JP2022105808A - 銅張積層板 - Google Patents

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匠 下地
Takumi Shimoji
芳英 西山
Yoshihide Nishiyama
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Abstract

Figure 2022105808000001
【課題】セミアディティブ法により配線パターンを形成する際に、配線の断面形状を矩形にしやすく、かつ、導体層の電流供給異常が生じにくい銅張積層板を提供する。
【解決手段】銅張積層板1はベースフィルム10の表面に形成された導体層20を有する。導体層20は、MD方向に沿った一方または両方の縁の近傍領域である給電領域A1が、それ以外の全部または一部領域である配線形成領域A2よりも厚い。配線形成領域A2の導体層20が薄いので、セミアディティブ法により配線パターンを形成する際に、配線の断面形状を矩形にしやすい。また、給電領域A1の導体層20が厚いので、導体層20の電流供給異常が生じにくい。
【選択図】図2

Description

本発明は、銅張積層板に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いられる銅張積層板に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器には、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が用いられる。
フレキシブルプリント配線板は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法などにより、銅張積層板に配線パターンを形成することで得られる。特に、微細配線の形成や、高精度の配線寸法が要求される場合には、セミアディティブ法が用いられる。
セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、つぎの手順で行なわれる。まず、銅張積層板の導体層の表面にレジスト層を形成する。つぎに、レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。つぎに、レジスト層の開口部から露出した導体層を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。つぎに、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。
セミアディティブ法では、銅張積層板の導体層のうち不要部分はエッチングにより除去される。導体層が厚すぎるとエッチング時間が長くなり、配線部のエッチングも進行することから、配線の断面形状を矩形にすることが困難になる。そのため、配線の断面形状を矩形にするという観点からは、銅張積層板の導体層は薄い方が好ましい。
しかし、導体層が薄いと電解めっきにより配線部を形成する際に問題が生じることがある。すなわち、電解めっきにより配線部を形成するには、導体層の縁部に電極端子を接続し、導体層に給電する。ここで、導体層が薄いと電気抵抗が高いため、十分な電流を流すことが難しい。また、導体層のうち電極端子と接触する部分が高電圧となり、導体層の溶解や異常析出が生じ、電流供給の障害となることがある。
そこで、電解めっきにおける電流密度を低く設定することで、導体層の溶解などを防止することが行なわれている。例えば、特許文献1には、厚さ10nmのニッケルクロム合金膜と厚さ100nmの銅層とを有する基板にセミアディティブ法により配線を形成するにあたり、電流密度を1A/dmとすることが記載されている。しかし、電流密度が低すぎると、安定した電解めっきが困難になる。
特開2010-108964号公報
本発明は上記事情に鑑み、セミアディティブ法により配線パターンを形成する際に、配線の断面形状を矩形にしやすく、かつ、導体層の電流供給異常が生じにくい銅張積層板を提供することを目的とする。
本発明の銅張積層板は、ベースフィルムの表面に形成された導体層を有し、前記導体層は、MD方向に沿った一方または両方の縁の近傍領域である給電領域が、それ以外の全部または一部領域である配線形成領域よりも厚いことを特徴とする。
本発明によれば、配線形成領域の導体層が薄いので、セミアディティブ法により配線パターンを形成する際に、配線の断面形状を矩形にしやすい。また、給電領域の導体層が厚いので、導体層の電流供給異常が生じにくい。
一実施形態に係る銅張積層板の部分拡大断面図である。 図(A)は一実施形態に係る銅張積層板の平面図である。図(B)は同銅張積層板の断面図である。 セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造手順を示す説明図である。 図(B)は第2実施形態の銅張積層板の断面である。図(B)は第3実施形態の銅張積層板の断面である。図(B)は第4実施形態の銅張積層板の断面である。 銅張積層板の製造手順を示す説明図である。 他の実施形態の製造手順を示す説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔銅張積層板〕
