JP2022119437A - アルミニウム心線用防食端子材及び防食端子並びに電線端末部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム心線からなる電線の端末に圧着される端子として腐食防止効果の高いアルミニウム心線用防食端子材及びその防食端子材からなる防食端子、並びにその防食端子を用いた電線端末部構造を提供する。【解決手段】少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材を有し、端子に成形されたときに電線の心線を圧着する部分の内面となる心線圧着予定部と、該心線圧着予定部以外の部分とを有しており、前記心線圧着予定部は、前記基材の表面が露出しており、前記心線圧着予定部以外の部分には、表面に錫又は錫合金からなる錫層を有する第1皮膜が形成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、アルミニウム心線からなる電線の端末に圧着される端子として用いられ、腐食防止効果の高いアルミニウム心線用防食端子材及びその防食端子材からなる防食端子、並びにその防食端子を用いた電線端末部構造に関する。
従来、銅又は銅合金で構成されている電線の端末部に、銅又は銅合金で構成された端子を圧着し、この端子を機器に設けられた端子に接続することにより、その電線を機器に接続することが行われている。また、電線の軽量化等のために、電線の心線を、銅又は銅合金に代えて、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成することが検討されている。
ところで、電線(導線)をアルミニウム又はアルミニウム合金で構成し、端子を銅又は銅合金で構成すると、塩水などのように電解質の水溶液が電線と端子の圧着部に付着したときに、異種金属の電位差による異種金属接触腐食が発生することがある。そして、その電線の腐食に伴い、圧着部での電気抵抗値の上昇や圧着力の低下が生ずるおそれがある。
このような異種金属間の腐食の防止法としては、例えば特許文献1~4に記載のものがある。
特許文献1には、導体をかしめる端子のかしめ部(心線圧着部)の露出領域及びその近傍の全外周をモールド樹脂で覆うことが記載されている。
特許文献1には、導体をかしめる端子のかしめ部(心線圧着部)の露出領域及びその近傍の全外周をモールド樹脂で覆うことが記載されている。
特許文献2には、導体をかしめるバレル片を導体露出部分より長く形成し、導体をかしめたときにバレル片で導体露出部から絶縁被覆の先端までを連続して一体的に囲繞し、バレル片の先端部はバレル底面に係合することにより、止水機能を確保することが記載されている。
特許文献3では、端子材を被覆するSnめっき層の上に、アルミニウムとの中間の電極電位を有するZnめっき層を形成している。また、特許文献4では、端子材を被覆するSnめっき層の上に、異種金属接触腐食防止層としてNi-Znめっき層を形成している。
しかしながら、特許文献1に記載のようにモールド樹脂を設けたり、特許文献2に記載のように特殊形状のバレル片を形成したりするのでは、製造コストが高くなる。
また、特許文献3及び特許文献4のように錫めっき層が形成されている場合、錫とアルミニウムとは中間相や金属間化合物を形成しないため密着性が悪い。このため、腐食により、心線圧着部の圧力が弱まると、端子とアルミニウム線との間に隙間が生じ、その隙間が増大すれば、心線圧着部の内部で腐食が促進し、導通を確保している接触部が減少するおそれがある。特許文献1及び特許文献2は、一般的なSnめっき付き銅合金の端子構造を規定したものであり、心線圧着部の内部のめっきについては議論されていない。
また、特許文献3及び特許文献4のように錫めっき層が形成されている場合、錫とアルミニウムとは中間相や金属間化合物を形成しないため密着性が悪い。このため、腐食により、心線圧着部の圧力が弱まると、端子とアルミニウム線との間に隙間が生じ、その隙間が増大すれば、心線圧着部の内部で腐食が促進し、導通を確保している接触部が減少するおそれがある。特許文献1及び特許文献2は、一般的なSnめっき付き銅合金の端子構造を規定したものであり、心線圧着部の内部のめっきについては議論されていない。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、アルミニウム心線からなる電線の端末に圧着される端子として腐食防止効果の高いアルミニウム心線用防食端子材及びその防食端子材からなる防食端子、並びにその防食端子を用いた電線端末部構造を提供することを目的とする。
本発明のアルミニウム心線用防食端子材は、少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材を有し、端子に成形されたときに電線の心線を圧着する部分の内面となる心線圧着予定部と、該心線圧着予定部以外の部分とを有しており、前記心線圧着予定部は、前記基材の表面が露出しており、前記心線圧着予定部以外の部分には、表面に錫又は錫合金からなる錫層を有する第1皮膜が形成されている。
このアルミニウム心線用防食端子材において、心線圧着予定部は銅又は銅合金からなる基材の表面が露出しているため、アルミニウムとの間で金属間化合物を形成する。このため、アルミニウム心線が接触した状態で金属間化合物を形成して密着性が高められる。
なお、基材が所望の密着性を得るためには、銅元素の含有量が60質量%以上であることがより好ましい。
