JP2022127406A - エアサスペンション装置およびその制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンプレッサに過大な負荷が作用することなく、車高調整を円滑に行う。【解決手段】車高上昇制御を行う場合に、後輪側第2バルブ22を開弁させてコンプレッサ4から吐出した空気を後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)に供給した後、第1バルブ20を開弁させてタンク15内の空気を後輪側エアサスペンション3に供給する。これにより、後輪側分岐管路19内の圧力がタンク圧によって上昇した状態でコンプレッサ4が起動する場合に比較して、コンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷が急激に増大するのを抑え、コンプレッサ4から後輪側エアサスペンション3に安定的に空気を供給することにより、車高上昇制御を円滑に行うことができる。【選択図】 図1

Description

本開示は、例えば4輪自動車等の車両に搭載されるエアサスペンション装置、およびエアサスペンション装置の制御装置に関する。
車両に搭載される車高調整用のエアサスペンション装置は、空気を圧縮するコンプレッサと、コンプレッサにより圧縮された空気を貯留するタンクとを備えている。このようなエアサスペンション装置として、タンク圧が低下して車高上昇速度が閾値以下となった場合に、コンプレッサから吐出した空気をエアサスペンションに供給するものが提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2015-105015号公報 特開2010-105584号公報
しかし、従来技術では、先にタンク内の空気をエアサスペンションに供給し、タンク圧が低下した場合に、コンプレッサを駆動して圧縮した空気をエアサスペンションに供給する。このため、エアサスペンションに空気を供給する管路内の圧力により、コンプレッサに過大な負荷が作用してコンプレッサが駆動できなくなり、コンプレッサから吐出する空気をエアサスペンションに供給することができなくなるという問題がある。
本発明の一実施形態の目的は、コンプレッサに過大な負荷が作用することなく、車高調整を円滑に行うことができるようにしたエアサスペンション装置およびその制御装置を提供することにある。
本発明の一実施形態は、車両に設けられるエアサスペンション装置であって、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを有し、前記第2バルブを開弁させて前記コンプレッサから吐出した空気を前記エアサスペンションに供給した後、前記第1バルブを開弁させて前記タンク内の空気を前記エアサスペンションに供給する。
また、本発明の一実施形態は、車両に設けられるエアサスペンション装置であって、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションと、前記コンプレッサの吐出側と前記第2バルブとの間に設けられた第3バルブとを有し、前記コンプレッサを駆動した後、前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブを開弁させ、前記コンプレッサから吐出した空気と前記タンクに貯留された空気を前記エアサスペンションに供給する。
また、本発明の一実施形態は、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを備えたエアサスペンション装置の制御装置であって、前記制御装置は、前記第2バルブを開弁させる信号を出力した後、前記第1バルブを開弁させる信号を出力する。
本発明の一実施形態によれば、コンプレッサに過大な負荷が作用することなく、車高調整を円滑に行うことができる。
本発明の第1の実施形態によるエアサスペンション装置を示す回路図である。 コントローラを含むエアサスペンション装置の制御ブロック図である。 車高上昇制御においてコントローラが実行する制御処理を示す流れ図である。 コンプレッサ駆動処理を示す流れ図である。 第1バルブ閉弁判断処理を示す流れ図である。 車高上昇制御による後輪側車高、前輪側車高等の変化を示す特性線図である。 第1の実施形態により車高上昇制御を行った場合の左右の後輪側車高、左右の前輪側車高、タンク圧の変化を示す特性線図である。 車高上昇制御を連続して行った場合の左右の後輪側車高、左右の前輪側車高、タンク圧の変化を示す特性線図である。 第1の比較例によって車高上昇制御を行った場合の左右の後輪側車高、左右の前輪側車高、タンク圧の変化を示す特性線図である。 第2の比較例によって車高上昇制御を行った場合の左右の後輪側車高、左右の前輪側車高の変化を示す特性線図である。 タンク圧が閾値A以上であるときに、第1の実施形態によって車高上昇制御を行った場合の後輪側車高、前輪側車高、タンク圧の変化を示す特性線図である。 図11中のXII部を拡大した特性線図である。 タンク圧が閾値A以上であるときに、第3の比較例によって車高上昇制御を行った場合の後輪側車高、前輪側車高、タンク圧の変化を示す特性線図である。 図13中のXIV部を拡大した特性線図である。 第2の実施形態によるエアサスペンション装置を示す回路図である。 第2の実施形態による車高上昇制御においてコントローラが実行する制御処理を示す流れ図である。 車高上昇制御終了処理を示す流れ図である。
以下、本発明の実施形態によるエアサスペンション装置を、4輪自動車に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図14は第1の実施形態を示している。第1の実施形態によるエアサスペンション装置1は、前輪側エアサスペンション2、後輪側エアサスペンション3、コンプレッサ4、タンク15、第1バルブ20、前輪側第2バルブ21、後輪側第2バルブ22、コントローラ23等を含んで構成されている。エアサスペンション装置1は、オープン回路を構成している。
左右の前輪側エアサスペンション2は、車両の車体と前車軸(いずれも図示せず)との間に介装され、左前輪(FL)側および右前輪(FR)側に配置されている。前輪側エアサスペンション2は、例えば前車軸側に取付けられるシリンダ2Aと、シリンダ2A内から軸方向へと伸縮可能に突出し突出端側が車体側に取付けられるピストンロッド(図示せず)と、このピストンロッドの突出端側とシリンダ2Aとの間に伸縮可能に設けられた空気ばね2Bとにより構成されている。前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bは、後述する前輪側分岐管路18を通じて空気が給排されることにより軸方向に拡縮される。このとき、前輪側エアサスペンション2は、ピストンロッドが軸方向に伸縮することにより、空気ばね2Bに対する空気の給排量に応じて前輪側の車高調整を行う。
