JP7276025B2 - 銅張積層板および銅張積層板の製造方法 - Google Patents

銅張積層板および銅張積層板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅張積層板および銅張積層板の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いられる銅張積層板、およびその銅張積層板の製造方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などには、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が用いられる。フレキシブルプリント配線板は、例えば、銅張積層板から製造される。
銅張積層板の製造方法としてメタライジング法が知られている。メタライジング法による銅張積層板の製造は、例えば、つぎの手順で行なわれる。まず、樹脂フィルムの表面にニッケルクロム合金からなる下地金属層を成膜する。つぎに、下地金属層の上に銅薄膜層を成膜する。つぎに、銅薄膜層の上に銅めっき被膜を成膜する。銅めっきにより、配線パターンを形成するのに適した膜厚となるまで導体層を厚膜化する。メタライジング法により、樹脂フィルム上に直接導体層が成膜された、いわゆる2層基板と称されるタイプの銅張積層板が得られる。
この種の銅張積層板を用いてフレキシブルプリント配線板を製造する方法としてセミアディティブ法が知られている。セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、つぎの手順で行なわれる(特許文献1参照)。まず、銅張積層板の銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成する。つぎに、レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。つぎに、レジスト層の開口部から露出した銅めっき被膜を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。つぎに、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。
セミアディティブ法において、銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成するあたり、ドライフィルムレジストを用いることがある。この場合、銅めっき被膜の表面を化学研磨した後に、ドライフィルムレジストを貼り付ける。化学研磨により銅めっき被膜の表面に微細な凹凸をつけることで、アンカー効果によるドライフィルムレジストの密着性を高めている。しかし、銅めっき被膜の表面の凹凸が過剰であると、かえってドライフィルムレジストの密着性が悪化することがある。
特開2006-278950号公報
化学研磨後の銅めっき被膜の表面粗さは、銅めっき被膜の結晶粒のサイズに影響される。結晶粒が小さいほど化学研磨後の銅めっき被膜の表面が滑らかになり、結晶粒が大きいほど化学研磨後の銅めっき被膜の表面が粗くなるという傾向がある。
銅めっき被膜の結晶粒はめっき処理後の再結晶の進行にともない、徐々に大きくなる。再結晶が進行中の銅めっき被膜に化学研磨を行なうと、化学研磨の時点におけるめっき処理からの経過時間によって、化学研磨後の銅めっき被膜の表面粗さが変化する。そのため、配線加工における工程管理が困難になる。また、再結晶が終了した銅めっき被膜は結晶粒が大きくなっていることから、化学研磨後の表面粗さが過剰となることがある。そこで、銅張積層板の銅めっき被膜には、再結晶の進行が遅いことが求められる場合がある。
本発明は上記事情に鑑み、再結晶の進行が遅い銅めっき被膜を有する銅張積層板、およびその銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の銅張積層板は、基材と、添加剤を含む銅めっき液を用いた電解めっきにより、前記基材の表面に成膜された銅めっき被膜と、を備え、前記銅めっき被膜は、厚さ方向の全部または表面側の一部が、低電流密度での電解めっきにより成膜された低電流密度層と、前記低電流密度よりも高い高電流密度での電解めっきにより成膜された厚さ0.20~0.65μmの高電流密度層とが交互に積層されてなることを特徴とする。
第2発明の銅張積層板は、第1発明において、前記低電流密度は0.00~0.39A/dm2であることを特徴とする。
第3発明の銅張積層板は、第1または第2発明において、前記高電流密度は0.4~10A/dm2であることを特徴とする。
第4発明の銅張積層板の製造方法は、添加剤を含む銅めっき液を用いた電解めっきにより、基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、低電流密度での電解めっきと、前記低電流密度よりも高い高電流密度で厚さ0.20~0.65μmの層を成膜する電解めっきとを交互に行なって、前記銅めっき被膜のうち厚さ方向の全部または表面側の一部を成膜することを特徴とする。
