JP2015047140A - 移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体 - Google Patents

移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体 Download PDF

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Hiroe Onishi
弘恵 大西
中川 隆之
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隆之 中川
壽一 伊藤
Juichi Ito
壽一 伊藤
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Abstract

【課題】本発明は、神経損傷部位への細胞移植療法において、術者の技量に依らず再現性に富む方法で細胞を移植でき、細胞移植後にガン化の危険性がなく、移植細胞の拡散を抑制し、万が一移植細胞の悪性化が生じた場合であっても、すぐにこれを除去することができる、新たな細胞移植療法を確立することを目的とする。【解決手段】本発明は、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体及びその製造方法、並びに神経幹細胞又は神経前駆細胞と固体3次元マトリックスとを組み合わせてなる神経細胞移植用キット製剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体及びその製造方法、並びに神経幹細胞又は神経前駆細胞と固体3次元マトリックスとを組み合わせてなる神経細胞移植用キット製剤に関する。
神経系は、脳・脊髄の中枢神経系と、運動神経・感覚神経・自律神経などの末梢神経系に大別され、シグナルを伝えるネットワークとして重要な役割を果たしている。神経系は主に神経細胞(ニューロン)から構成されており、神経細胞は、加齢や外因性・内因性ストレスなど様々な要因によって変性・脱落する。その一方、神経細胞自体の再生については、成体脳の一部領域に存在する内在性神経幹細胞又は神経前駆細胞から神経細胞の新生が起こることが報告されているものの、この内在性神経幹細胞又は神経前駆細胞はごく限られた再生能力しか有さない。従って、大規模な神経細胞の変性・脱落を伴う疾患、例えば神経変性疾患や神経損傷などの治療には、移植により外部から神経細胞を補充することが最も現実的であると考えられている。この目的のために、近年、胚性幹細胞(以下、ES細胞とも称する)、人工多能性幹細胞(以下、iPS細胞とも称する)、骨髄由来間葉系細胞などの幹細胞を用いた細胞移植療法が注目されている。
感音難聴は、音を電気信号に変換する蝸牛から、音を分析・認知する大脳までの間に障害がある場合に起こる難聴であり、高頻度(例えば、60歳以上の人口の約60%)に見られる先天性又は後天性の身体障害である。現在のところ、高度の感音難聴者にとって唯一の聴覚獲得手段は人工内耳である。しかし、人工内耳は、蝸牛の一次神経細胞であるラセン神経節細胞(聴神経)を直接電気刺激することにより聴覚を得る方法であるため、ラセン神経節細胞自体が障害を受けている場合には、その有効性は損なわれる。そのため、外部から幹細胞を移植し、障害を受けたラセン神経節細胞を補充する試みがなされている。
これまで、ラセン神経節細胞を補充するための細胞ソースとして、ES細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、神経幹細胞が数多く研究されている(非特許文献1)。例えば、ラセン神経節変性モルモットの蝸牛にマウスES細胞由来神経前駆細胞を移植するとeABR(電気誘発性聴性脳幹反応)が改善したこと(非特許文献2)、ラセン神経節変性スナネズミの蝸牛軸にヒトES細胞由来神経前駆細胞を移植すると神経前駆細胞が生着、分化し、ABR(聴性脳幹反応)が改善したことが報告されている(非特許文献3)。さらに、in vitroでマウスES細胞を神経前駆細胞に分化誘導し、これをニューロスフェアの形態でペプチドヒドロゲルに包埋した後、ラセン神経節変性モルモットのローゼンタール管に移植する方法も報告されている(非特許文献4)。
また、マウスiPS細胞由来神経前駆細胞をマウス蝸牛に移植すると、マウスES細胞由来神経前駆細胞と同様に神経細胞に分化したことも報告されている(非特許文献5)。
これらの研究から多能性幹細胞由来の神経幹細胞又は神経前駆細胞を移植することによるラセン神経節細胞の補充が人工内耳の有効性を高めることが示唆されている。しかしながら、この移植方法は高度な手術手技を要し、細胞移植成功率に大きなばらつきが生じている。臨床応用に際しては、より再現性に富む方法での機能改善が望ましい。
また臨床応用に際しては安全性の担保も非常に重要である。上記の従来の移植研究では、ラセン神経節細胞の補充のために神経幹細胞又は神経前駆細胞の移植が行われているが、臨床に際しては増殖能を保持した神経幹細胞又は神経前駆細胞ではなく分化した神経細胞の移植が望まれる。しかしながら、神経細胞を培養容器から剥離して細胞懸濁液を調製すると、細胞の性質上生存率が悪く移植には不向きである。さらに、これまでの多くの報告に有るように、神経幹細胞又は神経前駆細胞を蝸牛軸に直接注入する方法では万一移植細胞がガン化等の悪性化を生じた場合に除去することが極めて困難である。
Shi et al., Hearing Research 297: 106-112 (2013) Okano et al., Neuroreport 16 (17): 1919-1922 (2005) Chen et al., Nature 490 (7419): 278-282 (2012) Nayagam et al., Journal of Neural Engineering 9(6):065001. doi: 10.1088/1741-2560/9/6/065001 (2012) Nishimura et al., Cell Transplantation 21: 763-771 (2012)
神経細胞は足場から剥離すると細胞死を起こしやすいため、従来の移植研究では、神経損傷部位に対し神経幹細胞又は神経前駆細胞が移植されているが、当該方法は、1)手術手技の難易度が高く、術者の技量に依存するため結果が安定しない、2)神経幹細胞又は神経前駆細胞は増殖能をもった未分化細胞であるため、ガン化の危険性を伴う、3)移植細胞が移植部位を離れて全身に拡散する可能性がある、4)移植細胞の悪性化が生じた際、移植細胞を除去することが困難である、といった問題点が指摘されている。
従って、本発明の目的は、神経損傷部位への細胞移植療法において、術者の技量に依らず再現性に富む方法で神経細胞を補充でき、移植後に細胞のガン化の危険性がなく、移植細胞の拡散を抑制し、万一移植細胞の悪性化が生じた場合であっても、すぐにこれを除去することができる、新たな細胞移植療法を確立することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、移植後の生着能を有する神経細胞を固体3次元マトリックスとの複合体とすることにより、これを簡便に神経損傷部位へと移植でき、細胞移植後もガン化の危険性がなく、移植細胞の拡散が抑制され、万一移植細胞の悪性化が生じた場合であっても、問題となる細胞群を容易に除去可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体。
