以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
1.測色システム
図1は、本実施形態の測色システム10の構成例を示す図である。測色システム10は、測色部12、受け付け部14、判断部16、制御部18を含む。また測色システム10は、表示処理部19を含むことができる。
測色部12は測色を行う。例えば測色部12は印刷媒体に印刷等されたターゲット色の測色を行い、測色結果である測色値を出力する。測色部12は測色センサー等により実現できる。測色センサーは例えば分光センサーを用いることができる。例えば測色センサーは、ウェハーレベルのプロセスで一括生産が可能なMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等による分光センサーを用いることができる。分光センサーは例えば反射分光スペクトルを測定するセンサーである。具体的には分光センサーは、例えばLED等により実現される光源と、光源からの光の測定面での反射光が入力されて波長の選択、切り替えを行う光学フィルターと、光学フィルターを通過した反射光の光量を測定する受光デバイスなどにより実現できる。光学フィルターは、二つの対向する反射面の多重干渉を利用した波長フィルターであるエタロンなどを用いることができる。分光センサーにより、反射光の各波長における反射光の光量を測定する反射分光スペクトルの測定を行うことで、ターゲット色の測色が実現される。なお測色部12を実現する測色センサーは、このような分光センサーには限定されず、例えばイメージセンサーなどにより測色センサーを実現してもよい。また測色部12は、反射光を測色するだけではなく、透過光を測色するものを採用してもよい。
受け付け部14は、複数の色を含む色グループの指定を受け付ける処理を行う。例えば測定対象において複数の色の測色が必要である場合に、受け付け部14は、これらの複数の色を含む色グループの指定を受け付ける。色グループとしては、例えばスポット測色における色グループやライン測色における色グループなどがある。例えば検品等が行われる測定対象には、複数の色が印刷等されていて、これらの色が希望の色と一致しているのかを、検品において確認をする。その際、受け付け部14は、この測色の対象となる色を含む色グループの指定を受け付ける。この指定された色グループがユーザーの測色対象として関連づけられて、測色システム10の図示しない記憶部に保存されて登録される。なお、測色システム10は、測色部12を用いて、この測定対象の複数の色の測色を行い、指定されていた色グループに含まれる色と比較して一致か不一致かの判断を行うことになる。
判断部16は、測色部12が測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを判断する処理を行う。例えば判断部16は、第1~第nの色(nは2以上の整数)について、測色した色と、比較対象の色とを比較して、一致するかどうかを判断する。測色した色と比較対象の色が一致するとは、色の一致の許容条件を満足することである。許容条件は様々に設定することができる。例えば判断部16は、測色した色と比較対象の色の色差が、所与の値よりも小さい場合に、測色した色と比較対象の色が一致したと判断する。なお許容条件は、色差についての他の条件や環境光源についての条件であってもよいし、色成分ごとの条件であったり、反射分光スペクトルの条件であってもよい。また、これらの条件の組み合わせが許容条件であってもよい。
そして制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進める処理を行う。本実施形態における測色工程とは、後述の図2~図4の測色器30が測色を行い、測色した色と比較対象の色とが一致するか不一致かを判断するまでをいう。次の色の測色を行う測色工程に自動的に進めるとは、測色システム10を実現するコンピューターが次の色の測色工程を開始できる状態に進めることである。例えば第1~第nの色のうちの第kの色(1≦k≦n)について、測色した色と比較対象の色とが、判断部16により一致したと判断されたとする。この場合に制御部18は、第kの色の次の第k+1の色の測色を行う測色工程に自動的に進める制御を行う。例えば測色の色番号がkの場合に第kの色の測色が行われるとする。このとき制御部18は、第kの色について測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、測色の色番号をkからk+1に更新することで、次の第k+1の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、測色部12により次の第k+1の色の測色が行われる。
また制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、現在の色の測色を行う測色工程を自動的に継続する処理を行う。測色工程を自動的に継続するとは、測色システム10を実現するコンピューターが当該測色工程を継続させることである。例えば第1~第nの色のうちの第kの色について、測色した色と比較対象の色とが、判断部16により一致しないと判断されたとする。この場合に制御部18は、現在の色である第kの色の測色を行う測色工程を継続する制御を行う。例えば測色の色番号がkの場合に第kの色の測色が行われるものとする。このとき制御部18は、第kの色について、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、測色の色番号をkから更新せずに、kに維持する。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、測色部12により現在の第kの色の測色が再度行われる。
また制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断されて、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された状態で、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われなかった場合には、現在の色を測色する測色工程を継続し、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば制御部18は、判断部16によって測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合には、例えばユーザーにより次の色の測色工程に進める操作が行われたか否かを判断する。例えば制御部18は、測色の色番号のインクリメントを指示する操作が行われたか否かを判断する。そして制御部18は、次の色の測色工程に進める操作が行われなかった場合、即ち測色の色番号のインクリメントを指示する操作が行われなかった場合には、現在の色を測色する測色工程を継続する。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、測色部12により現在の色の測色が再度行われる。一方、制御部18は、次の色の測色工程に進める操作が行われた場合、即ち測色の色番号のインクリメントを指示する操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進める。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、測色部12により次の色の測色が行われる。
また制御部18は、色グループの最後の比較対象の色が測色した色と一致したと判断された場合に、色グループの最初の比較対象の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。色グループの最初の比較対象の色の測色工程に自動的に進めるとは、コンピューターが最初の色の測色工程を開始できる状態に進めることである。例えば制御部18は、最後の色である第nの色について、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、最初の色である第1の色の測色を行う測色工程に進める。例えば測色の色番号を、nから1に戻すことで、第1の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、測色部12により色グループの最初の色である第1の色の測色が行われる。この場合には、次の測定対象について第1の色の測色が行われることになる。
また制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数繰り返しても、比較対象の色に一致しないと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。色グループの次の色の測色工程に自動的に進めるとは、コンピューターが次の色の測色工程を開始できる状態に進めることである。例えば制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致しなかった場合に、カウント値を初期値である例えば1にセットして、カウント処理を開始する。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、現在の色の測色が再度行われ、制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致するかを判断する。そして、このときにも、測色した色と比較対象の色が一致しないと判断された場合には、制御部18は、カウント値をインクリメントする。このようにして、現在の色の測色を所定回数繰り返して、カウント値が所定回数に達しても、比較対象の色に一致しなかった場合に、制御部18は、色グループの次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば現在の色が第kの色である場合には、制御部18は次の第k+1の色の測色を行う測色工程に進める。