左右の後輪側エアサスペンション3は、車両の車体と後車軸(いずれも図示せず)との間に介装され、左後輪(RL)側および右後輪(RR)側に配置されている。後輪側エアサスペンション3は、例えば後車軸側に取付けられるシリンダ3Aと、シリンダ3A内から軸方向へと伸縮可能に突出し突出端側が車体側に取付けられるピストンロッド(図示せず)と、このピストンロッドの突出端側とシリンダ3Aとの間に伸縮可能に設けられた空気ばね3Bとにより構成されている。後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bは、後述する後輪側分岐管路19を通じて空気が給排されることにより軸方向に拡縮される。このとき、後輪側エアサスペンション3は、ピストンロッドが軸方向に伸縮することにより、空気ばね3Bに対する空気の給排量に応じて後輪側の車高調整を行う。
コンプレッサ4は、吸気側4Aから吸込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成し、この圧縮空気を吐出側4Bから吐出する。コンプレッサ4は、例えば往復動式圧縮機またはスクロール式圧縮機等により構成され、電動モータ5の出力軸にクランク機構を介して取付けられたピストン(いずれも図示せず)を有している。コンプレッサ4の吸気側4Aには、外気を吸い込む吸気管路6の一端が接続されている。吸気管路6の他端には、空気中の塵埃を除去するフィルタ7が設けられている。コンプレッサ4は、電動モータ5の回転をクランク機構を介してピストンの往復動作に変換することにより、吸気側4Aから吸込んだ空気を圧縮して吐出側4Bに吐出する。
コンプレッサ4の吐出側4Bには、給排管路8の一端が接続されている。給排管路8の他端は、接続点9において前輪側分岐管路18に接続されている。給排管路8は、コンプレッサ4から吐出されてタンク15に供給される空気、車高上昇時にコンプレッサ4から前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3に供給される空気、車高下降時に前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3から排出された空気等が流通する。給排管路8の途中部位には、エアドライヤ10とスローリターンバルブ11が設けられている。
エアドライヤ10は、コンプレッサ4と接続点9との間に位置して給排管路8に設けられている。エアドライヤ10は、例えばシリカゲル等の水分吸着剤を内蔵し、コンプレッサ4から吐出した空気が給排管路8を流通するときに、この空気(圧縮空気)に含まれる水分を吸着し、乾燥した空気をタンク15に供給する。一方、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3から給排管路8に排出された空気が、エアドライヤ10を流通するときには、乾燥した空気によってエアドライヤ10内の水分吸着剤が再生される。
スローリターンバルブ11は、接続点9とエアドライヤ10との間に位置して給排管路8に設けられている。スローリターンバルブ11は、絞り11Aとチェック弁11Bとの並列回路により構成されている。チェック弁11Bは、エアドライヤ10から接続点9に向かう空気の流れを許容し、接続点9からエアドライヤ10に向かう空気の流れを阻止する。スローリターンバルブ11は、絞り11Aによって接続点9からエアドライヤ10に向かう空気の流量を絞る。これにより、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3から排出された乾燥した空気が、エアドライヤ10内をゆっくり流通し、エアドライヤ10内の水分吸着剤の再生が促進される。
排気管路12の一端は、コンプレッサ4とエアドライヤ10との間で給排管路8に接続されている。排気管路12の他端は大気中に開口し、排気管路12の他端には消音器13が設けられている。排気管路12は、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3から排出された空気を大気中に放出する。排気管路12には、排気バルブ14が設けられている。排気バルブ14は、例えば2ポート2位置の電磁式切替弁(ソレノイドバルブ)により構成されている。排気バルブ14は、通常時は遮断位置(a)を保持し、コントローラ23からの制御信号が出力されることにより、連通位置(b)に切り替えられる。
タンク15は、タンク管路16および前輪側分岐管路18を介して左右の前輪側エアサスペンション2に接続されると共に、タンク管路16および後輪側分岐管路19を介して左右の後輪側エアサスペンション3に接続されている。タンク15は、コンプレッサ4の吐出側4Bに第1バルブ20を介して接続され、コンプレッサ4によって圧縮された空気を貯留する。タンク15にはタンク管路16の一端が接続され、タンク管路16の他端は、分岐点17において前輪側分岐管路18と後輪側分岐管路19とに接続されている。
前輪側分岐管路18は、タンク管路16を介してタンク15と左右の前輪側エアサスペンション2との間を接続している。前輪側分岐管路18の一端は、分岐点17においてタンク管路16に接続され、前輪側分岐管路18の他端は、左前分岐管路18Aと右前分岐管路18Bとに分岐している。左前分岐管路18Aは、左前輪(FL)側の前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bに接続され、右前分岐管路18Bは、右前輪(FR)側の前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bに接続されている。また、前輪側分岐管路18は、接続点9において給排管路8に接続されている。
後輪側分岐管路19は、タンク管路16を介してタンク15と左右の後輪側エアサスペンション3との間を接続している。後輪側分岐管路19の一端は、分岐点17においてタンク管路16に接続され、後輪側分岐管路19の他端は、左後分岐管路19Aと右後分岐管路19Bとに分岐している。左後分岐管路19Aは、左後輪(RL)側の後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bに接続され、右後分岐管路19Bは、右後輪(RR)側の後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bに接続されている。
