JP7283123B2 - 段ボール用ライナ、段ボールシート、積層体及び家具 - Google Patents
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Description
本発明者らは、家具に難燃性を持たせるため、難燃性を付与した段ボールシートで積層体を構成することを検討した。
しかし、従来の方法では、家具に用いるのに充分な強度を維持しつつ難燃性を付与することが困難である。例えば、難燃剤を含む塗料を段ボールシートに含浸した場合、段ボールシートの強度が低下し、積層体の強度も低下する。また、難燃剤を含む塗料は一般的に無機水溶液であり、塗工適性が無い。このような塗料を段ボールシートの表面に塗工すると、塗料が表面でハジかれて均一に塗工できず、充分な難燃性が得られない。
〔1〕原紙の少なくとも一方の表面に、難燃剤とアクリル樹脂とを含む塗膜が形成された段ボール用ライナ。
〔2〕少なくとも一方の表面が前記〔1〕の段ボール用ライナで構成され、前記段ボール用ライナは、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されている段ボールシート。
〔3〕前記塗膜が形成された表面に対し、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)を行ったときに、炭化長の最大値が10cm以下、かつ残炎時間が20秒以下である前記〔2〕の段ボールシート。
〔4〕複数の段ボールシートが積層された積層構造を含み、
少なくとも一つの表面が前記〔1〕又は〔2〕の段ボール用ライナで構成され、前記段ボール用ライナは、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されている積層体。
〔5〕前記塗膜が形成された表面に対し、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)を行ったときに、炭化長の最大値が10cm以下、かつ残炎時間が20秒以下である前記〔4〕の積層体。
〔6〕前記〔4〕又は〔5〕の積層体を含む家具。
本発明の段ボール用ライナ(以下、単に「ライナ」とも記す。)は、原紙の少なくとも一方の表面に、難燃剤とアクリル樹脂とを含む塗膜が形成されたものである。
この例のライナ1は、原紙2と塗膜3とを有する。塗膜3は、難燃剤とアクリル樹脂とを含む。塗膜3は、原紙2の一方の表面に形成されている。
なお、図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。後述する図2~図3においても同様である。
ここでは塗膜3が原紙2の一方の表面に形成されている例を示したが、塗膜3は、原紙2の一方の表面及び他方の表面の両方に形成されていてもよい。
原紙を構成するパルプとしては、特に限定されず、例えば、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプが挙げられる。化学パルプとしては、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプが挙げられる。機械パルプとしては、例えば、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、グランドパルプ(GP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、ストーングランドパルプ(SGP)が挙げられる。古紙パルプとしては、例えば、新聞、雑誌、オフィス用紙、情報用紙、段ボール、紙器箱等の古紙由来のパルプが挙げられる。これらのパルプは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプとしては、強度の点から、化学パルプ(KP)が好ましい。
原紙は、ライナの強度の点では、難燃剤を含まないことが好ましい。
原紙は、単層であってもよく多層であってもよい。多層である場合、各層を構成するパルプ、各層に添加される薬品の種類及び量等は各々適宜設定できる。
坪量は、JIS P 8124「紙及び板紙-坪量の測定方法」に従って測定した値である。
密度は、原紙の厚さと坪量から算出した値である。厚さは、JIS P 8118:2014 紙及び板紙-厚さ,密度及び比容積の試験方法に従って測定した値である。
塗膜は、難燃剤とアクリル樹脂とを含む。
塗膜は、必要に応じて、他の成分をさらに含んでいてもよい。
塗膜は、難燃剤、アクリル樹脂、液状媒体、必要に応じて他の成分を含む塗料を原紙の表面に塗工し、乾燥することにより形成される。塗料及び塗膜の形成方法については後で詳しく説明する。
