JP2017002413A - 塗工ライナーとその製造法及び塗工ライナーを有する段ボールシート - Google Patents

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Abstract

【課題】ライナー表面のチリが少なく、フレキソ印刷のインキ乾燥性に優れ、インキ着肉性とニス光沢性に優れ、強度を備えていて、段ボール業界における塗工ライナーの軽量化、塗工ライナー表面の美粧性、ライナー表面保護用のニス加工面のインキ乾燥性等についての要求に十分に対応できる塗工ライナーを提供する。【解決手段】少なくとも2層以上の紙層を有するライナー原紙の表層となる紙層上に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えた塗工ライナーであって、前記塗工層は、全顔料中の3〜30質量%の量の合成非晶質シリカを含有し、塗工量が3〜25g/m2(全固形分)である塗工ライナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、塗工ライナーとその製造方法及び該塗工ライナーを用いた段ボールシートに関する。特に、ライナー表面のチリが少なく、強度、フレキソ印刷適性に優れた美粧段ボール用の塗工ライナーに関するものである。
一般に、ライナーは2〜9層程度の多層抄きされた厚紙で、晒パルプを主原料とする原料が表層(ライナーの表面となる最外層)に使用されている白ライナーと、未晒パルプ(未晒パルプの色調は茶系色)を主原料とする原料が表層に使用されている未晒ライナー(以下、茶ライナーともいう)とに大別される。白ライナーの表層は、通常、バージンパルプや、脱墨処理あるいは漂白処理等が施された白色度が高い古紙パルプが用いられている。また、表層のみの対策はコストがかかることから、表下層(表層の直下の層)にもある程度白色度のあるパルプを用いて、中層の色を隠蔽する作用を持たせることもある。ライナーの表層以外の層には脱墨処理あるいは漂白処理等が施されていない古紙パルプが用いられている。
ライナーは、中芯原紙と組み合わせて段ボールシートに加工され、各種包装箱等に使用されるが、段ボール箱の機能が、商品を保管・輸送などの流通過程で受ける物理的な力から守るだけではない。カラー印刷を施した段ボ−ル箱の場合は、人の目を引く効果が高く、更に、内容物を忠実に表すために、内容物の優良性を強く訴えることが出来る優れた面がある。近年、量販店を中心に、店頭に段ボ−ル箱に製品を詰めたまま展示し、販売するということがよく見受けられるようになって来ており、この点からもチリが少なく、白色度が高く、印刷面が美麗で鮮やかな美粧ライナーが求められている。
優れた白紙外観や印刷外観を有している美粧ライナーを得る方法として、ライナー表面の白色度と色相を規定することにより、落ち着いた視覚効果を与えるライナー(特許文献1、2)が提案されている。また、表層の明度を所定の範囲内に調整し、かつ表層中の灰分量を3重量%以上、9重量%未満とするライナー(特許文献3)が提案されている。他に、ライナー表面に顔料と接着剤を主成分とした塗工層を設け、平滑性を規定することで印刷モトリングの発生がなく、白紙光沢及び印刷光沢に優れる塗工ライナー(特許文献4)が提案されている。しかし、これらの提案は、白色度や色相、平滑性を規定しているライナーに関するもので、フレキソ印刷におけるインキ乾燥性やインキ発色性などの印刷適性を十分満足させるライナーに関する提案になっていない。中層、裏層にダンボール古紙及び針葉樹未晒クラフトパルプを使用し、顔料として焼成カオリン及びタルクを含有する塗工層を有する塗工ライナーの比破裂強度を規定した塗工ライナー(特許文献5)が提案されているが、良好な印刷光沢が得られるものではない。
これらの塗工ライナーは、何れも未塗工ライナーよりも印刷光沢やインキ発色性は向上する。しかし、美麗で鮮やかな印刷面を形成できること、段ボールに製函した際に十分な強度を有するものであること、印刷作業性に優れること等の要求特性をバランスよく備えるものであるためにはさらなる改善の余地がある。
近年、段ボール業界においても環境意識の高まりから薄くて軽い段ボールとするためにライナーの軽量化が図られている。また、塗工ライナー表面の美粧性や表面保護のための表面加工としてニス加工が施される場合にニス光沢性を損なうことなくインキ乾燥性を高めることが求められてきている。これらの要求に十分に対応できるものであるためにもさらなる改善の余地があるものである。
