JP2021132597A - Cd56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法 - Google Patents

Cd56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】移植する対象から採取された骨格筋組織から得られる細胞集団中の骨格筋芽細胞や筋衛星細胞といったCD56陽性細胞の数が、本来的に組織に含まれている細胞数よりも大幅に少なく、また細胞数や増殖能などの質が骨格筋組織を採取する対象の年齢などの個体差によって変化するため、CD56陽性細胞の数が多い、高い品質の細胞培養物を安定して提供することが困難であるといった課題を見出した。【解決手段】CD56陽性細胞を含む細胞を培地に播種する工程、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、CD56陽性細胞の純度を評価する工程を含む、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法により、上記課題が解決された。【選択図】図1

Description

本発明は、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法および該方法により製造された細胞培養物を投与する方法に関する。
近年の心臓病に対する治療の革新的進歩にかかわらず、重症心不全に対する治療体系は未だ確立されていない。重症心不全治療の解決策として新しい再生医療の展開が不可欠と考えられている。重症心筋梗塞等においては、心筋細胞が機能不全に陥り、さらに線維芽細胞の増殖、間質の線維化が進行し心不全を呈するようになる。心不全の進行に伴い、心筋細胞は傷害されてアポトーシスに陥るが、心筋細胞は殆ど細胞分裂をおこさないため、心筋細胞数は減少し心機能の低下もさらに進む。このような重症心不全患者に対する心機能回復には細胞移植法が有用とされ、既に骨格筋芽細胞よる臨床応用が開始されている。
近年、その一例として、骨格筋芽細胞を含む心臓に移植可能な三次元に構成された細胞培養物と、その製造方法が提供された(特許文献1)。また別の例として、骨格筋を再生する幹細胞療法に供する目的で、カルニチンおよび/またはその誘導体、脂肪酸ならびにステロイドを含む組成物によって、骨格筋幹細胞または骨格筋前駆細胞から筋線維または筋管を調製する方法が提供された(特許文献2)。
このような細胞移植に用いる骨格筋芽細胞は、通常移植する対象の骨格筋組織から骨格筋芽細胞や筋衛星細胞といったCD56陽性細胞を分離して得るが、CD56陽性細胞の割合を高める方策として、例えば、骨格筋組織をタンパク質分解酵素溶液に所定の時間浸漬して酵素処理を行って得られた酵素処理液を廃棄した後に、再度タンパク質分解酵素溶液に所定の時間浸漬して酵素処理を行って得られた酵素処理液に含まれる細胞を回収する方法や(特許文献3)、筋細胞のみを培養する培養液として血清と基礎培地とを含有し、上記血清濃度が全培養液中10〜40体積%であり上記基礎培地が全培養液中50〜90体積%であり、グルコースを実質的に含まない培地を使用することが知られている(特許文献4)。また別の細胞では、MEGM培地及びMCDB培地から選択される乳腺上皮細胞用培地である無血清培地を用いて、筋線維芽細胞を取得する方法が知られている(特許文献5)。
特表2007−528755号公報 特表2018−506290号公報 特開2011−110368号公報 特開2018−000194号公報 特許第5758891号公報
上記のようにして移植する対象から採取された骨格筋組織から得られる細胞集団中の骨格筋芽細胞や筋衛星細胞といったCD56陽性細胞の数が、本来的に組織に含まれている細胞数よりも大幅に少なく、また細胞数や増殖能などの質が骨格筋組織を採取する対象の年齢などの個体差によって変化するため、CD56陽性細胞の数が多い、高い品質の細胞培養物を安定して提供することが困難であるといった課題を見出した。
本発明者は、上述した問題を解決するために鋭意研究する中で、生体組織から得た細胞集団から細胞培養物を調製する際に、CD56陽性率の高い細胞集団の方が、低い細胞集団よりもTGF−β産生量が低いことを見出した。かかる知見に基づいてさらに研究を続けた結果、細胞集団のCD56陽性率とTGF−β産生量とが相関することを見出し、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法であって、CD56陽性細胞を含む細胞集団を培地に播種する工程、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、CD56陽性細胞の純度を評価する工程を含む、前記方法。
[2]播種後5〜12日目の間にTGF−βの濃度を測定する、[1]に記載の方法。
