JP7037395B2 - シート状細胞培養物の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、細胞シートは一般に脆弱であり、培養基材からの単離時やその後の操作中に皺や破れなどを生じやすく、移送、保存、移植などの操作には相当の熟練が必要であった。
[1]培養基材上に形成されたシート状細胞培養物を剥離する際に縮みを抑制する方法であって、
(a)少なくとも一部が培養基材に接着したシート状細胞培養物の上面 を、低栄養等張液で浸漬すること、および
(b)低栄養等張液中でシート状細胞培養物を剥離すること、
を含む、前記方法。
[2]培養基材が、血清で被覆されている、[1]の方法。
[3]培養基材が、温度応答性材料で被覆されている、[1]または[2]の方法。
[4]シート状細胞培養物が、筋芽細胞を含む、[1]~[3]の方法。
[5]低栄養等張液が、2~8℃である、[1]~[4]の方法。
[6]低栄養等張液が、ハンクス平衡塩液である、[1]~[5]の方法。
[7]浸漬により、シート状細胞培養物に残存した製造工程由来不純物が除去されることを特徴とする、[1]~[6]の方法。
[8]さらに、剥離したシート状細胞培養物を伸展させることを含む、[1]~[7]の方法。
[9]シート状細胞培養物の伸展が、シート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる、[8]の方法。
[11]灌流が、剥離されたシート状細胞培養物の両面に対して行われる、[10]の方法。
[12]灌流が、剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させることにより行われる、[10]または[11]の方法。
[13]シート状細胞培養物を浸漬させた低栄養等張液を除去し、新たな低栄養等張液を入れて再度シート状細胞培養物を浸漬させることを少なくとも1回行う、[12]の方法。
[14]灌流が、シート状細胞培養物の剥離直後から剥離後6時間までの間に行われる、[10]~[13]の方法。
[15]さらに、シート状細胞培養物を伸展させることを含む、[10]~[14]の方法。
[16]シート状細胞培養物の伸展が、シート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる、[15]の方法。
[17]さらに、シート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させたまま保存することを含む、[10]~[16]の方法。
[18]シート状細胞培養物が、筋芽細胞を含む、[10]~[17]の方法。
[19]低栄養等張液が、2~8℃である、[10]~[18]の方法。
[20]低栄養等張液が、ハンクス平衡塩液である、[10]~[19]の方法。
[22]浸漬が、シート状細胞培養物の剥離後6時間以降に行われる、[21]の方法。
[23]さらに、シート状細胞培養物を伸展させることを含む、[21]または[22]の方法。
[24]シート状細胞培養物の伸展が、シート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる、[23]の方法。
[25]シート状細胞培養物が、筋芽細胞を含む、[21]~[24]の方法。
[26]低栄養等張液が、常温である、[21]~[25]の方法。
[27]低栄養等張液が、浸漬開始時に2~8℃である、[21]~[26]の方法。
[28]低栄養等張液が、ハンクス平衡塩液である、[21]~[27]の方法。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
本開示において「骨格筋芽細胞」は、骨格筋に存在する筋芽細胞を意味する。骨格筋芽細胞は当該技術分野でよく知られており、骨格筋から任意の既知の方法(例えば、特開2007-89442号公報に記載の方法など)により調製することもできるし、商業的に入手することもできる(例えば、Lonza、Cat# CC-2580)。骨格筋芽細胞は、限定されずに、例えば、CD56、α7インテグリン、ミオシン重鎖IIa、ミオシン重鎖IIb、ミオシン重鎖IId(IIx)、MyoD、Myf5、Myf6、ミオゲニン、デスミン、PAX3などのマーカーにより同定することができる。特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性である。さらに特定の態様において、骨格筋芽細胞はCD56陽性およびデスミン陽性である。骨格筋芽細胞は、骨格筋を有する任意の生物、限定されずに、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳動物に由来してもよい。一態様において、骨格筋芽細胞は哺乳動物の骨格筋芽細胞である。特定の態様において、骨格筋芽細胞はヒト骨格筋芽細胞である。
