ経路であり、手差しトレイ5、通常トレイ6、またはオプショントレイ8から送り出された印刷媒体が、搬送ローラにより図中矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送されるものである。
手差しトレイ5は、装置本体1の前面側(ユーザの操作面側)に設けられ、装置本体1に対して開閉可能に回動し、画像形成部2へ搬送される印刷媒体を載置する媒体載置部を有する媒体トレイである。図1(b)に示すように、装置本体1に対して開状態(以下、「オープン状態」という。)の手差しトレイ5の媒体載置部に載置された印刷媒体Pは、直接、媒体搬送経路4および画像形成部2へ送られる。なお、手差しトレイ5が閉状態(以下、「クローズ状態」という。)では媒体載置部に印刷媒体を載置することはできない。
通常トレイ6は、装置本体1に設けられ、内部に、画像形成部2へ搬送される印刷媒体を載置して収容するものであり、装置本体1に対して引き出し可能に構成された媒体トレイである。通常トレイ6は、図1(a)に示すように、装置本体1に対して収納された状態(以下、「クローズ状態」という。)では、印刷媒体を直接、媒体搬送経路4および画像形成部2へ送り出せるようになっており、また、図1(b)に示すように、装置本体1に対して前面側に引き出された状態(以下、「オープン状態」という。)では、印刷媒体Pを媒体搬送経路4および画像形成部2へ送り出せないが、印刷媒体Pを補充することができるようになっている。
オプションカセット7は、装置本体1に設けられたものであり、装置本体1に対して着脱可能に構成され、オプションとして装置本体1に追加装着することができるものである。
オプショントレイ8は、オプションカセット7内に設けられ、内部に、画像形成部2へ搬送される印刷媒体を載置して収容する媒体トレイであり、オプションカセット7に対して引き出し可能に構成されたものである。オプショントレイ8は、図1(a)に示すように、オプションカセット7に対して収納された状態(以下、「クローズ状態」という。)では、印刷媒体を、クローズ状態の通常トレイ6を通過させて媒体搬送経路4および画像形成部2へ送り出せるようになっており、また、図1(b)に示すように、オプションカセット7に対して前面側に引き出された状態(以下、「オープン状態」という。)では、印刷媒体Pを媒体搬送経路4および画像形成部2へ送り出せないが、印刷媒体Pを補充することができるようになっている。
なお、手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8から送り出された印刷媒体と媒体搬送経路4の関係は後述する。
操作表示部9は、装置本体1の前面等に設けられたタッチパネルおよび操作キー等からなる操作パネルであり、ユーザの入力操作を受け付ける操作部と、各種情報を表示する表示部とを有するものである。
画像形成装置100は、ホストコンピュータ等の外部装置等から印刷を指示する印刷ジョブを受け、その印刷ジョブで指示された手差しトレイ5、通常トレイ6、またはオプショントレイ8から印刷媒体を媒体搬送経路4へ送り出して画像形成部2において印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいてトナー画像を印刷媒体に形成し、その印刷媒体を排紙部3へ排出する印刷動作を行う。
図2は実施例における画像形成装置の媒体トレイと媒体搬送経路の説明図である。
図2を用いて手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8から送り出された印刷媒体と一点鎖線で表した媒体搬送経路4の関係を説明する。
図2に示す本実施例の画像形成装置100は、通常トレイ6およびオプショントレイ8の前方(ユーザ操作面方向)から印刷媒体を給紙し、また手差しトレイ5の後方(画像形成部2の方向)から印刷媒体を給紙する前方給紙装置として説明する。なお、画像形成装置100は、通常トレイ6およびオプショントレイ8の後方(ユーザ操作面の反対方向)から印刷媒体を給紙する後方給紙装置であっても良い。
図2(a)は手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8のすべてがクローズ状態の場合を示している。この場合、通常トレイ6およびオプショントレイ8からの印刷媒体は正常に媒体搬送経路4へ搬送される。
図2(b)は手差しトレイ5およびオプショントレイ8がクローズ状態、通常トレイ6がオープン状態の場合を示している。この場合、給紙元トレイであるオプショントレイ8からの印刷媒体は、媒体搬送方向におけるオプショントレイ8の下流に配置されたオープン状態の通常トレイ6により媒体搬送経路4へ搬送が阻害される。
