JP2022126387A - 水性エマルション防湿コート剤及び該水性エマルション防湿コート剤を塗工した紙または板紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生物由来成分を主たる成分として使用することにより、防湿性、カーボンニュートラル性に優れる、水性エマルション防湿コート剤を提供する。【解決手段】水性エマルション防湿コート剤中に、ロジン類(a)、アニオン性基を有する分散剤(b)、1気圧での沸点が100℃よりも高く、1分子中にヒドロキシ基、エーテル基またはエステル基から選ばれる官能基を一つ以上含有する、少なくとも1種の造膜助剤(c)、および水を含有し、ロジン類(a)の質量比が下式を満たすことを特徴とする、水性エマルション防湿コート剤。(a)/(防湿コート剤中の有機化合物の総量)×100≧70(%)【選択図】なし

Description

本発明は、生物由来成分を主たる成分として使用することでカーボンニュートラル性を高めた、水性エマルション防湿コート剤、およびこれを用いた防湿紙に関する。
従来より、防湿性が要求される紙、板紙においては、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂がラミネートされたラミネート紙が、防湿性に優れており、かつ安価であるため、多用されている。
しかし、ラミネート部分のポリオレフィン系樹脂の強度が高いゆえにリサイクル時の再パルプ化工程においてラミネート部分が紙から除去しにくく、一部が紙基材に残存したままとなることがある。このため、このラミネート紙から再生した紙は、ラミネートの断片が抄きこまれることで紙表面の欠点となるため、外観や印刷適性に劣っており、ポリオレフィンラミネート紙はリサイクル性が低い。その上ポリオレフィンは化石燃料である石油成分から合成されることから、廃棄時の二酸化炭素排出は化石燃料成分の消費量分大気中に蓄積されることとなり環境負荷が高い。
また、ポリオレフィンラミネート紙が環境中に廃棄された場合、ポリオレフィン部分は生分解されずに環境中に長く留まり、環境破壊の一因ともなる。
樹脂コーティングによりリサイクル性(離解性)を改善、生物由来成分からなるコーティングにより生分解性を高めて環境負荷を低減する防湿用樹脂組成物として、(a)カルボキシル基含有スチレン・アクリル系共重合体に多価金属錯塩を配合してなる水性分散液、(b)スチレン・ブタジエン系合成ゴムラテックス、(c)アルカリ可溶性アクリル系共重合体の水溶液、(d)ロジン系、テルペン系、石油系樹脂から選ばれた樹脂、および(e)パラフィンワックスを乳化して得られたワックスエマルションからなる樹脂組成物(特許文献1)や、セルロースエステル、セラック、ロジンあるいはセルロースエステル、ワックス、ロジンを含む樹脂組成物(特許文献2)、基材に紙、防水層にロジンを使用した紙製ストロー(特許文献3)が開示されている。
特開平11-247094号公報 特表2016-504465号公報 特開2020-138014号公報
しかしながら、特許文献1においては、生物由来成分であるロジンを組成物固形分中に最大で30重量%含まれるものの、残りの70重量%以上はスチレン・アクリル系共重合体等化石燃料由来成分からなる。樹脂層が細かく砕かれることで大きな断片が紙に抄きこまれる可能性が低下し、古紙のリサイクル性は高まったものの、逆に紙に抄きこまれなかった微小サイズの樹脂片は、最終的に排水とともに抄紙系外へと排出され、大部分はペーパースラッジとして焼却される。この樹脂層の70質量%以上は化石燃料由来成分のためにカーボンニュートラル性はいまだ満足いくものではなかった。また、特許文献2においては、生物由来成分であるセルロースエステル、セラック、およびロジンといった化合物を使用しているが、化石燃料由来成分である有機溶媒を塗工液の約75%~約80%に使用することで溶液化しており、塗工液としてのカーボンニュートラル性は低いままであった。特許文献3においては、ロジンを有機溶媒溶液として紙に含浸あるいは塗工することにより、紙ストロー廃棄時の環境負荷を低減しつつ耐水性を高めているが、化石燃料由来成分である有機溶媒を塗工液中50~75質量%に使用しており、そのカーボンニュートラル性は低いままである。また、紙の防湿性については全く検討されていない。
上記事情に鑑み、本発明は、生物由来成分を主たる成分として使用することにより、防湿性、カーボンニュートラル性に優れる、水性エマルション防湿コート剤を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
(1) 水性エマルション防湿コート剤中に、
ロジン類(a)
アニオン性基を有する分散剤(b)
1気圧での沸点が100℃よりも高く、1分子中にヒドロキシ基、エーテル基またはエステル基から選ばれる官能基を一つ以上含有する、少なくとも1種の、造膜助剤(c)
および水
を含有し、ロジン類(a)の質量比が下式を満たすことを特徴とする、水性エマルション防湿コート剤、
(a)/(防湿コート剤中の有機化合物の総量)×100≧70(%)
(2) 前記造膜助剤(c)が、クエン酸トリエチルおよび/または溶解度パラメーター値が7以上11以下の有機化合物であり、ロジン類(a)に対して質量比で(c)/(a)=2/98~40/60の範囲で含まれることを特徴とする、前記(1)に記載の水性エマルション防湿コート剤、
