JP2022103045A - ライナー原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境負荷は少ないが低強度となる傾向にあるリサイクル原料を用いた場合であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、強度が向上したライナー原紙を提供する。【解決手段】紙基材の上に、水溶性樹脂層が積層されているライナー原紙であって、前記ライナー原紙において、中芯と接する面を裏面とするとき、前記ライナー原紙は、裏面に水溶性樹脂層を有し、前記ライナー原紙のJIS P 8131:2009に準拠して測定される比破裂強さが2.00kPa/(g/m2)以上であり、前記ライナー原紙を用い、JIS P 8227:2008に準拠して測定される、離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが85N・m/g以下である、ライナー原紙。【選択図】なし

Description

本発明は、ライナー原紙および該ライナー原紙を用いてなる段ボールシートに関する。
ライナー原紙は、段ボールまたはソリッドファイバーボードの表紙または裏紙として用いられる板紙である。ライナー原紙が、たとえば、箱状の段ボールを構成する段ボールシートとして用いられる場合、ライナー原紙を折り曲げるために罫線が形成される。罫線が形成されたライナー原紙を折り曲げたとき、ライナー原紙の表側は伸びの力を受け、亀裂が入ることがある。このように亀裂が入った状態を罫割れといい、罫割れにより美粧性が低下するだけではなく、段ボールの強度不足につながるという課題がある。
上記課題を解決するために、特許文献1には、少なくとも表面層および裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙が開示され、ライナー紙が水分を放出することを効果的に抑制し、その結果罫線割れの発生を防止すると記載されている。
また、特許文献2には、ライナーと波状の中芯とを貼り合せた段ボールシートにおいて、前記ライナーに、罫割れ防止剤として、水に、特定量の保湿剤、界面活性剤を含有する、特定量の浸透剤を配合したものを塗布したことを特徴とする罫割れ防止段ボールが開示され、罫割れ防止剤に浸透剤を配合したので、保湿剤がライナーに速やかに浸透し、製箱速度に対応して、罫割れ防止効果を確実に得ることができると記載されている。
さらに、特許文献3には、古紙パルプを含有するパルプスラリーに、水溶性のリグニン系物質および、特定のジアリルアミン系モノマーを構成モノマーとする共重合体を添加することにより、乾燥強度が高く、かつ段割れ(罫割れ)を発生しにくいなど、優れた品質の紙が製造できると記載されている。
また、特許文献4には、2層以上の紙層を備え、表面に位置する第1紙層の繊維粗度が、上記第1紙層の裏面に積層される第2紙層の繊維粗度よりも大きいことを特徴とする板紙が開示され、罫割れを効果的に防止することができると記載されている。
特開2004-345696号公報 特開2010-260181号公報 特開平6-184983号公報 特開2014-70318号公報
従来、ライナー原紙を含む段ボールシートは、古紙の利用比率が高いが、近年、繰り返しリサイクルされることが増え、繊維長が短くなり、比破裂強さ、比圧縮強さ等の強度が低下する傾向にある。
特許文献1および2のように、ライナー原紙の表層に保湿剤等を含有させただけでは、特に、繰り返しリサイクルされたライナー原紙の、強度の低下および罫割れの発生を十分に防ぐことができないという課題があった。また、特許文献3のような、紙力増強剤を紙料に添加する内添法では、たとえば、高温高湿環境下等で白水の水質が悪化した場合、紙力増強剤の定着性が悪化し、ライナー原紙の罫割れを十分に抑制できない課題があった。さらに、特許文献4のように、第1紙層の繊維粗度を大きくするために、古紙ではなく、クラフトパルプの含有量を多くすると、コストが上昇するとともに、ライナー原紙を製造する際に膨大なエネルギーを使用するため、環境負荷が大きいという課題があった。
本発明は、環境負荷は少ないが低強度となる傾向にある、オフィス古紙、段ボール古紙などのリサイクル原料を用いた場合であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、強度が向上したライナー原紙を提供することを目的とする。
本発明者は、ライナー原紙を離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが特定値以下であっても、紙基材の上に水溶性樹脂層が積層されているライナー原紙であって、該水溶性樹脂層を裏面に有するライナー原紙とすることにより、該ライナー原紙の比引張強さが特定値以上であり、罫割れの発生を抑制しつつ、強度が向上したライナー原紙を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<8>に関する。
<1> 紙基材の上に、水溶性樹脂層が積層されているライナー原紙であって、前記ライナー原紙において、中芯と接する面を裏面とするとき、前記ライナー原紙は、裏面に水溶性樹脂層を有し、前記ライナー原紙のJIS P 8131:2009に準拠して測定される比破裂強さが2.00kPa/(g/m)以上であり、前記ライナー原紙を用い、JIS P 8227:2008に準拠して測定される、離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが85N・m/g以下である、ライナー原紙。