特開2002−317395号公報 特開2001−146697号公報 特開2007−100278号公報 特開2000−314095号公報 特開2010−77552号公報
本発明は、フレキソ印刷のインキ乾燥性に優れ、インキ着肉性とニス光沢性に優れ、強度を備えた塗工ライナー、その塗工ライナーを用いた段ボールシート及び塗工ライナーの製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、前記ダンボール業界の要求に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ライナー原紙の表層となる紙層上に特定の顔料を有する特定の塗工量の塗工層を形成することで、前記美粧段ボール用のライナーに求められる諸特性をバランスよく備える塗工ライナーに関する下記の発明をなすに至った。
(1)少なくとも2層以上の紙層を有するライナー原紙の表層となる紙層上に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えた塗工ライナーであって、前記塗工層は、全顔料中の3〜30質量%の量の合成非晶質シリカを含有し、塗工量が3〜25g/m(全固形分)であることを特徴とする塗工ライナー。
(2)前記ライナー原紙は、表層となる紙層にライナー原紙の全紙層中の全パルプの10〜50質量%の量の白色度78%以上のパルプを含有し、前記表層となる紙層以外の紙層にライナー原紙の全紙層中の全パルプの30〜80質量%の量の新聞古紙パルプと3〜15質量%の量の針葉樹未晒クラフトパルプを含有しており、前記塗工層を備えた表側の白色度が70%以上であることを特徴とする(1)項記載の塗工ライナー。
(3)前記塗工ライナーの前記塗工層表面の面積0.05mm以上のチリの個数が600個/m以下である、(1)項又は(2)項に記載の塗工ライナー。
(4)前記塗工ライナーの比圧縮力が100N/(g/m)以上である、(1)項〜(3)項のいずれか1項記載の塗工ライナー。
(5)上記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の塗工ライナーを使用したフレキソ印刷用ライナー。
(6)上記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の塗工ライナーを備えた段ボールシート。
(7)前記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の塗工ライナーを製造する方法であって、少なくとも2層以上の紙層を有する前記ライナー原紙の表層となる紙層上に、全顔料中の3〜30質量%が合成非晶質シリカである顔料と接着剤とを含有する塗液により、塗工量3〜25g/m(全固形分)の塗工層を形成することを特徴とする、塗工ライナーの製造方法。
本発明の塗工ライナーは、フレキソ印刷のインキ乾燥性に優れ、インキ着肉性とニス光沢性に優れた多層抄き塗工ライナーであり、強度を備えた美粧段ボール用の塗工ライナーとして特に有用である。
本発明における塗工ライナーは、少なくとも2層以上の紙層を有するライナー原紙の表層となる紙層上に合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)を含有する顔料と接着剤とを含有する塗工層を備えている。
塗工ライナーの塗工層を有する表層は段ボールシートの表面を形成し、裏層は段ボールシートの中芯と接着される裏面を形成する。表層と裏層との間には表層に接して形成される表下層、表下層と裏層の間に形成される単層又は複数層の中層を備えていてもよい。
本発明の塗工ライナーは、塗工層の表側の白色度が70%以上であることが好ましい。塗工ライナーの表側の白色度を70%以上とするためには、ライナー原紙の表層となる紙層は白色度78%以上のパルプで構成するのが好ましい。表層を構成するパルプとしては、白色系の晒パルプと白色度が高い古紙パルプが好ましい。古紙パルプとしては、例えば、製本、印刷工場等より発生する印刷用塗工紙の裁落を収集した古紙(以下、ケント古紙ともいう)、雑誌古紙、チラシ古紙、新聞古紙、オフィス古紙、情報用紙古紙等を脱墨して得られたパルプを主原料とするものが好ましい。
