JP2022114073A - プリンタ - Google Patents

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Hironobu Suzuki
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Abstract

【課題】プリントヘッドと記録媒体とが収容された収容室内の空気を排気しつつ、外部からの収容室内への空気の流入の影響を低減する。【解決手段】本発明に係るプリンタ10は、記録媒体5を支持する支持台60と、支持台60上の記録媒体5に向かってインクを吐出するプリントヘッド75と、排気装置90に接続される排気口23を有し支持台60とプリントヘッド75とを収容する箱状の収容室21と、収容室21に連通したバッファ室30と、バッファ室30に外気を送る吸気ファン40と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、プリンタに関する。
筐体内の空気を排出する排気口を備えたプリンタが従来から知られている。例えば、特許文献1には、筐体内に設けられた定着装置と、筐体内に設けられた排気ファンと、排気ファンに接続された排気ダクトと、排気ダクトに設けられたフィルタとを備えたプリンタが開示されている。特許文献1によれば、排気ファンによって排気ダクトから筐体内の熱や異物が排出され、フィルタは排出される空気から異物や臭いを除去する。
特開2020-16674号公報
特許文献1に開示されているように、プリンタの中には、筐体内の熱や臭いや異物を排出するために、排気装置を備えていたり、排気装置に接続可能に構成されていたりするものが存在する。しかし、筐体内の空気を排出すると、筐体内が負圧になり、そのために筐体の隙間等から筐体内に外部の空気が流入してくる場合がある。このように流入してくる外部の空気は、例えば、プリントヘッドから吐出されるインクの飛翔方向を曲げる等の不具合を誘発し、印刷品質を低下させるおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリントヘッドと記録媒体とが収容された収容室内の空気を排気しつつ、外部からの収容室内への空気の流入の影響を低減できるプリンタを提供することである。
ここに開示するプリンタは、記録媒体を支持する支持台と、前記支持台上の前記記録媒体に向かってインクを吐出するプリントヘッドと、排気装置に接続される排気口を有し前記支持台と前記プリントヘッドとを収容する箱状の収容室と、前記収容室に連通したバッファ室と、前記バッファ室に外気を送る吸気ファンと、を備えている。
上記プリンタによれば、吸気ファンにより、バッファ室を経由して、収容室に空気が送り込まれる。そのため、排気装置によって収容室内の空気が排出されても収容室内が減圧されにくく、隙間等から収容室内に不規則に流入する空気が減少する。これにより、隙間等から収容室内に流入する空気による印刷品質への影響が抑制される。また、吸気ファンにより送られる空気は、バッファ室を経由することにより、間接的に収容室に流入する。そのため、吸気ファンによって収容室に流入する空気の流れが緩和され、吸気ファンによって収容室に流入する空気が印刷品質に与える影響が抑制される。
一実施形態に係るプリンタの模式的な正面図である。 プリンタの模式的な縦断面図である。 プリンタのブロック図である。 吸気ファンおよびサブファンの動作を示すフローチャートである。 フロントカバーを開けた状態のプリンタの模式的な縦断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
[プリンタの構成]
図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタ)10の模式的な正面図である。図2は、プリンタ10の模式的な縦断面図である。ただし、図1では、ケース20に囲まれた内部空間が見えるよう、正面側のパネル等を取り外した状態を図示している。以下の説明では、特に断らない限り、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味する。図面中の符号Yは主走査方向を示している。主走査方向Yは、ここでは左右方向である。符号Xは、副走査方向を示している。副走査方向Xは、ここでは前後方向である。符号Zは、上下方向を示している。主走査方向Y、副走査方向X、および上下方向Zは、互いに直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。