<2> 前記水溶性樹脂層の塗工量が0.1g/m以上4.0g/m以下である、<1>に記載のライナー原紙。
<3> JIS P 8226-2:2011に準拠して測定される、前記ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が0.5mm以上1.2mm未満である繊維の存在比が35%以上であり、繊維長が1.2mm以上である繊維の存在比が25%以下である、<1>または<2>に記載のライナー原紙。
<4> 前記紙基材が少なくとも表層および裏層を含む2層以上の紙層を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のライナー原紙。
<5> 前記紙基材が表層および裏層に加え、さらに1層以上の中層を有する、<4>に記載のライナー原紙。
<6> 前記ライナー原紙の表面の白色度が10%以上30%以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のライナー原紙。
<7> 前記水溶性樹脂の主成分が澱粉、またはポリアクリルアミドである、<1>~<6>のいずれか1つに記載のライナー原紙。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のライナー原紙を含む段ボールシート。
本発明によれば、環境負荷は少ないが低強度となる傾向にあるリサイクル原料を用いた場合であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、強度が向上したライナー原紙が提供される。
本実施形態のライナー原紙の一形態を示す断面模式図である。
[ライナー原紙]
本発明のライナー原紙(以下、単に「ライナー原紙」ともいう)は、紙基材の上に、水溶性樹脂層が積層されているライナー原紙であって、前記ライナー原紙において、中芯と接する面を裏面とするとき、前記ライナー原紙は、裏面に水溶性樹脂層を有し、前記ライナー原紙のJIS P 8131:2009に準拠して測定される比破裂強さが2.00kPa/(g/m)以上であり、前記ライナー原紙を用い、JIS P 8227:2008に準拠して測定される、離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが85N・m/g以下である。
本発明のライナー原紙は、離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが特定値以下であり、強度に劣るパルプを使用しても、ライナー原紙の表面上ではなく裏面上に、水溶性樹脂層を有することによって、罫割れの発生を抑制しつつ、比破裂強さなどの強度を向上できる。
本発明のライナー原紙の構成について、図1を用いて説明する。
本発明のライナー原紙1は、少なくとも紙基材10および水溶性樹脂層20を有し、段ボールシートの最表面のライナー原紙として好適に使用される。ライナー原紙は、表面および裏面を有し、段ボールシートとした際に、中芯と接する面を「ライナー原紙の裏面」とし、一方、その反対面を「ライナー原紙の表面」とする。なお、ライナー原紙の表面は、空気層と接している。
また、ライナー原紙1は、裏面に水溶性樹脂層20を有する。
ライナー原紙1が有する紙基材10も、同様に表面および裏面を有し、「ライナー原紙の表面」と同じ側を「紙基材の表面」とし、「ライナー原紙の裏面」と同じ側を「紙基材の裏面」とする。
紙基材10は、単層であってもよく、2層以上の紙層を有していてもよいが、ライナー原紙としての好ましい特性を各層に付与できる点から、少なくとも表層および裏層を含む2層以上の紙層を有することが好ましく、表層および裏層に加えて、さらに1層以上の中層を有することが好ましい。中層の層数は特に限定されないが、好ましくは1層以上7層以下、より好ましくは1層以上5層以下、さらに好ましくは1層以上3層以下である。
図1では、紙基材10は、表層11、1層の中層12、および裏層13を有する3層構造の紙層を有する。なお、いうまでもないが、紙基材の表層とは、紙基材の表面を含む紙層であり、紙基材の裏層とは、紙基材の裏面を含む紙層である。
紙基材が単層である場合、前記「紙基材の表層」と「紙基材の裏層」は同一の層を指す。
さらに、ライナー原紙において、前記「紙基材の表層」を含む層を、「ライナー原紙の表層」といい、前記「紙基材の裏層」を含む層を、「ライナー原紙の裏層」という。したがって、紙基材が少なくとも表層および裏層を有する2層以上を有する場合には、「ライナー原紙の表層」は、「紙基材の表層」と同義である。
水溶性樹脂層は、「紙基材の裏層」と接するように、「紙基材の裏層」の上に積層される。そのため、前記「ライナー原紙の裏層」は、少なくとも前記「紙基材の裏層」と、前記水溶性樹脂層と、を含む。なお、前記水溶性樹脂層は、「紙基材の裏層」へ部分的な染込みが考えられる。前記染込みは、紙基材の強度を増強するに有利であり、本発明の効果を果たすことに差支えがない。そのため、前記染込みの発生は予想される様態であり、本発明の主旨から逸脱するものではない。
なお、紙基材が単層である場合、「ライナー原紙の表層」は、紙基材と同義であり、「ライナー原紙の裏層」は、紙基材および水溶性樹脂層とを含む層である。
<紙基材>
本発明のライナー原紙は、紙基材の裏面上に水溶性樹脂層が積層されている。
前記紙基材としては、上述したように、単層の紙基材でもよいが、好ましくは少なくとも表層および裏層を有する2層以上の紙層を有し、より好ましくは前記表層および裏層に加え、さらに1層以上の中層を有する。中層の層数は、好ましくは1層以上7層以下、より好ましくは1層以上5層以下、さらに好ましくは1層以上3層以下である。
