JP2022105168A - 接着状態の細胞培養物の改変方法 - Google Patents

接着状態の細胞培養物の改変方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着状態の細胞培養物を形成後に、接着状態の細胞培養物を構成する細胞の含有比率を変化させるように改変する方法を提供する。【解決手段】骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含むシート状細胞培養物の保存方法であって、シート状細胞培養物を、2~8℃で24~150時間、低栄養等張液に浸漬することを含み、それにより前記シート状細胞培養物を構成する骨格筋芽細胞の含有比率が増加し、低栄養等張液はハンクス平衡塩液である、前記方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、接着状態の細胞培養物を改変する方法、かかる改変を施すことを含むシート状細胞培養物を製造する方法などに関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患や拡張型心筋症などにより損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞等の利用が試みられている(非特許文献1~2)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(特許文献1、非特許文献2)。
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められており、その一部は臨床応用の段階に入っている。
低分子化合物を有効成分とする医薬品などの通常の医薬品の場合は、有効成分の修飾、賦形剤の添加、剤型の変更などにより、その薬効を改変することができる。しかしながら、シート状細胞培養物を含む医薬品の場合は通常の医薬品と異なり、このような改変を実施することは困難である。したがって、シート状細胞培養物を含む医薬組成物を製造するにあたっては、当該シート状細胞培養物を形成する段階において、より質の高いシート状細胞培養物を調製することが必要となり、このための試みは多くなされている(例えば特許文献2など)。一方で、シート状に形成された細胞培養物を、シート形成後にさらに改変する技術については、現在まで報告されていない。
特表2007-528755号公報 特開2010-226991号公報
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012 Feb;1(2):136-41 Sawa et al., Surg Today. 2012 Jan;42(2):181-4
本発明の目的は、接着状態の細胞培養物を形成後に、接着状態の細胞培養物を構成する細胞の含有比率を変化させるように改変する方法を提供することにある。
再生医療等に用いるシート状細胞培養物の場合、目的細胞以外の細胞は夾雑物と考えられるため、目的細胞の純度は高い方が望ましい。しかしこのような移植用のシート状細胞培養物は、拒絶反応の低減などのため、好ましくはレシピエントから組織片を採取して調製した自家細胞を用いて製造するため、目的細胞以外の細胞を完全に除去できない場合が多い。一方上述のとおり、シート状細胞培養物を製造後に細胞の純度を変化させる方法については知られておらず、したがって今までは可能な限り高い純度となるように調整した自家細胞を用いてシート状細胞培養物を製造することで、目的細胞の純度を高くしていた。
本発明者らは、骨格筋芽細胞のシート状細胞培養物を研究する中で、製造した骨格筋芽細胞のシート状細胞培養物を、ハンクス平衡塩液(HBSS)中に浸漬しておくと、混入している線維芽細胞の含有比率が減少し目的細胞である骨格筋芽細胞の含有比率が増加するという新たな知見を見出した。かかる知見に基づいて、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に下記に掲げるものに関する:
<1>接着状態の細胞培養物を改変する方法であって、少なくとも2種の細胞を含む接着状態の細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬することを含み、それにより前記接着状態の細胞培養物を構成する細胞種の含有比率を変化させることを特徴とする、前記方法。
<2>シート状細胞培養物が、骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含む、<1>の方法。
<3>改変が、線維芽細胞の含有率を低減させることである、<2>の方法。
<4>接着状態の細胞培養物が、シート状細胞培養物である、<1>~<3>の方法。
<5>シート状細胞培養物が、培養基材から剥離されたものである、<4>の方法。
<6>シート状細胞培養物が、剥離時に収縮するものである、<5>の方法。
<7>シート状細胞培養物が、剥離後に6cm以上の面積を有する、<5>または<6>の方法。
<8>シート状細胞培養物が、複数の単層シート状細胞培養物が積層されたものである、<4>~<7>の方法。
<9>低栄養等張液が、ハンクス平衡塩液である、<1>~<8>の方法。
<10>浸漬が、24~150時間行われる、<1>~<9>の方法。
<11>浸漬が、2~8℃で行われる、<1>~<10>の方法。
<12>(a)2種以上の細胞を含む細胞集団を、実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で培養基材に播種すること、
(b)播種した細胞集団をシート化培養してシート状細胞培養物を形成すること、および
(c)形成したシート状細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬すること
を含む、シート状細胞培養物の製造方法。
<13>工程(c)の前に
(c’)形成したシート状細胞培養物を剥離すること
を含む、<12>の方法。
<14>工程(c)の後に
(c’)形成したシート状細胞培養物を剥離すること
を含む、<12>の方法。
<15>(c)の工程において、シート状細胞培養物が剥離時に収縮する、<13>または<14>の方法。
<16>剥離したシート状細胞培養物が、6cm以上の面積を有する、<13>~<15>の方法。
<17>(c)の後に
(c-2)剥離したシート状細胞培養物を積層すること
をさらに含む、<13>~<16>の方法。
<18>(a)目的細胞を含む細胞集団を、実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で培養基材に播種すること、
(b)播種した細胞集団をシート化培養してシート状細胞培養物を形成すること、
(c)形成したシート状細胞培養物を剥離すること、および
(d)剥離したシート状細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬すること
を含む、シート状細胞培養物の製造方法。
本発明により、シート状に形成するなど、接着状態の細胞培養物とした後に、該接着状態の細胞培養物をさらに改変して品質を向上させることが可能となる。このため、従来の製造方法により製造されたシート状細胞培養物などの品質をさらに向上させることが可能となり、また従来では品質不十分とされるべきシート状細胞培養物などであっても、調製後に十分な品質まで向上させることが可能となるため、時間や材料の無駄をなくし、レシピエントの負担も軽減することが可能となる。また、改変の手段自体は非常に簡便であり、様々な接着状態の細胞培養物に汎用的に用いることができる。
図1は、ヒト骨格筋芽細胞およびヒト線維芽細胞を含むシート状細胞培養物を、HBSS(+)中に冷蔵条件で浸漬した際の、24時間ごとの骨格筋芽細胞の純度の変化を示すグラフである。図中、CD56陽性細胞は骨格筋芽細胞を意味する。浸漬開始から純度が上昇し始め、48時間ほどで約90%の純度となり、その後浸漬開始から約6日後までその純度を保つことができた。 図2は、ヒト骨格筋芽細胞およびヒト線維芽細胞のHBSS(+)懸濁液を冷蔵条件で保存した際の、骨格筋芽細胞の純度の変化を示すグラフである。保存開始から3日後において、骨格筋芽細胞の純度に変化はなかった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
本発明において、「接着状態の細胞培養物を改変する」とは、接着状態の細胞培養物の構造、機能、特性などを、処理前と比較して変化させることを意味する。「改変」には、悪い方向に変化させることを含み得るが、好ましくは良い方向、すなわちシート状細胞培養物の使用目的にとってより好適となるように変化させる。
