JP7497657B2 - 銅張積層板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅張積層板の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いられる銅張積層板の製造方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器には、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が用いられる。フレキシブルプリント配線板は、例えば、銅張積層板から製造される。
銅張積層板の製造方法としてメタライジング法が知られている。メタライジング法による銅張積層板の製造は、例えば、つぎの手順で行なわれる。まず、樹脂フィルムの表面にニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成する。つぎに、下地金属層の上に銅薄膜層を形成する。つぎに、銅薄膜層の上に銅めっき被膜を形成する。銅めっきにより、配線パターンを形成するのに適した膜厚となるまで導体層を厚膜化する。メタライジング法により、樹脂フィルム上に直接導体層が形成された、いわゆる2層基板と称されるタイプの銅張積層板が得られる。
フレキシブルプリント配線板は、セミアディティブ法、サブトラクティブ法などにより、銅張積層板に配線パターンを形成することで得られる。セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、つぎの手順で行なわれる(特許文献1参照)。まず、銅張積層板の銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成する。つぎに、レジスト層のうち配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。つぎに、レジスト層の開口部から露出した銅めっき被膜を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。つぎに、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。
特開2006-278950号公報
セミアディティブ法では、銅張積層板の導体層のうち不要部分はエッチングにより除去される。導体層が厚すぎるとエッチング時間が長くなり、配線部のエッチングも進行することから、配線の断面形状を矩形にすることが困難になる。そのため、セミアディティブ法により加工される銅張積層板の導体層は薄い方が好ましい。具体的には、銅めっき被膜の厚さを0.2~1.0μmとすることが一般的である。一方、サブトラクティブ法により加工される銅張積層板は、比較的厚い銅めっき被膜を有することが求められる。サブトラクティブ法により加工される銅張積層板の銅めっき被膜の厚さは8~12μmが一般的である。
銅張積層板の銅めっき被膜はロールツーロール方式のめっき装置で成膜できる。厚さ8~12μmの厚い銅めっき被膜を成膜できるめっき装置は、十分なめっき時間を確保するために、めっき槽が長い。このようなめっき装置で厚さ0.2~1.0μmの薄い銅めっき被膜を成膜することは困難である。
そこで、本願発明者は、めっき槽の全長にわたって電解めっきを行なうのではなく、めっき槽の一部区域において無通電状態で基材を搬送するいわゆる空送を行なうことにより、薄い銅めっき被膜を成膜することを試みた。しかしながら、めっき槽の一部区域で空送を行なうと、銅めっき被膜の縁部が白く曇ることがあった。白く曇った領域は外観不良であり、製品として使えないため、銅張積層板の製品有効幅が狭くなってしまう。
本発明は上記事情に鑑み、銅めっき被膜の縁部の白曇りを抑制できる銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る銅張積層板の製造方法は、ロールツーロールにより基材をめっき槽の上流端から下流端まで搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、前記めっき槽内の前記上流端を含む上流区域を無通電状態に設定した第1空送区域とし、前記上流区域に続く中間区域をアノードと前記基材との間に通電して電解めっきを行なう電解区域とし、残りの下流区域を無通電状態に設定した第2空送区域とすることを特徴とする。
本発明によれば、銅めっき被膜の縁部の白曇りを抑制でき、製品有効幅の広い銅張積層板を製造できる。
銅張積層板の断面図である。 めっき槽の平面図である。 めっき槽内を搬送される基材の正面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る方法により製造される銅張積層板1は、基材10と、基材10の表面に成膜された銅めっき被膜20とからなる。図1に示すように基材10の片面のみに銅めっき被膜20が成膜されてもよいし、基材10の両面に銅めっき被膜20が成膜されてもよい。
