JP5283414B2 - 板紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、段ボール用中芯原紙の製造時及び段ボール用ライナーの両者を同一の設備で使用して製造する板紙(段ボール用中芯原紙又は段ボール用ライナー)の製造方法に関する。
板紙は、抄紙機上で複数の紙層が重ねられたもので、段ボール原紙として包装用資材として使用されている。
例えば、段ボールの場合、コルゲーター(貼合機)で段ボール用ライナーに波状に加工された段ボール用中芯原紙を糊付けし、更にその上に別の段ボール用ライナーを糊付けした3層からなる構造体である。
板紙は、従来から古紙利用が多い製品であるが、近年の古紙パルプは、幾度となく繰り返されるリサイクル処理により、パルプ繊維が疲弊しルンケル比が高くなり、繊維長がリサイクル処理の都度短くなり、これらの古紙パルプを用いた段ボール用ライナーは、圧縮強度が低下する傾向にある。
板紙は、主として包装用資材に用いられるため、段ボール用ライナー、中芯原紙には高い強度が求められる。しかるに、古紙のリサイクル処理頻度の高まりに伴う強度の低下に対応するために、バージンパルプの配合比率を上げる手法があるが、近年の環境保護意識の高まり、省資源化の流れに逆行するものであり、また、コストアップも避けられない。
強度向上を例にとり、古紙を多量に使用しながら、高い圧縮強度を有する段ボール用ライナーを得る方策として、圧縮強度向上のために紙力増強剤を原料パルプ中に添加する方法が行われている。この紙力増強剤として、天然高分子である澱粉や合成高分子であるポリアクリルアミドが汎用されている。
しかし、従来、紙力増強剤は原料パルプ中に含有させる(すなわち内添する)ため、抄紙段階でパルプ繊維に定着しない紙力増強剤の余剰分が白水中に流出し、設備の汚染、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)、ウエットエンドコントロールの安定性を損なう問題を生じる。
以上、原料パルプへの紙力増強剤の内添における問題を代表例として述べたが、前述の問題は、紙力増強剤だけではなく、段ボール用ライナーを製造する場合における染料やサイズ剤等各種機能薬品を、原料パルプに添加する場合においても、同様に生じる。
一方、無機酸と尿素を添加した澱粉の水性懸濁液を連続糊化装置に通して熱化学変性により低粘度化した澱粉糊液を、中芯原紙の表面に塗布する技術が開示されている(特許文献1)。
特許文献1のものは、現時点で約20年前の発明であり、当時の古紙パルプの品質は良好であったのに対し、現在の古紙パルプの品質は低下していることは前述のとおりである。また、特許文献1のものは、実験室レベルでの研究にとどまり、連続生産、とりわけ高速での生産が考慮されていない。更に、特許文献1の発明は、あくまで中芯原紙の強度向上に関するものであり、段ボール用ライナーについて想定したものではない。
いずれにしても、現状の汎用技術は、各種機能薬品は紙料に内添するものであり、古紙パルプの品質低下に対しては、機能薬品の添加量を増量することで対処するようにしている。
一部の製造メーカーにおいては、中芯原紙の製造に対しては、サイズプレスにより紙力増強剤を塗工することも行われている。本出願人も、特許文献2において開示を行った。これに対し、段ボール用ライナーを製造する場合は、印刷が施される外面側は高いサイズ強度が要求されるため、サイズ剤を使用することが必要であり、また、印刷面でもあるので、見栄えの点で着色用染料が必要になる。したがって、段ボール用ライナーの外層を製造する場合には、原料パルプにサイズ剤及び染料を添加し、他の層と抄き合わせしているのが現状である。このように、原料パルプにサイズ剤及び染料を添加すると、紙力増強剤の場合と同様に、サイズ剤及び染料が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を生じる。特に、染料が排水中に混入することは、排水の着色を招き回避すべき事項である。
なお、本発明者の知る限り、とりわけ抄紙速度500m/分以上で段ボール用ライナーを抄造する際に、サイズ剤及び染料をサイズプレスなどで塗工する技術は存在しない。
特開平07−26494号 特開2007−177331号
したがって、本発明の主たる課題は、各種機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を解消することにある。また、機能薬品の歩留りを向上することにある。他の課題は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明者は、例えば抄紙速度500m/分以上で段ボール用ライナーを抄造する場合、サイズ剤及び染料をサイズプレスにより塗工することを試みる過程で、地合を良好にし、しかも急速脱水すれば、サイズ剤及び染料が、予備乾燥後の湿紙外面に均一に塗工できること、並びに、製造設備を共用し、サイズプレスにおいて、紙力増強剤を塗工して強度、特に圧縮強度を高めることにより、段ボール用中芯原紙も好適に製造できること、を知見し本発明を完成するに至った。
前記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
下記A、B及びCの条件を有し、坪量が75〜200g/m2の段ボール用中芯原紙及び坪量が75〜290g/m2の段ボール用ライナーを製造することを特徴とする板紙(段ボール用中芯原紙又は段ボール用ライナー)の製造方法。
A.次記の(1)〜(5)の連続的な工程が順に組み込まれていること。
(1)少なくとも最下層がギャップフォーマー方式で抄紙され、上層が長網部を有するフォードリニア方式で抄紙される層を抄き合わせて少なくとも2層から成る湿紙を形成する抄紙工程、
(2)前記湿紙を脱水する脱水工程、
(3)脱水湿紙を、予備乾燥する予備乾燥工程
(4)予備乾燥後の湿紙に薬品を塗工して塗工紙を得る塗工工程、
(5)塗工後の塗工紙を乾燥する後乾燥工程、
B.段ボール用中芯原紙の製造時の前記塗工工程は、予備乾燥後の湿紙外面及び裏面の少なくとも一方の面に紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品を塗工する塗工工程であること。
C.段ボール用ライナーの製造時の前記塗工工程は、予備乾燥後の湿紙外面に、少なくとも表面サイズ剤及び染料を含む外面用薬品を乾燥固形分で0.5g/m2以上6.0g/m2以下塗工し、予備乾燥後の湿紙裏面に、少なくとも紙力増強剤を含む裏面用薬品を乾燥固形分で0.5g/m2以上6.0g/m2以下塗工する塗工工程であり、前記外面用塗工液における、表面サイズ剤がアニオン性で染料がアニオン性である、あるいは表面サイズ剤がノニオン性で染料がアニオン性であること。
(作用効果)
本発明は、生産効率を高めるために例えば抄紙速度500m/分以上で段ボール用ライナーを抄造することができるものである。また、本発明によれば、板紙として必要な機能を発揮させるための機能薬品を、主としてサイズプレスなどにより塗工することにより、前述の機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を解消できるものである。