なお、本発明において、難燃性アクリル樹脂は、難燃剤に該当し、アクリル樹脂には該当しないものとする。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他の単量体としては、(メタ)アクリレートと共重合可能であればよく、例えばスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
アクリル樹脂の具体例としては、例えば昭和電工(株)製の「ポリゾールTLX-1367」が挙げられる。アクリル樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカとしては、結晶性シリカ、アモルファスシリカ等が挙げられ、水溶性、安全性の点で、アモルファスシリカが好ましい。
シリカの平均粒子径は、例えば10~15nmである。平均粒子径は、ガス吸着BET法により測定される比表面積により算出される平均粒子径である。
ライナは、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)の性能基準を満たす難燃性を有することが好ましい。具体的には、ライナの前記塗膜が形成された表面に対し、前記マット類の防炎性能試験を行ったときに、炭化長の最大値が10cm以下、かつ残炎時間が20秒以下であることが好ましい。炭化長とは、試験体の炭化部分の最大の長さである。炭化長の最大値とは、試験体6体の炭化長のうちの最大値である。残炎時間とは、バーナーの消火後、試験体に炎が残っている時間である。
難燃剤が前記ケイ素化合物又は前記ハイドロタルサイト様化合物の微粒子である場合、難燃剤の含有量は、塗膜の総質量に対し、40~85質量%が好ましく、50~75質量%がより好ましい。
難燃剤が前記難燃性アクリル樹脂である場合、難燃剤の含有量は、塗膜の総質量に対し、30~60質量%が好ましく、35~45質量%がより好ましい。
難燃剤が前記ケイ素化合物又は前記ハイドロタルサイト様化合物の微粒子である場合、塗膜中のアクリル樹脂の含有量は、塗膜の総質量に対し、15~60質量%が好ましく、25~50質量%がより好ましい。
難燃剤が前記難燃性アクリル樹脂である場合、塗膜中のアクリル樹脂の含有量は、塗膜の総質量に対し、30~70質量%が好ましく、35~65質量%がより好ましい。
アクリル樹脂の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、ライナ、段ボールシート等の強度や耐水性、塗膜を形成する塗料の塗工適性がより優れる。アクリル樹脂の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、充分な量の難燃剤を含有できる。
本発明のライナは、原紙の少なくとも一方の表面に前記した塗膜を形成することにより製造できる。
塗膜は、前記したように、難燃剤、アクリル樹脂、液状媒体、必要に応じて他の成分を含む塗料を原紙の表面に塗工し、乾燥することにより形成できる。
乾燥条件としては、液状媒体を除去できればよく、例えば80~180℃で1~60秒間の条件が挙げられる。
以上説明した本発明のライナにあっては、原紙の少なくとも一方の表面に、難燃剤とアクリル樹脂とを含む塗膜が形成されているので、難燃性を有し、強度に優れる。また、耐水性にも優れる。
段ボールシートは、1以上の中芯と1以上のライナとが接着剤を介して貼合されたものである。中芯の片面又は両面にライナが配置され、段ボールシートの少なくとも一方の表面はライナで構成される。
本発明の段ボールシートは、少なくとも一方の表面を構成するライナが、前記した本発明のライナである。また、このライナは、前記した塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されている。
本発明の段ボールシートが2以上のライナを備える場合、少なくとも一方の表面を構成するライナ以外のライナは、本発明のライナであってもよく、本発明のライナ以外の他のライナであってもよい。
段ボールシートとしては、積層体としたときの強度がより優れる点では、一方の表面及び他方の表面がそれぞれライナで構成された段ボールシート(両面段ボールシート、複両面段ボールシート、複々両面段ボールシート等)が好ましく、両面段ボールシートがより好ましい。
この例の段ボールシート10は、表ライナ11と中芯13と裏ライナ12とがこの順に貼合された両面段ボールシートである。表ライナ11及び裏ライナ12はそれぞれ、図1に示したライナ1である。ライナ1は、塗膜3が外側(中芯13が貼合される側とは反対側)に存在するように配置されている。