(3) 前記造膜助剤(c)が、クエン酸トリエチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、1,2-ジアセトキシプロパン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシブチルアセテート、1,3-ジアセトキシブタン、1,4-ジアセトキシブタン、三酢酸グリセリルから選ばれる、少なくとも1種であることを特徴とする、前記(1)に記載の水性エマルション防湿コート剤、
(4) 前記分散剤(b)の少なくとも1種が、カゼインであることを特徴とする、前記(1)に記載の水性エマルション防湿コート剤、
(5) さらに、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)を、ロジン類(a)および分散剤(b)の総和に対し、質量比で(d)/((a)+(b))=20/80~75/25の比率で含むことを特徴とする、前記(1)に記載の水性エマルション防湿コート剤、
(6) 前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の、水性エマルション防湿コート剤を塗工することを特徴とする、紙または板紙の製造方法、
である。
本発明によれば、水性でありながら防湿性を保ちつつ、植物由来成分であるロジン類を主体とするためにカーボンニュートラル性が高く、環境負荷の低い防湿コート剤を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、本実施形態は本発明を実施するための一形態であり、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。本明細書において、部や%を使用するがこれらは質量基準である。また、「~」を用いて表される数値範囲はその前後に記載される数値を含む。
本発明の防湿コート剤は、ロジン類(a)、アニオン性基を有する分散剤(b)、1気圧での沸点が100℃よりも高く、1分子中にヒドロキシ基、エーテル基またはエステル基から選ばれる官能基を一つ以上含有する、少なくとも1種の、造膜助剤(c)、および水を含有する。
<ロジン類(a)>
ロジン類(a)は、植物から得られたままの生ロジン、および/または、それに酸変性、エステル化等一部又は全部を化学変性したものを指す。さらにそれらをアルカリ性化合物によって、含有する酸基の一部または全部を中和したものを含む。
ロジン類(a)の具体例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンといった生ロジン、生ロジンに水素を添加した水添ロジン、あるいは、それらにマレイン酸やフマル酸等のα、β-不飽和ジカルボン酸を付加反応させた強化ロジン、さらに、これらのロジン類にエタンジオール、ペンタエリスリトール等のヒドロキシ基含有化合物でエステル化したロジンエステルが挙げられる。これらの中の1種あるいは複数を組み合わせて使用することができる。中和に用いるアルカリ性化合物の具体例としては、アンモニア、エタノールアミンやトリエタノールアミン等のアルキロールアミン類、ジメチルエタノールアミンやメチルジエタノールアミン等のアルキルアルキロールアミン類、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類が挙げられる。これらの中でも、アンモニアが好ましい。アンモニアであると、塗膜の乾燥時に酸基から揮発しやすく、ロジン類の疎水性が高まることで、乾燥後の塗膜の防湿性に優れる。
また、本発明の防湿コート剤に含まれるロジン類(a)の質量比は、下式を満たす必要がある。
(a)/(防湿コート剤中の有機化合物の総量)×100≧70(%)
この範囲であると、焼却処分等により廃棄された場合においてもバイオマスの有するカーボンニュートラル性のために、従来技術に比べて大気中の二酸化炭素濃度の低減および地球温暖化速度の抑制に貢献できる。該質量比は80%以上であることがより好ましい。
なお、本発明において有機化合物とは、炭素化合物のうち、グラファイトやダイヤモンド等の炭素単体、炭化ケイ素や炭化カルシウム等の炭化物、一酸化炭素や二酸化炭素等の酸化物、二硫化炭素や硫化カルボニル等の硫化物、窒化炭素等の窒化物、炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩、シアン化水素、シアン化ナトリウムやシアン化カリウム等のシアン酸塩、チオシアン酸、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸カリウム等のチオシアン酸塩、ホスゲンや四塩化炭素等のハロゲン化物、ニッケルカルボニルやコバルトカルボニル等の金属カルボニル、亜鉛シアノ錯体や銅シアノ錯体等の金属シアノ錯体を除外した化合物を指す。
<分散剤(b)>
分散剤(b)は、アニオン性基を含有し、ロジン類(a)の乳化能力やエマルションの分散安定性向上効果を有する化合物である。
