JPWO2020067443A1 - 体細胞のシート化方法 - Google Patents

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Abstract

接着細胞、例えば骨格筋が細胞、を該細胞の機能を高度に有したまま含み、高品質な移植片を製造する方法、当該方法を用いて製造された移植片、当該移植片を用いた疾患の処置方法などを提供することを目的とする。
(a)接着細胞を含む細胞集団を、培養基材上に播種する工程、および(b)播種した細胞集団を、血小板溶解物を含む媒体で培養する工程を含む、移植片の製造方法などにより、上記課題が解決された。

Description

本開示は、種々の生体由来細胞、例えば筋芽細胞を含む移植片を製造する方法、当該方法を用いて製造されたシート状細胞培養物、当該シート状細胞培養物を用いた疾患の処置方法などに関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞、iPS細胞等の利用が試みられている(非特許文献1)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(特許文献1、非特許文献2)。
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道ガン内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められており、その一部は臨床応用の段階に入っている。
特表2007−528755号公報
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012 Feb;1(2):136-41 Sawa et al., Surg Today. 2012 Jan;42(2):181-4
本開示は、種々の生体由来細胞、例えば筋芽細胞を該細胞の機能を高度に有したまま含み、高品質なシート状細胞培養物を製造する方法、当該方法を用いて製造されたシート状細胞培養物、当該シート状細胞培養物を用いた疾患の処置方法などを提供することを目的とする。
細胞を含む移植片を調製するにあたっては、ゼノフリー環境下で調製される必要がある。そこで、かかる移植片は、通常、製造工程由来不純物を含まないように、ウシ胎児血清などの異種血清に代えて、ヒト由来、好ましくはレシピエント由来の血清を用いて調製されている。しかしながら、大量のヒト血清を用いるのはコストがかかり、またレシピエント由来の血清を用いる場合はさらに、レシピエントへの負担も大きいという問題がある。
本発明者らは、ゼノフリー環境下で調製しても十分な機能を有する筋芽細胞を用いた生体移植用のシート状細胞培養物の調製を試みる中で、血清の代わりに血小板溶解物(Platelet lysate)を用いた場合であっても、血清を用いた場合と比較しても遜色ないシート状細胞培養物を製造できるという新たな知見を見出した。かかる知見に基づいてさらに研究を進め、血小板溶解物を用いることにより、種々の生体由来細胞を含有する移植片の調製において、臨床応用に耐え得る高品質な移植片を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に下記に掲げるものに関する:
[1]接着細胞を含む移植片を製造する方法であって;
(a)前記接着細胞を含む細胞集団を、培養基材上に播種する工程、および
(b)播種した細胞集団を、血小板溶解物を含む媒体でインキュベートする工程、
を含む、前記方法。
[2]接着細胞が、遺伝子導入されていない細胞である、[1]の方法。
[3]媒体が、移植片に含まれる細胞が由来する種と異種の血清を含まない、[1]または[2]の方法。
[4]媒体が、さらに細胞接着性成分を含む、[1]〜[3]の方法。
[5]培養基材が、細胞接着性成分および/または血小板溶解物でコーティングされている、[1]〜[4]の方法。
[6]接着細胞が、筋芽細胞である、[1]〜[5]の方法。
[7]移植片が、シート状細胞培養物である、[1]〜[6]の方法。
本発明によれば、種々の生体由来細胞、例えば筋芽細胞を含む細胞集団から、例えばシート状細胞培養物などの移植片を、高品質かつ高効率に製造することができる。特にシート状筋芽細胞培養物など、生体内に移植して効果を発揮する移植片の調製において、サイトカイン産生能などの所望の性質を高いレベルで保持した移植片を調製可能であり、再生医療において非常に好適に移植片などを提供することが可能となる。
図1は、シート状骨格筋芽細胞培養物の形成試験の結果を表す写真図である。AはFBS含有培地で形成されたシート状骨格筋芽細胞培養物であり、B〜DはPL含有培地で形成されたシート状骨格筋芽細胞培養物である。BはUltraGro、CはUltraGRO PURE、DはUltraGRO ADVANCEをそれぞれ入れたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願および他の出版物や情報は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