なお、資源保護の観点から、ライナー原紙の表層には古紙パルプを多く配合するのが好ましく、針葉樹晒クラフトパルプ(以下、NBKPともいう)は目標とする強度を発現させるだけの配合量とするのが好ましい。古紙パルプの配合量は、表層パルプ中の20〜60質量%程度が好ましい。白色度を低下させないのであれば、上記以外のパルプを適宜配合しても良い。
ライナー原紙の表層を構成するパルプの叩解度(CSF)は特に限定されないが、250〜500mlが好ましい。叩解度を250ml以上とすることにより、抄紙工程での脱水性を良好に保つことができる。一方、500ml以下とすることにより、強度が向上し、平滑性も向上し、印刷適性を高めることができる。
表層を構成するパルプとしては、塗工ライナーの塗工層側の白色度が70%未満にならなければ、上記パルプ以外のパルプを適宜配合してもよい。その他のパルプ種としては、例えば、段ボール古紙、板紙古紙、紙器古紙等の古紙を脱墨して得られたパルプ及び/又は広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKPともいう)等が挙げられる。
表層を形成する白色度78%以上のパルプの含有割合は、ライナー原紙の全紙層中の全パルプの10〜50質量%であるのが好ましく、13〜35質量%であるのがより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。10質量%未満では白色度が低くなり、50質量%を超えると十分な強度を得ることができない場合がある。
表層となる紙層以外の紙層を形成するパルプの種類に特に制限はない。例えば、木材パルプである未晒、晒の化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプ、及びケント古紙、雑誌古紙、チラシ古紙、新聞古紙、オフィス古紙、情報用紙古紙、板紙古紙、紙器古紙等の古紙を脱墨して得られたパルプ、マニラ麻等、段ボール古紙等が挙げられる。なかでも強度と表面外観(表面チリ)を両立させる観点から、新聞古紙と針葉樹未晒クラフトパルプ(以下、NUKPともいう)を含有するのが好ましい。
塗工ライナーの表面のチリが多いと白紙外観が劣るだけでなく、印刷図柄によっては印刷欠点となる可能性がある。面積0.05m以上のチリが600個/m以下であるのが好ましく、500個/m以下であるのがより好ましく、400個/m以下であるのが更に好ましい。そのために、表層以外の表下層、中層及び裏層を構成するパルプとしては、新聞古紙を用いることが良い。新聞古紙の含有割合は、ライナー原紙の全紙層中の全パルプの30〜80質量%であるのが好ましく、35〜75質量%であるのがより好ましく、40〜70質量%であるのが更に好ましい。30質量%未満ではチリの個数が多くなり、80質量%を超えると強度が低下する。
塗工ライナーの強度のためには、表層以外の表下層、中層及び裏層を構成するパルプとして段ボール古紙パルプ及び/又はNUKPを用いることが良い。段ボール古紙パルプ及び/又はNUKPの含有割合は、ライナー原紙の全紙層中の全パルプの3〜15質量%であるのが好ましく、4〜12質量%であるのがより好ましく、5〜9質量%が更に好ましい。3質量%未満では十分な比破裂強さ、比圧縮強さを得ることができない場合があり、15質量%を超えると白色度、平滑性が低下するとともに表面のチリが多くなる。
塗工ライナーの強度は、比破裂強さは2.95kPa/(g/m)以上であるのが好ましく、比圧縮強さは100N/(g/m)以上であるのが好ましい。NUKPを用いることで、表面チリを少なくすることができるので、より好ましい。
表層及び表層以外の各層に使用されるパルプの叩解度(CSF)については特に限定されないが、250〜500mlの範囲であることが好ましい。叩解度を250ml以上とすることにより、抄紙工程での脱水性を良好に保つことができる。一方、500ml以下とすることにより、強度が向上し、表面チリを少なくすることができる。表面チリをより少なくするには、叩解度を400ml以下とすることがより好ましく、350ml以下とすることがさらに好ましい。
ライナー原紙の各紙層には内添薬品も必要に応じて使用でき、例えば、硫酸バンド、ロジン等のサイズ剤、ポリアミド、澱粉等の紙力増強剤、濾水歩留まり向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロヒドリン等の耐水化剤、染料等が使用される。特に、塗工層が形成される表層には、塗液の染み込みを抑える観点から、また、裏層には、段ボール貼合時の糊の浸み込みを抑える観点から、サイズ剤を添加することが好ましい。