第1バルブ20は、タンク15と分岐点17との間に位置してタンク管路16に設けられている。第1バルブ20は、例えば2ポート2位置の電磁式切替弁により構成され、通常時は遮断位置(c)を保持し、コントローラ23からの制御信号が出力されることにより、連通位置(d)に切り替えられる。
第1バルブ20が遮断位置(c)を保持した状態でコンプレッサ4が駆動された場合には、コンプレッサ4から吐出した空気は、給排管路8、前輪側分岐管路18を通じて前輪側エアサスペンション2に供給されると共に、給排管路8、前輪側分岐管路18、後輪側分岐管路19を通じて後輪側エアサスペンション3に供給される。一方、第1バルブ20が連通位置(d)に切り替えられた状態では、タンク15内の空気がタンク管路16に吐出し、分岐点17において前輪側分岐管路18と後輪側分岐管路19とに分岐した後、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3に供給される。
2個の前輪側第2バルブ21は、左前分岐管路18Aおよび右前分岐管路18Bに1個ずつ設けられている。具体的には、一方の前輪側第2バルブ21は、左前輪(FL)側の前輪側エアサスペンション2と接続点9との間に位置して左前分岐管路18Aに設けられ、他方の前輪側第2バルブ21は、右前輪(FR)側の前輪側エアサスペンション2と接続点9との間に位置して右前分岐管路18Bに設けられている。即ち、左右の前輪側エアサスペンション2は、それぞれコンプレッサ4の吐出側4Bに前輪側第2バルブ21を介して接続されている。これら2個の前輪側第2バルブ21は、例えば2ポート2位置の電磁式切替弁により構成され、通常時は遮断位置(e)を保持し、コントローラ23からの制御信号が出力されることにより、連通位置(f)に切り替えられる。従って、前輪側第2バルブ21が遮断位置(e)から連通位置(f)に切り替えられることにより、コンプレッサ4から吐出した空気およびタンク15内の空気が、左右の前輪側エアサスペンション2に供給される。
2個の後輪側第2バルブ22は、左後分岐管路19Aおよび右後分岐管路19Bに1個ずつ設けられている。具体的には、一方の後輪側第2バルブ22は、左後輪(RL)側の後輪側エアサスペンション3と分岐点17との間に位置して左後分岐管路19Aに設けられ、他方の後輪側第2バルブ22は、右後輪(RR)側の後輪側エアサスペンション3と分岐点17との間に位置して右後分岐管路19Bに設けられている。即ち、左右の後輪側エアサスペンション3は、それぞれコンプレッサ4の吐出側4Bに後輪側第2バルブ22を介して接続されている。これら2個の後輪側第2バルブ22は、例えば2ポート2位置の電磁式切替弁により構成され、通常時は遮断位置(g)を保持し、コントローラ23からの制御信号が出力されることにより、連通位置(h)に切り替えられる。従って、後輪側第2バルブ22が遮断位置(g)から連通位置(h)に切り替えられることにより、コンプレッサ4から吐出した空気およびタンク15からの空気が、左右の後輪側エアサスペンション3に供給される。
制御装置としてのコントローラ23は、例えばマイクロコンピュータ等により構成されている。コントローラ23の入力側には、圧力センサ24、前輪側車高センサ25、後輪側車高センサ26等が接続されている。圧力センサ24は、例えば分岐点17の位置に設けられ、タンク管路16を介してタンク15内の圧力を検出し、この圧力に応じた検出信号をコントローラ23に出力する。前輪側車高センサ25は、左前輪(FL)側、右前輪(FR)側にそれぞれ設けられ、左右の前輪側エアサスペンション2による車高を個別に検出し、車高に応じた検出信号をコントローラ23に出力する。後輪側車高センサ26は、左後輪(RL)側、右後輪(RR)側にそれぞれ設けられ、左右の後輪側エアサスペンション3による車高を個別に検出し、車高に応じた検出信号をコントローラ23に出力する。
コントローラ23の出力側は、コンプレッサ4の電動モータ5、排気バルブ14、第1バルブ20、前輪側第2バルブ21、後輪側第2バルブ22等に接続されている。コントローラ23は、ROM、RAM、不揮発性メモリ等からなるメモリ23Aを有し、メモリ23Aには、後述する車高上昇制御に用いられる所定の車高H1、中間車高H2、目標車高H3等が、更新可能に格納されている。
ここで、タンク15に貯留された圧縮空気のみを用いて車高上昇制御が完了するタンク圧を閾値A(所定値)とし、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3のばね圧よりも高く閾値Aよりも低いタンク圧を閾値Bとする。タンク15のタンク圧が閾値Aよりも低く閾値Bよりも高い場合に、第1バルブ20を開弁させてタンク15内の空気を空気ばね2B,2Bに供給すると、車高は上昇するものの、車高上昇の途中でタンク圧と空気ばね2B,2Bの空気ばね圧とが等しくなり、目標車高に達する前に車高上昇制御が停止してしまう。このため、本実施形態では、タンク圧が閾値Aよりも低く閾値Bよりも高い場合には、タンク15への蓄圧を行うコンプレッサ4を、車高上昇制御にも用いるようになっている。なお、タンク圧が閾値B以下のときには、車高上昇制御は実施されない。また、タンク圧の閾値A,Bは、積載荷重による空気ばね2B,2Bの空気ばね圧の変化、現在の車高と目標車高との差等に応じて適宜に変更することができる。
次に、前輪側エアサスペンション2と後輪側エアサスペンション3に空気を供給し、車高を上昇させる制御(車高上昇制御)について説明する。ここで、車高上昇制御を開始した時点の車高(現在車高)と目標車高との差(車高調整距離)が大きい場合には、車高上昇制御を開始した時点の車高と目標車高との間に中間車高を設定する。これにより、後輪側車高が中間車高に達した後、前輪側の車高上昇制御が行われ、後輪側車高と前輪側車高が目標車高に達するまで、後輪側の車高上昇制御と前輪側の車高上昇制御とが交互に行われる。これにより、後輪側車高と前輪側車高との間に生じる最大車高差によって車両が大きく前傾するのを抑制することができ、車両を水平に近い姿勢に保つことができる。
そこで、後輪側車高と前輪側車高とを中間車高まで上昇させる車高上昇制御について、図3ないし図5の流れ図を参照しつつ説明する。なお、図3ないし図5に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示している。
