JP2022118256A - 基板ホルダ、めっき装置、めっき方法、及び記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】シード層の腐食を抑制して、めっき膜厚の均一性が低下することを防止することにある。【解決手段】基板を保持し、基板をめっき液に接触させてめっきするための基板ホルダであって、 前記基板ホルダで前記基板が保持された状態において、前記基板の外周部を前記基板ホルダの外部からシールした状態で収容する内部空間と、 前記内部空間に配置され、前記内部空間に液体が導入された状態で、前記基板の表面に形成されたシード層に接触して前記基板にめっき電流を流すコンタクトと、 前記内部空間に配置され、前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる電極と、を備える、基板ホルダ。【選択図】図6A

Description

本願は、基板ホルダ、めっき装置、めっき方法、及びめっき装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを記憶する記憶媒体に関する。
電解めっきにおいて、何らかの不具合(基板の凹凸、シールの劣化等)によって、基板ホルダ内へのめっき液のリークが発生すると、ホルダ内部へ侵入しためっき液により、シード層が腐食及び/又は溶解し、導通不良が発生することにより、めっきの均一性が低下する場合がある。
米国特許第7727366号明細書(特許文献1)及び米国特許第8168057号明細書(特許文献2)には、基板のシールの片側を流体で加圧し、シールの反対側からの流体の侵入を防止することが記載されている。特開2020-117763号公報(特許文献3)及び特開2020-117765号公報(特許文献4)には、基板の外周部をシールして収容する内部空間に液体を注入し、内部空間へのめっき液の侵入を防止することにより、基板の外周部及び接触部材へのめっきの析出を防止することが記載されている。
米国特許第7727366号明細書 米国特許第8168057号明細書 特開2020-117763号公報 特開2020-117765号公報
上記特許文献に記載の技術のような対策を講じても、基板の凹凸、シールの劣化の程度によっては、めっき液が内部空間に侵入する可能性があるが、上記特許文献には、めっき液が内部空間に侵入した場合における有効な対策は何ら記載されていない。
本発明の目的の1つは、基板ホルダのシールされた空間にめっき液が侵入することを抑制又は防止しつつ、めっき液が侵入したことを早期に発見することにある。また、本発明の目的の1つは、基板ホルダのシールされた空間にめっき液が侵入した場合にも、めっき膜厚の均一性が低下することを防止することにある。
一実施形態によれば、 基板を保持し、基板をめっき液に接触させてめっきするための基板ホルダであって、 前記基板ホルダで前記基板が保持された状態において、前記基板の外周部を前記基板ホルダの外部からシールした状態で収容する内部空間と、 前記内部空間に配置され、前記内部空間に液体が導入された状態で、前記基板の表面に形成されたシード層に接触して前記基板にめっき電流を流すコンタクトと、 前記内部空間に配置され、前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる電極と、を備える、基板ホルダが提供される。
一実施形態によれば、 基板をめっきするための方法であって、 前記基板の外周部を外部からシールした状態で収容する前記基板ホルダの内部空間に液体を導入し、 前記内部空間に液体が導入された状態で、前記内部空間に配置された電極を前記基板にめっき電
流を流すコンタクトに対して高電位側にバイアスすることにより、前記シード層の腐食を抑制すること、を含む、方法が提供される。
一実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。 めっきモジュールを示す概略図である。 基板ホルダのフロントプレートを内側からみた概略図である。 基板ホルダのバックプレートを内側からみた概略図である。 プリウェットモジュールにおける基板ホルダの概略図である。 めっき槽における基板ホルダの内部空間の断面を拡大した概略図である。 めっき槽における基板ホルダの内部空間の断面を拡大した概略図である。 めっき槽における比較例に係る基板ホルダの内部空間の断面を拡大した概略図である。 溶存酸素濃度によるシード層の溶解を説明する説明図である。 シャント電流によるシード層の溶解を説明する説明図である。 シャント電流を説明する等価回路図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
本明細書において「基板」には、半導体基板、ガラス基板、液晶基板、プリント回路基板だけでなく、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、微小機械素子、あるいは部分的に製作された集積回路、その他任意の被処理対象物を含む。基板は、多角形、円形を含む任意の形状のものを含む。また、本明細書において「前面」、「後面」、「フロント」、「バック」、「上」、「下」、「左」、「右」等の表現を用いるが、これらは、説明の都合上、例示の図面の紙面上における位置、方向を示すものであり、装置使用時等の実際の配置では異なる場合がある。
図1は、一実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。めっき装置100は、基板ホルダ200(図2)に基板を保持した状態で基板にめっき処理を施すものである。めっき装置100は、基板ホルダ200に基板をロードし、又は基板ホルダ200から基板をアンロードするロード/アンロードステーション110と、基板を処理する処理ステーション120と、洗浄ステーション50aとに大きく分けられる。処理ステーション120には、基板の前処理及び後処理を行う前処理・後処理モジュール120Aと、基板にめっき処理を行うめっきモジュール120Bとが配置されている。
