JP7211184B2 - 銅張積層板および銅張積層板の製造方法 - Google Patents

銅張積層板および銅張積層板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅張積層板および銅張積層板の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いられる銅張積層板、およびその銅張積層板の製造方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などには、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が用いられる。フレキシブルプリント配線板は、例えば、銅張積層板から製造される。
銅張積層板の製造方法としてメタライジング法が知られている。メタライジング法による銅張積層板の製造は、例えば、つぎの手順で行なわれる。まず、樹脂フィルムの表面にニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成する。つぎに、下地金属層の上に銅薄膜層を形成する。つぎに、銅薄膜層の上に銅めっき被膜を形成する。銅めっきにより、配線パターンを形成するのに適した膜厚となるまで導体層を厚膜化する。メタライジング法により、樹脂フィルム上に直接導体層が形成された、いわゆる2層基板と称されるタイプの銅張積層板が得られる。
この種の銅張積層板を用いてフレキシブルプリント配線板を製造する方法としてセミアディティブ法が知られている。セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、つぎの手順で行なわれる(特許文献1参照)。まず、銅張積層板の銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成する。つぎに、レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。つぎに、レジスト層の開口部から露出した銅めっき被膜を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。つぎに、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。
セミアディティブ法において、銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成するあたり、ドライフィルムレジストを用いることがある。この場合、銅めっき被膜の表面を化学研磨した後に、ドライフィルムレジストを貼り付ける。化学研磨により銅めっき被膜の表面に微細な凹凸をつけることで、アンカー効果によりドライフィルムレジストの密着性を高めている。しかし、銅めっき被膜の表面の凹凸が過剰であると、かえってドライフィルムレジストの密着性が悪化することがある。
特開2006-278950号公報
化学研磨後の銅めっき被膜の表面粗さは、銅めっき被膜の結晶粒のサイズに影響される。結晶粒が小さいほど化学研磨後の銅めっき被膜の表面が滑らかになり、結晶粒が大きいほど化学研磨後の銅めっき被膜の表面が粗くなるという傾向がある。
銅めっき被膜の結晶粒はめっき処理後の再結晶の進行にともない、徐々に大きくなる。再結晶が進行中の銅めっき被膜に化学研磨を行なうと、化学研磨の時点におけるめっき処理からの経過時間によって、化学研磨後の銅めっき被膜の表面粗さが変化する。そのため、配線加工における工程管理が困難になる。また、再結晶が終了した銅めっき被膜は結晶粒が大きくなっていることから、化学研磨後の表面粗さが過剰となることがある。そこで、銅張積層板の銅めっき被膜には、再結晶の進行が遅いことが求められる場合がある。
本発明は上記事情に鑑み、再結晶の進行が遅い銅めっき被膜を有する銅張積層板、およびその銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の銅張積層板は、基材と、前記基材の表面に成膜された銅めっき被膜と、を備え、前記銅めっき被膜は、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきと、めっき面の水洗とを交互に行なうことにより成膜されたものであり、前記銅めっき被膜の再結晶時間は7日以上であることを特徴とする。
第2発明の銅張積層板の製造方法は、基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきと、めっき面の水洗とを交互に行なって前記銅めっき被膜を成膜することを特徴とする。
第3発明の銅張積層板の製造方法は、基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、前記基材を、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきを行なうめっき槽と、めっき面の水洗を行なう水洗槽とに交互に浸漬することを特徴とする。
第4発明の銅張積層板の製造方法は、ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、前記基材の搬送経路に、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきを行なうめっき槽と、めっき面の水洗を行なう水洗装置とを交互に設けることを特徴とする。
第5発明の銅張積層板の製造方法は、第2~第4発明のいずれかにおいて、前記水洗の一回あたりの時間は5秒以上であることを特徴とする。
