JP7471069B2 - 移植片の活性を高める方法 - Google Patents
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Description
<1> 多能性幹細胞由来の分化誘導細胞を含有する移植片のサイトカイン産生能、増殖能、生着能、血管誘導能および組織再生能からなる群から選択される活性を高める方法であって、移植片を25℃以上でインキュベートするステップを含む前記方法。
<2> 移植片がスキャフォールドを有する、請求項1に記載の方法。
<3> スキャフォールドが、フィブリン、ゼラチンまたはコラーゲンを含むゲルである、請求項2に記載の方法。
<4> <1>~<3>のいずれか一項に記載の方法を含む移植片の製造方法。
<5> 移植片が、シート状細胞培養物である、<1>~<4>のいずれか一項に記載の方法。
<6> <1>~<3>のいずれか一項に記載の方法よって得られた移植片または<4>もしくは<5>に記載の方法によって製造された移植片。
<7> 心疾患を治療するための<6>に記載の移植片。
<8> 移植片の適用により改善される疾患を処置する方法であって、<6>または<7>に記載の移植片を、それを必要とする対象に適用するステップを含む、前記方法。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
本開示は、移植片のサイトカイン産生能、増殖能、生着能、血管誘導能および組織再生能からなる群から選択される活性を高める方法であって、シート状細胞培養物を25℃以上でインキュベーするステップを含む。
スキャフォールドを有する移植片としては、例えばフィルムを表面または内部に有する移植片、ゲル層が表面または内部に形成された移植片、または、細胞、細胞塊、シート状細胞培養物の間隙を埋めるゲルにより一体性が付与された移植片などが挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、本開示において「シート状細胞培養物」は、細胞をシート状に培養したものだけでなく、細胞をシート状に成形したものが含まれる。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの((例えば2層、3層、4層、5層、6層などの多層)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していても、細胞間にフィルムやゲルなどのスキャフォールドが含まれていてもよい。
本発明において、移植片を構成する細胞は、好ましくは、心筋細胞、肝細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、膵細胞、腎細胞、血管内皮細胞、または角膜上皮細胞であり、より好ましくは心筋細胞であり、最も好ましくはiPS細胞由来の心筋細胞である。
本発明の一態様においてスキャフォールドを有する移植片は、既知の任意の方法で製造されたものを使用することができる。
本発明の一態様において、移植片がスキャフォールドを有する場合、例えば、前記播種した細胞をシート化するステップの後に、さらにゲル層を形成するステップを含む方法で製造された、ゲル層が形成されたシート状細胞培養物を使用することができる。シート状細胞培養物へゲル層を形成するステップは、公知の方法を使用することができ、例えば、トロンビン液を噴霧後、シート状細胞培養物を一定期間静置することにより行うことができ、これに限定されない(特許第6495603号公報参照)。
本発明の更なる別の態様において、移植片がスキャフォールドを有する場合、細胞、細胞塊および/またはシート状細胞培養物を基材上に沈降させるステップ、細胞、細胞塊および/またはシート状細胞培養物をゲルによりシート状に成形するステップを含む方法で製造された、ゲルにより一体性が付与された移植片を使用できる。
間隙をゲルで埋めてシート状にするステップまたはゲルによりシート状に成形するステップは、例えば、細胞がその表面に配置されている基材上に、ゲルを静かに添加することにより行われる。添加される量は、任意の量であってよいが、好ましくはシート状物が例えば10μm~2000μm、好ましくは10μm~500μm、より好ましくは50μm~200μmの厚さになる量である。
一態様において、ゲルは2液を混合することによりゲル化が生じるものであり、このようなゲルを用いてゲル化する方法は、任意の既知の方法を用いることができる。かかる方法としても、例えば、フィブリノゲン液とトロンビン液を同時に添加する方法や、フィブリノゲン液を細胞上に滴下し、その後トロンビン液を噴霧することによりフィブリンゲルを形成する方法(特許第6495603号公報)を用いることができるが、これに限定されない。