本発明において「接着状態の細胞培養物」とは、細胞が、他の細胞または基材と接着することにより形成される細胞培養物をいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。接着状態の細胞培養物には、基材と接着した状態の細胞培養物、基材から遊離した状態で細胞同士が接着した状態の細胞培養物、基材に接着した状態で細胞同士が接着した状態の細胞培養物を含む。接着状態の細胞培養物としては、これに限定するものではないが、例えばシート状細胞培養物、細胞凝集体、胚様体、スフェロイドなどが挙げられ、好ましくはシート状細胞培養物である。一態様において、接着状態の細胞培養物は基材と接着した状態のシート状細胞培養物を含む。別の一態様において、接着状態の細胞培養物は、基材から遊離されたされた状態の細胞培養物を含み、これに限定するものではないが、例えば基材から剥離されたシート状細胞培養物、浮遊培養された胚様体、スフェロイドなどである。
本発明において「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層(多層)体、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。
シート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明におけるシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができるものであってもよい。また、シート状細胞培養物は、好ましくは、細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
接着状態の細胞培養物、好ましくはシート状細胞培養物を構成する細胞は、接着状態の細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、接着細胞(付着性細胞)を含む。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞、特にiPS細胞から分化させたもの(iPS細胞由来接着細胞)であってもよい。接着状態の細胞培養物を構成する細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。iPS細胞由来接着細胞の非限定例としては、iPS細胞由来の心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞などが挙げられる。
接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を構成する細胞は、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯目動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギなどが含まれる。また、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を構成する細胞の種類の数は特に限定されず、通常は1種類のみであってもよいが、本発明の接着状態の細胞培養物は2種類以上の細胞を用いたものであり、好ましくは2種類である。接着状態の細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の含有比率(純度)は、接着状態の細胞培養物の形成終了時において、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上である。
接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を形成する細胞は異種由来細胞であっても同種由来細胞であってもよい。ここで「異種由来細胞」は、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物が移植に用いられる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、サルやブタに由来する細胞などが異種由来細胞に該当する。また、「同種由来細胞」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト細胞が同種由来細胞に該当する。同種由来細胞は、自己由来細胞(自己細胞または自家細胞ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する細胞と、同種非自己由来細胞(他家細胞ともいう)を含む。自己由来細胞は、移植しても拒絶反応が生じないため、特に移植に用いる場合には好ましい。しかしながら、異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用することも可能である。異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用する場合は、拒絶反応を抑制するため、免疫抑制処置が必要となることがある。なお、本明細書中で、自己由来細胞以外の細胞、すなわち、異種由来細胞と同種非自己由来細胞を非自己由来細胞と総称することもある。本発明の一態様において、細胞は自家細胞または他家細胞である。本発明の一態様において、細胞は自家細胞である。本発明の別の態様において、細胞は他家細胞である。
シート状細胞培養物は、既知の任意の方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特開2010-081829、特開2011-110368など参照)で製造することができる。シート状細胞培養物の製造方法は、典型的には、細胞を培養基材上に播種するステップ、播種した細胞をシート化するステップ、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離するステップを含むが、これに限定されない。細胞を培養基材上に播種するステップの前に、細胞を凍結するステップおよび細胞を解凍するステップを行ってもよい。さらに、細胞を解凍するステップの後に細胞を洗浄するステップを行ってもよい。これら各ステップは、シート状細胞培養物の製造に適した既知の任意の手法で行うことができる。本発明の製造方法は、シート状細胞培養物を製造するステップを含んでもよく、その場合、シート状細胞培養物を製造するステップは、サブステップとして上記シート状細胞培養物の製造方法に係るステップの1または2以上を含んでもよい。ある一態様において、細胞を解凍するステップの後、細胞を培養基材上に播種するステップの前に細胞を増殖させるステップを含まない。
「等張」という語は、二種の液体の浸透圧が同等である状態を意味するが、本発明においては別段の記載のない限り「生理的等張」を意味し、細胞内液や血液などの生理的液体と同等の浸透圧を有することをいう。したがって本発明において、「等張液」は別段の記載のない限り「生理的等張液」と同義であり、細胞内液や血液などの生理的液体と同等の浸透圧を有する液体を意味する。等張液としては、これに限定するものではないが、例えばハンクス平衡塩液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、基礎培地などが挙げられる。
本発明において、「低栄養」または「低栄養状態」とは、その条件下におかれた細胞集団の細胞数が、所定の期間増殖も死滅もせず維持される条件であること、すなわち所定の期間細胞数が実質的に変化しない条件であることを意味する。「細胞数が実質的に変化しない」とは、ある時点における細胞数Aと、所定の期間経過後の別の時点における細胞数Bに実質的な差がないことを意味し、具体的には、例えば細胞数Aが細胞数Bの約70%、約80%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約120%、約130%などである場合が挙げられる。2つの時点は任意に選択されてよいが、通常の培養条件下で培養した場合には細胞の増殖が確認できる程度の間隔が空いていることが好ましい。かかる間隔としては、例えば3日、4日、5日、6日、7日などである。
低栄養状態は、様々な条件により達成でき、当業者であれば対象の細胞に合わせて適宜低栄養状態を作り出すことができる。低栄養状態の要件としては、典型的には例えば、細胞の生命維持に必要なエネルギーは供給可能であること、および/または細胞の分裂に必要な要素に欠けていること、などが挙げられる。具体的には例えば、代謝に必要な糖分などのエネルギーが供給可能である環境、および/または細胞分裂に必要な必須アミノ酸が供給不可能である環境などが挙げられる。