第5発明の銅張積層板の製造方法は、添加剤を含む銅めっき液が貯留されためっき槽内を、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、前記めっき槽内に、前記基材の搬送方向に沿って全領域または下流側の一部領域に、低電流密度での電解めっきを行なう低電流密度区域と、前記低電流密度よりも高い高電流密度で厚さ0.20~0.65μmの層を成膜する電解めっきを行なう高電流密度区域とを交互に設けることを特徴とする。
第6発明の銅張積層板の製造方法は、第4または第5発明において、前記低電流密度は0.00~0.39A/dm2であることを特徴とする。
第7発明の銅張積層板の製造方法は、第4、第5または第6発明において、前記高電流密度は0.4~10A/dm2であることを特徴とする。
本発明によれば、銅張積層板の銅めっき被膜が、銅めっき液の添加剤に由来する不純物の濃度が高い層と低い層とが交互に積層された構造となる。銅めっき被膜内の不純物により再結晶が阻害されるため、銅めっき被膜の再結晶の進行を遅くできる。しかも、高電流密度層の厚さが0.20~0.65μmであるので、銅めっき被膜の再結晶の進行を遅くする効果が高い。
本発明の一実施形態に係る銅張積層板の断面図である。 めっき装置の斜視図である。 めっき槽の平面図である。 光沢度測定試験における、第7層の厚さと銅めっき被膜の表面の光沢度との関係を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る銅張積層板1は、基材10と、基材10の表面に成膜された銅めっき被膜20とからなる。図1に示すように基材10の片面のみに銅めっき被膜20が成膜されてもよいし、基材10の両面に銅めっき被膜20が成膜されてもよい。
銅めっき被膜20は電解めっきにより成膜される。したがって、基材10は銅めっき被膜20が成膜される側の表面に導電性を有する素材であればよい。例えば、基材10は絶縁性を有するベースフィルム11の表面に金属層12が成膜されたものである。ベースフィルム11としてポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。金属層12は、例えば、スパッタリング法により成膜される。金属層12は下地金属層13と銅薄膜層14とからなる。下地金属層13と銅薄膜層14とはベースフィルム11の表面にこの順に積層されている。一般に、下地金属層13はニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。特に限定されないが、下地金属層13の厚さは5~50nmが一般的であり、銅薄膜層14の厚さは50~400nmが一般的である。
銅めっき被膜20は金属層12の表面に成膜されている。特に限定されないが、銅めっき被膜20の厚さは、サブトラクティブ法により加工される銅張積層板1の場合8~12μmが一般的であり、セミアディティブ法により加工される銅張積層板1の場合0.1~5μmが一般的である。なお、金属層12と銅めっき被膜20とを合わせて「導体層」と称する。
銅めっき被膜20は、特に限定されないが、図2に示すめっき装置3により成膜される。
めっき装置3は、ロールツーロールにより長尺帯状の基材10を搬送しつつ、基材10に対して電解めっきを行なう装置である。めっき装置3はロール状に巻回された基材10を繰り出す供給装置31と、めっき後の基材10(銅張積層板1)をロール状に巻き取る巻取装置32とを有する。
また、めっき装置3は基材10を搬送する上下一対のエンドレスベルト33(下側のエンドレスベルト33は図示省略)を有する。各エンドレスベルト33には基材10を把持する複数のクランプ34が設けられている。供給装置31から繰り出された基材10は、その幅方向が鉛直方向に沿う懸垂姿勢となり、両縁が上下のクランプ34に把持される。基材10はエンドレスベルト33の駆動によりめっき装置3内を周回した後、クランプ34から開放され、巻取装置32で巻き取られる。
基材10の搬送経路には、前処理槽35、めっき槽40、および後処理槽36が配置されている。基材10はめっき槽40内を搬送されつつ、電解めっきよりその表面に銅めっき被膜20が成膜される。これにより、長尺帯状の銅張積層板1が得られる。
図3に示すように、めっき槽40は基材10の搬送方向に沿った横長の単一の槽である。基材10はめっき槽40の中心に沿って搬送される。めっき槽40には銅めっき液が貯留されている。めっき槽40内を搬送される基材10は、その全体が銅めっき液に浸漬されている。
銅めっき液は水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば、特に限定されず用いられる。水溶性銅塩として、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などが挙げられる。無機銅塩として、硫酸銅、酸化銅、塩化銅、炭酸銅などが挙げられる。アルカンスルホン酸銅塩として、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などが挙げられる。アルカノールスルホン酸銅塩として、イセチオン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などが挙げられる。有機酸銅塩として、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などが挙げられる。