抄紙速度500m/分以上の高速抄紙の場合、地合の悪下及び脱水性の低下を招く。地合の悪下については、特に、印刷適性が要求される段ボール用ライナーを製造する場合において解決すべき問題である。そして、機能薬品をサイズプレスなどにより塗工するためにも、地合が良好で、しかも急速脱水を完遂する必要がある。そこで、例えば、少なくともギャップフォーマー方式で抄紙される層と、長網部を有するフォードリニア方式で抄紙される層にて形成される抄紙機により、抄き合わせて少なくとも2層からなる湿紙を形成すると、抄紙速度500m/分以上の高速抄紙でありながら、地合に優れた湿紙を得ることができるのである。
そして、湿紙は、好適にはシュープレスを含む脱水設備により脱水するようにすると、急速脱水が可能であり、脱水予備乾燥後の湿紙に対して機能薬品をサイズプレスなどにより塗工する場合、湿紙の表面部分に均一の機能薬品を塗工できる。
段ボール用ライナーを製造する場合、従来の原料パルプにサイズ剤及び染料を添加する(内添する)場合との対比を説明すると、好適には、少なくともギャップフォーマー方式で抄紙される層と、長網部を有するフォードリニア方式で抄紙される層にて形成される抄紙機により、抄き合わせて少なくとも2層からなる湿紙に、サイズプレスなどにより表面サイズ剤及び染料を湿紙の外面(最終的に段ボール製品の外面となる)に塗工し、表面部分に集中的に偏在させることにより、目標の強度の達成及び着色のための薬品使用量が低減し、歩留りが向上する。より好適には、最下層をギャップフォーマー方式で抄紙し、少なくとも上層が長網部を有するフォードリニア方式で形成することが、表面サイズ剤及び染料を湿紙の表裏面部分に集中的に偏在させるに好ましい。
このように、サイズプレスなどにより表面サイズ剤及び染料を湿紙の表面部分に均一に集中的に偏在させるためにも、湿紙に良好な地合の確保しておき、且つ塗工前に十分脱水されていることが必要なのである。
製造設備には、乾燥後の塗工紙の表面を平坦化設備にて平坦化処理する平坦化工程を備えるのが望ましい。平坦化処理によって、塗工紙の表面が平坦化されるばかりでなく、表面サイズ剤及び染料を含む外面用薬品が平坦化処理によって均一に定着されるようになる。
段ボール用ライナーの製造時、前記外面用薬品が、少なくとも染料を含み、少なくとも前記塗工工程において、紙料に前記外面用薬品及び裏面用薬品が付与されることにより、原料パルプ中への染料添加を抑えられ、強いては外面用又は裏面用薬品のみで染料を付与できるため、上記の問題、すなわち、各種機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を解消することができる。
また、段ボール用中芯原紙の製造時においても、従来内添で設けられていた主としての澱粉の添加を抑えられ、強いては中芯原紙用薬品のみを付与できるため、上記の問題、すなわち、各種機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を解消することができる。
さらに、染料にはアニオン系直接染料とカチオン性塩基性染料があるが、アニオン系直接染料のほうが退色性に優れている。しかるに、サイズ剤や紙力増強剤と同時に添加する際に、紙力増強剤としてはアニオン性澱粉を使用する例が多く、カチオン性染料の場合、凝集物を生成する可能性がある。そのために、アニオン系直接染料を用いることが望ましいのである。
ここで、段ボール用中芯原紙の製造時に際しては、紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品は、予備乾燥後の湿紙外面又は裏面の一方に塗工して含浸によって強度の増強を図るほか、塗工工程の設備として、両面からの塗工が可能となっているので、予備乾燥後の湿紙外面及び裏面のそれぞれに紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品を塗工することができる。
〔請求項2記載の発明〕
多層抄き抄紙において、上層及び下層を抄き合わせるに際し、又は上層及び下層を中層を介して抄き合わせるに際し、澱粉の分散液をスプレーする請求項1記載の板紙の製造方法。
(作用効果)
この発明の作用効果は後述する。なお、幾度となく繰り返されるリサイクル処理を経た段ボール古紙からなる古紙パルプを50重量%以上含有するとしても、地合の確保及びサイズ剤による外面の強度発現が達成されるため、ラーナー原紙として必要な特性を得ることができる。
〔請求項3記載の発明〕
塗工工程が、フィルムトランスファー方式またはポンド方式からなるサイズプレスにより塗工する請求項1または2記載の板紙の製造方法。
(作用効果)
この態様によれば、良好な塗工を行うことができる。
〔請求項記載の発明〕
前記外面用塗工液中に更に紙力増強剤が含有され、その紙力増強剤がアニオン性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の板紙の製造方法。
(作用効果)
表面サイズ剤との凝集を防止でき、取扱いが容易となる。
本発明によると、各種機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの従来の問題を解決できる。
そして、例えば抄紙速度500m/分以上の高速抄紙でありながら、必要な特性を示す段ボール用ライナーを製造できる。また、製造設備を共用しながら、必要な特性を示す段ボール用中芯原紙を製造できる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の段ボール用ライナーは、外面(最終的に段ボール製品の外面となる)を染料により着色したものを言う。また、裏面は基本的に原料パルプの色調のものを言う。ただし、本発明に係る塗工工程中又はその後に撥水剤などを塗工するだけで、基本的に外面を染料による着色を有する原紙は、本発明の段ボール用ライナーの概念に含まれる。
予め製造設備例を概説し、その後に各工程について詳細に説明することとする。
<製造設備例について>
図面は製造設備例を示したもので、図面番号の順に上流から下流に流れるものである。また、当該製造設備により、段ボール用ライナーのほか中芯原紙をも抄紙できる抄紙機である。以下においては、段ボール用ライナーの製造を中心にして説明し、必要な限度で中芯原紙の製造方法についても説明する。
実施の形態では、第1層と第2層との2層抄き合わせ段ボール用ライナーを製造するものである。
(湿紙形成工程10)下層(第1層)は、幅方向濃度をコントロールできる第1ヘッドボックス11を備え、ギャップフォーマー方式で抄紙されるようになっている。上層(第2層)は、第2ヘッドボックス12を備え、長網部を有するフォードリニア方式で形成される抄紙機により抄紙されるようになっている。上下層は、抄き合わされて2層からなる湿紙が形成される。
(脱水工程20)記湿紙は第1プレス、第2プレス及び第3プレスを備える脱水設備としてのトライニッププレス21により脱水される。
(予備乾燥工程30)脱水湿紙はプレドライヤー31により予備乾燥される。