ロード/アンロードステーション110は、1又は複数のカセットテーブル25と、基板脱着モジュール29とを有する。カセットテーブル25は、基板を収納したカセット25aを搭載する。基板脱着モジュール29は、基板を基板ホルダ200に着脱するように構成される。また、基板脱着モジュール29の近傍(例えば下方)には、基板ホルダ200を収容するためのストッカ30が設けられる。洗浄ステーション50aは、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる洗浄モジュール50を有する。洗浄モジュール50は、例えば、スピンリンスドライヤである。
カセットテーブル25、基板着脱モジュール29、及び洗浄ステーション50aで囲まれる位置には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送ロボット27が配置されている。搬送ロボット27は、走行機構28により走行可能に構成される。搬送ロボット27は
、例えば、めっき前の基板をカセット25aから取り出して基板着脱モジュール29に搬送し、めっき後の基板を基板着脱モジュール29から受け取り、めっき後の基板を洗浄モジュール50に搬送し、洗浄及び乾燥された基板を洗浄モジュール50から取り出してカセット25aに収納するように構成される。
前処理・後処理モジュール120Aは、プリウェットモジュール32と、プリソークモジュール33と、第1リンスモジュール34と、ブローモジュール35と、第2リンスモジュール36と、を有する。プリウェットモジュール32は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール32は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。プリソークモジュール33は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。第1リンスモジュール34では、プリソーク後の基板が基板ホルダ200と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブローモジュール35では、洗浄後の基板の液切りが行われる。第2リンスモジュール36では、めっき後の基板が基板ホルダ200と共に洗浄液で洗浄される。プリウェットモジュール32、プリソークモジュール33、第1リンスモジュール34、ブローモジュール35、第2リンスモジュール36は、この順に配置されている。なお、この構成は一例であり、上述した構成に限定されず、前処理・後処理モジュール120Aは、他の構成を採用することが可能である。
めっきモジュール120Bは、複数のめっき槽(めっきセル)39と、オーバーフロー槽38とを有する。各めっき槽39は、内部に一つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを行う。ここで、めっき液の種類は、特に限られることはなく、用途に応じて様々なめっき液が用いられる。このめっきモジュール120Bの構成は一例であり、めっきモジュール120Bは、他の構成を採用することが可能である。
めっき装置100は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ200を基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した搬送装置37を有する。この搬送装置37は、基板脱着モジュール29、ストッカ30、プリウェットモジュール32、プリソークモジュール33、第1リンスモジュール34、ブローモジュール35、第2リンスモジュール36、及びめっきモジュール120Bとの間で基板ホルダ200を搬送するように構成される。
以上のように構成されるめっき装置100は、上述した各部を制御するように構成された制御部としての制御モジュール(コントローラ)175を有する。コントローラ175は、所定のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU175Aとを有する。メモリ175Bを構成する記憶媒体は、各種の設定データ、めっき装置100を制御するプログラムを含む各種のプログラムなどを格納している。プログラムは、例えば、搬送ロボット27の搬送制御、基板脱着モジュール29における基板の基板ホルダ200への着脱制御、搬送装置37の搬送制御、各処理モジュールにおける処理の制御、各めっき槽39におけるめっき処理の制御、洗浄ステーション50aの制御を実行するプログラムを含む。記憶媒体は、不揮発性及び/又は揮発性の記憶媒体を含むことが可能である。記憶媒体としては、例えば、コンピュータで読み取り可能なROM、RAM、フラッシュメモリなどのメモリや、ハードディスク、CD-ROM、DVD-ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
コントローラ175は、めっき装置100及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータのやり取りをすることができる。コントローラ175の一部又は全部の機能は、ASIC等のハードウェアで構成することができる。コントローラ175の一部又は全部の機能は、シーケンサで構成してもよい。コントローラ175の一部又は全部は、めっき装置100の筐体の内部及び/又は外部に配置することができる。コントローラ175の一部又は全部は、有線及び/又は無線によりめっき装置100の各部と通信可能に接続される。
(めっきモジュール)
図2は、めっきモジュール120Bを示す概略図である。同図に示すように、めっきモジュール120Bは、内部にめっき液を保持するめっき槽39と、めっき槽39内で基板ホルダ200に対向して配置されたアノード40と、アノード40を保持するアノードホルダ60と、を備えている。基板ホルダ200は、ウェハなどの基板Wを着脱自在に保持し、かつ基板Wをめっき槽39内のめっき液Qに浸漬させるように構成されている。本実施形態に係るめっき装置100は、めっき液Qに電流を流すことで基板Wの表面を金属でめっきする電解めっき装置である。アノード40としては、めっき液に溶解しない例えば酸化イリジウムまたは白金を被覆したチタンからなる不溶性アノードが用いられる。アノード40として、溶解性アノードを使用してもよい。溶解性アノードとして、例えば、含リン銅からなる溶解性アノードを用いることができる。基板Wは、例えば、半導体基板、ガラス基板、樹脂基板、又はその他任意の被処理対象物である。基板Wの表面にめっきされる金属は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、Sn-Ag合金、またはコバルト(Co)である。めっき液Qは、めっきする金属を含む酸性溶液であり、例えば、銅をめっきする場合は硫酸銅溶液である。
