(実施例1)
本開示を具体的に説明する前に、概要を述べる。実施例1は、マンション、アパート等の集合施設に設置されるインターホンシステムに関する。集合施設には、住居等の施設が複数集合しているとともに、少なくとも1つの共同玄関において人の出入りが可能である。共同玄関に設置されたロビーインターホン等の共同玄関装置を来訪者が操作することによって、来訪先の施設に設置された住宅情報盤が呼び出される。例えば、共同玄関装置からの呼出要求は、住宅情報盤に送信される。また、呼出要求とともに、共同玄関装置において取得した音声信号、映像信号も、住宅情報盤に送信される。呼出に応じて、当該施設の居住者は住宅情報盤を操作することによって来訪者を確認する。居住者が住宅情報盤を操作して呼出に応答すると、共同玄関装置と住宅情報盤との間の来客通話が実行される。
一般的に、共同玄関装置と住宅情報盤とは、来客通話を制御するための制御装置を介して接続されており、これらの接続には幹線等のケーブルが使用される。そのため、ケーブルによる接続の施工の工数が増加する。このような工数の増加を抑制するために、共同玄関装置、住宅情報盤等を無線通信システム、例えば無線LAN(Local Area Network)によって接続することが有効である。無線通信システムを使用する場合、共同玄関装置と施設内の住宅情報盤との間に配置される複数の壁等の障害物によって、無線信号の強度が減衰される。無線信号の強度の減衰により、来客通話の品質が低下したり、共同玄関装置と住宅情報盤との来客通話が不可能になったりする。
本実施例に係るインターホンシステムでは、各施設の玄関に設置され、かつ施設内の住宅情報盤と有線により接続された玄関装置と、共同玄関装置との間を無線通信システムにより接続する。玄関装置は、一般的に施設が面する廊下側に設置される。そのため、共同玄関装置と玄関装置との間の障害物の数は、共同玄関装置と住宅情報盤との間の障害物の数よりも少なくなる。これより、共同玄関装置と住宅情報盤との間を無線通信システムにより接続する場合と比較して、共同玄関装置と玄関装置との間を無線通信システムにより接続する場合の無線信号の強度の減衰が抑制される。共同玄関装置と住宅情報盤との間の来客通話は、玄関装置を介してなされる。
このような構成において、玄関装置には、共同玄関装置との無線通信を実行するための設定が必要である。しかしながら、一般的に、玄関装置は、住宅情報盤を呼び出すための呼出ボタンを備えている程度であり、無線通信の設定のために操作可能なインターフェースを有さない。本実施例では、玄関装置での設定内容を2次元情報として端末装置の画面に表示させる。また、玄関装置では、呼出ボタンを通常よりも長く押し下げることによって、2次元情報の読み込みモードを起動させてから、端末装置の画面に表示された2次元情報を撮像部により読み込ませる。玄関装置は、読み込んだ2次元情報をもとに無線通信の設定を実行する。
図1は、インターホンシステム1000の構成を示す。集合施設100は、施設110と総称される第1施設110a、第2施設110b、第3施設110cを含む。インターホンシステム1000は、共同玄関装置200、電気錠300、住宅情報盤400と総称される第1住宅情報盤400a、第2住宅情報盤400b、第3住宅情報盤400c、玄関装置500と総称される第1玄関装置500a、第2玄関装置500b、第3玄関装置500cを含む。集合施設100における施設110の数は「3」に限定されず、住宅情報盤400、玄関装置500の数も「3」に限定されない。以下では、図1(a)に示されるインターホンシステム1000を、(1)集合施設内通信、(2)施設内通信、(3)無線通信の設定の順に説明する。
(1)集合施設内通信
集合施設100では、複数の施設110が集合している。集合施設100の一例はマンションであり、施設110の一例は住居である。集合施設100の共同玄関、つまり複数の施設110の外部には、共用の共同玄関装置200が設置される。共同玄関装置200は、例えば、マンションのロビーに設置されたロビーインターホンである。また、共同玄関に設置された電気錠300は通常時において施錠されているので、来訪者は、電気錠300が解錠されないと施設110に行けない。
図2(a)-(c)は、共同玄関装置200、玄関装置500、住宅情報盤400の構成を示す。図2(a)は、共同玄関装置200の構成を示す。共同玄関装置200は、処理部210、操作部230、制御部240、通信部250を含み、処理部210は、撮像部212、マイク214、スピーカ216、モニタ218、IF部220を含む。
共同玄関装置200の操作部230は、来訪者の操作を受けつけるためのユーザインタフェースであり、例えば呼出釦である。操作部230は、訪問予定の施設110の番号を来訪者から受けつけると、呼出要求を制御部240に出力する。呼出要求には、操作部230において受けつけた施設110の番号が含まれる。また、操作部230が来訪者によって操作されると、処理部210が動作する。