すなわち例えば、約20℃~約45℃、約25℃~~約45℃、約26℃~約44℃、27℃~約43℃、28~42℃、約29℃~約41℃、約30℃~約40℃、約31℃~約39℃、約32℃~約38℃、約33℃~約37℃、約34℃~約36℃、好ましくは27℃~約43℃、より好ましくは約30℃~約40℃、さらに好ましくは約32℃~約39℃、一層好ましくは約33℃~約39℃、特に好ましくは約34℃~約39℃である。
本発明の一態様において、インキュベートするステップの前にゲル層を形成するステップを加える場合、ゲル層を形成するステップは、移植片を例えば4℃で保存する前に行なうことが好ましい。
媒体は、移植片を構成する細胞の生存を維持できる媒体であれば特に限定されず、例えば、生理食塩水、種々の生理緩衝液(例えば、PBS、HBSS等)、種々の細胞培養用の基礎培地をベースにしたものなどを使用してもよい。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80-7、DMEM/F12などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。媒体は、通常血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)などのウシ血清、ウマ血清、ヒト血清等)、種々の成長因子(例えば、FGF、EGF、VEGF、HGF等)などの添加物を含んでもよい。好ましい媒体は、DMEMであり、10%FBS含有のDMEMが特に好ましい。
本開示において、移植片の「撚れ」および「縮み」は、それぞれ移植片(例えばシート状細胞培養物)の外縁部が撚れたり、移植片が丸まったりすることを意味する。かかる「撚れ」および「縮み」は、細胞間接着力の作用によるもののほか、移送作業により物理的に生ずる皺や折れ重なりを含む。「撚れ」および「縮み」の程度は、例えば、移植片の形、サイズ、形態などを公知の方法で観察し、これらをスコア化することなどにより定量化してよい。
本発明の別の側面は、本発明の方法を含む移植片の製造方法により得られた移植片に関する。
本発明の一態様において、移植片の製造は、例えば細胞を基材上に播種するステップ、播種した細胞をシート化するステップ、25℃以上でインキュベーするステップを含むが、これに限定されない。
さらにシート化するステップの後に、シート化した移植片を剥離するステップを行った後、インキュベートするステップを行なってもよいし、移植片が培養基材上に接着したままインキュベートするステップを行なってもよい。さらに播種した細胞をシート化するステップの後に移植片へゲル層を形成するステップを行なってもよい。この場合、剥離後または基材上に接着したままゲル層を形成するステップを行なってもよい。
本発明の更なる別の態様において、移植片の製造は、例えば細胞、細胞塊および/またはシート状細胞培養物を基材上に沈降させるステップ、細胞、細胞塊および/またはシート状細胞培養物をゲルによりシート状に成形するステップ、25℃以上でインキュベーするステップを含むが、これに限定されない。
かかる態様において、前記ゲルで埋めてシート状にするステップまたはシート状細胞培養物をゲルによりシート状に成形するステップの後に、シート化した移植片を剥離するステップを行った後、インキュベートするステップを行なってもよいし、移植片が培養基材上に接着したままインキュベートするステップを行なってもよい。
これら各ステップは、種々の移植片の製造の製造に適した既知の任意の手法で行うことができる。本発明の方法は、移植片を製造するステップをさらに含んでもよく、その場合、移植片を製造するステップは、任意の1または2以上のステップを含んでもよい。
接着性の表面を有する基材、低接着性の表面を有する基材および/または均一なウェル状構造を有する基材などが挙げられる。具体的には、シート状細胞培養物の形成の場合であれば、例えば、コロナ放電処理したポリスチレン、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物を該表面にコーティングした基材、さらには、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などを表面にコーティングした基材などが挙げられる。また、かかる基材は市販されている(例えば、Corning(R) TC-Treated Culture Dish、Corningなど)。またスフェロイドの形成の場合であれば、例えば軟寒天、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)をポリエチレングリコール(PEG)で架橋した温度応答性ゲル(市販名:メビオールゲル)、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(ポリHEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリスコリン(MPC)ポリマーなどのハイドロゲルなどの非細胞接着性化合物を表面にコーティングした基材および/または均一な凹凸構造を表面に有する基材などが挙げられる。かかる基材もまた市販されている(例えば、EZSPHERE(R)など)。基材は全体または部分が透明であっても不透明であってもよい。