[3]培地がFBSを含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]培地に含まれるFBSを、FBS中のTGF−βの濃度に基づいて選択する工程を含む、[3]に記載の方法。
[5]培地に含まれるFBSのTGF−βの濃度が、2000〜4000pg/mLである、[3]または[4]に記載の方法。
[6]CD56陽性細胞を含む細胞培養物が、CD56陽性細胞を含むシート状細胞培養物である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]CD56陽性細胞が、骨格筋芽細胞である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8]CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための培地の安定性を評価する方法であって、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、培地の安定性を評価する工程を含む、前記方法。
[9]CD56陽性細胞を含む細胞培養物の品質を管理するための方法であって、培養上清中のTGF−βの濃度に基づいて管理する工程を含む、前記方法。
[10][1]〜[7]のいずれか1つに記載の方法によって製造されたCD56陽性細胞を含む細胞培養物により改善される疾患を処置する方法であって、前記細胞培養物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
本発明の方法を用いて、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を調製することによって、より効率的に、高い比率のCD56陽性細胞を含む細胞培養物を得ることが可能となり、これによって、高い品質の細胞培養物を安定して移植に供することが可能となる。また本発明の方法を用いることによって、細胞培養物を調製する際に用いるFBSおよび培地を、より適切に選択することが可能となり、これによって、高い品質の細胞培養物をより安定して供給することが可能となる。さらに、本発明の方法を用いることによって、調製したシート状細胞培養物の状態を評価することが可能となり、品質の低いシート状細胞培養物を移植に供することを避けることが可能となる。
図1は、CD56陽性率の高い細胞集団およびCD56陽性率の低い細胞集団における、細胞培養中のTGF−β産生量を示すグラフである。 図2は、細胞集団のCD56陽性率とTGF−β産生量との関係を示すグラフである。図2Aは、培養1日目から7日目までの、CD56陽性率とTGF−β産生量との関係を示すグラフ、図2Bは、培養7日目から9日目までの、CD56陽性率とTGF−β産生量との関係を示すグラフであり、図2Cは、培養9日目から11日目までの、CD56陽性率とTGF−β産生量との関係を示すグラフである。 図3は、2つの異なるロットのFBSを用いた20%FBS含有細胞増殖培地における、TGF−β含有量およびヒト骨格筋芽細胞の倍加時間を示すグラフである。
本発明の一側面は、CD56陽性細胞を含む細胞集団を培地と共に播種する工程、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、CD56陽性細胞の純度を評価する工程を含む、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法に関する。
本発明における、「CD56陽性細胞」とは、細胞表面マーカーCD56によって特徴づけられる細胞を指す。CD56陽性細胞は、体細胞であっても未分化な幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などであってもよく、典型的には、骨格筋芽細胞および筋衛星細胞などの骨格筋前駆細胞である。CD56陽性細胞の比率を測定する手法としては、例えば、抗CD56抗体で標識し、抗体が結合した陽性細胞数を、計数した総細胞数で除すことが挙げられる。CD56陽性細胞の計数は、特異的抗体で染色した標本の顕微鏡観察、顕微鏡像の画像解析、特異的抗体で染色した細胞集団のフローサイトメトリー解析などによって行うことができる。
本発明における「CD56陽性細胞の純度」または「CD56陽性率」は、CD56陽性細胞とCD56陽性細胞以外の細胞(非CD56陽性細胞)とを含む細胞集団を構成する全細胞数に対するCD56陽性細胞数の割合を指す。細胞集団は、生体組織そのものであってもよいし、生体から採取された組織、当該組織から調製された細胞懸濁液または当該細胞から製造された移植片などであってもよいし、多能性幹細胞から分化誘導された細胞から調製された細胞懸濁液または当該細胞から製造された移植片などであってもよい。典型的には、生体から採取した組織から調製されるため細胞集団は典型的には同一組織に存在する細胞から構成される。例えば、骨格筋組織から調製される細胞集団は、主として例えば骨格筋芽細胞および筋衛星細胞などの骨格筋前駆細胞ならびに線維芽細胞から構成される。この場合、骨格筋前駆細胞がCD56陽性細胞である。したがって、本発明の一態様において、細胞集団は骨格筋組織から調製された細胞集団である。本発明の一態様において、CD56陽性細胞は好ましくは骨格筋芽細胞および/または筋衛星細胞であり、非CD56陽性細胞は線維芽細胞である。