また制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数繰り返しても、比較対象の色に一致しないと判断された場合に、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。色グループの最初の色の測色工程に自動的に進めるとは、コンピューターが最初の色の測色工程に進めることである。例えば制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致しなかった場合に、カウント値を初期値である例えば1にセットして、カウント処理を開始する。そして例えばユーザーにより測色を指示する操作が行われると、現在の色の測色が再度行われ、制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致するかを判断する。そして、このときにも、測色した色と比較対象の色が一致しないと判断された場合には、制御部18は、カウント値をインクリメントする。このようにして、現在の色の測色を所定回数繰り返して、カウント値が所定回数に達しても、比較対象の色に一致しなかった場合に、制御部18は、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に進める。例えば現在の色が第kの色である場合に、制御部18は最初の色である第1の色の測色を行う測色工程に進める。
また色グループには、色毎に或いは色グループ全体として、色の一致の許容条件が設定されていてもよい。この場合、判断部16は、色グループに設定されている許容条件に基づいて、測色した色と比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。例えば色グループに対して、色の一致の許容条件が関連づけられて登録される。そして判断部16は、測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを、その色グループに設定された許容条件に基づいて判断する。
また測色システム10は表示処理部19を含み、表示処理部19は、次に測色する色の比較対象の色の識別情報及び次に測色する色の比較対象の色の概要の色の少なくとも一方を表示させる表示処理を行う。なお本実施形態では、次に測色する色の比較対象の色を、適宜、次に測色する色と記載する。次に測色する色の識別情報は、次に測色する色をユーザーに識別させるための情報である。次に測色する色の識別情報としては、例えば次に測色する色を識別するための第1マーカーや、次に測色する色の番号情報などがある。第1マーカーは、次に測色する色を、後述する画面などに表示する際にユーザーに視覚的に識別させるためのマーカーである。ユーザーは、例えばこの第1マーカーを見ることで、次に測色する色がどの色であるかを識別できる。次に測色する色の番号情報は、次に測色する色についての色グループにおける番号の情報である。ユーザーは、この番号情報を見ることで、次に測色する色が色グループにおける何番目の色なのかを識別できる。また次に測色する色の概要の色は、例えば次に測色する色がどのような概要の色なのかをユーザーに認識させるものであり、例えば次に測色する色をRGB値などで表現した色である。
また表示処理部19は、今回に測色した色の識別情報及び今回に測色した色の概要の色の少なくとも一方を表示させる表示処理を行う。今回に測色した色の識別情報は、今回に測色した色をユーザーに識別させるための情報である。今回に測色した色の識別情報としては、例えば今回に測色した色を識別するための第2マーカーや、今回に測色した色の番号情報などがある。第2マーカーは、今回に測色した色を、画面上においてユーザーに視覚的に識別させるためのマーカーである。ユーザーは、例えばこの第2マーカーを見ることで、今回に測色した色がどの色であるかを識別できる。今回に測色した色の番号情報は、今回に測色した色についての色グループにおける番号の情報である。ユーザーは、この番号情報を見ることで、今回に測色した色が色グループにおける何番目の色なのかを識別できる。また今回に測色した色の概要の色は、例えば今回に測色した色がどのような概要の色なのかをユーザーに認識させるものであり、例えば今回に測色した色をRGB値などで表現した色である。
また表示処理部19は、測色の作業の完了を知らせる報知情報を表示させる表示処理を行う。このような報知情報の表示処理が行われることで、ユーザーは、測色の作業が完了したことを認識できる。この場合の測色の作業の完了の報知情報は、色グループについての測色の作業の完了を知らせるものであってもよいし、ライン測色の場合には、各ラインについての測色の作業の完了を知らせるものであってもよい。
また測色システム10は、本実施形態のプログラムに基づいて本実施形態の各処理を行う。このプログラムは、本実施形態の各部としてコンピューターを機能させるプログラムである。コンピューターは、例えば操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置である。例えば本実施形態のプログラムは、受け付け部14と、判断部16と、制御部18として、コンピューターを機能させるプログラムである。またプログラムは表示処理部19としてコンピューターを機能させるプログラムである。このプログラムは例えば情報記憶媒体に記憶される。即ち本実施形態の測色システム10は、情報記憶媒体に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の各処理を行うことができる。コンピューターにより読み取り可能な媒体である情報記憶媒体は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク、ハードディスク装置(HDD)、半導体メモリーなどにより実現できる。
図2、図3は本実施形態の測色システム10を実現する測色器30や端末装置60の外観図の例である。図2に示すように測色器30は、例えば略立方体の形状を有しており、その上面に表示部38、測色ボタン40、十字キー42が設けられている。また測色器30の上面には戻るボタン44や電源ボタン46も設けられている。一方、図3に示すように測色器30の下面には、測色部12と、シャッター48が設けられている。表示部38は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより実現され、各種の情報をユーザーに表示する。測色ボタン40は、測色器30に測色を行わせることをユーザーが指示するための操作デバイスである。例えばユーザーが測色ボタン40を押下することで、測色器30が測色部12を用いた測色を行う。十字キー42は、例えば上下左右の方向等を指示するための操作デバイスである。戻るボタン44は、バック操作とも言われる戻る操作を行うためのボタンであり、電源ボタン46は測色器30の電源のオン、オフを行うためのボタンである。測色部12は前述したように測色センサーにより実現されるものであり、例えば平面視での形状が略円形状になっている。シャッター48は、測色器30の不使用時に測色部12を保護する。例えばユーザーは、測色器30を使用しないときに、シャッター48を測色部12の方に移動させてシャッター48を閉める操作を行って、外部からの衝撃等が測色部12に加わらないようにする。
測色器30は、ユーザーが一方の手で把持して測色の作業を行えるようなハンディーな形状となっている。例えばユーザーは、親指と中指、薬指、小指等とで、測色器30の側面を把持し、人差し指で測色ボタン40を押したり、十字キー42により方向を指示するなどの操作を行う。
端末装置60は、測色器30と通信接続が可能な通信端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット型PC(Personal Computer)などにより実現される。端末装置60は、例えばブルートゥース(Bluetoothは登録商標)又はWi-Fi(登録商標)などの無線通信により測色器30と通信接続される。端末装置60は、表示部68を有しており、操作ボタン等の操作デバイスも設けられている。また表示部68は例えばタッチパネルとなっており、ユーザーはタッチパネルである表示部68にタッチすることで各種の操作を行う。
図4は、測色器30、端末装置60の構成例を示す図であり、測色器30、端末装置60を有する測色システム10の構成例を示すものである。なお測色器30、端末装置60は図4の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
測色器30は、測色部12、処理部32、操作部34、記憶部36、表示部38、通信部39を含む。測色部12は前述したように測色センサー等により実現される。
処理部32は、測色器30の各部の制御処理や本実施形態の各処理を行う。例えば処理部32は、測色部12の制御処理や、測色部12からの測色データの取得処理を行う。また処理部32は、操作部34により入力されたユーザーの操作情報の入力処理や、記憶部36からの情報の読み出し処理や、記憶部36への情報の書き込み処理を行う。また処理部32は、表示部38への情報の表示処理や、通信部39の通信の制御処理などを行う。処理部32はプロセッサーにより実現できる。例えば本実施形態の各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するメモリーにより実現できる。メモリーは記憶部36である。プロセッサーは、例えば各部の機能が個別のハードウェアーで実現されてもよいし、或いは各部の機能が一体のハードウェアーで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアーを含み、そのハードウェアーは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子により構成することもできる。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。但し、プロセッサーはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサーはASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェアー回路であってもよい。またプロセッサーは、アナログ信号を処理するアンプ回路やフィルター回路等を含んでもよい。