本発明の別の側面において、移植片の製造、とくに増殖培養を経ない移植片の製造に用いる一部またはすべての要素を含む、移植片の製造するためのキットに関する。
本発明のキットは、限定されずに、例えば、ゲル層を形成するステップに用いられるゲルを形成するための材料、例えばフィブリンを含む溶液およびトロンビンを含む溶液のほか移植片を構成する細胞(例えば、凍結保存細胞、本発明の回収方法により回収された細胞等)、培養液、培養皿、器具類(例えば、ピペット、スポイト、ピンセット等)、移植片の製造方法に関する指示(例えば、使用説明書、製造方法や本発明の凍結保存細胞の回収方法に関する情報を記録した媒体、例えば、フレキシブルディスク、CD、DVD、ブルーレイディスク、メモリーカード、USBメモリー等)などを含んでいてもよい。
本発明の別の側面は、本発明の方法により得られた移植片、または、本発明の方法を含む移植片の製造方法により得られた移植片に関する。本発明の一態様において、本開示の製造方法により製造された移植片は、心筋細胞からなる。本発明の別の態様において、本開示の製造方法により製造された移植片は、心筋細胞、線維芽細胞、内皮細胞および/または壁細胞を含む。
本発明の製造方法により得られた移植片は、対照移植片よりも活性が高いことを特徴とする。活性の高さに関する詳細については上述のとおりである。一態様において、本発明の移植片は、サイトカイン産生能、増殖能、生着能、血管誘導能および組織再生能からなる群から選択される活性が対照移植片のものより高い。また、一態様において、移植片は、HGF、SDF-1、FGF、SCF、VEGFからなる群から選択されるサイトカインの産生能が対照移植片のものより高い。移植片は、高い活性を有するため、種々の治療用途において、対照移植片よりも優れた効果を示す。特に、HGFまたはVEGFの産生能が高いと、組織への生着や血管誘導、組織再生促進され、また増殖能が高いと移植片が長期間、持続的に機能し、治療効果を高めることが可能となる。本発明の一態様において、本発明の製造方法により得られた移植片は、スキャフォールドを有する移植片であり、スキャフォールドを有しない移植片に比べて、撚れおよび/または縮みが生じにくい。したがって、スキャフォールドを有する移植片は、スキャフォールドを有しない対照移植片に対して、組織への生着や血管誘導、組織再生促進作用を長期間、持続的な治療効果を向上するだけでなく、強度が高く、操作性に優れ、患部への適用が容易であり、施術者の熟練度による操作上の差も小さいため、疾患の確実な処置が可能となるため利便性が格段に高い。
本開示の別の側面は、本開示の方法により得られた移植片または当該方法を含む移植片の製造方法により得られた移植片の有効量を、それを必要とする対象に適用することを含む、前記対象における疾患を処置する方法に関する。処置の対象となる疾患は、上記したとおりである。
ll Stem Cell 16, 699-711, June 4, 2015やWO2014/185358およびWO2017/038562の記載を参考にして、ヒトiPS細胞を心筋細胞へと分化誘導して胚様体を得た。具体的には、フィーダー細胞を含まない培養液で維持培養したヒトiPS細胞を、EZ Sphere(旭硝子)上で10μMのY27632(和光純薬)を含有するStemFit AK03培地(味の素)中で1日培養し、得られた胚様体をアクチビンA、骨形成タンパク質(BMP)4および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を含有する培養液中で培養し、さらにWnt阻害剤(IWP3)およびBMP4阻害剤(Dorsomorphin)およびTGFβ阻害剤(SB431542)を含む培養液中で培養し、その後VEGFおよびbFGFを含む培養液中で培養を行うことで、iPS細胞由来のヒト心筋細胞を得た。得られた細胞における心筋細胞の割合は50%~90%であった。