CD56陽性細胞が、例えば骨格筋芽細胞であればCD56のほか、限定されずに、例えば、Pax7、GATA4、MyoD、α7インテグリン、ミオシン重鎖IIa、ミオシン重鎖IIb、ミオシン重鎖IId(IIx)、Myf5、myogeninなどのマーカーにより特定することができる。CD56陽性細胞が、筋衛星細胞であればCD56のほか、限定されずに、例えば、Pax7、α7インテグリン、CD34、CXCR4、CD29などのマーカーにより特定することができる。
本発明において、「CD56陽性細胞を含む細胞培養物」とは、CD56細胞を含む細胞から、細胞培養工程を経て得られる組成物を指す。本発明の一態様において、CD56陽性細胞を含む細胞培養物は、CD56陽性細胞を含むシート状細胞培養物である。
本発明において「シート状細胞培養物」は、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層(多層)体、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。
シート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明のシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本発明のシート状細胞培養物は、好ましくは、シート状細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
本発明において、細胞培養物は、当業者に既知の任意の細胞培養物を製造する方法に、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、CD56陽性細胞の純度を評価する工程を加えて製造することができる。細胞培養物の製造方法は、典型的に、細胞集団を培地に播種する工程、播種した細胞集団を培養する工程を含むが、これに限定されない。細胞集団を培地に播種する工程の前に、細胞集団を凍結する工程および細胞集団を解凍する工程を行ってもよい。さらに、細胞集団を解凍する工程の後に細胞集団を洗浄する工程を行ってもよい。ここで、培地に播種するとは、例えば、細胞集団を培地に懸濁して培養基材に播種することを含む。また、細胞培養物がシート状細胞培養物である場合には、任意に播種した細胞集団をシート化する工程、形成されたシート状細胞培養物を培養基材から剥離する工程を含んでもよく、他の細胞培養物の製造方法についての工程も、シート状細胞培養物の製造に適した既知の任意の手法で行うことができる。ある一態様において、細胞集団を解凍する工程の後、細胞集団を培地に播種する工程の前に細胞を増殖させる工程を含まない。
本発明において、「CD56陽性細胞の純度を評価する」とは、細胞集団を構成する全細胞数におけるCD56陽性細胞数の割合が所望の値の範囲内にあるかどうかを、測定された培養上清中のTGF−βの濃度に基づいて、判断または予想することを指す。TGF−βの濃度を測定する手法は、当業者にとって既知の任意の手法を用いることができ、例えば、TGF−βを捕捉する抗体を用いた、ELISA法などによって測定することができる。特定の理論に拘束されるものではないが、TGF−βは、筋芽細胞の増殖を抑制するため、培養上清中のTGF−βの濃度が上昇するとCD56陽性細胞の純度が低下することが考えられる。
本発明の一態様において、CD56陽性率とTGF−β産生量との相関関係に基づき、測定したTGF−βの濃度からCD56陽性率を推測することにより、CD56陽性細胞の純度の評価を行ってもよい。ここで、TGF−β産生量は、測定したTGF−βの濃度の値から、播種した日に測定したTGF−βの濃度の値を減じた値を指す。TGF−βの濃度の測定は、これらに限定されないが、播種後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12日目またはそれ以降に行われる。例えば、2〜12日目の間、好ましくは5〜12日目の間にTGF−βの濃度を測定してもよい。
本発明に用いる培地は、細胞の生存を維持できるものであれば特に限定されないが、典型的には、アミノ酸、ビタミン類、電解質を主成分としたものが利用できる。本発明の一態様において、培地は、細胞培養用の基礎培地をベースにしたものである。かかる基礎培地には、限定されずに、例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7などが含まれる。これらの基礎培地の多くは市販されており、その組成も公知となっている。しかしながら、本発明の製造方法に用いる場合は、細胞種や細胞条件に応じてその組成を適宜変更してもよい。