図2に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されている。プリンタ10は、ケース20と、フロントカバー25とを備えている。図1および図2に示すように、プリンタ10は、ケース20の一部によって形成された箱状の収容室21を有している。収容室21には、フラットベッド60と、キャリッジ70と、プリントヘッド75と、光照射装置77と、移動装置80と、キャッピング装置85と、ワイピング装置86と、が収容されている。プリンタ10は、さらに、各部を制御する制御装置100(図3参照)を備えている。
図1に示すように、収容室21は、印刷が行われる印刷室21Aと、非印刷時にキャリッジ70が待機する待機室21Bと、プリントヘッド75のメンテナンス等のために設けられたメンテナンス室21Cと、を含んでいる。印刷室21Aは、収容室21の中央部に設けられている。待機室21Bは、印刷室21Aよりも右方に設けられている。メンテナンス室21Cは、印刷室21Aよりも左方に設けられている。印刷室21A、待機室21B、およびメンテナンス室21Cは、キャリッジ70が主走査方向Yに移動して行き来できるように互いに連通している。ただし、印刷室21A、待機室21B、およびメンテナンス室21Cは、キャリッジ70の移動経路以外の部分では仕切られていてもよい。
図2に示すように、収容室21の前面には、記録媒体5を出し入れ可能な開口部22が形成されている。フロントカバー25は、開口部22に設けられ、開閉可能に構成されている。フロントカバー25を開閉することにより、収容室21と外部とは連通し、または閉鎖される。フロントカバー25は、ここでは、後端を軸に回転可能なように、ケース20に支持されている(図5も参照)。プリンタ10は、フロントカバー25の開閉状態を検出する開閉センサ26(図3参照)を備えている。開閉センサ26は特に限定されないが、例えば、フロントカバー25の開状態または閉状態に応じてONまたはOFFするリミットスイッチである。開閉センサ26は、制御装置100に電気的に接続されている。
図1に示すように、待機室21Bの底面は、ケース20の底面よりも上方に設けられている。待機室21Bの下方の空間は、収容室21に送られる空気が経由するバッファ室30を構成している。バッファ室30は、収容室21とプリンタ10の外部とに連通している。図1に示すように、バッファ室30は、収容室21に連通した吹出口31と、外部に連通した吸気口32と、吹出口31を覆うように吹出口31に設けられた整流板33と、を備えている。吹出口31は、ここでは、上下方向に開口している。吸気口32は、ケース20の右壁に開口している。吸気口32は、本実施形態では、左右方向に開口している。吹出口31の開口方向(ここでは上下方向)と吸気口32の開口方向(ここでは左右方向)とは交差している。整流板33は、バッファ室30と収容室21(より詳しくは、待機室21B)とを仕切っている。図1に示すように、整流板33には、上下方向に貫通する複数の貫通孔33aが形成されている。複数の貫通孔33aによってバッファ室30と収容室21とは連通している。整流板33は、例えば、パンチングプレートによって形成されている。
吸気口32には、吸気ファン40と、防塵フィルタ45とが設けられている。吸気ファン40は、バッファ室30に外気を送る装置である。ただし、吸気ファン40は、一部の時間には、バッファ室30から空気を排出するように駆動する。吸気ファン40は、ファン41と、駆動モータ42(図3参照)とを備えている。駆動モータ42は、制御装置100に接続され、制御装置100の制御に基づいてファン41を回転させる。駆動モータ42は、制御装置100の制御に基づいてファン41の回転方向および回転数を変えるように構成されている。以下では適宜、バッファ室30内に空気を送り込むような吸気ファン40の回転方向を正転方向と呼び、バッファ室30内から空気を排出するような吸気ファン40の回転方向を逆転方向と呼ぶ。また、以下では特に断らない限り、吸気ファン40がバッファ室30内に空気を送り込む際の空気の流れの上流側を上流側と呼び、吸気ファン40がバッファ室30内に空気を送り込む際の空気の流れの下流側を下流側と呼ぶ。これら吸気ファン40の制御の詳細については後述する。
防塵フィルタ45は、吸気ファン40がバッファ室30に送る空気から埃などの異物(以下、単に埃と言う)を取り除くフィルタである。防塵フィルタ45は、好ましくは、直径0.001mm以上の埃を除去することができるフィルタであるとよい。本実施形態では、防塵フィルタ45は、吸気ファン40よりも上流側(ここでは右方)に設けられている。そこで、吸気ファン40を正転方向に回転させると、外部の空気は、防塵フィルタ45を通過してから吸気ファン40に到達し、さらにバッファ室30に送り込まれる。外部の空気に含まれている埃の大部分は、防塵フィルタ45を通過する際に除去される。ただし、防塵フィルタ45は、吸気ファン40よりも下流側に設けられていてもよく、吸気ファン40に内蔵されていてもよい。