図2(c)はオプショントレイ8がクローズ状態、手差しトレイ5および通常トレイ6がオープン状態の場合を示している。この場合、手差しトレイ5からの印刷媒体はオープン状態の通常トレイ6やオプショントレイ8により搬送が阻害されることなく媒体搬送経路4へ搬送される。即ち、手差しトレイ5と画像形成部2とは、通常トレイ6やオプショントレイ8を経由することなく媒体搬送経路4で接続されている。
したがって、手差しトレイ5からの印刷媒体の給紙中に通常トレイ6およびオプショントレイ8をオープン状態にしても手差しトレイ5からの印刷媒体の媒体搬送経路4へ搬送は可能である。
図2(d)は手差しトレイ5および通常トレイ6がクローズ状態、オプショントレイ8がオープン状態の場合を示している。この場合、通常トレイ6からの印刷媒体は、媒体搬送方向における通常トレイ6の上流にオプショントレイ8が配置されているため、オープン状態のオプショントレイ8により搬送が阻害されることなく媒体搬送経路4へ搬送される。
したがって、通常トレイ6からの印刷媒体の給紙中にオプショントレイ8をオープン状態にしても通常トレイ6からの印刷媒体の媒体搬送経路4へ搬送は可能である。
図3は実施例における媒体トレイ切替制御部の構成を示すブロック図である。
図3において、図1に示す画像形成装置100の媒体トレイ(手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8)から媒体搬送経路4および画像形成部2に印刷媒体を送り出す搬送制御部としての媒体トレイ切替制御部10は、印刷媒体を送り出す媒体トレイ(手差しトレイ5、通常トレイ6、およびオプショントレイ8)を切り替え、装置本体に設けられた第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)または第2のトレイ(手差しトレイ5)から印刷媒体を用紙設定情報に基づいて画像形成部2へ搬送する制御を行うものである。
この媒体トレイ切替制御部10は、ユーザ紙補充要求認知部11と、競合判定部12と、手差しトレイ切替部13とを有している。
なお、図1に示す画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部を備え、その制御部がメモリ等の記憶手段に格納された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて画像形成部2や媒体トレイ切替制御部10等を含め画像形成装置100全体の動作を制御する。本実施例では、媒体トレイ切替制御部10を中心に説明する。
ユーザ紙補充要求認知部11は、ユーザの印刷媒体の補充を要求(指示)する入力操作および印刷媒体を補充する媒体トレイを選択する入力操作を認知し、競合判定部12にその情報を伝えるものである。なお、ユーザの入力操作は、操作表示部9で行われるものとするが、近距離無線通信等の他の形態であっても良い。また、選択される補充対象の媒体トレイは単数であっても複数であっても良い。
競合判定部12は、ユーザ紙補充要求認知部11で認知され、印刷媒体の紙補充対象の媒体トレイをオープン状態にした場合に、媒体搬送経路が阻害され、印刷媒体の詰り(ジャム)が生じるか否かを判定するものであり、印刷実行中判定部121と、搬送経路競合判定部122とを有するものある。
印刷実行中判定部121は、現在、印刷動作中であるか否かを判定するものである。
ここで、印刷動作中である判定された場合は搬送経路競合判定部122において更なる判定を行い、印刷動作中ではないと判定された場合は操作表示部9より紙補充動作指示を行う。
なお、印刷実行中判定部121は、印刷ジョブによる印刷データが残っている状態であり、かつエラー等により印刷動作が停止していない状態である場合に、印刷動作中と判定する。
搬送経路競合判定部122は、印刷実行中判定部121により印刷動作中と判定され、補充対象の媒体トレイをオープン状態にした場合、媒体搬送経路が阻害されるか否かを判定するものである。
搬送経路競合判定部122は、媒体搬送経路が阻害されると判定した場合、手差しトレイ切替部13による処理の実行を指示し、媒体搬送経路が阻害されないと判定した場合、操作表示部9によりユーザに対する印刷媒体の補充動作指示の表示を行う。
手差しトレイ切替部13は、印刷実行中判定部121で印刷動作中と判定され、かつ搬送経路競合判定部122で媒体搬送経路が阻害されると判定された場合、印刷媒体を図1に示す手差しトレイ5から媒体搬送経路4へ送り出すように制御するものであり、手差しトレイ設定部131と、印刷実行継承部132と、紙補充操作終了受信部133とを有するものである。
