JP2017014540A - 不溶性陽極、めっき装置および電気めっき方法ならびに銅張積層板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 めっき液槽に浸漬して電気めっきに用いる不溶性陽極であって、その不溶性陽極が、めっき液槽内のめっき液液面からめっき液槽底面に向かう深さ方向において、電気的に2群以上に分割された不溶性陽極群を構成し、その不溶性陽極群を構成する深さ方向における上側に位置する上側不溶性陽極の被めっき対象物に対向して露出している上側陽極露出面の下端と、上側不溶性陽極の深さ方向における下側に隣接する下側不溶性陽極の被めっき対象物に対向して露出している下側陽極露出面の上端との間隔が、上側陽極露出面の深さ方向における長さの15%以上であることを特徴とする不溶性陽極。
【選択図】 なし
Description
このうちメタライジング法は、まず、乾式めっき法によってニッケル−クロム系合金等の金属層を形成し、引き続き良好な導電性を付与するために乾式めっき法によって銅等の金属層を形成する。このニッケル−クロム系合金等の金属層と銅等の金属層の積層をシード層という。さらに、シード層の表面に電気めっき法を用いて、または無電解めっき法と電気めっき法を併用することによって金属層の膜厚を厚くし、所望の膜厚の金属層を形成する。このメタライジング法により製造される銅被覆ポリイミド基板は、3層基板に比べて接着剤の影響を受けず、高温安定性をはじめとするポリイミド本来の特徴を利用した銅被覆ポリイミド基板を得ることができるという利点を有している。
この不溶解性陽極は、金属製錬などにおいて余剰の金属や不純物を電解採取する工程で古くから用いられているものである(特許文献2参照)。
そこで、発明者が鋭意研究した結果、不溶性陽極をめっき液槽の深さ方向において電気的に2つ以上に分割した不溶性陽極群では、より顕著に劣化する場合があることが確認された。陽極の劣化は製品の品質に影響する可能性があることから、陽極の劣化を可能な限り抑制する必要がある。
また、陽極の劣化が抑えられ、陽極が安定することにより製品の品質も安定させることが可能である。さらに不溶解性の陽極の維持コストを60%抑えることが可能となり、工業的価値が極めて大きい。
図1は銅被覆ポリイミド基板の一般的な製造工程を示すフロー図で、図1に示すように、原料であるポリイミドフィルム上にスパッタリング処理及び電気めっき処理を施し、所望の金属被膜を形成して製造される。この方法によって製造される銅被覆ポリイミド基板は、接着剤を必要としないため高耐熱性、高絶縁性などのポリイミド本来の特性を利用することができ、実装時に折り曲げて使用することが可能であるため、デバイスの小型化にも大きく貢献することができる。
本発明による銅被覆ポリイミド基板は図2にその断面図を示すように、ポリイミドフィルム2の表面にニッケル−クロム系合金等の下地金属層3と銅薄膜層4と銅めっき被膜層5が積層されて構成されており、下地金属層3と銅薄膜層4の積層体をシード層6と称している。なお、銅めっき被膜層5は、無電解めっき法と併用して形成してもよい。
下地金属層に用いることができるニッケル系合金は、ニッケル−クロム合金、ニッケル−クロム−モリブデン合金、ニッケル−バナジウム−モリブデン合金等の公知のニッケル合金を用いることができる。但し、下地金属層に用いる金属は、フレキシブル配線基板の絶縁性等やサブトラクティブ法でのエッチング性に留意する必要がある。
続いて、下地金属層3の表面に良好な導電性を付与するために引き続き、乾式めっき法のスパッタリング法によって銅薄膜層4を形成してシード層6とする。この工程によって形成される銅薄膜層4の厚みは50〜500nmが一般的である。
なお、無電解めっき法と電気めっき法を併用して銅層5を形成する場合には、シード層6の表面に銅を無電解めっきで成膜し、次に無電解めっきによる成膜の表面に電気めっきを行う。
本発明方法を実施するためのロール・ツー・ロールタイプの電気めっき装置は、図3に示すように、めっき液槽11、巻出ロール12、搬送用ガイドロール13、不溶性陽極(以下、説明の便宜上「陽極」と略称する)14a〜14h、巻取ロール15、給電ロール16a〜16eとから構成されている。なお、Fはシード層付長尺ポリイミドフィルム、Sは銅被覆長尺ポリイミドフィルム(銅被覆ポリイミド基板)である。