図1に示すように、バッファ室30には、エアカーテンパイプ50が接続されている。エアカーテンパイプ50は、筒状の配管部材であり、バッファ室30に接続された方の端部が開口している。エアカーテンパイプ50は、バッファ室30に接続された端部から入った風が内部を流れるように構成されている。エアカーテンパイプ50は、主走査方向Yに略水平に延びるノズル形成部51と、上下方向Zに延びる接続部52とを含んでいる。ノズル形成部51は、開口部22の一端、ここでは上端に沿って延びている。ノズル形成部51は、ケース20の内壁のうち開口部22の上縁に沿った部分に設けられている。ノズル形成部51の左端は、開口部22の左端よりも左方に位置している。ノズル形成部51の右端は、開口部22の右端よりも右方に位置している。ノズル形成部51の主走査方向Yの長さは、開口部22の主走査方向Yの長さよりも長い。ノズル形成部51の左端(先端)は、閉鎖されている。
ノズル形成部51は、複数のノズル51aを備えている。複数のノズル51aは、主走査方向Yに並んで設けられている。複数のノズル51aは、それそれ、開口部22の下端に向かって開口している。開口部22の下端は、ノズル形成部51が沿って設けられた開口部22の上端と向かい合う端部である。複数のノズル51aのうち最も左方のノズル51aは、好適には、開口部22の左端よりも左方に位置しているとよい。ただし、複数のノズル51aのうち最も左方のノズル51aは、噴射される風が開口部22の左端にかかるように構成されていればよい。複数のノズル51aのうち最も右方のノズル51aは、好適には、開口部22の右端よりも右方に位置しているとよいが、噴射される風が開口部22の右端にかかるように構成されていてもよい。ノズル51aは、主走査方向Yに延びる細長い1つのノズル(スリット)であってもよい。
エアカーテンパイプ50は、ノズル形成部51の右端(根元部分)から下方に屈折している。ノズル形成部51の上下方向Zに延びる部分は、バッファ室30とノズル形成部51とを接続する接続部52を構成している。接続部52の下端は開口しており、バッファ室30に接続されている。
図1に示すように、エアカーテンパイプ50の下端には、バッファ室30内の空気をエアカーテンパイプ50の内部に送るサブファン55が設けられている。サブファン55は、ファン56と、駆動モータ57(図3参照)とを備えている。駆動モータ57は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100の制御に基づいてファン56を回転させる。サブファン55が駆動せず、吸気ファン40が駆動しているとき、エアカーテンパイプ50のノズル51aからは、吸気ファン40によって加圧されたバッファ室30の空気圧によって発生する風が噴射される。サブファン55および吸気ファン40がともに駆動しているとき、エアカーテンパイプ50のノズル51aからは、バッファ室30の空気圧に加えてサブファン55に送られることによって発生した風が噴射される。
フラットベッド60は、印刷室21Aの主走査方向Yの中央部に配置されている。フラットベッド60は、記録媒体5を支持する支持台である。本実施形態に係るプリンタ10は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。記録媒体5の形状は特に限定されず、平板状の他、様々な立体形状を有していてもよい。また、記録媒体5の材質も特に限定されず、記録媒体5は、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などであってもよい。フラットベッド60は、平板状の部材である。フラットベッド60は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びている。フラットベッド60は、上下方向Zに向いている。フラットベッド60の上面は、記録媒体5が載置される載置面60Uとなっている。図1に示すように、バッファ室30は、フラットベッド60よりも下方に設けられている。さらに詳しくは、バッファ室30は、フラットベッド60の下面60D(載置面60Uの裏面)よりも下方に設けられている。これにより、バッファ室30から出る風がフラットベッド60の載置面60Uに直接吹き付けられることが防止されている。バッファ室30から出る風の経路については後述する。