(原料パルプ)
紙基材の原料パルプとしては、たとえば、木材パルプ、非木材パルプ、および古紙パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、晒しクラフトパルプ(BKP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプが挙げられる。古紙パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、段ボール古紙(段古紙)、オフィス古紙、白板紙古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等の古紙等を原料とするパルプが挙げられる。原料パルプは、上記の1種を単独でも2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、環境負荷の観点から、原料パルプは、古紙パルプであることが好ましく、古紙を原料とすることがより好ましい。古紙の中では、高強度のライナー原紙を得る観点から、段古紙、オフィス古紙、白板紙古紙、クラフト古紙であることが好ましい。
なお、原料パルプに、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の有機合成繊維、ポリノジック繊維等の再生繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維を混用してもよい。
原料パルプには、必要に応じて、たとえば、サイズ剤、アニオン性、カチオン性もしくは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料等の内添助剤、耐水化剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を添加してもよい。
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー等が挙げられる。
歩留向上剤としては、硫酸バンド、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
填料としては、クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料;アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
紙基材の製造方法は、特に限定されないが、原料パルプを含有するパルプスラリーを抄紙し、乾燥する工程を含む。抄紙方法についても、特に限定されず、たとえばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。抄紙機についても、特に限定されず、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。乾燥方法についても、特に限定されず、公知の乾燥装置を用いることができる。
<水溶性樹脂層>
本発明のライナー原紙は、紙基材の裏面上に水溶性樹脂層が積層されている。水溶性樹脂とは、水に溶解可能な樹脂をいう。具体的には、室温から100℃までのいずれかの温度において、目視により、水100gに1g以上溶解することが確認される樹脂は、水溶性樹脂であると判断できる。
水溶性樹脂としては、澱粉;ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる変性澱粉;メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド(PAMともいう)、ポリビニルアルコール(PVAともいう)、カルボキシメチルセルロース等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水溶性樹脂は、ライナー原紙の強度を向上させるとともに、罫割れを抑制する観点から、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミド、およびポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、澱粉およびポリアクリルアミドよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、澱粉であることがさらに好ましい。なお、前記澱粉は、自家変性澱粉を含むものである。また、ポリアクリルアミドは、変性されていてもよく、たとえば、カチオン変性ポリアクリルアミド、アニオン変性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドが例示され、アニオン変性ポリアクリルアミドが好ましい。
上述した水溶性樹脂は、紙基材表面のパルプとの水素結合が形成可能な-OH基、-CONH基、-NH基などを有するため、ライナー原紙の罫割れの発生を抑制しつつ、強度を向上する効果を有するものと考えられる。なお、澱粉、変性澱粉、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースは-OH基を有し、ポリアクリルアミドは-CONH基を有し、尿素樹脂は-NH基を有する。
本発明において、水溶性樹脂の主成分が澱粉、またはポリアクリルアミドであることが好ましく、主成分であるとは、水溶性樹脂の少なくとも50質量%が澱粉、またはポリアクリルアミドであることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、そして、上限は100質量%である。