本発明の塗工ライナーにおけるライナー原紙は、パルプを主原料とする紙層を2層以上抄き合わせて多層構造とするものであるが、公知の多層抄き抄紙機、例えば長網フォーマー、円網フォーマーを組み合わせた抄紙機によって製造することができる。抄き合わされる際の各層間に澱粉等の接着剤を噴霧又は塗工することにより各層間の強度を強めることも可能である。
本発明の塗工ライナーは、ライナー原紙の表層となる紙層上に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えている。塗工層を形成する顔料として、合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)を含有し、塗工層における含有割合は、塗工層中の全顔料の3〜30質量%である。5〜20質量%が好ましく、8〜15質量%が更に好ましい。
合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)の含有割合を3質量%以上とすることにより、インキ乾燥性を向上させることができる。一方、30質量%以下とすることにより、ニス光沢を向上させることができる。
合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)を用いるのが好ましい。湿式シリカの二次粒子径は、1〜20μm程度が好ましく、2〜15μm程度がより好ましく、3〜10μmが更に好ましい。1μm未満であると白色度が低下し、インキ乾燥性が悪くなる。20μmを超えると白色度向上効果があるものの、白紙光沢、印刷光沢、ニス光沢、インキ着肉性が低下する。
塗工量は、3〜25g/m(全固形分)である。塗工量の下限としては、好ましくは5g/m以上、より好ましくは8g/m以上である。上限としては、好ましくは18g/m以下、より好ましくは16g/m以下である。塗工量が3g/m未満ではインキ着肉性、ニス光沢性が低くなり、所望の美粧性を付与することができない場合がある。25g/mを超えるとインキ乾燥性が悪くなり、印刷作業性が低下する。
本発明の塗工ライナーにおける塗工層は、塗工量が3〜25g/m(全固形分)であれば、特に限定はなく、単層構造であっても多層構造であってもよい。2層以上の多層構造においては、各層を形成する塗液の組成は同一であってもよく、また異なっていてもよい。別言すると、1種の塗液を用いて2以上の塗工層を形成してもよく、また2種以上の塗液を層ごとに使い分けて2以上の塗工層を形成してもよい。
本発明の塗工ライナーは、その塗工層中に特定の顔料を含有させるものであるが、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、その他の顔料も使用できる。具体的には、製紙分野で通常使用されている顔料、例えば、カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらの中でも、良好なニス光沢を発現でき、インキ着肉性を向上させる観点からカオリンを使用することが好ましい。カオリンの含有割合は、塗工層中の全顔料の50質量%以上とするのが好ましい。50質量%以上とすることにより、良好なニス光沢、インキ着肉性を向上させることができる。カオリンの形状は、特に限定はなく、微粒、1級カオリン、2級カオリン、デラミネーテッドカオリン、高アスペクト比カオリン等を用いることができるが、微粒カオリンが光沢や平滑性の発現に優れ、インキ着肉性、ニス光沢が優れる。
なお、プラスチックピグメント等の有機顔料はフレキソインキ乾燥性が悪いので使用しないことが好ましい。
本発明の塗工ライナーにおける塗工層は、顔料として合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)を含有し、接着剤を含有する塗工層用塗液をライナー原紙の片面に塗工した後、乾燥させて形成することができる。塗液中の接着剤としては、特に限定するものではなく、一般の塗被紙製造分野で使用されている、例えば、以下のような公知の接着剤が適宜使用される。スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス。アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス。エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス。あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等の水分散性接着剤。ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂等の合成樹脂系接着剤。酸化澱粉、陽性澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類。これらの水分散性及び/または水溶性接着剤から1種又は2種以上を適宜選択して使用できる。接着剤の含有量は、塗工層中の全顔料100質量部に対して、8〜50質量部が好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。接着剤の含有量を8質量部以上とすることにより、塗工層の強度を高めることができる。一方、50質量部以下とすることにより、塗工層中における顔料の比率を大きくして、フレキソインキ乾燥性、平滑性を向上することができる。
塗工層を形成する塗液中には、保水剤を含有させることが好ましい。これにより、塗液の粘度等の物性を調整でき、塗工適性を向上させることができる。保水剤としては、製紙分野で一般にCMCと呼ばれているカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、合成保水剤と呼ばれている多価カルボン剤アクリル系共重合体やメタクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体等が挙げられる。
インキ発色性、印刷均一性の仕上がりに関しての効果を阻害しない範囲において、塗液中に離型剤、防滑剤、染料等の添加剤を含有させることもできる。
本発明の塗工ライナーにおける塗工層の塗工方式は特に限定されないライナー原紙表面のボコツキを抑えて白紙面感が優れる、透気度を低くしてインキ乾燥性を向上する観点からエアナイフ塗工方式、バー塗工方式、又はカーテン塗工方式のいずれかを用いることが好ましい。これにより、フレキソ印刷適性、特に水性フレキソインキに対して優れたインキ乾燥性及びインキ発色性と印刷均一性を発揮することができる。
カーテン塗工方式とは、塗液を流下して自由落下させ支持体に非接触で塗工する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、ブレード塗工方式は、ベベルタイプやベントタイプに代表されるブレードを使用した塗工法に限らず、ロッドブレード法やビルブレード法等も含む。
本発明の塗工ライナーにおけるライナー原紙の坪量は、100〜220g/mの範囲が好ましい。段ボールシートは、坪量100〜220g/mの紙厚の薄いライナー原紙を用いると、軽量化できる反面、強度が低下する。しかし、本発明では、段ボール古紙パルプ及び/又はNUKPを使用しているので、商品輸送時の衝撃や圧縮に対しても十分耐えることができ、外装用段ボールシート用表ライナーとして使用可能である。さらに、ライナー原紙の表層上に特定の塗工層を備えることにより、インキ着肉性、インキ乾燥性、ニス光沢の向上を同時に達成することができる。また、塗工ライナーの坪量としては、120〜230g/mが好ましく、130〜220g/mがより好ましい。
本発明の塗工ライナーは、塗工面や印刷適性をさらに向上させるために、金属ロールを組み合わせたカレンダーや弾性ロールにコットンロールを用いたスーパーカレンダー、弾性ロールに合成樹脂ロールを用いたソフトニップカレンダー等の装置により平滑化処理を行うことができる。カレンダー処理は、段ボール古紙、NUKP中の粘着物、ピッチ等を押し出し、塗工ライナー表面のチリとなり、白紙外観を低下させることがあるが、本発明では表層以外の紙層に新聞古紙を配合することでチリの発生を抑制できる。カレンダー処理線圧は、塗工ライナー表面のチリの個数が抑制できる範囲で100〜500kN/mが良い。130〜400kN/mがより好ましく、150〜360kN/mが更に好ましい。カレンダー線圧を100kN/m以上とすることで、塗工ライナー表面の平滑性が向上し、インキ着肉性やニス光沢が向上する。500kN/m以下とすることで塗工ライナー表面のチリの個数を抑制することができる。ソフトニップカレンダーは、合成樹脂ロール表面の耐熱温度をコットンロールに比べて高く設定することが可能なため、高温での処理が可能であり、同一の平滑性を目標とした場合、スーパーカレンダーに比べて処理線圧を低く設定できるので好ましい態様である。