本開示において「心筋細胞」は、心筋細胞の特徴を有する細胞を意味し、心筋細胞の特徴としては、限定されずに、例えば、心筋細胞マーカーの発現、自律的拍動の存在などが挙げられる。心筋細胞マーカーの非限定例としては、例えば、c-TNT(cardiac troponin T)、CD172a(別名SIRPAまたはSHPS-1)、KDR(別名CD309、FLK1またはVEGFR2)、PDGFRA、EMILIN2、VCAMなどが挙げられる。心筋細胞としては、iPS細胞由来の心筋細胞が好ましく例示される。
培養基材は血清でコート(被覆またはコーティング)されていてもよい。血清でコートされた培養基材を用いることにより、より高密度のシート状細胞培養物を形成することができる。「血清でコートされている」とは、培養基材の表面に血清成分が付着している状態を意味する。かかる状態は、限定されずに、例えば、培養基材を血清で処理することにより得ることができる。血清による処理は、血清を培養基材に接触させること、および、必要に応じて所定期間インキュベートすることを含む。
培養基材をコートするための血清は、市販されているか、または、所望の生物から採取した血液から定法により調製することができる。具体的には、例えば、採取した血液を室温で約20分~約60分程度放置して凝固させ、これを約1000×g~約1200×g程度で遠心分離し、上清を採取する方法などが挙げられる。
培養基材への細胞の播種は、既知の任意の手法および条件で行うことができる。培養基材への細胞の播種は、例えば、細胞を培養液に懸濁した細胞懸濁液を培養基材(培養容器)に注入することにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。
一態様において、低栄養は、低糖である。「低糖」とは糖が含まれてはいるがその割合が低い状態を意味し、したがって低糖には糖フリー状態は含まれない。かかる態様の例としては、具体的には例えば、低糖は低グルコースであり、低グルコースはグルコースフリーではない。低糖としては、典型的には例えば、糖が1000mg/L未満含まれる組成などが挙げられる。別の低糖条件の液としては、例えば、追加の糖類を含まない一般的な培養液における糖類の条件と比較して含有される糖類を1%未満まで低下させた条件などが含まれる。低糖状態の液に含まれる糖の量としては、具体的には例えば1000mg/L未満であり、好ましくは500mg/L未満であり、より好ましくは200mg/L未満であり、さらに好ましくは100mg/mL未満である。
別の一態様において、低栄養は、アミノ酸フリー状態、すなわちアミノ酸を含まない。かかる態様の例としては、具体的には例えば、必須アミノ酸を含まない。
本開示の一側面は、培養基材上に形成されたシート状細胞培養物を剥離する際にシート状細胞培養物の縮みを抑制する方法(以下、本開示の剥離方法と記載)が提供される。
本開示のシート状細胞培養物の剥離方法は以下の工程を含む:
(a)少なくとも一部が培養基材に接着したシート状細胞培養物の上面を、低栄養等張液で浸漬すること。
(b)低栄養等張液中でシート状細胞培養物を剥離すること。
工程(b)において、低栄養等張液に浸漬された、培養基材に接着したシート状細胞培養物は、低栄養等張液中に浸漬した状態で静置しておくことにより自然に剥離させてもよいし、低栄養等張液中で培養基材から能動的に剥離してもよい。好ましい一態様において、シート状細胞培養物を能動的に剥離する。能動的な剥離の方法は、シート状細胞培養物を損傷させるものでなければ特に限定されず、例えば基材ごと低栄養等張液を振盪させる方法、低栄養等張液を(例えばピペッティングなどにより)基材に接着したシート状細胞培養物の接着縁に噴出することで剥離する方法などが挙げられる。