水溶性樹脂層の塗工量は、固形分換算で、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.2g/m以上、さらに好ましくは0.3g/m以上、特に好ましくは1.0g/m以上であり、そして、好ましくは4.0g/m以下、より好ましくは3.5g/m以下、さらに好ましくは3.0g/m以下である。水溶性樹脂層の塗工量が上記範囲であると、ライナー原紙の罫割れの発生を抑制しつつ、強度を向上できる。
なお、水溶性樹脂の主成分が澱粉である場合、水溶性樹脂層の塗工量は、固形分換算で、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1.0g/m以上、さらに好ましくは1.2g/m以上、特に好ましくは1.4g/m以上であり、そして、好ましくは4.0g/m以下、より好ましくは3.5g/m以下、さらに好ましくは3.0g/m以下である。
また、水溶性樹脂の主成分がポリアクリルアミドである場合、水溶性樹脂層の塗工量は、固形分換算で、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.2g/m以上、さらに好ましくは0.3g/m以上であり、そして、好ましくは3.0g/m以下、より好ましくは2.5g/m以下、さらに好ましくは2.0g/m以下である。
水溶性樹脂層は、水溶性樹脂を含有する塗工液を紙基材の裏層に塗工した後、乾燥することにより形成される。塗工液中の水溶性樹脂の濃度は、塗工が可能な限り任意の濃度とすることができるが、塗工量に応じて、3質量%以上15質量%以下程度とすることが好ましい。なお、塗工液は、二度以上塗工してもよい。
塗工方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。塗工方法は、抄紙と塗工とを一連の工程とするオンマシン式であってもよく、抄紙と塗工とを別工程とするオフマシン式であってもよい。塗工方法としては、たとえば、紙基材の裏層を塗工液に浸漬する方法、紙基材の裏層に塗工液をロールやブレードで塗布する方法、紙基材の裏層に塗工液を噴霧する方法などを使用できる。これらの中でも、塗工量の調整が容易である観点から、紙基材の裏層に、塗工液をロールやブレードで塗布する方法が好ましい。
塗工機についても、特に限定されず、たとえば、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、ブレードコーター、バーコーター、スプレーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなどを使用できる。
乾燥方法についても、特に限定されず、公知の乾燥機を用いることができ、たとえば、蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤなどを単独でまたは併用して使用できる。
本発明のライナー原紙は、裏面に水溶性樹脂層を備え、水溶性樹脂層の塗工量が、好ましくは上記範囲であることにより、ライナー原紙の罫割れを抑制しつつ、強度を向上できる。したがって、本発明によれば、繰り返しリサイクルされ、繊維長が短くなり、強度が低下する傾向にあるリサイクル原料を用いた場合であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、ライナー原紙に要求される強度を付与でき、環境負荷が少ないライナー原紙を提供できる。また、本発明のライナー原紙によれば、たとえば、高温高湿環境下等で白水の水質が悪化した場合であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、ライナー原紙に要求される強度を付与できる。
<ライナー原紙の物性>
(比破裂強さ)
ライナー原紙の比破裂強さは、段ボールシートに好適に使用できるライナー原紙を得る観点から、2.00kPa/(g/m)以上であり、好ましくは2.15kPa/(g/m)以上、より好ましくは2.25kPa/(g/m)以上である。その上限は、特に限定されないが、製造上の観点から、好ましくは10kPa/(g/m)以下である。
ライナー原紙の比破裂強さが2.00kPa/(g/m)未満であると、ライナー原紙の強度に劣り、段ボールシートへの使用に適さない。
ライナー原紙の比破裂強さは、JIS P 8131:2009に準拠して測定される。
(比湿潤ゼロスパン引張強さ)
ライナー原紙を離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さは、環境負荷低減の観点から、85N・m/g以下であり、好ましくは80N・m/g以下、より好ましくは75N・m/g以下、さらに好ましくは70N・m/g以下である。また、ライナー原紙として必要な強度を得る観点から、好ましくは50N・m/g以上である。
本発明によれば、ライナー原紙を離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが上記範囲であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、ライナー原紙に要求される強度を付与できる。したがって、本発明によれば、環境負荷が少ないライナー原紙を提供できる。