[2]神経細胞が固体3次元マトリックス上で神経幹細胞又は神経前駆細胞から分化したものである、上記[1]記載の複合体。
[3]固体3次元マトリックスが、コラーゲン、ラミニン及びフィブロネクチンからなる群より選択される少なくとも1種により形成される、上記[1]又は[2]記載の複合体。
[4]固体3次元マトリックスがスポンジ状である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の複合体。
[5]神経細胞が内耳神経細胞である、上記[1]〜[4]のいずれか記載の複合体。
[6]神経細胞移植用である、上記[1]〜[5]のいずれか記載の複合体。
[7]神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させることを特徴とする、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の製造方法。
[8]神経幹細胞又は神経前駆細胞が多能性幹細胞に由来する、上記[7]記載の方法。
[9]神経細胞が内耳神経細胞である、上記[7]又は[8]記載の方法。
[10]複合体が神経細胞移植用である、上記[7]〜[9]のいずれか記載の方法。
[11]神経幹細胞又は神経前駆細胞と固体3次元マトリックスとを組み合わせてなる神経細胞移植用キット製剤であって、該神経幹細胞又は神経前駆細胞が該固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化した状態で神経細胞損傷部位に留置される、キット製剤。
[12]神経幹細胞又は神経前駆細胞が多能性幹細胞に由来する、上記[11]記載のキット製剤。
[13]固体3次元マトリックスが、コラーゲン、ラミニン及びフィブロネクチンからなる群より選択される少なくとも1種により形成される、上記[11]又は[12]記載のキット製剤。
[14]固体3次元マトリックスがスポンジ状である、上記[11]〜[13]のいずれか記載のキット製剤。
[15]神経細胞が内耳神経細胞である、上記[11]〜[14]のいずれか記載のキット製剤。
[16]神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を未分化のまま増殖させるための神経幹細胞維持培地、並びに/或いは該増殖した細胞を神経細胞に分化させるための神経分化誘導培地をさらに含む、上記[11]〜[15]のいずれか記載のキット製剤。
[17]神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させて得られる、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体。
本発明の移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を神経損傷部位への細胞移植療法に用いることにより、1)神経損傷部位にこれを留置するだけで細胞を移植できるため、手術手技が非常に簡便であり、2)終末分化した神経細胞を移植するためにガン化の危険性がなく、3)固体3次元マトリックスとの複合体であるために、移植細胞が移植部位を離れて全身に拡散することがなく、4)万一移植細胞の悪性化が生じた際も、核を含む細胞体は固体3次元マトリックス上にあるため、移植した複合体を取り出すだけで問題となる細胞群を容易に除去することができるという極めて安全性の高い新規細胞移植療法を確立することができる。
図1は、神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体が形成されていることを示す図である。 図2は、神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体をモルモット内耳の蝸牛鼓室階へ留置した後、内耳組織における移植細胞の生着を示す図である。生存移植細胞はGFPにより示される。
以下、本発明を説明する。なお、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味を有する。
1.移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体
一実施態様において、本発明は、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体(以下、本発明の複合体とも称する)を提供する。
本明細書において「神経細胞」とは、ニューロンと同義であり、細胞体、樹状突起及び軸索から構成される神経単位を意味する。神経細胞は、神経細胞が産生する神経伝達物質の違いにより分類することができ、神経伝達物質としては、非ペプチド性神経伝達物質、例えば、ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、アセチルコリン、γアミノ酪酸、グルタミン酸など、ペプチド性神経伝達物質、例えば、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、α−エンドルフィン、β−エンドルフィン、γ−エンドルフィン、バソプレッシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の複合体において、複合体を形成する神経細胞の種類は特に限定されず、いずれの神経伝達物質を産生する神経細胞であってもよい。特定の実施態様において、本発明の複合体を形成する神経細胞は、グルタミン酸を放出する内耳神経細胞である。
本発明の複合体を形成する神経細胞は、移植後の生着能を有するものである。ここで、「移植後の生着能を有する」とは、本発明の複合体を神経損傷部位に移植した場合、移植された神経細胞が移植部位にて生存し、長期間移植されている状態をいう。
本明細書において「固体3次元マトリックス」とは、細胞外マトリックスにより形成される固体であって、3次元構造を有するものを意味する。ここで、「細胞外マトリックス」とは、細胞外に存在するタンパク質の超分子複合体を意味し、例えば、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、テネイシン、エンクタチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の複合体で使用可能な細胞外マトリックスの由来についても特に限定されず、本発明の複合体を形成できる限り、いずれの動物種(哺乳動物、非哺乳動物など)や組織部位に由来するものであってもよい。また、例えば、細胞外マトリックスとしてコラーゲンを選択する場合には、抗原性を低下させる目的で末端のテロペプチドを酵素的に除去したアテロコラーゲンが好適に使用され得る。本発明の複合体を形成する固体3次元マトリックスは、1種の細胞外マトリックスから構成されていてもよく、あるいは2種以上の細胞外マトリックスから構成されていてもよい。
本明細書において「固体」とは、液体のようには流動性を有さない状態をいい、結晶性固体及び非晶性固体並びにこれらの複合体を含むが、固体と液体の中間状態にあるゲルは含まない概念をいう。