アノード40および基板Wは鉛直方向に延在するように配置され、且つめっき液中で互いに対向するように配置される。但し、他の実施形態では、アノード40および基板Wが水平方向に延在するように配置される構成(カップ式)が採用され得る。アノード40はアノードホルダ60を介して電源90の正極に接続され、基板Wは基板ホルダ200を介して電源90の負極に接続される。アノード40と基板Wとの間に電圧を印加すると、電流は基板Wに流れ、めっき液の存在下で基板Wの表面に金属膜が形成される。
めっきモジュール120Bは、めっき槽39に隣接するオーバーフロー槽38を更に備えている。めっき槽39内のめっき液はめっき槽39の側壁を越流してオーバーフロー槽38内に流入するようになっている。オーバーフロー槽38の底部には、めっき液の循環ライン58aの一端が接続され、循環ライン58aの他端はめっき槽39の底部に接続されている。循環ライン58aには、循環ポンプ58b、恒温ユニット58c、及びフィルタ58dが取り付けられている。めっき液Qは、めっき槽39の側壁をオーバーフローしてオーバーフロー槽38に流入し、さらにオーバーフロー槽38から循環ライン58aを通ってめっき槽39に戻される。このように、めっき液Qは、循環ライン58aを通じてめっき槽39とオーバーフロー槽38との間を循環する。
めっき装置100は、基板W上の電位分布を調整する調整板(レギュレーションプレート)14と、めっき槽39内のめっき液を攪拌するパドル16とをさらに備えている。調整板14は、パドル16とアノード40との間に配置されており、めっき液中の電場を制限するための開口14aを有している。パドル16は、めっき槽39内の基板ホルダ200に保持された基板Wの表面近傍に配置されている。パドル16は例えばチタン(Ti)または樹脂から構成されている。パドル16は、基板Wの表面と平行に往復運動することで、基板Wのめっき中に十分な金属イオンが基板Wの表面に均一に供給されるようにめっ
き液Qを攪拌する。
なお、上述した構成は一例であり、めっき装置100、めっきモジュール120B等の構成は、他の構成を採用することが可能である。
図3は、基板ホルダのフロントプレートを内側からみた概略図である。図4は、基板ホルダのバックプレートを内側からみた概略図である。基板ホルダ200は、フロントプレート210及びバックプレート220を備え、フロントプレート210及びバックプレート220により基板Wを挟んで保持するものである。
フロントプレート210は、保持体211と、複数のコンタクト213と、バスバー214と、クランプ機構217と、を備えている。複数のコンタクト213、バスバー214、クランプ機構217は、保持体211の内側面に設けられている。保持体211は、基板Wの被めっき面を露出する開口211Aを有している。保持体211の一端側には、ハンドル212が取り付けられている。複数のコンタクト213は、開口211Aの外周に沿って設けられている。コンタクト213は、基板Wのシード層に接触して基板にめっき電流を流すための電気接点である。バスバー214は、コンタクト213と、ハンドル212に設けられた外部接続端子218との間を電気的に接続する。バスバー214は、外部接続端子218を介してコンタクト213を電源90に接続するための配線である。開口211Aの周囲においてコンタクト213の内側には、基板Wに接触して基板Wと基板ホルダ200との間をシールする内側シール215が設けられている。また、バスバー214の外側には、バックプレート220に接触して、基板ホルダ200をシールする外側シール216が設けられている。クランプ機構217は、外側シール216の外側に設けられ、バックプレート220のクランプ機構227と協働して、フロントプレート210とバックプレート220とを互いに係合させる。
バックプレート220は、保持体221と、保持体221の外周部に設けられたクランプ機構227とを備えている。保持体221は、開口221Aを有している。但し、開口部221Aは、図2に示すように省略されてもよい。保持体221の一端側には、ハンドル222が取り付けられている。ハンドル222は、フロントプレート210のハンドル212と係合し、一体のハンドルとして機能する。このハンドルの両端を各モジュールの処理槽の壁の縁に掛けて基板ホルダ200を吊り下げて設置する。保持体221には、フロントプレート210の内側シール215に対応する位置に、内側シール225が設けられている。保持体221上において、フロントプレート210の外側シール216に対応する位置を破線で示している。フロントプレート210及びバックプレート220で基板Wを挟んで保持した際に、内側シール215、225と外側シール216とが基板ホルダ200の密閉された内部空間(シール空間)240(図3、図4、図6A、図6B)を形成する。内部空間240は、図3では内側シール215と外側シール216との間の部分に対応し、図4では、内側シール225と破線との間の部分に対応する。
図3に示すように、フロントプレート210の内側シール215及び外側シール216の間には、めっき液のリークを検出するための検出器230が設けられている。検出器230は、複数のコンタクト213の近傍に設けられる導電体又は電極である。導電体又は電極は、一体であっても、複数の片から構成されてもよい。検出器230は、点線で示す配線によって外部接続端子219に接続されている。外部接続端子219は、外部接続端子218から電気的に絶縁されている。導電体又は電極を複数の片で構成し、各片を個別の配線で接続する場合、めっき液のリークが発生している場所を特定することが可能になる。
図4及び図5に示すように、バックプレート220には、基板ホルダ200の内部空間