本開示において、「移植片」とは、生体内へ移植するための構造物を意味し、特に細胞を構成成分として含む移植用構造物を意味する。移植片において細胞同士は接着して全体としてある形状を形成している状態を少なくとも一つ含み、一つ一つの細胞が全てバラバラに遊離して存在している、いわゆる懸濁状態は、本開示の「移植片」には含まれない。好ましい一態様においては、移植片は、細胞および細胞由来の物質以外の構造物(例えばスキャフォールドなど)を含まない移植用構造物である。本開示における移植片としては、これに限定するものではないが、例えばシート状細胞培養物、スフェロイド、細胞凝集塊、細胞懸濁物、フィブリンゲルを含む細胞懸濁物、ナノファイバーを用いた細胞培養物などが挙げられ、好ましくはシート状細胞培養物またはスフェロイド、より好ましくはシート状細胞培養物である。
本開示において、「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。本開示において、「スフェロイド」は細胞が互いに連結して略球状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、シート状細胞培養物やスフェロイドを構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層体(多層)、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。
本開示のシート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本開示のシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本開示のシート状細胞培養物は、好ましくは、シート状細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
細胞は異種由来細胞であっても同種由来細胞であってもよい。ここで「異種由来細胞」は、シート状細胞培養物が移植に用いられる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、サルやブタに由来する細胞などが異種由来細胞に該当する。また、「同種由来細胞」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する細胞を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト細胞が同種由来細胞に該当する。同種由来細胞は、自己由来細胞(自己細胞または自家細胞ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する細胞と、同種非自己由来細胞(他家細胞ともいう)を含む。自己由来細胞は、移植しても拒絶反応が生じないため、本開示においては好ましい。しかしながら、異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用することも可能である。異種由来細胞や同種非自己由来細胞を利用する場合は、拒絶反応を抑制するため、免疫抑制処置が必要となることがある。なお、本明細書中で、自己由来細胞以外の細胞、すなわち、異種由来細胞と同種非自己由来細胞を非自己由来細胞と総称することもある。本開示の一態様において、細胞は自家細胞または他家細胞である。本開示の一態様において、細胞は自家細胞(自家iPS細胞を含む)である。本開示の別の態様において、細胞は他家細胞(他家iPS細胞を含む)である。
本開示の移植片を構成する細胞は、移植片を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、接着細胞(付着性細胞)を含む。好ましい一態様において、移植片を構成する細胞は、遺伝子導入されていない細胞である。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞から分化させたものであってもよい。移植片を構成する細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。
幹細胞由来接着細胞の非限定例としては、幹細胞由来の心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞などが挙げられる。
移植片を構成する細胞は、移植片による治療が可能な任意の生物に由来し得る。かかる生物には、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯目動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギなどが含まれる。また、移植片を構成する細胞の種類の数は特に限定されず、1種類のみの細胞で構成されていてもよいが、2種類以上の細胞を用いたものであってもよい。移植片を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の含有比率(純度)は、シート状細胞培養物の形成終了時において、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上であり得る。