(塗工工程40)予備乾燥後の湿紙は、サイズプレス41により、外面及び裏面に塗液が塗工される。そして、外面には少なくとも表面サイズ剤及び染料を含む外面用薬品を塗工し、裏面に少なくとも紙力増強剤を含む裏面用薬品を塗工し、塗工紙を得る。
(後乾燥工程50)塗工後の塗工紙はドライヤー51により乾燥される。
(平坦化工程60)塗工紙の表面は、平坦化設備としてのカレンダー61により平坦化処理される。
また、本発明における課題を解決する最も好適な構成においては、塗工工程40に至るまで、紙料に前記外面用薬品及び裏面用薬品が与えられないものである。
<塗工工程で使用する薬品について>
本発明では、段ボール用ライナーの製造時において、予備乾燥後の湿紙外面に少なくとも表面サイズ剤及び染料を含む外面用薬品を塗工し、裏面に少なくとも紙力増強剤を含む裏面用薬品を塗工する。
外面用薬品及び裏面用薬品としては、段ボール用ライナーとして目標に必要な機能を付与するために、各種の機能薬品が含まれる。外面用薬品としては、少なくとも表面サイズ剤及び染料を含み、その他必要により、(表面)紙力増強剤、歩留り向上剤、防滑剤及びインク受容剤などを使用することができる。裏面用薬品としては、紙力増強剤を含むが、その他必要により、表面サイズ剤や防滑剤などを使用することもできる。
これらの薬品は、予備乾燥後の湿紙外面に、サイズプレスなどにより表面サイズ剤及び染料を湿紙の外面に塗工し、表面部分に集中的に偏在させるので、従来の原料パルプに添加する場合に比較して、目標の強度及び着色を得るための薬品使用量が低減し、歩留りが向上する。もちろん、従来例における、機能薬品が白水へ混入し、設備の汚染を招き、排水処理設備の負荷増加(例えばCOD値の増加)などの問題を解消できる。
「染料について」
古紙パルプを多量に含むライナーの染色方法として、原料パルプ調成工程における前段部で直接染料を添加し、抄紙機直前の種箱において塩基性染料を添加するライナーの染色方法が提案されている(特開2002−88686号公報参照)。本発明は、染料をも塗工しようとするものである。染料を塗工することで、従来の原料パルプ中に染料を添加する場合に比較して、少ない染料使用量であっても着色ムラがないものとなる。
本発明に使用する染料に特に制限はなく、塩基性染料、酸性染料、アニオン系直接染料、カチオン性直接染料、ノニオン染料を使用できる。必要により、染料のほか、有機顔料や無機顔料を併用することもできる。
本発明において、染料としてアニオン系直接染料が最適である。染料にはアニオン系直接染料とカチオン性塩基性染料があるが、アニオン系直接染料のほうが退色性に優れている。しかるに、サイズ剤や紙力増強剤と同時に添加する際に、紙力増強剤としてはアニオン性澱粉を使用する例が多く、カチオン性染料の場合、凝集物を生成する可能性がある。そのために、アニオン系直接染料を用いることが望ましいのである。
また、紙力増強剤としてはアニオン性の紙力増強剤が望ましく、表面サイズ剤との凝集を防止し、取扱いが容易であるからである。
染料は、他の機能薬品との反応が生じる場合があるので、反応を避けるため、好適には予め分散させた染料を、塗工工程直前で塗工液に分散させることが好ましい。次に染料を例示する。
R1:赤色アニオン直接染料、東亜化成株式会社製 登録商標名トーアレッド2BP
R2K:赤色カチオン直接染料、クラリアントジャパン株式会社製 「カルタゾールレッドK2BNリキッド」
Y1:黄色アニオン直接染料、東亜化成株式会社製「ミカドファーストイエロー21R」
Y2K:黄色カチオン直接染料、クラリアントジャパン株式会社製「カルタゾールイエローKGLリキッド」
B1:青色アニオン直接染料、日本化薬株式会社製 「ダイレクトスカイブルー5B200」
B2K:青色カチオン直接染料、クラリアントジャパン株式会社製「カルタゾールブルーKRLリキッド」
B3:青色塩基性染料、BASFジャパン株式会社製「バサゾールブルー16L」
「紙力増強剤について」
本発明では、少なくとも裏面に紙力増強剤を塗工する。この紙力増強剤は、裏面層の表面に対パルプで0.5g/m2以上配合することが望ましい。紙力増強剤としては、表面紙力、乾燥紙力又は湿潤紙力の向上のために使用でき、例えば澱粉類、ポリビニルアルコール系(PVA)、植物性ガム、セルロース誘導体(CMCなど)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド(PAM)、ホルムアルデヒド樹脂等が任意に使用できる。紙力増強剤は外面に対しても塗工することができる。
外面及び裏面は、JIS P8129(1997)表面強さ試験のワックス法による表面強度が、8A〜20Aであることが望ましい。特に外面は必要な印刷適性を満たすため好ましい。表面強度が8Aより低いと印刷時に紙むけにより白ぬけの問題が発生することがある。上記の表面強度の範囲内であると必要にして充分な表面強度となる。
紙力増強剤においても、アニオン性を示す古紙パルプに対し、他の機能薬品との相乗効果を発現させるため、前述のように、アニオン性の紙力増強剤を用いることが、紙力増強効果を発揮させるために好ましい。
紙力増強剤には、澱粉類を使用するのが好適である。アニオン性澱粉、カチオン性澱粉、及び両性澱粉の1種類または2種類以上を用いことができる。この澱粉水溶液に適用される原料澱粉は、特に限定されるものではなく、例えば、小麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ等の生澱粉や、これらを原料として、所定の熱化学処理を施したカチオン化澱粉、燐酸澱粉、尿素燐酸エステル澱粉など各種の変性澱粉が挙げられる。なお、これらの澱粉類は、単独で用いても良いが、用途やニーズに応じて2種類以上を混合して用いても良い。
また、塗布される澱粉水溶液の澱粉希釈濃度は、好ましくは、3.0〜15.0%に調整されているのが望ましい。澱粉水溶液の澱粉希釈濃度が3.0%未満であると、接着剤としての効果がなく、所望の表面強度を得ることができないので好ましくない。一方、澱粉水溶液の澱粉希釈濃度が15.0%より高いと、汚れが発生しやすくなり、且つ紙面の地合ムラや澱粉固まりによる粕混入等を引き起こす恐れがあるので好ましくない。
本発明における、好適な澱粉としては、分子量が300万未満で、且つ塗工液(澱粉糊液)の濃度が35%、温度40℃での粘度が85cp以下、好ましくは10〜80cp、より好ましくは30〜75cpの化工澱粉を好適に使用できる。特に500m/分以上の高速抄紙になると澱粉粘度が低い場合には「ミスト」の問題、粘度が高いと「粘性で断紙」と言う問題がある。
澱粉としては、例えば酸化澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、α化澱粉、リン酸エステル化澱粉、エステル変性澱粉、尿素リン酸変性澱粉、未変性澱粉等、公知の種々のものを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。カルボキシメチルデンプン(アニオン性)、リン酸デンプン(アニオン性)等の変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を発揮する。