一態様において、低栄養は、低糖である。「低糖」とは糖が含まれてはいるがその割合が低い状態を意味し、したがって低糖には糖フリー状態は含まれない。かかる態様の例としては、具体的には例えば、低糖は低グルコースであり、低グルコースはグルコースフリーではない。低糖としては、典型的には例えば、糖が1000mg/L未満含まれる組成などが挙げられる。別の低糖条件の液としては、例えば、追加の糖類を含まない一般的な培養液における糖類の条件と比較して含有される糖類を1%未満まで低下させた条件などが含まれる。低糖状態の液に含まれる糖の量としては、具体的には例えば1000mg/L未満であり、好ましくは500mg/L未満であり、より好ましくは200mg/L未満であり、さらに好ましくは100mg/mL未満である。
別の一態様において、低栄養は、アミノ酸フリー状態、すなわちアミノ酸を含まない。かかる態様の例としては、具体的には例えば、必須アミノ酸を含まない。
本発明において「低栄養等張液」とは、等張液のうち低栄養のものを意味する。典型的には例えば、所定量の炭水化物を含む等張液および/または必須アミノ酸を供給できない等張液であり、具体的には例えば、所定量の糖を含むがアミノ酸(とくに必須アミノ酸)を含まない等張液、所定量の糖および必須アミノ酸の合成阻害剤を含む等張液などが挙げられる。低栄養等張液に含まれ得る炭水化物は、典型的には糖であり、これに限定するものではないが、例えばグルコース、ショ糖、マルトース、フルクトース、ガラクトースなどが挙げられ、対象の細胞種などに応じて適宜選択することができる。糖の所定含有量は、含まれる糖の種類や細胞の必要維持期間(浸漬時間)により異なり得る。例えばグルコースの場合、細胞の生命維持の必要量という観点から、例えば約100mg/L以上、約500mg/L以上、約1000mg/L以上、約1500mg/L以上、約2000mg/L以上などが挙げられる。また、等張性の維持という観点から、例えば約50000mg/L以下、約40000mg/L以下、約30000mg/L以下、約25000mg/L以下、約20000mg/L以下、約15000mg/L以下、約10000mg/L以下、約5000mg/L以下、約4500mg/L以下などが挙げられる。したがってグルコースの含有量の範囲としては、これら上限値および下限値の任意の組み合わせであってよく、これに限定するものではないが、例えば約100~500000mg/L、約500~25000mg/L、約500~4500mg/L、約1500~4500mg/L、約500~1500mg/Lの範囲などが挙げられる。当業者であれば、含まれる糖の種類に従って所定の含有量を算出可能である。
低栄養等張液としては、例えばハンクス平衡塩液、アール平衡塩液、ブドウ糖等張液など、所定量の糖を含み、かつアミノ酸を含まない組成として知られる等張液の他、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液などの、炭水化物およびアミノ酸を含まない組成として知られる等張液に、所定量の炭水化物を添加したものであってもよい。所定量の炭水化物としては、例えばハンクス平衡塩液やアール平衡塩液であれば一般的に1000~4500mg/Lのグルコースを含有し、ブドウ糖等張液であれば約50000mg/Lのグルコースを含有する。一態様において、低栄養等張液には、UW液、Euro-Collins液、Hypothermosol(登録商標)など、従来臓器の冷蔵保存用溶液として知られた保存液は含まない。
本発明の低栄養等張液は、乳酸を含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、乳酸を含まない。また、本発明の低栄養等張液は、ピルビン酸を含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、ピルビン酸を含まない。また、本発明の低栄養等張液は、アスコルビン酸を含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、アスコルビン酸を含む。また、本発明の低栄養等張液は、脂肪酸を含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、脂肪酸を含まない。また、本発明の低栄養等張液は、カルシウムを含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、カルシウムを含み、好ましくは約1~2mM、より好ましくは約1.2~1.8mMの濃度のカルシウムを含む。また、本発明の低栄養等張液は、コレステロールを含んでもよい。したがって本発明の一態様において、低栄養等張液は、コレステロールを含まない。好ましい一態様において、低栄養等張液は、乳酸、ピルビン酸、脂肪酸およびコレステロールを含まず、アスコルビン酸を含み、カルシウムを約1~2mM、好ましくは約1.2~1.8mMの濃度で含む。
本明細書において、「炭水化物」とは、単糖を構成単位とする有機化合物の総称であり、単糖類、少糖類、多糖類のほか、糖誘導体なども包含する。本明細書において「糖」または「糖分」という語は、炭水化物のうち、細胞により代謝されてエネルギーに変換されるものまたは成分をいい、典型的には単糖類を表すが、系中で分解されて細胞に代謝され得るものも含まれる。
本発明は一側面において、少なくとも2種の細胞を含む接着状態の細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬することを含む、接着状態の細胞培養物を改変する方法に関する。
本発明者らにより、2種以上の細胞を含む接着状態の細胞培養物、例えば骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含むシート状細胞培養物、をハンクス平衡塩液などの低栄養等張液に浸漬しておくと、接着状態の細胞培養物を構成する各細胞種の含有比率に変化が生じ、それにより接着状態の細胞培養物を改変することができることが見出された。下記実施例において示されるとおり、含有比率の変化は懸濁液状態の細胞混合物においては生じない現象であり、接着状態の細胞培養物に特有の現象である。
本発明の方法により接着状態の細胞培養物が改変される理由は明らかになっていないが、その理由としては、理論に拘束されるものではないが、接着状態の細胞培養物とすることによって浮遊細胞の状態よりも細胞の生存性が向上し、低栄養等張液に浸漬しておくことによって、生存のためにより多くの栄養を必要とする細胞が死にやすくなることにより、混合された細胞ごとに細胞の減少率が変化し、所定の期間の浸漬によって生存細胞数の差が顕著なものとなるため、などが考えられる。
本発明の方法に用いる接着状態の細胞培養物は、少なくとも2種の細胞を含むものである。接着状態の細胞培養物に含まれる細胞としては、上記接着状態の細胞培養物を構成する細胞として当該技術分野において知られた細胞のうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、シート状細胞培養物に含まれる全ての細胞が、上記シート状細胞培養物を構成する細胞として当該技術分野において知られた細胞から選択される。
本発明の接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、種々の疾患、特に組織の異常に関連する疾患の処置に有用である。したがって、一態様において、接着状態の細胞培養物は、組織の異常に関連する疾患の処置に用いるためのものである。処置の対象となる組織としては、限定されずに、例えば、心筋、角膜、網膜、食道、皮膚、関節、軟骨、肝臓、膵臓、歯肉、腎臓、甲状腺、骨格筋、中耳、骨髄、胃、小腸、十二指腸、大腸などの消化管などが挙げられる。また、処置の対象となる疾患としては、限定されずに、例えば、心疾患(例えば、心筋傷害(心筋梗塞、心外傷)、心筋症など)、角膜疾患(例えば、角膜上皮幹細胞疲弊症、角膜損傷(熱・化学腐食)、角膜潰瘍、角膜混濁、角膜穿孔、角膜瘢痕、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡など)、網膜疾患(例えば、網膜色素変性症、加齢黄斑変性症など)、食道疾患(例えば、食道手術(食道ガン除去)後の食道の炎症・狭窄の予防など)、皮膚疾患(例えば、皮膚損傷(外傷、熱傷)など)、関節疾患(例えば、変形性関節炎など)、軟骨疾患(例えば、軟骨の損傷など)、肝疾患(例えば、慢性肝疾患など)、膵臓疾患(例えば、糖尿病など)、歯科疾患(例えば、歯周病など)、腎臓疾患(例えば、腎不全、腎性貧血、腎性骨異栄養症など)、甲状腺疾患(例えば、甲状腺機能低下症など)、筋疾患(例えば、筋損傷、筋炎など)、中耳疾患(例えば、中耳炎など)、骨髄疾患(例えば、白血病、再生不良性貧血、免疫不全疾患など)が挙げられる。