撮像部212は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の固体撮像素子を備え、来訪者を撮影する。当該固体撮像素子は光電変換した映像信号をIF部220に出力する。IF部220は、撮像部212からの映像信号に対して種々の信号処理を実行する。種々の信号処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。IF部220は、信号処理を実行した映像信号(以下、これもまた「映像信号」という)を制御部240に出力する。
マイク214とスピーカ216は、来訪者が居住者と通話するためのユーザインタフェースである。マイク214は来訪者の声を集音し、電気信号に変換してIF部220に出力する。IF部220は、マイク214からの電気信号を受けつけ、これを伝送するための形式の信号(以下、「音声信号」という)に変換する。IF部220は、音声信号を制御部240に出力する。一方、IF部220は、制御部240から音声信号を入力し、音声信号を電気信号に変換する。IF部220は、電気信号をスピーカ216に出力する。スピーカ216は、IF部220からの電気信号を再生して音声出力する。
モニタ218は、メッセージ等を表示する。IF部220は、制御部240からメッセージ信号を入力し、メッセージ信号をモニタ218に出力する。メッセージ信号は、共同玄関装置200において生成されてもよい。
制御部240は、共同玄関装置200の動作を制御する。また、制御部240は、インターホンシステム1000における制御装置の機能を有する。図3は、制御部240に保持されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、部屋番号、つまり施設110の番号に対応するように、玄関装置500との通信を実行するために必要な情報である通信情報が記憶される。通信情報には、例えば、玄関装置500の機器ID、MACアドレス、IPアドレスが含まれる。これら以外の情報が記憶されていてもよい。図2(a)に戻る。
制御部240は、操作部230からの呼出要求を受けつけると、呼出要求に含まれた施設110の番号を抽出する。制御部240は、保持するテーブルをもとに、施設110の番号に対応した玄関装置500の通信情報を取得する。制御部240は、取得した通信情報をもとに、共同玄関装置200との無線通信の対象となる玄関装置500との無線通信を制御する。玄関装置500には住宅情報盤400が接続されているので、制御部240は、複数の玄関装置500のうちの少なくとも1つに接続された住宅情報盤400に対する無線通信を制御するともいえる。
通信部250は、無線通信システムに対応した無線通信を実行する。無線通信システムが例えば無線LANである場合、通信部250は、無線LANのアクセスポイントの処理を実行することによって、複数の玄関装置500と無線通信を実行可能である。また、通信部250は、アドホック通信により複数の玄関装置500と無線通信してもよい。無線通信のために、通信部250にはSSID(Service Set Identifier)が設定される。通信部250は、制御部240において取得された通信情報を宛先として、呼出要求、映像信号、音声信号を玄関装置500に送信する。また、通信部250は、玄関装置500との接続が完了した後、玄関装置500を介して住宅情報盤400に対して、映像信号を送信したり、音声信号を送受信したりする。さらに、通信部250は、メッセージ信号を住宅情報盤400との間で送受信してもよい。図1に戻る。
玄関装置500は、施設110の玄関の外側に設置されたインターホンである。図2(b)は、玄関装置500の構成を示す。玄関装置500は、処理部510、操作部530、制御部540、通信部550と総称される第1通信部550a、第2通信部550bを含み、処理部510は、撮像部512、マイク514、スピーカ516、IF部520を含む。撮像部512、マイク514、スピーカ516、IF部520は、図2(a)の撮像部212、マイク214、スピーカ216、IF部220と同様に構成される。
第1通信部550aは、無線通信システム、例えば無線LANに対応した無線通信を実行する。そのため、第1通信部550aは、共同玄関装置200と無線通信する。第1通信部550aには制御部540が接続され、制御部540は玄関装置500の動作を制御する。制御部540には第2通信部550bが接続される。第2通信部550bは、施設110の内部に設置される住宅情報盤400とケーブル等により接続され、ケーブルを介して住宅情報盤400と有線通信する。第2通信部550bは住宅情報盤400と無線通信してもよい。