培養基材は、細胞がその上で移植片を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、種々の材質および/または形状の容器、容器中の固形もしくは半固形の表面などを含む。容器は、培養液などの液体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられる。また、容器は、少なくとも1つの平坦な面を有することが好ましい。かかる容器の例としては、限定することなく、例えば、細胞培養物の形成が可能な培養基材で構成された底面と、液体不透過性の側面とを備えた培養容器が挙げられる。かかる培養容器の特定の例としては、限定されずに、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられる。容器の底面は透明であっても不透明であってもよい。容器の底面が透明であると、容器の裏側から細胞の観察、計数などが可能となる。また、容器は、その内部に固形もしくは半固形の表面を有してもよい。固形の表面としては、上記のごとき種々の材料のプレートや容器などが、半固形の表面としては、ゲル、軟質のポリマーマトリックスなどが挙げられる。培養基材は、上記材料を用いて作製してもよいし、市販のものを利用してもよい。
好ましい培養基材としては、限定することなく、例えば、シート状細胞培養物の形成に適した、接着性の表面を有する基材、スフェロイドの形成に適した、低接着性の表面を有する基材および/または均一なウェル状構造を有する基材などが挙げられる。具体的には、シート状細胞培養物の形成の場合であれば、例えばコロナ放電処理したポリスチレン、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物を該表面にコーティングした基材、さらには、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などを表面にコーティングした基材などが挙げられる。また、かかる基材は市販されている(例えば、Corning(R) TC-Treated Culture Dish、Corningなど)。またスフェロイドの形成の場合であれば、例えば軟寒天、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)をポリエチレングリコール(PEG)で架橋した温度応答性ゲル(市販名:メビオールゲル)、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(ポリHEMA)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリスコリン(MPC)ポリマーなどのハイドロゲルなどの非細胞接着性化合物を表面にコーティングした基材および/または均一な凹凸構造を表面に有する基材などが挙げられる。かかる基材もまた市販されている(例えば、EZSPHERE(R)など)。培養基材は全体または部分が透明であっても不透明であってもよい。
培養基材は、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面が被覆されていてもよい。かかる材料としては、限定されずに、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN−イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2−211865、特開2003−33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。温度応答性材料で被覆された培養皿は市販されており(例えば、CellSeed Inc.のUpCell(R))、これらを本開示の製造方法に使用することができる。
培養基材は、種々の形状であってもよい。また、その面積は特に限定されないが、例えば、約1cm〜約200cm、約2cm〜約100cm、約3cm〜約50cmなどであってよい。例えば、培養基材として直径10cmの円形の培養皿が挙げられる。この場合、面積は56.7cmとなる。培養表面は平坦であってもよいし、凹凸構造を有していてもよい。凹凸構造を有する場合、均一な凹凸構造であることが好ましい。
本開示において、「多能性幹細胞」は、当該技術分野で周知の用語であり、三胚葉、すなわち内胚葉、中胚葉および外胚葉に属する全ての系列の細胞に分化することができる能力を有する細胞を意味する。多能性幹細胞の非限定例としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、核移植胚性幹細胞(ntES細胞)などが挙げられる。本開示の多能性幹細胞は、特に遺伝子導入されていない多能性幹細胞を意味する。通常多能性幹細胞を特定の細胞に分化誘導する際には、まず多能性幹細胞を浮遊培養して、上記三胚葉のいずれかの細胞の凝集体を形成し、その後凝集体を形成する細胞を目的とする特定の細胞に分化誘導させる。