操作部34はユーザーの操作情報を入力する操作インターフェースである。操作部34は操作デバイスにより実現できる。図2を例にとれば、操作部34は、測色ボタン40、十字キー42、戻るボタン44、電源ボタン46などの操作デバイスにより実現できる。但し操作部34を実現する操作デバイスはこれらの操作デバイスに限定されるものではない。
記憶部36は各種の情報を記憶する。例えば記憶部36は、プログラムやデータを記憶する。記憶部36は、例えば処理部32や通信部39のワーク領域として機能する。例えばメモリーである記憶部36は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、或いはハードディスク装置等であってもよい。例えばメモリーである記憶部36はコンピューターにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサーである処理部32により実行されることで、処理部32の各部の処理が実現される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットでもよいし、プロセッサーのハードウェアー回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
表示部38は、各種情報をユーザーに表示する。表示部38は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイにより実現できる。表示部38は、例えばユーザーが測色器30を操作するために必要な情報や、測色器30の各種のステータス情報などを表示する。
通信部39は、外部装置との間で無線や有線の通信を行う通信インターフェースである。通信部39は、例えば通信用ASIC又は通信用プロセッサーなどのハードウェアーや、通信用ファームウェアーなどにより実現できる。例えば通信部39は、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信により、端末装置60等の外部装置と通信を行う。具体的には通信部39は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格の無線通信により外部装置と通信を行う。或いは通信部39は、Wi-Fi(登録商標)などの他の規格の無線通信により外部装置と通信を行ってもよい。また通信部39は、USB等の規格による有線の通信を行ってもよい。
端末装置60は、処理部62、操作部64、記憶部66、表示部68、通信部69を含む。
処理部62は、端末装置60の各部の制御処理や本実施形態の各処理を行う。例えば処理部62は、操作部64により入力されたユーザーの操作情報の入力処理や、記憶部66からの情報の読み出し処理や、記憶部66への情報の書き込み処理を行う。また処理部62は、表示部68への情報の表示処理や、通信部69の通信の制御処理などを行う。処理部62は、前述したプロセッサーなどにより実現できる。
操作部64はユーザーの操作情報を入力する操作インターフェースである。操作部64は操作デバイスにより実現できる。図2を例にとれば、操作部64は、表示部68のタッチパネルや端末装置60に設けられる操作ボタン等の操作デバイスにより実現できる。但し操作部64を実現する操作デバイスはこれらの操作デバイスに限定されるものではない。
記憶部66は各種の情報を記憶する。例えば記憶部66は、プログラムやデータを記憶する。記憶部66は、例えば処理部62や通信部69のワーク領域として機能する。例えばメモリーである記憶部66は、SRAM、DRAM等の半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置や光学ディスク装置であってもよい。例えばメモリーである記憶部66はコンピューターにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサーである処理部62により実行されることで、処理部62の各部の処理が実現される。
表示部68は、各種情報をユーザーに表示する。表示部68は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイにより実現できる。また表示部68は例えばタッチパネルにより実現され、操作部64としても機能する。表示部68は、例えばユーザーが端末装置60を操作するために必要な情報や、端末装置60や測色器30の各種のステータス情報などを表示する。
通信部69は、外部装置との間で無線や有線の通信を行う通信インターフェースである。通信部69は、例えば通信用ASIC又は通信用プロセッサーなどのハードウェアーや、通信用ファームウェアーなどにより実現できる。例えば通信部69は、ブルートゥースなどの近距離無線通信により、測色器30等の外部装置と通信を行う。具体的には通信部69は、BLE規格の無線通信により外部装置と通信を行う。或いは通信部69は、Wi-Fiなどの他の規格の無線通信により外部装置と通信を行ってもよい。また通信部69は、USB等の規格による有線の通信を行ってもよい。
そして本実施形態の測色システム10の処理は、例えば端末装置60の処理部62により実現してもよい。この場合には処理部62が、受け付け部14、判断部16、制御部18、表示処理部19を含み、これらの各部の処理を行うことになる。例えば本実施形態のプログラムは、アプリケーションプログラムとして端末装置60にインストールされて記憶部66に記憶され、このアプリケーションプログラムが、受け付け部14、判断部16、制御部18、表示処理部19の各処理を実行する。或いは測色システム10の処理は、測色器30の処理部32により実現してもよい。この場合には処理部32が、受け付け部14、判断部16、制御部18、表示処理部19を含み、これらの各部の処理を行うことになる。例えば記憶部36に記憶されたプログラムが、受け付け部14、判断部16、制御部18、表示処理部19の各処理を実行する。或いは測色システム10の処理を処理部32と処理部62の分散処理により実現してもよい。
2.色グループの測色における表示処理
測色には、単純に1色だけを測定する単色測色と、複数の色のグループを測色するグループ測色があるが、グループ測色は、複雑な操作が必要であり、測色作業に不慣れな場合に、ユーザーは測色器30をどのように扱えばよいか分からないという問題がある。なお、測色作業というのは、ユーザーが行う作業全体のうち、一部に測色を伴うものをいう。
典型的な例を挙げて説明する。測色作業には布に印刷して販売する業者が、布に印刷された色が適正かどうかを測色して判断する作業がある。しかし布などには、その表面の凹凸などが原因で測色ばらつきが大きいものがあるので、測色を行う場合、測色を行って、色差ΔEが許容値の範囲を超えていてNGである場合にも、ユーザーは念のために再測色を行って、色差が間違いなく許容値の範囲を超えているかを確認することがある。繰り返し測色を行って、いずれも色差が大きい場合は、決めた基準を守れていないことになるため、その印刷物については残りの測色をやめて、再印刷等の対処を行わなければならない。このような例に限られず、測色作業は、一般に複雑な操作を必要としていた。
まず測色システム10において表示が必要な情報の例について説明する。ハンディーなモバイル型の測色器30では表示できる情報が限られるため、このような表示にすることが望ましい。もちろんこれは必須ではく、大きな画面に投影するような場合には、なおのことこのようにすることに限られない。例えば操作方法や作業進捗の情報としては、次に測色する色の識別情報、次に測色する色の概要の色、作業の完了の報知情報がある。これらは、測色作業を円滑に進める上で、操作の前後において操作者であるユーザーが知りたい情報であり、優先度が高い情報である。
また操作方法や作業進捗に関する情報として、本体の持ち方や動かし方の情報もあるが、これらは優先度が低い情報である。
また操作結果の情報としては、今回に測色した色の識別情報、今回に測色した色の概要の色、測色した色と比較対象の色との色差、当該色差の許容値に対するOK、NGの判定結果、作業全体に対するOK/NGの判定結果があり、これらは優先度が高い情報である。
また操作結果に関する情報としては、Lab値、CH値、指定したプロファイル上でのRGBやCMYK値、外部の色見本帳からの近似色の選択、指定した印刷装置の色域範囲内か否か、おすすめのコーディネートカラー、過去の測色結果の履歴などの情報があるが、これらは優先度が低い情報である。
また機器の状態の情報としては、電池残量、通信の接続状態の情報があり、これらは優先度が高い情報である。
また機器の状態に関する情報として、Mファクターの設定、環境光源の設定の情報もあるが、これらは優先度が低い情報である。
そこで本実施形態では、色グループを測色するグループ測色において、操作方法や進捗状況の情報、操作結果の情報、機器の状態の情報を、優先度を反映させて表示する手法を採用する。ここでグループ測色には、スポット測色によるグループ測色と、ライン測色によるグループ測色がある。以下では、測色器30や端末装置60での画面の遷移例を用いて、本実施形態の手法について詳細に説明する。
図5、図6は測色器30におけるスポット測色によるグループ測色の画面遷移例を示す図である。これらの画面は測色器30の表示部38に表示される。A1に示す測色開始の画面が表示部38に表示された状態において、A2に示すように測色ボタン40が押されると、色グループの1番目の色の測色が行われて、A3に示すような1番目の色の測色結果画面が表示部38に表示される。
A3の画面では、A4、A5に示すように、次に測色する色を識別するための第1マーカーや次に測色する色の番号情報が表示される。A4に示す第1マーカーが指し示すA5に示す番号情報は、次に測色する色の識別情報である。次に測色する色の識別情報は、次に測色する色の比較対象の色の識別情報である。ユーザーは、A5の番号情報を見ることで、次に測色する色が色グループにおける何番目の色なのかを識別できる。例えばA3の画面では、色グループの2番目の色が次に測色する色である。