アニオン性基を含有する分散剤は、アニオン性分散剤と両性分散剤とに大別される。さらにそれぞれは合成系低分子分散剤、合成系高分子分散剤、天然系低分子分散剤、天然系高分子分散剤、変性天然系高分子分散剤に分類される。
アニオン性分散剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウムまたはジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性合成系低分子分散剤、スチレンアクリル系高分子分散剤等のアニオン性合成系高分子分散剤、サーファクチンまたはソホロリピッド等のアニオン性天然系低分子分散剤、カルボキシメチルセルロース、オクテニル無水コハク酸変性でんぷん、ヒドロキシプロピルキサンタンガム等のアニオン性変性天然系高分子分散剤が挙げられる。両性分散剤の具体例としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、またはアルキルアミノジ酢酸モノナトリウム等の両性合成系低分子分散剤、レシチン(水添物、水酸化物を含む)等の両性天然系低分子分散剤が挙げられる。
これらの中の1種あるいは複数を組み合わせて使用することができる。これらは、ロジンの乳化時に使用するだけでなく、エマルションの安定性向上目的で、乳化後においても添加することができる。また、そのままの形では水への溶解度が低い場合には、アンモニア等のアルカリ化合物を加えることで可溶化したり、溶解性を高めるために分散剤を含む液を加熱したりしてもよい。
これらの中でも、入手の容易さやコスト面から、合成系高分子分散剤、天然系高分子分散剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、スチレンアクリル系高分子分散剤、カゼインおよびレシチンから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ロジンの乳化性、エマルションの分散安定性、および、乾燥後の塗膜の防湿性の観点からは、総合的にカゼインまたはレシチンであることが更に好ましく、カゼインが最も好ましい。防湿コート剤に含まれる分散剤(b)の割合は、ロジン類(a)に対して、合成高分子であれば1~10%、天然高分子であれば3~20%である。
分散剤(b)にカゼインまたはレシチンと、アニオン性合成系低分子分散剤やアニオン性合成系高分子分散剤を組み合わせて用いると、塗膜乾燥後の防湿性が更に向上する。その効果発現の機構は定かではないが、ウエット塗膜中のロジン粒子の分散状態がより強く安定化されることで、加熱乾燥時におけるロジン粒子の凝集・合一等によるロジン粒子分布の局在化を防ぎ、均一なロジン塗膜を形成するためではないかと想像される。この場合の、ロジン類(a)に対するカゼインおよび/またはレシチンの含有量は3~20%であり、ロジン類(a)に対するアニオン性合成系低分子分散剤の含有量は1~7%であることが好ましい。また、アニオン性合成系低分子分散剤としては、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
<造膜助剤(c)>
造膜助剤(c)は、25℃での水への溶解度が1g/100g以上を有し、1気圧での沸点が100℃よりも高く、1分子中にヒドロキシ基、エーテル基またはエステル基から選ばれる官能基を一つ以上含有する化合物である。例えば、1-ブタノール(沸点:117℃、溶解度:7g/100g)、ベンジルアルコール(沸点:205℃、溶解度:4g/100g)、シクロヘキサノール(沸点:161℃、溶解度:4g/100g)等のアルコール類;1,2-プロピレングリコール(沸点:188℃、溶解度:任意)、1,3-ブチレングリコール(沸点:208℃、溶解度:任意)、ジプロピレングリコール(沸点:230℃、溶解度:任意)等のグリコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:196℃、溶解度:任意)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:190℃、溶解度:任意)、3-メトキシ-1-ブタノール(沸点:161℃、溶解度:任意)等のグリコールモノエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃、溶解度:任意)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:188℃、溶解度:任意)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃、溶解度:53g/100g)等のグリコールジエーテル類;1,2-ジアセトキシエタン(沸点:190℃、溶解度:18g/100g)、1,2-ジアセトキシプロパン(沸点:186℃、溶解度:8g/100g)、1,4-ジアセトキシブタン(沸点:232℃、溶解度:4g/100g)等のグリコールジエステル類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点:219℃、溶解度:任意)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:146℃、溶解度:19g/100g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点:161℃、溶解度:5g/100g)等のグリコールエーテルエステル類;酪酸エチル(沸点:121℃、溶解度:1g/100g)、乳酸ブチル(沸点:185℃、溶解度:4g/100g)、クエン酸トリエチル(沸点:294℃、溶解度:6g/100g)等のカルボン酸エステル類;三酢酸グリセリル(沸点:258℃、溶解度:7g/100g)等のグリセリンエステル等が挙げられる。これらの中の1種あるいは複数を組み合わせて使用することができる。上記化合物であると、100℃よりも高い沸点を有するため、乾燥途中で造膜助剤(c)が濃縮されたのちに蒸発することとなり、造膜助剤(c)の造膜効果がより発現しやすいので、乾燥後の塗膜の防湿性に優れる。