ライナー原紙を離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さは、以下の方法により測定される。まず、JIS P 8220-1:2012に準拠し、ライナー原紙を離解して、離解パルプを得る。得られた離解パルプを用いて、JIS P 8222:2015に準拠し、パルプシートを作製し、該パルプシートについて、JIS P 8227:2008に準拠し、再湿潤した状態で、比湿潤ゼロスパン引張強さを測定する。
(長さ加重繊維長分布)
ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が0.5mm以上1.2mm未満である繊維の存在比は、環境負荷低減の観点から、好ましくは35%以上、より好ましくは38%以上であり、ライナー原紙として必要な強度を得る観点から、好ましくは80%以下である。
また、ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が1.2mm以上である繊維の存在比は、環境負荷低減および本発明の効果が顕著である観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは22%以下であり、ライナー原紙として必要な強度を得る観点から、好ましくは10%以上である。
さらに、ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が0.2mm以上0.5mm未満である繊維の存在比は、ライナー原紙の強度の観点からは低いことが好ましく、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下であり、下限は限定されず、0%であってもよいが、環境負荷低減の観点からは、5%以上含有していてもよく、10%以上含有していてもよい。
ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が0.2mm未満である繊維の存在比は、低いことが好ましく、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下であり、下限は限定されず、0%であってもよいが、環境負荷低減の観点からは、10%以上含んでいてもよく、20%以上含有していてもよい。
ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での平均繊維長は、ライナー原紙の強度の観点からは長いことが好ましく、好ましくは0.90mm以上、より好ましくは0.95mm以上、さらに好ましくは0.98mm以上であり、そして、環境負荷低減の観点から、好ましくは1.20mm以下、より好ましくは1.10mm以下、さらに好ましくは1.05mm以下である。
さらに、ライナー原紙の全層のパルプの長さ加重での平均繊維長は、ライナー原紙の強度の観点からは長いことが好ましく、具体的に、好ましくは0.90mm以上、より好ましくは1.00mm以上、さらに好ましくは1.05mm以上であり、上限は限定されないが、環境負荷低減の観点から、好ましくは1.50mm以下、より好ましくは1.35mm以下、さらに好ましくは1.20mm以下である。
本発明によれば、ライナー原紙の表層および全層のパルプの繊維長分布が上記範囲であっても、罫割れの発生を抑制しつつ、ライナー原紙に要求される強度を付与できる。したがって、本発明によれば、環境負荷が少ないライナー原紙を提供できる。
ライナー原紙の各層および全層の長さ加重での繊維長分布は、以下の方法により測定される。まず、JIS P 8220-1:2012に準拠し、ライナー原紙の各層または全層を離解して、離解パルプを得る。得られた離解パルプについて、JIS P 8226-2:2011に準拠し、長さ加重繊維長分布を測定する。
(古紙配合率)
ライナー原紙の表層を構成する原料パルプ中、すなわち、紙基材の表層を構成するパルプ中、段古紙の配合率は、上述した繊維長分布を有するパルプを得る観点および高強度のライナー原紙を得る観点から、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上であり、そして、100質量%であってもよい。
ライナー原紙の表層を構成する原料パルプ、すなわち、紙基材の表層を構成するパルプとしてオフィス古紙を用いる場合、原料パルプ中、オフィス古紙の配合率は、高強度のライナー原紙を得る観点から、0質量%であってもよいが、上述した繊維長分布を有するパルプを得る観点、環境負荷の少ない観点および適宜な白色度を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
ライナー原紙の表層を構成する原料パルプ中、すなわち、紙基材の表層を構成するパルプ中、白板紙古紙の配合率は、上述した繊維長分布を有するパルプを得る観点、環境負荷の少ない観点、および適宜な白色度を得る観点から、好ましくは20質量%以下である。なお、高強度のライナー原紙を得る観点から、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、0質量%であってもよい。
ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプ中、段古紙の配合率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。なお、ライナー原紙の裏層は、紙基材の裏層および水溶性樹脂層からなる層であり、水溶性樹脂層は原料パルプを含有しないことから、ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプは、実質的には紙基材の裏層を構成する原料パルプと同義である。
ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプ中、オフィス古紙の配合率は、高強度のライナー原紙を得る観点から、0質量%であってもよいが、上述した繊維長分布を有するパルプを得る観点、および環境負荷の少ない観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。また、上述の理由で、ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプは、実質的には紙基材の裏層を構成する原料パルプと同義である。
ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプ中、白板紙古紙の配合率は、上述した繊維長分布を有するパルプを得る観点、および環境負荷の少ない観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。また、上述の理由で、ライナー原紙の裏層を構成する原料パルプは、実質的には紙基材の裏層を構成する原料パルプと同義である。
また、ライナー原紙が、少なくとも表層および裏層を含む2層以上の紙層を有する紙基材の上に、水溶性樹脂層が積層されている場合、裏層を構成する原料パルプ中の段古紙の配合率は、表層を構成する原料パルプ中の段古紙の配合率に比べて、大きいことが、強度に優れたライナー原紙を得る観点から好ましい。裏層中の段古紙の配合率をA質量%、表層中の段古紙の配合率をB質量%としたとき、好ましくはA-B>0、より好ましくはA-B≧1、さらに好ましくはA-B≧2であり、そして、両層での段古紙の配合率を高くする観点から、好ましくはA-B≦40、より好ましくはA-B≦30、さらに好ましくはA-B≦25である。
(白色度)
ライナー原紙の表面の白色度は、リサイクル原料を多く用いて環境負荷を低減する観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下であり、そして、外観に優れた段ボールシートを得る観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは13%以上、さらに好ましくは15%以上である。ライナー原紙の表面の白色度は、JIS P 8148:2018に準拠し、測定される。
(灰分)
ライナー原紙の全層の灰分は、リサイクル原料をより多く用いて環境負荷を低減する観点および罫割れを抑制する観点から、好ましくは5.0%以上、より好ましくは8.0%以上、さらに好ましくは12.0%以上であり、そして、好ましくは23.0%以下、より好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは18.0%以下、よりさらに好ましくは16.5%以下、特に好ましくは15.5%以下である。
ライナー原紙の全層の灰分は、JIS P 8251:2003に準拠し、測定される。
(厚み)
ライナー原紙の厚みは特に限定されないが、強度、製造時および段ボールシート作製に用いられる時の取り扱い性等を考慮し、好ましくは0.10mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.20mm以上であり、そして、好ましくは0.50mm以下、より好ましくは0.40mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下である。
ライナー原紙の厚みは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(坪量)
ライナー原紙の坪量は特に限定されないが、強度、製造時、および段ボールシート作製に用いられる時の取り扱い性等を考慮し、好ましくは100g/m以上、より好ましくは200g/m以上、さらに好ましくは250g/m以上であり、そして、好ましくは500g/m以下、より好ましくは400g/m以下、さらに好ましくは300g/m以下である。
ライナー原紙の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
ライナー原紙の坪量は、紙基材の坪量(g/m)と、水溶性樹脂層の塗工量(g/m)の合計で近似される。したがって、ライナー原紙の坪量が上記範囲内となるように、水溶性樹脂層の塗工量を考慮して、紙基材の坪量を適宜設定すればよい。
また、紙基材が2層以上の紙層を有する場合、それぞれの紙層の坪量は特に限定されないが、好ましくは紙基材全体の坪量の10%以上90%以下の範囲で、適宜選択すればよい。
[段ボールシート]
本発明のライナー原紙は、段ボールシートに用いられ、段ボールシートの最表面に使用されることが好ましい。段ボールシートは、ライナー原紙と、波形形状を有する中芯とを備え、中芯の片面または両面にライナー原紙が配置される。本発明において、ライナー原紙の裏面に中芯が配置される。
段ボールシートは、中芯の片面のみにライナー原紙が配置された片面段ボールシートであってもよく、また、中芯の両面にライナー原紙が配置された両面段ボールシートであってもよい。
さらに、段ボールシートは、中芯およびライナー原紙が複数層積層されていてもよく、複両面段ボールシート(両面段ボールシートの片面に、片面段ボールの段頂を貼り合わせた段ボールシート)、または複々両面段ボールシート(複両面段ボールシートの片面に、片側段ボールシートの段頂を張り合わせた段ボールシート)であってもよい。