この例の段ボールシート20は、表ライナ11と第1の中芯15と中間ライナ14と第2の中芯16と裏ライナ12とがこの順に貼合された複両面段ボールである。表ライナ11及び裏ライナ12はそれぞれ、図1に示したライナ1である。ライナ1は、塗膜3が外側(中芯15,16が貼合される側とは反対側)に存在するように配置されている。中間ライナ14は、他のライナである。
表ライナ及び裏ライナがそれぞれライナ1である例を示したが、表ライナ及び裏ライナの一方がライナ1であってもよい。ライナ1の代わりに、原紙の一方の表面及び他方の表面の両方に前記塗膜が形成されたライナを用いてもよい。
中芯は、中芯原紙が波形に成形されたものである。
中芯のフルート(波形形状)は一般に、段の高さ及び30cm当たりの山数により、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Eフルート、Fフルート、Gフルート等に分類される。本発明の段ボールシートを構成する中芯のフルートはこれらのいずれであってもよい。本発明の段ボールシートが複数の中芯を備える場合(例えば複両面段ボールシートや複々両面段ボールシートの場合)、複数の中芯のフルートは同じでも異なってもよい。
中芯原紙には、各種内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用することが可能である。内添助剤の例としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルこはく酸無水物(ASA)等の各種の内添サイズ剤、ノニオン性、カチオン性、両性の各種歩留まり向上剤、ろ水度向上剤、紙力向上剤、カチオン化澱粉や酸化澱粉などの各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変性物等、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。これらの内添助剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中芯原紙は、段ボールシートの強度の点では、難燃剤を含まないことが好ましい。
中芯原紙は、単層であってもよく多層であってもよい。多層である場合、各層を構成するパルプ、各層に添加される薬品の種類及び量等は各々適宜設定できる。
他のライナとしては、例えば、前記した原紙を用いることができる。
接着剤としては、段ボールシートに一般的に用いられているものを使用でき、例えば、澱粉(コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、化工澱粉等)が挙げられる。
本発明の段ボールシートは、例えば以下の(1A)又は(2A)の方法により製造できる。
(1A)段ボールシートの少なくとも一方の、ライナで構成された表面に、前記した塗膜を形成する方法。
(2A)段ボールシートの少なくとも一方の表面に本発明のライナが配置されるように、1以上の本発明のライナと、1以上の中芯と、必要に応じて他のライナとを、接着剤を介して貼合する方法。
塗膜の形成は、前記と同様にして実施できる。
塗膜を形成した後、必要に応じて、印刷、裁断、成型等の処理を行ってもよい。
貼合工程の後、必要に応じて、印刷、裁断、成型等の処理を行ってもよい。
以上説明した本発明の段ボールシートにあっては、少なくとも一方の表面が本発明のライナで構成され、このライナが、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されているので、難燃性を有し、強度に優れる。また、耐水性にも優れる。
本発明の積層体は、複数の段ボールシートが積層された積層構造を含む。
前記積層構造を構成する段ボールシートの数は、積層体の用途に応じ、積層体が所望の厚さとなるように適宜設定でき、特に限定されないが、例えば2~10層である。
前記積層構造において、複数の段ボールシートそれぞれのフルートの方向は、一致していてもよいし、異なっていてもよい。
前記積層構造において複数の段ボールシートは通常、接着剤を介して積層されている。接着剤としては、例えば前記したものが挙げられる。
前記積層構造は、複数の段ボールシートの積層方向の一方の表面及び他方の表面、並びにこれらの表面の外縁同士を連絡する表面(側面)を有する。
段ボールシートの少なくとも一方の表面はライナで構成されるので、前記複数の段ボールシートの積層方向の少なくとも一方の表面もライナで構成される。前記積層方向の少なくとも一方の表面を構成するライナは、典型的には、本発明のライナである。
本発明の積層体が、前記積層構造の側面を被覆する段ボールシートを含む場合、この段ボールシートのライナを本発明のライナとし、このライナで本発明の積層体の側面を構成してもよい。