本発明の複合体を形成する固体3次元マトリックスは、神経細胞がその内部に入りこめるよう、その3次元構造中に多数の小孔を連通して有することが好ましい。各孔は、その孔径が小さすぎると神経細胞が内部に入りこめず、孔径が大きすぎると複合体を形成する神経細胞数が減少するため、好ましくは、50〜2000μm、より好ましくは100〜1000μm、さらに好ましくは150〜500μm、最も好ましくは200〜400μmの孔径を有する。固体3次元マトリックスの形状としては、神経細胞との複合体を形成できる限り特に限定されず、例えば、シート状、繊維状、不織布状、綿状、スポンジ状などが挙げられる。
本発明の複合体を形成する固体3次元マトリックスを作製する方法は、特に限定されず、任意の細胞外マトリックスから公知の方法を用いて適切に作製できる。例えば、本発明の固体3次元マトリックスとしてスポンジ状コラーゲンを使用する場合には、pHや濃度調製を行ったコラーゲン溶液を発泡させ、その後凍結乾燥する方法などにより作製できる。また、例えば、コラ−ゲンの酸性溶液をアンモニアガスに曝しゲル状にした後に凍結乾燥することにより、スポンジに含まれる小孔の孔径や配置をコントロールすることも可能である。また、本発明の固体3次元マトリックスは、細胞培養用として市販されているもの、例えば、アテロコラーゲンスポンジ(株式会社高研)やコラーゲンスポンジ(新田ゼラチン株式会社)などを利用してもよい。また、本発明の固体3次元マトリックスは、ポリ乳酸やポリグリコール酸などの生体吸収性合成高分子によって公知の方法により補強されていてもよい。
一実施態様において、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体は、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させることによって作製することができる。
従って、本発明は、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させることを特徴とする、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の製造方法(以下、本発明の製造方法とも称する)を提供する。
2.本発明の製造方法
本明細書において「神経幹細胞」とは、神経細胞や、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトなどのグリア細胞に分化しうる多分化能を有し、かつ自己複製能を有する多能性未分化細胞をいい、「神経前駆細胞」とは、神経細胞にのみ分化する能力を有する未分化細胞をいう。本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞の種類は特に限定されず、目的の神経細胞に分化できる限り、いずれの神経幹細胞又は神経前駆細胞も使用することができる。
本発明の製造方法で使用される神経幹細胞又は神経前駆細胞を得る方法としては、特に限定されず、対象となる動物の脳、脊髄、胚などの組織から神経幹細胞又は神経前駆細胞を直接採取することもできるが、大量に神経幹細胞又は神経前駆細胞を得るという観点からは、多能性幹細胞を出発材料として製造するか、多能性幹細胞を経由せずに体細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞を直接誘導することが好ましい。従って、以下に、好ましい態様として、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞を製造する方法、及び多能性幹細胞を経由せずに体細胞から神経幹細胞を直接誘導する方法(ダイレクト・リプログラミング法)を例示するが、これらに限定されるものではない。
2.1−多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞を製造する方法
多能性幹細胞を分化させることによって神経幹細胞又は神経前駆細胞を用意する場合、使用可能な多能性幹細胞は、生体に存在する全ての細胞に分化可能である多能性を有し、かつ増殖能をも併せもつ幹細胞であり、それには、特に限定されないが、例えば胚性幹(ES)細胞、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞、精子幹細胞(「GS細胞」)、胚性生殖細胞(「EG細胞」)、人工多能性幹(iPS)細胞、培養線維芽細胞や骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが含まれる。好ましい多能性幹細胞は、ES細胞及びiPS細胞である。
ES細胞としては、任意の動物、好ましくは哺乳動物に由来するES細胞を使用できる。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒトが挙げられる。ES細胞の好ましい例としては、ヒトに由来するES細胞が挙げられる。
ES細胞の具体例としては、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立した哺乳動物などのES細胞、体細胞の核を核移植することによって作製された初期胚を培養することによって樹立したES細胞、及びこれらのES細胞の染色体上の遺伝子を遺伝子工学の手法を用いて改変したES細胞が挙げられる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor(LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor(bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。
各ES細胞は当該分野で通常実施されている方法や、公知文献に従って調製することができる。
マウスES細胞は、例えば大日本住友製薬株式会社(大阪、日本)などから購入することもできる。
ヒトES細胞は、例えばWA01(H1)及びWA09(H9)は、WiCell Reserch Instituteから、KhES−1、KhES−2及びKhES−3は、京都大学再生医科学研究所(京都、日本)などから入手可能であり、例えばCellartis社などから購入することもできる。
iPS細胞としては、任意の動物、好ましくは哺乳動物に由来するiPS細胞を使用できる。該哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒトが挙げられる。iPS細胞の好ましい例としては、ヒトに由来するiPS細胞が挙げられる。