また、基材が心線圧着予定部以外の部分に露出していると、塩水等の腐食環境においてはアルミニウム心線に接触又は近接すると腐食するおそれがあるため、心線圧着予定部以外の部分では、表面を錫層とした第1皮膜を形成することにより、腐食を防止し、かつ、はんだ濡れ性、接触抵抗に優れる端子材を提供できる。
なお、基材が所望の密着性を得るためには、銅元素の含有量が60質量%以上であることがより好ましい。
また、基材が心線圧着予定部以外の部分に露出していると、塩水等の腐食環境においてはアルミニウム心線に接触又は近接すると腐食するおそれがあるため、心線圧着予定部以外の部分では、表面を錫層とした第1皮膜を形成することにより、腐食を防止し、かつ、はんだ濡れ性、接触抵抗に優れる端子材を提供できる。
このアルミニウム心線用防食端子材において、前記第1皮膜は、ニッケル亜鉛合金層の上に前記錫層が形成されているとよい。
端子の心線圧着部で心線をかしめた状態でも、心線の先端が心線圧着部から露出する場合、心線圧着部以外で露出している端子の表面部分との間での腐食が懸念される。
この防食端子材では、心線圧着予定部以外の部分における第1皮膜が、ニッケル亜鉛合金層と錫層との積層構造であり、ニッケル亜鉛合金層中の亜鉛が錫層中に拡散する。このため、錫層の腐食電位がアルミニウムに近くなっており、アルミニウム心線と接触又は近接することがあっても異種金属接触腐食の発生を抑えることができる。しかも、第1皮膜は錫層の下に亜鉛層を有しており、万一、摩耗等により錫層の全部又は一部が消失した場合でも、その下の亜鉛層により異種金属接触腐食の発生を抑えることができ、接触抵抗値の上昇等を抑制できる。
この防食端子材では、心線圧着予定部以外の部分における第1皮膜が、ニッケル亜鉛合金層と錫層との積層構造であり、ニッケル亜鉛合金層中の亜鉛が錫層中に拡散する。このため、錫層の腐食電位がアルミニウムに近くなっており、アルミニウム心線と接触又は近接することがあっても異種金属接触腐食の発生を抑えることができる。しかも、第1皮膜は錫層の下に亜鉛層を有しており、万一、摩耗等により錫層の全部又は一部が消失した場合でも、その下の亜鉛層により異種金属接触腐食の発生を抑えることができ、接触抵抗値の上昇等を抑制できる。
このアルミニウム心線用防食端子材において、端子に成形されたときに接点となる接点予定部には前記第1皮膜に代えて第2皮膜が形成されていてもよく、該第2皮膜は表面が前記錫層により形成され、前記ニッケル亜鉛合金層を有しない。
端子に成形されたときの接点部分では、アルミニウム心線から離れているため、腐食の影響は少なく、亜鉛は無くてもよい。また、亜鉛層を有しないことから、熱負荷がかかった際に錫層への亜鉛の拡散による接触抵抗の上昇を抑制する効果がある。
また、本発明のアルミニウム心線用防食端子は、上記の防食端子材からなる端子であり、本発明の電線端末部構造は、その防食端子がアルミニウム又はアルミニウム合金のアルミニウム心線からなる電線の端末に圧着されている。
この場合、前記防食端子と前記アルミニウム心線とが接触した状態で金属間化合物が形成されているとよい。
この場合、前記防食端子と前記アルミニウム心線とが接触した状態で金属間化合物が形成されているとよい。
本発明によれば、基材の表面に含有する銅元素がアルミニウムとの間で金属間化合物を形成するため、心線圧着部に用いることにより、アルミニウム心線との密着性が高められ、腐食環境下でも接触抵抗値の上昇やアルミニウム心線への圧着力の低下を抑制することができる。
本発明の実施形態のアルミニウム心線用防食端子材、防食端子及び電線端末部構造を説明する。
本実施形態のアルミニウム心線用防食端子材(以下、単に防食端子材という)1は、図2に全体を示したように、複数の端子を成形するための長尺材(以下、単にストリップ材という)であり、平行に延びる一対の長尺な帯板状のキャリア部21の間に、端子として成形される複数の端子用部材22がキャリア部21の長さ方向に間隔をおいて配置され、各端子用部材22が細幅の連結部23を介して両キャリア部21に連結されている。各端子用部材22は例えば図3及び図4に示すような形状に成形され、連結部23から切断されることにより、防食端子10として完成する。
この防食端子10は、図3及び図4の例ではメス端子を示しており、先端から、オス端子15が嵌合される接続部11、電線12の露出した心線(アルミニウム心線)12aがかしめられる心線圧着部13、電線12の被覆部12bがかしめられる被覆圧着部14がこの順で並び、一体に形成されている。接続部11は角筒状に形成され、その先端に連続するばね片11aが内部に折り込まれるように挿入されている。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示している。この電線端末部構造において、心線圧着部13及びその付近が電線12の心線12aに直接接触する。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示している。この電線端末部構造において、心線圧着部13及びその付近が電線12の心線12aに直接接触する。
図2に示すストリップ材において、その各部には、防食端子10に成形されたときの各部と同じ符号を付している。また、このストリップ材において、防食端子10に成形されたときに心線圧着部13の内面となる部分を心線圧着予定部25とする。
図中、符号16は心線圧着予定部25の表面に形成されたセレーション部であり、心線圧着部13として心線12aをかしめた際にセレーション部16が心線12aに強くくい込んだ状態となる。
図中、符号16は心線圧着予定部25の表面に形成されたセレーション部であり、心線圧着部13として心線12aをかしめた際にセレーション部16が心線12aに強くくい込んだ状態となる。
[第1実施形態]