接着状態の細胞培養物は、処置の対象となる組織に適用し、これを修復、再生するために使用することもできるが、ホルモンなどの生理活性物質の供給源として、処置の対象となる組織以外の部位(例えば、皮下組織など)に移植することもできる。
接着状態の細胞培養物は、細胞培養物を含む医薬組成物の製造に使用することができる。かかる医薬組成物は、種々の追加成分、例えば、薬学的に許容し得る担体や、細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを含んでいてもよい。かかる追加成分としては、既知の任意のものを使用することができ、当業者はこれらの追加成分について精通している。また、医薬組成物は、接着状態の細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などと併用することができる。
本発明の一態様において、接着状態の細胞培養物は、心疾患の処置のために用いられる接着状態の細胞培養物である。心疾患の処置のために用いられる接着状態の細胞培養物としては、これに限定するものではないが、例えば骨格筋芽細胞を含むシート状細胞培養物、心筋細胞を含むシート状細胞培養物、血管内皮細胞を含むシート状細胞培養物、間葉系幹細胞を含むシート状細胞培養物などが挙げられる。好ましくは、骨格筋芽細胞を含むシート状細胞培養物、心筋細胞を含むシート状細胞培養物および血管内皮細胞を含むシート状細胞培養物である。
骨格筋芽細胞(目的細胞)を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物に含まれ得る他の構成細胞としては、例えば線維芽細胞、血管内皮細胞、および/またはそれらに分化し得る細胞(例えば幹細胞、前駆細胞)などが挙げられる。心筋細胞(目的細胞)を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物に含まれ得る他の構成細胞としては、例えば血管内皮細胞、平滑筋細胞、および/またはそれらに分化し得る細胞(例えば幹細胞、前駆細胞)などが挙げられる。血管内皮細胞(目的細胞)を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物に含まれ得る他の構成細胞としては、例えば骨格筋芽細胞、線維芽細胞、心筋細胞および/またはそれらに分化し得る細胞(例えば幹細胞、前駆細胞)などが挙げられる。間葉系幹細胞(目的細胞)を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物に含まれ得る他の構成細胞としては、例えば前駆細胞、脂肪細胞、マクロファージ、血管内皮細胞などが挙げられる。ここで、「目的細胞」は、本発明の接着状態の細胞培養物において、主要な構成細胞を意味し、特に疾患の処置のために用いられる細胞培養物においては、疾患の処置に有用な細胞を意味する。
本発明の方法によれば、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物中の他の構成細胞の数を減少させることにより、目的細胞の純度を高めることができる。したがって本発明の方法により、目的細胞の純度の高い接着状態の細胞培養物を提供することが可能となる。例えば骨格筋芽細胞と繊維芽細胞を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物の場合、本発明の方法を用いることで、線維芽細胞の含有量を低減させ、骨格筋芽細胞の純度を高めることができる。
本発明の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含む。別の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞、線維芽細胞および間葉系幹細胞を含む。さらに好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞および線維芽細胞ならびに骨格筋芽細胞または線維芽細胞から分化した細胞以外の細胞を含まない。本発明の別の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、心筋細胞および血管内皮細胞を含む。さらに好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、心筋細胞および血管内皮細胞ならびに血管内皮細胞から分化した細胞以外の細胞を含まない。本発明の別の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞、線維芽細胞および血管内皮細胞を含む。さらに好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞、線維芽細胞および血管内皮細胞ならびに骨格筋芽細胞、線維芽細胞または血管内皮細胞から分化した細胞以外の細胞を含まない。
本発明の別の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物は、間葉系幹細胞および該間葉系幹細胞の夾雑細胞を含む。ここで「間葉系幹細胞の夾雑細胞」は、間葉系幹細胞を獲得する際に混入する間葉系幹細胞以外の細胞を意味する。間葉系幹細胞の夾雑細胞は、間葉系幹細胞の由来により異なり、当業者であれば由来組織により、混入する夾雑細胞の種類を容易に理解できる。間葉系幹細胞の由来としては、例えば骨髄、脂肪組織、臍帯、臍帯血、末梢血、歯髄組織、胎盤、滑膜組織、歯周靭帯、真皮組織、子宮内膜、壁側脱落膜などが知られており、間葉系幹細胞の夾雑細胞としては、例えば骨髄由来であれば前駆細胞、脂肪細胞、マクロファージ、血管内皮細胞など、脂肪組織由来であれば前駆細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞などが挙げられる。
一態様において、本発明は骨格筋芽細胞と線維芽細胞を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物において、線維芽細胞の含有量が減少し、骨格筋芽細胞の純度が向上した接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を提供する。本発明は心筋細胞とそれ以外の細胞を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物において、心筋細胞以外の細胞の含有量が減少し、心筋細胞の純度が向上した接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を提供する。心筋細胞以外の細胞の非限定例としては、多能性幹細胞、iPS細胞、iPS細胞に由来する未分化細胞などが挙げられる。本発明は心筋細胞と血管内皮細胞とそれ以外の細胞を含む接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物において、心筋細胞および血管内皮細胞以外の細胞の純度が減少し、心筋細胞と血管内皮細胞の純度が向上した接着状態の細胞培養物、特にシート状細胞培養物を提供する。心筋細胞および血管内皮細胞以外の細胞の非限定例としては、多能性幹細胞、iPS細胞、iPS細胞に由来する未分化細胞が挙げられる。
本発明の一態様において、接着状態の細胞培養物は、iPS細胞を含む多能性幹細胞から分化誘導された細胞を含む。かかる態様においては、多能性幹細胞から分化誘導細胞(例えば心筋細胞など)を得る際に未分化細胞が残存してしまい、この残存未分化細胞は腫瘍化などのリスクがあるため好ましくない場合がある。しかしながら本発明の方法によれば、かかる残存未分化細胞の含有率を低減させることが可能となる。また、浸漬時間などを調整することにより、目的細胞(例えば心筋細胞)の含有率を所望の範囲に設定することが可能となる。
本発明の好ましい一態様において、接着状態の細胞培養物は、iPS細胞から分化誘導された心筋細胞を含む。かかる態様において、接着状態の細胞培養物に含まれる他の細胞としては、例えばiPS細胞から分化誘導された内皮細胞、壁細胞などの血管構成細胞などが挙げられる。一態様において、接着状態の細胞培養物は、30~70%のiPS由来心筋細胞(目的細胞)、0.1~20%のiPS細胞由来血管内皮細胞、1~40%のiPS細胞由来血管壁細胞を含む細胞培養物、好ましくはシート状細胞培養物である。かかる接着状態のiPS細胞由来心筋細胞培養物の場合、低栄養等張液に浸漬することにより、目的細胞である心筋細胞以外の細胞数が減少し、結果として心筋細胞の含有率が向上する結果となる。