またA3の画面では、A4に示す第1マーカー中にA6に示すように次に測色する色の概要の色が表示される。例えば次に測色する色のRGB値でディスプレイを発色させた概要の色が表示される。次に測色する色の概要は、次に測色する色の比較対象の色の概要である。A6の概要の色を見ることで、ユーザーは、次に測色する色がどのような概要の色であるかを知ることができる。例えばA4の第1マーカーは、A6の概要の色を囲むような円形のマーカーになっており、A5の番号情報は、A6の概要の色の近傍に表示される。これによりユーザーは、第1マーカーに囲まれた概要の色を見ることで、次に測色する色がどのような色であるかの概要を認識できる。またユーザーは、概要の色の近傍に表示される番号情報を見ることで、次に測色する色が、色グループにおける何番目の色なのかを知ることができる。即ち、次に測色する色が、色グループにおける2番目の色であることをユーザーは認識できる。なお、この他の情報を表示することは妨げられない。この他の情報とは、例えば、次に測色する色の名前や次に測色する色のRGB値である。
またA3の画面では、A7、A8に示すように、今回に測色した色を識別するための第2マーカーや今回に測色した色の番号情報が表示される。A7に示す第2マーカーやA8に示す番号情報は、今回に測色した色の識別情報である。ユーザーは、A7の第2マーカーを見ることで、今回に測色した色がどの色であるかを識別でき、A8の番号情報を見ることで、今回に測色した色が色グループにおける何番目の色なのかを識別できる。例えばA3の画面では、色グループの1番目の色が今回に測色した色である。
またA3の画面では、A9に示すように今回に測色した色の概要の色が表示される。例えば今回に測色した色をRGB値で表現した概要の色が表示される。A9の概要の色を見ることで、ユーザーは、今回に測色した色がどのような概要の色であるかを知ることができる。例えばA7の第2マーカーは、A9の概要の色を指し示す三角矢印のマーカーになっており、A8の番号情報は、A9の概要の色の近傍に表示される。これによりユーザーは、第2マーカーにより指し示された概要の色を見ることで、今回に測色した色がどのような色であるかの概要を認識できる。また概要の色の近傍に表示される番号情報を見ることで、今回に測色した色が、色グループにおける何番目の色なのかを知ることができる。即ち、今回に測色した色が、色グループにおける1番目の色であることを認識できる。
またA3の画面では、A10、A11に示すように、色差ΔEや、色差ΔEの判定結果が表示される。A10に示す色差ΔEは、測色した1番目の色と、色グループの中の対応する1番目の比較対象の色との色差である。A11に示す判定結果は、色差ΔEの許容値に対する判定結果であり、ここでは色差ΔEが許容値内であるため、OKの判定になっている。またA3の画面では、A12に示すように測色器30の電池残量の情報も表示されている。なお、図示はしていないが、測色器30と端末装置60との通信の接続状態の情報も表示される。例えばブルートゥース等の通信が接続されているかの情報が表示される。
A3の画面を表示部38が表示した状態で、A13に示すように測色ボタン40が押されると、色グループの2番目の色の測色が行われて、A14に示すように2番目の色の測色結果画面が表示される。
A14の画面においても、A15に示すように、次に測色する色の識別情報である円形の第1マーカー、番号情報や、次に測色する色の概要の色が表示される。またA16に示すように、今回に測色した色の識別情報である三角矢印の第2マーカー、番号情報や、今回に測色した色の概要の色が表示される。例えばA14の画面では、色グループの3番目の色が次に測色する色であり、色グループの2番目の色が今回に測色した色である。
またA14の画面においても、A17、A18に示すように、色差ΔEや、色差ΔEの判定結果が表示される。A17に示す色差ΔEは、測色した2番目の色と、色グループの中の対応する2番目の比較対象の色との色差である。またA18に示す判定結果は、色差ΔEの許容値に対する判定結果であり、ここでは色差ΔEが許容値内であるため、OKの判定になっている。
A14の画面を表示部38が表示した状態で、A19に示すように測色ボタン40が押されると、色グループの3番目の色の測色が行われて、A20に示すように3番目の色の測色結果画面が表示される。A20の画面においても、次に測色する色の識別情報、概要の色や、色差ΔE及びその判定結果が表示される。
このように本実施形態では、表示処理部19は、次に測色する色の識別情報や、次に測色する色の概要の色を表示させる処理を行う。即ち表示処理部19は、次に測色する色の比較対象の色の識別情報や次に測色する色の比較対象の色の表示処理を行う。前述したように表示処理部19は図4の処理部32や処理部62により実現される。例えば表示処理部19は、図5のA4、A5に示すように、次に測色する色の識別情報として、円形の第1マーカーや次に測色する色の番号情報を表示する処理を行う。また表示処理部19は、A6に示すように、次に測色する色の概要の色を表示する処理を行う。このようにすれば、ユーザーは、次に測色する色がどの色であるかや色グループの何番目の色であるかを識別したり、次に測色する色がどのような概要の色であるかを知ることができる。これにより、ユーザーは、次に測色する色についての情報を視覚的に認識できるようになり、測色の作業を円滑に進めることが可能になる。
また表示処理部19は、今回に測色した色の識別情報及び今回に測色した色の概要の色の少なくとも一方を表示させる処理を行う。例えば表示処理部19は、図5のA7、A8に示すように、次に今回に測色した色の識別情報として、三角矢印の第2マーカーや今回に測色した色の番号情報を表示する処理を行う。また表示処理部19は、A9に示すように、今回に測色した色の概要の色を表示する処理を行う。このようにすれば、ユーザーは、今回に測色した色がどの色であるかや色グループの何番目の色であるかを識別したり、今回に測色した色がどのような概要の色であるかを知ることができる。これにより、ユーザーは、今回に測色した色についての情報を視覚的に確認できるようになり、色グループの測色の作業の円滑化を図れるようになる。
また本実施形態では、制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。前述したように判断部16、制御部18は図4の処理部32や処理部62により実現される。例えば図5のA3、A11では、色グループの1番目の色について、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断部16によって判断されている。具体的には測色した色と比較対象の色との色差ΔEが許容値内であり、色差ΔEの判定結果がOKであると判断されている。この場合には、制御部18は、色グループの次の色である2番目の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。例えば次に測色を行う色の番号が、1から2に更新され、A4、A5、A6に示すように、次に測色する2番目の色の識別情報や概要の色が、画面の中央に表示される。また図5のA14、A18では、色グループの2番目の色について、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断されている。この場合には、制御部18は、色グループの次の色である3番目の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。例えば次に測色を行う色の番号が、2から3に更新され、A15に示すように、次に測色する3番目の色の識別情報や概要の色が、画面の中央に表示される。
図6には、色グループの4番目の色の色差ΔEの判定結果がOKである場合とNGである場合の画面遷移例が示されている。図6のA21の画面では、A22に示すように、色グループの4番目の色の色差ΔEの判定結果がOKであることが表示されている。この場合には、制御部18は、色グループの次の色である5番目の色の測色を行う測色工程に自動的に進め、A23に示すように、次に測色する5番目の色の識別情報や概要の色が、画面の中央に表示される。またA24の画面では、A25に示すように、色グループの最後の色である5番目の色の色差ΔEの判定結果がOKであることが表示されている。この場合には、A26に示すように、次に測色する色が無いことを示すマーカーが表示され、制御部18は、ユーザーに測色の作業が完了したことを知らせる。またA27の作業結果画面においても、A28に示すように作業完了を知らせるマーカーが表示され、制御部18は、測色の作業が完了したことをユーザーに知らせる。またA29に示すように、色グループの全体での色差ΔEの判定結果がOKであることが表示され、A30に示すように、測色した色グループについての色差ΔEの平均値も表示される。
このように本実施形態では、表示処理部19は、測色の作業の完了を知らせる報知情報を表示させる処理を行う。例えば、色グループの最後の測色が終了すると、図6のA26に示すように、次に測色する色が無いことを示すマーカーが表示され、制御部18は、ユーザーに色グループの測色の作業が完了したことを知らせる。またA27の作業結果画面においても、A28に示すように、作業完了を知らせるマーカーが表示され、制御部18は、ユーザーに色グループの測色の作業が完了したことを知らせる。このような測色の作業の完了を知らせるマーカー等の報知情報を画面に表示すれば、ユーザーは、この報知情報を見ることで、色グループについての測色の作業が完了したことを視覚的に確認できるようになり、色グループの測色の作業の円滑化を図れる。
一方、図6のA31の画面では、A32に示すように、色グループの4番目の色の色差ΔEの判定結果がNGであることが表示されている。このように、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、現在の色を測色する測色工程が自動的に継続される。例えば次に測色を行う色の番号が、4のままで更新されず、A33に示すように、次に測色する色として、現在の4番目の色の識別情報や概要の色が表示される。即ちA33では、今回に測定した色も次に測定する色も、色グループの4番目の色であることが表示される。そしてA34の画面では、色グループの4番目の色に対して、2回目の測色が行われ、A35では、4番目の色に対する2回目の測色においても、色差ΔEの判定結果がNGであったことが表示されている。この場合にも、現在の色を測色する測色工程が自動的に継続され、A36に示すように、次に測色する色として、現在の4番目の色の識別情報や概要の色が表示される。そして、ここではA37に示すように、ユーザーが図2の測色器30の十字キー42により右方向を指示しており、次の色の測色工程に進める操作が行われている。これによりA38に示すように、次の色である5番目の色の測色工程に進み、A39に示すように、次に測色する色が5番目の色であることが表示される。そして、その後は、A24、A25に示すような画面が表示されることになる。