第6発明の銅張積層板の製造方法は、第2~第5発明のいずれかにおいて、前記水洗の回数は3~18回であることを特徴とする。
本発明によれば、銅めっき被膜が低窒素濃度層と高窒素濃度層とが交互に積層された構造となる。低窒素濃度層が高窒素濃度層の結晶粒同士の結合を抑制するため、銅めっき被膜の再結晶の進行を遅くできる。
本発明の一実施形態に係る銅張積層板の断面図である。 ロールツーロール方式のめっき装置の斜視図である。 めっき槽および水洗槽の平面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る銅張積層板1は、基材10と、基材10の表面に成膜された銅めっき被膜20とからなる。図1に示すように基材10の片面のみに銅めっき被膜20が形成されてもよいし、基材10の両面に銅めっき被膜20が形成されてもよい。
銅めっき被膜20は電解めっきにより成膜される。したがって、基材10は銅めっき被膜20が成膜される側の表面に導電性を有する素材であればよい。例えば、基材10は絶縁性を有するベースフィルム11の表面に金属層12が形成されたものである。ベースフィルム11としてポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。金属層12は、例えば、スパッタリング法により形成される。金属層12は下地金属層13と銅薄膜層14とからなる。下地金属層13と銅薄膜層14とはベースフィルム11の表面にこの順に積層されている。一般に、下地金属層13はニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。特に限定されないが、下地金属層13の厚さは5~50nmが一般的であり、銅薄膜層14の厚さは50~400nmが一般的である。
銅めっき被膜20は金属層12の表面に形成されている。特に限定されないが、銅めっき被膜20の厚さは1~3μmが一般的である。なお、金属層12と銅めっき被膜20とを合わせて「導体層」と称する。
銅めっき被膜20はめっき装置により成膜される。めっき装置としてロールツーロール方式、枚葉方式などが知られている。
銅めっき被膜20は、例えば、図2に示すロールツーロール方式のめっき装置3により成膜される。
めっき装置3は、ロールツーロールにより長尺帯状の基材10を搬送しつつ、基材10に対して電解めっきを行なう装置である。めっき装置3はロール状に巻回された基材10を繰り出す供給装置31と、めっき後の基材10(銅張積層板1)をロール状に巻き取る巻取装置32とを有する。
また、めっき装置3は基材10を搬送する上下一対のエンドレスベルト33(下側のエンドレスベルト33は図示省略)を有する。各エンドレスベルト33には基材10を把持する複数のクランプ34が設けられている。供給装置31から繰り出された基材10は、その幅方向が鉛直方向に沿う懸垂姿勢となり、両縁が上下のクランプ34に把持される。基材10はエンドレスベルト33の駆動によりめっき装置3内を周回した後、クランプ34から開放され、巻取装置32で巻き取られる。
基材10の搬送経路には、上流側に前処理槽35が設けられ、下流側に後処理槽36が設けられている。また、前処理槽35と後処理槽36との間の搬送経路には、図3に示すように、複数のめっき槽37と複数の水洗装置38とが交互に設けられている。
各めっき槽37には銅めっき液が貯留されている。めっき槽37内を搬送される基材10は、その全体が銅めっき液に浸漬されている。めっき槽37の内部にはアノード37aが配置されている。アノード37aの材質および構造は、特に限定されないが、例えばチタンに酸化イリジウムをコーティングしたメッシュ状の不溶性電極でよい。また、基材10には、それを把持するクランプ34を介して電流が供給されている。基材10とアノード37aとの間に電流を流すと、基材10をカソードとした電解めっきが行なわれる。電解めっきを行なうことで、基材10の表面に銅めっき被膜20を成膜できる。
図3に示すめっき槽37には、基材10の表裏両側にアノード37aが配置されている。したがって、ベースフィルム11の両面に金属層12が形成された基材10を用いれば、基材10の両面に銅めっき被膜20を成膜できる。
なお、電流密度は0.3~10A/dm2に設定することが好ましい。また、電流密度は基材10の搬送方向の下流側に向かって、段階的に上昇するよう設定することが好ましい。
水洗装置38はめっき面(成膜中の銅めっき被膜20の表面)の水洗を行なう装置である。図3に示す例では、水洗装置38は水が貯留された水洗槽からなる。水洗槽内を搬送される基材10は、その全体が水に浸漬され、これにより水洗される。水洗槽の内部には、めっき面に向かって水を噴出するノズル38aを設けることが好ましい。なお、水洗装置38として、空気中を搬送される基材10に対して水流を掛ける装置を用いてもよい。
めっき槽37の数は、通常、2以上である。水洗装置38の数は1つでもよいし、複数でもよい。基材10の搬送方向を基準として、最も上流および最も下流には、通常、めっき槽37が配置される。
基材10はめっき槽37と水洗装置38とを交互に通過する。したがって、基材10に対して、電解めっきと水洗とが交互に繰り返し行なわれる。これにより、基材10の表面に銅めっき被膜20が成膜され、長尺帯状の銅張積層板1が得られる。
銅めっき被膜20を枚葉方式のめっき装置で成膜してもよい。
枚葉方式のめっき装置は、保持部材に固定した基材10を搬送しながら電解めっきを行なう装置である。基材10は、まず、前処理槽に送られる。その後、基材10はめっき槽と水洗槽とに交互に必要な回数浸漬される。その後、基材10は後処理槽に送られる。