銅めっき液に用いる水溶性銅塩として、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、硫酸銅と塩化銅とを組み合わせる場合のように、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1つのカテゴリー内の異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、銅めっき液の管理の観点からは、1種類の水溶性銅塩を単独で用いることが好ましい。
銅めっき液は硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。
銅めっき液は一般的にめっき液に添加される添加剤を含む。添加剤として、ブライトナー成分、レベラー成分、ポリマー成分、塩素成分などが挙げられる。添加剤として、ブライトナー成分、レベラー成分、ポリマー成分、塩素成分などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ブライトナー成分として、特に限定されないが、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(略称SPS)、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸(略称MPS)などから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。レベラー成分は窒素を含有するアミンなどで構成される。レベラー成分として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヤヌス・グリーンBなどが挙げられる。ポリマー成分として、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体から選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。塩素成分として、特に限定されないが、塩酸、塩化ナトリウムなどから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。
銅めっき液の各成分の含有量は任意に選択できる。ただし、銅めっき液は硫酸銅を60~280g/L、硫酸を20~250g/L含有することが好ましい。そうすれば、銅めっき被膜20を十分な速度で成膜できる。銅めっき液はブライトナー成分を0.2~16mg/L含有することが好ましい。そうすれば、析出結晶を微細化し銅めっき被膜20の表面を平滑にできる。銅めっき液はレベラー成分を0.5~50mg/L含有することが好ましい。そうすれば、突起を抑制し平坦な銅めっき被膜20を成膜できる。銅めっき液はポリマー成分を10~1,500mg/L含有することが好ましい。そうすれば、基材10端部への電流集中を緩和し均一な銅めっき被膜20を成膜できる。銅めっき液は塩素成分を20~80mg/L含有することが好ましい。そうすれば、異常析出を抑制できる。
銅めっき液の温度は20~35℃が好ましい。また、めっき槽40内の銅めっき液を撹拌することが好ましい。銅めっき液を撹拌する手段は、特に限定されないが、噴流を利用した手段を用いることができる。例えば、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材10に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌できる。
めっき槽40の内部には、基材10の搬送方向に沿って複数のアノード41が配置されている。また、基材10を把持するクランプ34はカソードとしての機能も有する。アノード41とクランプ34(カソード)との間に電流を流すことで、基材10の表面に銅めっき被膜20を成膜できる。
なお、図3に示すめっき槽40には、基材10の表裏両側にアノード41が配置されている。したがって、ベースフィルム11の両面に金属層12が成膜された基材10を用いれば、基材10の両面に銅めっき被膜20を成膜できる。
めっき槽40の内部に配置された複数のアノード41は、それぞれに整流器が接続されている。したがって、アノード41ごとに異なる電流密度となるように設定できる。本実施形態では、めっき槽40の内部に基材10の搬送方向に沿って複数の区域が設定されている。各区域は一または複数の連続するアノード41が配置された領域に対応する。
各区域は低電流密度区域LZまたは高電流密度区域HZである。低電流密度区域LZでは電流密度がゼロまたは比較的低い「低電流密度」に設定されており、基材10に対して低電流密度での電解めっきを行なう。高電流密度区域HZでは電流密度が低電流密度よりも高い「高電流密度」に設定されており、基材10に対して高電流密度での電解めっきを行なう。