銅めっき被膜20は電解めっきにより成膜される。したがって、基材10は銅めっき被膜20が成膜される側の表面に導電性を有する素材であればよい。例えば、基材10は絶縁性を有するベースフィルム11の表面に金属層12が成膜されたものである。ベースフィルム11としてポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。金属層12は、例えば、スパッタリング法により成膜される。金属層12は下地金属層13と銅薄膜層14とからなる。下地金属層13と銅薄膜層14とはベースフィルム11の表面にこの順に積層されている。一般に、下地金属層13はニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。
特に限定されないが、ベースフィルム11の厚さは12.5~37μmが一般的である。また、下地金属層13の厚さは5~50nmが一般的である。スパッタリング法により厚い銅薄膜層14を成膜しようとすると、搬送速度が遅くなり、製造コストが高くなる。そのため、通常、銅薄膜層14の厚さは50~150nmである。
なお、下地金属層13はなくてもよい。銅薄膜層14はベースフィルム11の表面に下地金属層13を介して成膜されてもよいし、下地金属層13を介さずベースフィルム11の表面に直接成膜されてもよい。
銅めっき被膜20は銅薄膜層14の表面に成膜されている。特に限定されないが、銅めっき被膜20の厚さは、セミアディティブ法により加工される銅張積層板1の場合0.2~1.0μmが一般的である。なお、金属層12と銅めっき被膜20とを合わせて「導体層」と称する。
銅めっき被膜20はロールツーロール方式のめっき装置により成膜できる。めっき装置は、ロールツーロールにより長尺帯状の基材10を搬送しつつ、基材10に対して電解めっきを行なう装置である。めっき装置はロール状に巻回された基材10を繰り出す供給装置と、めっき後の基材10(銅張積層板1)をロール状に巻き取る巻取装置とを有する。
基材10の搬送経路には、前処理槽、めっき槽30、および後処理槽が配置されている。基材10はめっき槽30内を搬送されつつ、電解めっきによりその表面に銅めっき被膜20が成膜される。これにより、長尺帯状の銅張積層板1が得られる。
図2に示すように、めっき槽30は基材10の搬送方向に沿った横長の単一の槽である。基材10はめっき槽30の全長にわたって、すなわち、めっき槽30の上流端30uから下流端30dまで搬送される。ここで、上流端30uは基材10がめっき槽30の内部に導入される端部である。下流端30dは基材10がめっき槽30から排出される端部である。基材10はめっき槽30の中心に沿って搬送される。めっき槽30には銅めっき液が貯留されている。めっき槽30内を搬送される基材10は、その全体が銅めっき液に浸漬されている。
銅めっき液は水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば、特に限定されず用いられる。銅めっき液に用いる水溶性銅塩として、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、銅めっき液の管理の観点からは、1種類の水溶性銅塩を単独で用いることが好ましい。
銅めっき液は硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。銅めっき液は一般的にめっき液に添加される添加剤を含んでもよい。添加剤として、ブライトナー成分、レベラー成分、ポリマー成分、塩素成分などが挙げられる。これらの添加剤から選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
銅めっき液の各成分の含有量は任意に選択できる。ただし、銅めっき液は銅を15~70g/L、硫酸を20~250g/L含有することが好ましい。そうすれば、銅めっき被膜20を十分な速度で成膜できる。銅めっき液はブライトナー成分を1~50mg/L含有することが好ましい。そうすれば、析出結晶を微細化し銅めっき被膜20の表面を平滑にできる。銅めっき液はレベラー成分を1~300mg/L含有することが好ましい。そうすれば、突起を抑制し平坦な銅めっき被膜20を成膜できる。銅めっき液はポリマー成分を10~1,500mg/L含有することが好ましい。そうすれば、基材10縁部への電流集中を緩和し均一な銅めっき被膜20を成膜できる。銅めっき液は塩素成分を20~80mg/L含有することが好ましい。そうすれば、異常析出を抑制できる。