(c)シート状細胞培養物を伸展させる工程。
工程(c)は、剥離の工程中に撚れたり折れ曲がったりしたシート状細胞培養物を伸展させる工程である。伸展工程(c)は、剥離工程(b)の後に行うことができる。伸展工程(c)は低栄養等張液中で行ってもよいし、低栄養等張液を除去した後に行い、その後低栄養等張液を再度加えてもよい。低栄養等張液除去後に伸展工程(c)を行う場合、例えば低栄養等張液をシート状細胞培養物が重なっている部分に滴下し、必要に応じて振動させる、などの手法により行うことができる。低栄養等張液中で伸展工程(c)を行う場合、低栄養等張液中に浸漬したシート状細胞培養物を、容器ごと振盪させる、などの手法により行うことができる。簡便性などの観点から、伸展工程は、好ましくは低栄養等張液中で、シート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる。
伸展工程は(c)は、常温下で行ってもよいし、冷蔵条件下、例えば例えば0~10℃または2~8℃など、で行ってもよい。また伸展に低栄養等張液を用いる場合、かかる低栄養等張液もまた、常温であってもよいし冷蔵条件、例えば0~10℃または2~8℃であってもよい。
また、シート状細胞培養物を構成する細胞の生理活動を低下させるという観点から、低栄養等張液は、好ましくは室温以下である。また、細胞へのダメージを極力小さくするという観点から、低栄養等張液は、好ましくは0℃以上である。好ましい一態様において、低栄養等張液は、0~10℃であり、より好ましくは2~8℃である。
本開示のシート状細胞培養物の灌流方法は以下の工程を含む:
(A)剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液により灌流すること。
本開示において、「灌流」とは、組織や移植片などの表面や内部に液体を流すことをいう。
工程(A)は、少なくとも1回行われるが、複数回繰り返してよく、例えば1回、2回、3回、4回、5回、6回繰り返されてよい。好ましい一態様において、灌流は3回行われる。
別の好ましい一態様において、灌流は、剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させることにより行われる。シート状細胞培養物の低栄養等張液への浸漬は、剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液中に導入することにより実施してもよいし、剥離されたシート状細胞培養物が入っている容器に低栄養等張液を入れることにより実施してもよい。シート状細胞培養物を直接操作することによる撚れや破損などのリスクを低減するという観点から、灌流は、好ましくは剥離されたシート状細胞培養物が入っている容器に低栄養等張液を入れてシート状細胞培養物を浸漬させることにより実施する。
(B)低栄養等張液を除去し、新たな低栄養等張液を入れて再度シート状細胞培養物を浸漬させること。
低栄養等張液への浸漬は、複数回行ってよい。複数回行う場合、例えば複数の低栄養等張液入り容器に、シート状細胞培養物を順番に導入することにより行ってもよいし、シート状細胞培養物の入った容器に低栄養等張液を入れて浸漬した後、低栄養等張液を除去し、新たな低栄養等張液を入れることを複数回繰り返してもよい。
工程(B)は、少なくとも1回行われるが、複数回繰り返してよく、例えば1回、2回、3回、4回、5回、6回繰り返されてよい。好ましい一態様において、再浸漬は3回行われる。
(C)シート状細胞培養物を伸展させること。
工程(C)は、剥離や液体の除去の工程中に撚れたり折れ曲がったりしたシート状細胞培養物を伸展させる工程を意味する。伸展工程(C)は、灌流工程(A)または再灌流工程(B)の前、灌流工程(A)または再灌流工程(B)の後あるいは灌流工程(A)と再灌流工程(B)の間または再灌流工程(B)が複数回ある場合は各工程(B)の間に行うことができる。伸展工程(C)は低栄養等張液中で行ってもよいし、低栄養等張液を除去した後に行い、その後低栄養等張液を再度加えてもよい。低栄養等張液除去後に伸展工程(C)を行う場合、例えば低栄養等張液をシート状細胞培養物が重なっている部分に滴下し、必要に応じて振動させる、などの手法により行うことができる。低栄養等張液中で伸展工程(C)を行う場合、低栄養等張液中に浸漬したシート状細胞培養物を、容器ごと振盪させる、などの手法により行うことができる。簡便性などの観点から、伸展工程(C)は、好ましくはシート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる。