これらの中でも、ロジン類(a)との相溶性の観点から、クエン酸トリエチルおよびFedors, R. F., (1974), Polymer Engineering & Science, 14, 147.記載の手法で計算される溶解度パラメーター値(以下、SP値という)が7以上11以下の化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、クエン酸トリエチル、3-エトキシプロピオン酸エチル(SP値:9.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.8)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値:8.2)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(SP値:9.2)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.1)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(SP値:8.2)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(SP値:8.4)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.9)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(SP値:8.5)、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル(SP値:10.7)、1,2-ジアセトキシプロパン(SP値:9.6)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.4)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.9)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.7)、3-メトキシ-1-ブタノール(SP値:10.9)、酢酸3-メトキシブチル(SP値:8.7)、1,3-ジアセトキシブタン(SP値:9.5)、1,4-ジアセトキシブタン(SP値:9.6)、三酢酸グリセリル(SP値:10.2)から選ばれる、少なくとも1種であることがより好ましい。造膜助剤(c)が上記化合物であると、ロジン類(a)との相溶性が高いため造膜効果を発揮しやすく乾燥後の塗膜の防湿性に優れる。この際、造膜助剤(c)は、ロジン類(a)に対し、質量比で(c)/(a)=2/98~40/60の比率で含むことが好ましい。
実用性から、アメリカ食品医薬品局のSubstances. Generally Recognized as Safe物質あるいは食品と接触する紙及び板紙の成分としての間接食品添加物に認証されているクエン酸トリエチル、1,2-アセトキシプロパンまたは三酢酸グリセリルから選ばれる、少なくとも1種であることがさらに好ましい。
本発明の防湿コート剤は、さらに、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)を含んでもよい。
<扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)>
扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)は、粘土鉱物である層状ケイ酸塩鉱物であり、アスペクト比(厚みに対する直径の比率)が1を超えるものをいう。層状ケイ酸塩鉱物の例としては、カオリン、タルク、パイロフィライト、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、バーミキュライト、雲母等が挙げられる。これらの中の1種あるいは複数を組み合わせて使用することができる。これらの中でも防湿性の面から、カオリン、モンモリロナイト、または雲母が好ましい。さらに、カオリンの積層構造を剥がしたり、特定の大きさの粒子を分級、除去することで、大粒径かつ高アスペクト比(アスペクト比:扁平粒子の厚みに対する直径の比)に揃えた、平均粒子径5μm以上かつアスペクト比が10より大であるエンジニアードカオリンがより好ましい。この範囲であると、乾燥後の塗膜の防湿性に優れる。アスペクト比は、扁平層状ケイ酸塩鉱物の平面方向および断面方向を走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡で撮影、その直径と厚みを計測し、式「アスペクト比=直径/厚み」により算出することができる。