培養基材は、細胞がその上で細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、種々の材質および/または形状の容器、容器中の固形もしくは半固形の表面などを含む。容器は、培養液などの液体を透過させない構造・材料が好ましい。かかる材料としては、限定することなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ナイロン6,6、ポリビニルアルコール、セルロース、シリコン、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、金属(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮)等が挙げられる。また、容器は、少なくとも1つの平坦な面を有することが好ましい。かかる容器の例としては、限定することなく、例えば、細胞培養物の形成が可能な培養基材で構成された底面と、液体不透過性の側面とを備えた培養容器が挙げられる。かかる培養容器の特定の例としては、限定されずに、細胞培養皿、細胞培養ボトルなどが挙げられる。容器の底面は透明であっても不透明であってもよい。容器の底面が透明であると、容器の裏側から細胞の観察、計数などが可能となる。また、容器は、その内部に固形もしくは半固形の表面を有してもよい。固形の表面としては、上記のごとき種々の材料のプレートや容器などが、半固形の表面としては、ゲル、軟質のポリマーマトリックスなどが挙げられる。培養基材は、上記材料を用いて作製してもよいし、市販のものを利用してもよい。
好ましい培養基材としては、限定することなく、例えば、シート状細胞培養物の形成に適した、接着性の表面を有する基材、スフェロイドの形成に適した、低接着性の表面を有する基材および/または均一なウェル状構造を有する基材などが挙げられる。具体的には、シート状細胞培養物の形成の場合であれば、例えば、コロナ放電処理したポリスチレン、コラーゲンゲルや親水性ポリマーなどの親水性化合物を該表面にコーティングした基材、さらには、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスや、カドヘリンファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーなどの細胞接着因子などを表面にコーティングした基材などが挙げられる。また、かかる基材は市販されている(例えば、Corning(商標) TC-Treated Culture Dish、Corningなど)。またスフェロイドの形成の場合であれば、例えば軟寒天、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)をポリエチレングリコール(PEG)で架橋した温度応答性ゲル(市販名:メビオールゲル)、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル(ポリHEMA)、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリスコリン(MPC)ポリマーなどのハイドロゲルなどの非細胞接着性化合物を表面にコーティングした基材および/または均一な凹凸構造を表面に有する基材などが挙げられる。かかる基材もまた市販されている(例えば、EZSPHERE(登録商標)など)。培養基材は全体または部分が透明であっても不透明であってもよい。
培養基材は、刺激、例えば、温度や光に応答して物性が変化する材料で表面が被覆されていてもよい。かかる材料としては、限定されずに、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド等)、N,N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等)、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−プロペニル)−モルホリン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピロリジン、1−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−ピペリジン、4−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−モルホリン等)、またはビニルエーテル誘導体(例えば、メチルビニルエーテル)のホモポリマーまたはコポリマーからなる温度応答性材料、アゾベンゼン基を有する光吸収性高分子、トリフェニルメタンロイコハイドロオキシドのビニル誘導体とアクリルアミド系単量体との共重合体、および、スピロベンゾピランを含むN−イソプロピルアクリルアミドゲル等の光応答性材料などの公知のものを用いることができる(例えば、特開平2−211865、特開2003−33177参照)。これらの材料に所定の刺激を与えることによりその物性、例えば、親水性や疎水性を変化させ、同材料上に付着した細胞培養物の剥離を促進することができる。温度応答性材料で被覆された培養皿は市販されており(例えば、CellSeed Inc.のUpCell(登録商標))、これらを本発明の製造方法に使用することができる。