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る銅張積層板1は、ベースフィルム10と、ベースフィルム10の表面に形成された導体層20とからなる。
ベースフィルム10としてポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。特に限定されないが、ベースフィルム10の厚さは10~100μmが一般的である。
導体層20は、スパッタリングなどの乾式成膜法により成膜される金属層21と、電解めっきにより成膜される銅めっき被膜22とからなる。金属層21と銅めっき被膜22とはベースフィルム10の表面にこの順に積層されている。
金属層21は下地金属層21aと銅薄膜層21bとからなる。下地金属層21aと銅薄膜層21bとはベースフィルム10の表面にこの順に積層されている。一般に、下地金属層21aはニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。下地金属層21aはなくてもよい。銅薄膜層21bはベースフィルム10の表面に下地金属層21aを介して成膜されてもよいし、下地金属層21aを介さずベースフィルム10の表面に直接成膜されてもよい。下地金属層21aの厚さは5~50nmが一般的であり、銅薄膜層21bの厚さは50~400nmが一般的である。
図2(A)および図2(B)に示すように、銅張積層板1の主面は給電領域A1と配線形成領域A2とを有する。導体層20は、給電領域A1が配線形成領域A2よりも厚くなっている。後述のごとく、セミアディティブ法により銅張積層板1を加工する際には、給電領域A1に電解めっきの電極端子を接続し、配線形成領域A2に配線パターンを形成する。
給電領域A1は銅張積層板1のMD方向(Machine Direction)に沿った縁の近傍の帯状領域である。本実施形態の銅張積層板1は左右両方の縁に沿った2つの給電領域A1を有する。配線形成領域A2は給電領域A1以外の全部または一部領域である。本実施形態では、配線形成領域A2は2つの給電領域A1の間の帯状領域である。
なお、本実施形態の銅張積層板1は配線形成領域A2と給電領域A1との間に中間領域を有する。この意味において、配線形成領域A2は給電領域A1以外の一部領域である。導体層20は、中間領域において、給電領域A1側から配線形成領域A2側に向かって徐々に薄くなっている。中間領域は実質的に存在しなくてもよい。すなわち、配線形成領域A2と給電領域A1との間で、導体層20の厚さが階段状に変化してもよい。この場合、配線形成領域A2は給電領域A1以外の全部領域である。
セミアディティブ法により銅張積層板1を加工すればフレキシブルプリント配線板を製造できる。なお、長尺帯状の銅張積層板1を用いれば、ロールツーロール方式で銅張積層板1を加工できる。図3にセミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造手順を示す。具体的には、銅張積層板1はつぎの手順で加工される。
(1)まず、銅張積層板1の導体層20の表面にレジスト層31を形成する。ここで、レジスト層31は配線形成領域A2に形成する。給電領域A1の導体層20は露出させた状態にする。
(2)つぎに、レジスト層31のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。
(3)つぎに、レジスト層31の開口部から露出した導体層20を陰極として電解めっきを行ない、めっき層32を積層する。ここで、導体層20の給電領域A1に電解めっきの電極端子を接続し、導体層20に給電する。
(4)つぎに、レジスト層31を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層20を除去する。これにより、配線形成領域A2に配線パターンが形成される。なお、その後、給電領域A1(および中間領域)などの不要部分を切除して、フレキシブルプリント配線板の個片を得てもよい。
工程(3)の電解めっきでは、導体層20の給電領域A1に電極端子を接続する。給電領域A1の導体層20は厚いので、電気抵抗が高くなく、十分な電流を流すことができる。また、導体層20のうち電極端子と接触する部分が高電圧となりにくく、導体層20の溶解や異常析出といった電流供給異常が生じにくい。
導体層20の電流供給異常を抑制するという観点からは、給電領域A1の導体層20は厚いほど好ましい。具体的には、給電領域A1の導体層20の厚さは0.5μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。なお、導体層20の電流供給異常を抑制するという観点からは、導体層20の厚さに上限はない。ただし、セミアディティブ法により加工される銅張積層板1の導体層20の厚さは、一般に、5μm以下である。