本発明に用いられる澱粉は、TAPPI T419 om−91に基づく紙中澱粉量に準拠した分析値で、段ボール用ライナーを略均等に厚み方向に2分割した状態における段ボール用ライナー澱粉含有量が、段ボール用ライナーの表面側(段ボールシートを形成した際表出面)に0.3〜3.0g/m2、好適には0.5〜2.5g/m2、更に好適には1.5〜2.4g/m2含有されるように、段ボール用ライナーの表面に塗布設備にて塗布される。また、裏面側(段ボールシートを形成した際に隠れる面)にも段ボール用ライナーの表面側と同様に、0.20〜3.00g/m2、好適には1.00〜2.40g/m2、更に好適には1.00〜1.80g/m2含有されるように、段ボール用ライナーの表面に塗布設備にて塗布される。これにより、本発明の段ボール用ライナーを、貼合性(貼合適性)や離解性、経済性を損なわずに、圧縮強さを改善した段ボール用の段ボール用ライナーを得ることができる。なお、澱粉の塗布含有量が表面側0.30g/m2未満、裏面側0.20g/m2未満では、圧縮強度の維持や紙粉の発生を抑制することが困難であり、一方、澱粉の表面側の塗布含有量が15g/m2を、澱粉の裏面側の塗布含有量が3.00g/m2超えると、既存のフィルムトランスファー方式に代表される塗布設備での塗布が困難であり操業性を大きく低下させるとともに、抄紙機の汚損、コスト負担が大きくなるので、澱粉の塗布含有量が表裏面側合わせて0.50〜6.00g/m2が望ましい。
紙力増強剤として、ポリビニルアルコール(PVA)を使用することも有効である。ポリビニルアルコールは、特異なイオン性を示さないものの、分子量、ケン化度により流動性等の塗工性に顕著な影響を及ぼすため、他の機能薬品との相乗効果を発現させるため、分子量が76000、ケン化度90〜99モル%のポリビニルアルコールを固形分塗布量で0.30g/m2以上、塗布含有量が表裏面合わせて0.60g/m2以上塗工液に含有させることが望ましい。
表面サイズ剤について」
本発明において使用する表面サイズ剤としては、スチレン・アクリル酸(メタクリル酸)共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体若しくはこれらと他のモノマーとの共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、オレフィン・マレイン酸共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアミン、コロイド状珪酸、ステアレートクロミッククロライド、アルキルケテンダイマー等が挙げられる。アクリル酸(メタクリル酸)エステルとしては、アクリル酸(メタクリル酸)のメチル、エチル、プロピル、ブチルエステルが挙げられる。また、その他のモノマーとは、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。なかでも、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、オレフィン・マレイン酸共重合体が好ましい。例えば荒川化学工業株式会社製「ポリマロン品番1329」や星光PMC株式会社製「BLS720」を挙げることができる。これらの表面サイズ剤による機能層を多層抄き板紙の表層表面及び裏層表面に設けることにより印刷時のインク吸収を押さえ、インクのにじみを押さえることにより、印刷適性を向上させることができる。
「その他」
防滑剤を併用することができ、この防滑剤としてはスチレン系、スチレン・アクリル系、アクリル系及びコロイダルシリカから選ばれた1種または2種以上が好適に用いられる。例えば近代化学工業株式会社製「ケーコートUS200」や星光PMC株式会社製「ハマコートG280・315」を挙げることができる。これらの防滑剤による機能層を多層抄き板紙の表層表面及び裏層表面に設けることにより、この多層抄き板紙を段ボールケースに成形した際の段ボールの滑りを防止することができる。
<製造設備の具体例について>
(湿紙形成工程10)
上述の製造設備例におけるギャップフォーマー方式の第1ヘッドボックス11は、水平または下流側に傾斜した状態で上向き設置され、紙料吐出方向線が水平線となすと吐出角度θが、0度〜45度であるのが望ましい。幾度となく繰り返され疲弊が進んでいるパルプ繊維を多く含む下層の層構成においては、高速抄紙の下で高速脱水を行いながら、地合、Z軸強度、表裏差、繊維配向角などの点から、繊維重量の影響が小さくなる上向きヘッドボックスであることが望ましい。ギャップタイプのツインワイヤーフォーマにおいて、ヘッドボックスが鉛直などであると、高速抄紙の下で、脱水効果を高める付帯設備必要になり、段ボール用ライナーとして求める特性が得難い。
上層は長網タイプのフォードリニア方式で湿紙の表面が、下層側になるように、上層を抄き合わせることが好適である。フォードリニア方式で湿紙の表面には、裏面と比較して比較的微細繊維が多く残っており、湿紙の状態で下層と抄き合わせることで、次工程でのプレス脱水時に対応する湿紙外面との絡み合いが多く得られるとともに、後述する層間接着強度を向上する澱粉の分散液をスプレーする際に、澱粉の分散液が紙層中に取り込まれにくく、層間強度を向上させることができる。
多層抄き抄紙機において、例えば上層と下層(あるいは中層を介して)を抄き合わせるに際し、層間接着強度を向上させるために、澱粉の分散液をスプレーすると効果的である。
本形態で層間に使用される澱粉は、その種類が特に限定されず、例えば、コーンスターチ(とうもろこし澱粉)、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、アセチル化タピオカ澱粉等の各種の未加工、加工澱粉を使用することができるが、課題の一つとする経済性、圧縮強度を考慮すればコーンスターチが最も好適である。また、澱粉としては、酸化澱粉、アニオン性澱粉、カチオン性澱粉及び両性澱粉のいずれか一種、または併用して使用されていると、理由は定かではないが湿紙の層間において澱粉の分散性が良く、より好ましいものとなる。
ワイヤーパート(抄紙段階)において、例えば下側の湿紙上に澱粉の水溶液を設ける手段について、特に好適な手段として用いられるスプレー噴霧するについて、まず、スプレー噴霧は、1流体または気‐液の2流体スプレーを用いるのが好ましい。このスプレー噴霧におけるノズル径は、例えば未糊化の澱粉で孔が閉塞しないものを選べば良く、0.5〜2.5mm径、好ましくは0.8〜1.5mm径のノズルを適宜選択して用いる。このようなスプレーガンは、湿紙幅方向に一列設けられても良いし、多系列設けられても良く、湿紙の表面に均一に噴霧できるように工夫される。スプレーの圧力は、供給する空気圧にて微細な飛沫が得られれば特に制約はないが、0.3〜35kg/cm2、好ましくは2.0〜10kg/cm2とすることができる。吐出量は、0.4〜4.0リットル/分、好ましくは1.0〜3.0リットル/分である。また、澱粉は、未糊化の澱粉が好ましく、未糊化でパルプ繊維間に歩留易い粒子径の例えば、平均粒子径12.0〜16.0μmのコーンスターチが好ましく、平均粒子径が6.0μm未満と小さいコメ澱粉はウエットエンドにおいて脱水とともに紙層を形成する繊維間に澱粉粒子が流入し、湿紙と湿紙に重ねあわされる上層との結合力を十部に得難い問題が生じやすく、平均粒子径が20.0μmを超えるコムギ澱粉や甘藷、馬鈴薯澱粉はウエットエンドにおいて表層に留まるものの、粒子径が大きいことが原因と推察される層間強度のバラツキや紙層間への澱粉粒子の含有量(流入)が少ないため、平均粒子径が6.0μ未満と小さいコメ澱粉と同様に紙層間強度向上にさほど寄与しない。また、コーンスターチは澱粉粒径が多角形であり、紙層を形成する際にパルプ繊維への絡み合いも多くなる点からもコーンスターチが好ましい。