240と基板ホルダ200の外部とを連絡する導入通路231及び排出通路232が設けられている。図5に示すように、導入通路231及び排出通路232には、それぞれ、各通路の導通及び遮断を制御するためのバルブ231A及びバルブ232Aが設けられている。バルブ231A及びバルブ232Aは、例えば電磁弁とすることができ、開閉弁であっても、流量を制御可能な流量制御弁であってもよい。バルブ231A及びバルブ232Aは、コントローラ175により制御される。バルブ231A及びバルブ232Aは、基板ホルダ400の保持体220の内部又は表面に設けることができる。導入通路231及び排出通路232の一部又は全部は、基板ホルダ400の保持体220の内部に形成された通路、及び/又は、保持体220の表面に配置される配管として設けることができる。
図5は、プリウェットモジュールにおける基板ホルダの概略図である。プリウェットモジュール300は、処理槽301と、循環ライン302と、循環ライン302に設けられたポンプ303及び脱気モジュール304とを備えている。脱気モジュール304は、液体中の空気を除去(脱気)又は不活性ガスで置換する装置である。図5では、脱気モジュールを真空ポンプで減圧し、液体中の空気を除去する例を示す。一方、真空ポンプの減圧に代えて、脱気モジュールに不活性ガスを流通させれば、液体中の空気を不活性ガスに置換することが可能である。この例では、処理槽301に純水(例えばDIW)が溜められる。本実施形態では、処理槽301には、脱気モジュール304で脱気又は不活性ガス置換された純水が溜められるようになっている。処理槽301内の純水は、ポンプ303により脱気モジュール304に送られ、脱気モジュール304で脱気又は不活性ガス置換された後に、処理槽301に戻されるように循環され、処理槽301内に脱気水が溜められるようになっている。ここで、脱気水は、空気を除去された水、又は水中の気体が不活性ガスで置換された水を意味する。なお、処理槽301には、図示しない供給口及び排出口が設けられており、供給口及び排出口により処理槽301内の純水は適宜交換される。脱気、不活性ガス置換等により純水中の溶存酸素濃度を減少させる。
本実施形態では、基板Wを保持した基板ホルダ200を処理槽301内の純水(脱気水)に浸漬し、導入通路231のバルブ231Aを開放して、導入通路231を介して純水を基板ホルダ200の内部空間240に導入し、内部空間240を純水で満たす。なお、基板Wを保持した基板ホルダ200を処理槽301内の純水に浸漬し、バルブ231A、バルブ232Aを開放し、導入通路231を介して純水を基板ホルダ200の内部空間240に導入し、排出通路232を介して内部空間240内の空気を排出すると共に、排出通路232を介して内部空間240に満たされた純水を排出して、内部空間240を純水で満たすようにしてもよい。バルブ231A及び/又はバルブ232Aは、基板ホルダ200が純水に浸漬する前に開放してもよい。内部空間240が純水で満たされた後、バルブ231A及びバルブ232Aを閉鎖する。
内部空間240は、空気が残らないように完全に純水で満たされることが好ましいが、後述する作用効果をどの程度所望するかに応じて若干の空気又は気泡が残存することが許容される場合がある。以下、内部空間240を完全に純水で満たすとして、本実施形態を説明する。
なお、内部空間240を図示しない減圧装置(例えば真空ポンプ)に接続するための別の通路を更に設け、内部空間240内を減圧した後に、この別の通路を遮断すると共にバルブ231Aを開放し、内部空間240に純水を導入するようにしてもよい。さらにバルブ232Aを開放し、内部空間240がより確実に純水で満たされるようにしてもよい。また、別の通路を設けず、排出通路232に減圧装置を接続し、内部空間240内を減圧した後に、バルブ232Aを閉鎖すると共に231Aを開放し、内部空間240に純水を導入するようにしてもよい。
なお、めっき後にリンス工程(第2リンスモジュール36)又はブロー工程(ブローモジュール35)において、再度バルブ231A、バルブ232Aを開放し、基板ホルダ200の内部空間240内の純水を排出してもよい。
図6A及び図6Bは、めっき槽における基板ホルダの内部空間の断面を拡大した概略図である。図6Cは、めっき槽における比較例に係る基板ホルダの内部空間の断面を拡大した概略図である。図6Cに示すように、比較例に係る基板ホルダ200Aでは、内部空間240Aが空洞であり、空気が存在する。内部空間240Aが空洞であるため、めっき液Qが内部空間240A内に侵入するリークが一旦発生すると、めっき液Qによる液圧によって内部空間240Aの空気が圧縮され、大量のめっき液Qがシール内へ侵入するおそれがある。内部空間240A内のシード層401にめっき液Qが付着すると、めっき液中の溶存酸素及び/又はめっき電流の分流による電解腐食によって、シード層401が溶解し、電気的に絶縁するおそれがある。
図7は、溶存酸素濃度によるシード層の溶解を説明する説明図である。空気で満たされた内部空間240A(図6C)にめっき液Qが侵入すると、めっき液Qの原液が希釈されることなく、コンタクト213近傍の露出したシード層401に付着する。また、めっき液Qの侵入により圧縮された内部空間240A内の空気(O)がめっき液Qに溶解するため、気液界面近傍でOの濃度勾配が生じ、局部電池の作用でシード層401が溶解する。具体的には、図7に示すように、空気中の酸素Oがめっき液Qに溶け込み、気-液界面に近く溶存酸素濃度が高い場所ではOがシード層401から電子を受け取ってOHとなる一方、気-液界面から離れた、より溶存酸素濃度が低い場所では、シード層401からCuが電子を放出し、Cuイオンとなって溶出する。この反応により、シード層401からCuが溶け出してシード層401が薄くなり、シード層401の電気抵抗が増加し、シード層401が電気的に絶縁するおそれがある。ここでは、銅めっきの場合について説明するが、他の金属のめっきの場合にも同様の現象が生じ得る。
図8Aは、シャント電流によるシード層の溶解を説明する説明図である。図8Bは、シャント電流を説明する等価回路図である。図中、Itotalは、コンタクトに流れる電流の総和であり、Icwはシード層とコンタクトの接触箇所を介して流れる電流であり、Ishuntはシャント電流である。Rcontactは、コンタクト213とシード層401との間の接触抵抗であり、Rwaferはシード層の電気抵抗であり、Rdissolutionはシャント電流経路のシード層側の溶解箇所における電気抵抗であり、Rdepositionはシャント電流経路のコンタクト側の析出箇所における電気抵抗であり、Relectrolyteはめっき液の電気抵抗を示す。