防食端子材の第1実施形態(防食端子材1)は、図1に断面を模式的に示したように、少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材2を有し、この基材2上において、心線圧着予定部25では基材2の表面が露出しており、心線圧着予定部25以外の領域に第1皮膜4が形成されている。
基材2は、少なくとも表面が銅又は銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではないが、銅元素の含有量は好ましくは60質量%以上とされ、例えば、無酸素銅(C10200)やCu-Mg系銅合金(C18665)等を適用できる。。
防食端子材の第1実施形態(防食端子材1)は、図1に断面を模式的に示したように、少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材2を有し、この基材2上において、心線圧着予定部25では基材2の表面が露出しており、心線圧着予定部25以外の領域に第1皮膜4が形成されている。
基材2は、少なくとも表面が銅又は銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではないが、銅元素の含有量は好ましくは60質量%以上とされ、例えば、無酸素銅(C10200)やCu-Mg系銅合金(C18665)等を適用できる。。
この基材2の銅元素は、アルミニウムとの間で金属間化合物を形成することができる元素である。この銅又は銅合金からなる基材2の表面が心線圧着予定部25に露出していることにより、基材2の表面がアルミニウム心線12aに圧着し、あるいはセレーション部16によってアルミニウム心線12aに食い込んだ状態となったときに、基材2の銅元素とアルミニウム心線12aのアルミニウムとの間で金属間化合物を形成して密着性が高められる。
心線圧着予定部25以外の領域に形成される第1皮膜4は、錫又は錫合金からなる錫層を最表層に有する。
この第1実施形態では、第1皮膜4は、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層6と、ニッケル亜鉛合金からなるニッケル亜鉛合金層7と、錫合金からなる錫層8とがこの順に積層されている。この場合、ニッケル亜鉛合金層7の亜鉛が錫層8中に拡散している。このため、第1皮膜4の錫層8は、腐食電位がアルミニウムに近くなっており、アルミニウム心線12aと近接した場合の腐食の発生を抑えることができる。
この第1実施形態では、第1皮膜4は、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層6と、ニッケル亜鉛合金からなるニッケル亜鉛合金層7と、錫合金からなる錫層8とがこの順に積層されている。この場合、ニッケル亜鉛合金層7の亜鉛が錫層8中に拡散している。このため、第1皮膜4の錫層8は、腐食電位がアルミニウムに近くなっており、アルミニウム心線12aと近接した場合の腐食の発生を抑えることができる。
ニッケル層6は、好ましくは厚さが0.1μm以上5.0μm以下で、ニッケル含有率は80質量%以上である。このニッケル層6は、基材2からの銅の拡散を防止する機能がある。ニッケル層6の膜厚が0.1μm未満では銅の拡散を防止する効果に乏しく、5.0μmを超えるとプレス加工時に割れが生じ易い。
また、ニッケル層6のニッケル含有率が80質量%未満では、銅が第1皮膜4に拡散することを防止する効果が小さい。このニッケル含有率は90質量%以上とするのがより好ましい。
また、ニッケル層6のニッケル含有率が80質量%未満では、銅が第1皮膜4に拡散することを防止する効果が小さい。このニッケル含有率は90質量%以上とするのがより好ましい。
ニッケル亜鉛合金層7は、膜厚が0.1μm以上5.0μm以下である。このニッケル亜鉛合金層7の亜鉛の含有量は30質量%以上95%質量%以下が好ましい。
このニッケル亜鉛合金層7の亜鉛含有量が30質量%未満では、ニッケル亜鉛合金層7の耐食性が悪化し、塩水等の腐食環境に晒された際にニッケル亜鉛合金層7が速やかに腐食消失し、心線12aとの間で腐食を生じ易い。一方、ニッケル亜鉛合金層7の亜鉛含有量が95質量%を超えると、錫層8への亜鉛の拡散が過剰になり、錫層8表面での変色が起こりやすい。
このニッケル亜鉛合金層7の亜鉛含有量が30質量%未満では、ニッケル亜鉛合金層7の耐食性が悪化し、塩水等の腐食環境に晒された際にニッケル亜鉛合金層7が速やかに腐食消失し、心線12aとの間で腐食を生じ易い。一方、ニッケル亜鉛合金層7の亜鉛含有量が95質量%を超えると、錫層8への亜鉛の拡散が過剰になり、錫層8表面での変色が起こりやすい。
また、このニッケル亜鉛合金層7の膜厚が0.1μm未満では第1皮膜4の表面(錫層8)の腐食電位を卑化する効果が乏しく、5.0μmを超えるとプレス加工性が低下するため、端子10へのプレス加工時に割れが発生するおそれがある。
第1皮膜4の錫層8は、亜鉛濃度が0.4質量%以上15質量%以下である。前述したように、第1皮膜4の錫層8が亜鉛を含有していると、腐食電位を卑化してアルミニウム製の心線12aを防食する効果がある。この錫層8の亜鉛濃度が0.4質量%未満では腐食電位を卑化して心線12aを防食する効果が乏しく、15質量%を超えると錫層8の耐食性が著しく低下するため腐食環境に曝されると錫層8が腐食され、第1皮膜4と心線12aとの接触抵抗が悪化するおそれがある。この錫層8の亜鉛濃度は1.5質量%以上6.0質量%以下がより好ましい。