このように本実施形態では、制御部18は、判断部16によって測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断されたときに、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われなかった場合には、現在の色を測色する測色工程を継続し、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば、十字キー42による右方向の指示である次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われなかった場合には、A31、A34に示すように、現在の色を測色する測色工程が継続される。一方、A37に示すように、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、A38に示すように、次の色の測色を行う測色工程に進める。このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致しない場合に、ユーザーが次の測色工程に進める意思表示をしなかった場合には、現在の色を測色する測色工程が継続され、ユーザーが次の測色工程に進める意思表示をした場合には、次の色を測色する測色工程に進む。従って、制御部18は、ユーザーの意思を反映させた測色工程の進行制御を実現できるようになる。なお次の色の測色工程に進めるユーザー操作は、十字キー42による上方向の指示であってもよい。また十字キー42による左方向又は下方向の指示があった場合には、前の色の測色工程に戻るようにする。また本実施形態ではユーザー操作を、適宜、単に操作と記載する場合がある。
図7、図8、図9は測色器30におけるライン測色によるグループ測色の画面遷移例を示す図である。図7のB1のライン測色の開始画面が表示部38に表示された状態で、B2に示すように測色ボタン40が押されると、B3に示すように1行目の測色の開始指示画面が表示される。ここではユーザーに対して、ライン測色の操作内容を示すガイド表示が表示されている。そしてB4に示すようにユーザーが、測色ボタン40の操作とスライド操作を行うと、1行目のラインの測色が行われて、B5に示すような1行目の結果画面が表示される。例えばユーザーは、1行目の始点で測色ボタン40を押し、測定対象である1行目のラインに沿って測色器30をスライドさせる操作を行うことで、1行目の測色が行われる。この場合に、ユーザーは、1行目の始点において測色ボタン40を押し、測色器30をスライドさせた後、1行目の終点において、測色ボタン40を再度、押してもよい。或いは測色ボタン40を押したまま測色器30を1行目の始点からスライドさせ、1行目の終点において、押していた指を測色ボタン40から離すようにしてもよい。
B5の結果画面においては、B6に示すように、ライン測色が行われた色の結果の概要の色が表示される。ここでは1行の色グループの色数は12になっており、色グループの12の色の概要の色が表示されている。またB5に示す画面においては、B7、B8に示すように、1行目のライン測色の判定結果や1行目の色の色差ΔEの平均値などが表示される。
図8、図9には、ライン測色の2行目の色差の判定結果がOKである場合とNGである場合の画面遷移例が示されている。図8のB9の画面では、B10に示すように2行目の色差の判定結果がOKであることが表示されている。この場合には、図8のB11、図9のB12に示すように、測色ボタン40が押されることで次の測色工程に進み、3行目の測色が行われる。そして図9のB13の画面では、B14に示すように3行目の色差の判定結果がOKであることが表示されている。これによりB15の作業結果画面では、B16に示すように作業の完了を知らせるマーカーが表示される。但し、スポット測色のときのように、2行目の色差の判定結果がOKである場合には、ユーザーがなにもボタンを押さなくてもB9からB11の画面に自動で進み、そこでユーザーが測色ボタン40を押すとB12の画面を飛ばして測色を開始するようにしてもよい。
一方、図8のB17の画面では、B18に示すように2行目の色差の判定結果がNGであることが表示されている。またB19、B20に示すように、2行目の12個の色のうち、11番目と12番目の色の色差がNGであることが表示されている。この場合には、図8のB21、図9のB22に示すように、測色ボタン40が押されることで現在の測色工程が継続され、2行目の測色が再度行われる。そして図9のB23の画面では、B24に示すように2行目の2回目の色差の判定結果もNGであることが表示されている。この場合にも、B25に示すように、ユーザーが十字キー42で右方向を指示して次の測色工程に進める操作を行うと、B26に示すように次の測色工程に進められ、3行目の測色が行われる。この場合も、スポット測色のときのように、2行目の色差の判定結果がNGである場合には、ユーザーがなにもボタンを押さなくてもB17からB21の画面に自動で進み、そこでユーザーが測色ボタン40をおすとB22の画面を飛ばして測色を開始するようにしてもよい。
図10、図11、図12は端末装置60におけるスポット測色によるグループ測色の画面遷移例を示す図である。これらの画面は端末装置60の表示部68に表示される。
図10のD1の測色開始の画面では、D2に示すように、次に測色する色を識別するための第1マーカーが表示される。またD3に示すように、色グループの1番目の比較対象の色CR1の概要の色が表示される。またD4に示すように、色比較の基準値の色である比較対象の色CR1のLab値が表示される。そして、ユーザーがD5に示す画面上の測色ボタンのアイコンを操作すると、1回目の測色が行われて、D6に示すような1番目の色の結果画面が表示される。ここで、測色の操作は測色器30の測色ボタン40により行ってもよい。なおLab値は、正式にはL*a*b*値と記載され、L、a、bは、正式にはL*、a*、b*と記載されるが、本実施形態では、略称としてLab値、L、a、bと記載することとする。また色差ΔEは、正式にはΔE*と記載されるが、本実施形態では、略称としてΔEと記載することとする。
図10のD6の画面では、次に測色する色を識別するための正方形の第1マーカーD7や三角形D8を塗りつぶして概要の色CR2が表示される。また、今回に測色した色を識別するための三角矢印の第2マーカーD9や正方形D10を一本の対角線で2等分し概要の色CR1、CM1がそれぞれの領域を塗りつぶして表示される。色CR1は、比較対象である基準の色の概要の色であり、色CM1は、実際に測色した色の概要の色である。またD11に示すように、測色した色CM1と比較対象の色CR1との色差ΔEも表示される。またD12に示すように、測色した色CM1のLab値を測色値として表示し、比較対象の色CR1のLab値を基準値として表示する。更に、Lab値の成分ごとに測色値と基準値との差を計算して表示する。
図11のD13の画面では、D14に示すように、色グループの最後の色である5番目の色の測色が行われたことが示されている。そしてD15に示すように、次に測色する対象がないことを知らせる表示が行われている。またD16の作業結果の画面では、D17に示すように、NGの件数が0件であったことが表示され、D18に示すように、色グループの色の色差ΔEの平均値が表示される。またD19に示すように、色グループの各色についての色差ΔEや概要の色が表示される。なおこの画面ではNGの件数が0件であったためにD20に示すスライドボタンは無効になっているが、NGの件数が1件以上存在している場合には、D20に示すスライドボタンが有効になり、このアイコンをユーザーが操作することで、NGとなった色だけを抽出して表示させることも可能になっている。
図12のD21の画面では、D22に示すように、色グループの4番目の色の判定結果がNGであることが表示されている。例えば測色した色CM4と比較対象の色CR4との色差が許容値を超えているため、判定結果がNGになっている。この場合には、現在の色を測色する測色工程が継続され、次に測色する色も現在の4番目の色になる。そしてD23の作業結果の画面においては、D24に示すように、NGの件数が1件であったことが表示される。またD25、D26に示すように、4番目の色について2回の測色が行われたことが表示される。D26の2回目の測色においては、ユーザーが次の測色工程に進める操作を行ったため、D27に示すように次の5番目の色の測色が行われている。
図13、図14、図15は端末装置60におけるライン測色によるグループ測色の画面遷移例を示す図である。図13のE1の測色開始の画面が表示部68に表示された後、測色の操作が行われると、1行目の測色が行われて、測色の結果の画面がE2に示すように表示部68に表示される。そしてE3に示すように、次に測色するラインの色を識別するための四角形状の第1マーカーや、次に測色するラインの色の概要の色が表示される。またE4に示すように、今回に測色したラインの色を識別するための三角矢印の第2マーカーや、今回に測色したラインの色の概要の色が表示される。またE5に示すように測色した色のそれぞれについても表示される。
図14のE6の画面では、E7に示すように、最後の3行目の色の測色が行われたことが示されている。そしてE8に示すように、次に測色する色グループが存在しないことを知らせる表示が行われている。またE9の作業結果の画面では、E10に示すように、NGの件数が0件であったことが表示され、E11に示すように、例えば全てのラインについての色差の平均値が表示される。またE12に示すように、各行の各色についての色差ΔEや概要の色が表示される。