湿紙の形成において、微細繊維が白水とともに抜け落ち難い湿紙の表面は、白水とともに抜けやすい湿紙の裏面と比較して微細繊維が多く分布するため、物理的外圧を加えることなく例えばスプレー噴霧にて設けるコーンスターチ等の未糊化澱粉の水性懸濁液を表層に留めやすい。好適には、未糊化の澱粉の水性懸濁液をスプレー噴霧した表層に更に上側の湿紙を重ね、複数層の層構成後に、プレスパートでの脱水による強制的な脱水を付与することで、表層や湿紙層間に付与された未糊化の澱粉の水性懸濁液が湿紙層中に拡散し、100℃以上の熱が加えられるドライヤーにて糊化することで、紙層間及び紙層内部の強度向上を図ることができる。
ここで、湿紙間に澱粉の水溶液が設けられた積層体が形成するにあたり、湿紙を2層積層する場合は、下側の湿紙(下層)上に好適には未糊化の澱粉水溶液のスプレー噴霧を行い、上側の湿紙(上層)を積層するのが好ましい。他方、湿紙を3層以上の複数積層する場合は、上下に隣接する下側の湿紙及び上側の湿紙が複数存在することになるが、少なくともいずれか1つの下側の湿紙を対象として、好ましくは全ての下側の湿紙を対象として澱粉水溶液のスプレー噴霧を行うのが好ましい。
スプレー方式の塗布(噴霧)設備にて用いられる未糊化澱粉の水溶性懸濁液の調製方法は、特に限定されないが、好ましくは次のとおりである。すなわち、まず、未糊化の生澱粉を水に分散して、好ましくは最終澱粉糊液の濃度が10%以上になるように約10〜20%未満の濃度の水性懸濁液とする。本発明で言う「未糊化澱粉」とは、加熱処理等により生澱粉を糊化する処理を行っていない未処理の澱粉を言う。
未糊化澱粉の水溶性懸濁液のスプレーによる塗布(噴霧)は、上下に隣接する湿紙の一方の湿紙の表面(第1ワイヤー面)、好ましくは裏面(第2ワイヤー面)にもスプレーすることが可能であるが、本発明の課題である圧縮強度の高い中芯を得るに好適な構成においては、ワイヤーパートにおけるインレット吐出直後から湿紙を重ね合わせる間、好ましくは水切れ線後に噴霧されることが好適である。
澱粉分散液は、糊化澱粉でも未糊化澱粉でも好適な効果が得られるが、未糊化澱粉を用い、ドライヤーでの乾燥熱により糊化させることが、より層間強度を高めることができる。
抄紙工程における最下層が、幅方向に濃度調整が可能なヘッドボックスによるギャップフォーマー方式で形成され、上層が長網部を有するフォードリニア方式で形成することで、原料パルプ中に機能薬品を添加しなくとも、従来と遜色のない圧縮強度の段ボール用ライナーが得られ、段ボール用ライナーを効率的に生産できる。
最下層が、幅方向に濃度調整が可能なヘッドボックス11によるギャップフォーマー方式で形成されるのが好ましい。幅方向に濃度調整が可能なヘッドボックスは公知であり、その構造などについての説明を省略するが、例えばメッツオ社製「オプティーフローヘッドボックス」、川之江造機−GL&V「BTF−ダイリューションシステム」などを挙げることができる。
ヘッドボックスに幅方向の原料濃度調整機構がない場合は、ワイヤーパートでの紙の地合による厚薄差が大きくなり、プレスパートのシュープレスでは修正できにくい。したがって段割れを防止するためにカレンダー処理により厚薄差の是正を行わざるをえず、圧縮強度が低下する。またシュープレスを用いない場合は、前記ヘッドボックスにより紙の厚薄差を小さくできても、プレスでの紙厚低下が大きく、キャレンダー処理を行わなくても圧縮強度で必要な強度を得ることはでき難い。また、ヘッドボックスでの原料濃度は薄い方がパルプ繊維の分散性が良い。しかし、設備費と品質との兼ね合いから印刷用紙用の抄紙機の場合、ヘッドボックスでの原料濃度は通常0.6〜0.7%であるのに対し、中芯原紙の場合は、印刷適性は要求されないので、濃度はもう少し高く0.8〜1.2%である。
(脱水工程20)
シュープレスを含む脱水設備として、上流側から下流側にかけて第1プレス、第2プレス及び第3プレスを備えるトライニッププレスを使用し:前記第1プレスは、1対のサクションロールと溝付ロールとで形成されるプレスニップにより2枚のフェルトを介して湿紙から搾水を行うダブルフェルトプレスであり、前記溝付ロールがゴム被覆ロールであって、そのゴム硬度(JIS K6253)が95°以上のゴム層で形成されてる;前記第2プレスは、サクションロールと表面セラミックコーティングしたロールまたは表面人工石カバーロールとで形成されるプレスニップにより1枚のフェルトを介して湿紙から搾水を行うシングルフェルトプレスであり;前記第3プレスは、表面セラミックコーティングロール又は表面人工石カバーロールとシュープレスとで形成されるプレスニップにより1枚のフェルトを介して湿紙から搾水を行うシングルフェルトプレスであるものが最適である。このトライニッププレスは、印刷用用紙用途においては使用されているが、段ボール用ライナーの製造設備として通常は使用されない。
上記のプレス配置においては、通常第1プレスは脱水負荷が高いこと、また紙品質の対称性を得るために、2枚のフェルトで湿紙を挟んだ状態でニップ圧力により脱水を行うダブルフェルトプレス機構が用いられる。このダブルニッププレス機構においては、次段プレスに湿紙を移送していく側にサクションロールを、それとニップを形成する相手ロールにはフェルトの水を逃がすための溝を有するグルーブドロールが用いられる。
本発明においては、少なくとも2層からなる多層の板紙に用いるにあたり、溝付ロールがゴム被覆ロールであって、そのゴム硬度(JIS K6253)が95°以上のゴム層で形成されているゴム被覆ロールを好適に用いることができる。
比較的軟質なゴム素材を用いることで、比較的厚味を有する段ボール用ライナーの湿紙を過度に潰すことなく緩慢に脱水可能になり、嵩高な段ボール用ライナーを得ることができる。
シュープレスとしては、シムベルトSプレス(METSO社製)、ニプコフレックスプレス(VOITH社製)などを使用できる。
シュープレスは、2ロールニッププレスに比べて脱水能力が高いと言うこと以外に、紙厚の減少を抑制しながら脱水できることが知見された。特に段ボール用中芯原紙を得る場合においては、コルゲーターでの成形時の段割れ防止に効果がある。
(予備乾燥工程30)
プレドライヤーパートは、ノーオープンドロー形式のシングルデッキドライヤーで、上側が加熱ロール、下側が真空ロールの適宜本数のロール構成であるのが好適である。シングルデッキ方式のドライヤーは、本発明が対象とする500m/分以上の高速抄紙において、嵩を落とすことなく高効率に乾燥を行え、品質・操業面において優れている。