本発明の積層体が家具等を構成する場合、家具等の使用者に視認可能な表面は本発明のライナで構成されていることが好ましい。
本発明の積層体は、例えば以下の(1B)又は(2B)の方法により製造できる。
(1B)複数の段ボールシートが積層された積層構造を含む積層体の少なくとも一つの、ライナで構成された表面に、前記した塗膜を形成する方法。
(2B)積層体の少なくとも一方の表面に本発明のライナが配置されるように、少なくとも一部が本発明の段ボールシートである複数の段ボールシートを、接着剤を介して積層する方法。
塗膜の形成は、前記と同様にして実施できる。
塗膜を形成した後、必要に応じて、印刷、裁断、成型等の処理を行ってもよい。
複数の段ボールシートを積層した後、得られた積層構造の側面を他の段ボールシートで被覆してもよい。
複数の段ボールシートを積層した後、又は積層構造の側面を他の段ボールシートで被覆した後、必要に応じて、印刷、裁断、成型等の処理を行ってもよい。
以上説明した本発明の積層体にあっては、少なくとも一つの表面が本発明のライナで構成され、このライナが、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されているので、難燃性を有し、強度に優れる。また、耐水性にも優れる。
本発明の家具は、前記した本発明の積層体を含む。
本発明の家具の例としては、ベッド、収納家具(棚、ボックス等)、テーブル、デスク、イスが挙げられる。
家具としては、設置や撤去の容易さ、リサイクルの点では、避難所や期間限定のイベント等、一定期間内で使用、廃棄する場合に使用される家具(ベッド等)が好ましい。
されるものではない。「%」は、特に規定のない場合、「質量%」である。実施例1~3、8は参考例である。
ライナ原紙:王子マテリア(株)製「特白PB」、坪量:220g/m2、密度:0.84g/cm3。
中芯原紙:王子マテリア(株)製「S120g/m2」、坪量:120g/m2、密度:0.68g/cm3。
塗料1:NT&I(株)製「ナノリフレクトRFC-073AC」、組成:ケイ素化合物(難燃剤)8~12%、アクリル樹脂4~8%、エタノール1%未満、水80%未満。
スルファミン酸グアニジン系化合物:(株)三和ケミカル製、アピノン145。
ポリゾールOLX-7890:昭和電工(株)製、組成:特殊変性アクリル酸エステル共重合樹脂28~32%、水68~72%。
ポリゾールTLX-1367:昭和電工(株)製、組成:アクリル樹脂48~52%、水48~52%。
スノーテックス-O:日産化学(株)製、組成:アモルファスシリカ20%、水80%。
ライナ原紙の一方の表面に塗料1を、バーコーターを用い、表1に示す塗工量となるように塗工し、120℃で30秒間乾燥して塗膜を形成し、実施例1~3のライナを得た。表1中、塗工量は、塗料の乾燥塗工量(塗膜の塗工量)である。
コルゲータで、中芯原紙を波形に成形し、得られた中芯の両面に順次、接着剤(コーンスターチでんぷん)を介して前記ライナを貼合し、Bフルートの両面段ボールシートを得た。
スルファミン酸グアニジン系化合物を水に溶解し、濃度45%の水溶液を調製した。この水溶液を塗料2とした。
塗料2を、表1に示す含浸量となるようにライナ原紙に含浸させ、120℃で30秒間乾燥して比較例1のライナを得た。含浸量は、塗料の乾燥含浸量である。
ライナを比較例1のライナに変更した以外は実施例1~3と同様にして、Bフルートの両面段ボールシートを作製した。
塗料2を塗料1の代わりに用いた以外は実施例1~3と同様にして比較例2のライナを作製した。
ライナ原紙をそのまま比較例3のライナとした。
ライナを比較例3のライナに変更した以外は実施例1~3と同様にして、Bフルートの両面段ボールシートを作製した。
固形分中の特殊変性アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリル樹脂、アモルファスシリカの割合が表2に示す値になるように、ポリゾールTLX-7890とポリゾールTLX-1367とスノーテックス-Oとを混合し、固形分濃度25%の塗料を調製した。
この塗料を塗料1の代わりに用いた以外は実施例1~3と同様にして実施例4~8のライナを作製し、Bフルートの両面段ボールシートを得た。
各例の両面段ボールシート又はライナについて、以下の評価を行った。ただし、塗工適性の評価結果が×であった比較例2については、他の評価を行わなかった。評価結果を表1~2に示す。
各例の両面段ボールシートについて、JIS P 8140「紙及び板紙-吸水度試験方法-コッブ法」に準拠し、接触時間120秒でのコッブ吸水度(g/m2)を測定した。コッブ吸水度が小さいほど耐水性に優れる。コッブ吸水度は35g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