図15のE13の画面では、E14に示すように、3行目において4件のNGの色があったことが表示されている。この場合には、現在の3行目の色を測色する測色工程が継続され、ユーザーが次の行の測色工程に進める操作を行うまで、次に測色する色も現在の3行目の色になる。そしてE16の作業結果の画面は、全ての測色の結果を表示する画面である。E17に示すように、3行の36色の中でNGの件数が4件であったことが表示され、E18に示すように、例えば36色全てについての色差の平均値が表示される。またE19に示すように測色した色の履歴についても表示される。
3.本実施形態の処理
次に本実施形態の処理について詳細に説明する。図16は本実施形態の処理を説明するフローチャートである。
まず測色システム10は、検品する色グループを取得する(ステップS1)。具体的には、受け付け部14は、予め記憶部に登録されている複数の色グループの中からユーザーの選択を受け付ける。そして制御部18は、その選択に従って1つの色グループを選び出して取得する。また測色システム10は、検品する色グループの色数を数える(ステップS2)。前述の図5、図6の例であれば、色数は5になる。そして測色システム10は、測色の色番号を初期値である1に設定する(ステップS3)。
次に測色システム10は、図2の十字キー42が押下されたか否かを判断する(ステップS4)。なお、このフローチャートでは、物理的に存在する十字キー42やボタンに代えて画面に表示される仮想キーであってもよい。そして測色システム10は、十字キー42により右方向が指示された場合には、色番号+1が色数よりも大きいか否かを判断し(ステップS5)、大きくない場合には、測色の色番号を例えば1だけインクリメントする(ステップS6)。一方、測色システム10は、測色番号+1が色数よりも大きい場合には、ステップS4の処理に戻る。また測色システム10は、十字キー42により左方向が指示された場合には、色番号-1が0か否かを判断し(ステップS7)、0でない場合には、測色の色番号を例えば1だけデクリメントする(ステップS8)。一方、測色システム10は、色番号-1が0である場合には、ステップS4の処理に戻る。なおステップS4での右方向の指示の判断は上方向の指示の判断でもよく、左方向の指示の判断は下方向の指示の判断でもよい。
次に測色システム10は、十字キー42が押下されていない場合には、図2の戻るボタン44が押下されたか否かを判断し(ステップS9)、押下された場合には表示部38又は表示部68に表示する画面をホーム画面に移行させる。一方、測色システム10は、戻るボタン44が押下されていない場合には、測色ボタン40が押下された否かを判断し(ステップS10)、押下された場合には、測色を実行し(ステップS11)、押下されていない場合にはステップS4の処理に戻る。
測色システム10は、測色部12を用いて測色を実行した後、測色した色と比較対象の色が一致するか否かを判断する(ステップS12)。即ち測色システム10は、測色した色と比較対象の色の色差が許容条件で定められている値を超えていない場合には、色が一致すると判断し、超えた場合には色が不一致であると判断する。そして測色システム10は、色が一致する場合には、測色の色番号を例えば1だけインクリメントして(ステップS13)、測色結果と次に測色する色を表示する(ステップS14)。一方、測色システム10は、色が不一致である場合には、ユーザーが色番号のインクリメントを指示する操作を行ったか否かを判断する(ステップS15)。そして測色システム10は、色番号のインクリメントを指示する操作が行われた場合には、測色の色番号を例えば1だけインクリメントして(ステップS13)、測色結果と次に測色する色を表示する(ステップS14)。一方、測色システム10は、色番号のインクリメントを指示する操作が行われていない場合には、色番号をインクリメントすることなく、測色結果と次に測色する色を表示する(ステップS14)。そして測色システム10は、測色の色番号が色数を超えた否かを判断し(ステップS16)、超えていない場合にはステップS4の処理に戻り、超えた場合には、ステップS3の処理に戻って、色番号を初期値である1に設定する。
図17は、ユーザーの作業フローを説明するフローチャートである。ここでは検品物である測色対象は図18に示すようなシャツであり、シャツに設けられる5つの色C1、C2、C3、C4、C5のグループが、グループ測色の対象となる色グループであるとする。なお測定対象において測定対象のパッチの一部又は全部は、例えば測定対象が製品になるときには使用されない領域に設けてもよい。例えば布に対して捺染印刷を行う場合に、検品を行うためのテスト領域に、パッチを印刷して、このパッチに対して測色器30を用いて測色を行う。そして布を裁断して製品を作成する際には、当該テスト領域の場所を裁断により破棄する。
図17のフローチャートにおいて、まずユーザーは図2の電源ボタン46を押下して、測色器30の電源をオンにする(ステップS20)。次にユーザーは、検品する色セットを選択し(ステップS21)、測色器30のシャッターを開ける(ステップS22)。例えばユーザーは図18の色C1~C5のセットを選択する。次にユーザーは、測色対象であるシャツの上に測色器30を置いて(ステップS23)、測色ボタン40を押下する(ステップS24)。そしてユーザーは測色結果を確認して(ステップS25)、色差がOKか否かを判断する(ステップS26)。図5を例にとれば、ユーザーは、A11、A18に示すOKの表示を確認することで、色差がOKか否かを判断する。そしてユーザーは、測色が終わったかを否かを判断する(ステップS27)。図18を例にとれば、ユーザーは、測定対象であるシャツについての色グループの全ての色C1~C5の測色が終わったかを否かを判断する。ユーザーは、図6のA26、A28に示すような測色の作業の完了を知らせる報知情報を確認することで、測定対象について測色が完了したか否かを判断できる。そしてユーザーは、測色対象に対する測色が終わっていない場合にはステップS23の作業に戻り、測定対象上の次の色の位置に測色器30を置く。一方、ユーザーは、測色対象に対する測色が終わった場合には、全ての検品が終了したか否かを判断し(ステップS28)、終了していない場合にはステップS23の作業に戻り、次の測定対象上に測色器30を置く。
一方、ユーザーは、ステップS26で色差がOKではないと判断した場合には、再測色を行うか否かを判断する(ステップS29)。そしてユーザーは、再測色を行う場合にはステップS24の作業に戻り、測色ボタン40を再度押下し、再測色を行わない場合には、必要に応じて再印刷を依頼する(ステップS30)。そしてユーザーは、次の色を測色するか否かを判断し、次の色を測色する場合には、次の色を指定して(ステップS31)、ステップS27の作業に移行する。
ユーザーは、ステップS28で、全ての検品が終了したと判断した場合には、総合的な結果を確認して(ステップS33)、測色器30の電源をオフにし(ステップS34)、測色器30のシャッター48を閉じる(ステップS35)。
このように本実施形態では、受け付け部14は、複数の色を含む色グループの指定を受け付け、判断部16は、測色部12が測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。なお前述したように図1の受け付け部14、判断部16、制御部18、表示処理部19は図4の処理部32や処理部62により実現される。例えば図17のステップS22でユーザーが色グループの色セットを選択すると、図16のステップS1、S2に示すように、受け付け部14が、この色グループの指定を受け付けて、色グループの色や色数を特定する。例えば受け付け部14は、指定された色グループを、ユーザーが測色を行う色グループとしてユーザーに関連づけて登録する。そして図16のステップS11、S12に示すように、ユーザーにより測色の操作が行われると、判断部16は、測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。測色する色や比較対象となる色は、図16のステップS3、S6、S8等で設定される色番号により管理される。そして判断部16は、測色した色と比較対象の色の色差を求め、色差が許容値を超えたか否かを判断することで、測色した色と比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。
そして制御部18は、判断部16により測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進める処理を行う。例えば制御部18は、図16のステップS12で、測色した色と比較対象の色の色差が許容値を越えておらず、色差の判定結果がOKであると判断すると、測色の色番号をインクリメントして、次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば測色工程は、測色の色番号により管理されており、この色番号を用いて測色工程の進行が管理される。図16のステップS12では、ユーザーが次の色の測色に進める操作を行うことなく、制御部18が色番号をインクリメントする処理を行うことで、測色工程が、次の色の測色を行う測色工程に進む。このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致した判断された場合には、ユーザーが次の色の測色に進める操作を行わなくても、測色システム10により、自動的に次の色の測色を行う測色工程に進むようになるため、ユーザーの操作を簡素化でき、測色の作業の円滑化を図れるようになる。図5、図6を例にとれば、図5のA11に示すように例えば1番目の色の色差の判定結果がOKである場合には、次の2番目の色の測色工程に進み、A4、A5、A6に示すように、次に測色する色の識別情報や概要の色が画面の中央に表示される。従って、色差がOKであることを確認したユーザーは、A13に示すように測色の操作を行うことで、A14に示すように次の色の測色が行えるようになる。