本態様のiPS細胞由来心筋細胞培養物は、心筋細胞を約5.0×10個/cm以上、好ましくは約1.0×10個/cm以上含み得る。また別の態様では、心筋細胞を約5.0×10個/cm以下、好ましくは約2.0×10個/cm以下、より好ましくは約1.0×10個/cm以下含み得る。したがって本発明の接着状態の細胞培養物に含まれ得る心筋細胞の数としては、上記の上限値および下限値の任意の組み合わせであり得、例えば5.0×10個/cm~5.0×10個/cm、好ましくは1.0×10個/cm~2.0×10個/cmなどであってよく、また別の態様においては1.0×10個/cm~1.0×10個/cmなどであってよい。
本発明の好ましい一態様において、低栄養等張液は、ハンクス平衡塩液である。ハンクス平衡塩液は、グルコースを1000mg/Lの濃度で含む等張液として、その組成が当該技術分野において公知である。ハンクス平衡塩液には、マグネシウムやカルシウムなどの2価のカチオンを含むHBSS(+)およびそれらを含まないHBSS(-)があるが、本発明においてより好ましくはHBSS(+)である。HBSS(+)の典型的な組成は、塩化カルシウム(無水) 140mg/L、塩化マグネシウム(6水和物) 100mg/L、硫酸マグネシウム(7水和物) 100mg/L、塩化カリウム 400mg/L、リン酸二水素カリウム 60mg/L、炭酸水素ナトリウム 350mg/L、塩化ナトリウム 8000mg/L、リン酸水素ナトリウム 48mg/L、グルコース 1000mg/Lである。
本発明の低栄養等張液は、接着状態の細胞培養物に悪影響を与えない程度の追加の成分を含んでよい。追加の成分としては、これに限定するものではないが、例えばラジカルスカベンジャーなどが挙げられる。本発明の低栄養等張液に用い得るラジカルスカベンジャーとしては、具体的には例えばビタミンCやビタミンEなどのビタミン、エダラボンなどが挙げられる。
接着状態の細胞培養物を浸漬する際の温度は、接着状態の細胞培養物に損傷を与えない範囲で、適宜選択することができる。一態様において、浸漬は室温で行われる。また別の一態様において、浸漬は冷蔵条件、例えば約2℃~8℃で行われる。したがって浸漬時の温度条件の非限定例としては、約2~40℃、約2~35℃、約2~30℃、約2~25℃、約2~20℃、約2~15℃、約2~10℃、約2~8℃、約2~4℃、約8~40℃、約10~40℃、約15~40℃、約20~40℃、約25~40℃、約30~40℃、約35~40℃、約8~35℃、約8~30℃、約8~25℃、約15~40℃などが挙げられる。浸漬時間が長くなる場合、接着状態の細胞培養物への損傷を低減できるという観点から、冷蔵条件が好ましい。
接着状態の細胞培養物の浸漬時間は、接着状態の細胞培養物に損傷を与えない範囲であれば特に限定されない。しかしながら、浸漬する液が低栄養であるため、あまり長時間の浸漬は好ましくない。したがって浸漬時間の上限は、これに限定するものではないが、例えば2日(48時間)以下、3日(72時間)以下、100時間以下、5日(120時間)以下、150時間以下、1週間(168時間)以下、200時間以下などが挙げられる。また、浸漬による接着状態の細胞培養物の改変の効果が発揮されるために必要な時間以上浸漬しておく必要があるため、浸漬時間の下限は、これに限定するものではないが、例えば48時間以上、24時間以上、12時間以上、10時間以上、8時間以上、6時間以上、4時間以上などが挙げられる。したがって接着状態の細胞培養物の浸漬時間の範囲としては、これら上限値および下限値の任意の組み合わせであってよく、これに限定するものではないが、例えば4~200時間、6~200時間、8~200時間、10~200時間、12~200時間、24~200時間、48~200時間、4~168時間、6~168時間、8~168時間、10~168時間、12~168時間、24~168時間、48~168時間、4~150時間、6~150時間、8~150時間、10~150時間、12~150時間、24~150時間、48~150時間、48~144時間、4~120時間、6~120時間、8~120時間、10~120時間、12~120時間、24~120時間、48~120時間、4~100時間、6~100時間、8~100時間、10~100時間、12~100時間、24~100時間、48~100時間、4~72時間、6~72時間、8~72時間、10~72時間、12~72時間、24~72時間、4~48時間、6~48時間、8~48時間、10~48時間、12~48時間、24~48時間などが挙げられる。
接着状態の細胞培養物の低栄養等張液への浸漬において、上述の浸漬における条件の任意の組み合わせであってよい。浸漬の条件は、浸漬する接着状態の細胞培養物および低栄養等張液の種類により変化し得、当業者であれば至適な条件を適宜選択することができる。例えば骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含むシート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬する場合の非限定例としては、約2~8℃で、ハンクス平衡塩液に約4~200時間程度、約2~8℃で、ハンクス平衡塩液に約8~150時間程度、約2~8℃で、ハンクス平衡塩液に約12~120時間程度、約2~8℃で、ハンクス平衡塩液に約24~72時間程度、約15~30℃で、ハンクス平衡塩液に約4~200時間程度、約15~30℃で、ハンクス平衡塩液に約8~150時間程度、約15~30℃で、ハンクス平衡塩液に約12~120時間程度、約15~30℃で、ハンクス平衡塩液に約24~72時間程度、約2~8℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約4~200時間程度、約2~8℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約8~150時間程度、約2~8℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約12~120時間程度、約2~8℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約24~72時間程度、約15~30℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約4~200時間程度、約15~30℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約8~150時間程度、約15~30℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約12~120時間程度、約15~30℃で、グルコース濃度4500mg/Lの低栄養等張液に約24~72時間程度などが挙げられる。これにより、シート状細胞培養物中の骨格筋芽細胞の含有率(純度)が向上し、シート状細胞培養物の移植による心臓疾患の処置においてより好ましいシート状細胞培養物となる。
一態様において、接着状態の細胞培養物は、シート状細胞培養物である。該シート状細胞培養物は、一態様において、培養基材上で形成された後、剥離されずに低栄養等張液に浸漬される。この場合、剥離時に用いる媒体として低栄養等張液を用いることができる。かかる態様の具体例としては、例えば培養基材上で形成されたシート状細胞培養物に低栄養等張液を加えて浸漬させてそのまま冷却されるか、または冷却した低栄養等張液を加え、剥離した後そのまま浸漬された後、回収されて使用に供される。
一態様において、接着状態の細胞培養物が形成される途中の段階で、低栄養等張液に浸漬される。この場合、形成途中の段階で通常の培養条件から低栄養状態へと変更されてもよいし、形成開始時点で、低栄養状態で培養開始されてもよい。また低栄養等張液に一定時間浸漬した後、浸漬後低栄養状態から通常の培養条件へと変更される。通常の培養条件と低栄養状態との切替えは、例えば低栄養等張液に、例えば糖やアミノ酸などの欠乏成分を添加することにより達成してもよいし、液交換により達成してもよい。
別の一態様において、接着状態の細胞培養物は、シート状細胞培養物であり、該シート状細胞培養物は、培養基材上で形成された後、培養基材から剥離され、剥離後に低栄養等張液に浸漬される。シート状細胞培養物は、培養基材から剥離されるとある程度収縮することが知られている。かかる収縮の程度は、シート状細胞培養物を構成する細胞種や含有比率、形成条件などにより異なる。例えば骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含む細胞集団を、本願発明のシート形成培養を用いて形成した場合、その収縮割合としては、例えばシートの径が約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%程度となる。本発明の一態様において、剥離された(すなわち収縮した)シート状細胞培養物は、その面積が約1cm以上、約3cm以上、好ましくは約6cm以上、さらに好ましくは約10cm以上であり得る。