内部空間240A内にめっき液Qが侵入した場合、シード層401の電気抵抗Rwafer、及び/又はコンタクト213とシード層401との間の接触抵抗Rcontactが高いと、めっき液Q中のイオン電導と、シード層401表面及びコンタクト213の表面での酸化還元反応により、シード層401からめっき液Qを介してコンタクト213に流れる短絡電流(シャント電流)Ishuntが発生する。このシャント電流は、図8Aに示すように、シード層401の表面で、CuがCu2+となりめっき液Q中に溶けだし、めっき液Q中のCu2+がコンタクト213の表面でCuとなることにより流れる。従って、シャント電流が発生すると、シード層401のCuが溶解してシード層401が薄くなり、シード層401の電気抵抗が増加し、シード層401が電気的に絶縁するおそれがある。このシャント電流は、上述した局部電池作用により局部的にシード層401の抵抗値が増大した場合にも発生する。
従って、比較例に係る基板ホルダ200Aの構成では、内部空間240Aにめっき液Qが侵入すると、上述した溶存酸素濃度勾配による局部電池作用、及び/又はシャント電流
に起因して、シード層401が溶解し、シード層401が電気的に絶縁するおそれがある。
そこで、本実施形態では、基板ホルダ200の内部空間240を純水(例えばDIW)で満たす構成を採用し(図5、図6A、図6B)、基板ホルダ200の内部空間240内へのめっき液のリークを検出する検出器230を設けている(図3、図6A、図6B)。検出器230は、例えば、内部空間240中の純水を介してコンタクト213又はバスバー214との間に流れる電流を検出する電極、即ち内部空間240内の純水を流れる電流(又は純水の電気抵抗)を検出する電極とすることができる。
図6Aの例では、検出器230として、犠牲アノード又は犠牲電極として機能する、溶解性の電極235Aを採用する。同図において、符号401は、基板Wの表面に形成されたシード層、符号402は、シード層401の表面に形成されたレジストパターンを示す。レジストパターンの開口から露出するシード層401に金属が電界めっきされる。基板ホルダ200のコンタクト213は、シード層401に接触してシード層401と電気的に導通している。溶解性の電極は、めっき金属と同じ材料の導電体を用いることができ、例えば、溶解性アノードと同様に、含リン銅からなる電極を用いることができる。電極235Aと、コンタクト213(バスバー214)間には、電極235Aがコンタクト213(バスバー214)より高電位になるように、直流電源装置236Aにより直流電圧が印加される。また、直流電源装置236A内又は直流電源装置236Aからの配線上に電流検出器237Aが設けられる。この状態で、コントローラ175が、電極235Aと、コンタクト213(バスバー214)間に流れる電流又はそれらの間の電気抵抗をモニタする。電極235Aとコンタクト213(バスバー214)の間に流れる電流は、内部空間240内の純水を流れる電流に相当する。電極235Aとコンタクト213(バスバー214)の間の電気抵抗は、内部空間240内の純水の電気抵抗に相当する。
電極235Aへの直流電圧の印加、及び電流(電気抵抗)の検出は、コントローラ175により制御される。コントローラ175は、電流検出器237Aを介して電極235Aに流れる電流(内部空間240の純水に流れる電流)を取得し、この電流に基づいて内部空間240へのめっき液のリークを検出する。また、コントローラ175は、電極235Aに流れる電流を取得し、電極235Aとコンタクト213(バスバー214)との間の電圧と、検出した電流とから、純水の電気抵抗値を算出し、電気抵抗値に基づいてリークを検出する。
内部空間240へのめっき液のリークが発生していない場合、内部空間240内の純水の電気抵抗が極めて高いので、電極235Aとコンタクト213(バスバー214)と間に電流は流れない(又はごく微弱な電流のみが流れる)。一方、リークが発生すると、純水にめっき液が混入して純水の電気抵抗が下がり、電極235Aとコンタクト213(バスバー214)間に電流が流れる(又は電流が増加する)。このようにして、電極235Aにより、内部空間240内へのめっき液のリークを検出することができる。また、万一、シード層401が腐食し得る量のめっき液のリークが発生しても、犠牲アノードとして機能する電極235Aがコンタクト213及びシード層401に対して高電位にバイアスされているため、電極(犠牲アノード)235Aが優先して溶解し、シード層401の溶解が抑制又は防止される。
本実施形態によれば、基板ホルダ200の内部空間240が純水で満たされているため、内部空間240が空洞の場合と比較して、内部空間240の内部と外部との間の圧力差が低減され、内部空間240へのめっき液のリークを抑制又は防止することができる。これにより、めっき液のリークによるめっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
本実施形態によれば、めっき液のリークが発生しても、内部空間240内が純水で満たされている為、めっき液の内部空間240内への侵入は、拡散した分に限られ、ごく少量に抑制されるので、溶存酸素濃度に起因する局部電池作用及び/又はシャント電流によるシード層401の溶解(腐食)を抑制することができる。また、内部空間240に侵入しためっき液が純水で希釈されるために、シード層401の腐食を更に抑制することができる。これにより、めっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
また、本実施形態によれば、内部空間240内が純水で満たされ酸素濃度が低いため、溶存酸素に起因する局部電池作用によるシード層401の溶解を抑制することができる。これにより、めっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
また、本実施形態によれば、万一、腐食し得る量のめっき液のリークが発生しても、犠牲アノードとして機能する電極235Aが優先して溶解し、シード層401の溶解を抑制又は防止することができる。これにより、めっき液のリークによるめっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