このような構成において、制御部540は、第1通信部550aと第2通信部550bとを接続するための制御を実行する。制御には、例えばSIP(Session Initiation Protorol)等の呼制御が含まれる。例えば、第1通信部550aが共同玄関装置200からの呼出要求、映像信号、音声信号を受信すると、制御部540は、第1通信部550aにおいて受信された呼出要求、映像信号、音声信号を第2通信部550bから住宅情報盤400に送信させる。その際、制御部540は、呼出要求、映像信号、音声信号等の信号をそのまま転送させてもよいし、信号のフォーマットを修正してから転送させてもよい。さらに、制御部540は、映像信号、音声信号を復号してから再度符号化することによって映像信号、音声信号を生成してから転送させてもよい。その際、受信した映像信号、音声信号に誤りが含まれていれば誤り訂正がなされてもよく、符号化における符号化率等が変更されてもよい。図1に戻る。
住宅情報盤400は、施設110内に設置されており、住戸機、住戸端末、居室親機、住宅親機、情報端末とも呼ばれる。図2(c)は、住宅情報盤400の構成を示す。住宅情報盤400は、処理部410、操作部430、制御部440、通信部450を含み、処理部410は、マイク414、スピーカ416、モニタ418、IF部420を含む。
通信部450は、玄関装置500とケーブル等により接続され、ケーブルを介して玄関装置500の第2通信部550bと有線通信する。通信部450は第2通信部550bと無線通信してもよい。通信部450は、玄関装置500からの呼出要求、映像信号、音声信号を受信する。玄関装置500からの呼出要求、映像信号、音声信号は、共同玄関装置200からの呼出要求、映像信号、音声信号ともいえる。通信部450には制御部440が接続され、制御部440は住宅情報盤400の動作を制御する。制御部440にはIF部420、操作部430が接続され、IF部420にはマイク414、スピーカ416、モニタ418が接続される。ここで、マイク414、スピーカ416、IF部420、操作部430は、マイク214、スピーカ216、IF部220、操作部230と同様に構成される。モニタ418は、共同玄関装置200の撮像部212において撮像された映像を表示する。
制御部440は、通信部450を介して共同玄関装置200からの呼出要求、映像信号、音声信号を受けつける。制御部440は、呼出要求を受けつけると、IF部420を介してスピーカ416から呼出音を出力させる。これに続いて、制御部440は、IF部420を介してモニタ418に、映像信号を再生した映像を表示させるとともに、IF部420を介してスピーカ416から、音声信号を再生した音声を出力させる。呼出音を聞いた居住者が操作部430を操作することによって呼出に応答した場合、制御部440は、通信部450から応答信号を通信部450から玄関装置500に送信させる。
図2(b)の玄関装置500の第2通信部550bが応答信号を住宅情報盤400から受信すると、第1通信部550aは、応答信号を共同玄関装置200に送信する。図2(a)の共同玄関装置200の通信部250が応答信号を受信すると、共同玄関装置200と住宅情報盤400とが玄関装置500経由で接続される。その結果、通信部250から第1通信部550a、第2通信部550b経由で通信部450に映像信号が送信され、かつ第1通信部550a、第2通信部550b経由で通信部250と通信部450との間で音声信号が通信されることによって、共同玄関装置200を操作する来訪者と、住宅情報盤400を操作する居住者との間の通話が実行される。
つまり、玄関装置500の第1通信部550aと第2通信部550bにより、共同玄関装置200と住宅情報盤400との間の来客通話のための通信(以下、「集合施設内通信」という)がなされる。この集合施設内通信には、共同玄関装置200からの映像信号の通信、つまり撮像部212で撮像された画像または動画の通信が含まれる。画像または動画には、静止画、コマ送りの画像も含まれる。以下では、これらを画像と総称することもある。
来訪者との通話により居住者が電気錠300の解錠を決定した場合、居住者は、図2(c)の住宅情報盤400の操作部430を操作することによって、解錠の指示を入力する。操作部430が解錠の指示を居住者から受けつけた場合、制御部440は、解錠の指示が含まれた解錠信号を通信部450から玄関装置500に送信させる。解錠信号は、共同玄関の電気錠300を解錠するための信号といえる。
図2(b)の玄関装置500の第2通信部550bが解錠信号を住宅情報盤400から受信すると、第1通信部550aは、解錠信号を共同玄関装置200に送信する。図2(a)の共同玄関装置200の通信部250が解錠信号を受信すると、制御部240は、解錠信号によって示された解錠の指示(以下、「解錠指示」という)を通信部250から電気錠300に送信させる。図1の電気錠300は、無線通信システムに対応した無線通信を実行可能であり、共同玄関装置200と無線通信する。電気錠300は、解錠指示を共同玄関装置200から受信すると、解錠する。