ここで、低電流密度区域LZにおける電流密度(低電流密度)を0.00~0.39A/dm2に設定することが好ましい。また、高電流密度区域HZにおける電流密度(高電流密度)を0.4~10A/dm2に設定することが好ましい。
低電流密度区域LZと高電流密度区域HZとは基材10の搬送方向に沿って交互に設けられている。低電流密度区域LZの数は1つでもよいし、複数でもよい。高電流密度区域HZの数は1つでもよいし、複数でもよい。基材10の搬送方向を基準として、最も上流の区域が低電流密度区域LZであってもよいし、高電流密度区域HZであってもよい。また、最も下流の区域が低電流密度区域LZであってもよいし、高電流密度区域HZであってもよい。ただし、最も下流の区域を高電流密度区域HZとすることが好ましい。
めっき槽40に複数の低電流密度区域LZが配置される場合、複数の低電流密度区域LZにおける電流密度は同じでもよいし、異なってもよい。また、めっき槽40に複数の高電流密度区域HZが配置される場合、複数の高電流密度区域HZにおける電流密度は同じでもよいし、異なってもよい。例えば、高電流密度区域HZにおける電流密度を、基材10の搬送方向の下流側に向かって、段階的に上昇するよう設定してもよい。
基材10の搬送方向に沿ってめっき槽40の全領域に渡って、低電流密度区域LZと高電流密度区域HZとを交互に設けてもよい。めっき槽40のうち基材10の搬送方向に沿って下流側の一部領域に、低電流密度区域LZと高電流密度区域HZとを交互に設けてもよい。この場合、上流側の領域では、低電流密度区域LZおよび高電流密度区域HZとは異なる条件で電解めっきを行なってもよい。電解めっきの初期に電流密度を高くしすぎると、基材10のうち給電部(クランプ34)と接触する部分が溶解することがある。それを防止しつつ生産性を高くするために、電流密度を段階的に上昇させることが行なわれる。めっき槽40の上流側の領域では、電流密度を段階的に上昇させてもよい。
基材10は、低電流密度区域LZと高電流密度区域HZとを交互に通過しながら、電解めっきされる。すなわち、めっき槽40では基材10に対して、低電流密度での電解めっきと、高電流密度での電解めっきとを交互に繰り返し行なう。これにより、銅めっき被膜20が成膜される。
このような方法により成膜された銅めっき被膜20は、図1に示すように、異なる電流密度での電解めっきにより成膜された複数の層が積層された構造となる。具体的には、銅めっき被膜20は低電流密度層21と高電流密度層22とが、厚み方向に交互に積層された構造を有する。ここで、低電流密度層21とは低電流密度での電解めっきにより成膜された層である。また、高電流密度層22とは高電流密度での電解めっきにより成膜された層である。
低電流密度層21および高電流密度層22の配置は、めっき槽40における低電流密度区域LZおよび高電流密度区域HZの配置に依存する。低電流密度層21の数は1つでもよいし、複数でもよい。高電流密度層22の数は1つでもよいし、複数でもよい。基材10の表面(金属層12の表面)に直接積層される層が低電流密度層21であってもよいし、高電流密度層22であってもよい。また、銅めっき被膜20の表面(基材10と反対側の面)に表れる層が低電流密度層21であってもよいし、高電流密度層22であってもよい。
銅めっき被膜20を成膜する全期間に渡って低電流密度での電解めっきと高電流密度での電解めっきとを交互に行なった場合、銅めっき被膜20は厚さ方向の全部が低電流密度層21と高電流密度層22とが交互に積層された構造となる。一方、電解めっきの初期において低電流密度と高電流密度との繰り返しとは別の条件で電解めっきを行なった場合、銅めっき被膜20は厚さ方向の表面側の一部が低電流密度層21と高電流密度層22とが交互に積層された構造となる。
低電流密度層21は高電流密度層22に比べて、銅めっき液の添加剤に由来する不純物の濃度が高いという特徴を有する。これは、電解めっきにおける電流密度が低いほど、添加剤がめっき被膜に取り込まれやすくなるためであると推測される。
例えば、銅めっき液にブライトナー成分が含まれる場合、低電流密度層21はブライトナー成分に由来する硫黄の濃度が相対的に高く、高電流密度層22は硫黄濃度が相対的に低くなる。また、銅めっき液に塩素成分が含まれる場合、低電流密度層21は塩素濃度が相対的に高く、高電流密度層22は塩素濃度が相対的に低くなる。
本実施形態では、銅めっき被膜20を構成する高電流密度層22の一層あたりの厚さが0.20~0.65μmである。換言すれば、高電流密度で行なわれる電解めっきの1回あたりの時間は、0.20~0.65μmの層が成膜される時間に設定されている。ロールツーロールにより基材10を搬送しつつ電解めっきを行なう場合、基材10の搬送速度との関係で厚さ0.20~0.65μmの層が成膜されるめっき時間となるよう、各高電流密度区域HZの長さが設定されている。
ここで、層の厚さは、電解めっきにおける電流密度とめっき時間とから求められる。具体的には、式(1)に示すように、電流密度J[A/dm2]、めっき時間T[分]および所定の係数kを乗じて厚さd[μm]が求められる。なお、係数kはめっき液などの条件に依存する値であり、試験により定められる。
Figure 0007276025000001