本開示において、「多能性幹細胞由来の分化誘導細胞」は、多能性幹細胞から特定の種類の細胞に分化するように分化誘導処理された任意の細胞を意味する。分化誘導細胞の非限定例は、心筋細胞、骨格筋芽細胞などの筋肉系の細胞、ニューロン細胞、オリゴデンドロサイト、ドーパミン産生細胞などの神経系の細胞、網膜色素上皮細胞などの網膜細胞、血球細胞、骨髄細胞などの造血系の細胞、T細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、B細胞などの免疫関連の細胞、肝細胞、膵β細胞、腎細胞などの臓器を構成する細胞、軟骨細胞、生殖細胞などの他、これらの細胞に分化する前駆細胞や体性幹細胞などを含む。かかる前駆細胞や体性幹細胞の典型例としては、例えば心筋細胞における間葉系幹細胞、多分化性心臓前駆細胞、単能性心臓前駆細胞、神経系の細胞における神経幹細胞、造血系の細胞や免疫関連の細胞における造血幹細胞およびリンパ系幹細胞などが挙げられる。多能性幹細胞の分化誘導は、既知の任意の手法を用いて行うことができる。例えば、多能性幹細胞から心筋細胞への分化誘導は、Miki et al., Cell Stem Cell 16, 699-711, June 4, 2015やWO2014/185358に記載の手法に基づいて行うことができる。
本開示において「筋芽細胞」は、横紋筋細胞の前駆細胞を意味し、骨格筋芽細胞および心筋芽細胞を含む。
本開示において「骨格筋芽細胞」は、骨格筋に存在する筋芽細胞を意味する。骨格筋芽細胞は当該技術分野でよく知られており、骨格筋から任意の既知の方法(例えば、特開2007−89442号公報に記載の方法など)により調製することもできるし、商業的に入手することもできる(例えば、Lonza、Cat# CC-2580)。骨格筋芽細胞は、限定されずに、例えば、CD56、α7インテグリン、ミオシン重鎖IIa、ミオシン重鎖IIb、ミオシン重鎖IId(IIx)、MyoD、Myf5、Myf6、ミオゲニン、デスミン、PAX3などのマーカーにより同定することができる。特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性である。さらに特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性およびデスミン陽性である。骨格筋芽細胞は、骨格筋を有する任意の生物、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に由来してもよい。一態様において、骨格筋芽細胞は哺乳動物の骨格筋芽細胞である。特定の態様において、骨格筋芽細胞はヒト骨格筋芽細胞である。また、骨格筋芽細胞は、任意の骨格筋から採取できる。一態様において、本開示の骨格筋芽細胞は、大腿部、頚部、腹部由来の骨格筋芽細胞である。
本開示の一側面は、接着細胞、特に遺伝子導入されていない接着細胞を含む高品質な移植片を製造する方法に関する。本開示の方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)前記接着細胞を含む細胞集団を、培養基材上に播種する工程、および
(b)播種した細胞集団を、血小板溶解物を含む媒体でインキュベートする工程。
本開示において、「遺伝子導入されていない細胞」とは、細胞取得の過程において、外来の遺伝子を導入されていない細胞を意味する。細胞が、幹細胞から誘導された細胞の場合、幹細胞の単離および分化誘導のいずれの過程においても遺伝子導入がされていない。例えばある体細胞を用いる場合、生体組織から取得した初代細胞や、初代細胞を継代した継代細胞、生体組織から取得した当該体細胞の前駆細胞を分化させて得られる細胞などを用い得る。
工程(a)において、培養基材への播種は、例えば、細胞を媒体に懸濁した細胞懸濁液を、培養基材を備えた培養容器に注入することなどにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。細胞の播種密度は、移植片を形成し得る密度で行われ、かかる密度は、移植片の種類や所望の細胞により異なり得るが、当業者であれば当該技術分野において公知の手法などから適切な密度を選択することができる。例えば骨格筋芽細胞を含むシート状細胞培養物である場合、例えば2.0×10個/cm以上などであり得るが、より高密度で播種してもよい。
上記より高密度の例としては、例えばコンフルエントに達する密度、すなわち播種した際に細胞が培養容器の接着表面一面を覆うことが想定される程度の密度、例えば、播種した際に、細胞が互いに接触することが想定される程度の密度、接触阻害が発生する密度、または接触阻害により細胞の増殖を実質的に停止する密度であり得る。播種密度の上限は、特に制限されないが、密度が過度に高い場合には、死滅する細胞が多くなり、非効率となる。本開示の一態様において、播種密度は、例えば約1.0×10個/cm〜約1.0×10個/cm、約1.0×10個/cm〜約5.0×10個/cm、約1.0×10個/cm〜約3.0×10個/cm、約1.5×10個/cm〜約1.0×10個/cm、約1.5×10個/cm〜約5.0×10個/cm、約1.5×10個/cm〜約3.0×10個/cm、約2.0×10個/cm〜約1.0×10個/cm、約2.0×10個/cm〜約5.0×10個/cm、約2.0×10個/cm〜約3.0×10個/cmなどであり得る。好ましい一態様において、播種密度は、約1.76×10個/cm〜約2.33×10個/cmである。