細胞凍結用保存液(10%DMSO含有MCDB培地)中で凍結保存した心筋細胞を37℃で解凍し、0.5%血清アルブミンを含む生理緩衝液を用いて2回洗浄した。洗浄した細胞6.0×107個を、ヒト血清20%含有DMEM培地(10mL)に懸濁させ、直径10cmの細胞培養皿(UpCell(R)10cmディッシュ、CS3005、セルシード社製)に播種した。播種後、細胞を37℃、5%CO2に設定されたインキュベーター(BNA-121D、エスペック社製)内で20時間培養した。培養後、培養皿をインキュベーターから取り出し、シート状細胞培養物が、培養皿底面全体を覆うように接着していることを確認し、培地を廃棄した。その後、温度処理(室温(20~25℃)に5~30分間静置)およびピペッティングにより、シート状細胞培養物を培養皿から単離した。得られたシート状細胞培養物は47mm×47mmの大きさであった。
比較例1で作成されたシート状細胞培養物を、ハンクス平衡塩溶液およびヒト血清10%含有DMEM培地に4℃および25℃で72時間保存し、その際のシート状細胞培養物を構成する心筋細胞数の変化をCell counting kit8(同仁化学)を使用して確認し、生残細胞率(%)を{保存後/保存前(450nmの吸光度)}×100として算出した。図1に生残細胞率の経時変化を示す。
図1に示す結果から、シート状細胞培養物の生残細胞率が経時的に減少することが明らかとなった。生残細胞率は、ハンクス平衡塩溶液で4℃で保存した場合が最も高かった。また37℃で72時間保存した場合、縮みが生じた。
細胞凍結用保存液(10%DMSO含有MCDB培地)中で凍結保存した心筋細胞を37℃で解凍し、0.5%血清アルブミンを含む生理緩衝液を用いて2回洗浄した。洗浄した細胞4.0×106個を、ヒト血清20%含有DMEM培地(2mL)に懸濁させ、12ウェルの温度応答性基材(UpCell(R)12Well、CS3003、セルシード社製)に播種した。播種後、細胞を37℃、5%CO2に設定されたインキュベーター(BNA-121D、エスペック社製)内で20時間培養した。培養後、培養皿をインキュベーターから取り出し、シート状細胞培養物が、培養皿底面全体を覆うように接着していることを確認し、培地を廃棄した。その後、温度処理(室温(20~25℃)に5~30分間静置)およびピペッティングにより、シート状細胞培養物を培養皿から単離した。
比較例1と同じ手順でシート状細胞培養物を得た。培養皿中の培養液を除去し、シート状細胞培養物上にフィブリノゲン液(ボルヒール(R)組織接着用(帝人ファーマ社製)のバイアル1の内容物(フィブリノゲン凍結乾燥粉末)をバイアル2の内容物(フィブリノゲン溶解液)で溶解したもの、フィブリノゲン濃度80mg/mL、以下同じ)を500μL、ボルヒール(R)組織接着用に付属する調製器セットの2液混合セット(長さ約6cm、内径約1mmのアプライノズル付、ニプロ社製)を用いて滴下した。次いで、トロンビン液(ボルヒール(R)組織接着用(帝人ファーマ社製)のバイアル3の内容物(トロンビン凍結乾燥粉末)をバイアル4の内容物(トロンビン溶解液)で溶解したもの、トロンビン濃度250単位/mL、以下同じ)を800μL、ボルヒール(R)スプレーセット(秋田住友ベーク社製)を用い、噴霧ノズルを細胞シートから約7cm離して0.03MPaの圧力で噴霧した。
単離後のシート状細胞培養物の写真を図3(A)に示す。
細胞保存用保存液(10%DMSO含有MCDB培地)中で凍結保存したiPS細胞由来のヒト心筋細胞を37℃で解凍し、10%FBS/DMEMで希釈後、遠心分離し、上清を除去したのち、細胞を2×106細胞/cm2の密度で、15mLのヒト血清20%含有DMEM培地に懸濁し、直径6cmの温度応答性基材(UpCell(登録商標)、6cmディッシュ、CS3006、セルシード社製)に播種した。播種後、細胞集団を37℃、5%CO2に設定したインキュベーター(BNA-121D、エスペック社製)内で72時間培養した。培養後、基材をインキュベーターから取り出し、細胞が基材に接着していることを確認し、培地を廃棄した。
培地の廃棄後、基材上に、500μlのフィブリノゲン液(ベリプラスト(登録商標)組織接着用(CSLベーリング社製)のバイアル1の内容物(フィブリノゲン凍結乾燥粉末)をバイアル2の内容物(フィブリノゲン溶解液)で溶解したもの、フィブリノゲン濃度80mg/mL)と、500μlのトロンビン液(ベリプラスト(登録商標)組織接着用(CSLベーリング社製)のバイアル3の内容物(トロンビン凍結乾燥粉末)をバイアル4の内容物(トロンビン溶解液)で溶解したもの、トロンビン濃度300単位/mL)とを滴下し、約5分静置して、フィブリンゲルを形成した。
フィブリンゲル形成後に、10mLのハンクス平衡塩溶液(HBSS(+)、Cat No.14025、Life Technologies社製)を加えて、3回洗浄し、未反応のフィブリノゲンおよびトロンビンを除去した。その後、温度応答性材料の温度処理のため室温(20~25℃)で5~30分間静置し、ピペッティングにより、シート状物を基材から剥離させ、細胞間の間隙がゲルで埋められたシート状細胞培養物を単離した。単離前のシート状細胞培養物の写真を図3(B)に示す。