また、本実施形態によれば、電極235Aとコンタクト213(バスバー214)との間の電流(電気抵抗)をモニタすることで、内部空間240へのめっき液のリークの有無を早期に検出することができる。従って、めっき液のリークが発生したとしても、電極235Aによってめっき液のリークを早期に検出し、基板ホルダ200の異常及びシールの交換時期を早期に検知することが可能である。よって、めっき液のリークを早期に検出し、めっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
なお、図6Aの例において、電極235Aによるリーク検出を行わず、電極235Aを犠牲アノードとしてのみ使用してもよい。
図6Bの例では、検出器230として、不溶解性の電極235Bを採用する。不溶解性の電極は、めっき液に溶解しない例えば金または白金を被覆したステンレスまたはチタンからなる電極を用いることができる。この場合、導電率測定又は漏液検知と同様の原理を用い、電極235Bとコンタクト213(バスバー214)の間に交流電源装置236Bにより交流電圧を印加し、電極235Bとコンタクト213(バスバー214)の間に流れる交流電流(又は電極235Bとコンタクト213(バスバー214)の間の電気抵抗としてのインピーダンス)を測定することにより、めっき液のリークを検出する。電極235Bとコンタクト213(バスバー214)の間に流れる交流電流は、内部空間240内の純水を流れる電流に相当する。電極235Bとコンタクト213(バスバー214)の間の電気抵抗(インピーダンス)は、内部空間240の純水の電気抵抗(インピーダンス)に相当する。なお、交流電源装置236B内又は交流電源装置236Bからの配線上に電流検出器237Bが設けられる。本明細書では、電気抵抗は、インピーダンス、又はインピーダンスの抵抗成分を含むとする。
電極235Bへの交流電圧の印加、及び電流(電気抵抗)の検出は、コントローラ175により制御される。コントローラ175は、電流検出器237Bを介して電極235Bに流れる電流(内部空間240の純水に流れる電流)を取得し、この電流に基づいて内部空間240へのめっき液のリークを検出する。また、コントローラ175は、電極235Bに流れる電流を取得し、電極235Bとコンタクト213(バスバー214)との間の電圧と、検出した電流とから、純水の電気抵抗値を算出し、電気抵抗値に基づいてリークを検出する。
内部空間240へのめっき液のリークが発生していない場合、内部空間240内の純水
の電気抵抗が極めて高いので、電極235Bと、コンタクト213(バスバー214)間に電流は流れない(又はごく微弱な電流のみが流れる)。リークが発生すると、純水にめっき液が混入して純水の電気抵抗値が下がり、電極235Bと、コンタクト213(バスバー214)間に電流が流れる(又は電流が増加する)。このようにして、不溶解性の電極235Bにより、内部空間240内へのめっき液のリークを検出することができる。
図6Bの例に係る構成でも、犠牲アノードの機能以外で図6Aの例に係る構成と同様の作用効果を奏する。また、不溶解性の電極235Bを用いる場合、基板ホルダ200のメンテナンスが容易である。溶解性の電極(犠牲アノード)を用いる場合には、めっき液のリーク時に、犠牲アノードから溶け出したCuの一部がコンタクトに析出し、析出したCuを除去するメンテナンスが必要な場合がある。また、犠牲アノードが減った際は、交換が必要になる。一方、不溶解性の電極235Bを用いる場合には、このようなメンテナンスを抑制又は防止することができる。なお、めっき液のリーク時には、シード層401が溶解するおそれがあるが(コンタクト213とシード層401との間の接触抵抗が高い場合、基板ホルダの内部空間に気泡残りがある場合)、電極235B(検出器230)によりめっき液のリークを早期に検出することができるため、基板ホルダの交換等により、不具合のある基板ホルダを継続して使用することを防止し、めっき品質の低下を抑制又は防止することができる。
図6A及び図6Bの例に係る構成を組み合わせてもよい。この場合、電極235Bのみでリーク検知を行っても良いし、電極235A及び電極235Bの両方でリーク検知を行ってもよい。電極235A及び電極
235Bの両方でリーク検知を行う場合には、リーク検知の冗長性を向上させることができる。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、四角形の基板の基板ホルダを例に挙げて説明したが、円形、四角形以外の多角形その他任意の形状の基板の基板ホルダに上記実施形態を適用可能である。
(2)上記実施形態では、フロントプレート及びバックプレートで基板を挟んで保持する基板ホルダを例に挙げたが、コンタクトがシールされた内部空間を有する基板ホルダであれば、任意の構成の基板ホルダに本発明を適用することができる。
(3)上記実施形態では、めっき液に基板ホルダを浸漬させて基板にめっきするめっき装置(いわゆるディップ式)を例に挙げて説明したが、基板を基板ホルダで下向きに保持してめっき液に接触させて基板にめっきするめっき装置(いわゆるカップ式)にも、本発明を適用可能である。
(4)上記実施形態では、プリウェットモジュールにおいて基板ホルダの内部空間に純水を導入したが、基板ホルダの内部空間に純水等の液体を導入するための別のモジュールを設けてもよい。
(5)内部空間に導入する液体は、基板ホルダの内部空間に露出する構成部品を腐食させない液体であれば、水以外の液体であってもよい。液体は、例えば、金属塩を含んでいない液体(金属塩の濃度が所定濃度(例えば5g/L)未満の液体)を用いることができる。このような液体は、例えば、水道水、天然水、純水を含む。純水は、例えば、脱イオン水(DIW)、蒸留水、精製水、又はRO水を含む。
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
形態1によれば、 基板を保持し、基板をめっき液に接触させてめっきするための基板ホルダであって、 前記基板ホルダで前記基板が保持された状態において、前記基板の外周部を前記基板ホルダの外部からシールした状態で収容する内部空間と、 前記基板ホルダの外部と前記内部空間とを連絡し、前記内部空間に液体を導入する第1通路と、 前記