また、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)は、ロジン類および/またはそのアルカリ中和物(a)および分散剤(b)の総和に対し、質量比で、20/80~75/25の比率で含むことが好ましい。扁平層状ケイ酸塩鉱物の併用は、塗工層のブロッキング防止剤としての作用が期待できるほか、防湿効果を維持しつつ、防湿コート剤中のロジン類(a)や分散剤(b)の使用量を低減できるため、塗工紙廃棄時の二酸化炭素排出量の削減効果も期待できる。
<その他の添加剤>
本発明において、防湿コート剤には、上記(a)、(b)、(c)、(d)以外に、その効果を損なわない範囲で、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、表面調整剤、染料、表面張力調整剤、滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の塗料に一般的に使用される各種添加剤を使用することができる。
また、滑剤やブロッキング防止剤用途等で公知のワックス類を使用することができる。従来から知られている様にこれの使用により同時に透湿度が向上するメリットがあるが、リコート性、貼合性が大幅に低下するため、その使用量は最小限に留める必要がある。ロジン類(a)、分散剤(b)、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)の総量に対して、質量比で10%以下が好ましい。
ワックス類は、微生物による生分解性を有するものが好ましい。具体的には、ハゼロウ、ウルシロウ、カルナウバロウ、米ぬかロウ、またはカンデリラロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、セラックロウ、または、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックスまたはオゾケライト等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、脂肪酸エステル系ワックス、または、脂肪酸アミド等の合成系ワックスが挙げられる。これらの中の1種あるいは複数を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、カーボンニュートラル性を有する生物由来である植物系ワックスまたは動物系ワックスが好ましい。
本発明の水性エマルション防湿コート剤の代表的な利用形態としては、紙または板紙への塗工が挙げられる。
<紙、板紙>
本利用形態に用いられる紙または板紙は、生分解性を有するパルプを主成分とした一般的な紙や板紙であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、上質紙、純白ロール紙、未晒または晒クラフト紙、グラシン紙、コート紙、ライナー原紙、紙管原紙、白ボール、チップボール等が例示できる。
紙または板紙と防湿コート層の間には、吸液コントロールのための塗工層や、紙または板紙表面の凹凸を埋めて平滑にするための塗工層等を設けても良い。
<塗工・乾燥方法>
塗工方法は、公知の手法であれば制限なく用いることができる。例えば、バーコート、ブレードコート、ダイコート、カーテンコート、エアナイフコート、スプレーコート、グラビアコート、フレキソコート、サイズプレスコート等が挙げられる。
ウエット塗膜の乾燥方法は、公知の手法であれば制限なく用いることができる。例えば、シリンダー加熱、蒸気加熱、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱等が挙げられる。
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ロジン類(a)の調製>
(酸変性ロジンの製造例1)
加熱装置、撹拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下ガムロジン90部を投入し加熱溶融した。次いで無水マレイン酸(純正化学(株)製)10部を加えた後200℃になるまで加熱撹拌し、さらに温度を保持したまま4時間反応させることにより、マレイン酸変性ロジン(Mロジン)を得た。
(酸変性ロジンの製造例2)
加熱装置、撹拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下ガムロジン88部を投入し加熱溶融した。次いでフマル酸(純正化学(株)製)12部を加えた後200℃になるまで加熱撹拌し、さらに温度を保持したまま4時間反応させることにより、フマル酸変性ロジン(Fロジン)を得た。
(エステル化ロジンの製造例)