iPS細胞は、特定の初期化因子をDNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性(例えば分化多能性と自己複製による増殖能)を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K.Takahashi and S.Yamanaka(2006)Cell,126:663−676;K.Takahashi et al.(2007),Cell,131:861−872;J.Yu et al.(2007),Science,318:1917−1920;Nakagawa,M.ら,Nat.Biotechnol.26:101−106(2008);WO 2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物若しくはnon−cording RNA又はES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物若しくはnon−coding RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c−Myc、N−Myc、L−Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15−2、Tcl1、beta−catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3又はGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
各iPS細胞は当該分野で通常実施されている方法や、公知文献に従って調製することができ、作製されたiPS細胞は、その作出方法によらずいずれも使用することができる。
多能性幹細胞を神経幹細胞又は神経前駆細胞へと分化誘導するために使用される培地としては、哺乳動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、Neurobasal培地、Neurobasal−A培地、Neural Progenitor Basal培地、NS−A培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI1640培地、Fischer's培地及びこれらの混合培地などが包含される。培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。ここで、無血清培地とは、無調整又は未精製の血清を含まない培地を意味し、精製された血液由来成分や動物組織由来成分(例えば、増殖因子)を含む培地は無血清培地に該当するものとする。培地に血清が含まれる場合、血清の濃度は、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化を誘導し得る範囲において特に限定されないが、通常、0.1〜30(v/v)%の範囲である。
培地はまた、アルブミン(例えば脂質リッチアルブミン)、トランスフェリン、脂肪酸、コラーゲン前駆体、微量元素(例えば亜鉛、セレン)、B−27サプリメント、N2サプリメント、ノックアウトシーラムリプレースメント、2−メルカプトエタノール、3'チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物や、脂質、アミノ酸(例えばL−グルタミン等)、非必須アミノ酸、ビタミン類(例えばアスコルビン酸、d−ビオチン等)、増殖因子(例えばbFGF等)、抗生物質(例えばストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)、抗酸化剤、糖類(例えばグルコース等)、有機酸(例えばピルビン酸、乳酸等)、緩衝剤(例えばHEPES等)、ステロイド(例えばβ−エストラジオール、プロゲステロン等)、ポリアミン類(例えばプトレシン等)等の1つ以上の物質も含有しうる。
培地はまた、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化誘導を促進するための誘導剤、例えば、低分子BMP阻害剤(例えば、Nogginなど)、TGFβファミリー阻害剤(例えば、SB431542など)、GSK3β阻害剤(例えば、CHIR99021など)、MEK阻害剤(例えば、PD0325901など)などを適宜含んでよい。これらの誘導剤の濃度は、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化を誘導する範囲で適宜設定されるが、例えば、GSK3β阻害剤としてCHIR99021を用いる場合、通常50 nM〜100μM、好ましくは100 nM〜10μM、より好ましくは1〜5μMである。
培地はまた、多能性幹細胞の初期神経上皮への分化誘導(Li et al., PNAS(2011),108:8299−8304)の際に使用する白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor(LIF))を含むことが好ましい。LIFが培地中に含まれる場合には、その濃度は、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化を誘導し得る範囲において特に限定されないが、通常0.25 ng/ml〜1μg/ml、好ましくは1〜50 ng/ml、最も好ましくは3〜30 ng/mlである。
培養で用いられる培養器は、細胞培養用であれば特に限定されないが、例えば、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリディッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトルなどが挙げられる。
多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化誘導は、フィーダー細胞の存在下又は非存在下のいずれにおいても行うことができる。フィーダー細胞としては、特に限定されないが、例えば、マウス線維芽細胞(PA6)などが挙げられる。フィーダー細胞は公知の方法、例えば放射線(ガンマ線など)照射や抗ガン剤(マイトマイシンCなど)処理などで不活化されていることが好ましい。
分化誘導の直前及び直後に、細胞死抑制のため、ROCK阻害剤(Y−27632、Fasudil(HA−1077)など)が培地に添加されてもよい。Y−27632が培地中に含まれる場合、その濃度は、多能性幹細胞から神経幹細胞又は神経前駆細胞への分化を誘導し得る範囲において特に限定されないが、約50 nM〜約10μMである。
培養は、非接着性条件下での三次元培養、例えば浮遊培養(例えば、分散培養、凝集浮遊培養など)、又は接着条件下での二次元培養、例えば平板培養、あるいは三次元培養後に二次元培養を行うという連続的な組み合わせ培養、などを包含する。フィーダー細胞の存在下で分化誘導する場合には、二次元培養を使用することができるが、一方、フィーダー細胞が不在の場合には、二次元培養及び三次元培養の両方を使用することができる。
細胞接着性の培養器では、細胞との接着性を向上させる目的で、その表面を、細胞支持物質、例えばコラーゲン、ゼラチン、ポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−オルニチン、ラミニン、フィブロネクチン、マトリゲル(商標)(ベクトン・ディキンソン)などの物質でコーティングすることができる。
分散培養では、多能性幹細胞は液体培地に懸濁した状態で培養される。また、凝集浮遊培養により、多能性幹細胞の細胞塊(又は胚様体)を形成することができる。凝集浮遊培養については、例えば胚様体培養法(Kellerら,Curr.Opin.Cell Bio1.7,862−869(1995))、SFEB法(例、Watanabeら,Nature Neuroscience 8,288−296(2005);WO 2005/123902)などを利用することができる。