シングルデッキ式のプレドライヤーパートでは、上段には複数のドライヤーヤロール、下段には複数の真空ロールがそれぞれ配置され、これらドライヤーロールと真空ロールとに帯状のカンバスが交互に巻き掛けられている。上流のプレスパートで脱水された紙ウェブ(湿紙)は、カンバスによって片面を支持されながらドライヤーロールと真空ロールとを交互に周回走行していく。紙ウェブはカンバスの下面側で支持されており、ドライヤーロール上において紙ウェブはカンバスによりドライヤーロールの表面に押し付けられ、ドライヤーロールの熱によって乾燥される。
乾燥効率の高いシングルデッキ式にて早期に乾燥を進ませ、次工程でのダブルデッキ式による乾燥によりを安定化させる。ダブルデッキ式のドライヤーパートでは、上段及び下段の二段に複数のドライヤーヤロールがそれぞれ配置され、これらドライヤーロールにカンバスが巻き掛けられている。プレスパートからの紙ウェブ(湿紙)は、カンバスによって支持されながら、上段のドライヤーロールと下段のドライヤーロールとを交互に周回走行していく。紙ウェブはドライヤーロール周面を走行する過程でドライヤーロールにより直接またはカンバスを介して加熱され乾燥される。
シングルデッキ式、ダブルデッキ式にて乾燥する方式を組み合わせることで、高速抄紙におけるキャンバスマーク、高速乾燥における断紙、シワ、紙継ぎ等の操業性の面を改善できる。
(塗工工程40)
塗工工程は従来公知の塗工手段が用いられるが、段ボール用ライナーに用いられる各種機能薬品を板紙表裏面に設けるに場合においては、表裏面の固形分濃度差異、塗工量差異を容易に付けることができるフィルムトランスファー方式またはポンド方式が好適に採用できる。
ポンド方式ロールコーターは、ウェブと同一周速で回転する軸が互いに平行で、且つアプリケーターロール外周線で接触してニップを形成している一対のアプリケーターロールより構成され、また、2本のアプリケーターロールの中心を結ぶ線は水平かまたは若干傾斜しており、前記ニップが塗布液のポンド(液溜り)とされ、前記ポンド内をウェブが通過することにより塗布液をウェブに過剰に付着させ、その後アプリケーターロールのニップで絞られて塗布量の調整及びウェブへ塗布液を浸透させるものである。
フィルムトランスファー方式は、ゲートロールコーターに代表される塗工方式で、アウターロール、インナーロール及び一対のアプリケーターロールから構成されている。この方式はアウターロール、インナーロールの間のニップに塗布液のポンドを形成させ、塗布液はインナーロールからアプリケーターロールに転写され、該塗布液がアプリケーターロールの一方の周面に転写され、更にウェブが一対のアプリケーターロールのニップを通過する際にウェブに転写されるものである。
アウターロール、インナーロールの替わりにロッドを用い、アプリケーターロール及びロッドの間に塗工液を噴射し、ロッドにて塗布液を掻き落とし、アプリケーターロールに転写され、更にウェブが一対のアプリケーターロールのニップを通過する際にウェブに転写されるロッドメタリング方式は、ロールマークが生じ難く好適に使用できる。
<表裏差塗工について>
段ボール用ライナーにおいては、外面においては、少なくとも見栄えが優れ、印刷適性が良好であることが要求されるので、少なくとも原料パルプの色調のままとせず染料、並びに印刷適性を高めるためのサイズ剤を含む外面用薬品を塗工することが必要となる。これに対し、裏面側は見栄及び印刷適性の配慮は不要であり、中芯原紙との接着性を重視すれば良く、紙力増強剤を含む裏面用薬品を塗工する。
したがって、本発明に従えば、段ボール用ライナーに要求される表裏の品質の相違に応じて、表裏の別の薬品を塗工するものであるから、薬品の歩留りを向上させることができるものである。また、品質の低下した古紙の使用に対応して紙力増強剤を原料パルプに内添する際に、過度の紙力増強剤の添加は、紙表面が硬くなりすぎて、製函時にいわゆる罫線割れを引き起こすことがある。そこで、外面に対しては、紙力増強剤を塗工しない、あるいは少ない量とすることで、品質の低下した古紙の使用の場合においても、製缶時の罫線割れを防止できる。
このように、本発明に係る表裏差塗工は、予期せぬ利点をもたらすことが明らかであろう。
(後乾燥工程50)
アフタードライヤーはダブルデッキ式であり、上下2段に配置されたドライヤーロールに高張力を与えられたカンバスが順次巻き掛けられ、紙ウェブの表面をカンバスでドライヤーロールに押し当て拘束するようになっている。また、ボトム群のドライヤーロールに対向して乾燥装置が配置され、紙ウェブの裏面にカンバス越しに乾燥媒体を噴き付けて乾燥するようになっている。
塗工工程で、段ボール用ライナー表裏面に各種機能薬品を塗工した塗工紙は、水分率が例えば10〜40%の領域にあり、アフタードライヤーでの乾燥においては、表裏面均一に乾燥処理を施すことが好ましく、カンバスによって支持されながら上段のドライヤーロールと下段のドライヤーロールとを交互に周回走行させ、紙ウェブに対しドライヤーロール周面を走行する過程で表裏面均等にドライヤーロールにより直接またはカンバスを介して加熱され乾燥される。
(平坦化工程60)
板紙の表裏面に各種機能薬品を含む塗工液を塗工して得られた板紙には、更に、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー設備で平坦化処理を施すことが好ましい。これらカレンダー設備の中でも、板紙の表裏面において、ベック平滑度差等を容易に付与することができる、実用性などの点から、マシンカレンダーを用いることが好ましい。
また、ソフトカレンダーを使用することもでき、ソフトカレンダーによる通紙処理は、そのニップ圧を5〜50kN/m、さらには12〜25kN/mの範囲内に調整して行うことが好ましい。該ニップ圧が5kN/m未満であると、前記ドライヤーパートにおいて金属ロールに接しなかった紙面の平滑性が充分に向上しない恐れがあり、一方50kN/mを超えると、逆に紙面の平滑性が高くなりすぎてしまう恐れがある。
ソフトカレンダーの弾性ロールの硬度は、JIS Z 2246に記載の「ショア硬さ試験−試験方法」に準拠したショア硬さが87〜95°程度であることが好ましい。該ショア硬さが87°未満であると、弾性ロールの耐久性が低く、充分な平滑性が得られない恐れがあり、一方95°を超えると、均一なプロファイルが得られ難くなる恐れがある。また該弾性ロールの粗さは、JIS B 0601に記載の「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」に準拠した表面粗さの最大値が0.5μm程度未満であることが、板紙におけるコルゲーターにおける加工適性を改善することができるので、特に好ましい。また、ソフトカレンダーの金属ロールに接する面を平滑化するために、弾性ロールと対向する金属ロールの表面温度は、40〜200℃程度、さらには60〜150℃程度、特に80〜120℃程度とすることが好ましい。金属ロールの表面温度をこのような範囲内とすることにより、例えば僅かな密度ムラが影響するような印刷を表面に施すにおいても、より均一な濃度の印刷面を得ることができる。
(最終工程)
平坦化後は、巻取り機70により巻き取り、段ボール用ライナー製品とする。
本発明の塗工液の塗工量(片面)としては、例えば次記の量(乾燥固形分量)が好適である。