加熱装置、撹拌装置、温度計、窒素導入管を具備した四つ口セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下ガムロジン90部を投入し加熱溶融した。次いでフマル酸5部を加えた後200℃になるまで加熱撹拌し、さらに温度を保持したまま3時間反応させた。その後180℃まで冷却し、さらにエタンジオール(関東化学(株)製)を11部添加し、240~260℃で8時間反応させて、酸変性ロジンのエステル化物(Eロジン)を得た。
Figure 2022126387000001
<アニオン性基を有する分散剤(b)の調製>
(高分子分散剤の合成例)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を具備した四つ口セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下スチレン33.9部、ブチルメタクリレート33.9部、50%アクリルアミド135.6部、80%メタクリル酸42.4部、4-メチル-2,4-ジフェニル-1-ペンテン4.6部、ドデシルメルカプタン3.9部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、過硫酸アンモニウム10.9部、水635.6部を加えて攪拌混合し、90℃で3時間加熱した。ついで70℃まで冷却し、メタクリル酸のアニオン当量に対して1.0当量となり、固形分濃度が20%となるよう25%水酸化ナトリウム水溶液78.3部および水20.6部を徐々に滴下し、30分間攪拌した後室温まで冷却することにより、固形分20%のスチレンアクリル系高分子分散剤(PS─1)を得た。なお、固形分は、直径5cmのアルミカップに分散液を1gとり、強制対流式電気乾燥機により150℃、20分間乾燥することで得られる。
(カゼインの溶解例)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、カゼイン(富士フイルム和光純薬(株)製)200部、28%アンモニア水71部、水729部を投入して、撹拌下85℃まで昇温し、温度を保持したまま20分間かけて溶解することで濃度20%のカゼイン溶液を得た(カゼイン液)。
(水酸化レシチンの溶解例)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、50%水酸化レシチン(商品名:NIKKOL レシノール SH50、日光ケミカルズ(株)製)400部、水600部を投入して、室温で20分間かけて溶解することで濃度20%の水酸化レシチン溶液を得た(レシチン液)。
<分散剤(b)によるロジン類(a)の乳化>
(乳化例1)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、酸変性ロジンの製造例1で得られたMロジン1000部を投入し、140~150℃に昇温、溶融した。
激しく攪拌しながら、高分子分散剤(PS─1)500部を徐々に添加混合して油中水型エマルションとし、これに更に85~90℃の水1250部を徐々に添加して安定な水中油型エマルションとした後、冷却して内温を30℃以下とした。得られたエマルションは、固形分41%を含有していた(乳化液1)。
(乳化例2)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、酸変性ロジンの製造例1で得られたMロジン1000部を投入し、140~150℃に昇温、溶融した。
激しく攪拌しながら、カゼイン液500部を徐々に添加混合して油中水型エマルションとし、これに更に85~90℃の水1250部を徐々に添加して安定な水中油型エマルションとした後、冷却して内温を30℃以下とした。得られたエマルションは、固形分40%を含有していた(乳化液2)。
(乳化例3)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、酸変性ロジンの製造例1で得られたMロジン1000部を投入し、140~150℃に昇温、溶融した。
激しく攪拌しながら、24%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液(商品名:ラテムルAD-25、花王(株)製)83部を徐々に添加し、続いてカゼイン液400部を徐々に添加混合して油中水型エマルジョンとし、これに更に85~90℃の水1267部を徐々に添加して安定な水中油型エマルションとした後、冷却して内温を30℃以下とした。得られたエマルションは、固形分40%を含有していた(乳化液3)。
(乳化例4~9)
組成を表2の様に変えた以外は、乳化例3と同様にして、乳化例4~9のロジンエマルションを得た(乳化液4~9)。
(乳化例10)
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計を具備した四つ口セパラブルフラスコに、酸変性ロジンの製造例1で得られたMロジン1000部を投入し、140~150℃に昇温、溶融した。
激しく攪拌しながら、85~90℃の水1500部を徐々に添加したが、エマルションにはならなかった(乳化液10)。
Figure 2022126387000002
AD-25水溶液:24%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液(商品名:ラテムルAD-25、花王(株)製)
OT-70水溶液:70%スルホコハク酸ビス(2-エチルヘキシル)ナトリウム水溶液(商品名:サンモリンOT-70三洋化成工業(株)製)