このような構造を有する銅めっき被膜20は再結晶の進行が遅いという性質を有する。その理由は不明なところもあるが、概ねつぎのとおりであると考えられる。銅めっき被膜20は銅めっき液の添加剤に由来する不純物の濃度が高い層(低電流密度層21)と低い層(高電流密度層22)とが交互に積層された構造を有する。銅めっき被膜20内の不純物により再結晶が阻害されるため、銅めっき被膜20の再結晶の進行が遅くなる。しかも、高電流密度層22の厚さが0.20~0.65μmであるので、銅めっき被膜20の再結晶の進行を遅くする効果が高い。
つぎに、実施例を説明する。
(光沢度測定試験)
まず、光沢度測定試験を行なった。
つぎの手順で、基材を準備した。ベースフィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex-35SGAV1)を用意した。ベースフィルムをマグネトロンスパッタリング装置にセットした。マグネトロンスパッタリング装置内にはニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されている。ニッケルクロム合金ターゲットの組成はCrが20質量%、Niが80質量%である。真空雰囲気下で、ベースフィルムの片面に、厚さ25nmのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ150nmの銅薄膜層を形成した。
つぎに、銅めっき液を調整した。銅めっき液は硫酸銅を120g/L、硫酸を70g/L、ブライトナー成分を16mg/L、レベラー成分を20mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、塩素成分を50mg/L含有する。ブライトナー成分としてビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。レベラー成分としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド-二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS-A―5)を用いた。ポリマー成分としてポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB-11)を用いた。塩素成分として塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
前記銅めっき液が貯留されためっき槽に基材を供給した。電解めっきにより基材の片面に銅めっき被膜を成膜した。ここで、銅めっき液の温度を31℃とした。また、電解めっきの間、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材の表面に対して略垂直に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌した。
銅めっき被膜は電解めっきの電流密度およびめっき時間が異なる9つの層からなる。各層の電流密度およびめっき時間は表1に示すとおりとした。なお、表1中の層番号は基材の表面に接する層から順に採番している。第4、第6、第8層は電流密度0.3A/dm3の電解めっきで成膜された低電流密度層である。第5、第7、第9層は電流密度4.8A/dm3の電解めっきで成膜された高電流密度層である。
Figure 0007276025000002
第7層の電流密度を4.8A/dm2としたままめっき時間を変更し、5つの試料を得た。各試料の第7層のめっき時間は表2に示すとおりである。
Figure 0007276025000003
表1および表2に各層の厚さを示す。各層の厚さは前記式(1)により求めた。本実施例において係数k=0.22である。表1に示すとおり、高電流密度層(第5、第7、第9層)のうち第5、第9層の厚さは、それぞれ0.46μmである。表2に示すとおり、第7層の厚さのみ0.2~1.0μmの間で変化している。
各試料に対して、めっき直後の銅めっき被膜の表面の光沢度を測定した。また、めっき処理から2週間経過した試料に対して化学研磨を行ない、化学研磨後の銅めっき被膜の表面の光沢度を測定した。さらに、めっき処理から4週間経過した試料に対して化学研磨を行ない、化学研磨後の銅めっき被膜の表面の光沢度を測定した。光沢度の測定器として、日本電色工業株式会社製のVSR400を用いた。
その結果を図4のグラフに示す。図4のグラフの横軸は第7層の厚さである。縦軸は銅めっき被膜の表面の光沢度である。光沢度は銅めっき被膜の表面粗さの指標として用いることができる。光沢度が高いほど滑らかであり、光沢度が低いほど粗い。
図4のグラフより、第7層の厚さが厚くなるほど光沢度が低くなることが分かる。この傾向は、めっき直後の場合も、めっき処理から2週間または4週間経過後に化学研磨した場合も同様である。化学研磨後の光沢度が0.8以上を維持するためには、第7層の厚さが0.65μm以下である必要がある。また、少なくとも第7層の厚さが0.20~0.65μmの範囲で、光沢度0.8以上を維持できる。