電気錠300は、解錠から一定期間経過すると自動的に施錠する。また、居住者は、図2(c)の住宅情報盤400の操作部430を操作することによって、施錠の指示を入力してもよい。操作部430が施錠の指示を居住者から受けつけた場合、制御部440は、施錠の指示が含まれた解錠信号を通信部450から玄関装置500に送信させる。施錠信号は、解錠信号と同様に、玄関装置500から共同玄関装置200に送信され、施錠指示は、解錠指示と同様に、共同玄関装置200から電気錠300に送信される。電気錠300は施錠指示を受信すると、施錠する。
(2)施設内通信
図2(b)の玄関装置500の操作部530が来訪者によって操作されると、操作部530は、呼出要求を制御部540に出力する。また、操作部530が来訪者によって操作されると、処理部510が動作する。撮像部512は、来訪者を撮像した映像信号をIF部520経由で制御部540に出力し、マイク514は、来訪者の声を集音した音声信号をIF部520経由で制御部540に出力する。スピーカ516は、IF部520を介して制御部540から受けつけた音声信号を再生して出力する。
制御部540は、前述の通信の制御に加えて、玄関装置500の動作を制御する。制御部540は、操作部530からの呼出要求を受けつけると、呼出要求、撮像部512からの映像信号、マイク514からの音声信号を第2通信部550bから住宅情報盤400に送信させる。その際、制御部540は、呼出要求等を第1通信部550aから取得したか、あるいはIF部520と操作部530から取得したかを判別するための情報(以下、「判別情報」という)を生成する。呼出要求等を第1通信部550aから取得した場合は、前述の集合施設内通信に相当する。一方、呼出要求等をIF部520と操作部530から取得した場合は、玄関装置500と住宅情報盤400との間の来客通話のための通信(以下、「施設内通信」という)に相当する。
第2通信部550bは、制御部540からの呼出要求、映像信号、音声信号を住宅情報盤400に送信する。その際、第2通信部550bは判別情報も送信する。前述の集合施設内通信において判別情報は集合施設内通信を示し、ここでの施設内通信において判別情報は施設内通信を示す。また、第2通信部550bは、玄関装置500との接続が完了した後、玄関装置500に対して、映像信号を送信したり、音声信号を送受信したりする。
図2(c)における住宅情報盤400の処理は、集合施設内通信の場合と同様であるが、制御部440は、通信部450において受信した判別情報をもとに、集合施設内通信であるか、施設内通信であるかを判別する。集合施設内通信と判定した場合、制御部440は、(1)集合施設内通信での処理を実行する。施設内通信と判定した場合、制御部440は、(1)集合施設内通信と同様の処理を実行するが、最終的な通信の対象が共同玄関装置200ではなく玄関装置500となる。
つまり、玄関装置500の第2通信部550bにより、施設内通信がなされる。この施設内通信には、玄関装置500からの映像信号の通信、つまり撮像部512で撮像された画像の通信が含まれる。
(3)無線通信の設定
前述のごとく、玄関装置500の第1通信部550aは、共同玄関装置200と無線通信を実行する。これを実現するために、第1通信部550aには、共同玄関装置200と無線通信するための設定が予めなされる必要がある。無線通信システムが無線LANである場合、第1通信部550aに設定すべき情報は、共同玄関装置200の通信部250のSSIDである。また、当該情報に、玄関装置500の機器ID、MACアドレス、IPアドレス、つまり前述の通信情報が含まれてもよい。一般的にこのような情報を機器に設定する場合、機器には、キーボード等のユーザインターフェースが必要である。しかしながら、玄関装置500にはそのようなユーザインターフェースが備えられない。そのような状況において第1通信部550aへの設定を実行するために、次の処理がなされる。
施工業者は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PC等の端末装置(図示せず)を所持しており、これを操作して、玄関装置500の第1通信部550aに設定すべき情報に対応した2次元情報を画面に表示させる。情報は、前述のごとく、通信部250のSSIDであるとともに、玄関装置500の通信情報を含んでもよい。2次元情報は、例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)である。情報を反映した端末装置での2次元情報の生成には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