また、第1皮膜4の錫層8の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましい。この錫層8の膜厚が0.1μm未満では、錫層8の膜厚は薄過ぎて、製造上均一に層を形成することが困難であるとともに、端子製作過程の曲げ加工時にめっきが破壊されるおそれがある。一方、錫層8の膜厚が6.0μmを超えると、錫層8の膜厚が厚過ぎて、第1皮膜4の表面の動摩擦係数の増大を招き、コネクタ等での使用時の着脱抵抗が大きくなる傾向にある。また、材料コストの増大につながる。
なお、この実施形態では、第1皮膜4にニッケル層6を形成したが、必要に応じて、ニッケル層6を形成せずに、ニッケル亜鉛合金層7と錫層8を形成する場合もある。
また、第1皮膜4の錫層8の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましい。この錫層8の膜厚が0.1μm未満では、錫層8の膜厚は薄過ぎて、製造上均一に層を形成することが困難であるとともに、端子製作過程の曲げ加工時にめっきが破壊されるおそれがある。一方、錫層8の膜厚が6.0μmを超えると、錫層8の膜厚が厚過ぎて、第1皮膜4の表面の動摩擦係数の増大を招き、コネクタ等での使用時の着脱抵抗が大きくなる傾向にある。また、材料コストの増大につながる。
なお、この実施形態では、第1皮膜4にニッケル層6を形成したが、必要に応じて、ニッケル層6を形成せずに、ニッケル亜鉛合金層7と錫層8を形成する場合もある。
以上の層構成を有する第1皮膜4は、前述したように、心線圧着予定部25を除く部分の表裏全面に存在している。塩水など電解質の液体が付着した場合、心線圧着予定部25以外の部分は、アルミニウム製の心線12aと電気的につながる可能性があり、異種金属接触腐食では離れた部位からも腐食電流が回りこんでくるため、ニッケル亜鉛合金層7が存在している第1皮膜4とするのが好ましい。
次に、この防食端子材1の製造方法について説明する。
基材2として、銅又は銅合金からなる板材を用意する。この板材に裁断、穴明け等の加工を施すことにより、図2に示すような、キャリア部21に複数の端子用部材22が連結部23を介して連結されてなるストリップ材に成形する。そして、このストリップ材に脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にする。
基材2として、銅又は銅合金からなる板材を用意する。この板材に裁断、穴明け等の加工を施すことにより、図2に示すような、キャリア部21に複数の端子用部材22が連結部23を介して連結されてなるストリップ材に成形する。そして、このストリップ材に脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にする。
まず、心線圧着予定部25をマスクによって覆うことにより、心線圧着予定部25以外の部分を露出させた状態とし、その状態でニッケルめっき、ニッケル亜鉛合金めっき、錫めっきを順に施す。
ニッケル層6を形成するためのニッケルめっきは、緻密なニッケル主体の膜が得られるものであれば特に限定されず、公知のスルファミン酸浴、ワット浴、クエン酸浴等を用いて電気めっきにより形成すればよい。このニッケルめっきにより形成されるニッケルめっき層の膜厚は0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.5μm以上2.0μm以下がさらに好ましい。
ニッケル層6を形成するためのニッケルめっきは、緻密なニッケル主体の膜が得られるものであれば特に限定されず、公知のスルファミン酸浴、ワット浴、クエン酸浴等を用いて電気めっきにより形成すればよい。このニッケルめっきにより形成されるニッケルめっき層の膜厚は0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.5μm以上2.0μm以下がさらに好ましい。
ニッケル亜鉛合金層7を形成するためのニッケル亜鉛合金めっきは、緻密な膜を所望の組成で得られるものであれば特に限定されず、硫酸塩浴、塩化物浴、アルカリ浴を用いて電気めっきすることができる。このニッケル亜鉛合金めっきにより形成されるニッケル亜鉛合金めっき層の膜厚は0.1μm以上5.0μm以下であり、0.5μm以上3.0μm以下が好ましい。
錫層8を形成するための錫めっき又は錫合金めっきは、公知の方法により行うことができるが、例えば有機酸浴(例えばフェノールスルホン酸浴、アルカンスルホン酸浴又はアルカノールスルホン酸浴)、硼フッ酸浴、ハロゲン浴、硫酸浴、ピロリン酸浴等の酸性浴、或いはカリウム浴やナトリウム浴等のアルカリ浴を用いて電気めっきすることができる。この錫めっきにより形成される錫めっき層の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましく、0.5μm以上3.0μm以下がさらに好ましい。
また、常温(25℃)でニッケル亜鉛合金層7と錫層8の相互拡散を進行させるためには、ニッケル亜鉛合金めっき層の表面を清浄な状態にしてから錫めっき層を積層するとよい。ニッケル亜鉛合金めっき層の表面には水酸化物や酸化物が速やかに形成されるため、めっき処理により連続成膜する場合には、水酸化物や酸化物を除くために、水酸化ナトリウム水溶液や塩化アンモニウム水溶液で洗浄してから直ちに錫めっき層を成膜するとよい。なお、蒸着等の乾式法で錫の層を成膜する際には、ニッケル亜鉛合金めっき層表面をアルゴンスパッタ処理によりエッチングしてから成膜するとよい。
このようにして製造された防食端子材1は、心線圧着予定部25に基材2の表面が露出し、心線圧着予定部25以外の部分に、ニッケル層6、ニッケル亜鉛合金層7、錫層8からなる第1皮膜4が形成される。