キャリッジ70とキャリッジ70に搭載されたプリントヘッド75および光照射装置77とは、フラットベッド60よりも上方に設けられている。プリントヘッド75は、キャリッジ70の下面に設けられている。プリントヘッド75は、フラットベッド60上の記録媒体5に向かってインクを吐出する。図1に示すように、プリントヘッド75は、複数のインクヘッド76を備えている。複数のインクヘッド76は、それぞれ副走査方向Xに延びるとともに、主走査方向Yに並んで配置されている。各インクヘッド76は、副走査方向Xに並んだ多数のノズル(図示せず)を備えている。図示しない多数のノズルからは、それぞれ下方に向かってインクが吐出される。インクの種類は特に限定されるわけではないが、本実施形態では、光硬化性インクである。光硬化性インクは、ここでは、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化型のインクである。光硬化性インクの成分、特性等は特に限定されない。
光照射装置77は、キャリッジ70に搭載されている。ここでは、光照射装置77は、キャリッジ70の左端部および右端部に設けられている。光照射装置77は、光硬化性インクを硬化させる光をフラットベッド60に向かって照射する。光照射装置77の光源は、例えば、複数の紫外線照射LEDから構成されている。
複数のインクヘッド76には、それぞれ、図示しないインクチューブによってインクカートリッジ78が接続されている。図1に示すように、インクカートリッジ78は、メンテナンス室21Cの後方の空間に収容されている。
移動装置80は、プリントヘッド75とフラットベッド60との位置関係を三次元的に変化させる機構である。移動装置80は、Y軸方向移動装置80Yと、X軸方向移動装置80Xと、Z軸方向移動装置80Zと、を備えている。Y軸方向移動装置80Yは、キャリッジ70を主走査方向Yに移動させるように構成されている。図1に示すように、Y軸方向移動装置80Yは、Y軸レール81Yと、Y軸モータ82Y(図3参照)と、図示しない左右のプーリと、図示しないベルトと、を備えている。図1に示すように、Y軸レール81Yは、主走査方向Yに延びている。キャリッジ70は、Y軸レール81Yに摺動自在に係合している。キャリッジ70には、無端状のベルトが固定されている。ベルトは、Y軸レール81Yの右側および左側に設けられたプーリに巻き掛けられている。一方のプーリにはY軸モータ82Yが取り付けられている。Y軸モータ82Yが駆動するとプーリが回転し、ベルトが走行する。それにより、キャリッジ70がY軸レール81Yに沿って主走査方向Yに移動する。
X軸方向移動装置80XおよびZ軸方向移動装置80Zは、フラットベッド60の下方に配置されている。Z軸方向移動装置80Zは、フラットベッド60を下方から支持している。Z軸方向移動装置80Zは、Z軸モータ82Z(図3参照)を備え、Z軸モータ82Zを駆動することによってフラットベッド60を上下方向Zに移動させる。X軸方向移動装置80Xは、Z軸方向移動装置80Zを下方から支持している。X軸方向移動装置80Xは、X軸レール81Xと、X軸モータ82X(図3参照)と、Z軸方向移動装置80Zを支持する支持部材83Xと、図示しないボールねじと、を備えている。支持部材83Xは、副走査方向Xに移動自在にX軸レール81Xに係合している。ボールねじは、支持部材83Xに設けられたナットと噛み合っている。X軸モータ82Xは、ボールねじに連結され、ボールねじを回転させる。X軸モータ82Xを駆動することによってボールねじが回転すると、支持部材83Xおよび支持部材83Xに支持されたX軸方向移動装置80Xが副走査方向Xに移動する。これにより、フラットベッド60が副走査方向Xに移動する。
ただし、移動装置80の構成は限定されない。移動装置80は、フラットベッド60とキャリッジ70の搭載物(プリントヘッド75および光照射装置77)とのうちの少なくとも一方を移動させることによって両者の間の位置関係を変化させるように構成されていればよく、それ以上限定されない。例えば、移動装置80は、フラットベッド60およびキャリッジ70のうちの一方を主走査方向Y、副走査方向X、上下方向Zに移動させ、他方は動かさないように構成されていてもよい。