図2(b)の玄関装置500における操作部230を呼出の場合とは異なった態様で操作することにより、操作部230は、操作部230の撮像を開始させるための入力を受けつける。呼出の場合とは異なった態様での操作とは、例えば、10秒間以上の長い期間にわたって操作部230を押下する操作や、所定時間以内に操作部230を所定回数以上押下する操作である。操作部530は、入力部に相当し、撮像を開始させるための入力を受けつけると、撮像を開始させるための入力を制御部540に通知する。制御部540は、通知を受けつけると、設定部542に対して2次元情報の読み込みモードを起動させるとともに、IF部520を介して撮像部512に撮像を開始させる。その際、施工業者は、端末装置の画面に表示された2次元情報を撮像部512の前に配置させる。撮像部512は、制御部540からの指示に応じて2次元情報の撮像を開始し、撮像した2次元情報の画像をIF部520経由で制御部540に出力する。
制御部540の設定部542は、2次元情報の読み込みモードを起動させた場合、撮像部512において撮像された2次元情報の画像を受けつける。設定部542は、2次元情報の画像から、2次元情報に含まれた情報を取得する。情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得した情報は、前述の通信部250のSSIDであるが、玄関装置500の通信情報を含んでもよい。設定部542は、取得した情報を第1通信部550aに設定する。これは、第1通信部550aが共同玄関装置200との間で無線通信を実行するための設定を実行することに相当する。
このような設定がなされることによって、玄関装置500と共同玄関装置200との無線通信が可能になる。その状況において、玄関装置500は、さらに次の処理を実行してもよい。第1通信部550aは、共同玄関装置200との間の無線通信の状態を測定する。無線通信の状態の測定とは、通信品質をチェックすることであり、例えば、受信電力の測定、誤り率の測定、干渉電力の測定を含む。制御部540は、第1通信部550aにおける測定結果を受けつけ、測定結果を、第1通信部550aと共同玄関装置200との間の無線通信の状態に関する情報(以下、「測定情報」という)として第2通信部550bから住宅情報盤400に送信させる。図2(c)の住宅情報盤400の通信部450は、測定情報を玄関装置500から受信する。制御部440は、測定情報をモニタ418に表示させる。
また、第1通信部550aは、設定部542の設定による共同玄関装置200とのペアリングの結果を制御部540に報告してもよい。制御部540は、ペアリングの結果が含まれた情報(以下、「ペアリング結果」という)を第2通信部550bから住宅情報盤400に送信させる。図2(c)の住宅情報盤400の通信部450は、ペアリング結果を玄関装置500から受信する。制御部440は、ペアリング結果をモニタ418に表示させる。
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
以上の構成によるインターホンシステム1000の動作を説明する。図4は、インターホンシステム1000による解錠手順を示すシーケンス図である。共同玄関装置200は、呼出操作を受けつける(S10)と、呼出要求を玄関装置500に送信し(S12)、玄関装置500は呼出要求を住宅情報盤400に送信する(S14)。住宅情報盤400は、呼出音を出力する(S16)。共同玄関装置200は映像信号を玄関装置500に送信し(S18)、玄関装置500は映像信号を住宅情報盤400に送信する(S20)。住宅情報盤400は、映像を表示し(S22)、応答操作を受けつける(S24)。住宅情報盤400は応答信号を玄関装置500に送信し(S26)、玄関装置500は応答信号を共同玄関装置200に送信する(S28)。
共同玄関装置200は映像信号を玄関装置500に送信し(S30)、玄関装置500は映像信号を住宅情報盤400に送信する(S32)。共同玄関装置200は音声信号を玄関装置500に送信し(S34)、玄関装置500は音声信号を住宅情報盤400に送信する(S36)。住宅情報盤400は、解錠操作を受けつけると(S38)、解錠信号を玄関装置500に送信する(S40)。玄関装置500は解錠信号を共同玄関装置200に送信し(S42)、共同玄関装置200は解錠指示を電気錠300に送信する(S44)。住宅情報盤400は、操作終了を受けつけると(S46)、終了信号を玄関装置500に送信する(S48)。玄関装置500は終了信号を共同玄関装置200に送信する(S50)。