銅めっき液の温度は20~35℃が好ましい。また、めっき槽30内の銅めっき液を撹拌することが好ましい。銅めっき液を撹拌する手段は、特に限定されないが、噴流を利用した手段を用いることができる。例えば、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材10に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌できる。
めっき槽30の内部には、基材10の搬送方向に沿って複数のアノード31が配置されている。また、図3に示すように、めっき槽30の内部において、基材10は搬送方向に沿った一方の縁を上側、他方の縁を下側にした懸垂姿勢となり、両縁を把持する複数のクランプ32、33により搬送される。基材10の上縁を把持するクランプ32は、給電装置が接続されており、カソードとしての機能も有する。アノード31とクランプ32(カソード)との間に電流を流すことで、基材10の表面に銅めっき被膜20を成膜できる。
なお、図2に示すめっき槽30には、基材10の表裏両側にアノード31が配置されている。したがって、ベースフィルム11の両面に金属層12が成膜された基材10を用いれば、基材10の両面に銅めっき被膜20を成膜できる。
めっき槽30の内部に配置された複数のアノード31は、それぞれに整流器が接続されている。したがって、アノード31ごとに異なる電流密度となるように設定できる。
電解めっきにより得られる銅めっき被膜20の厚さは、基本的には、電流密度とめっき時間とから求められる。具体的には、以下の式(1)に示すように、電流密度J[A/dm2]、めっき時間T[分]、および係数kを乗じて厚さD[μm]が求められる。ここで、係数kは銅めっき液などの条件に依存する値であり、試験により定められる。
D=k×J×T ・・・(1)
セミアディティブ法により加工される銅張積層板1は、厚さ0.2~1.0μmといった薄い銅めっき被膜20を有することが好ましい。式(1)から分かるように、銅めっき被膜20の厚さDを薄くするには、電流密度Jを低くするか、めっき時間Tを短くすればよい。しかし、電流密度Jを低くし過ぎると、銅めっき被膜20の表面粗度が大きくなる。また、電流密度Jを低くし過ぎると、硫黄などの添加剤由来成分の銅めっき被膜20への取り込み量が増加し、銅めっき被膜20の溶解性や導電性などの特性が目標とするものと異なってしまう。そのため、電流密度Jはある程度の高さが必要である。めっき時間Tは基材10の搬送速度により調整できる。しかし、めっき槽30の長さは不変であるため、めっき時間Tを短くするのには限界がある。
そこで、本願発明者は、めっき槽30の実効的な長さを短くすることで、薄い銅めっき被膜20を成膜することを試みた。通常は、基材10の搬送方向に沿って並んだ全てのアノード31に通電して、めっき槽30の全長にわたって電解めっきを行なう。これに代えて、一部のアノード31を無通電状態、すなわち電流密度を0A/dm2に設定する。そうすると、めっき槽30の一部区域が無通電状態で基材10を搬送する空送区域となり、めっき槽30の実効的な長さが短くなる。これによりめっき時間Tが短くなり、薄い銅めっき被膜20を成膜できる。
ところで、銅被膜は酸化状態でない限り容易には溶解しない。しかし、無通電状態で銅めっき液の液流が強く作用するとその部分だけ銅被膜が溶解する傾向がある。そのため、めっき槽30内に空送区域を設ける場合、銅薄膜層14の溶解を防止するという観点からは、めっき槽30の上流区域では電解めっきを行なうことが好ましいと考えられる。また、成膜された銅めっき被膜20の溶解や変色を防止するという観点からは、めっき槽30の下流区域でも電解めっきを行なうことが好ましいと考えられる。したがって、めっき槽30の一部区域を空送区域とするのであれば、めっき槽30の上流および下流の一部区域で電解めっきを行ない、それらの間の中間区域を空送区域とすることが好ましいと考えられる。
しかし、めっき槽30の中間区域を空送区域としたところ、銅めっき被膜20の縁部が白く曇る現象が確認された。具体的には、図3に示すように、銅めっき被膜20の下縁から約20mmの範囲が白く曇る。
銅めっき被膜20の縁部が白く曇る原因は、不明な点も多いが、本願発明者は以下のように推測している。ロールツーロールのめっき装置では、隣り合うアノード31は分離しており、アノード31ごとに異なる電流密度を設定できる。しかし、カソード(基材10)は繋がっているため、上流および下流の一部区域においてアノード31と基材10との間に通電すると、無通電状態の中間区域においても基材10に微弱電流が流れる。微弱電流により異常析出が生じると、銅めっき被膜20の表面に多数の細かいコブが現れ、これが白く曇って見える原因となる。
そこで、本願発明者は、めっき槽30内における空送区域の位置を変更しつつ、銅めっき被膜20の白曇りの発生状況を確認した。その結果、特定の条件において銅めっき被膜20の縁部の白曇りを抑制できることを見出した。