キャッピング装置85およびワイピング装置86は、待機室21Bに設けられている。図1に示すように、キャッピング装置85は、移動範囲の右端(以下、ホームポジションとも言う)に位置しているときのキャリッジ70の下方に配置されている。キャッピング装置85は、プリントヘッド75に着脱されるキャップ85aと、キャップ85aを上下方向Zに移動させるキャップ移動モータ85b(図3参照)と、吸引ポンプ85c(図3参照)と、を備えている。キャップ85aは、キャップ移動モータ85bの駆動によりプリントヘッド75に装着され、プリントヘッド75に光が当たってインクが硬化することを防いでいる。吸引ポンプ85cは、プリントヘッド75にキャップ85aが装着されている状態でキャップ85a内を減圧することにより、インクを吸引する。待機室21Bには、吸引ポンプ85cによって吸引されたインクが廃棄される図示しない廃液ボトルも設けられている。
ワイピング装置86は、キャッピング装置85の左方に設けられている。ワイピング装置86は、ワイパー86aとワイパー移動モータ86b(図3参照)とを備えている。ワイパー86aは、プリントヘッド75の下面(ノズル面)を拭う部材であり、例えばゴムによって形成されている。ワイパー移動モータ86bは、ワイパー86aを副走査方向Xに移動させるための駆動源である。ワイピング装置86は、ワイパー移動モータ86bを駆動することにより、ワイパー86aを副走査方向Xに移動させ、移動するワイパー86aによってプリントヘッド75のノズル面を拭うように構成されている。ただし、上記したキャッピング装置85およびワイピング装置86の構成および配置は、好適な一例に過ぎず、キャッピング装置85およびワイピング装置86の構成および設置場所は特に限定されない。
メンテナンス室21Cは、ユーザーがプリントヘッド75のクリーニングを行うとき等にキャリッジ70を位置付ける場所である。図1に示すように、メンテナンス室21Cの底面には、排気装置90に接続される排気口23が設けられている。排気装置90は、好ましくは、脱臭機能を備えた脱臭機である。メンテナンス室21Cは印刷室21Aおよび待機室21Bと連通し、印刷室21Aおよび待機室21Bとともに収容室21を構成しているため、排気口23は、収容室21の排気口である。排気装置90は、排気口23に接続され、収容室21の空気を排出する。本実施形態では、排気装置90の主たる目的は、インクの臭気を収容室21から取り除くことである。なお、詳しくは後述するが、吸気ファン40の送風能力は、排気装置90の排気能力よりも大きく設定されている。
図3は、プリンタ10のブロック図である。図3に示すように、制御装置100は、吸気ファン40の駆動モータ42、サブファン55の駆動モータ57、プリントヘッド75、光照射装置77、Y軸モータ82Y、X軸モータ82X、Z軸モータ82Z、キャップ移動モータ85b、吸引ポンプ85c、ワイパー移動モータ86b、および排気装置90に電気的に接続され、これらの動きを制御している。ただし、排気装置90は、外部の排気装置であってもよく、制御装置100によって制御されていなくてもよい。また、制御装置100は、フロントカバー25の開閉センサ26に電気的に接続され、開閉センサ26からの信号を受信している。
制御装置100は、例えば、プリンタ10に接続されたコンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置100の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。制御装置100の構成は特に限定されない。図3に示すように、制御装置100は、印刷制御部101と、吸気ファン制御部102と、サブファン制御部103と、を備えている。制御装置100は、他の制御部を備えていてもよいが、ここでは説明および図示を省略する。
印刷制御部101は、印刷データに基づいてプリントヘッド75および移動装置80を制御することにより、フラットベッド60上の記録媒体5に画像を形成する。吸気ファン制御部102は、吸気ファン40の動作を制御する制御部である。吸気ファン制御部102は、印刷制御部101によって画像が形成されているときには、バッファ室30内に空気を送り込むように吸気ファン40を駆動するように設定されている。すなわち、吸気ファン制御部102は、印刷中には、吸気ファン40を正転させる。また、吸気ファン制御部102は、フロントカバー25が開状態であることが開閉センサ26によって検出されているときには、フロントカバー25が閉状態であることが開閉センサ26によって検出されているときよりも吸気ファン40の送風量を大きくするように設定されている。すなわち、吸気ファン制御部102は、フロントカバー25が開状態のときには、フロントカバー25が閉状態のときよりも駆動モータ42を高速で回転させる。以下、フロントカバー25が開状態のときの吸気ファン40の回転を高速回転とも呼び、フロントカバー25が閉状態のときの吸気ファン40の回転を低速回転とも呼ぶこととする。