手差しトレイ設定部131は、図1に示す手差しトレイ5から印刷媒体を媒体搬送経路4へ送り出して印刷を可能とするように、一時的に現在の給紙トレイ(給紙を行う媒体トレイ)の用紙設定情報(印刷媒体の大きさ、種類、厚さ等の印刷媒体に関する媒体設定情報)を手差しトレイ5に設定するものである。また、図1に示す手差しトレイ5に印刷媒体がセットされたか否かを判断する。
印刷実行継承部132は、手差しトレイ設定部131により図1に示す手差しトレイ5からの印刷準備が可能となると、印刷ジョブで指定された給紙先である媒体トレイを手差しトレイ5へと切り替え、印刷を継続して行うものである
紙補充操作終了受信部133は、手差しトレイからの印刷実行中に、補充対象の媒体トレイへの印刷媒体の補充が完了したか否かを判断するものである。本実施例では、補充対象の媒体トレイがオープン状態からクローズ状態に遷移したかによる判断、または媒体トレイ自体にセンサがある場合、そのセンサの出力情報を用いて補充対象の媒体トレイへの印刷媒体の補充が完了したか否かを判断する。
操作表示部9は、図1において説明したものであり、ユーザの入力操作を受け付け、またユーザに対して印刷媒体の補充動作を誘導する画面を表示するものである。
このように構成された媒体トレイ切替制御部10は、複数の第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)のうち、印刷媒体を給紙する給紙元トレイから該印刷媒体の搬送中であって、操作表示部9においてユーザの操作により選択され、印刷媒体を補充する補充先トレイが、媒体搬送方向における給紙元トレイの上流に設けられていない場合、印刷媒体を給紙する給紙元トレイを第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)から第2のトレイ(手差しトレイ5)に切り替える制御を行う。
上述した構成の作用について説明する。
まず、画像形成装置が行う印刷処理(印刷動作)の概略を、図1を参照しながら説明する。なお、印刷処理は、画像形成装置100の制御部によりメモリ等に記憶された印刷処理プログラムに基づいて行われる。
画像形成装置100の制御部は、通信回線を介して外部装置から印刷命令としての印刷ジョブを受信する。印刷ジョブを受信した制御部は、図3に示す媒体トレイ切替制御部10を制御し、印刷ジョブで指定された媒体トレイ(手差しトレイ5、通常トレイ6、またはオプショントレイ8)に収容されている印刷媒体Pをホッピングローラで1枚ずつ分離して給紙し、媒体搬送経路4へ搬送して、さらに画像形成タイミングに合わせて画像形成部2へ搬送する。
このとき、制御部は、画像形成部2により、トナー画像を形成する。また、制御部は、媒体搬送経路4の搬送ローラおよび画像形成部2を制御し、所定の印刷速度で印刷媒体Pを搬送する。
画像形成部2は、感光体ドラムを回転させ、帯電ローラで感光体ドラムの表面を一様に帯電させる。その後、画像形成部2は、LEDヘッドにより、帯電された感光体ドラムの表面を印刷ジョブに含まれる印刷データに応じて選択的に露光し、静電潜像を形成した後、現像ローラにより、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
画像形成部2は、転写ローラの転写電圧等を制御して感光体ドラムの表面に現像されたトナー画像を図1中の矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送される印刷媒体Pに転写する。
トナー画像が転写された印刷媒体Pは、媒体搬送方向に搬送され、定着器へ搬送される。
制御部は、定着器を制御し、熱と圧力で印刷媒体Pに転写されたトナーを定着させる。
その後、制御部は、排出ローラを制御して印刷媒体Pを媒体搬送方向へ搬送し、媒体搬送経路4から装置外の排紙部3へ排出して本印刷処理を終了する。
制御部は、受信した印刷ジョブの印刷データが終了するまで上述した印刷処理を繰り返し、1枚または複数枚の印刷媒体Pに対する印刷を行う。
次に、上述した印刷中に媒体トレイに印刷媒体を補充する場合に媒体トレイ切替制御部が行う媒体補充処理を図4の実施例における媒体補充処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って図1~図3、および図6~図8を参照しながら説明する。
ここで、図7および図8は実施例における動作の説明図であり、図7は印刷媒体の補充対象の媒体トレイが給紙中の媒体トレイの媒体搬送経路4を阻害(以下、「競合」という。)する場合を示し、図8は競合しない場合における動作の一例を示している。