図3に示す車高上昇制御のメインルーチンは、例えば車両に設けられた車高上昇用のスイッチ(図示せず)を操作することによりスタートし、S1において、サブルーチンであるコンプレッサ4の駆動処理が行われる。図4に示すように、コンプレッサ4の駆動処理では、S2においてコントローラ23から排気バルブ14に制御信号が出力され、排気バルブ14は連通位置(b)に切り替えられて開弁する。続くS3では、コントローラ23から供給された制御信号によって電動モータ5が駆動され、コンプレッサ4が起動する。このように、電動モータ5によってコンプレッサ4を起動する前に、排気バルブ14を開弁させておくことにより、給排管路8内の圧力によって起動直後のコンプレッサ4に過大な負荷が作用するのを抑えることができる。これにより、コンプレッサ4の起動時の電動モータ5の消費電力を抑えることができる。また、給排管路8内の圧力によってコンプレッサ4のピストンが押され、電動モータ5の出力軸にクランク機構を締結するボルト(いずれも図示せず)が緩むのを抑え、コンプレッサ4によって圧縮空気が生成されなくなる事態を防止することができる。
続くS4では、電動モータ5を駆動した後、一定時間待機することにより、電動モータ5の回転数を定格値まで上昇させる。そして、一定の待機時間が経過すると、S5においてコントローラ23から排気バルブ14への制御信号の出力が停止され、排気バルブ14は遮断位置(a)に移行して閉弁する。このように、コンプレッサ4が始動してから一定の待機時間を置くことにより、コンプレッサ4の動作が安定し、コンプレッサ4から圧縮空気が吐出される状態となってコンプレッサ4の駆動処理が終了すると、メインルーチンに戻る。
メインルーチンのS6では、コントローラ23から後輪側第2バルブ22に制御信号が出力され、後輪側第2バルブ22は連通位置(h)に切り替えられて開弁する。これにより、コンプレッサ4から吐出した空気が、後輪側第2バルブ22を通じて左右の後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bに供給される。続くS7では、コントローラ23から第1バルブ20に制御信号が出力され、第1バルブ20は連通位置(d)に切り替えられて開弁する。このように、コントローラ23は、後輪側第2バルブ22に制御信号を出力して後輪側第2バルブ22を開弁させた後、第1バルブ20に制御信号を出力して第1バルブ20を開弁させる。
図6中の破線で示す特性線は、後輪側車高31の変化を示し、実線で示す特性線は、前輪側車高32の変化を示している。図6中の時点t1において、後輪側第2バルブ22が開弁した直後(所定時間が経過したとき)に、第1バルブ20が開弁する。これにより、コンプレッサ4から吐出した空気に加え、タンク15内に貯留された空気が左右の後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bに供給され、後輪側車高31が上昇し始める。この場合、後輪側の車高を前輪側よりも先に上昇させるのは、車両の走行時にヘッドライトが上向きになるのを防止するためである。
このように、本実施形態では、コンプレッサ4から吐出した空気を、後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)に供給した後、タンク15内の空気を、後輪側エアサスペンション3に供給する構成としている。これにより、後輪側分岐管路19内の圧力がタンク圧によって上昇した状態でコンプレッサ4が起動する場合に比較して、コンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷が急激に増大するのを抑えることができる。
S8では、後輪側車高センサ26からの検出信号に基づいて、後輪側車高が中間車高に達したか否かを判定する。S8で「NO」と判定している間は、後輪側の車高上昇制御が継続して行われる。S8で「YES」と判定した場合には、S9において、コントローラ23から後輪側第2バルブ22への制御信号の出力が停止され、後輪側第2バルブ22は閉弁する。これにより、図6に示すように、後輪側車高31は時点t2から中間車高に保持される。
続くS10では、コントローラ23から前輪側第2バルブ21に制御信号が出力され、前輪側第2バルブ21は連通位置(f)に切り替えられて開弁する。これにより、コンプレッサ4から吐出した空気とタンク15からの空気が、左右の前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bに供給され、図6に示すように、前輪側車高32は時点t2から上昇し始める。
このようにして、前輪側車高が、車両が走行時に縁石等の障害物に接触しない所定の車高H1より高い位置まで上昇した場合には、S11において、サブルーチンである第1バルブ20の閉弁判断処理を行う。即ち、図5に示す第1バルブ20の閉弁判断処理により、第1バルブ20を閉弁させてコンプレッサ4から供給される空気のみによって前輪側の車高上昇制御を行うか否かを判断する。この判断は、前輪側の車高上昇制御が行われているときにタンク15のタンク圧が低下し、コンプレッサ4からの空気が、前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bではなく、タンク15に供給されるのを防止するために行われる。
図5に示す第1バルブ20の閉弁判断処理では、S12において、前輪側車高センサ25からの検出信号に基づいて、前輪側車高が所定の車高H1より高い位置まで上昇したか否かを判定する。S12で「NO」と判定している間は、タンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気による前輪側の車高上昇制御が継続して行われる。S12で「YES」と判定した場合には、S13において、第1バルブ20が閉弁しているか否かを判定する。S13で「YES」と判定した場合にはメインルーチンに戻り、「NO」と判定した場合にはS14に進む。
S14では、前輪側第2バルブ21が開弁した後の時間が、所定時間を経過したか否かを判定する。S14で「YES」と判定した場合にはS15に進み、「NO」と判定した場合にはS16に進む。S15では、コントローラ23から第1バルブ20への制御信号の出力が停止され、第1バルブ20が遮断位置(c)に移行して閉弁した後、メインルーチンに戻る。このように、前輪側車高が所定の車高H1を越えた図6中の時点t3において、第1バルブ20が閉弁することにより、コンプレッサ4からの空気のみが前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bに供給されるので、前輪側車高32は、時点t3以降の傾きが緩やかになる。
一方、S16では、前輪側の車高上昇速度が閾値以下であるか否かを判定する。S16で「YES」と判定した場合には、タンク圧の低下に伴って車高上昇速度が低下しているのでS15に進み、第1バルブ20を閉弁させる。S16で「NO」と判定した場合にはS17に進み、圧力センサ24からの検出信号に基づいて、タンク15のタンク圧が閾値以下であるか否かを判定する。