培養基材は、種々の形状であってもよい。また、その面積は特に限定されないが、例えば、約1cm〜約200cm、約2cm〜約100cm、約3cm〜約50cmなどであってよい。例えば、培養基材として直径10cmの円形の培養皿が挙げられる。この場合、面積は56.7cmとなる。培養表面は平坦であってもよいし、凹凸構造を有していてもよい。凹凸構造を有する場合、均一な凹凸構造であることが好ましい。
培養基材は血清でコート(被覆またはコーティング)されていてもよい。血清でコートされた培養基材を用いることにより、より高密度のシート状細胞培養物を形成することができる。「血清でコートされている」とは、培養基材の表面に血清成分が付着している状態を意味する。かかる状態は、限定されずに、例えば、培養基材を血清で処理することにより得ることができる。血清による処理は、血清を培養基材に接触させること、および、必要に応じて所定期間インキュベートすることを含む。
血清としては、異種血清および/または同種血清を用いることができる。異種血清は、細胞培養物を移植に用いる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ウシやウマに由来する血清、例えば、ウシ胎仔血清(FBS、FCS)、仔ウシ血清(CS)、ウマ血清(HS)などが異種血清に該当する。また、「同種血清」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト血清が同種血清に該当する。同種血清は、自己血清(自家血清ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する血清、およびレシピエント以外の同種個体に由来する同種他家血清を含む。なお、本明細書中で、自己血清以外の血清、すなわち、異種血清と同種他家血清を非自己血清と総称することもある。
培養基材をコートするための血清は、市販されているか、または、所望の生物から採取した血液から定法により調製することができる。具体的には、例えば、採取した血液を室温で約20分〜約60分程度放置して凝固させ、これを約1000×g〜約1200×g程度で遠心分離し、上清を採取する方法などが挙げられる。
培養基材上でインキュベートする場合、血清は原液で用いても、希釈して用いてもよい。希釈は、任意の媒体、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7など)等で行うことができる。希釈濃度は、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約0.5%〜約100%(v/v)、好ましくは約1%〜約60%(v/v)、より好ましくは約5%〜約40%(v/v)である。
インキュベート時間も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約1時間〜約72時間、好ましくは約2時間〜約48時間、より好ましくは約2時間〜約24時間、さらに好ましくは約2時間〜約12時間である。インキュベート温度も、血清成分が培養基材上に付着することができれば特に限定されず、例えば、約0℃〜約60℃、好ましくは約4℃〜約45℃、より好ましくは室温〜約40℃である。
インキュベート後に血清を廃棄してもよい。血清の廃棄手法としては、ピペットなどによる吸引や、デカンテーションなどの慣用の液体廃棄手法を用いることができる。本発明の好ましい態様においては、血清廃棄後に、培養基材を無血清洗浄液で洗浄してもよい。無血清洗浄液としては、血清を含まず、培養基材に付着した血清成分に悪影響を与えない液体媒体であれば特に限定されず、例えば、限定することなく、水、生理食塩水、種々の緩衝液(例えば、PBS、HBSSなど)、種々の液体培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB(MCDB102、104、107、120、131、153、199など)、L15、SkBM、RITC80−7など)等で行うことができる。洗浄手法としては、慣用の培養基材洗浄手法、例えば、限定することなく、培養基材上に無血清洗浄液を加えて所定時間(例えば、約5秒〜約60秒間)撹拌後、廃棄する手法などを用いることができる。
本発明において、培養基材を、成長因子でコートしてもよい。ここで、「成長因子」は、細胞の増殖を、それがない場合に比べて促進する任意の物質を意味し、例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)などを含む。成長因子による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、例えば、約0.0001μg/mL〜約1μg/mL、好ましくは約0.0005μg/mL〜約0.05μg/mL、より好ましくは約0.001μg/mL〜約0.01μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