防湿コート剤の調製に用いる造膜助剤(c)は以下のものを使用した。
Figure 2022126387000003
<扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)分散液の調製>
(扁平層状ケイ酸塩鉱物分散液調製例1)
ステンレス容器に、エンジニアードカオリン(商品名:バリサーフHX、イメリス(株)製、カオリン、平均粒子径約10μm、アスペクト比約100。)400部、水600部をとり、超高速乳化分散試験装置(商品名:ラボ・リューション、プライミクス(株)製)を用い、3000rpmで10分間撹拌することにより分散液を得た(鉱物分散液1)。
(扁平層状ケイ酸塩鉱物分散液調製例2~4)
仕込みを表4に記したように変更した以外は、扁平層状ケイ酸塩鉱物分散液調製例1と同様にし、鉱物分散液2~4を得た。
(扁平層状ケイ酸塩鉱物分散液調製例5)
ステンレス容器に、エンジニアードカオリン(商品名:バリサーフHX、イメリス(株)製、カオリン、平均粒子径約10μm、アスペクト比約100。)400部、水595部、T-50(商品名:アロンT-50、東亜合成(株)製、ポリアクリル酸ナトリウム43%水溶液)5部をとり、超高速乳化分散試験装置(商品名:ラボ・リューション、プライミクス(株)製)を用い、3000rpmで10分間撹拌することにより分散液を得た(鉱物分散液5)。
Figure 2022126387000004
UW90(商品名:Ultra White 90、BASF社製、カオリン、平均粒子径約1μm、アスペクト比約10。)
KP-G(商品名:クニピアG、クニミネ工業(株)製、モンモリロナイト、平均粒子径約1μm、アスペクト比約200。)
ME-100(商品名:ソマシフME-100、片倉コープアグリ(株)製、合成雲母、平均粒子径約5μm、アスペクト比約50。)
T-50(商品名:アロンT-50、東亜合成(株)製、ポリアクリル酸ナトリウム43%液)
<水性エマルション防湿コート剤の調製>
(防湿コート剤1)
撹拌装置を具備した四つ口セパラブルフラスコに、乳化液1 98部を投入し、続いて濃度調整水2部を投入した。そこへ撹拌下、1,2-プロピレングリコール14.8部を徐々に添加した。その後撹拌状態を5分間保持して液が均一になった後取り出し、防湿コート剤1を得た。
(防湿コート剤2~24)
部材の種類や添加量を表5に記載の様に変えた以外は防湿コート剤1の場合と同様にして、防湿コート剤2~24を得た。
(防湿コート剤25)
撹拌装置を具備した四つ口セパラブルフラスコに、乳化液1 98部、続いて濃度調整水2部、レシチン液10部を投入し、撹拌下、1,2-ジアセトキシプロパン4部を徐々に添加した。その後撹拌状態を5分間保持して液が均一になった後取り出し防湿コート剤25を得た。
(防湿コート剤26)
レシチン液をカゼイン液に変えた以外は防湿コート剤25と同様にして、防湿コート剤26を得た。
(防湿コート剤27)
撹拌装置を具備した四つ口セパラブルフラスコに、乳化液2 50部を投入した。続いて、撹拌下1,2-ジアセトキシプロパン1.9部を徐々に添加した。その後撹拌状態を5分間保持して液が均一になった後取り出し、防湿コート剤27を得た。
(防湿コート剤28~34)
仕込みを表6に記したように変更した以外は、防湿コート剤27と同様にし、防湿コート剤28~34を得た。
(防湿コート剤35)
撹拌装置を具備した四つ口セパラブルフラスコに、乳化液1 49部、続いて濃度調整水1部、鉱物分散液1 50部を投入し、撹拌下1,2-ジアセトキシプロパン2部を徐々に添加した。その後撹拌状態を5分間保持して液が均一になった後取り出し、防湿コート剤35を得た。
(防湿コート剤36~41)
仕込みを表6に記したように変更した以外は、防湿コート剤35と同様にし、防湿コート剤36~41を得た。
(比較防湿コート剤1~6)
仕込みを表5、6に記したように変更した以外は、防湿コート剤35と同様にし、比較防湿コート剤1~6を得た。
<参考防湿コート剤の調製>
加熱装置、撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を具備した四つ口セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1000部を加え、その溶媒の還流下に、スチレン550部、2-エチルヘキシルアクリレート240部、アクリル酸210部とジターシャリブチルパーオキサイド0.1部の混合物を滴下して、7時間重合させた後、脱溶媒してアニオン性スチレン-アクリル系共重合体(A)を得た。
温度計、撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、アニオン性スチレン-アクリル系共重合体(A)300部、28%アンモニア水43部とジメチルエタノールアミン16部、水1164部を加えて調製した水溶液に、スチレン400部、2-エチルヘキシルアクリレート300部を加えて撹拌混合し、窒素気流下に40℃で、過硫酸アンモニウム1.8部、亜硫酸水素ナトリウム1.8部を加えて重合を開始し、75~85℃で、3時間乳化重合して、固形分40%の防湿加工用アクリル系エマルション(参考防湿コート剤1)を得た。