この競合または不競合は印刷媒体の補充対象の媒体トレイと、給紙中の媒体トレイの媒体搬送経路4との組み合わせに依存し、その組み合わせについては前述した図2の通りである。また、競合する何れの媒体トレイの組み合わせにおいても同様の動作を行い、不競合な場合についても同様である。
また、図6は実施例における表示画面の説明図であり、操作表示部9に表示されるユーザへの指示画面の例を表している。なお、本実施例では、タッチパネルによる表示例を示しているが他の形態であっても良い。
まず、ユーザが印刷媒体(紙)の媒体トレイへの補充を所望する場合、画像形成装置100の制御部は、例えば図6(a)に示す画面を操作表示部9に表示し、操作表示部9の入力操作等の受け付けを行い、更に、例えば図6(b)に示す画面を操作表示部9に表示し、補充対象の媒体トレイの選択操作を受け付けるものとする。なお、図6(b)に示す画面のトレイ1が通常トレイ6、トレイ2がオプショントレイ8に対応するものとする。
S1:媒体トレイ切替制御部10のユーザ紙補充要求認知部11は、ユーザの印刷媒体の補充を要求(指示)する入力操作を認知し、競合判定部12にその情報を伝える。
競合判定部12の印刷実行中判定部121は、画像形成装置100が印刷中(印刷ジョブによる印刷データが残っている状態であり、かつエラー等により印刷動作が停止していない状態)であるか否かを判定し、印刷中であると判定すると処理をS3へ移行し、印刷中でないと判定すると処理をS2へ移行する。
S2:印刷実行中判定部121は、ユーザに対して印刷媒体の補充対象の媒体トレイをそのままオープンし補充しても問題ない旨を伝える画面を操作表示部9に表示する。なお、ユーザによる印刷媒体の補充が完了すると本処理を終了する。
S3:一方、印刷実行中判定部121が印刷中であると判定すると、搬送経路競合判定部122は、ユーザが選択した補充対象の媒体トレイの情報を取得する。
S4:搬送経路競合判定部122は、ユーザが選択した補充対象の媒体トレイと、印刷中の印刷ジョブの給紙先の媒体トレイからの媒体搬送経路4とが競合するか否かを判定し、競合すると判定すると処理をS5へ移行し、競合しないと判定すると処理をS2へ移行する。
ここで、補充対象の媒体トレイをオープン状態にしても媒体搬送経路4が阻害されない場合、搬送経路競合判定部122は、ユーザに印刷媒体の補充対象の媒体トレイをそのままオープンし補充しても問題ないとの旨を伝える画面を操作表示部9に表示する。なお、ユーザによる印刷媒体の補充が完了すると本処理を終了する。
したがって、印刷媒体を補充している状態でも媒体搬送経路4が阻害されない場合、印刷動作は、現在給紙中の媒体トレイから印刷媒体を媒体搬送経路4へ送り出し、継続して行われることとなる。
S5:一方、媒体搬送経路4が阻害される場合、搬送経路競合判定部122は、手差しトレイ切替部13に対し印刷媒体を手差しトレイ5から媒体搬送経路4へ送り出す手差しトレイ退避動作を指示する。
手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ退避動作の指示を受けると、手差しトレイ退避動作の説明画面を操作表示部9に表示する手差しトレイ退避処理を行う。
ここで、手差しトレイ切替部13が行う手差しトレイ退避処理を図5の実施例における手差しトレイ退避処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って図1~図3、および図6を参照しながら説明する。
S101:手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ退避への準備として、手差しトレイ5をオープン状態にする指示として例えば図6(c)に示す画面を操作表示部9に表示する。
S102:手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ5がオープン状態になったか否かを判定し、オープン状態になったと判定すると処理をS103へ移行し、オープン状態になっていないと判定すると処理をS101へ移行する。
S103:手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ5がオープン状態になったと判定すると、現在給紙している印刷媒体と同じ用紙サイズの印刷媒体を手差しトレイ5にセットすることを指示する画面、例えば図6(d)に示す画面を操作表示部9に表示する。
S104:手差しトレイ切替部13は、給紙する媒体トレイの用紙設定情報を手差しトレイ5に設定し、手差しトレイ5の用紙設定情報に引き継ぐ(用紙設定継承)。