めっき槽には銅めっき液が貯留されている。めっき槽では基材10に対して銅めっき液を用いた電解めっきが行なわれる。また、水洗槽には水が貯留されている。水洗槽内の水に基材10を浸漬することで、めっき面を水洗する。なお、水洗槽の内部にめっき面に向かって水を噴出するノズルを設けることが好ましい。
基材10に対して電解めっきと水洗とを交互に繰り返し行なう。これにより、基材10の表面に銅めっき被膜20が成膜され、銅張積層板1が得られる。
めっき装置の方式に関わらず、銅めっき液は以下の組成が好ましい。
銅めっき液は水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば、特に限定されず用いられる。水溶性銅塩として、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などが挙げられる。無機銅塩として、硫酸銅、酸化銅、塩化銅、炭酸銅などが挙げられる。アルカンスルホン酸銅塩として、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などが挙げられる。アルカノールスルホン酸銅塩として、イセチオン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などが挙げられる。有機酸銅塩として、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などが挙げられる。
銅めっき液に用いる水溶性銅塩として、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、硫酸銅と塩化銅とを組み合わせる場合のように、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1つのカテゴリー内の異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、銅めっき液の管理の観点からは、1種類の水溶性銅塩を単独で用いることが好ましい。
銅めっき液は硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。
銅めっき液は一般的にめっき液に添加される添加剤を含む。添加剤として、レベラー成分、ブライトナー成分、ポリマー成分、塩素成分などが挙げられる。銅めっき液は少なくともレベラー成分を含む。また、銅めっき液はブライトナー成分、ポリマー成分、塩素成分などから選択された1種類を含んでもよいし、2種類以上を含んでもよい。
レベラー成分は窒素を含有するアミンなどで構成される。レベラー成分として、特に限定されないが、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヤヌス・グリーンBなどから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。ブライトナー成分は硫黄を含む。ブライトナー成分として、特に限定されないが、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(略称SPS)、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸(略称MPS)などから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。ポリマー成分として、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体から選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。塩素成分として、特に限定されないが、塩酸、塩化ナトリウムなどから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。
銅めっき液の各成分の含有量は任意に選択できる。ただし、銅めっき液は銅を15~70g/L、硫酸を20~250g/L含有することが好ましい。そうすれば、銅めっき被膜20を十分な速度で成膜できる。銅めっき液はレベラー成分を1~300mg/L含有することが好ましい。そうすれば、突起を抑制し平坦な銅めっき被膜20を形成できる。銅めっき液はブライトナー成分を1~50mg/L含有することが好ましい。そうすれば、析出結晶を微細化し銅めっき被膜20の表面を平滑にできる。銅めっき液はポリマー成分を10~1,500mg/L含有することが好ましい。そうすれば、基材10端部への電流集中を緩和し均一な銅めっき被膜20を形成できる。銅めっき液は塩素成分を20~80mg/L含有することが好ましい。そうすれば、異常析出を抑制できる。
銅めっき液の温度は20~35℃が好ましい。また、めっき槽内の銅めっき液を撹拌することが好ましい。銅めっき液を撹拌する手段は、特に限定されないが、噴流を利用した手段を用いることができる。例えば、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材10に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌できる。
レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきと、めっき面の水洗とを交互に行なって銅めっき被膜20を成膜する。このような方法により形成された銅めっき被膜20は不純物として窒素を含む。銅めっき被膜20に含まれる窒素は銅めっき液に含まれるレベラー成分に由来する。レベラー成分にはN+(正電荷を帯びた窒素)が含まれる。N+は電気的な作用によりめっき面に吸着され、銅めっき被膜20に取り込まれる。