そして、プレス加工等によりストリップ材のまま端子の形状に加工され、連結部23が切断されることにより、図3に示す防食端子10に形成される。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示しており、心線圧着部13及びその付近が電線12の心線12aに直接接触することになる。
図4は電線12に防食端子10をかしめた端末部構造を示しており、心線圧着部13及びその付近が電線12の心線12aに直接接触することになる。
この防食端子10は、心線圧着部13の内面(心線圧着予定部25)においては、基材2の表面が露出しており、その基材2の銅元素がアルミニウムと金属間化合物を形成するため、心線圧着予定部25における密着性を高め、異種金属接触腐食の発生を抑制することができる。
また、心線圧着予定部25以外の表面には、ニッケル層6、ニッケル亜鉛合金層7、錫層8が積層されてなる第1皮膜4が形成されており、錫層8中に、錫よりもアルミニウムと腐食電位が近い亜鉛が含有されていることから、この錫層8の腐食電位がアルミニウムに近くなっている。このため、アルミニウム心線12aに接触又は近接する心線圧着部13の近傍部位において、腐食を防止する効果が高く、異種金属接触腐食の発生を有効に防止することができる。しかも、錫層8の下にニッケル亜鉛合金層7が形成されているので、万一、摩耗等により錫層8の全部又は一部が消失した場合でも、その下のニッケル亜鉛合金層7はアルミニウムと腐食電位が近いので、異種金属接触腐食の発生を確実に抑えることができる。
また、心線圧着予定部25以外の表面には、ニッケル層6、ニッケル亜鉛合金層7、錫層8が積層されてなる第1皮膜4が形成されており、錫層8中に、錫よりもアルミニウムと腐食電位が近い亜鉛が含有されていることから、この錫層8の腐食電位がアルミニウムに近くなっている。このため、アルミニウム心線12aに接触又は近接する心線圧着部13の近傍部位において、腐食を防止する効果が高く、異種金属接触腐食の発生を有効に防止することができる。しかも、錫層8の下にニッケル亜鉛合金層7が形成されているので、万一、摩耗等により錫層8の全部又は一部が消失した場合でも、その下のニッケル亜鉛合金層7はアルミニウムと腐食電位が近いので、異種金属接触腐食の発生を確実に抑えることができる。
本実施形態の場合、図2のストリップ材の状態でめっき処理したことから、防食端子10の端面も基材2が露出していないので、優れた防食効果を発揮することができる。
[第2実施形態]
図5に防食端子材の第2実施形態(防食端子材101)を示す。
この防食端子材101は、心線圧着予定部25に基材2の表面が露出している点は第1実施形態等と同じであるが、心線圧着予定部25以外の部分に形成されている第1皮膜41は、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層61の上に、錫又は錫合金からなる錫層81が形成されている。腐食環境の程度によっては、このような端子材を用いることも可能である。この錫層81の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましい。
図5に防食端子材の第2実施形態(防食端子材101)を示す。
この防食端子材101は、心線圧着予定部25に基材2の表面が露出している点は第1実施形態等と同じであるが、心線圧着予定部25以外の部分に形成されている第1皮膜41は、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層61の上に、錫又は錫合金からなる錫層81が形成されている。腐食環境の程度によっては、このような端子材を用いることも可能である。この錫層81の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましい。
この錫層81を有する第1皮膜41は、基材2の上に、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき、錫又は錫合金からなる錫めっきをしてから、加熱溶融(リフロー)させる熱処理を施すことにより形成される。
熱処理としては、基材2の表面温度が200℃以上270℃以下になるまで昇温後、当該温度に3秒以上10秒以下の時間保持した後、急冷することにより行われる。
熱処理としては、基材2の表面温度が200℃以上270℃以下になるまで昇温後、当該温度に3秒以上10秒以下の時間保持した後、急冷することにより行われる。
この防食端子材101は、第1皮膜41がいわゆるリフロー錫により形成されているので、錫層81の外観が光沢面とされるとともに、内部応力を緩和させてウイスカの発生が防止される。
なお、この実施形態では、第1皮膜にニッケル層61を形成したが、必要に応じて、ニッケル層61を形成せずに、錫層81のみを形成する場合もある。
なお、この実施形態では、第1皮膜にニッケル層61を形成したが、必要に応じて、ニッケル層61を形成せずに、錫層81のみを形成する場合もある。
[第3実施形態]
図6から図8は防食端子材の第3実施形態を示している。
第1及び第2実施形態では、防食端子材の皮膜について、心線圧着予定部25と、それ以外の領域とに分けたが、第3実施形態の防食端子材102では、心線圧着予定部25以外の領域について、さらに二つの領域に分け、端子に成形されたときに接続部11内でオス端子15に接触し接点となる部分を接点予定部26とし、接点予定部26及び心線圧着予定部25以外の部分を表面露出部27とする。
図6から図8は防食端子材の第3実施形態を示している。