また本実施形態では、制御部18は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、現在の色を測色する測色工程を自動的に継続する。例えば図16のステップS12において、測色した色と比較対象の色とが一致せずに、色差の判定結果がNGであると判断されると、ステップS13の色番号のインクリメント処理は行われず、今回の色である現在の色を測色する測色工程が継続される。例えば図6のA31の画面において、A32に示すように4番目の色の色差の判定結果がNGであると判断されると、A33に示すように、次に測色する色は、現在の色である4番目の色であることがユーザーに知らされ、現在の色を測色する測色工程が継続される。即ち図6のA21の画面では、A22に示すように4番目の色の色差の判定結果がOKであると判断されたため、制御部18は、A23に示すように、次に測色する色が、次の5番目の色であることをユーザーに知らせ、ユーザーは少ない操作で次の色の測色工程に自動的に進められるが、A32のように色差の判定結果がNGである場合には、現在の色の測色工程が継続される。このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致しない場合には、制御部18は、次の色の測色工程に進ませずに、現在の色の測色工程が継続される。従って、例えばユーザーが測色の操作を行うと、図6のA34に示すように、色差の判定結果がNGであった現在の色の測色が、再度、行われるようになる。従って、ユーザーが、測色システム10に現在の色の測色を再度行うことを指示しなくても、現在の色の測色を再度行えるようになり、ユーザーの操作を簡素化でき、測色の作業の円滑化を図れるようになる。
また本実施形態では制御部18は、判断部16により測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断されて、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進める。例えば図16のステップS12において、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、ステップS15に示すように、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われたか否かが判断される。そして次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、ステップS13に移行して、色番号がインクリメントされて、次の色の測色工程に進むようになる。例えば図6のA31の画面では、A32に示すように4番目の色について色差の判定結果がNGと判断されて、次の色の測色工程に進めるユーザー操作も行われていないため、A34、A36に示すように、現在の色の測色工程が継続される。一方、A34の画面では、A35に示すように4番目の色について色差の判定結果がNGと判断されているが、A37に示すように、十字キー42により右方向が指示されて、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われているため、A38に示すように、次の色である5番目の色の測色工程に進むようになる。このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合にも、ユーザーが次の色の測色工程に進めるユーザー操作を行うという意思表示を行った場合には、現在の色の測色工程は継続されず、次の測色工程に進むようになる。従って、ユーザーの操作を簡素化して測色の作業の円滑化を図りながら、次の測色工程に進めるというユーザーの意思表示も反映できるようになる。なお捺染印刷などによる布等への印刷においては、布の表面の凹凸や光源等の環境が原因で、本来は測色した色と比較対象の色が一致しているのに、不一致と判定される場合もある。このようなケースでも、ユーザーは、色が不一致と判定されたときに、次の色の測色を指示する操作を行う場合がある。
また本実施形態では制御部18は、色グループの最後の色が測色した色と一致したと判断された場合に、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に自動的に進める。例えば色グループの最後の色が測色した色と一致したと判断され、図16のステップS16で、色番号が色数より大きくなったと判断されると、ステップS3に移行して、色番号が初期値である1に設定される。これにより、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に進み、色グループの1番目の色の測色が行われるようになる。従って、例えば図6のA28に示すようなマーカーにより測色の作業の完了を知らされたユーザーは、次のシャツ等の測色対象に測色器30を置いて、1番目の色からの測色を開始できるようになる。このようにすれば、例えば複数の測色対象の各々について、色グループの測色を行う場合に、ユーザーは、1つの測色対象についての色グループの測色が完了したときに、次の測色対象に測色器30を置いて、色グループの1番目の色からの測色の作業を行えるようになる。従って、ユーザーの操作を更に簡素化して、測色の作業の更なる円滑化を実現できるようになる。なお図16のステップS9に示すように、ユーザーが図2の戻るボタン44を押下することがホーム画面に移行する。従って、ユーザーが戻るボタン44を押下することで、図16の色グループの測色の処理ループから抜けることが可能になる。
また制御部18は、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数繰り返しても、比較対象の色に一致しなかった場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。図19はこの場合の本実施形態の処理例を示すフローチャートである。図19が図16と異なるのは、ステップS15の処理である。図19では、測色した色と比較対象の色が一致しないと制御部18によって判断された場合に、ステップS12はNOに進み、ステップS15に示すように、現在の色の測定が所定回数に達したか否かが制御部18によって判断される。そして所定回数に達していないと制御部18によって判断された場合には、ステップS14に移行して、現在の色の測色工程が継続される。一方、所定回数に達したと制御部18によって判断された場合には、ステップS13に移行して、色番号がインクリメントされ、次の色の測色工程に進む。例えば所定回数が5回に設定されており、図6のA31、A32に示すように、4番目の色について、比較対象の色と不一致であると判定されたとする。この場合には、色の不一致の判定が4回行われるまでは、図19のステップS15から、色番号がインクリメントされることなく、ステップS14に移行して、現在の色である4番目の色の測色工程が継続されて、再測色が行われる。そして5回目の再測色においても、色が不一致であると判断された場合には、所定回数に達したと判断されて、ステップS15からステップS13に移行する。これにより、色番号がインクリメントされて、次の色の測色工程に自動的に進むようになる。即ち、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数である5回繰り返しても、比較対象の色に一致しなかった場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進む。このようにすれば、色グループのうちの、ある色について、繰り返し測色を行っても判定結果がOKにならないような場合に、この色の測色をスキップして、次の色の測色工程に移行できるようになる。従って、再測色が所定回数繰り返されると、その色についての測色が自動的にスキップされて、ユーザーは、次の色の測定を行えるようになるため、ユーザーの利便性が向上する。
また本実施形態では制御部18は、現在の色の測色を所定回数繰り返しても、測色した色が比較対象の色と一致しなかった場合に、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。図20はこの場合の本実施形態の処理例を示すフローチャートである。図20が図16と異なるのは、ステップS15の処理である。図20では、測色した色と比較対象の色が一致しないと制御部18によって判断された場合に、ステップS12はNOに進み、ステップS15に示すように、現在の色の測定が所定回数に達したか否かが制御部18によって判断される。そして所定回数に達していないと制御部18によって判断された場合には、ステップS14に移行して、現在の色の測色工程が継続される。一方、所定回数に達したと判断された場合には、ステップS3に移行し、色番号が初期値である1に設定されて、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に進むようになる。例えば所定回数が5回に設定されており、図6のA31、A32に示すように、4番目の色について、比較対象の色と不一致であると判定されたとする。この場合には、色の不一致の判定が4回行われるまでは、図20のステップS15から、色番号がインクリメントされることなく、ステップS14に移行して、現在の色である4番目の色の測色工程が継続されて、再測色が行われる。そして5回目の再測色においても、色が不一致である判断された場合には、所定回数に達したと判断されて、ステップS15からステップS3に移行する。これにより、色番号が1に設定されて、色グループの最初の色の測色工程に自動的に進むようになる。即ち、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数である5回繰り返しても、比較対象の色に一致しなかった場合に、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に自動的に進む。このようにすれば、色グループのうちの、測定対象のある色について、繰り返し測色を行っても判定結果がOKにならないような場合に、当該測定対象に対する測色をスキップして、次の測定対象の測色工程に移行できるようになる。従って、再測色が所定回数繰り返されると、その測定対象についての測色が自動的にスキップされて、ユーザーは、次の測定対象の測定を行えるようになるため、ユーザーの利便性を向上できる。
また本実施形態では、色グループには、色の一致についての許容条件が設定されており、判断部16は、設定された許容条件に基づいて、測色した色と比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。例えば許容条件として、色差の許容値が設定される場合に、判断部16は、測色した色と比較対象の色の色差が当該許容値を越えたか否かを判断することで、測色した色と比較対象の色とが一致するかどうかを判断する。このようにすれば、測色した色と測定対象の色との一致の条件として、種々の許容条件を設定して、測色した色と測定対象の色とが一致するかの判断を行えるようになる。従って、例えば色グループに応じた適切な許容条件により、測色した色と比較の色とが一致するかどうかの判断処理を行えるようになり、適正な比較判定処理を実現できる。