工程(4)において、導体層20の不要部分はエッチングにより除去される。配線形成領域A2の導体層20は薄いので、エッチング時間を短くでき、配線部のエッチングの進行を小さくできる。そのため、配線の断面形状を矩形にしやすい。
配線の断面形状を矩形にするという観点からは、配線形成領域A2の導体層20は薄いほど好ましい。具体的には、配線形成領域A2の導体層20の厚さは0.5μm以下(または0.5μm未満)が好ましく、0.2μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
(その他の実施形態)
導体層20は、図2(B)に示すようにベースフィルム10の片面のみに形成されてもよいし、図4(A)に示すようにベースフィルム10の両面に形成されてもよい。ベースフィルム10の両面に導体層20が形成された銅張積層板2を加工すれば、両面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が得られる。
図2(B)に示すように、銅張積層板1の両方の縁に導体層20が厚い給電領域A1を設ければ、両方の給電領域A1に電解めっきの電極端子を接続できる。そのため、配線形成領域A2の電流密度を均一にしやすい。一方、図4(B)に示すように、銅張積層板3の一方の縁のみに導体層20が厚い給電領域A1を設けてもよい。そうすれば、配線形成領域A2が広くなる。
図4(C)に示す銅張積層板4のように、一方の縁のみに給電領域A1を有する導体層20をベースフィルム10の両面に形成してもよい。
〔銅張積層板の製造方法〕
つぎに、図5に基づき、銅張積層板1の製造方法を説明する。
本実施形態の製造方法は電解めっき工程と切断工程とを有する。電解めっき工程において銅張積層板中間品1iを得た後に、切断工程において銅張積層板最終品1fを得る。なお、本明細書において銅張積層板最終品1fは銅張積層板1と同義である。
ロールツーロール方式のスパッタリング装置を用いれば、長尺帯状のベースフィルム10の表面に金属層21を成膜できる。以下、ベースフィルム10の表面に金属層21を成膜したものを基材11と称する。
(1)電解めっき工程
ロールツーロール方式のめっき装置を用いれば、長尺帯状の基材11の表面に銅めっき被膜22を成膜できる。これにより、長尺帯状の銅張積層板中間品1iが得られる。
めっき装置は、ロールツーロールにより長尺帯状の基材11を搬送しつつ、基材11に対して電解めっきを行なう装置である。めっき装置はロール状に巻回された基材11を繰り出す供給装置と、めっき後の基材11(銅張積層板中間品1i)をロール状に巻き取る巻取装置とを有する。供給装置と巻取装置との間の搬送経路には、前処理槽、めっき槽、後処理槽が配置されている。基材11はめっき槽内を搬送されつつ、電解めっきよりその表面に銅めっき被膜22が成膜される。
めっき槽には銅めっき液が貯留されている。銅めっき液は水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば特に限定されず用いられる。銅めっき液は硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。銅めっき液は一般的にめっき液に添加される添加剤を含んでもよい。添加剤として、ブライトナー成分、レベラー成分、ポリマー成分、塩素成分などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
めっき槽内を搬送される基材11は銅めっき液に浸漬されている。また、めっき槽の内部には基材11の主面に対向するようにアノード41が配置されている。基材11をカソードとし、アノード41との間に電流を流すことで、基材11の表面に銅めっき被膜22を成膜できる。
基材11とアノード41との間には遮蔽板42が配置されている。遮蔽板42は絶縁性の板である。遮蔽板42の素材は、特に限定されないが、絶縁性を有し銅めっき液に浸食されにくい樹脂、セラミックスなどが好適である。遮蔽板42として表裏を貫通する複数の孔を有するパンチングボードを用いることができる。遮蔽板42の孔から電流が漏洩するため、遮蔽板42は電流を完全に遮蔽することなく、電流を適度に遮蔽する。そのため、基材11のうち遮蔽板42と対向する領域においても、銅めっき被膜22を成膜できる。
本実施形態の遮蔽板42は、基材11よりも幅狭であり、TD方向(図5における左右方向)の中央に配置されている。遮蔽板42により中央領域の電流が遮蔽されるため、基材11の中央領域における電流密度は左右の端領域における電流密度よりも低くなる。そのため、銅めっき被膜22は中央領域が薄くなり、端領域が厚くなる。
銅めっき被膜22が厚く成膜された領域は、金属層21と合わせた導体層20も厚くなる。銅めっき被膜22が薄く成膜された領域は、金属層21と合わせた導体層20も薄くなる。以下、導体層20が厚い領域を厚膜領域A3といい、導体層20が薄い領域を薄膜領域A4という。