又、電気めっき装置には、シード層付長尺ポリイミドフィルムFの張力を制御する制御ロール等の長尺ポリイミド(樹脂)フィルムの搬送に用いる公知の各種装置や、めっき液の攪拌や供給等の公知の各種装置を追加することもできる。
本発明の電気めっき装置の電気めっきセルを構成する陽極は、その一例として陽極14gおよび陽極14hを拡大して図4に示すように、側断面が略J字状であり、めっき液が満たされためっき液槽11内へのシード層付長尺ポリイミドフィルムFの搬送において、めっき液面11bからめっき液槽底面に向かう方向(以下、この方向を「深さ方向」と称す)に、それぞれ上側不溶性陽極(以下、上部陽極と称す場合もある)14g−1、14h−1と、その上部陽極の深さ方向におおける下側に隣接する下側不溶性陽極(以下、下部陽極と称す場合もある)14g−2、14h−2との2つに分割されている。
すなわち、図4では、陽極14gは上部陽極14g−1と下部陽極14g−2に、陽極14hは上部陽極14h−1と下部陽極14h−2に、それぞれ分割され、上部陽極14g−1、14h−1は平坦部分からのみなる部位、下部陽極14g−2、14h−2は湾曲部分からなる部位でそれぞれ形成されている。又、上部陽極14g−1、14h−1の上端は、めっき液面11bより下にあり、陽極14g、14h全体がめっき液に浸かっている。さらに、下部陽極14g−2、14h−2は、それぞれ搬送用ガイドロール13に添うように該ロールに対向して配置されている。
なお、電気的に分割するとは、分割された陽極の間に電気的な接続がないことである。図5の陽極14gを例にとり説明すると、電気絶縁性を有するフレーム21gに、電気的接触が無いように上部陽極14g−1と下部陽極14g−2を配置している。すなわち、図3の電気めっき装置1の電気めっきセルにおいて、陽極はすべて、深さ方向で上下に電気的に分割された構成となっている。
電気めっきセル内で、陽極と被めっき対象物の間の電流密度は、浅い個所ほど高く、深さ方向で低くなる。電流密度が高ければ効率的に銅めっき被膜層5を成膜できる。
陽極を深さ方向において上下(上はめっき液面に近い上方の陽極部分、下はめっき液槽底面に近い下方の陽極部分)に電気的に分割すれば、下方の陽極と被めっき対象物の間の電流密度は、下方の陽極の上端付近で最大値を示して深さ方向、即ち下方の陽極の下端に向かって低くなる。このようなことから、陽極を深さ方向で電気的に分割すると、任意の電流密度分布を得ることができる。
なお、フレーム21gの材質はめっき液中でも電気絶縁性が保持でき、めっき液に侵食されない材質を選択すればよく、公知の電気的絶縁性を有するプラスチックやセラミック等を用いると良い。
すなわち、上部陽極と下部陽極の間隔が、上部陽極の深さ方向の長さの15%以上であり、15%以上100%以下が望ましく、15%以上、55%以下がより望ましく、上部陽極と下部陽極の間隔が15%未満では、下部陽極から上部陽極の通電により上側陽極露出面の下端周辺が−5A/dm2以下の電流密度となる。一方、上部陽極と下部陽極の間隔が55%を超えると電気めっきの効率が悪くなる。
図6は陽極14gの概略正面図で、図7は陽極14gの概略側面図である。
図6と図7は、上側陽極露出面(14g−1a)と下側陽極露出面(14g−2a)の間隔を調整する上部陽極の被めっき対象物(図示せず)に対向した面に設けられる遮蔽板25を説明する概略図である。遮蔽板25の深さ方向の長さや取付位置を調整することで、上側陽極露出面と下側陽極露出面の間隔を調整することができる。
なお、陽極は公知のイオン交換膜などの隔膜で覆うこともできる。
本発明における長尺導電性基板としては、シード層付長尺ポリイミドフィルム以外に、長尺な銅箔等の金属ストリップや長尺な導電性ポリマーフィルム等を用いることができる。
例えば、電解銅箔や圧延銅箔の表面に電気化学的な表面処理を施すことがある。これら銅箔の厚みは適宜選択でき、電解銅箔では厚さ5μm〜15μmの物も知られている。
表面処理は、銅の電気めっきより銅粒子層を形成する粗化処理、クロム合金や亜鉛合金等の電気めっきによる防錆処理がある。銅の電気めっきによる粗化処理では、均一に粗化されることが望ましく直径5μm以上の凹が生じることは望ましくない。防錆処理も同様に凹みは望ましくない。なお、このような表面処理を施した銅箔は、接着剤を用いた3層の銅被覆ポリイミド基板や二次電池の集電部材に用いられている。