外面用塗工液:サイズ剤;0.10〜1.00g/m2、染料;0.10〜1.00g/m2、紙力増強剤;0.30〜3.00g/m2
裏面用塗工液:紙力増強剤;0.20〜3.00g/m2
機能薬品を含む塗工液の塗工量は、基紙の表面と裏面とで、それぞれ乾燥固形分で0.6g/m2以上、さらには1.50g/m2以上に調整されていることが好ましく、またそれぞれ乾燥固形分で6.00g/m2以下、さらには5.00g/m2以下に調整されていることが好ましい。機能薬品を含む塗工液の塗工量が0.50g/m2未満では、表面処理剤を含む塗工液による、特に古紙パルプの配合割合が高い場合の、充分な表面強度や品質を得難い問題が生じる。塗工量が、5.00g/m2を超えると、アフタードライヤーでの乾燥能力、機能薬品の効果ムラ、操業性の低下が生じる問題が発現するので、表面処理剤を含む塗工液は必要以上に塗工しないことが望ましい。
本発明における段ボール用ライナーは、古紙由来の澱粉のほか、層間薬品として用いられる澱粉、紙力増強剤としての澱粉と多様に使用されるが、本発明の構成における全含有量としては、多くとも10.00g/m2の澱粉量で抄造することが、製造コスト、抄紙機の汚損防止、白水のCOD負荷低減に好ましい。
外面用塗工液における、サイズ剤がアニオン性で染料がアニオン性である、あるいはサイズ剤がノニオン性で染料がアニオン性であるのが望ましい。外面用塗工液中に更に紙力増強剤を含有させることができ、この場合において、紙力増強剤がアニオン性であるのが好適である。
<中芯原紙の製造について>
段ボール用中芯原紙の製造時に際しては、紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品は、予備乾燥後の湿紙外面又は裏面の一方に塗工して含浸によって強度の増強を図るほか、塗工工程の設備として、両面からの塗工が可能となっているので、予備乾燥後の湿紙外面及び裏面のそれぞれに紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品を塗工することができる。
この紙力増強剤としては、段ボール用ライナーの製造に使用できる先に例示した紙力増強剤をそのまま使用できる。特に好適なのは、PVA、カチオンPAM、生澱粉、カチオン化澱粉である。
紙力増強剤の塗布量としては、表面及び裏面とも、固形分で0.30〜3.00g/m2、好適には1.5〜2.50g/m2、更に好適には1.5〜2.00g/m2が望ましい。
<原料パルプについて>
原料パルプとして、段ボール古紙からなる古紙パルプを50重量%以上含有するものを使用できる。本発明に従えば、係る原料パルプを使用しても、抄紙速度500m/分以上で抄造して坪量が75〜290g/m2の必要な特性を有する段ボール用ライナーを製造できるのである。
段ボール用ライナーの原料となるパルプスラリーは、パルプの全乾燥重量を基準として、古紙パルプを少なくとも50重量%以上含むものにおいて特に本発明の利点が顕在化する。また、実質的に古紙パルプのみからなるパルプスラリーであっても良く、あるいは古紙パルプ以外に他のパルプを配合したものであっても良い。
古紙パルプとしては、段ボール古紙、雑誌古紙、製本、印刷工場、裁断所等において発生する裁落、損紙、幅落としした古紙である上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に平版、凸版、凹版印刷等、電子写真方式、感熱方式、熱転写方式、感圧記録方式、インクジェット記録方式、カーボン紙などにより印字された古紙、及び水性、油性インクや、鉛筆などで筆記した古紙、新聞古紙を離解後脱墨したパルプ(以下、DIPと略記する)等を用いることができる。
本発明の段ボール用ライナーの原料パルプには、上記古紙パルプ以外に、バージンのケミカルパルプ(CP:広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の木材及びその他の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ)や、木材またはチップを機械的にパルプ化したグランドパルプ、木材またはチップに薬液を滲み込ませた後、機械的にパルプ化したケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ及びチップをやや柔らかくなるまで蒸解した後、リファイナーでパルプ化したセミケミカルパルプ等のバージンパルプを含有させても良い。しかしながら、省資源及び原料コストの観点からバージンパルプの使用は極力少なくするのが望ましい。
本発明の段ボール用ライナーに好適に用いられる原料パルプは、JIS P 8220に準拠して段ボール用ライナーを離解した離解パルプにおける、JAPAN TAPPI No.52に準拠して測定した重量平均繊維長(以下、単に「重量平均繊維長」と言う。)が1.30〜1.50mm、より好ましくは1.35〜1.45mmである。これにより、古紙パルプの配合量に関わらず、圧縮強度等の強度を一定に保つことができる。また、短繊維量が多くなることを防止することができるので、紙粉の発生を抑制することができる。さらにまた、後続のヘッドボックス及びプレスパートにおける紙厚低下がより少なくなり、地合の良い、すなわち厚薄ムラのより少ない紙層形成を行うことが可能となる。なお、重量平均繊維長が1.30mm未満であると、圧縮強度の向上効果が小さくなるとともに、短繊維量が多くなるため、紙粉が発生しやすくなる。一方、重量平均繊維長が1.50mmを超えると、製造工程での分級処理で歩留りが低下し、省資源やコスト面で問題が発生したり、さらには地合が悪くなり、厚薄ムラが発生しやすくなるため、段繰り性が悪化する。
段ボール用ライナーの、紙層間の少なくとも一部に、糊化澱粉または未糊化澱粉を含有する水溶液をスプレー塗布するのが望ましい。
ワイヤーパート(抄紙段階)において例えば下側の湿紙上に澱粉の水溶液を設ける手段について、特に好適な手段として用いられるスプレー噴霧するについて、まず、スプレー噴霧は、1流体または気‐液の2流体スプレーを用いるのが好ましい。このスプレー噴霧におけるノズル径は、例えば未糊化の澱粉で孔が閉塞しないものを選べば良く、0.5〜2.5mm径、好ましくは0.8〜1.5mm径のノズルを適宜選択して用いる。このようなスプレーガンは、湿紙幅方向に一列設けられてもよいし、多系列設けられても良く、湿紙の表面に均一に噴霧できるように工夫される。スプレーの圧力は、供給する空気圧にて微細な飛沫が得られれば特に制約はないが、0.3〜35kg/cm2、好ましくは2.0〜10kg/cm2とすることができる。吐出量は、0.4〜4.0リットル/分、好ましくは1.0〜3.0リットル/分である。
また、澱粉は、未糊化の澱粉が好ましく、未糊化でパルプ繊維間に歩留易い粒子径の例えば、体積平均粒子径12.0〜16.0μmのコーンスターチが好ましく、体積平均粒子径が6.0μm未満と小さいコメ澱粉はウエットエンドにおいて脱水とともに紙層を形成する繊維間に澱粉粒子が流入し、湿紙と湿紙に重ねあわされる上層との結合力を十部に得難い問題が生じやすく、体積平均粒子径が20.0μmを超えるコムギ澱粉や甘藷、馬鈴薯澱粉はウエットエンドにおいて表層に留まるものの、粒子径が大きいことが原因と推察される層間強度のバラツキや紙層間への澱粉粒子の含有量(流入)が少ないため、体積平均粒子径が6.0μ未満と小さいコメ澱粉と同様に紙層間強度向上にさほど寄与しない。また、コーンスターチは澱粉粒径が多角形であり、紙層を形成する際にパルプ繊維への絡み合いも多くなる点からもコーンスターチが好ましい。