第1及び第2実施形態では、防食端子材の皮膜について、心線圧着予定部25と、それ以外の領域とに分けたが、第3実施形態の防食端子材102では、心線圧着予定部25以外の領域について、さらに二つの領域に分け、端子に成形されたときに接続部11内でオス端子15に接触し接点となる部分を接点予定部26とし、接点予定部26及び心線圧着予定部25以外の部分を表面露出部27とする。
図8に示す実施形態の防食端子(メス端子)100の場合、角筒状に形成される接続部11内で対向状態となるばね片11aのおもて面、接続部11の内側の天面、接続部11の内側面のうちばね片11aと接続部11の天面との間の部分、及び接続部11の内側面の上半分程度の部分が、オス端子15に接触する接点となる部位である。
図7に示すように、接続部11及びばね片11aを展開した状態においては、接続部11となる部分の二点鎖線で示すおもて面、破線で示すばね片11aの裏面の一部がそれぞれ接点予定部26である。
表面露出部27は、接点予定部26と心線圧着予定部25とを除く表面である。
図7に示すように、接続部11及びばね片11aを展開した状態においては、接続部11となる部分の二点鎖線で示すおもて面、破線で示すばね片11aの裏面の一部がそれぞれ接点予定部26である。
表面露出部27は、接点予定部26と心線圧着予定部25とを除く表面である。
そして、図6に示すように、心線圧着予定部25では基材2の表面が露出しているとともに、表面露出部27には第1皮膜4が形成される。第1皮膜4は前述の各実施形態の皮膜のいずれの組み合わせでもよい。図6には第1実施形態と同じ組み合わせの第1皮膜4を示している。
一方、接点予定部26には第2皮膜5が形成されている。この第2皮膜5は、必要に応じて形成されるニッケル又はニッケル合金からなるニッケル層6の上に、錫又は錫合金からなる錫層82が形成されている。第1皮膜4に第1実施形態のようなニッケル亜鉛合金層7と錫層8とを有する場合でも、この第2皮膜5にはニッケル亜鉛合金層7は有しない。錫層82を錫合金により形成する場合も、亜鉛を含有しない層とするのが好ましい。この第2皮膜5の表面の錫層81に亜鉛が存在すると、高温環境下において亜鉛の酸化物が堆積し、接点としての接続信頼性が損なわれることがある。このため、接点予定部26の第2皮膜5においては、亜鉛層を有しない構造とすることで、高温環境下に曝された際も接触抵抗の上昇を備えることができる。また、接点予定部26は心線12aと離れた位置に存在するため、塩水等の電解質水溶液を通して電気的につながり、腐食反応に影響する可能性は低い。接点予定部26の第2皮膜5が腐食反応に影響する可能性をさらに低くするためには、亜鉛層を有しない接点予定部26は狭いほど好ましい。図7に示す例では、ばね片11aの裏面においては、オス端子15が接触する部分にのみ接点予定部26として第2皮膜5を形成している。
この第2皮膜5のニッケル層6の膜厚は0.1μm以上5.0μm以下、錫層82の膜厚は0.1μm以上6.0μm以下が好ましい。この錫層82の膜厚が0.1μm未満では、製造上均一に層を形成することが困難であるとともに、端子作製過程の曲げ加工時にめっきが破壊されるおそれがある。一方、錫層82の膜厚が6.0μmを超えると、膜厚が厚過ぎることから、動摩擦係数の増大を招き、コネクタ等での使用時の着脱抵抗が大きくなる傾向にある。また、材料コストの増大につながる。
この第3実施形態の防食端子材102を製造する場合、まず、接点予定部26以外の部分をマスクによって覆い、接点予定部26のみ露出させて第2皮膜5のための錫又は錫合金からなる錫めっきを施す。この際、必要に応じてニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっきを錫めっきより先に施す。マスクを除去して、熱処理することにより、接点予定部26に第2皮膜5がそれぞれ形成される。次に、心線圧着予定部25と接点予定部26をマスクにより覆い、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっきを施し、第1皮膜4のためのめっき(例えばニッケル亜鉛合金めっきと錫又は錫合金からなる錫めっき)を施す。最後に、マスクを除去して、表面露出部27に第1皮膜4、接点予定部26に第2皮膜5がそれぞれ形成される。
熱処理としては、基材2の表面温度が200℃以上270℃以下になるまで昇温後、当該温度に3秒以上10秒以下の時間保持した後、急冷することにより行われる。
熱処理としては、基材2の表面温度が200℃以上270℃以下になるまで昇温後、当該温度に3秒以上10秒以下の時間保持した後、急冷することにより行われる。
この防食端子材102は、接点予定部26においては、第2皮膜5の表面が錫層82により形成されていることから、はんだ濡れ性が良好で、低い接触抵抗により、優れた電気特性を有する。この場合、第2皮膜5においては、錫層82の下に亜鉛層を有しないので、高温環境に曝された際も接触抵抗の上昇を抑えることができる。
なお、第2皮膜5を形成する方法として、心線圧着予定部25のみマスクで覆った状態として、例えばニッケルめっき及びニッケル亜鉛合金めっきを順に施し、その後、部分エッチングにより接点予定部26のニッケル亜鉛合金めっき層を除去した後、全面に錫又は錫合金めっきを施し、最後にマスクを外して熱処理することにより、第1皮膜4と第2皮膜5とを形成する方法としてもよい。
その他、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、先の実施形態では、基材として銅又は銅合金からなる板材を用いたが、少なくとも表面が銅又は銅合金からなるものであればよく、銅以外の母材の表面に銅又は銅合金からなるめっきを施したものを基材として用いてもよい。
