JP2011058057A - 銅被覆ポリイミド基板の製造方法および電気めっき装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シード層付長尺ポリイミドフィルム2を幅方向が略水平方向になるように搬送してシード層の表面に、複数の不溶解性陽極14を用い、搬送方向に対して段階的に電流密度を上昇させる湿式めっき法を用いて銅めっき被膜層を成膜する銅被覆ポリイミド基板2の製造方法で、その複数の不溶解性陽極14の中で印加される電流の電流密度が35mA/cm2以上となる不溶解性陽極14は、その不溶解性陽極14の上端から下端に向かって少なくとも40cmの位置までは、銅被覆ポリイミド基板2の銅めっき被膜層幅の80%〜90%の陽極幅を有し、さらに複数の不溶解性陽極14が、搬送方向において電気的に2群以上に分割され、かつ分割されたそれぞれの不溶解性陽極が、各群毎に独立して電流密度が制御されていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
まず、乾式めっき法によってニッケル−クロム系合金等の金属層を形成し、引き続き良好な導電性を付与するために乾式めっき法によって銅等の金属層を形成する。このニッケル−クロム系合金等の金属層と銅等の金属層の積層をシード層という。さらに、ジード層の表面に電気めっき法を用いて、または無電解めっき法と電気めっき法を併用することによって金属層の膜厚を厚くし、所望の膜厚の金属層を形成する。このメタライジング法により製造される銅被覆ポリイミド基板は、3層基板に比べて接着剤の影響を受けず、高温安定性をはじめとするポリイミド本来の特徴を利用した銅被覆ポリイミド基板を得ることができるという利点を有している。
この不溶解性陽極は、金属製錬などにおいて余剰の金属や不純物を電解採取する工程で古くから用いられているものである(特許文献2参照)。
銅被覆ポリイミド基板は、原料であるポリイミドフィルム上にスパッタリング処理および電気めっき処理を施し、所望の金属皮膜を形成して製造される。この方法によって製造された銅被覆ポリイミド基板は、接着剤を必要としないため、高耐熱性、高絶縁性などのポリイミド本来の特性を利用することができ、実装時に折り曲げて使用することが可能であるため、デバイスの小型化にも大きく貢献することができる。以下に各工程の詳細を述べる。
図2は本発明の製造方法を用いて製造される銅被覆ポリイミド基板の断面図である。ポリイミドフィルム2の表面にニッケル−クロム系合金等の下地金属層3と銅薄膜層4と銅めっき被膜層5が積層されている。下地金属層3と銅薄膜層4の積層体をシード層6と称す。また、銅めっき被膜層5は、銅の電気めっき法のみを用いて形成されたもの(図2(a)参照)、あるいは銅の無電解めっき法、次いで銅の電気めっき法により形成されても良い(図2(b)参照)。
図3は、本発明の銅被覆ポリイミド基板の製造方法に用いる電気めっき装置の側面から見た概略図である。図3において、1は電気めっき装置、11はめっき液槽、12は巻出軸、13は従動ロール、14a〜14hは不溶解性陽極(以下、陽極と称す)、15は巻取軸、16a〜16eは給電ロール、20a、20bはシード層付長尺ポリイミドフィルムである。
また、電気めっき装置1には、シード層付長尺ポリイミドフィルム20aの張力を制御する制御ロール等の長尺ポリイミド(樹脂)フィルムの搬送にもちいる公知の各種装置や、めっき液の攪拌や供給等の公知の各種装置を追加することもできる。
図4は、電気めっき装置1の電気めっきセルのうち陽極14gおよび陽極14hの配置をより詳細に示した概略図である。陽極14gおよび陽極14hは、シード層付長尺ポリイミドフィルム20aの搬送方向に2群に分割されている。図4では、陽極14gは上部陽極14g−1と下部陽極14g−2のように分割され、フレーム21gに設置されている。また、上部陽極14g−1の上端は、めっき液面11bより下にあり、陽極14g全体がめっき液に浸かっている。
そこで、電流密度が35mA/cm2以上印加される陽極の幅を、銅めっき被膜層幅の80〜90%とすることにより、この状態が回避できる。