第7層以外の高電流密度層である第5、第9層の厚さは0.46μmであり、0.20~0.65μmの範囲内である。これより、高電流密度層の厚さを0.20~0.65μmとすれば、銅めっき被膜の表面を滑らかにできることが確認できた。
(再結晶時間測定試験)
つぎに、再結晶時間測定試験を行なった。
・実施例1
光沢度測定試験と同様の手順で基材の表面に銅めっき被膜を成膜した。銅めっき被膜は電解めっきの電流密度およびめっき時間が異なる9つの層からなる。各層の電流密度およびめっき時間は表3に示すとおりとした。なお、表3中の層番号は基材の表面に接する層から順に採番している。第4、第6、第8層は電流密度0.3A/dm3の電解めっきで成膜された低電流密度層である。第5、第7、第9層は電流密度4.8A/dm3の電解めっきで成膜された高電流密度層である。高電流密度層の厚さはいずれも0.46μmである。
Figure 0007276025000004
銅めっき被膜の再結晶時間を測定した。再結晶時間は四探針法により銅めっき被膜の抵抗率の変化を観察することで測定した。銅めっき被膜の再結晶の進行にともない、結晶粒が大きくなり、抵抗率が変化する。抵抗率が一定になった時点で再結晶終了と判断する。めっき処理から再結晶終了までの経過時間を再結晶時間とした。なお、抵抗率の測定器として、三菱ケミカルアナリティック製のロレスタAX MCP-T370を用いた。その結果、再結晶時間は12日であった。
・比較例1
光沢度測定試験と同様の手順で基材の表面に銅めっき被膜を成膜した。銅めっき被膜は電解めっきの電流密度およびめっき時間が異なる8つの層からなる。各層の電流密度およびめっき時間は表4に示すとおりとした。なお、表4中の層番号は基材の表面に接する層から順に採番している。第3、第5、第7層は電流密度0.3A/dm3の電解めっきで成膜された低電流密度層である。第4、第6、第8層は電流密度4.1A/dm3の電解めっきで成膜された高電流密度層である。高電流密度層のうち第4層および第8層の厚さはいずれも0.39μmである。第6層の厚さは0.78μmであり、0.65μmを超えている。
Figure 0007276025000005
実施例1と同様の手順で銅めっき被膜の再結晶時間を測定した。その結果、再結晶時間は5日であった。
比較例1は再結晶時間が比較的短い。これは、第6層の厚さが0.65μmを超えているためと考えられる。これに対して全ての高電流密度層の厚さが0.65μm以下の実施例1は再結晶時間が比較的長い。これより、高電流密度層の厚さを0.65μm以下にすれば、銅めっき被膜の再結晶の進行を遅くできることが確認された。
1 銅張積層板
10 基材
11 ベースフィルム
12 金属層
13 下地金属層
14 銅薄膜層
20 銅めっき被膜
21 低電流密度層
22 高電流密度層

Claims (7)

  1. 基材と、
    添加剤を含む銅めっき液を用いた電解めっきにより、前記基材の表面に成膜された銅めっき被膜と、を備え、
    前記銅めっき被膜は、厚さ方向の全部または表面側の一部が、低電流密度での電解めっきにより成膜された低電流密度層と、前記低電流密度よりも高い高電流密度での電解めっきにより成膜された厚さ0.20~0.65μmの高電流密度層とが交互に積層されてなる
    ことを特徴とする銅張積層板。
  2. 前記低電流密度は0.00~0.39A/dm2である
    ことを特徴とする請求項1記載の銅張積層板。
  3. 前記高電流密度は0.4~10A/dm2である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の銅張積層板。
  4. 添加剤を含む銅めっき液を用いた電解めっきにより、基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    低電流密度での電解めっきと、前記低電流密度よりも高い高電流密度で厚さ0.20~0.65μmの層を成膜する電解めっきとを交互に行なって、前記銅めっき被膜のうち厚さ方向の全部または表面側の一部を成膜する
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  5. 添加剤を含む銅めっき液が貯留されためっき槽内を、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    前記めっき槽内に、前記基材の搬送方向に沿って全領域または下流側の一部領域に、低電流密度での電解めっきを行なう低電流密度区域と、前記低電流密度よりも高い高電流密度で厚さ0.20~0.65μmの層を成膜する電解めっきを行なう高電流密度区域とを交互に設ける
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  6. 前記低電流密度は0.00~0.39A/dm2である
    ことを特徴とする請求項4または5記載の銅張積層板の製造方法。
  7. 前記高電流密度は0.4~10A/dm2である
    ことを特徴とする請求項4、5または6記載の銅張積層板の製造方法。
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