本実施例によれば、撮像部512が取得した情報をもとに、第1通信部550aが共同玄関装置200との間で無線通信を実行するための設定を実行するので、玄関装置500に設定用のインターフェースがなくてもインターホンシステム1000に使用される無線通信の設定を簡易にできる。また、撮像部512が2次元情報を撮像することによって取得した情報をもとに無線通信を実行するための設定を実行するので、設定を簡易にできる。また、撮像部512の撮像を開始させるための入力を受けつけるので、呼出と設定とを別々に実行できる。また、第1通信部550aと共同玄関装置200との間の無線通信の状態に関する情報を送信するので、事前に通信品質を確認できる。また、設定部542の設定による共同玄関装置200とのペアリングの結果を送信するので、ペアリングに成功したか否かを確認できる。
また、共同玄関装置200と玄関装置500との間において無線通信を実行するので、集合施設100において機器を接続する際の施工の工数の増加を抑制できる。施設110の外側に設置される玄関装置500と、共同玄関装置200との間で無線通信を実行するので、壁等の障害物の影響を低減できる。また、障害物の影響が低減されるので、通信品質の悪化を抑制できる。また、玄関装置500と住宅情報盤400との間で有線通信を実行するので、玄関装置500経由で共同玄関装置200と住宅情報盤400との通信を実行できる。また、玄関装置500と住宅情報盤400との間で有線通信を実行するので、壁等の障害物の影響を低減できる。また、玄関装置500と住宅情報盤400との間の通話のための施設内通信がなされ、共同玄関装置200と住宅情報盤400との間の通話のための集合施設内通信がなされるので、機器を接続する際の施工の工数の増加を抑制しながら、通信品質の悪化を抑制できる。
また、施設内通信は、撮像部512で撮像された画像の通信を含み、集合施設内通信は、撮像部212で撮像された画像の通信を含むので、玄関装置500での画像と共同玄関装置200での画像を住宅情報盤400で確認できる。また、施設内通信と集合施設内通信とを判別するための情報が住宅情報盤400に送信されるので、住宅情報盤400における処理を簡易にできる。また、共同玄関の電気錠を解錠するための信号を住宅情報盤400から受信し、共同玄関の電気錠300を解錠するための信号を送信するので、解錠信号を中継できる。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の玄関装置(500)は、複数の施設(110)が集合した集合施設(100)のインターホンシステム(1000)に使用され、かつ施設(110)の玄関に設置される玄関装置(500)であって、無線通信を実行する第1通信部(550a)と、施設(110)の内部に設置される情報端末(400)と通信する第2通信部(550b)と、第1通信部(550a)と第2通信部(550b)と玄関装置(500)の撮像部(512)とのうちの1つ以上が取得した情報をもとに、第1通信部(550a)が、集合施設(100)の共同玄関に設置される共同玄関装置(200)との間で無線通信を実行するための設定を実行する設定部(542)と、を備える。
設定部(542)は、撮像部(512)が2次元情報を撮像することによって取得した情報をもとに、第1通信部(550a)が共同玄関装置(200)との間で無線通信を実行するための設定を実行してもよい。
撮像部(512)の撮像を開始させるための入力を受けつける入力部をさらに備えてもよい。
第2通信部(550b)は、第1通信部(550a)と共同玄関装置(200)との間の無線通信の状態に関する情報を送信してもよい。
第2通信部(550b)は、設定部(542)の設定による共同玄関装置(200)とのペアリングの結果を送信してもよい。
本開示の別の態様は、設定方法である。この方法は、複数の施設(110)が集合した集合施設(100)のインターホンシステム(1000)に使用され、かつ施設(110)の玄関に設置される玄関装置(500)での設定方法であって、無線通信を実行するステップと、施設(110)の内部に設置される情報端末(400)と通信するステップと、無線通信により取得した情報と、通信により取得した情報と、玄関装置(500)の撮像部(512)により取得した情報とのうちの1つ以上をもとに、玄関装置(500)が、集合施設(100)の共同玄関に設置される共同玄関装置(200)との間で無線通信を実行するための設定を実行するステップと、を備える。
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、集合施設100に設置されるインターホンシステム1000に関し、特に共同玄関装置200と無線通信する玄関装置500に対する設定に関する。実施例1では、玄関装置500の撮像部512により2次元情報を撮像することによって設定がなされているが、実施例2では、端末装置から無線通信により設定がなされる。実施例2に係る共同玄関装置200、玄関装置500、住宅情報盤400は、図2(a)-(c)と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