内部空間に配置され、前記内部空間に前記液体が導入された状態で、めっき中に前記液体に流れる電流又は前記液体の電気抵抗を監視することにより前記内部空間へのめっき液のリークを検出するための検出器と、を備える基板ホルダが提供される。液体は、例えば、水、または、基板ホルダの内部空間に露出する構成部品を腐食させないその他の液体とすることができる。液体は、例えば、プレウェット工程で使用される純水を使用することができる。
この形態によれば、めっき液のリークによる基板のシード層の腐食を抑制又は防止し、めっき膜厚の均一性の低下を抑制又は防止することができる。基板ホルダの内部空間が液体で満たされているため、内部空間の内部と外部との間の圧力差が低減され、内部空間へのめっき液のリークを抑制又は防止することができる。また、めっき液がシールされた内部空間に侵入するリークが発生しても、内部空間内が液体で満たされているため、めっき液の内部空間内への侵入は、液体中に拡散した分に限られごく少量に抑制されるので、基板のシード層の腐食を抑制することができる。また、内部空間に侵入しためっき液が液体で希釈されるために、基板のシード層の腐食を更に抑制することができる。また、内部空間内の酸素濃度が低いため、溶存酸素に起因する局部電池作用によるシード層の腐食を抑制することができる。
また、めっき液のリークが発生したとしても、検出器によりめっき液のリークを早期に検知することができる。これにより、基板ホルダの異常及びシールの交換時期を早期に検知することが可能である。よって、めっき液のリークを早期に検知し、めっき膜厚の均一性の低下を抑制ないし防止することができる。
形態2によれば、形態1の基板ホルダにおいて、 前記内部空間に配置され、前記基板の表面に形成されたシード層に接触して前記基板にめっき電流を流すコンタクトと、 前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる溶解性の電極と、を備える。
この形態によれば、万一、シード層が腐食し得る量のめっき液のリークが発生しても、溶解性の電極がコンタクト及びシード層に対して高電位にバイアスされているため、溶解性の電極が犠牲アノードとして機能し、優先して溶解し、シード層の溶解を抑制又は防止することができる。
形態3によれば、形態1の基板ホルダにおいて、 前記溶解性の電極が前記検出器として機能し、 前記検出器は、前記内部空間に前記液体が導入された状態で、前記コンタクト又は前記コンタクトに電気的に導通された配線と前記電極との間に流れる電流を監視することにより、前記内部空間へのめっき液のリークを検出可能に構成されている。
この形態によれば、犠牲アノード(溶解性の電極)とコンタクト等の間に流れる電流を監視することによりめっき液のリークの有無を検知することができるので、別途、リーク検知用の電極を設ける必要がない。
形態4によれば、 形態1に記載の基板ホルダにおいて、 前記内部空間に配置され、前記基板の表面に形成されたシード層に接触して前記基板にめっき電流を流すコンタクトを備え、 前記検出器は、不溶解性の電極を有し、 前記検出器は、前記内部空間に前記液体が導入された状態で、前記コンタクト又は前記コンタクトに電気的に導通された配線と前記不溶解性の電極との間に交流電圧を印加し、前記不溶解性の電極に流れる電流を監視することにより、前記内部空間へのめっき液のリークを検出可能に構成されている。
この形態によれば、不溶解性の電極を検出器として用いるため、コンタクト等に電極の金属が析出することがなく、基板ホルダのメンテナンスが容易である。
形態5によれば、形態4の基板ホルダにおいて、 前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる溶解性の電極を更に有する。
この形態によれば、形態1及び4の作用効果に加えて、溶解性の電極がシード層に優先して溶解し、シード層の溶解を抑制又は防止することができる。
形態6によれば、 前記溶解性の電極が前記検出器として機能し、 前記検出器は、前記不溶解性の電極及び前記溶解性の電極の両方で、前記内部空間へのめっき液のリークを検出可能に構成されている。
この形態によれば、溶解性の電極(犠牲アノード)及び不溶解性の電極の両方でめっき液のリークを検出するので、めっき液のリークの検出精度を向上させることができる。また、一方の電極に不具合が生じた場合でも、めっき液のリークを検出することができるので、より確実にめっき液のリークを検出することができ、リーク検知の冗長性を向上させることができる。
形態7によれば、形態3から6の何れかの基板ホルダにおいて、前記配線はバスバーである。この形態によれば、複数のケーブルを使用する場合と比較して配線の設置空間を低減でき、配線の電気抵抗を抑制することができる。
形態8によれば、形態1から7の何れかの基板ホルダにおいて、 前記第1通路に配置され、前記基板ホルダの外部と前記内部空間との間を導通又は遮断するバルブを更に備える。
この形態によれば、バルブの開閉により基板ホルダの内部空間と外部とを導通又は遮断することができるので、基板ホルダの内部空間を確実に密閉した状態で、基板のめっき処理を行うことができる。
形態9によれば、形態1から8の何れかの基板ホルダにおいて、前記基板ホルダの外部と前記内部空間とを連絡し、前記内部空間から空気及び/又は液体を排出する第2通路を更に備える。
この形態によれば、第1通路から液体を導入する際に第2通路により内部空間内の空気を排気することで、内部空間への液体の導入を効率よく行うことができる。また、第1通路から液体を導入して内部空間を満たした液体を第2通路から排出することで、気泡が残留しないように内部空間を液体で満たすことができる。また、第2通路を減圧装置に接続し、減圧しながら又は減圧後に内部空間に第1通路から液体を導入するようにしてもよい。この場合、減圧した内部空間に液体を迅速に導入することができる。
形態10によれば、形態1から9の何れかの基板ホルダにおいて、前記基板ホルダの外部と前記内部空間とを連絡し、前記内部空間内を減圧する装置に接続される第3通路を更に備える。
この形態によれば、減圧しながら又は減圧後に内部空間に第1通路から液体を導入するので、内部空間に液体を迅速に導入することができる。
形態11によれば、形態1から10の何れかの基板ホルダにおいて、 前記液体は、純水、若しくは脱気又は不活性ガス置換された純水である。