接着培養では、例えば、Matrige1法(Chambers SM,et a1.Nat Biotechno1.27:485,2009)、SDIA法(Kawasaki H,et a1.Neuron.28:31−40,2000、又はKawasaki H,et a1.Proc Nat1 Acad Sci U S A.99:1580−5,2002)などを利用することができる。
培養温度、CO2濃度などのその他の培養条件については適宜設定できる。例えば、培養温度は、以下に限定されないが、約30〜40℃、好ましくは約37℃であり、CO2濃度は、例えば、約1〜10%、好ましくは約2〜5%である。
多能性幹細胞が神経幹細胞又は神経前駆細胞に分化したことの確認は、実際に生体脳に移植してその分化能を確認する方法や、試験管内で神経幹細胞を神経細胞/アストロサイト/オリゴデンドロサイトに分化誘導させて確認する方法等が挙げられる(Mol.Cell.Neuroscience,8,389(1997);Science,283,534(1999))。また、ネスチン(Nestin)、RC2、ムサシ1(Musashi1)等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
2.2−体細胞から神経幹細胞を直接誘導する方法(ダイレクト・リプログラミング法)
神経幹細胞は、体細胞に脱分化因子を導入し、前記脱分化因子が導入された体細胞を増殖因子の存在下で浮遊培養することにより、ニューロスフェアの形態で得ることができる(WO 2010/052904)。
体細胞としては、任意の動物、好ましくは哺乳動物に由来する細胞を使用することができる。体細胞の由来となる組織や器官は特に限定されず、例えば、線維芽細胞、上皮細胞、肝細胞、血液細胞、Tリンパ球などが挙げられる。
体細胞に導入する脱分化因子は、特に限定されず、iPS細胞を作製する際に用いる初期化因子を用いてよい。iPS細胞を作製する際に用いる初期化因子の組合せは公知であり、その例は上述のとおりである。これらの脱分化因子は、当業者に周知の方法により、DNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することができる。例えば、タンパク質の形態で導入する場合、リポフェクション、細胞膜透過性ペプチド(例えば、HIV由来のTATおよびポリアルギニン)との融合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。
脱分化因子をDNAの形態で導入する場合には、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクターなどが例示される。
このようにして得られた脱分化因子を導入した体細胞を、例えば、2〜14日間、10%FBS含有DMEMを用いて、5%CO2存在下、35〜40℃にて培養する。
次いで上記体細胞を、増殖因子、例えば、FGF、LIF、B27などの存在下で浮遊培養することにより、ニューロスフェアとして神経幹細胞を分化誘導することができる。
神経幹細胞誘導のための培養液としては、例えば、グルコース、グルタミン、インスリン、トランスフェリン、プロジェステロン、プトレシン、塩化セレンを添加したDMEM:Ham's F12培地などの無血清培地が挙げられる。
培養法の例としては、例えば、37℃、5%CO2存在下にて、適宜培養液交換しながら浮遊培養する。この方法により、短期間で、体細胞からニューロスフェアを大量に形成することができる。
上記方法などにより得られた神経幹細胞又は神経前駆細胞は、本発明の製造方法に使用する前に、細胞の純度を高めておくことが好ましい。このための方法には、目的の細胞を選別する方法、例えばフローサイトメトリー法などが挙げられる。フローサイトメトリー法は、非常に細い流液中に細胞粒子を高速度で流し、レーザー光を照射して、粒子が発生する蛍光(細胞が予め蛍光標識された場合)、散乱光などの光を測定するものであり、セルソーターを備えると、目的の細胞を選別・分離することができる。細胞の蛍光標識は、神経幹細胞又は神経前駆細胞にそれぞれ特異的な抗体(蛍光標識化)、例えば、抗SSEA-1抗体、抗PSA-NCAM抗体などによって行うことができる。
2.3−本発明の製造方法
上記方法などにより得られた神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞へと分化させることにより、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。本発明の製造方法で使用される固体3次元マトリックスは上述のとおりである。
神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスへ播種し、該細胞を増殖させるための維持培地としては、哺乳動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、Neurobasal培地、Neurobasal−A培地、Neural Progenitor Basal培地、NS−A培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI1640培地、Fischer's培地及びこれらの混合培地などが包含される。培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。ここで、無血清培地とは、無調整又は未精製の血清を含まない培地を意味し、精製された血液由来成分や動物組織由来成分(例えば、増殖因子)を含む培地は無血清培地に該当するものとする。培地に血清が含まれる場合、血清の濃度は、通常、0.1〜30(v/v)%の範囲である。
維持培地はまた、添加物として、アルブミン(例えば脂質リッチアルブミン)、トランスフェリン、脂肪酸、コラーゲン前駆体、微量元素(例えば亜鉛、セレン)、B−27サプリメント、N2サプリメント、ノックアウトシーラムリプレースメント、2−メルカプトエタノール、3'チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物や、脂質、アミノ酸(例えばL−グルタミン等)、非必須アミノ酸、ビタミン類(例えばアスコルビン酸、d−ビオチン等)、増殖因子(例えばbFGF等)、抗生物質(例えばストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)、抗酸化剤、糖類(例えばグルコース等)、有機酸(例えばピルビン酸、乳酸等)、緩衝剤(例えばHEPES等)、ステロイド(例えばβ−エストラジオール、プロゲステロン等)、ポリアミン類(例えばプトレシン等)等の1つ以上の物質も含有しうる。
維持培地はまた、多能性幹細胞の神経前駆細胞への分化誘導(Li et al.,PNAS(2011),108:8299−8304)の際に使用する白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor(LIF))を含むことが好ましい。LIFが培地中に含まれる場合には、その濃度は特に限定されないが、通常0.25 ng/ml〜1μg/ml、好ましくは1〜50 ng/ml、最も好ましくは3〜30 ng/mlである。