なお、電流密度35mA/cm2未満印加される陽極の幅を、銅めっき被膜層幅の80〜90%とすれば、所望の膜厚の銅めっき被膜層の膜厚分布が大きくなることは無いが、銅めっき被膜層の幅方向の両端の膜厚が薄くなり、所望の膜厚の銅めっき被膜層の幅が狭くなる問題がある。
特に遮蔽板を使用すると、陽極幅の調整が容易である。また、遮蔽板は、図4のように陽極と平行に置いても、下側が広がるような側面から見て八の字状に設置されていても良い。
この陽極幅の調整に用いる遮蔽板は、公知の電気的絶縁性を有するプラスチックやセラミック等が用いられる。
図5は、シード層付長尺ポリイミドフィルム20aの搬送方向に分割された陽極の一例を示す陽極14gの概略図である。
この陽極14gは、電気絶縁性を有するフレーム21gに備えられる上部陽極14g−1と下部陽極14g−2から構成されている。この上部陽極14g−1は、ブスバー24g−1に電気的に接続され、下部陽極14g−2は、ブスバー24g−2に電気的に接続されている。このブスバー24g−2は、フレーム21gの裏面を通るので、上部陽極14g−1に接触することは無い。ブスバー24g−1、24g−2は、めっき浴槽の縁に載置されて、フレーム21gを介して陽極14gが配置されるために、陽極14gは電気めっき装置1への取り付け、取り外しが自在になっている。また、ブスバー24g−1、24g−2はそれぞれ独立した制御用電源に接続される。
なお、フレーム21gの材質はめっき液中でも電気絶縁性が保持でき、めっき液に侵食されない材質を選択すればよく、公知の電気的絶縁性を有するプラスチックやセラミック等を用いると良い。
電気めっき工程における陽極は分割されていないものを用い、その材質は酸化イリジウム系の不溶解性陽極であるペルメレック電極株式会社の電極を採用した。また、銅イオンの供給源としては無酸素銅ボールを採用し、めっき液中の鉄イオン濃度は7.0g/Lとした。
また、陽極14f、14g、14hの両端を絶縁性の遮蔽板によって遮蔽し、銅めっき被膜層の幅の90%の幅の陽極となるように調整して、銅被覆ポリイミド基板を作製して膜厚分布を評価した。
なお、陽極14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hの上部陽極および下部陽極の長さ、すなわちシード層付長尺ポリイミドフィルム20aの搬送方向の長さは70cmとした。
陽極への遮蔽を施していない点以外は、実施例1と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を作製して、膜厚分布を評価した。その結果を表2に示す。
陽極への遮蔽を施さない点以外は実施例3と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を作製して、膜厚分布を評価した。その結果を表2に示す。
陽極に対する遮蔽を70%とした以外は、実施例1と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を作製して、膜厚分布を評価した。その結果を表2に示す。
電気めっき工程におけるおける陽極として溶解性の陽極(三菱マテリアル製、リン脱酸素銅)を用いた点、およびめっき液中に鉄イオンを添加しない点以外は実施例1と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を試作し、膜厚分布を評価した。
その結果を表2に示す。
陽極に対する遮蔽をめっき液面から35cm遮蔽した以外は、実施例3と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を作製し、その膜厚分布を評価した。その結果を表2に示す。
電流密度が35mA/cm2未満である陽極14eに対する遮蔽を80%を追加した以外は、実施例2と同様の条件で銅被覆ポリイミド基板を作製して、膜厚分布を評価した。その結果を表2に示す。
なお、実施例1〜3及び比較例1〜5では、幅方向470mmで銅層の膜厚8μmを確保しているが、参考例では幅方向470mmで膜厚を測定すると、幅両端の10mmにおいて銅層の膜厚8μmを確保できていなかった。そこで、表2には幅方向450mmの膜厚分布の測定結果を示している。