厚膜領域A3および薄膜領域A4は、いずれも、銅張積層板中間品1iのMD方向に沿った帯状の領域である。本実施形態の銅張積層板中間品1iは左右両方の端に2つの厚膜領域A3を有する。2つの厚膜領域A3の間に薄膜領域A4が配置されている。
後述のごとく、切断工程において銅張積層板中間品1iを切断した後は、厚膜領域A3は給電領域A1となり、薄膜領域A4は配線形成領域A2となる。そのため、厚膜領域A3の導体層20の厚さは給電領域A1に合わせて設定される。また、薄膜領域A4の導体層20の厚さは配線形成領域A2に合わせて設定される。すなわち、厚膜領域A3の導体層20の厚さは0.5μm以上が好ましく、0.6μm以上がより好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。薄膜領域A4の導体層20の厚さは0.5μm以下(または0.5μm未満)が好ましく、0.2μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
銅めっき被膜22の厚さは電解めっきにおける電流密度とめっき時間とにより調整できる。また、薄膜領域A4と厚膜領域A3とにおける銅めっき被膜22の厚さの差異は、遮蔽板42の電流の遮蔽力に依存する。遮蔽板42の電流の遮蔽力は、例えば、開孔率で調整できる。ここで、開孔率とは遮蔽板42の主面の面積に対する孔の総面積の割合を意味する。開孔率を高くするほど電流の遮蔽力を弱めることができる。開孔率を低くするほど電流の遮蔽力を強めることができる。
薄膜領域A4および厚膜領域A3の幅寸法および位置は遮蔽板42の幅寸法および位置に依存する。遮蔽板42の幅寸法を大きくすれば薄膜領域A4の幅寸法を大きくでき、遮蔽板42の幅寸法を小さくすれば薄膜領域A4の幅寸法を小さくできる。遮蔽板42の位置により薄膜領域A4の位置を調整できる。
(2)切断工程
つぎに、銅張積層板中間品1iをスリッターで長手方向に切断する。本実施形態では銅張積層板中間品1iを厚膜領域A3における特定の位置(図5における一点鎖線の位置)で切断する。これにより、銅張積層板中間品1iの端部を除去する。
(3)銅張積層板最終品
銅張積層板中間品1iを切断すると銅張積層板最終品1fが得られる。銅張積層板最終品1fは、導体層20が厚い給電領域A1と、導体層20が薄い配線形成領域A2とを有する。銅張積層板中間品1iの厚膜領域A3の残部が銅張積層板最終品1fの給電領域A1となる。銅張積層板中間品1iの薄膜領域A4が銅張積層板最終品1fの配線形成領域A2となる。本実施形態では、銅張積層板中間品1iの端部が除去され、給電領域A1の幅寸法が所定幅に整えられた銅張積層板最終品1fが得られる。
なお、電解めっき工程において、基材11の表裏両側にアノード41を配置すれば、基材11の両面に銅めっき被膜22を成膜できる。この場合、遮蔽板42も基材11の表裏両側に配置される。そうすれば、図4(A)に示す銅張積層板2が得られる。
また、銅張積層板中間品1iの一方の厚膜領域A3をその中間位置で切断し、他方の厚膜領域A3(および中間領域)の全部を切除してもよい。そうすれば、図4(B)または図4(C)に示す銅張積層板3、4が得られる。
(その他の実施形態)
図6に示すように、電解めっき工程において、基材11とアノード41との間に複数の遮蔽板42をTD方向に並べて配置してもよい。隣り合う遮蔽板42の間には隙間があけられる。この隙間に対向する領域も厚膜領域A3となる。そのため、3つ以上の厚膜領域A3を有する導体層20を形成できる。図示の例では、2枚の遮蔽板42がTD方向に並べられている。両端および中央に3つの厚膜領域A3を有し、それらの間に2つの薄膜領域A4を有する導体層20を形成できる。
この銅張積層板中間品1iは各厚膜領域A3における特定の位置で切断される。これにより、複数の(図示の例では2つの)銅張積層板最終品1fが得られる。
なお、中央の厚膜領域A3の幅寸法が大きい場合には、中央の厚膜領域A3を2箇所で切断し、間の部分を除去すればよい。そうすれば、銅張積層板最終品1fの給電領域A1の幅寸法を所定幅に整えられる。
(共通の条件)
ベースフィルムとして、幅570mm、厚さ34μmの長尺帯状のポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex)を用意した。ベースフィルムをマグネトロンスパッタリング装置にセットした。マグネトロンスパッタリング装置内にはニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されている。ニッケルクロム合金ターゲットの組成はCrが20質量%、Niが80質量%である。真空雰囲気下で、ベースフィルムの両面に、厚さ25nmのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ100nmの銅薄膜層を形成した。