維持培地はまた、GSK3β阻害剤やTGFβファミリー阻害剤等の特定の蛋白質の阻害剤である低分子化合物を含んでもよい。GSK3β阻害剤が培地中に含まれる場合には、その濃度は特に限定されないが、通常0.01〜100μM、好ましくは0.05〜10μM、最も好ましくは0.1〜5μMである。
一実施態様において、神経幹細胞又は神経前駆細胞は細胞懸濁液の形態で固体3次元マトリックスへ播種される。固体3次元マトリックス播種される細胞の濃度は特に限定されないが、通常約5x104 cells/mL〜1x107 cells/mL、好ましくは約5x105 cells/mL〜5x106 cells/mLの範囲である。
維持培養で用いられる培養器は、細胞培養用であれば特に限定されないが、例えば、フラスコ、組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリディッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレート、マイクロウエルプレート、マルチプレート、マルチウエルプレート、チャンバースライド、シャーレ、チューブ、トレイ、培養バック、ローラーボトルなどが挙げられる。神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに効率的に接着させるという観点から、固体3次元マトリックスが神経幹細胞又は神経前駆細胞を含む細胞懸濁液に十分に浸漬するよう培養器や固体3次元マトリックスのサイズを選択することが好ましい。
神経幹細胞又は神経前駆細胞は固体3次元マトリックスへと播種した後、未分化のまま当該細胞を増殖・維持する条件下で培養を開始する。未分化のまま神経幹細胞又は神経前駆細胞を増殖させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で16時間〜7日程度培養する方法が挙げられる。
本発明の製造方法では、上述の維持培養条件により、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、目的の神経細胞へと最終分化させる。
(A)内耳神経細胞への分化誘導方法
本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、内耳神経細胞への分化誘導剤、例えば、bFGF、EGF、BDNF、NTF3、BMP4、ソニックヘッジホッグなどのタンパク質の存在下、さらに培養することにより、内耳神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。
上記方法で使用される分化誘導培地は、内耳神経細胞への分化誘導剤が添加されることを除き、上記維持培地と同様であってもよく、異なってもよい。異なる場合は、上記維持培地で例示した基礎培地の少なくとも一種類を含み、所望により上記維持培地で例示した各種添加物を一種類以上含有してもよい。培地中の内耳神経細胞への分化誘導剤の濃度は、内耳神経細胞を分化誘導する範囲において特に限定されないが、例えば、ソニックヘッジホッグを用いる場合、好ましくは50 ng/ml〜5μg/mlなどである。
増殖した神経幹細胞又は神経前駆細胞を内耳神経細胞へと分化させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で7〜50日程度培養する方法が挙げられる。
内耳神経細胞に最終分化したことの確認は、Brn3a、ペリフェリン、VGLUT1等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
(B)ドパミン作動性神経細胞への分化誘導方法
本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、ドパミン作動性神経細胞への分化誘導剤、例えば、TGF-βファミリー阻害剤、GSK3β阻害剤、ソニックヘッジホッグ(蛋白質)、プルモルファミンなどの存在下でさらに培養することにより、ドパミン作動性神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。
上記方法で使用される分化誘導培地は、ドパミン作動性神経細胞への分化誘導剤が添加されることを除き、上記維持培地と同様であってもよく、異なってもよい。異なる場合は、上記維持培地で例示した基礎培地の少なくとも一種類を含み、所望により上記維持培地で例示した各種添加物を一種類以上含有してもよい。培地中のドパミン作動性神経細胞への分化誘導剤の濃度は、ドパミン作動性神経細胞を分化誘導する範囲において特に限定されないが、例えば、TGF-βファミリー阻害剤を用いる場合、好ましくは1μM〜100μMなどである。
増殖した神経幹細胞又は神経前駆細胞をドパミン作動性神経細胞へと分化させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で7〜35日程度培養する方法が挙げられる。
ドパミン作動性神経細胞に最終分化したことの確認は、チロシンヒドロキシラーゼ、AADC等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
(C)GABA作動性神経細胞への分化誘導方法
本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、GABA作動性神経細胞への分化誘導剤、例えば、ソニックヘッジホッグ、プルモルファミンなどの存在下でさらに培養することにより、GABA作動性神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。
上記方法で使用される分化誘導培地は、GABA作動性神経細胞への分化誘導剤が添加されることを除き、上記維持培地と同様であってもよく、異なってもよい。異なる場合は、上記維持培地で例示した基礎培地の少なくとも一種類を含み、所望により上記維持培地で例示した各種添加物を一種類以上含有してもよい。培地中のGABA作動性神経細胞への分化誘導剤の濃度は、GABA作動性神経細胞を分化誘導する範囲において特に限定されないが、例えば、プルモルファミンを用いる場合、好ましくは100 nM〜10μMなどである。
増殖した神経幹細胞又は神経前駆細胞をGABA作動性神経細胞へと分化させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で7〜42日程度培養する方法)が挙げられる。
GABA作動性神経細胞に最終分化したことの確認は、GAD67、VGAT等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
(D)運動神経細胞への分化誘導方法
本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、運動神経細胞への分化誘導剤、例えば、TGF-βファミリー阻害剤、GSK3β阻害剤、レチノイン酸、プルモルファミンなどの存在下でさらに培養することにより、運動神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。