また、図1に示すように、銅めっき被膜20は低窒素濃度層21と高窒素濃度層22とが、厚さ方向に交互に積層された構造を有する。ここで、低窒素濃度層21は相対的に窒素濃度が低い層であり、高窒素濃度層22は相対的に窒素濃度が高い層である。
このように、低窒素濃度層21と高窒素濃度層22とが積層される理由は、つぎのとおりであると考えられる。
電解を行なっている間は、めっき面に添加剤(ブライトナー成分、レベラー成分およびポリマー成分)が吸着する。ここで、レベラー成分は電解に起因する電気的な作用によりめっき面に吸着する。一方、ブライトナー成分およびポリマー成分は電解に関わらずめっき面に吸着する。
めっき面を水洗すると、めっき面に吸着していたレベラー成分が脱落する。水洗の間は無電解状態であり、電気的な作用による吸着がなくなるためである。また、水流という物理的な作用が働くためである。一方、ブライトナー成分およびポリマー成分は、無電解状態でも、めっき面に吸着したまま維持される。すなわち、水洗によりめっき面はレベラー成分が少ない状態となる。
この状態で次の電解が行なわれると、電解の初期において、銅めっき被膜20に新たな銅が積層される際に、レベラー成分に由来する窒素濃度が相対的に低い層が形成される。これが低窒素濃度層21である。引き続き電解を行なうと、銅めっき液からレベラー成分が供給されるため、通常の電解で得られる窒素濃度の層が形成される。これが高窒素濃度層22である。
このような構造を有する銅めっき被膜20は再結晶の進行が遅いという性質を有する。その理由は不明なところもあるが、概ねつぎのとおりであると考えられる。
銅めっき被膜20は銅めっき液のレベラー成分に由来する窒素の濃度が低い層(低窒素濃度層21)と高い層(高窒素濃度層22)とが交互に積層された構造を有する。低窒素濃度層21が高窒素濃度層22の結晶粒同士の結合を抑制するため、銅めっき被膜20の再結晶の進行を遅くできる。
水洗の一回あたりの時間を5秒以上とすることが好ましい。また、水洗の回数を3~18回とすることが好ましい。そうすれば、再結晶の進行を十分に遅くできる。
なお、銅めっき被膜20は窒素以外の不純物、例えば、銅めっき液の添加剤に由来する硫黄、塩素、炭素、酸素などを含んでもよい。
つぎに、実施例を説明する。
(再結晶時間測定試験1)
まず、再結晶時間測定試験1を行なった。
つぎの手順で、基材を準備した。ベースフィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex-35SGAV1)を用意した。ベースフィルムをマグネトロンスパッタリング装置にセットした。マグネトロンスパッタリング装置内にはニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されている。ニッケルクロム合金ターゲットの組成はCrが20質量%、Niが80質量%である。真空雰囲気下で、ベースフィルムの片面に、厚さ25nmのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ150nmの銅薄膜層を形成した。
つぎに、銅めっき液を調整した。銅めっき液は銅を30g/L、硫酸を70g/L、レベラー成分を50mg/L、ブライトナー成分を15mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、塩素成分を50mg/L含有する。レベラー成分としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド-二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS-A―5)を用いた。ブライトナー成分としてビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。ポリマー成分としてポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB-11)を用いた。塩素成分として塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
枚葉方式のめっき装置を用いて基材の片面に厚さ2.0μmの銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得た。ここで、基材をめっき槽と水洗槽とに交互に浸漬した。めっき槽には前記銅めっき液が貯留されている。銅めっき液の温度を31℃とした。めっき槽の内部ではノズルから噴出させた銅めっき液をめっき面に対して略垂直に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌した。
基材をめっき槽に浸漬して電解めっきする操作を7回行なった。電解めっきの一回あたりの時間は30秒である。1回目の電解めっきでは電流密度を1A/dm2とした。2回目の電解めっきでは電流密度を2A/dm2とした。3~7回目の電解めっきでは電流密度を3A/dm2とした。また、電解めっきの間で、基材を水洗槽に浸漬する水洗を6回行なった。
水洗の一回あたりの時間(以下、「水洗時間」という。)を、1、5、60秒と変化させつつ、上記の作業を3回行なった。得られた3つの銅張積層板を、それぞれ試料1~3と称する。