段ボールシートを構成する中芯としては、特に限定されず、一般的な段ボールシートに使用されているものが用いられる。中芯の原料パルプとしては、上述したライナー原紙の原料パルプとして挙げたものを用いることができる。中芯は、中芯原紙を複数層積層したものであってもよく、中芯原紙の間に接着剤層を有していてもよい。
[段ボールシートの製造方法]
本発明のライナー原紙を用いることが可能な段ボールシートの製造方法は、公知の段ボールシートの製造方法を適用することができ、たとえば、中芯とライナー原紙とを接着剤により貼合するコルゲーター処理を施して製造することができる。
段ボールシートの種類は、特に限定されず、たとえば、片面段ボールシート、両面段ボールシート、複両面段ボールシート、複々両面段ボールシートが挙げられる。
また、段ボールシートの厚みは、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Eフルート、Fフルート、Gフルート、Wフルート、2層AA段、3層AAA段等が挙げられる。本発明のライナー原紙は段ボールシートのほかに、厚紙(コートボール紙)にも適用可能である。
ライナー原紙と中芯とを貼合する接着剤としては、澱粉、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン/不飽和カルボン酸共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル系共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂等が挙げられる。
接着剤は、中芯の段頂、またはライナー原紙の裏層に付与され、中芯およびライナー原紙を重ね合わせ、加圧および加熱により中芯とライナー原紙とを貼合してもよいし、フィルムとして形成され、中芯とライナー原紙の裏層との間に配置され、加圧および加熱により中芯とライナー原紙とを貼合してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[分析および評価]
<ライナー原紙の表層、中層、および裏層の単離>
ライナー原紙の表層、中層、および裏層は、ライナー原紙を水に浸漬し、水に膨潤させた状態で、手で各層を剥離させることにより得た。
<比湿潤ゼロスパン引張強さ>
ライナー原紙を離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さは、以下の方法により測定した。JIS P 8220-1:2012に準拠し、ライナー原紙を離解して、離解パルプを得た。得られた離解パルプを用いて、JIS P 8222:2015に準拠し、パルプシート(坪量:60g/m)を作製した。得られたパルプシートについて、JIS P 8227:2008に準拠し、再湿潤した状態で、比湿潤ゼロスパン引張強さを測定した。
<長さ加重繊維長分布および長さ加重平均繊維長>
ライナー原紙の表層の長さ加重繊維長分布、および各層の長さ加重平均繊維長は、以下の方法により測定した。JIS P 8220-1:2012に準拠し、ライナー原紙(全層)またはライナー原紙の各層を離解して、離解パルプを得た。得られた離解パルプについて、JIS P 8226-2:2011に準拠し、長さ加重繊維長分布を測定した。そして、得られた結果から長さ加重平均繊維長を算出した。
<比破裂強さ>
ライナー原紙の比破裂強さは、JIS P 8131:2009に準拠し、測定および算出した。測定時、ライナー原紙の裏面をゴム隔膜に接するように測定した。
<比圧縮強さ>
ライナー原紙の比圧縮強さは、JIS P 8126:2005に準拠し、測定および算出した。
<白色度(ISO白色度)>
ライナー原紙の表面の白色度(ISO白色度)は、JIS P 8148:2018に準拠し、測定した。
<灰分>
ライナー原紙の灰分は、JIS P 8251:2003に準拠し、測定した。
<罫割れ>
ライナー原紙の罫割れの評価は、以下のとおりに行った。
罫線を入れた下敷き用板紙の上に、ライナー原紙の裏層側が、下敷き用板紙との固定面となるように、ライナー原紙を重ね合わせて固定した(以下、下敷き用板紙とライナー原紙の積層物を試験サンプルと呼ぶ)。下敷き用板紙の大きさは、ライナー原紙と同じであり、その大きさは15cm×15cmであった。前記罫線は、下敷き用板紙の一辺の中点と、下敷き用板紙の中心とを通るように引かれた線(中心線ともいう)であり、その長さは15cmであった。
試験サンプル中のライナー原紙の水分率が7.0%、または6.0%となるように調湿した。その後、ライナー原紙の表層側が折り目の山側となり、ライナー原紙の裏層側が折り目の谷側となるように、前記罫線に沿って前記試験サンプルを折り曲げた。前記の折り曲げられた試験サンプルは、罫線を境に、前記罫線を含む二つの平面がある一定の角度をもつ状態であった(言い換えれば、前記試験サンプルは、罫線を境にV字型であった)。なお、この前記試験サンプルは、さらに折り曲げることができる余地を残している状態であった。
続いて、前記折り曲げられた試験サンプルの前記二つの平面の内の一つの平面がテーブル面と平行となるようにテーブル面上に前記試験サンプルを置いた。
続いて、前記二つの平面の内の一つの平面のエッジ三箇所とテーブルとが固定されるように、テープを貼った。次に、質量13kg、幅が15cm以上の金属製ローラーを、前記ローラーの幅方向(ローラーの長さ方向)が試験サンプルの罫線と平行となるように前記ローラーを載置した。次に、試験サンプルの上を通過するように、ローラーをテーブル上で転がした。なお、試験サンプルは、罫線側から押さえ付けられた状態で、試験サンプルの上にローラーを試験サンプルの全幅に対して通過させた。また、ローラーは、進行中において、進行方向の動力のみ加えられた。このローラーの操作により、折り曲げることができる余地を残している前記試験サンプルは、さらに折り曲げられた。その後、試験サンプルの固定を解いて、ライナー原紙を取り出した。