また、プレス加工されたストリップ材に各種めっきを施したが、プレス加工する前の帯状板材(基材)に各種めっきを施した後にストリップ材の形状にプレス加工してもよい。
また、プレス加工されたストリップ材に各種めっきを施したが、プレス加工する前の帯状板材(基材)に各種めっきを施した後にストリップ材の形状にプレス加工してもよい。
基材として、以下のA~Eの5種類を用意した。
基材A:C2600(黄銅:Cu含有率70質量%)
基材B:C1020(無酸素銅:Cu含有率99.96質量%以上)
基材C:C18665(三菱マテリアル株式会社製 商品名「MSP1):Mg含有率0.7質量%」
基材D:C5100(三菱マテリアル株式会社製 商品名「C151」:Zr含有率0.1質量%)
基材E:C64727(三菱マテリアル株式会社製 商品名「MAX375:Ni含有率2.85質量%」
これらの銅板を脱脂、酸洗した後、心線圧着予定部をマスクにより覆った状態とし、表1及び表2に示す第1皮膜を形成した。また、表2に示すように、一部の試料では、接点予定部に第1皮膜に代えて第2皮膜を形成したものも作製した。
基材A:C2600(黄銅:Cu含有率70質量%)
基材B:C1020(無酸素銅:Cu含有率99.96質量%以上)
基材C:C18665(三菱マテリアル株式会社製 商品名「MSP1):Mg含有率0.7質量%」
基材D:C5100(三菱マテリアル株式会社製 商品名「C151」:Zr含有率0.1質量%)
基材E:C64727(三菱マテリアル株式会社製 商品名「MAX375:Ni含有率2.85質量%」
これらの銅板を脱脂、酸洗した後、心線圧着予定部をマスクにより覆った状態とし、表1及び表2に示す第1皮膜を形成した。また、表2に示すように、一部の試料では、接点予定部に第1皮膜に代えて第2皮膜を形成したものも作製した。
これら第1皮膜及び第2皮膜については、以下の3種類のめっき皮膜とした。
めっきA:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した後、200℃~270℃の温度で3秒~10秒熱処理を施した。
めっきB:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に0.5μmの厚さで銅めっきを施し、さらにその上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した後、200℃~270℃の温度で3秒~10秒熱処理を施した。
めっきC:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に1.0μmの厚さでニッケル亜鉛合金めっきを施し、さらにその上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した。
めっきA:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した後、200℃~270℃の温度で3秒~10秒熱処理を施した。
めっきB:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に0.5μmの厚さで銅めっきを施し、さらにその上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した後、200℃~270℃の温度で3秒~10秒熱処理を施した。
めっきC:基材の上に1.0μmの厚さでニッケルめっきを施し、その上に1.0μmの厚さでニッケル亜鉛合金めっきを施し、さらにその上に1.5μmの厚さで錫めっきを施した。
主なめっきの条件は以下のとおりとした。
また、比較例として、心線圧着予定部にめっきA~Cのいずれかの皮膜を設けたものも作製した。
また、比較例として、心線圧着予定部にめっきA~Cのいずれかの皮膜を設けたものも作製した。
<ニッケルめっき条件>
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:5g/L
ホウ酸:30g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル:300g/L
塩化ニッケル:5g/L
ホウ酸:30g/L
・浴温:45℃
・電流密度:5A/dm2
<ニッケル亜鉛合金めっき条件>
・めっき浴組成
硫酸ナトリウム:70g/L
硫酸ニッケル:250g/L
硫酸亜鉛:100g/L
硫酸:2g/L
・アノード:ニッケル板
・浴温:50℃
・電流密度:3A/dm2
・めっき浴組成
硫酸ナトリウム:70g/L
硫酸ニッケル:250g/L
硫酸亜鉛:100g/L
硫酸:2g/L
・アノード:ニッケル板
・浴温:50℃
・電流密度:3A/dm2
<錫めっき条件>
・めっき浴組成
メタンスルホン酸錫:200g/L
メタンスルホン酸:100g/L
光沢剤
・浴温:25℃
・電流密度:5A/dm2
・めっき浴組成
メタンスルホン酸錫:200g/L
メタンスルホン酸:100g/L
光沢剤
・浴温:25℃
・電流密度:5A/dm2
<銅めっき条件>
・めっき浴組成
硫酸銅5水和物 250g/L
硫酸 50g/L
・浴温:50℃
・電流密度:3A/dm2
・アノード:リン含有銅
・めっき浴組成
硫酸銅5水和物 250g/L
硫酸 50g/L
・浴温:50℃
・電流密度:3A/dm2
・アノード:リン含有銅
得られた試料をメス端子に成形し、アルミニウム心線をかしめた。そして、腐食環境放置試験として以下の試験を実施した。