本発明において、培養基材を、ステロイド剤でコートしてもよい。ここで「ステロイド剤」は、ステロイド核を有する化合物のうち、生体に、副腎皮質機能不全、クッシング症候群などの悪影響を及ぼし得るものをいう。かかる化合物としては、限定されずに、例えば、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等が含まれる。ステロイド剤による培養基材のコート手法、廃棄手法および洗浄手法は、インキュベーション時の希釈濃度が、デキサメタゾンとして、例えば、約0.1μg/mL〜約100μg/mL、好ましくは約0.4μg/mL〜約40μg/mL、より好ましくは約1μg/mL〜約10μg/mLである以外は、基本的に血清と同じである。
培養基材は、血清、成長因子およびステロイド剤のいずれか1つでコートしても、これらの任意の組合わせ、すなわち、血清と成長因子、血清とステロイド剤、血清と成長因子とステロイド剤、または、成長因子とステロイド剤の組合わせでコートしてもよい。複数の成分でコートする場合、これらの成分を混合して同時にコートしてもよいし、別々の工程でコートしてもよい。
培養基材への細胞集団の播種は、既知の任意の手法および条件で行うことができる。培養基材への細胞集団の播種は、例えば、細胞集団を培養液に懸濁した細胞懸濁液を培養基材(培養容器)に注入することにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。
本発明の一態様において、培地に血清を含む。本発明において、血清は、例えば、細胞を培地に懸濁する前に、培地に添加されることによって含まれてもよい。血清は、異種血清および/または同種血清を用いることができる。本発明において用いられる血清には、これに限定するものではないが、ウシ胎仔血清(FBS)などのウシ血清、ウマ血清、ヒト血清などを含み、好ましくは、FBSである。
本発明の一態様において、本発明の方法は、培地に含まれるFBSを、FBS中のTGF−βの濃度に基づいて選択する工程をさらに含む。本発明において、FBSは、TGF−βを含む細胞増殖因子や栄養因子などを培地に補填するために添加されるが、上記の通り、TGF−βの濃度が高いと筋芽細胞の増殖は抑えられ、TGF−βの濃度が低いと細胞増殖能に悪影響を及ぼすことが考えられる。本発明において、例えば、FBS中のTGF−βの濃度が1000〜5000pg/mL、好ましくは、2000〜4000pg/mLであるFBSが、培地に使用するために選択される。
一態様において、測定したFBS中のTGF−βの濃度が、所望の値の範囲よりも低ければ、TGF−βをFBSにさらに加えて所望の値の範囲内としてもよく、測定したFBS中のTGF−βの濃度が、所望の値の範囲よりも高ければ、TGF−β阻害剤をFBSに加えてもよい。ここで、TGF−β阻害剤は、TGF−β受容体へのTGF−βの結合を阻止又は阻害する剤を指し、これらに限定されるものではないが、SB−43154、A83−01、LDN193189などを含む。一態様において、TGF−βの濃度が、所望の値の範囲よりも高いFBSと、TGF−βの濃度が、所望の値の範囲よりも低いFBSとを混ぜ合わせて、TGF−βの濃度が所望の値の範囲内にある、FBSとしてもよい。
本発明の別の側面は、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、培地の安定性を評価する工程を含む、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための培地の安定性を評価する方法に関する。
本発明において、培地の安定性が高いと評価するためには、例えば、培養上清中のTGF−βの濃度を2回以上測定した際に、CD56陽性率とTGF−β産生量との相関から外れて変動していないことが挙げられる。相関から外れて変動していないとは、1回目の測定において推定されたCD56陽性率の細胞集団が2回目の測定において取ると予想される値から、例えば、30%、20%、好ましくは10%以内の値であることを指す。
本発明のまた別の側面は、培養上清中のTGF−βの濃度に基づいて管理する工程を含む、CD56陽性細胞を含む細胞培養物の品質を管理するための方法に関する。
上記の通り、本発明において、CD56陽性率とTGF−β産生量との相関関係に基づき、測定したTGF−βの濃度からCD56陽性率を推測することにより、CD56陽性細胞の純度の評価を行うことができる。したがって、培養上清中のTGF−βの濃度を測定することで、CD56陽性率を推測し、所望の値の範囲のCD56陽性率を有すると推測される細胞培養物を品質が良好である、所望の値の範囲外のCD56陽性率を有すると推測される細胞培養物を品質が不良であるとすることができ、例えば、品質が良好である細胞培養物のみを市場に出荷することが可能となる。一態様において、CD56陽性細胞を含む細胞培養物の品質を管理のための評価は、CD56陽性細胞を含む細胞培養物を培養基材から回収する際のTGF−βの濃度の測定に基づいて行われてもよい。