伸展工程は(C)は、常温下で行ってもよいし、冷蔵条件下、例えば0~10℃または2~8℃など、で行ってもよい。また伸展に低栄養等張液を用いる場合、かかる低栄養等張液もまた、常温であってもよいし冷蔵条件、例えば0~10℃または2℃~8℃であってもよい。
(D)シート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させ、そのまま保存すること。
工程(D)は、工程(A)の後であればいつ行ってもよいが、好ましくは他の工程が終わった後、最後に行われる。
また、シート状細胞培養物を構成する細胞の生理活動を低下させるという観点から、低栄養等張液は、好ましくは室温以下である。また、細胞へのダメージを極力小さくするという観点から、低栄養等張液は、好ましくは0℃以上である。好ましい一態様において、低栄養等張液は、0~10℃であり、より好ましくは2~8℃である。
本開示の一側面において、工程(A)、(B)、(D)のみから構成されてもよい。
本開示のシート状細胞培養物の保存方法は以下の工程を含む:
(i)低栄養等張液に、剥離されたシート状細胞培養物を浸漬すること。 浸漬工程は(i)は、常温下で行ってもよいし、冷蔵条件下、例えば0~10℃または2~8℃など、で行ってもよい。また浸漬に用いる低栄養等張液の温度は、シート状細胞培養物を構成する細胞にダメージがない限り特に制限されず、常温であってもよいし冷蔵条件、例えば0~10℃または2~8℃、などであってもよい。好ましい一態様において、低栄養等張液は、浸漬開始時において冷蔵条件、例えば0~10℃または2~8℃、である。別の好ましい一態様において、低栄養等張液は、浸漬開始時において常温である。また、保存の間に低栄養等張液の温度が変化してもよい。
(ii)シート状細胞培養物を伸展させること。
工程(ii)は、剥離や洗浄の工程中に撚れたり折れ曲がったりしたシート状細胞培養物を伸展させる工程を意味する。伸展工程(ii)は、浸漬工程(i)の前、浸漬工程(i)の後または浸漬中に行うことができる。伸展工程(ii)は低栄養等張液中で行ってもよいし、低栄養等張液を除去した後に行い、その後低栄養等張液を再度加えてもよい。低栄養等張液除去後に伸展工程を行う場合、例えば低栄養等張液をシート状細胞培養物が重なっている部分に滴下し、必要に応じて振動させる、などの手法により行うことができる。低栄養等張液中で伸展工程(ii)を行う場合、低栄養等張液中に浸漬したシート状細胞培養物を、容器ごと振盪させる、などの手法により行うことができる。簡便性などの観点から、伸展工程(ii)は、好ましくはシート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる。
伸展工程は(ii)は、常温下で行ってもよいし、冷蔵条件下、例えば0~10℃または2~8℃など、で行ってもよい。また伸展に低栄養等張液を用いる場合、かかる低栄養等張液もまた、常温であってもよいし冷蔵条件、例えば0~10℃または2~8℃であってもよい。好ましくは常温下である。
本開示の保存方法において、保存温度は、シート状細胞培養物を構成する細胞にダメージがない限り特に制限されないが、保存後のシート状細胞培養物の使用時の簡便性の観点から、好ましくは冷凍条件(低栄養等張液が凍結する温度)ではない。保存操作そのものの簡便性の観点から、好ましくは常温である。
本開示の一側面において、上記本開示の剥離方法、灌流方法および保存方法をすべて含むシート状細胞培養物の製造方法もまた提供される。
本開示のシート状細胞培養物の製造方法は以下の工程(I)~(V)を含む:
(I)培養基材上にシート状細胞培養物を構成する細胞を、実質的に増殖することなくシート状細胞培養物を形成し得る密度で播種すること;
(II)(I)で播種された細胞を細胞培養液中でシート化し、シート状細胞培養物を形成すること;
(III)(II)で得られたシート状細胞培養物を、低栄養等張液に浸漬し、剥離すること