播種される培養基材は、上記で詳述したとおりであるが、一態様において、細胞外マトリクスや細胞接着因子などの細胞接着性成分を表面にコーティングした培養基材が好ましい場合がある。細胞接着性成分としては、これに限定するものではないが、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックス、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などが挙げられるほか、これらの改変物、例えばラミニン511(ラミニンの改変物)、VTN−N(ビトロネクチンの改変物)、レトロネクチン(R)(フィブロネクチンの改変物)であってもよい。
工程(b)において、播種した細胞を、移植片形成のためにインキュベートする。本開示においては、移植片がシート状細胞培養物である場合の移植片形成を特に「シート化」と称し、播種した細胞をシート化するためのインキュベートを特に「シート化培養」と称する場合がある。播種した細胞の移植片形成のためのインキュベートは、既知の任意の手法および条件で行うことができる。かかる手法の非限定例は、例えば、特開2010-081829、特開2010-226991、特開2011-110368、特開2011-172925、WO 2014/185517などに記載されている。例えば細胞のシート化などの移植片形成は、細胞同士が接着分子や、細胞外マトリックスなどの細胞間接着機構を介して互いに接着することにより達成されると考えられている。したがって、播種した細胞を移植片形成(例えばシート化)するステップは、細胞を、細胞間接着を形成する条件下で培養することにより達成することができると考えられる。かかる条件は、細胞間接着を形成することができればいかなるものであってもよいが、通常は一般的な細胞培養条件と同様の条件であれば細胞間接着を形成することができる。かかる条件としては、例えば、約37℃、5%COでの培養が挙げられる。また、インキュベートは通常の圧力下(大気圧下、非加圧下)で行うことができる。インキュベートは任意の大きさおよび形状の容器で行うことができる。移植片の大きさや形状は、培養容器の大きさ・形状を調整すること、または、培養容器内に、所望の大きさ・形状の型枠を設置し、その内部で細胞を培養することなどにより任意に調節することができる。
移植片形成のためのインキュベートの時間は、播種する細胞の種類や細胞密度により異なり得る。例えば生体から骨格筋芽細胞を採取してシート化する場合、例えば約3.0×10個/cmなどの密度で播種し、2時間以上インキュベートすることによりシート化を行ってよい。また、播種密度をコンフルエントに達する密度、すなわちより高密度で播種する場合、シート化培養の期間を短縮することができ、培養時間は2〜12時間、より好ましくは2〜6時間であってよい。
移植片形成に用いる媒体(単に媒体と称する場合もある)としては、細胞間接着の形成を可能にするものであれば特に限定されず、例えば、生理食塩水、種々の生理緩衝液(例えば、PBS、HBSS等)、種々の細胞培養用の基礎培地をベースにしたものなどを使用してもよい。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7、DMEM/F12などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。基礎培地は、標準的な組成のまま(例えば、市販されたままの状態で)用いてもよいし、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。したがって、本発明に用いる基礎培地は、公知の組成のものに限定されず、1または2以上の成分が追加、除去、増量もしくは減量されたものを含む。シート化媒体は、通常血清(例えば、ウシ胎仔血清などのウシ血清、ウマ血清、ヒト血清等)、種々の成長因子(例えば、FGF、EGF、VEGF、HGF等)などの添加物を含んでもよいが、移植片をゼノフリー条件下で製造する場合、特にウシ血清、ウマ血清などの、移植片に含まれる細胞が由来する種と異種の血清を含まないことが好ましい。本開示は、血清や成長因子に代えてまたは加えて、血小板溶解物を含む媒体で移植片形成のためのインキュベートを行うことを特徴とする。好ましい一態様において、媒体は血小板溶解物を含むが、血清を含まない。
本開示において、「血小板溶解物」(Platelet lysate:PL)は、血小板に対して凍結融解を繰り返すことにより得られる、成長因子等を豊富に含む組成物をいう。血小板溶解物は、近年では、間葉系幹細胞の増殖を促進することなどが知られている。本発明者らは、接着細胞を含む移植片の製造において、媒体に血小板溶解物を含有せしめることにより、血清を用いた場合と同様に移植片形成が可能であり、したがってゼノフリー条件下での移植片形成を、低コストで簡便に達成可能であることを初めて見出した。