本発明の別の側面は、本発明の方法により製造されたCD56陽性細胞を含む細胞培養物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記細胞培養物により改善される疾患を処置する方法に関する。
本発明の処置方法は、CD56陽性細胞を含む細胞集団を培地と共に播種する工程の前に、対象から細胞培養物を製造するための細胞集団(iPS細胞を用いる場合は、例えば、皮膚細胞、血球等)または細胞集団の供給源となる生体組織(iPS細胞を用いる場合は、例えば、皮膚組織、血液等)を採取する工程をさらに含んでもよい。
一態様において、細胞集団または細胞集団の供給源となる組織を採取する対象は、細胞培養物の投与を受ける対象と同一の個体である。別の態様において、細胞集団または細胞集団の供給源となる組織を採取する対象は、細胞培養物の投与を受ける対象とは同種の別個体である。
本発明において、用語「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解または予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的および/または治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」の用語は、組織の異常に関連する疾患の進行の遅延または停止、病変の退縮または消失、当該疾患発症の予防または再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
本発明の処置方法においては対象疾患の処置に有用な他の有効成分などを、本発明の方法により製造された細胞培養物と併用することができる。
本発明において、有効量とは、例えば、疾患の発症や再発を抑制し、症状を軽減し、または進行を遅延もしくは停止し得る量(例えば、シート状細胞培養物のサイズ、重量、枚数等)であり、好ましくは、当該疾患の発症および再発を予防し、または当該疾患を治癒する量である。また、投与による利益を超える悪影響が生じない量が好ましい。かかる量は、例えば、マウス、ラット、イヌまたはブタなどの実験動物や疾患モデル動物における試験などにより適宜決定することができ、このような試験法は当業者によく知られている。また、処置の対象となる組織病変の大きさは、有効量決定のための重要な指標となり得る。
投与方法としては、例えば、静脈投与、筋肉内投与、骨内投与、髄腔内投与、組織への直接的な適用などが挙げられる。投与頻度は、典型的には1回の処置につき1回であるが、所望の効果が得られない場合には、複数回投与することも可能である。組織に適用する際、本発明の細胞培養物、またはシート状細胞培養物等を対象の組織に縫合糸やステープルなどの係止手段により固定してもよい。
例1.TGF−β産生量とCD56陽性率
(1)ヒト骨格筋芽細胞におけるTGF−β産生量およびCD56陽性率の測定
ヒト骨格筋芽細胞を、2群にわけて、それぞれ100細胞/cmとなるように、3.5mLの20%FBS含有細胞培養培地に懸濁し、T20フラスコ(Thermo Fisher)に播種し、37℃、5%CO下で培養した。両群において、播種後9日目(Day9)に培地交換を行い、播種後11日目(Day11)に細胞培養物を回収した。
播種後7日目(Day7)、8日目(Day8)、9日目、11日目において、各群を培養しているフラスコから培養上清を採取し、Human TGF-beta1 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems、DB100B)を用いて、製造元の指示に従い、TGF−βの濃度を測定し、TGF−β産生量を算出した。
播種後11日目に、各群から回収した細胞培養物を構成する細胞について、CD56抗体をそれぞれ反応させ、フローサイトメーターを用いてCD56陽性率を測定した。
(2)結果
フローサイトメーターにより測定された、各群から回収した細胞培養物を構成する細胞のCD56陽性率は、81%および72%であった(以下、CD56陽性率が81%であった群を高純度群、CD56陽性率が72%であった群を低純度群と称する)。
播種後7日目から11日目までの各群におけるTGF−β産生量を示すグラフを図1に示す。
低純度群において、播種後7日目以降にTGF−β産生量が高くなる傾向があることが確認された。
例2.CD56陽性率とTGF−β産生量の関係
(1)ヒト骨格筋芽細胞におけるTGF−β産生量およびCD56陽性率の測定