S17で「YES」と判定した場合には、圧力センサ24によって実測されたタンク圧が低下しているのでS15に進み、第1バルブ20を閉弁させる。S17で「NO」と判定した場合にはS18に進み、前輪側車高センサ25からの検出信号に基づいて、前輪側車高が閾値以上か否かを判定する。S18で「NO」と判定している間はこの判定を繰返し、「YES」と判定した場合には、S15に進んで第1バルブ20を閉弁させる。このように、タンク15内に、前輪側の車高上昇を継続するための空気の供給源として期待できるだけの圧縮空気が残存している場合でも、前輪側車高が閾値以上に達した状態で第1バルブ20を閉弁することにより、タンク15内の圧縮空気が必要以上に消費されるのを抑えることができる。
メインルーチンのS19では、前輪側車高センサ25からの検出信号に基づいて、前輪側車高が中間車高H2に達したか否かを判定する。S19で「NO」と判定している間は、前輪側の車高上昇制御が継続して行われる。S19で「YES」と判定した場合には、S20において、コントローラ23から前輪側第2バルブ21への制御信号の出力が停止され、前輪側第2バルブ21は閉弁する。これにより、図6に示すように、前輪側車高32は時点t4から中間車高H2に保持される。このように、後輪側車高31と前輪側車高32とが中間車高H2に達した時点で、現在車高から中間車高H2までの車高上昇制御が終了する。
後輪側車高31と前輪側車高32とが中間車高H2に達した後には、第1バルブ20を閉弁状態に保持した状態で、コントローラ23から後輪側第2バルブ22に制御信号が出力され、後輪側第2バルブ22が開弁する。これにより、コンプレッサ4から吐出した空気が、左右の後輪側エアサスペンション3の空気ばね3Bに供給され、図6に示すように、後輪側車高31は、時点t4において中間車高H2から目標車高H3に向けて上昇を開始する。そして、後輪側車高センサ26により、後輪側車高31が目標車高H3に達したことが検出された場合には、コントローラ23から後輪側第2バルブ22への制御信号の出力が停止され、後輪側第2バルブ22が閉弁する。これにより、後輪側車高31は、時点t5以降は目標車高H3を保持する。
後輪側第2バルブ22が閉弁した後には、コントローラ23から前輪側第2バルブ21に制御信号が出力され、前輪側第2バルブ21が開弁する。これにより、コンプレッサ4から吐出した空気が、左右の前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bに供給され、図6に示すように、前輪側車高32は、時点t5において中間車高H2から目標車高H3に向けて上昇し始める。そして、前輪側車高センサ25により、前輪側車高32が目標車高H3に達したことが検出された場合には、コントローラ23から前輪側第2バルブ21への制御信号の出力が停止され、前輪側第2バルブ21が閉弁する。これにより、図6中の時点t6以降は、後輪側車高31と前輪側車高32とが目標車高H3を保持する。そして、コントローラ23から電動モータ5への制御信号の出力が停止され、コンプレッサ4が停止することにより、一連の車高上昇制御が終了する。
かくして、本実施形態によるエアサスペンション装置1は、車高上昇制御を行う場合に、後輪側第2バルブ22を開弁させてコンプレッサ4から吐出した空気を後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)に供給した後、第1バルブ20を開弁させてタンク15内の空気を後輪側エアサスペンション3に供給する構成としている。これにより、後輪側分岐管路19内の圧力がタンク圧によって上昇した状態でコンプレッサ4が起動する場合に比較して、コンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷が急激に増大するのを抑え、コンプレッサ4から後輪側エアサスペンション3に安定的に空気を供給することにより、車高上昇制御を円滑に行うことができる。また、例えば従来技術のように、タンク15内の空気を後輪側エアサスペンション3に供給した後、コンプレッサ4からの空気を後輪側エアサスペンション3に供給する場合に、コンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷を抑えるため、後輪側分岐管路19等に残った高圧の空気を外部に排出する必要がない。従って、タンク15に貯留された圧縮空気が無駄に消費されるのを防止することができる。
なお、上述の車高上昇制御では、車高上昇制御を開始した時点の車高(現在車高)と目標車高H3との間に中間車高H2を設定した場合を例示している。しかし、例えば目標車高が低く設定され、現在車高と目標車高との差(車高調整距離)が小さい場合には、中間車高を設定することなく、後輪側車高を目標車高まで上昇させた後、前輪側車高を目標車高まで上昇させることにより、車高上昇制御に要する時間を短縮することができる。
次に、本実施形態のエアサスペンション装置1のようにコンプレッサ4から吐出した空気とタンク15からの空気を併用して車高上昇制御を行う場合と、タンク15内に貯留された空気のみを用いて車高上昇制御を行う場合(比較例1)と、コンプレッサから吐出する空気のみを用いて車高上昇制御を行う場合(比較例2)との比較について、図7ないし図10を参照して説明する。
図7は、本実施形態のエアサスペンション装置1によって車高上昇制御を行った場合の後輪側車高、前輪側車高、タンク圧の変化を示している。図8は、図7の態様で上昇した車高を一旦下げた(車高下げ動作を行った)後、タンク圧を充填することなく連続して2度目の車高上昇制御を行った場合の後輪側車高、前輪側車高、タンク圧の変化を示している。図7、図8において長破線の特性線は左後輪側車高31L、破線の特性線は右後輪側車高31Rを示し、実線の特性線は左前輪側車高32L、短破線の特性線は右前輪側車高32Rを示し、一点鎖線の特性線はタンク圧33を示している。
図9は、タンク15内に貯留された空気のみを用いて車高上昇制御を行う場合(比較例1)を示し、図9において長破線の特性線は左後輪側車高31L′、破線の特性線は右後輪側車高31R′を示している。また、実線の特性線は左前輪側車高32L′、短破線の特性線は右前輪側車高32R′を示し、一点鎖線の特性線はタンク圧33′を示している。図10は、コンプレッサから吐出する空気のみを用いて車高上昇制御を行う場合(比較例2)を示し、図10において長破線の特性線は左後輪側車高31L″、破線の特性線は右後輪側車高31R″を示している。また、実線の特性線は左前輪側車高32L″、短破線の特性線は右前輪側車高32R″を示している。
まず、本実施形態において、左,右の後輪側車高31L,31Rと左,右の前輪側車高32L,32Rとが中間車高H2に達する時点t11は、比較例1(タンク圧のみ)において左,右の後輪側車高31L′,31R′と左,右の前輪側車高32L′,32R′とが中間車高H2に達する時点と同等である。