さらに、吸気ファン制御部102は、印刷制御部101によって画像が形成されているとき以外の一部の時間においてバッファ室30内から空気を排出するように吸気ファン40を駆動する。具体的には、吸気ファン制御部102は、印刷が終了した後の所定時間の間、吸気ファン40を逆転させるように設定されている。吸気ファン40の逆転の効果については後述する。
サブファン制御部103は、サブファン55の動作を制御する。サブファン制御部103は、フロントカバー25が開状態であることが開閉センサ26によって検出されているときにはサブファン55を駆動し、フロントカバー25が閉状態であることが開閉センサ26によって検出されているときにはサブファン55を停止するように設定されている。サブファン55の駆動および停止の効果については後述する。
[プリンタの動作]
以下では、印刷前後におけるプリンタ10の動作についてフローチャートを参照しながら説明する。図4は、吸気ファン40およびサブファン55の動作を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートでは、START時にフロントカバー25は閉まっており、プリンタ10は印刷スタンバイ状態であるものとする。なお、下記に説明される印刷前後におけるプリンタ10の動作は一例に過ぎず、プリンタ10の制御を限定するものではない。
図4に示すように、ここに示す例では、ステップS01において、フラットベッド60に記録媒体5を支持させるためにフロントカバー25が開放されるものとする。これにより、続くステップS02では、吸気ファン40が高速で正転を開始する。ステップS03では、サブファン55が駆動を開始する。ステップS02とS03とは同時に行われてもよい。
図5は、フロントカバー25を開けた状態のプリンタ10の模式的な縦断面図である。図5の矢印に示すように、フロントカバー25を開けると、吸気ファン40が高速で正転し、サブファン55が駆動するため、エアカーテンパイプ50のノズル51aからは強い風が噴射される。ノズル51aは、開口部22の下端に向かって開口しているため、ノズル51aから噴射された空気は、開口部22の上端から下端までを覆うエアカーテンを形成する。これにより、フロントカバー25を開放したときに外部の埃が収容室21内に侵入することが抑制される。また、収容室21の内圧は、吸気ファン40が正転駆動されているため、プリンタ10の外部の大気圧よりも高圧となっている。そのため、収容室21内の空気は、開口部22からプリンタ10の外部に出るように移動する。これによっても、外部の埃の収容室21内への侵入が抑制される。
記録媒体5がフラットベッド60に装着され、ステップS04でフロントカバー25が閉じられると、ステップS05において、吸気ファン40およびサブファン55は、いったん停止する。
続くステップS06では、印刷が開始されるものとする。印刷開始後のステップS07では、吸気ファン40が低速での正転を開始する。これにより、バッファ室30を経由して収容室21内に外気が取り込まれる。さらに、ステップS08では、排気装置90が収容室21内の排気を開始する。ステップS07とS08とは同時に行われてもよい。
図1の矢印に示すように、ステップS07においてバッファ室30の吸気口32から吸い込まれた空気は、バッファ室30内において流れ方向が左向きから上向きに変わる。上向きに流れる空気は、整流板33の多数の貫通孔33aを通過する際に、整流板33の流路抵抗により低速化し、指向性が緩和される。空気の流れ方向は、待機室21Bでさらに左向きに変化する。図1に示すように、空気の流れは、フラットベッド60の上方、下方、および側方を通過して、メンテナンス室21Cへと向かう。メンテナンス室21Cの空気は、排気装置90の吸引によって排気口23から排出される。これにより、インクの臭気が収容室21から除去される。
本実施形態では、吸気ファン40の送風能力は、排気装置90の排気能力よりも大きく設定されている。そのため、収容室21の内圧は、プリンタ10の外部の大気圧よりも高圧に維持される。これにより、収容室21内の空気がケース20等の隙間からプリンタ10の外部に漏れ出る。そのため、印刷中も、収容室21にプリンタ10の外部の埃が侵入することが抑制される。
従来の排気装置付きのプリンタでは、収容空間内の空気を排出すると、収容空間内が負圧になり、そのために筐体の隙間等から収容空間内に外部の空気が流入してくる場合があった。このように流入してくる外部の空気は埃を含んでおり、侵入した埃が記録媒体に付着して印刷品質を低下させおそれがあった。また、隙間から流入する空気の流れは、例えば、プリントヘッドから吐出されるインクの飛翔方向を曲げる等の不具合を誘発し、印刷品質を低下させるおそれもあった。