この形態によれば、純水を内部空間に導入することにより、内部空間内の導電体部材の腐食を抑制しつつ、めっき液の侵入を抑制することができる。また、純水、若しくは脱気又は不活性ガス置換された純水を内部空間に導入すれば、内部空間内の酸素濃度を低減することができ、めっき液が侵入した際に溶存酸素濃度に起因する局部電池作用によるシード層の化学腐食を抑制することができる。
形態12によれば、 めっき装置であって、 請求項1から11の何れかに記載の基板ホルダと、 前記基板ホルダの前記第1通路を介して前記内部空間に液体を供給する液体供給モジュールと、 前記基板ホルダを受け入れてめっき液に接触させて前記基板をめっきするめっきモジュールと、 前記内部空間に液体が導入された状態で、めっき中に前記検出器からの出力を取得し、前記内部空間へのめっき液のリークの有無を判定する制御モジュールと、を備えるめっき装置が提供される。
この形態によれば、上述した作用効果を奏するめっき装置を提供することができる。
形態13によれば、形態12のめっき装置において、 前記液体供給モジュールは、前記基板の表面を純水、若しくは脱気又は不活性ガス置換された純水に接触させるプリウェットモジュールである。
この形態によれば、プリウェットモジュールで基板ホルダの内部空間に液体を導入するため、内部空間に液体を導入する別途のモジュールを設ける必要がなく、装置の大型化及び/又はコストアップを抑制することができる。
形態14によれば、 基板をめっきするための方法であって、 前記基板の外周部を外部からシールした状態で収容する前記基板ホルダの内部空間に液体を導入し、 前記内部空間に液体が導入された状態で、前記液体に流れる電流又は前記液体の電気抵抗を監視することにより、前記内部空間へのめっき液のリークを検出すること、を含む方法が提供される。この形態によれば、形態1で述べたと同様の作用効果を奏する。
形態15によれば、 めっき装置の制御方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体であって、 前記基板の外周部を外部からシールした状態で収容する前記基板ホルダの内部空間に液体を導入すること、 前記内部空間に液体が導入された状態で、前記液体の電気抵抗を監視することにより、前記内部空間へのめっき液のリークを検出すること、を含むプログラムを記憶する記憶媒体が提供される。この形態によれば、形態1で述べたと同様の作用効果を奏する。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
32 プリウェットモジュール
100 めっき装置
120B めっきモジュール
175 コントローラ
200 基板ホルダ
210 フロントプレート
211 保持体
211A 開口
212 ハンドル
213 コンタクト
214 バスバー
215 内側シール
216 外側シール
217 クランプ機構
218 外部接続端子
219 外部接続端子
220 バックプレート
221 保持体
222 ハンドル
225 内側シール
227 クランプ機構
230 検出器
231 導入通路
231A バルブ
232 排出通路
232A バルブ
235A 電極(犠牲アノード)
235B 電極
236A 直流電源装置
236B 交流電源装置
240 内部空間
300 プリウェットモジュール
301 処理槽
302 循環ライン
303 ポンプ
304 脱気モジュール
401 シード層
402 レジストパターン

Claims (7)

  1. 基板を保持し、基板をめっき液に接触させてめっきするための基板ホルダであって、
    前記基板ホルダで前記基板が保持された状態において、前記基板の外周部を前記基板ホルダの外部からシールした状態で収容する内部空間と、
    前記内部空間に配置され、前記内部空間に液体が導入された状態で、前記基板の表面に形成されたシード層に接触して前記基板にめっき電流を流すコンタクトと、
    前記内部空間に配置され、前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる電極と、を備える、基板ホルダ。
  2. 請求項1に記載の基板ホルダにおいて、
    前記コンタクトに対して高電位側にバイアスされる電極が検出器として機能し、
    前記検出器は、前記内部空間に前記液体が導入された状態で、前記コンタクト又は前記コンタクトに電気的に導通された配線と前記電極との間に流れる電流を監視することにより、前記内部空間へのめっき液のリークを検出可能に構成されている、基板ホルダ。
  3. 請求項2に記載の基板ホルダにおいて、前記配線はバスバーである、基板ホルダ。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の基板ホルダにおいて、
    前記液体は、純水、若しくは脱気又は不活性ガス置換された純水である、基板ホルダ。
  5. めっき装置であって、
    請求項1から4の何れかに記載の基板ホルダと、
    前記基板ホルダの前記内部空間に液体を供給する液体供給装置と、
    前記基板ホルダに保持された前記基板をめっき液に接触させて前記基板をめっきするめっき槽と、
    を備えるめっき装置。
  6. 基板をめっきするための方法であって、
    前記基板の外周部を外部からシールした状態で収容する前記基板ホルダの内部空間に液体を導入し、
    前記内部空間に液体が導入された状態で、前記内部空間に配置された電極を前記基板にめっき電流を流すコンタクトに対して高電位側にバイアスすることにより、前記シード層の腐食を抑制すること、
    を含む、方法。
  7. めっき装置の制御方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体であって、
    前記基板の外周部を外部からシールした状態で収容する前記基板ホルダの内部空間に液体を導入すること、
    前記内部空間に液体が導入された状態で、前記内部空間に配置された電極を前記基板にめっき電流を流すコンタクトに対して高電位側にバイアスすることにより、前記シード層の腐食を抑制すること、
    をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体。

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