実施例1および2で作成したシート状細胞培養物を構成する細胞数を、単離直後(day0)ならびにヒト血清10%含有DMEM培地に4℃、25℃、30℃、35℃、37℃および39℃で72時間インキュベート(保存)し、450nmの吸光度で測定した。実施例1で作成したシート状細胞培養物シート状細胞培養の結果を図4に示す。フィブリンゲル層が形成されたシート状細胞培養物は、4℃でインキュベートした場合、細胞数の減少が確認されたが、25℃では殆ど減少せず、30℃以上で大幅な細胞数の増加が確認された。また、実施例2で作成したシート状細胞培養物も同様の結果であった。
実施例1で作成したシート状細胞培養物を25℃でインキュベートするステップを加えることにより、比較例2と同様にシート状細胞培養物のサイトカイン産生量の減少が抑制されることが明らかとなった。また30℃以上で保存することによりサイトカイン産生量が大幅に増強されることが明らかとなった。また実施例2で作成したシート状細胞培養物も同様の結果であった。
細胞保存用保存液(10%DMSO含有MCDB培地)中で凍結保存したiPS細胞由来のヒト心筋細胞を37℃で解凍し、10%FBS/DMEMで希釈後、遠心分離し、上清を除去したのち、細胞を2×106細胞/cm2の密度で、3mLのヒト血清20%含有DMEM培地に懸濁し、12ウェルの温度応答性基材(UpCell(R)12Well、CS3003、セルシード社製)に播種した。播種後、細胞集団を37℃、5%CO2に設定したインキュベーター(BNA-121D、エスペック社製)内で72時間培養した。培養後、基材をインキュベーターから取り出し、細胞が基材に接着していることを確認し、培地を廃棄した。
培地の廃棄後、基材上に、100μlのフィブリノゲン液(ベリプラスト(登録商標)組織接着用(CSLベーリング社製)のバイアル1の内容物(フィブリノゲン凍結乾燥粉末)をバイアル2の内容物(フィブリノゲン溶解液)で溶解したもの、フィブリノゲン濃度80mg/mL)と、100μlのトロンビン液(ベリプラスト(登録商標)組織接着用(CSLベーリング社製)のバイアル3の内容物(トロンビン凍結乾燥粉末)をバイアル4の内容物(トロンビン溶解液)で溶解したもの、トロンビン濃度300単位/mL)とを滴下し、約5分静置して、フィブリンゲルを形成した。
フィブリンゲル形成後に、2mLのハンクス平衡塩溶液(HBSS(+)、Cat No.14025、Life Technologies社製)を加えて、3回洗浄し、未反応のフィブリノゲンおよびトロンビンを除去した。その後、温度応答性材料の温度処理のため室温(20~25℃)で5~30分間静置し、ピペッティングにより、シート状物を基材から剥離させ、細胞間の間隙がゲルで埋められたシート状細胞培養物を単離した。
比較例3で作成したシート状細胞培養物および実施例4で作成した間隙がゲルで埋められたシート状細胞培養物を4℃および25℃で保存した際の写真を図6に示す。比較例3で作成したシート状細胞培養物を4℃(A)および25℃(B)、実施例4で作成した間隙がゲルで埋められたシート状細胞培養物を4℃(C)および25℃(D)で保存した際の写真を図6に示す。実施例4で作成したシート状細胞培養物を25℃で保存してもシート状細胞培養物の撚れや縮みは生じないことが分かる(D)。したがって、スキャフォールドを有する移植片は形態を維持したままサイトカイン産生量を増強できることが明らかとなった。
Claims (5)
- iPS細胞由来の心筋細胞を含有するシート状細胞培養物のサイトカイン産生能および増殖能からなる群から選択される活性を高める方法であって、
iPS細胞由来の心筋細胞を含有するシート状細胞培養物を培養基材上に提供するステップ、
培養基材からシート状細胞培養物を剥離するステップ、および、
培養基材から剥離後に、シート状細胞培養物を25℃~39℃で24時間~72時間インキュベートするステップを含む前記方法。 - シート状細胞培養物がスキャフォールドを有する、請求項1に記載の方法。
- スキャフォールドが、フィブリン、ゼラチンまたはコラーゲンを含むゲルである、請求項2に記載の方法。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を含むシート状細胞培養物の製造方法。
- iPS細胞由来の心筋細胞を含有するシート状細胞培養物のサイトカイン産生能および増殖能からなる群から選択される活性を高める方法であって、
iPS細胞由来の心筋細胞を含有するシート状細胞培養物を培養基材上に提供するステップ、
培養基材からシート状細胞培養物を剥離するステップ、および、
培養基材から剥離後に、シート状細胞培養物を25℃~39℃で72時間インキュベートするステップを含む前記方法。
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