本発明の一態様において、シート状細胞培養物は、複数の単層シート状細胞培養物が積層されたものである。かかる積層されたシート状細胞培養物は、剥離された単層のシート状細胞培養物を重ね合わせることで形成し得る。シート状細胞培養物は、単層シート状細胞培養物の状態で低栄養等張液に浸漬した後、重ね合わせて積層体としてもよいし、単層シート状細胞培養物を重ね合わせて積層体とした後、低栄養等張液に浸漬してもよい。
本発明の一側面において、シート状細胞培養物を製造する方法が提供される。
本発明のシート状細胞培養物の製造方法は、以下の工程(a)~(d)を含む:
(a)目的細胞を含む細胞集団、好ましくは2種以上の細胞を含む細胞集団を、実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で培養基材に播種する工程、
(b)播種した細胞集団をインキュベートしてシート状細胞培養物を形成する工程、および
(c)形成したシート状細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬する工程。
工程(a)において、播種される細胞集団には、上記シート状細胞培養物を構成する細胞から選択される1種以上の細胞が含まれ、好ましくは上記シート状細胞培養物を形成する細胞から選択される2種以上の細胞からなる。シート状細胞培養物を形成する2種類以上の細胞のうち、最も多い細胞の含有比率(純度)は、シート状細胞培養物の形成終了時において、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上である。一態様において、本発明の製造方法は、細胞を播種する前に、細胞集団を凍結する工程および該凍結細胞集団を解凍する工程を含む。前記態様において、解凍して得られた細胞集団は、その後細胞を増殖させたうえで播種してもよいが、好ましい一態様において、凍結細胞集団を解凍する工程と工程(a)との間に細胞を増殖させる工程を含まない。かかる態様で製造されたシート状細胞培養物は、凍結細胞集団を解凍する工程と工程(a)との間に細胞を増殖させる工程を含む態様で製造されたシート状細胞培養物より、例えば、サイトカイン産生能、生着能、血管誘導能および組織再生能などの活性が高い。ここで、活性が高いとは、比較対象のシート状細胞培養物の活性を基準として、限定されずに、例えば、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または100%以上、活性が高いことを意味する。好ましい一態様において、本発明の骨格筋芽細胞を含むシート状細胞培養物は、骨格筋芽細胞を60%~99%含む。別の好ましい一態様において、本発明の心筋細胞を含むシート状細胞培養物は、50%~70%の心筋細胞を含む。
本発明の一態様において、播種される細胞集団として、iPS細胞などの多能性幹細胞から分化誘導された細胞を含む細胞集団を用いることができる。かかる態様においては、多能性幹細胞から分化誘導細胞(例えば心筋細胞など)を得る際に未分化細胞が残存してしまい、この残存未分化細胞は腫瘍化などのリスクがあるため好ましくない場合がある。しかしながら本発明の方法によれば、かかる残存未分化細胞の含有率を低減させることが可能となる。また、浸漬時間などを調整することにより、目的細胞(例えば心筋細胞)の含有率を所望の範囲に設定することが可能となる。
本発明の一態様において、播種される細胞集団は、上記接着状態の細胞培養物を構成する細胞から選択される1種以上の細胞、好ましくは上記接着状態の細胞培養物を構成する細胞から選択される2種以上の細胞を含む、接着状態の細胞培養物または該接着状態の細胞培養物から調製された細胞集団であってよい。すなわち、播種される細胞集団としては、スフェロイド、胚様体そのものの他、これらの細胞凝集体を分散させることにより得られた細胞集団であってもよい。かかる態様においては、後述する(b)のシート化工程とは別に、播種するためのスフェロイドや胚様体を形成するための細胞間接着を形成する工程を含み得る。スフェロイドや胚様体などの接着状態の細胞培養物を形成するための条件としては、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。かかる方法の非限定例としては、例えばMiki et al., Cell Stem Cell 16, 699-711, June 4, 2015、WO2014/185358、WO2017/038562などに記載の方法などが挙げられる。
本発明の製造方法により製造されるシート状細胞培養物は、好ましくは心疾患の処置のために用いられるシート状細胞培養物である。したがって、本発明の好ましい一態様において、播種される細胞集団は、骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含む。本発明の別の好ましい一態様において、播種される細胞集団は、心筋細胞および血管内皮細胞を含む。本発明の別の好ましい一態様において、播種される細胞集団は、骨格筋芽細胞、線維芽細胞および血管内皮細胞を含む。
「実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」とは、成長因子を実質的に含まない非増殖系の培養液で培養した場合に、シート状細胞培養物を形成することができる細胞密度を意味する。この播種密度は、成長因子を含む培養液を用いる手法におけるものよりも高いものであり、細胞がコンフルエントに達する密度以上であってもよい。かかる密度としては、これに限定するものではないが、例えば、1.0×10個/cm以上である。播種密度の上限は、細胞培養物の形成が損なわれず、細胞が分化に移行しなければ特に制限されないが、例えば、3.4×10個/cm未満であってもよい。一態様において、「細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」は、細胞がコンフルエントに達する密度もしくはそれ以上、または、コンフルエント密度以上である。
「細胞が実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度」は、ある態様では1.0×10~3.4×10個/cm、別の態様では3.0×10~3.4×10個/cm、さらに別の態様では3.5×10~3.4×10個/cm、さらに別の態様では1.0×10~3.4×10個/cm、さらに別の態様では3.0×10~1.7×10個/cm、別の態様では3.5×10~1.7×10個/cm、さらに別の態様では1.0×10~1.7×10個/cmである。上記範囲は、上限が3.4×10個/cm未満である限り、上限および下限の両方、または、そのいずれか一方を含んでもよい。したがって、上記密度は、例えば、3.0×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、3.5×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、1.0×10個/cm以上3.4×10個/cm未満(下限を含み、上限は含まない)、1.0×10個/cm超3.4×10個/cm未満(下限も上限も含まない)、1.0×10個/cm超1.7×10個/cm以下(下限は含まないが、上限は含む)であってもよい。
培養基材は、細胞がその上でシート状細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、当該技術分野において通常用いられるものを用い得る。かかる基材としては、これに限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられる。培養基材には、培養容器の一面(例えば容器の底面)の他、細胞培養用スキャフォールドの表面などが含まれ得る。
培養基材の表面は、細胞接着性を高めるための加工、剥離を容易にするための加工などを含む、シート状細胞培養物の製造において有利となるような加工が施されていてもよい。このような加工としては、これに限定するものではないが、例えばコロナ放電処理、紫外線照射処理、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物によるコーティング、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などによるコーティング、例えば温度や光などの刺激に応答して物性が変化する材料によるコーティングなどが挙げられる。