この場合、本実施形態では、左,右の前輪側車高32L,32Rが所定の車高H1よりも高くなると、中間車高H2に達する前に第1バルブ20が閉弁するため、時点t11以降はタンク圧33が一定の圧力P1に保持され、中間車高H2から目標車高H3までの車高上昇は、コンプレッサ4から吐出する空気のみを用いて行われる。これにより、左,右の後輪側車高31L,31Rは、時点t12において目標車高H3に達し、左,右の前輪側車高32L,32Rは、時点t13において目標車高H3に達する。
これに対し、タンクからの空気のみを用いて車高上昇制御を行う比較例1では、左,右の後輪側車高31L′,31R′は、時点t12前に目標車高H3に達する。しかし、タンク圧33′は、左,右の前輪側車高32L′,32R′が目標車高H3に達する前に前輪側エアサスペンション2の空気ばね2Bの圧力付近まで低下していく。このため、比較例1では、左,右の前輪側車高32L′,32R′が目標車高H3に達するのは時点t13以降となり、車高上昇速度は著しく低下する。一方、コンプレッサから吐出する空気のみを用いて車高上昇制御を行う比較例2では、左,右の後輪側車高31L″,31R″と左,右の前輪側車高32L″,32R″とが中間車高H2に達するのが時点t11よりも遅くなる。従って、車高上昇制御が完了する前に車両を走行させた場合、車体の底面が路上の障害物、坂道等に接触する虞がある。
本実施形態によるエアサスペンション装置1は、1度目の車高上昇制御の時点t11以降はタンク圧33が圧力P1を保持する。このため、図7の態様で上昇した車高を一旦下げた後、タンク15内に圧縮空気を充填することなく連続して2度目の車高上昇制御(図8)を行う場合でも、タンク15内には、圧力P1のタンク圧33が保持されている。このため、図8に示すように、左,右の前輪側車高32L,32Rが所定の車高H1よりも高くなるまでは、空気ばね2B,2Bにタンク圧33を供給することにより、左,右の後輪側車高31L,31Rおよび左,右の前輪側車高32L,32Rは、時点t14において中間車高H2に達する。この場合も、左,右の前輪側車高32L,32Rが所定の車高H1よりも高くなると、中間車高H2に達する前に第1バルブ20が閉弁するため、時点t14以降はコンプレッサ4から吐出する空気によって車高上昇制御が継続される。これにより、左,右の後輪側車高31L,31Rは、時点t15において目標車高H3に達し、左,右の前輪側車高32L,32Rは、時点t16において目標車高H3に達する。この場合、2度目の車高上昇制御により、左,右の前輪側車高32L,32Rが目標車高H3に達するまでの時間は、図7に示す1度目の車高上昇制御とほぼ同等である。
このように、本実施形態によるエアサスペンション装置1は、タンク15内の空気とコンプレッサ4から吐出する空気とを併用して車高上昇制御を行う構成としている。これにより、タンク内の空気のみを用いて車高上昇制御を行う構成(比較例1)、コンプレッサから吐出する空気のみを用いて車高上昇制御を行う構成(比較例2)に比較して、車高上昇制御に要する時間を短縮化することができる。しかも、本実施形態では、前輪側エアサスペンション2、後輪側エアサスペンション3に対し、コンプレッサ4から吐出した空気を供給した後、タンク15内の空気を供給する構成としている。これにより、給排管路8、前輪側分岐管路18、後輪側分岐管路19内の圧力がタンク圧によって上昇した状態でコンプレッサ4が起動する場合に比較して、コンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷が急激に増大するのを抑えることができる。この結果、コンプレッサ4が適正に作動して前輪側エアサスペンション2、後輪側エアサスペンション3に安定的に空気を供給することができ、車高上昇制御を円滑に行うことができる。
ここで、本実施形態では、タンク圧が、タンク15内の圧縮空気のみを用いて車高上昇制御が完了する閾値Aと、この閾値Aよりも低く空気ばね2B,3Bの空気ばね圧よりも高い閾値Bとの間に設定されている場合を例示している。しかし、タンク圧が閾値A以上の状態においても、本実施形態によるエアサスペンション装置1を用いて車高上昇制御を行うことができる。タンク圧が閾値A以上であれば、タンク圧のみを用いて車高上昇制御が完了し、車高上昇速度も早い。その反面、空気の流量が多いために各種バルブが開閉するときの応答速度の差、各種管路を流れるときの管路損失の差等の影響を受け易く、車高調整精度が低下する。これに対し、本実施形態によるエアサスペンション装置1により、タンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気を併用して車高上昇制御を行った場合には、車高上昇速度と車高調整制度の両方を高めることができる。この点について、図11ないし図14を参照して説明する。
図11および図12は、タンク圧が閾値A以上の状態で本実施形態のエアサスペンション装置1によって車高上昇制御を行った場合の、後輪側車高、前輪側車高、タンク圧の変化を示している。図11、図12において長破線の特性線は左後輪側車高34L、破線の特性線は右後輪側車高34Rを示し、実線の特性線は左前輪側車高35L、短破線の特性線は右前輪側車高35Rを示し、一点鎖線の特性線はタンク圧36を示している。一方、図13および図14は、タンク圧が閾値A以上の状態でタンク15からの空気のみを用いて車高上昇制御を行う場合(比較例3)を示し、図13、図14において長破線の特性線は左後輪側車高34L′、破線の特性線は右後輪側車高34R′を示し、実線の特性線は左前輪側車高35L′、短破線の特性線は右前輪側車高35R′を示し、一点鎖線の特性線はタンク圧36′を示している。なお、図11ないし図14は、後輪側に比べて前輪側が軽量である車両が車高上昇制御を行った場合の車高の変化を示している。
まず、本実施形態では、タンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気を併用して車高上昇制御を行い、時点t21において左,右の後輪側車高34L,34Rと左,右の前輪側車高35L,35Rとが中間車高H2に達した後、左,右の前輪側車高35L,35Rが目標車高H3に達する前の時点t22において第1バルブ20を閉弁する。これにより、時点t22以降はコンプレッサ4からの空気のみを用いて車高上昇制御が行われ、時点t23において左,右の後輪側車高34L,34Rと左,右の前輪側車高35L,35Rとが目標車高H3に達する。