表1に示す各試料については、アルミニウム心線をかしめた端子を23℃の5%塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬後、75℃、90%RHの高温高湿下に24時間放置した。その後、アルミニウム心線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
表2に示す各試料については、アルミニウム心線をかしめた端子を23℃の5%塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬後、75℃、90%RHの高温高湿下に100時間放置した。その後、アルミニウム心線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
表1に示す各試料については、アルミニウム心線をかしめた端子を23℃の5%塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬後、75℃、90%RHの高温高湿下に24時間放置した。その後、アルミニウム心線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
表2に示す各試料については、アルミニウム心線をかしめた端子を23℃の5%塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬後、75℃、90%RHの高温高湿下に100時間放置した。その後、アルミニウム心線と端子間の接触抵抗を四端子法により測定した。電流値は10mAとした。
表1及び表2に、心線圧着予定部の表面、心線圧着予定部以外の第1皮膜及び第2被膜の組み合わせと、腐食環境放置試験の結果を示す。
各表において、第2皮膜について「-」と記載したものは第2皮膜を設けなかったことを示す。
各表において、第2皮膜について「-」と記載したものは第2皮膜を設けなかったことを示す。
これらの結果からわかるように、心線圧着予定部の基材表面を露出させた実施例1~10,11~20では、腐食環境放置試験後の接触抵抗が低く抑えられており、優れた防食性を有している。特に、第1皮膜としてめっきCを用いた試料(実施例11~20)は、過酷な試験条件であったにもかかわらず、極めて接触抵抗が低かった。めっきCは亜鉛を含有しているため、第1皮膜の表面に亜鉛が適切に拡散されたことで、接触抵抗値の上昇が抑えられたものと考える。
これに対して比較例1~10では、心線圧着予定部として、表面に錫めっき層を有する皮膜を形成したため、腐食環境試験で高い接触抵抗であった。また、防食性に優れるめっきCを全面に施した表2の比較例11~15であっても、心線圧着予定部の基材を露出させた実施例11~20に比べると、高い接触抵抗であった。
これに対して比較例1~10では、心線圧着予定部として、表面に錫めっき層を有する皮膜を形成したため、腐食環境試験で高い接触抵抗であった。また、防食性に優れるめっきCを全面に施した表2の比較例11~15であっても、心線圧着予定部の基材を露出させた実施例11~20に比べると、高い接触抵抗であった。
1,101,102 防食端子材
2 基材
4,41 第1皮膜
5 第2皮膜
6 ニッケル層
7 ニッケル亜鉛合金層
8,81,82 錫層
10,100 防食端子
11 接続部
11a ばね片
12 電線
12a 心線(アルミニウム心線)
12b 被覆部
13 心線圧着部
14 被覆圧着部
25 心線圧着予定部
26 接点予定部
27 表面露出部
2 基材
4,41 第1皮膜
5 第2皮膜
6 ニッケル層
7 ニッケル亜鉛合金層
8,81,82 錫層
10,100 防食端子
11 接続部
11a ばね片
12 電線
12a 心線(アルミニウム心線)
12b 被覆部
13 心線圧着部
14 被覆圧着部
25 心線圧着予定部
26 接点予定部
27 表面露出部
Claims (6)
- 少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材を有し、端子に成形されたときに電線の心線を圧着する部分の内面となる心線圧着予定部と、該心線圧着予定部以外の部分とを有しており、前記心線圧着予定部は、前記基材の表面が露出しており、前記心線圧着予定部以外の部分には、表面に錫又は錫合金からなる錫層を有する第1皮膜が形成されていることを特徴とするアルミニウム心線用防食端子材。
- 前記第1皮膜は、ニッケル亜鉛合金層の上に前記錫層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム心線用防食端子材。
- 端子に成形されたときに接点となる接点予定部には前記第1皮膜に代えて第2皮膜が形成されており、該第2皮膜は表面が前記錫層により形成され、前記ニッケル亜鉛合金層を有しないことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム心線用防食端子材。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のアルミニウム心線用防食端子材からなることを特徴とするアルミニウム心線用防食端子。
- 請求項4に記載の防食端子がアルミニウム又はアルミニウム合金のアルミニウム心線からなる電線の端末に圧着されていることを特徴とする電線端末部構造。
- 前記防食端子と前記アルミニウム心線とが接触した状態で金属間化合物が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電線端末部構造。
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