例えば図21は測色システム10における各種の設定についての説明図である。図21の設定画面においては、ユーザーは、自身が所望するお気に入りの設定を行うことができる。例えば測色の設定については、Mファクターや測色回数が設定可能であり、色計算の設定については、観察光源、色差式、色差閾値が設定可能であり、カラープロファイルも設定可能になっている。このように、図21では、色差の許容値である色差閾値や、色差の計算式である色差式や、或いは観察光源などの許容条件が設定可能になっている。なお、ユーザーが指定可能な色差の計算式として例えばΔE2000、ΔE1994(グラフィックアーツ)、ΔE1994(テキスタイル)、ΔE1976等がある。例えばΔE1976はCIE76と呼ばれ、1976年に定義された色差式であり、CIE LAB色空間であるLab色空間におけるユークリッド距離として定義される。Lab色空間は、色を、明度Lとクロマネティクス指数a、bからなる均等色空間上の座標で表したものであるが、色によっては、色差ΔEと人の目による評価が異なるという問題がある。これは人の目の色識別域の形状がLab色空間での許容色差の範囲とは異なり、知覚的非均一性があるためである。CIE94と呼ばれるΔE1994では、Lab色空間を使用しながら知覚的非均一性に対応するように拡張されている。具体的にはΔE1994では、特定用途のための重み付け係数を導入している。ΔE1994(グラフィックアーツ)とΔE1994(テキスタイル)とでは、この重み付け係数の値が異なっている。CIEDE2000と呼ばれるΔE2000は、計算に基づく色差が、Lab色空間上での人の目の色識別域に近似するように計算式を定義している。具体的には明度差、彩度差、色相差をもとに、重価係数で重み付けが行われる。重価係数は、明度、彩度及び色相角の影響が加味されており、Lab色空間上での人の目の色識別域の特徴である彩度依存性、色相依存性及び明度依存性が考慮された計算式になっている。
以上に説明したように、本実施形態は、測色を行う測色部と、複数の色を含む色グループの指定を受け付ける受け付け部と、測色部が測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを判断する判断部と、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進める制御部と、を含む測色システムに関係する。
本実施形態によれば、測色した色と比較対象の色とが一致した判断された場合には、例えばユーザーが次の色の測色に進める操作を行わなくても、自動的に次の色の測色を行う測色工程に進むようになるため、ユーザーの操作を簡素化でき、測色の作業の円滑化を図れるようになる。
また本実施形態では、制御部は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合に、現在の色の測色を行う測色工程を自動的に継続してもよい。
このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致しない場合には、次の色の測色工程に進まずに、現在の色の測色工程が継続される。従って、ユーザーが、現在の色の測色を再度行うことを指示しなくても、現在の色の測色を再度行えるようになり、ユーザーの操作を簡素化でき、測色の作業の円滑化を図れるようになる。
また本実施形態では、制御部は、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断されて、次の色の測色工程に進めるユーザー操作が行われた場合には、次の色の測色を行う測色工程に進めてもよい。
このようにすれば、測色した色と比較対象の色とが一致しないと判断された場合にもユーザーが次の色の測色工程に進める操作を行うという意思表示を行った場合には、現在の色の測色工程は継続されず、次の測色工程に進むようになる。従って、ユーザーの操作を簡素化して測色の作業の円滑化を図りながら、次の測色工程に進めるというユーザーの意思表示も反映できるようになる。
また本実施形態では、制御部は、色グループの最後の比較対象の色が測色した色と一致したと判断された場合に、色グループの最初の比較対象の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。
このようにすれば、例えば複数の測色対象の各々について、色グループの測色を行う場合に、ユーザーは、1つの測色対象についての色グループの測色が完了したときに、次の測色対象について、色グループの1番目の色からの測色の作業を行えるようになる。
また本実施形態では、制御部は、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数繰り返しても、比較対象の色に一致しないと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。
このようにすれば、現在の色についての再測色が所定回数繰り返されると、その色についての測色が自動的にスキップされて、ユーザーは、次の色の測定を行えるようになるため、ユーザーの利便性を向上できる。
また本実施形態では、制御部は、測色した色と比較対象の色が一致せずに現在の色の測色を所定回数繰り返しても、比較対象の色に一致しないと判断された場合に、色グループの最初の色の測色を行う測色工程に自動的に進めてもよい。
このようにすれば、現在の色についての再測色が所定回数繰り返されると、その測定対象についての測色が自動的にスキップされて、ユーザーは、次の測定対象の測定を行えるようになるため、ユーザーの利便性を向上できる。
また本実施形態では、色グループには、色の一致の許容条件が設定されており、判断部は、許容条件に基づいて、測色した色と比較対象の色とが一致するかどうかを判断してもよい。
このようにすれば、測色した色と測定対象の色との一致の条件として、種々の許容条件を設定して、測色した色と測定対象の色とが一致するかの判断を行えるようになる。
また本実施形態では、次に測色する色の比較対象の色の識別情報及び次に測色する色の比較対象の色の概要の色の少なくとも一方を表示させる表示処理部を含んでもよい。
このようにすれば、ユーザーは、次に測色する色がどの色であるかや色グループの何番目の色であるかを識別したり、次に測色する色がどのような概要の色であるかを知ることができるようになり、測色の作業を円滑に進めることが可能になる。
また本実施形態では、表示処理部は、今回に測色した色の識別情報及び今回に測色した色の概要の色の少なくとも一方を表示させてもよい。
このようにすれば、ユーザーは、今回に測色した色がどの色であるかや色グループの何番目の色であるかを識別したり、今回に測色した色がどのような概要の色であるかを知ることができるようになり、色グループの測色の作業の円滑化を図れるようになる。
また本実施形態では、表示処理部は、測色の作業の完了を知らせる報知情報を表示させてもよい。
このようにすれば、ユーザーは、測色の作業の完了を知らせる報知情報を見ることで、色グループについての測色の作業が完了したことを視覚的に確認できるようになり、色グループの測色の作業の円滑化を図れる。
また本実施形態は、複数の色を含む色グループの指定を受け付ける受け付け部と、測色部が測色した色と色グループの中の比較対象の色とが一致するかどうかを判断する判断部と、測色した色と比較対象の色とが一致したと判断された場合に、色グループの次の色の測色を行う測色工程に自動的に進める制御部として、測色部と通信するコンピューターを機能させるプログラムに関係する。
本実施形態によれば、測色した色と比較対象の色とが一致した判断された場合には、例えばユーザーが次の色の測色に進める操作を行わなくても、自動的に次の色の測色を行う測色工程に進むようになるため、ユーザーの操作を簡素化でき、測色の作業の円滑化を図れるようになる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また測色システム、測色器、端末装置等の構成及び動作等や測色方法や測色によって印刷物を生産する方法なども、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。また本実施形態で説明した動作の主体や機能は、一体の装置が備えていてもよいし、複数体で分散して実行する装置が備えていてもよい。
例えば、測色器30は、タッチパネルディスプレイやマイクなどの他の入力手段を持ち、十字キーを有さないようにしてもよい。また測色器30は、ディスプレイを持たなくてもよい。この場合、音声で通知をするようにしてもよいし、画面を外部に大きく投影してもよいし、端末装置60で操作をするだけで測色器30では操作できないようにしてもよい。もちろん、これらと測色器30が有するディスプレイへの表示とを組み合わせてもよい。
また、色の一致、不一致を判断する基準となる許容条件は、測色器30自体に登録していてもよいし、色グループ全体に対して1つだけ対応付けて登録していてもよいし、色グループの中の個別の色毎に対応付けて登録していてもよい。なおこれらのうち、複数の登録がされている場合には、後者の方を優先して使用することが望ましい。また、許容条件はユーザーが測色前に選択可能であってもよいし、固定であってもよい。
また測色器30は、測色器30が有する測色ボタン40が押されたことに応じて測色を行うが、これに代えて又はこれに加えて、他のトリガーで測色を行ってもよい。例えば、ユーザーからの音声での指示に応じて測色を行ったり、端末装置60からの指示に応じて測色を行ったりしてもよい。更に測色器30が対象物に押し当てられたことを検知して測色を行ってもよい。或いは、測色器30は所定の制限時間まで常に測色を繰り返し、基準色と一致する色が測色されればその色を測色対象とみなし、基準色と一致する色が制限時間までに測色されなければ、制限時間中に測色された色の中で最も基準色に近い色を測色対象とみなしてもよい。