ヒト骨格筋芽細胞を8群に分けて、例1と同様に、それぞれ100細胞/cmとなるように、3.5mLの20%FBS含有細胞培養培地に懸濁し、T20フラスコ(Thermo Fisher)に播種し、37℃、5%CO下で培養した。両群において、播種後9日目(Day9)に培地交換を行い、播種後11日目(Day11)に細胞培養物を回収した。
播種後1日目〜7日目(Day1〜Day7)、7日目〜9日目(Day7〜Day9)、9日目〜11日目(Day9〜Day11)において、各群を培養しているフラスコから培養上清を採取し、Human TGF-beta1 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems、DB100B)を用いて、製造元の指示に従い、TGF−βの濃度を測定し、TGF−β産生量を算出した。
播種後11日目に、各群から回収した細胞培養物を構成する細胞について、CD56抗体をそれぞれ反応させ、フローサイトメーターを用いてCD56陽性率を測定した。
(2)結果
フローサイトメーターを用いて得られたCD56陽性率を縦軸に、TGF−β産生量を横軸にプロットしたグラフを図2に示す。図2Aは、播種後1日目〜7日目における、図2Bは、7日目〜9日目における、図2Cは、9日目〜11日目における、CD56陽性率とTGF−β産生量の関係を示す。
それぞれのグラフにおいて、CD56陽性率とTGF−β産生量についての回帰直線を作成し、決定計数を算出した。結果として、播種後7日目以降で、TGF−β産生量とCD56陽性率が逆相関することが確認された。
例3.FBSのロットチェック
(1)FBSのTGF−β含有量およびヒト骨格筋芽細胞の倍加時間の測定
異なる2つのロット(以下、ロットA、ロットBと称する)のFBSを用意し、それぞれのFBSについてHuman TGF-beta1 Quantikine ELISA Kit(R&D Systems、DB100B)を用いて、製造元の指示に従い、TGF−βの濃度を測定し、TGF−β含有量とした。
また同じ由来のヒト骨格筋芽細胞を、2群にわけて、それぞれ100細胞/cmとなるように、上記の異なるロットのFBSを使用した3.5mLの20%FBS含有細胞培養培地にそれぞれ懸濁し、T20フラスコ(Thermo Fisher)に播種し、37℃、5%CO下で培養し、ヒト骨格筋芽細胞の倍加時間を測定した。
(2)結果
それぞれのロットについて、TGF−β含有量を縦軸にとった棒グラフおよび倍加時間を縦軸にとった散布図の複合グラフを図3に示す。
TGF−β含有量の低いロットAを用いた培地では、ヒト骨格筋芽細胞の倍加時間は33時間、TGF−β含有量の高いロットBを用いた培地では、ヒト骨格筋芽細胞の倍加時間は29時間であり、TGF−β含有量の高いロットを用いた方が、ヒト骨格筋芽細胞の倍加時間が早いことが確認された。

Claims (10)

  1. CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための方法であって、CD56陽性細胞を含む細胞集団を培地に播種する工程、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、CD56陽性細胞の純度を評価する工程を含む、前記方法。
  2. 播種後5〜12日目の間にTGF−βの濃度を測定する、請求項1に記載の方法。
  3. 培地がFBSを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 培地に含まれるFBSを、FBS中のTGF−βの濃度に基づいて選択する工程を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 培地に含まれるFBSのTGF−βの濃度が、2000〜4000pg/mLである、請求項3または4に記載の方法。
  6. CD56陽性細胞を含む細胞培養物が、CD56陽性細胞を含むシート状細胞培養物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. CD56陽性細胞が、骨格筋芽細胞である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. CD56陽性細胞を含む細胞培養物を製造するための培地の安定性を評価する方法であって、培養上清中のTGF−βの濃度を測定し、培地の安定性を評価する工程を含む、前記方法。
  9. CD56陽性細胞を含む細胞培養物の品質を管理するための方法であって、培養上清中のTGF−βの濃度に基づいて管理する工程を含む、前記方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって製造されたCD56陽性細胞を含む細胞培養物により改善される疾患を処置する方法であって、前記細胞培養物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
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