図5は、インターホンシステム1000の構成を示す。インターホンシステム1000は、図1の構成に対して、端末装置600が追加される。端末装置600は、実施例1における端末装置と同様に、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PC等の通信装置である。端末装置600は、施工業者に所持される。端末装置600は、無線通信システムに対応した無線通信を実行可能であり、玄関装置500と無線通信する。例えば、端末装置600と玄関装置500の通信にはアドホック通信が使用される。端末装置600は、共同玄関装置200とは異なる設定端末ともいえる。
施工業者は、端末装置600を操作して、玄関装置500の第1通信部550aに設定すべき情報を入力し、当該情報を玄関装置500に送信させる。図2(b)の玄関装置500の第1通信部550aは、アドホック通信により端末装置600からの情報を受信する。第1通信部550aは、受信した情報を制御部540に出力する。設定部542は、第1通信部550aから情報を取得する。取得した情報は、前述の通信部250のSSIDであるが、玄関装置500の通信情報を含んでもよい。設定部542は、取得した情報を第1通信部550aに設定する。これは、第1通信部550aが共同玄関装置200との間で無線通信を実行するための設定を実行することに相当する。
実施例2においても、実施例1と同様に、さらに次の処理が実行されてもよい。第1通信部550aは、共同玄関装置200との間の無線通信の状態を測定する。無線通信の状態の測定とは、通信品質をチェックすることであり、例えば、受信電力の測定、誤り率の測定、干渉電力の測定を含む。制御部540は、第1通信部550aにおける測定結果を受けつけ、測定結果を、第1通信部550aと共同玄関装置200との間の無線通信の状態に関する情報(以下、「測定情報」という)として第1通信部550aから端末装置600に送信させる。端末装置600は、測定情報を玄関装置500から受信する。端末装置600は、測定情報を画面に表示させる。
また、第1通信部550aは、設定部542の設定による共同玄関装置200とのペアリングの結果を制御部540に報告してもよい。制御部540は、ペアリングの結果が含まれた情報(以下、「ペアリング結果」という)を第1通信部550aから端末装置600に送信させる。端末装置600は、ペアリング結果を玄関装置500から受信する。端末装置600は、ペアリング結果を画面に表示させる。
玄関装置500における第1通信部550aの設定は、第2通信部550bを介して住宅情報盤400からなされてもよい。つまり、設定部542は、第1通信部550aと第2通信部550bと撮像部512とのうちの1つ以上が取得した情報をもとに、第1通信部550aが共同玄関装置200との間で無線通信を実行するための設定を実行する。
本実施例によれば、第1通信部550aと第2通信部550bとのうちの1つ以上が取得した情報をもとに、第1通信部550aが共同玄関装置200との間で無線通信を実行するための設定を実行するので、玄関装置500に設定用のインターフェースがなくてもインターホンシステム1000に使用される無線通信の設定を簡易にできる。また、第1通信部550aが端末装置600から取得した情報をもとに無線通信を実行するための設定を実行するので、設定を簡易にできる。また、第1通信部550aと共同玄関装置200との間の無線通信の状態に関する情報を送信するので、事前に通信品質を確認できる。また、設定部542の設定による共同玄関装置200とのペアリングの結果を送信するので、ペアリングに成功したか否かを確認できる。
本開示の一態様の概要は、次の通りである。設定部(542)は、第1通信部(550a)が共同玄関装置(200)とは異なる設定端末から取得した情報をもとに、第1通信部(550a)が共同玄関装置(200)との間で無線通信を実行するための設定を実行してもよい。
第1通信部(550a)は、第1通信部(550a)と共同玄関装置(200)との間の無線通信の状態に関する情報を設定端末に送信してもよい。
第1通信部(550a)は、設定部(542)の設定による共同玄関装置(200)とのペアリングの結果を設定端末に送信してもよい。
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施例1と2において、共同玄関装置200と玄関装置500は、無線LANにより直接接続される。しかしながら、これに限らず例えば、玄関装置500の第1通信部550aは、無線アクセスポイントを介して共同玄関装置200と無線通信してもよい。本変形例によれば、集合施設100の規模が大きくても、無線通信の品質の悪化を抑制できる。