血小板溶解物は、細胞培養用の培地添加物として市販されており、当該技術分野において公知である。血小板溶解物は、例えば特表2014-533715、Bieback et al., STEM CELLS, 2009;27:2331-2341などに記載の方法などにより調製可能である。
具体的な調製方法としては、例えば、血小板の集団を溶解させ、そこから血小板の粒子や膜などの夾雑物を除去して上清を得るなどの手段により調製できる。血小板の溶解は、化学的手段(例えばCaClの使用など)、浸透圧的手段(例えば蒸留水の使用など)、凍結融解手段、機械的破壊手段などの工程を介して達成することができる。夾雑物の除去は、遠心分離やろ過などの方法により達成することができる。
媒体中に含まれる血小板溶解物の濃度は、当該技術分野において通常用いられる程度であればよく、例えば1%、2.5%、5%、10%、15%、20%などであってよい。好ましい一態様において、血小板溶解物は、媒体中に1%〜20%、より好ましくは2%〜10%、さらに好ましくは2.5%〜10%程度含有される。
媒体は、インキュベート期間中に適宜入れ替えてよい。また、移植片形成の進行に合わせて媒体の組成を変化させてもよい。
媒体は、さらに細胞接着性成分を含んでよい。細胞接着性成分については上記で詳述したとおりである。媒体に細胞接着性成分が含まれる場合、培養基材は細胞接着性成分や血小板溶解物でさらにコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。培養基材が細胞接着性成分および/または血小板溶解物でコーティングされている場合、媒体に含まれる細胞接着性成分は、培養基材をコーティングしている細胞接着性成分と同一であってもよいし異なっていてもよいが、好ましくは同一の細胞接着性成分である。
媒体に含まれる細胞接着性成分の濃度は、含まれる細胞接着性成分の種類や移植片形成する細胞の状態などにより異なり得る。例えば、バイアビリティの低い、すなわち活性が弱い細胞を用いてシート化を行う場合、細胞接着性成分の含有量は少ない方がよい。媒体に含まれる細胞接着性成分の濃度は、培養基材のコーティング剤として同じ細胞接着性成分を用いる場合に使用する濃度を基準(100%)として、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約50%、約75%、約100%などであってよい。したがって好ましい一態様において、媒体に含まれる細胞接着性成分の濃度範囲は、培養基材のコーティング剤として同じ細胞接着性成分を用いる場合に使用する濃度を基準(100%)として、約0.1%〜約100%、約0.1%〜約50%、約0.1%〜約25%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約10%、約1%〜約100%、約0.5%〜約100%、約0.5%〜約50%、約0.5%〜約25%、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約10%、約1%〜約50%、約1%〜約25%、約1%〜約20%、約1%〜約10%、約0.5%〜約100%、約5%〜約100%、約5%〜約50%、約5%〜約25%、約5%〜約20%、約5%〜約10%などであってよい。
上述のとおり、本開示の方法に用いられる筋芽細胞は、生体から直接得られたものであっても、他の細胞から誘導されたものであってもよいが、好ましくは生体から直接得られたものである。一態様において、本開示の骨格筋芽細胞は、大腿部、頚部、腹部由来の骨格筋芽細胞である。骨格筋芽細胞が、他の細胞から誘導されたものである場合、誘導する他の細胞としては、任意の細胞に分化し得る多能性幹細胞などが挙げられる。
本開示の別の側面は、本開示の方法により製造された移植片、好ましくはシート状細胞培養物の有効量を、それを必要とする対象に適用することを含む、前記対象における疾患を処置する方法に関する。処置の対象となる疾患は、上記したとおりである。
本開示において、用語「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解または予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的および/または治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」の用語は、組織の異常に関連する疾患の進行の遅延または停止、病変の退縮または消失、当該疾患発症の予防または再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
本開示の処置方法においては、移植片中の細胞の生存性、移植片の生着性および/または機能などを高める成分や、対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを、本開示の移植片(シート状細胞培養物等)と併用することができる。