Figure 2022126387000005
Figure 2022126387000006
<防湿コート剤の塗工>
防湿コート剤塗工条件、および、各評価項目における、測定方法または評価方法は以下の方法に従った。
(塗工原紙)
片艶晒クラフト紙: 坪量50g/m
(塗工)
各防湿コート剤付着量が固形分で13g/mになるよう、原紙にバーコーターを用いて非艶面に塗工し、温風乾燥機を用いて110℃で0.5分間乾燥した。その後、23℃、50%RHにおいて24時間調湿を行った。
(透湿度)
JIS Z0208防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じて測定した。
温湿度条件:B法(40℃/90%RH・24時間)
試験片の向き:コート面を外側
(実施例1)
片艶晒クラフト紙に対して防湿コート剤1を前記条件により塗工、乾燥し防湿コート剤塗工紙を得た。調湿後、直径70mmの円形に切り出し、前記透湿カップ法により、透湿度を算出した。この結果を表7に示す。
(実施例2~41)
表7のように防湿コート剤を変えた以外は実施例1と同様にして、防湿コート剤塗工紙を得た。さらに、実施例1と同様にして、透湿度を評価した。これらの結果を表7、8に示す。
(比較例1)
防湿コート剤を調製することができなかったため、塗工評価は行わなかった。
(比較例2~7)
表4のように防湿コート剤を変えた以外は実施例1と同様にして、防湿コート剤塗工紙を得た。さらに、実施例1と同様にして、透湿度を評価した。これらの結果を表7、8に示す。
Figure 2022126387000007
Figure 2022126387000008
本発明の条件を満足する実施例1~41と、本発明の条件を満たさない比較例2~7を比較すると、実施例1~41で得られた水性エマルション防湿コート剤を塗工した場合に紙の透湿度に優れることが分かる。
また参考例1は、実施例1と比較し、ロジン類(a)にあたる成分が化石燃料由来成分からなるスチレン-アクリル系ポリマーのため、生物由来成分を含有しておらず、カーボンニュートラル性がない。
(実施例2~24)
実施例1と比較し、造膜助剤(c)が、クエン酸トリエチルおよび/または溶解度パラメーター値が7以上11以下の有機化合物であり、かつ、ロジン類(a)に対して質量比で(c)/(a)=2/98~40/60の範囲で含まれるため透湿度に優れる。
(実施例25)
実施例4と比較し、分散剤(b)にレシチンを含むため透湿度に優れる。
(実施例26~34)
実施例4と比較し、分散剤(b)にカゼインを含むため透湿度に優れる。
(実施例35~41)
実施例4と比較し、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)を含むため、防湿コート層中に含まれるロジン類(a)を減らしても透湿度が維持されており、防湿コート紙廃棄時の二酸化炭素排出量削減性に優れる。

Claims (6)

  1. 水性エマルション防湿コート剤中に、
    ロジン類(a)
    アニオン性基を有する分散剤(b)
    1気圧での沸点が100℃よりも高く、1分子中にヒドロキシ基、エーテル基またはエステル基から選ばれる官能基を一つ以上含有する、少なくとも1種の、造膜助剤(c)
    および水
    を含有し、ロジン類(a)の質量比が下式を満たすことを特徴とする、水性エマルション防湿コート剤。
    (a)/(防湿コート剤中の有機化合物の総量)×100≧70(%)
  2. 前記造膜助剤(c)が、クエン酸トリエチルおよび/または溶解度パラメーター値が7以上11以下の有機化合物であり、ロジン類(a)に対して質量比で(c)/(a)=2/98~40/60の範囲 で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の水性エマルション防湿コート剤。
  3. 前記造膜助剤(c)が、クエン酸トリエチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、1,2-ジアセトキシプロパン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシブチルアセテート、1,3-ジアセトキシブタン、1,4-ジアセトキシブタン、三酢酸グリセリルから選ばれる、少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の水性エマルション防湿コート剤。
  4. 前記分散剤(b)の少なくとも1種が、カゼインであることを特徴とする、請求項1に記載の水性エマルション防湿コート剤。
  5. さらに、扁平層状ケイ酸塩鉱物(d)を、ロジン類(a)および分散剤(b)の総和に対し、質量比で(d)/((a)+(b))=20/80~75/25の比率で含むことを特徴とする、請求項1に記載の水性エマルション防湿コート剤。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の、水性エマルション防湿コート剤を塗工することを特徴とする、紙または板紙の製造方法。
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