S105:手差しトレイ切替部13は、印刷媒体が手差しトレイ5にセットされたか否かを判定し、セットされたと判定すると処理をS106へ移行し、まだセットされていないと判定すると処理をS103へ移行する。なお、手差しトレイ5に対する印刷媒体のセットが終わると手差しトレイ5からの印刷準備完了となる。
S106:手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ5からの印刷準備が完了すると、手差しトレイ5から印刷媒体を給紙しての印刷を開始し、印刷ジョブによる印刷を継続して行う。
このとき、手差しトレイ5以外の媒体トレイ(通常トレイ6およびオプショントレイ8)は、手差しトレイ5から給紙される印刷媒体が搬送される媒体搬送経路4と競合しないため、自由にオープン状態とすることができ印刷媒体の補充が可能となる。
このように、媒体トレイ切替制御部10は、複数の第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)のうち、印刷媒体を給紙する給紙元トレイから該印刷媒体の搬送中であって、操作表示部9においてユーザの操作により選択され、印刷媒体を補充する補充先トレイが、媒体搬送方向における給紙元トレイの上流に設けられていない場合、印刷媒体を給紙する給紙元トレイを第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)から第2のトレイ(手差しトレイ5)に切り替える制御を行う。
S107:手差しトレイ切替部13は、印刷媒体を選択された媒体トレイX(図4のS1において認知(選択)された媒体トレイ)に補充することを指示する画面、例えば図6(e)に示す画面を操作表示部9に表示する。
S108:手差しトレイ切替部13は、印刷媒体が選択された媒体トレイに補充されたか否かを判定し、補充されたと判定すると処理をS109へ移行し、まだ補充されていないと判定すると処理をS107へ移行する。
S109:手差しトレイ切替部13は、印刷媒体の補充対象の媒体トレイへの印刷媒体補充が完了し、媒体トレイがクローズ状態になったことを検知すると、給紙する媒体トレイの用紙設定情報を手差しトレイ5から再び元の媒体トレイに設定する。これにより、手差しトレイ5へ一時退避していた印刷ジョブの給紙先は、再び元の媒体トレイへと戻ることとなる。
手差しトレイ切替部13は、元の媒体トレイからの印刷準備が完了すると、元の媒体トレイからの印刷を開始し、印刷ジョブによる印刷を継続して行い、本処理を終了する。
例えば、図7に示すように、印刷媒体の補充対象の通常トレイ6が給紙中の通常トレイ6の媒体搬送経路4と競合する場合、図4のS1において、ユーザ紙補充要求認知部11は、ユーザの印刷媒体の補充を要求(指示)する入力操作を認知し、競合判定部12にその情報を伝える。
ここでは、図7(a)に示すように、通常トレイ6から印刷媒体を給紙している状態で通常トレイ6に印刷媒体を補充する要求をユーザ紙補充要求認知部11が認知するものとする。
このとき、図4のS4において、搬送経路競合判定部122は、媒体を補充する補充先トレイ(通常トレイ6)が、媒体搬送方向における給紙元トレイ(通常トレイ6)の上流に設けられていない場合、ユーザが選択した補充対象の媒体トレイと、印刷中の印刷ジョブの給紙先の媒体トレイからの媒体搬送経路4とが競合すると判定する。
次に、図7(b)に示すように、手差しトレイ5がオープン状態になると、図5のS101~S104において、手差しトレイ切替部13は、給紙する媒体トレイの用紙設定情報を手差しトレイ5に設定する。
図7(c)に示すように、図5のS105において、手差しトレイ5に対する印刷媒体のセットが終わると手差しトレイ5からの印刷準備完了となる。
図7(d)に示すように、図5のS106において、手差しトレイ切替部13は、手差しトレイ5から印刷媒体PAの給紙を開始し、印刷ジョブによる印刷を継続して行う。
このとき、通常トレイ6への印刷媒体PBの補充が可能となる。
図7(e)に示すように、図5のS107~S109において、通常トレイ6への印刷媒体PBの補充が完了すると、手差しトレイ切替部13は、給紙する媒体トレイの用紙設定情報を手差しトレイ5から再び元の通常トレイ6に設定する。これにより、手差しトレイ5へ一時退避していた印刷ジョブの給紙先は、再び元の通常トレイ6へと戻ることとなる。
手差しトレイ切替部13は、元の通常トレイ6からの印刷準備が完了すると、元の通常トレイ6からの印刷を開始し、印刷ジョブによる印刷を継続して行う。
このように、印刷中であっても印刷媒体の補充が可能となる。そのため“印刷媒体が切れそうなので印刷媒体を補充したい”、“次印刷ジョブに速やかに移行できるようために予め印刷媒体を補充したい”など従来では印刷ジョブを止めなければ印刷媒体を補充できなかったが、印刷ジョブの手差しトレイ5への一時退避を用いることで印刷中であっても印刷媒体の補充が可能となる。