それに対して、本実施形態に係るプリンタ10では、防塵フィルタ45を通過して埃を取り除かれた空気だけが収容室21に流入する。そのため、収容室21に侵入した埃により印刷品質が低下するおそれが低減される。なお、記録媒体5をセットするためにフロントカバー25を開放するときにも、収容室21の内圧およびエアカーテンにより、収容室21への埃の侵入が抑制される。
本実施形態では、収容室21に送り込まれる空気の流れは、バッファ室30を経由する。吸気ファン40により送られる空気は、バッファ室30を経由することにより、間接的に収容室21に流入する。そのため、収容室21に流入する空気の流れが緩和され、吸気ファン40によって収容室21に送られる空気の印刷品質への影響が抑制されている。本実施形態では、さらに、整流板33によって空気の流れを弱めて、収容室21に流入する空気の印刷品質への影響を低減している。
本実施形態では、バッファ室30は、フラットベッド60よりも下方(載置面60Uが向いた方向の逆方向)に設けられており、これにより、バッファ室30から出た風が載置面60Uに直接吹き付けられることが防止されている。さらには、本実施形態に係るバッファ室30は、風の出口である吹出口31の開口方向と入口である吸気口32の開口方向とが交差するように構成されている。かかる構成によっても吸気口32から入ってくる空気の勢いが弱められる。これらの構成により、本実施形態に係るプリンタ10は、収容室21に流入する空気の印刷品質への影響を低減している。
また、本実施形態では、フロントカバー25が閉状態のときには、フロントカバー25が開状態のときよりも吸気ファン40の送風量を小さくしている。これにより、印刷中は、吸気ファン40によって吸い込まれる風の影響を抑えている。一方、フロントカバー25を開けたときには、収容室21の内圧を上げて、埃の侵入をより確実に防止している。本実施形態では、このとき、サブファン55も駆動されているため、より強い風がエアカーテンパイプ50から噴射されている。これによっても、収容室21への埃の侵入をさらに抑制できる。
なお、図2に示すように、フロントカバー25が閉じられているとき、吸気ファン40の低速回転のみよって生成され、エアカーテンパイプ50のノズル51aから噴射される弱い風は、フロントカバー25の内壁に沿って流れ、フロントカバー25およびその付近の埃を排気口23の方に押し流している。ノズル51aから噴射される風の向きはここでは下向きであり、排気口23は、ノズル51aよりも下方に設けられている。
図4に示すように、ステップS09において印刷が終了すると、ステップS10において排気装置90が停止する。なお、ステップS10は、印刷終了後、所定の時間が経過してから行われてもよい。ステップS11では、吸気ファン40が逆転を開始する。これにより、収容室21内の空気が、防塵フィルタ45を経由してプリンタ10の外部に放出される。吸気ファン40が正転時に収容室21内に送り込む空気量が排気装置90が収容室21内から送り出す空気量よりも多い状態を維持するためには、防塵フィルタ45が目詰まりしていない状態を維持する必要がある。吸気ファン40が正転しているとき、防塵フィルタ45には埃が付着していく。ステップS11で吸気ファン40を逆転させることにより、防塵フィルタ45に付着した埃を防塵フィルタ45から離脱させることができる。本実施形態では、この印刷時間外の吸気ファン40の逆転により、防塵フィルタ45のクリーニングまたは交換の頻度を少なくしている。
ステップS11の開始から所定の時間が経過すると、ステップS12において吸気ファン40が停止する。この後、印刷済みの記録媒体5を取り出すためにフロントカバー25を開けると、吸気ファン40が高速で正転し、サブファン55が駆動するが、これらの動作はステップS02およびS03と同様であるため、図示および説明を省略する。
以上、好適な一実施形態に係るインクジェットプリンタついて説明した。しかし、本発明のプリンタは、上記した実施形態に限定されない。例えば、プリンタは、整流板、吸気口の開口方向と吹出口の開口方向との交差、エアカーテンパイプ、サブファンなどの構成の一部を備えていなくてもよい。プリンタは、吸気ファン、サブファンの回転方向および回転速度を状況によって変化させるように構成されていなくてもよい。エアカーテンパイプによる風の吹き付け方向は、上下方向には限定されない。エアカーテンは、プリンタの開口部を塞ぐように形成されればよく、その吹き付け方向は、例えば、左右方向や斜め方向であってもよい。