得られた試料1~3について、銅めっき被膜の再結晶時間を測定した。再結晶時間は四探針法により銅めっき被膜の抵抗率の変化を観察することで測定した。銅めっき被膜の再結晶の進行にともない、結晶粒が大きくなり、抵抗率が変化する。抵抗率が一定になった時点で再結晶終了と判断する。めっき処理から再結晶終了までの経過時間を再結晶時間とした。なお、抵抗率の測定器として、三菱ケミカルアナリティック製のロレスタAX MCP-T370を用いた。
その結果を表1に示す。
Figure 0007211184000001
表1より、水洗時間を5秒以上にすれば、再結晶時間を9日以上にできることが分かる。
(再結晶時間測定試験2)
つぎに、再結晶時間測定試験2を行なった。
再結晶時間測定試験1と同様の手順で基材に銅めっき被膜を成膜した。ここで、電解めっきおよび水洗の回数を変化させつつ、作業を5回行なった。得られた5つの銅張積層板を、それぞれ試料4~8と称する。なお、積算電流値が同一となるように電解めっき時間を調整している。条件の詳細は以下のとおりである。
・試料4
電解めっきを3回行った。1回目の電解めっきは電流密度1A/dm2で30秒である。2回目の電解めっきは電流密度2A/dm2で30秒である。3回目の電解めっきは電流密度3A/dm2で150秒である。また、水洗は行なわなかった。
・試料5
電解めっきを4回行った。1回目の電解めっきは電流密度1A/dm2で30秒である。2回目の電解めっきは電流密度2A/dm2で30秒である。3、4回目の電解めっきは電流密度3A/dm2で75秒である。また、3、4回目の電解めっきの間で水洗を1回行った。水洗時間は5秒である。
・試料6
電解めっきを4回行った。1回目の電解めっきは電流密度1A/dm2で30秒である。2回目の電解めっきは電流密度2A/dm2で30秒である。3回目の電解めっきは電流密度3A/dm2で75秒である。4回目の電解めっきは電流密度3A/dm2で75秒である。また、1~4回目の電解めっきの間で、水洗を3回行った。水洗時間は5秒である。
・試料7
電解めっきを13回行った。1回目の電解めっきは電流密度1A/dm2で15秒である。2回目の電解めっきは電流密度2A/dm2で15秒である。3~13回目の電解めっきは電流密度3A/dm2でそれぞれ15秒である。また、電解めっきの間で、水洗を12回行った。水洗時間は5秒である。
・試料8
電解めっきを19回行った。1回目の電解めっきは電流密度1A/dm2で10秒である。2回目の電解めっきは電流密度2A/dm2で10秒である。3~19回目の電解めっきは電流密度3A/dm2でそれぞれ10秒である。また、電解めっきの間で、水洗を18回行った。水洗時間は5秒である。
その結果を表2に示す。
Figure 0007211184000002
表2より、水洗回数を増やすほど、再結晶時間が長くなることが分かる。また、水洗回数を3回以上にすれば、再結晶時間を7日以上にできることが分かる。
1 銅張積層板
10 基材
11 ベースフィルム
12 金属層
13 下地金属層
14 銅薄膜層
20 銅めっき被膜
21 低窒素濃度層
22 高窒素濃度層

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の表面に成膜された銅めっき被膜と、を備え、
    前記銅めっき被膜は、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきと、めっき面の水洗とを交互に行なうことにより成膜されたものであり、
    前記銅めっき被膜の再結晶時間は7日以上である
    ことを特徴とする銅張積層板。
  2. 基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきと、めっき面の水洗とを交互に行なって前記銅めっき被膜を成膜する
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  3. 基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    前記基材を、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきを行なうめっき槽と、めっき面の水洗を行なう水洗槽とに交互に浸漬する
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  4. ロールツーロールにより基材を搬送しつつ、該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    前記基材の搬送経路に、レベラー成分を含む銅めっき液を用いた電解めっきを行なうめっき槽と、めっき面の水洗を行なう水洗装置とを交互に設ける
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  5. 前記水洗の一回あたりの時間は5秒以上である
    ことを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の銅張積層板の製造方法。
  6. 前記水洗の回数は3~18回である
    ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の銅張積層板の製造方法。
JP2019052054A 2019-03-20 2019-03-20 銅張積層板および銅張積層板の製造方法 Active JP7211184B2 (ja)

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