本開示の処置方法は、本開示の製造方法に従って、本開示の移植片を製造するステップをさらに含んでもよい。本開示の処置方法は、移植片を製造するステップの前に、対象から移植片を製造するための細胞または細胞の供給源となる組織を採取するステップをさらに含んでもよい。一態様において、細胞または細胞の供給源となる組織を採取する対象は、細胞培養物、組成物、または移植片等の投与を受ける対象と同一の個体である。別の態様において、細胞または細胞の供給源となる組織を採取する対象は、細胞培養物、組成物、または移植片等の投与を受ける対象とは同種の別個体である。別の態様において、細胞または細胞の供給源となる組織を採取する対象は、移植片等の投与を受ける対象とは異種の個体である。
本開示において、有効量とは、例えば、疾患の発症や再発を抑制し、症状を軽減し、または進行を遅延もしくは停止し得る量(例えば、移植片のサイズ、重量、枚数等)であり、好ましくは、当該疾患の発症および再発を予防し、または当該疾患を治癒する量である。また、投与による利益を超える悪影響が生じない量が好ましい。かかる量は、例えば、マウス、ラット、イヌまたはブタなどの実験動物や疾患モデル動物における試験などにより適宜決定することができ、このような試験法は当業者によく知られている。また、処置の対象となる組織病変の大きさは、有効量決定のための重要な指標となり得る。
投与方法としては、例えば、静脈投与、筋肉内投与、骨内投与、髄腔内投与、組織への直接的な適用などが挙げられる。投与頻度は、典型的には1回の処置につき1回であるが、所望の効果が得られない場合には、複数回投与することも可能である。組織に適用する際、本発明の細胞培養物、組成物、またはシート状細胞培養物等を対象の組織に縫合糸やステープルなどの係止手段により固定してもよい。
本発明を以下の例を参照してより詳細に説明するが、これらは本発明の特定の具体例を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)細胞集団の調製
成人大腿部から無菌的に採取した骨格筋組織から得られた細胞を培養フラスコに播種し、20%FBSを含有するMCDB131培地中で増殖させた。増殖させた細胞をタンパク質分解酵素液で培養フラスコから剥離させ、回収後、遠心分離により濃縮して、骨格筋芽細胞を含む細胞集団を得た。
(2)シート状細胞培養物の作製
DMEM/F12培地に20%ウシ胎児血清(FBS)または20%血小板溶解物(PL)をそれぞれ加えたものをシート化媒体として、シート化培養条件を検討した。PLとしてはUltra GRO、UltraGRO Pure、UltraGRO ADVANCE(AventaCell BioMedical社)の3種類をそれぞれ用いた。(1)で調製した骨格筋芽細胞を含む細胞集団を、1.5×10個/cmの密度で温度応答性培養皿(UpCell(R)、セルシード製)に播種し、37℃、5%COの条件で1日間培養した後に状態を確認したところ、シート状細胞培養物が形成されていた。その後培養基材からシート状細胞培養物を剥離した。
結果を下表に示す。
Figure 2020067443
ラミニンおよび血小板溶解物を入れたシート化媒体を用いたものは、FBSを入れたシート化媒体を用いたものと遜色なくシート状細胞培養物を形成することができた(図1)。
本発明により、接着細胞、特に遺伝子導入されていない細胞、例えば移植対象から採取した細胞等を用いて移植片を形成する際に、ゼノフリー環境であっても従来のものと遜色ない高品質な移植片を得ることができる。したがって、臨床用に用いるゼノフリーな移植片の製造において、高品質な移植片を簡便に形成することが可能となる。

Claims (7)

  1. 接着細胞を含む移植片を製造する方法であって;
    (a)前記接着細胞を含む細胞集団を、培養基材上に播種する工程、および
    (b)播種した細胞集団を、血小板溶解物を含む媒体でインキュベートする工程、
    を含む、前記方法。
  2. 接着細胞が、遺伝子導入されていない細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 媒体が、移植片に含まれる細胞が由来する種と異種の血清を含まない、請求項1または2に記載の方法。
  4. 媒体が、さらに細胞接着性成分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 培養基材が、細胞接着性成分および/または血小板溶解物でコーティングされている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 接着細胞が、筋芽細胞である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 移植片が、シート状細胞培養物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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