また、参考例で示されるように、電流密度の低い陽極にまで過剰に遮蔽をした場合では、幅全体において均一な銅層が得られない。
2 ポリイミドフィルム
3 下地金属層
4 銅薄膜層
5 銅めっき被膜層
5a 銅無電解めっき被膜層
6 シード層
10 銅被覆ポリイミド基板
11 めっき液槽
11b めっき液面
12 巻出軸
13 従動ロール
14a〜14h 陽極(不溶解性陽極)
14g−1、14h−1 上部陽極
14g−2、14h−2 下部陽極
15 巻取軸
16a〜16e 給電ロール
17a、17b 遮蔽板
20a、20b シード層付長尺ポリイミドフィルム
21g、21h フレーム
24g−1、24g−2 ブスバー
Claims (7)
- 長尺ポリイミドフィルムの少なくとも片面に乾式めっき法で導電性のシード層を成膜したシード層付長尺ポリイミドフィルムを幅方向が略水平方向になるように搬送し、前記シード層の表面に複数の不溶解性陽極を用いて搬送方向に対して段階的に電流密度を上昇させる制御による電気めっき法、または無電解めっき法と複数の不溶解性陽極を用いて搬送方向に対して段階的に電流密度を上昇させる制御による電気めっき法の併用とから選択される湿式めっき法を用いて銅めっき被膜層を成膜する銅被覆ポリイミド基板の製造方法であって、
前記複数の不溶解性の陽極の中で印加される電流の電流密度が35mA/cm2以上となる不溶解性陽極は、
前記不溶解性陽極の上端から下端に向かって少なくとも40cmの位置までは、前記銅被覆ポリイミド基板の銅めっき被膜層幅の80%〜90%の陽極幅を有することを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法。 - 前記複数の不溶解性陽極が、搬送方向において電気的に2群以上に分割され、かつ分割されたそれぞれの不溶解性陽極が、各群毎に独立して電流密度が制御されていることを特徴とする請求項1に記載の銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
- 長尺ポリイミドフィルムの少なくとも片面に乾式めっき法で導電性のシード層を成膜したシード層付長尺ポリイミドフィルムを幅方向が略水平方向になるように搬送し、前記シード層の表面に、複数の不溶解性陽極を搬送方向に配して電気めっき法による湿式めっき法で銅めっき被膜層を成膜する銅被覆ポリイミド基板の電気めっき装置であって、
前記複数の不溶解性陽極の中で、印加される電流の電流密度が35mA/cm2以上となる不溶解性陽極は、少なくとも前記不溶解性陽極の上端から下端に向かって少なくとも40cmの位置までは、前記銅被覆ポリイミド基板の銅めっき被膜層幅の80%〜90%の陽極幅を有することを特徴とする電気めっき装置。 - 前記複数の不溶解性陽極の中で、印加される電流の電流密度が35mA/cm2以上となる不溶解性陽極が、前記不溶解性陽極の表面を覆うように配置した遮蔽板により、前記不溶解性陽極の幅を前記銅めっき被膜層幅の80%〜90%の幅となることを特徴とする請求項3に記載の電気めっき装置。
- 前記複数の不溶解性陽極が、搬送方向において電気的に2群以上に分割され、かつ前記2群以上に分割された不溶解性陽極が、各群毎に独立して電流密度が制御されていることを特徴とする請求項3または4に記載の電気めっき装置。
- 前記複数の不溶解性陽極が、白金または鉛を用いた金属陽極であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の電気めっき装置。
- 前記複数の不溶解性陽極が、チタン製フレームに酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化ルテニウムから選ばれる少なくとも1種の導電性を有するセラミック被膜を焼成によりコーティングしたセラミックス系陽極であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の電気めっき装置。
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