一方、比較例3では、タンク15からの空気のみを用いて車高上昇制御を行うことにより、左,右の後輪側車高34L′,34R′と左,右の前輪側車高35L′,35R′とは、時点t21において中間車高H2に達し、時点t23において目標車高H3に達する。このように、タンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気を併用する本実施形態と、タンク15からの空気のみを用いた比較例3とでは、車高上昇制御に要する時間は同等である。
しかし、閾値A以上のタンク圧に設定されたタンク15からの空気を用いて車高上昇制御を行った場合(比較例3)には、軽量である前輪側の車高上昇速度が後輪側の車高上昇速度よりも早い。このため、図14に示すように、目標車高H3に対する左前輪側車高35L′と右前輪側車高35R′の誤差が大きくなる。これに対し、タンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気を併用した本実施形態では、左,右の前輪側車高35L,35Rが目標車高H3に達する前(時点t22)に第1バルブ20を閉弁し、コンプレッサ4からの空気のみに切換えることができる。これにより、図12に示すように、目標車高H3に対する左前輪側車高35Lと右前輪側車高35Rの誤差を低減することができる。
なお、閾値A以上のタンク圧に設定されたタンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気と併用した場合には、タンク15からの空気の流量が増加する分、本実施形態においても、左後輪側車高34Lと右後輪側車高34Rが目標車高H3に対して誤差を生じ易い。これに対しては、左,右の後輪側車高34L,34Rが目標車高H3に達する前にも、第1バルブ20を閉弁させることにより、目標車高H3に対する左後輪側車高34Lと右後輪側車高34Rの誤差を低減することができる。そして、左後輪側車高34Lと右後輪側車高34Rとが目標車高H3に達した後、再び第1バルブ20を開弁させてタンク15からの空気とコンプレッサ4からの空気と併用するようにしてもよい。
次に、図15ないし図17は、本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態の特徴は、コンプレッサの吐出側と第2バルブとの間に第3バルブを設け、コンプレッサを駆動した後、第1バルブ、第2バルブ、第3バルブを開弁させてコンプレッサからの空気とタンクからの空気をエアサスペンションに供給することにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図15において、第2の実施形態によるエアサスペンション装置41は、第1の実施形態によるエアサスペンション装置1と同様に、前輪側エアサスペンション2、後輪側エアサスペンション3、コンプレッサ4、タンク15、第1バルブ20、前輪側第2バルブ21、後輪側第2バルブ22、コントローラ23等を含んで構成されている。しかし、エアサスペンション装置41は、第3バルブ42を備えている点でエアサスペンション装置1とは異なっている。
第3バルブ42は、前輪側エアサスペンション2および後輪側エアサスペンション3とコンプレッサ4の吐出側4Bとの間に設けられている。具体的には、第3バルブ42は、スローリターンバルブ11と接続点9との間に位置して給排管路8に設けられている。第3バルブ42は、例えば2ポート2位置の電磁式切替弁により構成され、通常時は遮断位置(j)を保持し、コントローラ23からの制御信号が出力されることにより、連通位置(k)に切り替えられる。第3バルブ42が遮断位置(j)を保持した状態では、コンプレッサ4の駆動時に第1バルブ20が開弁したとしても、タンク圧が第3バルブ42によって遮断されることにより、コンプレッサ4のピストンにタンク圧が作用するのを防止できる構成となっている。
第2の実施形態によるエアサスペンション装置41は、上述の如き構成を有するもので、次に、エアサスペンション装置41による車高上昇制御について説明する。図16に示す車高上昇制御のメインルーチンがスタートすると、S21で第1バルブ20を開弁させると共に、S22で後輪側第2バルブ22を開弁させる。これにより、タンク15内の空気が左右の後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)に供給される。
続くS23では、コンプレッサ4の駆動処理が行われる。コンプレッサ4の駆動処理は、第1の実施形態と同様に、図4のサブルーチンによって行われ、排気バルブ14が閉弁してコンプレッサ4の吐出圧が上昇する。この状態で、S24においてコントローラ23から第3バルブ42に制御信号が出力され、第3バルブ42は連通位置(k)に切り替えられて開弁する。これにより、S25では、タンク15からの空気とコンプレッサ4から吐出する空気を併用して車高上昇制御が行われる。この車高上昇制御において、例えば後輪側車高が目標車高に達すると、後輪側第2バルブ22を閉弁させると共に前輪側第2バルブ21を開弁させ、後輪側車高に続いて前輪側車高を上昇させる。
この場合、第3バルブ42が開弁するときには、コンプレッサ4からの吐出圧が十分に上昇している。このため、タンク15からの空気(タンク圧)によってコンプレッサ4(ピストン)に作用する負荷が急激に増大するのを抑え、コンプレッサ4から安定的に空気を供給することができる。しかも、コンプレッサ4が始動してから吐出圧が十分に上昇するまでの間(待機時間)に、タンク15からの空気を左右の後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)に供給することができる。この結果、コンプレッサ4からの吐出圧が十分に上昇するまでの待機時間を省くことができ、車高上昇制御に要する時間を短縮することができる。
続くS26では、前輪側車高センサ25からの検出信号に基づいて、前輪側車高が予め設定された閾値以上となったか否かを判定する。S26で「YES」と判定した場合には、S27で第1バルブ20を閉弁させ、コンプレッサ4から吐出する空気のみを用いて前輪側車高を上昇させる。続くS28では、前輪側車高センサ25からの検出信号に基づいて、前輪側車高が目標車高に達したか否かを判定する。S28で「YES」と判定した場合には、S29で前輪側第2バルブ21を閉弁させた後、S30で車高上昇制御終了処理を行う。
車高上昇制御終了処理では、図17に示すように、S31でコンプレッサ4を停止させ、続くS32で排気バルブ14を開弁させた後、S33で一定の待機時間を置く。これにより、給排管路8、前輪側分岐管路18、後輪側分岐管路19内の乾燥した空気がエアドライヤ10を通じて外部に排出され、エアドライヤ10内の水分吸着剤が再生される。そして、S34で排気バルブ14を閉弁させると共に、S35で第3バルブ42を閉弁させた後、メインルーチンのS30に戻る。これにより、第2の実施形態によるエアサスペンション装置41を用いた一連の車高上昇制御が終了する。