各例の両面段ボールシートについて、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.68:2000 紙及び板紙-はっ水性試験方法により流下長(cm秒)を測定した。流下長が長いほど耐水性に優れる。流下長は15cm以上が好ましく、25cm以上がより好ましい。
各例の両面段ボールシートについて、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)を行い、炭化長の最大値(cm)及び残炎時間(秒)を測定した。
測定結果から、以下の基準で難燃性を判定した。
○:炭化長の最大値が10cm以下及び残炎時間が20秒以下の両方を満たす。
△:炭化長の最大値が10cm以下及び残炎時間が20秒以下のいずれか一方を満たさない。
×:炭化長の最大値が10cm以下及び残炎時間が20秒以下の両方を満たさない。
各例のライナについて、JIS P 8113「紙及び板紙-引張特性の試験方法」に準拠し、MD(Machine Direction)、CD(Cross machine Direction)それぞれの引張強度を測定した。
MDは、中芯の複数のフルートが配列する方向(縦方向)である。CDは、MDと直交する方向(横方向)、つまり各フルートの延在方向である。
ライナのMDの引張強度は、14kN/m以上が好ましい。CDの引張強度は、5.0kN/m以上が好ましい。
各例のライナについて、JIS P 8126「紙及び板紙-圧縮強さ試験方法」に準拠し、リングクラッシュ圧縮強度を測定した。ライナのリングクラッシュ圧縮強度は180N・m2/g以上が好ましい。
各例で用いた塗料の塗工適性を以下の基準で官能評価した。
○:塗料をライナ原紙の表面に均一に塗工できた。
×:塗料がライナ原紙の表面でハジかれて均一に塗工できなかった。
各例の両面段ボールシートを50mm×50mmの大きさに切り取った試料を40℃、90%RHの環境下で1時間以上調湿した。調湿後、2枚の試料を、塗工面を向い合せて重ね、1kg/cm2の圧力をかけ、40℃、90%RHの環境下に24時間静置した。その後、向い合せた面を手で引き離した。このときの抵抗の有無及び塗工面の塗膜の剥がれの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:抵抗もなく、塗膜の剥がれもない。
△:抵抗がわずかにあるが、塗膜の剥がれはない。
×:抵抗があり、塗膜の剥がれがある。
××:抵抗が大きくあり、塗膜が大きく剥がれる。
比較例1で用いたのと同じ塗料を原紙に塗布した比較例2では、塗料の塗工適性が悪いため、良好な塗膜を形成できなかった。
一方、実施例1~8の段ボールシートは、比較例3の段ボールシートに比べて難燃性が向上していた。特に実施例1、3、4、6~8の段ボールシートはマット類の防炎性能試験の性能基準を満たす難燃性を有していた。また、実施例1~8のライナは、比較例3のライナと同等の強度を有していた。また、比較例1、3に比べて、コッブ吸水度が少なく、流下長が長く、耐水性に優れていた。
Claims (6)
- 原紙の少なくとも一方の表面に、難燃剤とアクリル樹脂とシリカとを含む塗膜が形成され、
前記原紙の坪量が、110~470g/m2であり、
前記塗膜中の前記シリカの含有量が、前記塗膜の総質量に対し10質量%以上である段ボール用ライナ。 - 少なくとも一方の表面が請求項1に記載の段ボール用ライナで構成され、前記段ボール用ライナは、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されている段ボールシート。
- 前記塗膜が形成された表面に対し、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)を行ったときに、炭化長の最大値が10cm以下、かつ残炎時間が20秒以下である請求項2に記載の段ボールシート。
- 複数の段ボールシートが積層された積層構造を含み、
少なくとも一つの表面が請求項1に記載の段ボール用ライナで構成され、前記段ボール用ライナは、前記塗膜が少なくとも外側に存在するように配置されている積層体。 - 前記塗膜が形成された表面に対し、公益財団法人日本防災協会の防炎製品性能試験基準に規定されたマット類の防炎性能試験(45°エアーミックスバーナー法)を行ったときに、炭化長の最大値が10cm以下、かつ残炎時間が20秒以下である請求項4に記載の積層体。
- 請求項4又は5に記載の積層体を含む家具。
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