JP6029102B2 - 三次元培養弾性線維組織の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、得られる培養弾性線維組織の歩留まりは高いとは言えなかった。貴重な細胞を用い、長時間をかけて組織を再生する以上、できる限り歩留まりを向上させるべきことは言うまでもない。今後、再生医療を実用の軌道に乗せるためには、歩留まりの向上は必須である。
以下に本発明を詳述する。
以下、図1に示した本発明の三次元培養弾性線維組織の製造方法を説明する模式図を参照しながら本発明を詳しく説明する。
図1(a)では、培養皿1上に置いたゲル状態の担体2の上に、多孔性基材3を静置している。ゲル状態の担体2が乾燥してしまわないように、緩衝液又は培養液5を培養皿1に加える。なお、図1(a−1)は断面図、図1(a−2)は正面図を示す。
また、上記多孔性基材としては線維芽細胞が接着する材料であればよく、コラーゲン以外にも、例えば、ゼラチン等のタンパク質、ヒアルロン酸等の多糖類等の天然高分子や、脂肪族ポリエルテル等の生体内で分解吸収され得る合成高分子等も用いることができる。
なお、本明細書において重量残存率とは、コラゲナーゼ水溶液に浸漬後に残存した多孔性基材をフィルターを用いて濾取し、これを充分に乾燥させた後に測定した重量を、コラゲナーゼ水溶液浸漬前に予め測定しておいた多孔性基材の重量に対する割合として算出したものである。
上記枠体としては、ポリエチレン等の無毒の素材からなるものであれば特に限定されない。
図1(a)では、多孔性基材3の周縁部に枠体4を設置している。
また、メビオール社の商品名「Mebiol Gel」等の市販品を利用することもできる。
播種密度の下限は1×103/cm2である。1×103/cm2未満であると、線維芽細胞の密度が不充分となって弾性線維成分が分泌されない。好ましい下限は1×104/cm2である。播種密度の上限については特に限定されないが、1×107/cm2を超えて播種しても、上記多孔性基材に接着できない細胞が増えるばかりで、実質的な効果は少ない。
図1(b)においては、多孔性基材3の周縁部に枠体4が設置されていることから、該枠体4の内側に細胞懸濁液を滴下することにより、容易かつ均一に多孔性基材に線維芽細胞を播種することができる。
上記血清添加培地としては特に限定されず、例えば、MEM、DMEM等の一般的な培養液に、1〜10重量%程度のウシ胎児血清を添加したもの等が挙げられる。
培養期間については、多孔性基材の孔径、細胞の播種密度、血清添加培地の種類等により異なり特に限定されないが、1〜4週間程度の期間培養することにより弾性線維組織が形成される。
なお、大量の細胞を培養することから、血清添加培地は充分な量を用いることが好ましい。図1(c)においては、線維芽細胞が播種された多孔性基材3の全体を覆うほどの充分な量の血清添加培地6を用いている。
温度を25℃以下にして担体をゾル状態にすることにより、三次元培養弾性線維組織はゾル状態の担体に浮かんだような状態となる。従って、ピンセット等を用いて容易に三次元培養弾性線維組織を回収することができる。
得られた三次元培養弾性線維組織は、皮膚や血管等の種々の組織の再生に利用することができる。例えば、得られた三次元培養弾性線維組織を環状に成形すれば、培養血管として利用できる。更に、例えば、真皮細胞層、弾性繊維組織層、表皮細胞層を有する皮膚組織のように複数の細胞層からなる組織の再生のためには、本発明の三次元培養弾性線維組織の製造方法を応用して、各々の細胞層を構成する細胞を播種した多孔性基材を重ね、上記担体上で培養することも可能である。
(1)多孔性基材の調製
0.3%水溶液(pH3)のTypeIコラーゲンを、15%エタノールで3倍希釈し、0.1%コラーゲン、10%エタノール水溶液とした。更にこの溶液を直径9cmのシャーレに15g流し込み、−135℃で凍結し、真空度:0.1、乾燥温度:40℃、乾燥時間:24時間の条件で凍結乾燥を行い、コラーゲンスポンジを得た。その後、真空下で105℃、24時間熱架橋を行うことにより、多孔性基材を得た。
得られた多孔性基材の平均孔径は15μm、厚さは1mmであった。