上記方法で使用される分化誘導培地は、運動神経細胞への分化誘導剤が添加されることを除き、上記維持培地と同様であってもよく、異なってもよい。異なる場合は、上記維持培地で例示した基礎培地の少なくとも一種類を含み、所望により上記維持培地で例示した各種添加物を一種類以上含有してもよい。培地中の運動神経細胞への分化誘導剤の濃度は、運動神経細胞を分化誘導する範囲において特に限定されないが、例えば、レチノイン酸を用いる場合、好ましくは0.01μM〜10μMなどである。
増殖した神経幹細胞又は神経前駆細胞を運動神経細胞へと分化させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で7〜30日程度培養する方法が挙げられる。
運動神経細胞に最終分化したことの確認は、HB9、Isl、SMI-32、ChAT等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
(E)コリン作動性神経細胞への分化誘導方法
本発明の製造方法では、神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックス上で未分化のまま増殖させた後、コリン作動性神経細胞への分化誘導剤、例えば、FGF8、ソニックヘッジホッグ、BMP9などの存在下でさらに培養することにより、コリン作動性神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を製造することができる。
上記方法で使用される分化誘導培地は、コリン作動性神経細胞への分化誘導剤が添加されることを除き、上記維持培地と同様であってもよく、異なってもよい。異なる場合は、上記維持培地で例示した基礎培地の少なくとも一種類を含み、所望により上記維持培地で例示した各種添加物を一種類以上含有してもよい。培地中のコリン作動性神経細胞への分化誘導剤の濃度は、コリン作動性神経細胞を分化誘導する範囲において特に限定されないが、例えば、FGF8を用いる場合、好ましくは10 ng/ml〜1 mg/mlなどである。
増殖した神経幹細胞又は神経前駆細胞をコリン作動性神経細胞へと分化させる一般的な培養条件としては、32〜40℃、2〜10%のCO2を通気したインキュベータ内で7〜20日程度培養する方法が挙げられる。
コリン作動性神経細胞に最終分化したことの確認は、VAchT、ChAT等のマーカーの発現を指標として、例えば、対応する遺伝子の発現を慣用の核酸の検出方法により調べること又はタンパク質の発現を免疫細胞組織化学的手法により調べることによって行うこともできるが、これらに限定されない。
3.神経細胞移植用途
本発明の複合体を形成する神経細胞は、移植後の生着能を有するものである。従って、本発明の複合体は、損傷した神経組織の正常化のため、再生医療の分野で有効に使用し得るものである。
さらに、本発明の複合体は、増殖能を持った未分化細胞ではなく、移植後の生着能を有する終末分化した神経細胞を含むため、これを細胞移植療法に使用することにより、移植後のガン化の危険性を大幅に低下させることができる。また、移植後のガン化の危険性をさらに低下させるために、抗ガン剤含有培地で本発明の複合体を予め処理しておいてもよい。抗ガン剤の例としては、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、メトトレキセートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の複合体を移植することにより治療することのできる疾患の例としては、例えば、内耳神経細胞の障害を伴う感音難聴、ドパミン作動性神経細胞が減少するパーキンソン病、運動神経細胞が減少する萎縮性側索硬化症、コリン作動性神経細胞が減少するアルツハイマー病、GABA作動性神経細胞が障害されるてんかんなどが挙げられる。
本発明の複合体は、移植後の生着能を有する神経細胞が固体3次元マトリックスに組み込まれているため、当該固体を神経損傷部位に留置するだけで、神経細胞を補充することができる。従って、手術手技が非常に簡便であり、再現性に富む方法で神経細胞を移植することが可能である。例えば、感音難聴の患者であれば、内耳神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を、対象の蝸牛内に留置するだけで、障害を受けた内耳神経細胞を補充することが可能となる。また、本発明の複合体は固体であるために、移植細胞が移植部位を離れて全身に拡散することがない。さらに、万一移植細胞の悪性化が生じた際も、核を含む細胞体は固体3次元マトリックス上にあるため、移植した複合体を取り出すだけで問題となる細胞群を容易に除去することができる。
本発明の複合体を細胞移植に使用する場合、使用する神経細胞は、患者本人の細胞あるいは組織適合型が許容範囲のドナーの細胞を用いて作製されたものであることが好ましい。また、本発明の複合体の移植量については、移植される患者の年齢、体重、症状などによって適宜決定することができる。
4.神経細胞移植用キット製剤
一実施態様において、本発明は、神経幹細胞又は神経前駆細胞と固体3次元マトリックスとを組み合わせてなる神経細胞移植用キット製剤であって、該神経幹細胞又は神経前駆細胞が該固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化した状態で神経細胞損傷部位に留置される、キット製剤(以下、本発明のキット製剤とも称する)を提供する。
本発明のキット製剤に含まれる神経幹細胞又は神経前駆細胞は、対象となる動物の脳、脊髄、胚などの組織から直接採取したものであってもよく、上記2.1に記載する方法などにより多能性幹細胞を出発材料として製造されたものであってもよく、あるいは上記2.2に記載する方法などにより多能性幹細胞を経由せずに体細胞から直接誘導されたものであってもよい。また、本発明のキット製剤に含まれる固体3次元マトリックスについても、上述したとおりであり、公知の方法により適切に作製することができる。
また、本発明のキット製剤には、神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を未分化のまま増殖させるための神経幹細胞維持培地、並びに/或いは該増殖した細胞を神経細胞に分化させるための神経分化誘導培地がさらに含まれることが好ましい。神経幹細胞維持培地及び神経分化誘導培地としては、上記2.3に記載の維持培地及び分化誘導培地を使用することができる。
神経幹細胞維持培地と神経分化誘導培地とは、同種の基礎培地を用いて作製されたものであっても、異種の基礎培地を用いて作製されたものであってもよいが、同種の基礎培地を用いたものであることが好ましい。
本発明のキット製剤には、さらに分化誘導の手順を記載した書面や説明書を含んでもよい。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
以下の実施例では、移植細胞としてヒトiPS細胞由来神経幹細胞を用いた。また、固体3次元マトリックスとしてアテロコラーゲンスポンジハニカム(株式会社高研)を用いた。
神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の作製