すなわち、図2に示すように、めっき槽30内の上流区域を第1空送区域TZ1とし、中間区域を電解区域EZとし、下流区域を第2空送区域TZ2とすればよい。ここで、上流区域(第1空送区域TZ1)は上流端30uを含む上流側の一部区域である。中間区域(電解区域EZ)は上流区域に続く一部区域である。下流区域(第2空送区域TZ2)は中間区域に続き下流端30dまで達する残りの(下流側の)区域である。第1空送区域TZ1および第2空送区域TZ2ではアノード31の電流密度を0A/dm2とし、アノード31と基材10との間で通電しない無通電状態に設定する。第1空送区域TZ1および第2空送区域TZ2のそれぞれの長さは、電流密度を0A/dm2に設定するアノード31の数によって調整できる。電解区域EZではアノード31の電流密度を0A/dm2より大きい値とし、アノード31と基材10との間に通電して電解めっきを行なう。
上記のように設定すれば、基材10が上流端30uから下流端30dまで搬送されるめっき期間のうち、初期は無通電状態で基材10を搬送する空送を行ない、中期は電解めっきを行ない、末期は再び空送を行なうことになる。
このような条件にすることにより、銅めっき被膜20の縁部の白曇りを抑制できる。その結果、銅張積層板1の縁部が外観不良とならず、製品有効幅の広い銅張積層板1を製造できる。
(共通の条件)
次の手順で、基材を準備した。ベースフィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex-35SGAV1)を用意した。ベースフィルムをマグネトロンスパッタリング装置にセットした。マグネトロンスパッタリング装置内にはニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されている。ニッケルクロム合金ターゲットの組成はCrが20質量%、Niが80質量%である。真空雰囲気下で、ベースフィルムの両面に、厚さ25nmのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ100nmの銅薄膜層を形成した。
つぎに、ロールツーロール方式のめっき装置を用いて、電解めっきにより基材の両面に銅めっき被膜を成膜した。めっき槽に貯留された銅めっき液は硫酸銅を120g/L、硫酸を70g/L、ブライトナー成分を16mg/L、レベラー成分を20mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、塩素成分を50mg/L含有する。ブライトナー成分としてビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。レベラー成分としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド-二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS-A―5)を用いた。ポリマー成分としてポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB-11)を用いた。塩素成分として塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
銅めっき液の温度を31℃とした。また、電解めっきの間、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材の表面に対して略垂直に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌した。めっき槽内における基材の搬送張力は85N/mとした。
得られた銅張積層板の外観を確認し、銅めっき被膜の縁部の白曇りの有無、および白曇りの幅を確認した。ここで、図3に示すように、白曇りの幅Wは、銅めっき被膜の下縁から白曇りが確認される領域の幅を意味する。
(実施例1)
めっき槽内の上流区域を第1空送区域、中間区域を電解区域、下流区域を第2空送区域とした。第1空送区域および第2空送区域では電流密度を0A/dm2に設定した。電解区域における電流密度は0.7、1.0、1.2、1.4A/dm2の順に段階的に高くした。具体的な電流密度の条件は表1のとおりである。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は0.5分である。
その結果、厚さ0.2μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
(実施例2)
電流密度の条件を表1のとおりとした。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は0.5分である。その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