これまで、長尺導電性基板にはシード層付長尺ポリイミドフィルムを用いて本発明をしてきた。長尺導電性基板は、シード層付長尺ポリイミドフィルムに限定されないことはもちろんである。
電気めっき工程における陽極は分割されているものを用い、その材質は酸化イリジウム系の陽極である。
遮蔽板を設けることで上側陽極露出面の下端(遮蔽板の上端)と下側陽極露出面の上端との間隔を上側陽極露出面の深さ方向の長さの15%となるようにした。陽極表面のセラミックコーティングの厚みを計測し、稼動時間とコーティング厚みとの外挿により陽極の寿命を予測した。
表1にその結果を示す。
表1にその結果を示す。
表1にその結果を示す。
上部陽極の下端に遮蔽板を取りつけず、上側陽極露出面の下端(遮蔽板の上端)と下側陽極露出面の上端との間隔を上側陽極露出面の深さ方向の長さの10%として電流を印加した状態で上部陽極の下端における電流密度を測定した。併せて、陽極表面のセラミックコーティングの厚みを計測し、稼動時間とコーティング厚みとの外挿により陽極の寿命を予測した。
表1にその結果を示す。
2 ポリイミドフィルム
3 下地金属層
4 銅薄膜層
5 銅めっき被膜層
6 シード層
11 めっき液槽
11b めっき液面
12 巻出ロール
13 搬送用ガイドロール
14a〜14h 陽極(不溶性陽極)
14g−1、14h−1 上部陽極
14g−1a 上側陽極露出面
14g−2、14h−2 下部陽極
14g−2a 下側陽極露出面
15 巻取ロール
16a〜16e 給電ロール
21g、21h フレーム
24g−1、24g−2 ブスバー
25 遮蔽板
F シード層付長尺ポリイミドフィルム
S 銅被覆長尺ポリイミドフィルム
Claims (7)
- めっき液槽に浸漬して電気めっきに用いる不溶性陽極であって、
前記不溶性陽極が、前記めっき液槽内のめっき液液面から前記めっき液槽底面に向かう深さ方向において、電気的に2群以上に分割された不溶性陽極群を構成し、
前記不溶性陽極群を構成する前記深さ方向における上側に位置する上側不溶性陽極の被めっき対象物に対向して露出している上側陽極露出面の下端と、
前記上側不溶性陽極の深さ方向における下側に隣接する下側不溶性陽極の前記被めっき対象物に対向して露出している下側陽極露出面の上端との間隔が、前記上側陽極露出面の深さ方向における長さの15%以上であることを特徴とする不溶性陽極。 - 前記上側陽極露出面が、前記上側陽極の下端側を電気絶縁体で遮蔽して前記上側陽極露出面の深さ方向の長さを調節して形成されることを特徴とする請求項1に記載の不溶性陽極。
- 前記不溶性陽極が、白金又は鉛を用いた金属陽極、あるいはチタン製フレームに酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化ルテニウムから選ばれる少なくとも1種の導電性を有するセラミック被膜をコーティングしたセラミックス系陽極のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の不溶性陽極。
- 前記不溶性陽極が、メッシュ状の陽極で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の不溶性陽極。
- 長尺導電性基板の幅方向を略水平方向となるように搬送し、長尺導電性基板をめっき液槽に備えた不溶性陽極に対向させて前記めっき液槽内のめっき液に浸漬させる搬送経路を備えるロール・ツー・ロールタイプのめっき装置であって、
前記不溶性陽極が、請求項1から4のいずれかの一つに記載の不溶性陽極であることを特徴とするロール・ツー・ロールタイプのめっき装置。 - 長尺導電性基板の電気めっき方法であって、
請求項5に記載のロール・ツー・ロールタイプのめっき装置を用いることを特徴とする長尺基板の電気めっき方法。 - 樹脂フィルムの表面に銅層を設けた銅張積層板の製造方法であって、
請求項6に記載の電気めっき方法を、前記銅層の少なくとも一部の成膜に用いることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
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