かくして、第2の実施形態では、コンプレッサ4からの吐出圧が十分に上昇した状態で第3バルブ42を開弁させることにより、タンク圧によってコンプレッサ4(ピストン)に過大な負荷が作用するのを抑え、コンプレッサ4から安定的に空気を供給することができる。この結果、コンプレッサ4からの吐出圧が十分に上昇するまでの待機時間を省くことができ、車高上昇制御に要する時間を短縮することができる。
なお、実施形態では、車高上昇制御時に、後輪側第2バルブ22が開弁した直後(所定時間が経過したとき)に、第1バルブ20が開弁する場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば後輪側エアサスペンション3(空気ばね3B)の圧力(空気ばね圧)が所定圧力に達したとき、即ち、コンプレッサ4からの吐出圧が十分に上昇したと判断されたときに、第1バルブ20を開弁させる構成としてもよい。
また、実施形態で記載した具体的な数値は、一例を示したものであり、例示した数値に限るものではない。
次に、上記実施形態に含まれるエアサスペンション装置として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、車両に設けられるエアサスペンション装置であって、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを有し、前記第2バルブを開弁させて前記コンプレッサから吐出した空気を前記エアサスペンションに供給した後、前記第1バルブを開弁させて前記タンク内の空気を前記エアサスペンションに供給することを特徴としている。
第2の態様としては、第1の態様において、前記第2バルブは、前記タンク内の圧力が所定値よりも低いときに開弁する。
第3の態様としては、第1、第2の態様において、前記第1バルブは、前記第2バルブが開弁して所定時間が経過したとき、または前記エアサスペンション内の圧力が所定値に達したときに開弁する。
第4の態様としては、車両に設けられるエアサスペンション装置であって、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションと、前記コンプレッサの吐出側と前記第2バルブとの間に設けられた第3バルブとを有し、前記コンプレッサを駆動した後、前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブを開弁させ、前記コンプレッサから吐出した空気と前記タンクに貯留された空気を前記エアサスペンションに供給することを特徴とする。
第5の態様としては、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを備えたエアサスペンション装置の制御装置であって、前記制御装置は、前記第2バルブを開弁させる信号を出力した後、前記第1バルブを開弁させる信号を出力することを特徴としている。
第6の態様としては、第5の態様において、前記エアサスペンションに前記コンプレッサから吐出した空気と前記タンクに貯留された空気を供給した後、前記第1バルブを閉弁させて前記コンプレッサから前記エアサスペンションへの空気の供給動作を継続させる。
1,41 エアサスペンション装置
2 前輪側エアサスペンション
3 後輪側エアサスペンション
4 コンプレッサ
4B 吐出側
15 タンク
20 第1バルブ
21 前輪側第2バルブ(第2バルブ)
22 後輪側第2バルブ(第2バルブ)
23 コントローラ(制御装置)
42 第3バルブ

Claims (6)

  1. 車両に設けられるエアサスペンション装置であって、
    空気を圧縮するコンプレッサと、
    前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、
    前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを有し、
    前記第2バルブを開弁させて前記コンプレッサから吐出した空気を前記エアサスペンションに供給した後、前記第1バルブを開弁させて前記タンク内の空気を前記エアサスペンションに供給することを特徴とするエアサスペンション装置。
  2. 前記第2バルブは、前記タンク内の圧力が所定値よりも低いときに開弁する請求項1に記載のエアサスペンション装置。
  3. 前記第1バルブは、前記第2バルブが開弁して所定時間が経過したとき、または前記エアサスペンション内の圧力が所定値に達したときに開弁する請求項1または2に記載のエアサスペンション装置。
  4. 車両に設けられるエアサスペンション装置であって、
    空気を圧縮するコンプレッサと、
    前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、
    前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションと、
    前記コンプレッサの吐出側と前記第2バルブとの間に設けられた第3バルブとを有し、
    前記コンプレッサを駆動した後、前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブを開弁させ、前記コンプレッサから吐出した空気と前記タンクに貯留された空気を前記エアサスペンションに供給することを特徴とするエアサスペンション装置。
  5. 空気を圧縮するコンプレッサと、
    前記コンプレッサの吐出側に第1バルブを介して接続され、圧縮された空気を貯留するタンクと、
    前記コンプレッサの吐出側に第2バルブを介して接続されるエアサスペンションとを備えたエアサスペンション装置の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記第2バルブを開弁させる信号を出力した後、前記第1バルブを開弁させる信号を出力することを特徴とするエアサスペンション装置の制御装置。
  6. 前記エアサスペンションに前記コンプレッサから吐出した空気と前記タンクに貯留された空気を供給した後、
    前記第1バルブを閉弁させて前記コンプレッサから前記エアサスペンションへの空気の供給動作を継続させることを特徴とする請求項5に記載のエアサスペンション装置の制御装置。
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CN116906289A (zh) * 2023-09-12 2023-10-20 九州绿能科技股份有限公司 一种重力储能发电系统及工作方法

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