ロールツーロール方式のめっき装置を用いて基材の両面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板中間品を得た。めっき槽に貯留される銅めっき液は硫酸銅を120g/L、硫酸を70g/L、ブライトナー成分を16mg/L、レベラー成分を20mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、塩素成分を50mg/L含有する。ブライトナー成分としてビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。レベラー成分としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド-二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS-A―5)を用いた。ポリマー成分としてポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB-11)を用いた。塩素成分として塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
(実施例1~3)
電解めっきにおいて基材の中央部とアノードとの間に遮蔽板を配置し、基材のTD方向の中央部の幅約480mmの領域における銅めっき被膜が、両方の端領域における銅めっき被膜よりも薄くなるようにした。電解めっきにおける電流密度、めっき時間、および遮蔽板の開孔率を変化させ、中央領域および端領域における導体層の厚さが異なる銅張積層板中間品を3種類製造した。導体層の厚さは表1に示すとおりである。
(比較例1)
電解めっきにおいて基材とアノードとの間に遮蔽板を配置せず、厚さが均一な銅めっき被膜を成膜し、銅張積層板中間品を得た。導体層の厚さは表1に示すとおりである。
(比較例2)
電解めっきにおいて基材の両端部とアノードとの間に遮蔽板を配置し、基材のTD方向の中央部の幅約480mmの領域における銅めっき被膜が、両方の端領域における銅めっき被膜よりも厚くなるようにした。導体層の厚さは表1に示すとおりである。
実施例1~3および比較例1、2で得られた銅張積層板中間品の両端をスリッターで切除し、幅500mmの銅張積層板最終品を得た。
5種類の銅張積層板最終品をつぎの手順で加工した。銅張積層板最終品の両面にレジスト層を形成した。ここで、レジスト層は銅張積層板最終品の中央領域(幅約480mmの領域)に形成し、両方の端領域(幅約10mmの領域)の導体層を露出させた状態とした。レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成した。銅張積層板最終品の両方の端領域にクリップ式めっき電極端子を取り付け、硫酸銅めっき浴中にて30分通電して配線パターンを形成した。ここで、電流密度1A/dmおよび3A/dmの2つの条件で配線パターンを形成した。
配線パターンを形成した銅張積層板の電極端子付近を観察し、導体層の電流供給異常の有無を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2022105808000002
表1より、電解めっきの電極端子が接続される端領域の導体層が厚いほど、導体層の電流供給異常が生じにくいことが分かる。端領域の導体層の厚さが1.0μmまたは0.6μmの場合は(実施例1、2)、電解めっきにおける電流密度を3A/dmとしても導体層の溶解および異常析出は確認されない。端領域の導体層の厚さが0.5μmの場合は(実施例3)、電解めっきにおける電流密度を3A/dmとすると導体層が僅かに溶解するが、電流密度を1A/dmとすれば導体層の溶解および異常析出は確認されない。端領域の導体層の厚さが0.2μmの場合は(比較例1、2)、電流密度を1A/dmとしても導体層の溶解または異常析出が生じる。
これより、導体層の電流供給異常を抑制するためには、銅張積層板の端領域の厚さを、0.5μm以上とすることが好ましく、0.6μm以上とすることがより好ましく、1.0μm以上とすることがさらに好ましいことが確認された。
1 銅張積層板
10 ベースフィルム
20 導体層
21 金属層
21a 下地金属層
21b 銅薄膜層
22 銅めっき被膜
A1 給電領域
A2 配線形成領域

Claims (3)

  1. ベースフィルムの表面に形成された導体層を有し、
    前記導体層は、MD方向に沿った一方または両方の縁の近傍領域である給電領域が、それ以外の全部または一部領域である配線形成領域よりも厚い
    ことを特徴とする銅張積層板。
  2. 前記導体層は、前記給電領域の厚さが0.5μm以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の銅張積層板。
  3. 前記導体層は、前記給電領域の厚さが0.6μm以上である
    ことを特徴とする請求項2記載の銅張積層板。
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