(実施例3)
電流密度の条件を表1のとおりとした。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は0.5分である。その結果、厚さ0.9μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
(実施例4)
電流密度の条件を表1のとおりとした。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は0.1分である。その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
(実施例5)
電流密度の条件を表1のとおりとした。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は2.0分である。その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
(実施例6)
電流密度の条件を表1のとおりとした。第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間は3.0分である。その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。
めっき槽内の上流区域を第1空送区域、中間区域を電解区域、下流区域を第2空送区域とした実施例1~6では、いずれも銅めっき被膜の縁部に白曇りは確認されなかった。少なくとも、第1空送区域および第2空送区域それぞれにおける基材の搬送時間を0.1~3分とした条件下では、銅めっき被膜の縁部の白曇りを十分に抑制できることが確認できた。
なお、めっき槽内の上流区域で空送を行なうと銅薄膜層の溶解が懸念される。特に銅めっき液の噴流が当たる部分は溶解しやすい。銅薄膜層の溶解の程度を確認するため、無通電状態のめっき槽内に基材を通過させ、銅めっき液の噴流が当たる部分の銅薄膜層の厚さを確認した。その結果、空送が8分を超えると銅薄膜層が薄くなることが確認された。逆にいえば、空送が8分以内であれば銅薄膜層の溶解を防止できる。したがって、実施例1~6のごとく、第1空送区域における基材の搬送時間を3分以下とすれば、銅薄膜層の溶解を防止できるといえる。また、めっき槽内の下流区域で空送を行なうと銅めっき被膜の溶解が懸念される。しかし、同様に、第2空送区域における基材の搬送時間を3分以下とすれば、銅めっき被膜の溶解を防止できると考えられる。
(比較例1)
めっき槽内の上流区域および下流区域で電解めっきを行ない、中間区域を空送区域とした。具体的な電流密度の条件は表2のとおりである。空送区域における基材の搬送時間は1.0分である。
その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に幅20mmの白曇りが生じた。これより、中間区域を空送区域とすると、銅めっき被膜に白曇りが生じることが確認された。
(比較例2)
めっき槽内の上流区域を電解区域とし、上流区域に続く下流区域を空送区域とした。なお、中間区域は設けていない。具体的な電流密度の条件は表3のとおりである。空送区域における基材の搬送時間は1.0分である。
その結果、厚さ0.5μmの銅めっき被膜を成膜できた。また、銅めっき被膜の縁部に幅16mmの白曇りが生じた。これより、上流区域に続く下流区域を空送区域とした場合にも、銅めっき被膜に白曇りが生じることが確認された。
1 銅張積層板
10 基材
11 ベースフィルム
12 金属層
13 下地金属層
14 銅薄膜層
20 銅めっき被膜
30 めっき槽
31 アノード
32、33 クランプ

Claims (2)

  1. ロールツーロールにより基材をめっき槽の上流端から下流端まで搬送しつつ、電解めっきにより該基材の表面に銅めっき被膜を成膜して銅張積層板を得るにあたり、
    前記めっき槽内の前記上流端を含む上流区域を無通電状態に設定した第1空送区域とし、前記上流区域に続く中間区域をアノードと前記基材との間に通電して電解めっきを行なう電解区域とし、残りの下流区域を無通電状態に設定した第2空送区域とし、
    前記第1空送区域および前記第2空送区域は、それぞれ、一または複数のアノードが配置された区域であり、該一または複数のアノードは電流密度が0A/dm に設定されている
    ことを特徴とする銅張積層板の製造方法。
  2. 前記第1空送区域における前記基材の搬送時間を0.1~3分とし、
    前記第2空送区域における前記基材の搬送時間を0.1~3分とする
    ことを特徴とする請求項1記載の銅張積層板の製造方法。
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