ヒトES細胞からの神経幹細胞分化誘導法(Li W et al.,PNAS(2011),108(20):8299−8304)を参考にヒトiPS細胞からの神経幹細胞分化誘導を行った。ヒトiPS細胞株 201B7(Takahashi K et al.,Cell(2007),131(5):861−872)をマトリゲルコートディッシュ上でmTeSRTM1培地を用い4日間フィーダーレス培養した。その後、2μMのPD0325901と3μMのCHIR99021及び1,000 U/mlのヒトLIFを加えたN2B27培地(神経幹細胞用培地)で7日以上培養し、神経幹細胞を分化誘導した。これらの神経幹細胞を数回継代培養して増殖させ凍結保存した。
この凍結保存細胞を融解し再び増殖させ、剥離剤ではがして1×106 cells/mlの細胞懸濁液を作製した。この細胞懸濁液を市販のアテロコラーゲンスポンジを入れた96ウェルプレート1 well当たり200μl加え、約2時間、断続的に揺らしながら、細胞をアテロコラーゲンスポンジに接着させた。位相差顕微鏡による観察で、アテロコラーゲンスポンジへの神経幹細胞の接着を確認した。
神経幹細胞用培地中で2〜5日間、この細胞とアテロコラーゲンスポンジとの複合体を培養し、接着した細胞を増殖させた。さらにこの後アテロコラーゲンスポンジ上の神経幹細胞を神経細胞へ分化させる為、N2B27培地で1週間以上培養した。
神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の検討
上記で作製した細胞とアテロコラーゲンスポンジとの複合体上での細胞の状態を、蛍光免疫染色法によって検討した。細胞とアテロコラーゲンスポンジとの複合体を4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.2%TX−100で透過処理した後、1%BSA/PBSで処理し、抗体の非特異吸着を防御した。次いで、神経細胞を検出するための抗β-III tubulin抗体及びアテロコラーゲンスポンジの原料であるI型コラーゲンを検出するための抗Type I collagen抗体で処理し、蛍光ラベルされた二次抗体と反応させ、蛍光顕微鏡にて観察した。
その結果、免疫蛍光染色法により神経分化誘導後の細胞と固体3次元マトリックスとの複合体上に神経突起を伸ばした神経細胞の存在が確認され、神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体が形成されていることが確認された(図1)。
神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の生体への移植と生存の確認
神経細胞とアテロコラーゲンスポンジとの複合体を、ウアバイン処理によって障害したモルモット内耳の蝸牛鼓室階へ留置した。一週間後、内耳組織を採取し、固定・脱灰処理を行った後凍結切片を作製し、蛍光免疫組織染色法により、移植細胞の生着を検討した。
その結果、移植にかかる時間は短縮され手術侵襲による炎症は軽減した。また一週間後採取された内耳組織内で、移植細胞(GFPで示される)の生着が確認された(図2)。
以上の結果から、神経幹細胞は神経細胞への分化能を消失することなく固体3次元マトリックスに接着可能であることが示された。さらに、そのマトリックス上で神経細胞への分化が可能であり、分化した神経細胞は軸索を伸展させていることから、移植先でのさらなる軸索伸長とシナプス形成が予測された。これらの事実は、本発明の複合体が、神経移植の必要がある、種々の疾患に対する細胞移植に応用が可能であることを示す。また、既存の分化誘導法を用いて疾患に応じたサブタイプの神経細胞を固体3次元マトリックス上で分化誘導し、神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を作製することにより、終末分化した細胞を目的部位へ簡便かつ安全に移植することが可能である。
本発明の神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体を神経損傷部位への細胞移植療法に用いることにより、1)神経損傷部位にこれを留置するだけで細胞を移植できるため、手術手技が非常に簡便であり、2)終末分化した神経細胞を移植するためにガン化の危険性がなく、3)固体3次元マトリックスとの複合体であるために、移植細胞が移植部位を離れて全身に拡散することがなく、4)万が一移植細胞の悪性化が生じた際も、核を含む細胞体は固体3次元マトリックス上にあるため、移植した複合体を取り出すだけで問題となる細胞群を容易に除去することができるという極めて安全性の高い新規細胞移植療法を確立することができる。

Claims (15)

  1. 移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体。
  2. 神経細胞が固体3次元マトリックス上で神経幹細胞又は神経前駆細胞から分化したものである、請求項1記載の複合体。
  3. 固体3次元マトリックスが、コラーゲン、ラミニン及びフィブロネクチンからなる群より選択される少なくとも1種により形成される、請求項1又は2記載の複合体。
  4. 固体3次元マトリックスがスポンジ状である、請求項1〜3のいずれか一項記載の複合体。
  5. 神経細胞が内耳神経細胞である、請求項1〜4のいずれか一項記載の複合体。
  6. 神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させることを特徴とする、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体の製造方法。
  7. 神経幹細胞又は神経前駆細胞が多能性幹細胞に由来する、請求項6記載の方法。
  8. 神経細胞が内耳神経細胞である、請求項6又は7記載の方法。
  9. 神経幹細胞又は神経前駆細胞と固体3次元マトリックスとを組み合わせてなる神経細胞移植用キット製剤であって、該神経幹細胞又は神経前駆細胞が該固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化した状態で神経細胞損傷部位に留置される、キット製剤。
  10. 神経幹細胞又は神経前駆細胞が多能性幹細胞に由来する、請求項9記載のキット製剤。
  11. 固体3次元マトリックスが、コラーゲン、ラミニン及びフィブロネクチンからなる群より選択される少なくとも1種により形成される、請求項9又は10記載のキット製剤。
  12. 固体3次元マトリックスがスポンジ状である、請求項9〜11のいずれか一項記載のキット製剤。
  13. 神経細胞が内耳神経細胞である、請求項9〜12のいずれか一項記載のキット製剤。
  14. 神経幹細胞及び/又は神経前駆細胞を未分化のまま増殖させるための神経幹細胞維持培地、並びに/或いは該増殖した細胞を神経細胞に分化させるための神経分化誘導培地をさらに含む、請求項9〜13のいずれか一項記載のキット製剤。
  15. 神経幹細胞又は神経前駆細胞を固体3次元マトリックスに播種し、該細胞を増殖させた後、固体3次元マトリックス上で神経細胞に分化させて得られる、移植後の生着能を有する神経細胞と固体3次元マトリックスとの複合体。
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