(IV)剥離されたシート状細胞培養物が浸漬されている低栄養等張液を除去し、新たな低栄養等張液を入れること
(V)低栄養等張液浸漬されたシート状細胞培養物を保存すること
(I)において、培養基材への細胞の播種は、既知の任意の手法および条件で行うことができる。培養基材への細胞の播種は、例えば、細胞を培養液に懸濁した細胞懸濁液を培養基材(培養容器)に注入することにより行ってもよい。細胞懸濁液の注入には、スポイトやピペットなど、細胞懸濁液の注入操作に適した器具を用いることができる。
工程(IV)については、上記の本開示の洗浄方法を用いることができる。
工程(V)については、上記の本開示の保存方法を用いることができる。
ヒト骨格筋から定法により調製した骨格筋芽細胞(線維芽細胞を含む)を用いてシート状細胞培養物を調製した。温度応答性培養皿(UpCell(R)12穴マルチウェル、セルシード)に、20%ヒト血清含有DMEM/F12培地(Thermo Fisher Scientific Inc.)に懸濁したヒト骨格筋芽細胞およびヒト線維芽細胞の細胞混合物を、3.7×106個/ウェルとなるように播種し、37℃、5%CO2下で2~12時間シート化培養を行った。シート化培養後、培地を除去し、700μLの冷却したHBSS(+)(Thermo Fisher Scientific Inc.)を添加し、除去した。これを繰り返し2回目の緩衝液添加後10分静置し、その後静かにピペッティングしてシート状細胞培養物を完全に剥離させた。剥離したシート状細胞培養物を観察し、縮みや癒着がないことを確認した。また、剥離したシート状細胞培養物に撚れや重なりがあった場合、振盪操作を行い伸展して撚れや重なりを除去した。
シート状細胞培養物を完全に剥離した後、HBSS(+)を除去し、新たに常温のHBSS(+)を加えてシート状細胞培養物を浸漬させることにより、両面を灌流した。かかる添加と除去の工程をもう1回行った。HBSS(+)を除去した後、新たなHBSS(+)を1mL加え(合計3回添加と除去を繰り返し)た後、室温で静置した。得られたシート状細胞培養物は、撚れや縮み、癒着などが観察されなかった。静置したシート状細胞培養物に撚れや重なりが観察された場合、振盪操作を行い伸展した。
得られたシート状細胞培養物を更に常温で静置し、10時間~5日間シート状細胞培養物を保存した。保存したシート状細胞培養物は、撚れや縮み、癒着などが観察されなかった。保存したシート状細胞培養物に撚れや重なりが観察された場合、振盪操作を行い伸展した。
Claims (8)
- 培養基材から剥離されたシート状細胞培養物の縮みを抑制する方法であって、剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液により灌流することを含み、ここで灌流は、剥離されたシート状細胞培養物の両面に対して、少なくとも3回行われ、灌流は、剥離されたシート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させることにより行われ、灌流には、毎回新たな低栄養等張液が使用される、前記方法。
- 灌流が、シート状細胞培養物の剥離直後から剥離後6時間までの間に行われる、請求項1に記載の方法。
- さらに、シート状細胞培養物を伸展させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
- シート状細胞培養物の伸展が、シート状細胞培養物が浸漬された低栄養等張液入りの容器を振盪することにより行われる、請求項3に記載の方法。
- さらに、シート状細胞培養物を低栄養等張液に浸漬させたまま保存することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- シート状細胞培養物が、筋芽細胞を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 低栄養等張液が、2~8℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 低栄養等張液が、ハンクス平衡塩液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
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