湿紙の形成において、微細繊維が白水とともに抜け落ち難い湿紙の表面は、白水とともに抜けやすい湿紙の裏面と比較して微細繊維が多く分布するため、物理的外圧を加えることなく例えばスプレー噴霧にて設けるコーンスターチ等の未糊化澱粉の水性懸濁液を表層に留めやすい。好適には、未糊化の澱粉の水性懸濁液をスプレー噴霧した表層に更に上側の湿紙を重ね、複数層の層構成後に、プレスパートでの脱水による強制的な脱水を付与することで、表層や湿紙層間に付与された未糊化の澱粉の水性懸濁液が湿紙層中に拡散し、100℃以上の熱が加えられるドライヤーにて糊化することで、紙層間及び紙層内部の強度向上を図ることができる。
ここで、湿紙間に澱粉の水溶液が設けられた積層体が形成するにあたり、湿紙を2層積層する場合は、下側の湿紙(下層)上に好適には未糊化の澱粉水溶液のスプレー噴霧を行い、上側の湿紙(上層)を積層するのが好ましい。他方、湿紙を3層以上の複数積層する場合は、上下に隣接する下側の湿紙及び上側の湿紙が複数存在することになるが、少なくともいずれか1つの下側の湿紙を対象として、好ましくは全ての下側の湿紙を対象として澱粉水溶液のスプレー噴霧を行うのが好ましい。 スプレー方式の塗布(噴霧)設備にて用いられる未糊化澱粉の水溶性懸濁液の調製方法は、特に限定されないが、好ましくは次のとおりである。すなわち、まず、未糊化の生澱粉を水に分散して、好ましくは最終澱粉糊液の濃度が5%以上になるように約5〜20%未満の濃度の水性懸濁液とする。本発明で言う「未糊化澱粉」とは、加熱処理等により生澱粉を糊化する処理を行っていない未処理の澱粉を言う。未糊化澱粉の水溶性懸濁液のスプレーによる塗布(噴霧)は、上下に隣接する湿紙の一方の湿紙の表面(第1ワイヤー面)、好ましくは裏面(第2ワイヤー面)にもスプレーすることが可能であるが、本発明の課題である圧縮強度の高い段ボール用ライナーを得るに好適な構成においては、ギャップフォーマーにおける、ワイヤーパートにおけるインレット吐出直後から湿紙を重ね合わせる間、好ましくは2枚のワイヤー間から湿紙が露出直後、フォードリニアにおいては水切れ線直後に噴霧されることが好適である。
<段ボール用ライナーの色調について>
本発明においては、予備乾燥後の湿紙外面に少なくともサイズ剤及び染料を含む外面用薬品を塗工する。この場合、例えば、カレンダー61の出側に設ける既設のいわゆるBM計の近傍にカラーセンサ(例えばハネウェル社製MxOpen型カラーセンサまたは2000ETカラーセンサ、マクベス社製定点測定用カラーセンサ)80を設けて、その色調に基づき、サイズプレスに与える染料の調整(イエロー、ブラック、マゼンタの配合及び添加量の調整)を行うのが好ましい。幸い、本発明は染料を内添するのではなく、サイズプレス部位でサイズ剤とともに染料を塗工するものであるから、製造工程での色調の変動を迅速にフィードバックして調整できる利点があるのである。
次に実施例を示し本発明の効果を明らかにする。
原料パルプの種別、古紙の由来、ヘッドボックスの濃度調整機能の有無、紙力増強剤の種別及びその使用量、サイズ剤の種別及びその使用量、サイズプレスでの染料添加の有無、塗工量などを変化させて、得られる特性を調べた。結果を表1に示す。
CODカット率は、以下方法にて測定した。
JIS K 0102の測定方法に準拠して行なった。また、CODカット率は、比較例1におけるワイヤー下白水を、内添薬品抄紙の場合のワイヤー下白水CODとして、以下の式で算出した。
CODカット率(%)=((内添薬品抄紙の場合のワイヤー下白水COD)−(外添薬品抄紙の場合のワイヤー下白水COD))/(内添薬品抄紙の場合のワイヤー下白水COD)×100
なお、使用した薬品などは次記のとおりである。
酸化澱粉:エースAT−110(王子コーンスターチ社製)
両性澱粉:Cato3210(日本NSC社製)
エステル変性澱粉:コーンポールCP−5(王子コーンスターチ社製)
生澱粉:コーンスターチ(王子コーンスターチ社製)
カチオン澱粉:EX−3 (日澱化学社製)
PVA:PVA110(クラレ社製)
共重合PAM:ポリアクロンST−13(星光化学社製)
Figure 0005283414
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本発明に係る製造設備例の上流側工程の概要図である。 本発明に係る製造設備例の下流側工程の概要図である。
10…湿紙形成工程、20…脱水工程、30…予備乾燥工程、40…塗工工程、50…後乾燥工程、60…平坦化工程。

Claims (4)

  1. 下記A、B及びCの条件を有し、坪量が75〜200g/m2の段ボール用中芯原紙及び坪量が75〜290g/m2の段ボール用ライナーを製造することを特徴とする板紙(段ボール用中芯原紙又は段ボール用ライナー)の製造方法。
    A.次記の(1)〜(5)の連続的な工程が順に組み込まれていること。
    (1)少なくとも最下層がギャップフォーマー方式で抄紙され、上層が長網部を有するフォードリニア方式で抄紙される層を抄き合わせて少なくとも2層から成る湿紙を形成する抄紙工程、
    (2)前記湿紙を脱水する脱水工程、
    (3)脱水湿紙を、予備乾燥する予備乾燥工程
    (4)予備乾燥後の湿紙に薬品を塗工して塗工紙を得る塗工工程、
    (5)塗工後の塗工紙を乾燥する後乾燥工程、
    B.段ボール用中芯原紙の製造時の前記塗工工程は、予備乾燥後の湿紙外面及び裏面の少なくとも一方の面に紙力増強剤を含む中芯原紙用薬品を塗工する塗工工程であること。
    C.段ボール用ライナーの製造時の前記塗工工程は、予備乾燥後の湿紙外面に、少なくとも表面サイズ剤及び染料を含む外面用薬品を乾燥固形分で0.5g/m2以上6.0g/m2以下塗工し、予備乾燥後の湿紙裏面に、少なくとも紙力増強剤を含む裏面用薬品を乾燥固形分で0.5g/m2以上6.0g/m2以下塗工する塗工工程であり、前記外面用塗工液における、表面サイズ剤がアニオン性で染料がアニオン性である、あるいは表面サイズ剤がノニオン性で染料がアニオン性であること。
  2. 多層抄き抄紙において、上層及び下層を抄き合わせるに際し、又は上層及び下層を中層を介して抄き合わせるに際し、澱粉の分散液をスプレーする請求項1記載の板紙の製造方法。
  3. 塗工工程が、フィルムトランスファー方式またはポンド方式からなるサイズプレスにより塗工する請求項1または2記載の板紙の製造方法。
  4. 前記外面用塗工液中に更に紙力増強剤が含有され、その紙力増強剤がアニオン性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の板紙の製造方法。
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