また、本実施例では、手差しトレイ5への退避が必要な場合のみ一時退避するとしている。一時退避が必要となる印刷媒体補充対象トレイと現給紙トレイからの媒体搬送経路4とが競合する場合のみ実施することで、ユーザに対して無駄な労力をかけずに迅速な印刷媒体補充を実現できる。
なお、一時退避が不要となる例としては、印刷媒体補充対象トレイをオープンしても現給紙トレイからの媒体搬送経路4が阻害されない場合が挙げられる。
さらに、操作について操作表示部14から手順が提供されることから不用意な操作による印刷媒体ジャムといったエラーを低減することができる。
また、図8に示すように、印刷媒体の補充対象の通常トレイ6が給紙中の通常トレイ6の媒体搬送経路4と競合しない場合、図4のS1において、ユーザ紙補充要求認知部11は、ユーザの印刷媒体の補充を要求(指示)する入力操作を認知し、競合判定部12にその情報を伝える。
ここでは、図8(a)に示すように、通常トレイ6から印刷媒体を給紙している状態でオプショントレイ8に印刷媒体を補充する要求をユーザ紙補充要求認知部11が認知するものとする。
このとき、図4のS4において、搬送経路競合判定部122は、図8(b)に示すように、媒体を補充する補充先トレイ(オプショントレイ8)が、媒体搬送方向における給紙元トレイ(通常トレイ6)の上流に設けられている場合、ユーザが選択した補充対象の媒体トレイと、印刷中の印刷ジョブの給紙先の媒体トレイからの媒体搬送経路4とが競合しないと判定する。
図8(c)に示すように、ユーザが選択した補充対象の媒体トレイと、印刷中の印刷ジョブの給紙先の媒体トレイからの媒体搬送経路4とが競合しないため、図4のS2において、印刷実行中判定部121は、ユーザに対して印刷媒体の補充対象の媒体トレイをそのままオープンし補充しても問題ない旨を伝える画面を操作表示部9に表示する。
このように、媒体トレイ切替制御部10は、複数の第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)のうち、印刷媒体を給紙する給紙元トレイから該印刷媒体の搬送中であって、操作表示部9においてユーザの操作により選択され、印刷媒体を補充する補充先トレイが、媒体搬送方向における給紙元トレイの上流に設けられている場合、印刷媒体を給紙する給紙元トレイを第1のトレイ(通常トレイ6、オプショントレイ8)から第2のトレイ(手差しトレイ5)に切り替えることなく、印刷媒体を補充先トレイに補充可能である旨を操作表示部9に表示する。
この場合、図8(d)に示すように、画像形成装置100は、印刷動作を継続しながらオプショントレイ8をオープン状態とすることを可能とし、オプショントレイ8への印刷媒体PBの補充を可能とする。
このように、印刷媒体の補充対象の通常トレイ6が給紙中の通常トレイ6の媒体搬送経路4と競合しない場合、図8(e)に示すように、通常トレイ6からの給紙を中断することなく、オプショントレイ8への印刷媒体PBの補充を行うことができる。
本実施例では、複数の第1のトレイ(通常トレイ6またはオプショントレイ8)のうち、印刷媒体を給紙する給紙元トレイから該印刷媒体の搬送中であって、操作表示部14においてユーザの操作により選択され、印刷媒体を補充する補充先トレイが、媒体搬送方向における給紙元トレイの上流に設けられていない場合、印刷媒体を給紙する給紙元トレイを第1のトレイから第2のトレイ(手差しトレイ5)に切り替えるようにしたことにより、印刷中であっても補充先トレイに媒体を補充することができる。
また、ユーザの行動自体が印刷媒体の補充動作の契機となるのでユーザの都合の良いタイミングで印刷媒体を補充することができる。
そのため印刷中であっても“念のための印刷媒体補充”、“紙切れが起こらないよう予め印刷媒体を補充する”が可能となる。
このような印刷中であっても予め印刷媒体を補充できるような構成を構築することで印刷媒体切れ自体の頻度を下げることができる。
したがって、印刷媒体切れが原因の印刷中断とそれに起因する時間的ロスをなくすことができる。
なお、本実施例では、前方給紙装置を用いて説明したが、後方給紙装置であっても良い。また、印刷媒体の補充対象トレイが複数の場合であっても良い。その場合、印刷媒体の補充完了判定の条件がその対象のトレイ分増えることとなる。
以上説明したように、本実施例では、印刷中であっても補充先トレイに媒体を補充することができるという効果が得られる。
なお、本実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。