上記した実施形態では、プリンタ10はインクジェットプリンタであったが、インクジェットプリンタには限定されない。その他、特に言及がない限り、上記した実施形態は本発明を限定しない。
5 記録媒体
10 インクジェットプリンタ
20 ケース
21 収容室
22 開口部
23 排気口
25 フロントカバー(扉)
26 開閉センサ
30 バッファ室
31 吹出口
32 吸気口
33 整流板
33a 貫通孔
40 吸気ファン
45 防塵フィルタ
50 エアカーテンパイプ(配管部材)
51 ノズル形成部
51a ノズル
55 サブファン(送風装置)
60 フラットベッド(支持台)
75 プリントヘッド
90 排気装置
100 制御装置
101 印刷制御部(第1制御部)
102 吸気ファン制御部(第2制御部)
103 サブファン制御部(第3制御部)

Claims (10)

  1. 記録媒体を支持する支持台と
    前記支持台上の前記記録媒体に向かってインクを吐出するプリントヘッドと、
    排気装置に接続される排気口を有し、前記支持台と前記プリントヘッドとを収容する箱状の収容室と、
    前記収容室に連通したバッファ室と、
    前記バッファ室に外気を送る吸気ファンと、を備えた、
    プリンタ。
  2. 前記バッファ室は、
    前記収容室に連通した吹出口と、
    複数の貫通孔が形成され、前記吹出口を覆うように前記吹出口に設けられた整流板と、を備えている、
    請求項1に記載のプリンタ。
  3. 前記吸気ファンが前記バッファ室に送る空気から埃を取り除く防塵フィルタをさらに備えている、
    請求項1または2に記載のプリンタ。
  4. 前記プリントヘッドと前記吸気ファンとに接続された制御装置をさらに備え、
    前記制御装置は、
    印刷データに基づいて前記プリントヘッドを制御することにより、前記支持台上の前記記録媒体に画像を形成する第1制御部と、
    前記第1制御部によって画像が形成されているときには前記バッファ室内に空気を送り込むように前記吸気ファンを駆動し、前記第1制御部によって画像が形成されているとき以外の一部の時間において前記バッファ室内から空気を排出するように前記吸気ファンを駆動する第2制御部と、を備えている、
    請求項3に記載のプリンタ。
  5. 前記排気口に接続され、前記収容室の空気を排出する排気装置を備え、
    前記吸気ファンの送風能力は、前記排気装置の排気能力よりも大きい、
    請求項1~4のいずれか一つに記載のプリンタ。
  6. 前記プリントヘッドは、前記支持台よりも第1方向に設けられ、
    前記バッファ室は、前記支持台よりも前記第1方向の逆方向である第2方向に設けられている、
    請求項1~5のいずれか一つに記載のプリンタ。
  7. 前記バッファ室は、
    前記収容室に連通した吹出口と、
    前記吸気ファンが設けられた吸気口と、を備え、
    前記吹出口の開口方向と前記吸気口の開口方向とは交差している、
    請求項1~6のいずれか一つに記載のプリンタ。
  8. 前記収容室は、前記記録媒体を出し入れ可能な開口部を備え、
    前記開口部の一端に沿って延びるノズル形成部を含み、前記バッファ室に接続された筒状の配管部材と、をさらに備え、
    前記ノズル形成部は、前記開口部の前記一端と向かい合う端部の方に向かって開口するノズルを備えている、
    請求項1~7のいずれか一つに記載のプリンタ。
  9. 前記開口部に設けられた開閉可能な扉と、
    前記扉の開閉状態を検出する開閉センサと、
    前記吸気ファンと前記開閉センサとに接続された制御装置と、をさらに備え、
    前記制御装置は、前記扉が開状態であることが前記開閉センサによって検出されているときには、前記扉が閉状態であることが前記開閉センサによって検出されているときよりも前記吸気ファンの送風量を大きくするように設定された制御部を備えている、
    請求項8に記載のプリンタ。
  10. 前記開口部に設けられた開閉可能な扉と、
    前記扉の開閉状態を検出する開閉センサと、
    前記バッファ室内の空気を前記配管部材の内部に送る送風装置と、
    前記開閉センサと前記送風装置とに接続された制御装置と、をさらに備え、
    前記制御装置は、前記扉が開状態であることが前記開閉センサによって検出されているときには前記送風装置を駆動し、前記扉が閉状態であることが前記開閉センサによって検出されているときには前記送風装置を停止するように設定された第3制御部を備えている、
    請求項8または9に記載のプリンタ。
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