トリスバッファー(pH7.4)にコラゲナーゼを0.5units/mLとなるように加えた溶液に、作製した多孔性基材を37℃にて浸漬させた。一定時間後に多孔性基材を取り出して蒸留水で洗浄して乾燥させた。乾燥させた多孔性基材の重量を測定し、試験前の重量と比較することにより重量残存率を計算した。
その結果、得られた多孔性基材は本試験条件においては直線的に重量減少が観察され、100分後の重量残存率は約50%であった。
担体として、メビオール社の商品名「Mebiol Gel(商標)」を用いた。「Mebiol Gel(商標)」は、直径35mmの培養皿上に、25℃以上の温度でゲル状態、0℃以上、15℃以下の温度でゾル状態となる熱可逆的なゾル−ゲル転移を示す担体が凍結乾燥状態で配置されたものである。
「Mebiol Gel(商標)」の凍結乾燥された担体に緩衝液を50mL加え、4℃で48時間静置して完全に凍結乾燥物を溶解した。次いで、37℃のインキュベータ中に1時間静置することにより、ゲル状態とした。このゲル状態の担体上に、多孔性基材を静置した。
得られた多孔性基材上に1×105/cm2の播種密度となるようにヒト包皮由来線維芽細胞を播種した。播種の際には、多孔性基材上の枠体の内側に細胞懸濁液を滴下した。播種後、37℃、5%CO2下で1晩培養して、線維芽細胞を多孔性基材に接着させた。
その後、培養液を10%ウシ血清添加DMEM/F12培地8mLとして、37℃、5%CO2下で3週間培養を続けた。
3週間培養後、培養皿を15℃のインキュベータに移し、1時間静置することにより担体をゾル状態とした。その後、ピンセットを用いて多孔性基材の枠体を摘み上げるようにして得られた三次元培養弾性線維組織を回収した。
(1)細胞の播種と培養
実施例1で製造した枠体を有する多孔性基材を、直径35mmの培養皿上に静置した。
多孔性基材上の枠体の内側に細胞懸濁液を滴下する方法により、多孔性基材上に1×105/cm2の播種密度となるようにヒト包皮由来線維芽細胞を播種した。播種後、37℃、5%CO2下で1晩培養して、線維芽細胞を多孔性基材に接着させた。
その後、培養液を10%ウシ血清添加DMEM/F12培地8mLとして、37℃、5%CO2下で3週間培養を続けた。
3週間培養後、ピンセットを用いて多孔性基材の枠体を摘み上げるようにして得られた三次元培養弾性線維組織を回収した。
実施例1及び比較例1の操作を各々100サンプルについて行った。
得られた三次元培養弾性線維組織を目視にて観察し、大きく変形したものや、破れてしまったりした不良品を除いた歩留まりを測定した。その結果、実施例1の方法では歩留まり95%であったのに対して、比較例1の方法では歩留まり40%であった。
図2(1)のヘマトキシリン染色像では、細胞の核が青紫色に染色されている。
図2(2)のエラスチン染色像では、エラスチンが緑色に、細胞の核が赤色に染色されている。図2(2)より、細胞が基材の底までよく浸透、増殖するとともに、エラスチンも基材の底まで繊維状に沈着していることが確認できる。
図2(3)のフィブリリン−1染色像では、フィブリリン−1が緑色に、細胞の核が赤色に染色されている。図2(3)より、フィブリリン−1も基材の底まで繊維状に沈着していることが確認できる。
2 担体(ゲル状)
3 多孔性基材
4 枠体
5 緩衝液又は培養液
6 血清添加培地
7 担体(ゾル状)
Claims (1)
- 25℃以上の温度でゲル状態、0℃以上、15℃以下の温度でゾル状態となる熱可逆的なゾル−ゲル転移を示す担体であるMebiol Gel(商標)をゲル状態に保ち、該ゲル状態の担体上にコラーゲンからなる平均孔径が1〜30μmである多孔性基材を静置する工程1と、
前記多孔性基材に1×103/cm2以上の密度で線維芽細胞を播種する工程2と、
前記工程2で得られた線維芽細胞が播種された多孔性基材を血清添加培地中で培養して三次元培養弾性線維組織を得る工程3と、
温度を15℃以下として前記担体をゾル状態にした後、得られた三次元培養弾性線維組織を回収する工程4とを有する
ことを特徴とする三次元培養弾性線維組織の製造方法。
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