温度や光などの刺激に応答して物性が変化する材料としては、これに限定するものではないが、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N-アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N-エチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N-エトキシエチルアクリルアミド、N-エトキシエチルメタクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N-ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1-(1-オキソ-2-プロペニル)-ピロリジン、1-(1-オキソ-2-プロペニル)-ピペリジン、4-(1-オキソ-2-プロペニル)-モルホリン、1-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-ピロリジン、1-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-ピペリジン、4-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN-イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2-211865、特開2003-33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。温度応答性材料で被覆された培養皿は市販されており(例えばUpCell(R)、セルシード)、これらを本発明の製造方法に使用することができる。
上記培養基材は、種々の形状であってもよく、任意の大きさおよび形状の容器で行うことができるが、平坦であることが好ましい。また、その面積は特に限定されないが、典型的には、約1cm~約200cm、好ましくは約2cm~約100cm、より好ましくは約3cm~約50cmである。
工程(b)において、播種した細胞集団をシート化培養することでシート状細胞培養物を形成する。「シート化培養」は、培養基材に播種した細胞を、シート状細胞培養物を形成する(すなわち、シート化する)ように培養することを意味する。シート化培養は、典型的には、培養基材にシート状細胞培養物を形成し得る細胞を播種し、所定の期間シート状細胞培養物を形成する条件下で培養して細胞同士を相互作用させ、細胞同士を連結させることにより行う。培養される期間は、シート状細胞培養物が形成されるのに十分な期間であれば特に限定されない。播種される細胞集団に未分化細胞が含まれる場合、所定の期間は、好ましくは細胞が分化に移行しない期間内である。したがって、この態様において、細胞は、培養期間中、未分化の状態に維持される。細胞の分化への移行は、当業者に知られた任意の方法で評価することができる。例えば、骨格筋芽細胞の場合は、MHCの発現や、細胞の多核化を分化の指標とすることができる。
シート状細胞培養物を形成する条件は、細胞と基材との接着や細胞間接着を形成することができる任意の条件を含み、これには、限定されずに、例えば、一般的な細胞培養条件が含まれる。かかる条件としては、例えば、37℃、5%COでの培養が挙げられる。したがってシート化のプロセスは常温下(例えば37℃など)で行うことができる。また、培養期間は、シート状細胞培養物を形成するのに十分な期間という観点から、シート状細胞培養物を形成する細胞(シート形成細胞)の種類により異なる。例えばシート形成細胞が骨格筋芽細胞である場合、これに限定するものではないが、例えば12時間以上、16時間以上、20時間以上、24時間以上、26時間以上、28時間以上、30時間以上、32時間以上、36時間以上であり、細胞分化防止の観点から、これに限定するものではないが、例えば48時間以内、44時間以内、40時間以内、36時間以内である。したがって培養期間としては、これら上限および下限の任意の組み合わせを例示することができ、これに限定するものではないが、例えば12~48時間、16~48時間、20~48時間、24~48時間、26~48時間、28~48時間、30~48時間、32~48時間、36~48時間、12~44時間、16~44時間、20~44時間、24~44時間、26~44時間、28~44時間、30~44時間、32~44時間、36~44時間、12~40時間、16~40時間、20~40時間、24~40時間、26~40時間、28~40時間、30~40時間、32~40時間、36~40時間、12~36時間、16~36時間、20~36時間、24~36時間、26~36時間、28~36時間、30~36時間、32~36時間などである。またシート形成細胞が心筋細胞(iPS細胞由来心筋細胞を含む)である場合、これに限定するものではないが、下限としては例えば24時間以上、30時間以上、36時間以上であり、上限としては48時間以内、72時間以内、96時間以内、120時間以内である。したがって培養期間としては、これら上限および下限の任意の組み合わせを例示することができ、これに限定するものではないが、例えば24~48時間、24~72時間、24~96時間、24~120時間、30~48時間、30~72時間、30~96時間、30~120時間、36~48時間、36~72時間、36~96時間、36~120時間などが挙げられる。当業者であれば、播種する細胞の種類に応じて最適な条件を選択することができる。シート化培養の非限定例は、例えば、特許文献1、特開2010-081829、特開2010-226991、特開2011-110368、特開2011-172925、WO2014/185517などに記載されている。
シート化に用いるシート化媒体としては、細胞のシート化を誘導し得るものであれば特に限定されず、例えば、生理食塩水、種々の生理緩衝液(例えば、PBS、HBSS等)、種々の細胞培養用の基礎培地をベースにしたものなどを使用することができる。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80-7、DMEM/F12などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や培養条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。したがって、基礎培地は、公知の組成のものに限定されず、1または2以上の成分が追加、除去、増量もしくは減量されたものを含む。シート化媒体は、血清(例えば、ウシ胎仔血清などのウシ血清、ウマ血清、ヒト血清等)、種々の成長因子(例えば、FGF、EGF、VEGF、HGF等)などの添加物を含んでもよい。
また、上述のとおり、細胞は実質的に増殖しない密度で播種されるため、従来の方法のように細胞培養物が所望の大きさに成長するのを待つことなく、所望の大きさおよび形状のシート状細胞培養物を短期間で得ることが可能である。シート状細胞培養物の大きさや形状は、培養基材の細胞付着面の大きさ・形状を調整すること、または、培養容器の細胞付着面に、所望の大きさ・形状の型枠を設置し、その内部で細胞を培養することなどにより任意に調節することができる。
本発明の一態様において、
工程(c)において、剥離したシート状細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬する。したがって、シート状細胞培養物は、収縮した状態で低栄養等張液に浸漬される。かかる浸漬工程の詳細は、上記シート状細胞培養物の改変方法において記載したとおりである。
本発明の方法の一態様において、さらに工程(c’)形成したシート状細胞培養物を剥離すること、を含む。工程(c’)は、工程(c)の前に行われても後に行われてもよい。工程(c’)において、剥離用媒体としては、通常の培地を用いてもよいし、低栄養等張液を用いてもよい。剥離媒体として低栄養等張液を用いる場合、工程(c)において低栄養等張液に浸漬した後、そのまま工程(c’)を実施してもよいし、工程(c’)にて剥離した後、そのまま剥離用媒体に浸漬させることで工程(c)としてもよい。またシート状細胞培養物の浸漬やその後の保存もまた、常温であっても冷蔵条件であってもよいが、好ましくは冷蔵条件で行う。