折られたライナー原紙の全長(TL)、および該ライナー原紙が罫線に沿って割れている場合のその割れている部分の長さ(BL)を測定した。折られたライナー原紙の全長に対する、ライナー原紙の割れている部分の長さの割合(BL/TL)×100[%]を算出し、以下の基準により評価した。
A:BL/TLが0%以上25%以下
B:BL/TLが25%を超え50%以下
C:BL/TLが50%を超え75%以下
D:BL/TLが75%を超える
[実施例1]
オフィス古紙25%、白板紙古紙6%、段古紙69%を配合した表層用原料パルプスラリーと、白板紙古紙10%、段古紙90%を配合した中層および裏層用原料パルプスラリーを用いて、3層抄きをし、坪量275g/m(表層(全対比25%):68.75g/m、中層(全対比25%):68.75g/m、裏層(全対比50%):137.5g/m)の紙基材を得た。得られた紙基材の裏層上に、2ロールサイズプレスコーターを用いて、塗工量(固形分換算)が2.0g/mとなるように、澱粉水溶液を塗工し、乾燥機を用いて乾燥し、ライナー原紙を得た。分析および評価結果を表1に示す。
[実施例2]
表層原料パルプスラリーの配合率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてライナー原紙を得た。
[実施例3]
澱粉水溶液の代わりに、ポリアクリルアミド(種類:アニオン変性PAM、濃度25質量%水溶液の粘度=1,000~5,000mPa・s、pH=7.0~8.0)の水溶液を、塗工量(固形分換算)が1.0g/mとなるように、塗工した以外は、実施例1と同様にしてライナー原紙を得た。
[実施例4~7]
澱粉水溶液の塗工量(固形分換算)を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてライナー原紙を得た。分析および評価結果を表1に示す。
[実施例8~11]
ポリアクリルアミドの水溶液の塗工量(固形分換算)を表1に示すように変更した以外は、実施例3と同様にしてライナー原紙を得た。分析および評価結果を表1に示す。
[比較例1]
紙基材の表層上に、澱粉を塗工した以外は、実施例1と同様にしてライナー原紙を得た。
[比較例2]
澱粉を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にしてライナー原紙を得た。
Figure 2022103045000001
表1から分かるように、実施例1~11のライナー原紙は、罫割れの発生を抑制しつつ、比破裂強さおよび比圧縮強さに優れたものであった。そのため、実施例1~11のライナー原紙を含む段ボールシートも、罫割れの発生が抑制されると期待される。
一方、比較例1のライナー原紙は、ライナー原紙の表層上に水溶性樹脂層を備え、ライナー原紙の裏層上には水溶性樹脂層を備えていないため、罫割れの評価が悪く、罫割れが発生しやすいものであった。比較例2のライナー原紙は、ライナー原紙の裏層および表層上に水溶性樹脂層を備えていないため、比破裂強さおよび比圧縮強さに劣ったものであった。
本発明のライナー原紙は、罫割れの発生を抑制しつつ、強度が向上したものであるので、段ボールシート等に好適に使用できる。
1 ライナー原紙
10 紙基材
11 紙基材の表層
12 紙基材の中層
13 紙基材の裏層
20 水溶性樹脂層

Claims (8)

  1. 紙基材の上に、水溶性樹脂層が積層されているライナー原紙であって、
    前記ライナー原紙において、中芯と接する面を裏面とするとき、前記ライナー原紙は、裏面に水溶性樹脂層を有し、
    前記ライナー原紙のJIS P 8131:2009に準拠して測定される比破裂強さが2.00kPa/(g/m)以上であり、
    前記ライナー原紙を用い、JIS P 8227:2008に準拠して測定される、離解したパルプの比湿潤ゼロスパン引張強さが85N・m/g以下である、
    ライナー原紙。
  2. 前記水溶性樹脂層の塗工量が0.1g/m以上4.0g/m以下である、請求項1に記載のライナー原紙。
  3. JIS P 8226-2:2011に準拠して測定される、前記ライナー原紙の表層のパルプの長さ加重での繊維長分布において、繊維長が0.5mm以上1.2mm未満である繊維の存在比が35%以上であり、繊維長が1.2mm以上である繊維の存在比が25%以下である、請求項1または2に記載のライナー原紙。
  4. 前記紙基材が少なくとも表層および裏層を含む2層以上の紙層を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のライナー原紙。
  5. 前記紙基材が表層および裏層に加え、さらに1層以上の中層を有する、請求項4に記載のライナー原紙。
  6. 前記ライナー原紙の表面の白色度が10%以上30%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のライナー原紙。
  7. 前記水溶性樹脂の主成分が澱粉、またはポリアクリルアミドである、請求項1~6のいずれか1項に記載のライナー原紙。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のライナー原紙を含む段ボールシート。
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