剥離は、シート状細胞培養物の構造を保ったまま培養基材から剥離できれば特に限定されず、当該技術分野において知られた方法を用いることができる。具体的には例えば、タンパク質分解酵素(例えばトリプシンなど)による酵素処理、ピペッティングなどの機械的処理、支持体を用いた物理的な剥離などによって行うことができる。また、培養基材に温度や光などの刺激に応答して物性が変化する材料で表面を被覆した培養基材を用いた場合には、所定の刺激を加えることで、非酵素的に遊離することもできる。例えば低温で接着性が低下する温度応答性の材料で表面を被覆した培養基材を用いた場合、剥離用の媒体(上記シート化媒体と同じであってよい)を加えて冷却し、または冷却した剥離用媒体を加えることで接着性を低下させ、剥離することができる。また、形成したシート状細胞培養物の剥離のために冷却した媒体を加えた場合であっても、剥離工程自体は常温(例えば、37℃付近の温度)で行ってもよいし、冷蔵条件で行ってもよい。
シート状細胞培養物は、培養基材から剥離されるとある程度収縮することが知られている。かかる収縮の程度は、シート状細胞培養物を構成する細胞種や含有比率、形成条件などにより異なる。例えば骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含む細胞集団を、本願発明のシート形成培養を用いて形成した場合、その収縮割合としては、例えばシートの径が約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%程度となる。本発明の一態様において、剥離された(すなわち収縮した)シート状細胞培養物は、その面積が約1cm以上、約3cm以上、好ましくは約6cm以上、さらに好ましくは約10cm以上であり得る。剥離したシート状細胞培養物を収縮させる際は、常温(例えば、37℃付近の温度)で収縮させてもよいし、冷蔵条件で収縮させてもよい。
また、剥離工程(c)の後、任意に洗浄の工程を加えることができる。かかる洗浄の工程もまた、常温(例えば、37℃付近の温度)で行ってもよいし、冷蔵条件で行ってもよい。
かかる剥離工程の詳細は、上記シート状細胞培養物の改変方法において記載したとおりである。
本発明の方法の一態様において、工程(c’)の後にさらに工程(c’’)剥離したシート状細胞培養物を積層すること、を含む。工程(c’’)は、工程(c’)の後であれば、工程(c)の前であっても後であってもよい。すなわち、低栄養等張液に浸漬した後、剥離および積層が行われてもよいし、剥離した後、低栄養等張液に浸漬し、その後積層されてもよいし、剥離および積層された後、積層体となったシート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬してもよい。
本発明において、適切に温度等の浸漬条件をコントロールすることができる限り、シート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬した状態で輸送することができる。また、本発明の方法により改変されたシート状細胞培養物は、低栄養等張液から取り出した後すぐに移植に使用することができる。したがって本発明の一態様において、シート状細胞培養物を製造し、低栄養等張液に浸漬し、その状態で輸送および保存した後、取り出して使用してもよい。
本発明のシート状細胞培養物は、上述のとおり、医薬組成物の製造のために用いることができる。したがって本発明には、本発明のシート状細胞培養物を用いて上記各種疾患を処置する方法も包含される。
本発明の処置方法は、シート状細胞培養物またはそれを含む医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。処置方法の対象となる組織や疾患は、シート状細胞培養物について上記したとおりである。また、かかる処置方法においては、シート状細胞培養物の生存性、生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを、細胞培養物と併用することができる。
本明細書に記載された種々の特徴は様々に組み合わせることができ、そのような組合せにより得られる態様は、本明細書に具体的に記載されていない組合せも含め、すべて本発明の範囲内である。また、当業者は、本発明の精神から逸脱しない多数の様々な改変が可能であることを理解しており、かかる改変を含む均等物も本発明の範囲に含まれる。したがって、本明細書に記載された態様は例示にすぎず、これらが本発明の範囲を制限する意図をもって記載されたものではないことを理解すべきである。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
例1.シート状細胞培養物の改変試験
(1)シート状細胞培養物の調製
ヒト骨格筋から定法により調製した骨格筋芽細胞(線維芽細胞を含む)を用いてシート状細胞培養物を調製した。温度応答性培養皿(UpCell(R)12穴マルチウェル、セルシード)に、20%ヒト血清含有DMEM/F12培地(Thermo Fisher Scientific Inc.)に懸濁したヒト骨格筋芽細胞およびヒト線維芽細胞の細胞混合物を、3.7×10個/ウェルとなるように播種し、37℃、5%CO下で12~26時間シート化培養を行った。シート化培養後、培地を除去し、700μLの冷却したHBSS(+)(Thermo Fisher Scientific Inc.)を加えて10分静置し、その後静かにピペッティングしてシート状細胞培養物を完全に剥離させた。
シート状細胞培養物を完全に剥離した後、HBSS(+)を除去し、新たに常温のHBSS(+)を加えてリンスした。かかる洗浄工程を4回行った。HBSS(+)を除去した後、新たなHBSS(+)を1.55mL加え、2~8℃の条件で静置した。
(2)骨格筋芽細胞含有率の評価
(1)において冷蔵条件で静置したシート状細胞培養物について、24時間ごとに骨格筋芽細胞含有率(以下「純度」という)を測定した。形成したシート状細胞培養物をトリプシン様蛋白分解酵素で解離させた後、遠心処理を行い、上清を廃棄した。これに0.5%BSA含PBS液を加え細胞をリンスした後、0.5%BSA含PBS液で10倍希釈した抗ヒトCD56抗体(ベクトン・ディッキンソン)を添加し混和した。対照として0.5%BSA含PBS液で10倍希釈した陰性コントロール用抗体(ベクトン・ディッキンソン)を添加混和したものを用意した。各抗体を混和した後、直ちに冷暗所で約1時間反応させ0.5%BSA含PBS液を加え細胞をリンスした後、0.5%BSA含PBS液を加え解析に供した。解析はフローサイトメーター(ベクトン・ディッキンソン)を用い、各抗体を混和した細胞に含まれる抗体陽性細胞の割合を計測した。計測にあたっては、陰性コントロールの陽性率の補正を行い、細胞数5,000~10,000個を解析した。解析後、各抗体を混和した細胞の陽性細胞率の割合の差から純度を求めた。
結果を図1に示す。図1からわかるとおり、冷蔵条件でHBSS(+)に浸漬するとCD56陽性細胞(すなわち骨格筋芽細胞)の純度が上昇し、約48時間で90%前後となり、そのまま144時間後まで約90%の純度を維持した状態で保存された。しかしながら216時間後においては急激に純度が低下していた。これは骨格筋芽細胞が生存できず、死亡し始めたためと考えられる。
例2.細胞懸濁液での改変試験
シート化しない状態のヒト骨格筋芽細胞およびヒト線維芽細胞の混合物に対し、HBSS(+)を1.55mL加え、2~8℃の冷蔵条件で静置した。試験開始時と72時間後に上記例1(2)と同様に、骨格筋芽細胞の純度を測定した。
結果を図2に示す。シート化しなかった場合では、骨格筋芽細胞の純度に変化は確認できなかった。

Claims (8)

  1. 骨格筋芽細胞および線維芽細胞を含むシート状細胞培養物の保存方法であって、シート状細胞培養物を、2~8℃で24~150時間、低栄養等張液に浸漬することを含み、それにより前記シート状細胞培養物を構成する骨格筋芽細胞の含有比率が増加し、低栄養等張液はハンクス平衡塩液である、前記方法。
  2. 容器中の低栄養等張液に浸漬した状態で、シート状細胞培養物を2~8℃で保存および輸送することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 低栄養等張液が、ビタミンをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. ビタミンが、ビタミンCである、請求項3に記載の方法。
  5. ビタミンが、ビタミンEである、請求項3に記載の方法。
  6. 低栄養等張液が、エダラボンをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. シート状細胞培養物が12~26時間シート化培養を行ったものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. シート状細胞培養物が2~8℃で保存される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
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