段ボールの印刷方式としては、段ボールが形成される前にライナー紙に印刷が施される場合(プレプリント方式)と段ボールに形成された後に印刷が施される場合(ダイレクトプリント方式)があるが、本発明の塗工ライナーはいずれの場合にも適用可能である。フレキソインキ乾燥性とインキ発色性を両立できるので、中芯紙と貼合されて、その後に印刷されるダイレクトプリント方式の場合も、中芯紙とライナーが接する段頂部と段底部のインキ着肉性を均一にすることができ、優れた美粧性を発揮させることができる。
本発明の塗工ライナー上に印刷する際のフレキソインキとしては、特に制限はなく、アルコール型、コソルベント型、水性型、及びUV硬化型等があげられる。これらのフレキソインキの中でも水性型が安全性、作業性及び経済性の面でも優れており、本発明の効果が最も顕著に表れる実施態様である。
また、使用されるフレキソ印刷機は、印刷ユニットの並び方により、スタック型、ライン型、セントラルインプレッション型の3タイプに分けられるが、いずれのタイプも使用できる。なお、プレプリント方式は3タイプで印刷可能であるが、ダイレクトプリント方式はライン型での印刷である。
本発明の塗工ライナーは、段ボールシートの少なくとも一方の最外面に配置するライナーとして用いることができ、それによって本発明の段ボールシートが提供される。段ボールシートとしては、中芯の片面にのみライナーが貼合された片面段ボールシート、中芯の両面にライナーが貼合された両面段ボールシート、中芯/ライナーの積層体が複数段設けられた複数段の段ボールシートがある。本発明の塗工ライナーは、いずれの段ボールシートにも適用可能である。
本発明の塗工ライナーと共に段ボールシートを構成する波状部材の中芯としては特に制限はない。本発明の塗工ライナーは従来のものより薄物であるため、一般の段ボールシートに使用されているものより圧縮強さ、引張強さが高い強化中芯を使用するのが好ましい。また、理由は良く分からないが、強化中芯を使用することで、ウォッシュボードが低減する傾向がある。原料パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドパルプ(CGP)、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、未晒クラフトパルプ、クラフトパルプ、合成繊維等が使用できる中でも、資源保護の観点から、段ボール古紙パルプや雑誌古紙パルプ等の古紙パルプを多く用いることが好ましい。中芯は積層紙であっても良く、さらには層間に合成樹脂接着剤層を有する積層紙であっても良い。
本発明における段ボールシートの製造方法としては、従来公知の段ボールの製造方法をそのまま適用できる。例えば、中芯とライナーとを、接着剤を介して貼合するコルゲータ処理を経て製造することができる。接着剤としては、澱粉糊や合成樹脂等が挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル系共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
一般的には、(1)中芯を波形に形成し、中芯に合成樹脂等のエマルジョンや澱粉糊等の接着剤を塗工し、ライナーと貼合し、これを加圧及び加熱して接着する方法が挙げられる。他の方法としては次の方法も挙げられる。(2)中芯又はライナーの表面に、押出ラミネートや合成樹脂エマルジョンの塗工等により接着剤層を形成してから、これらを重ね合わせ、加圧及び加熱して接着する方法。(3)中芯/ライナー間に合成樹脂フィルムを介在させ、これを加圧及び加熱して接着する方法。なお、(3)の方法においては、あらかじめ成形された合成樹脂フィルムを繰り出し、中芯/ライナー間に供給することもできるし、合成樹脂フィルムを溶融押出成形しながら、中芯/ライナー間に供給することもできる。
上記の各方法では、コルゲータ処理を1回実施することで片面段ボールシートが製造され、複数回繰り返し実施することで両面段ボールシートや複数段の段ボールシートが製造される。両面段ボールシートは、例えば、中芯とライナーとを加熱加圧ロールで貼合し片面段ボールシートとするシングルフェーサ(SF)と、SFで得られた片面段ボールシートの中芯側に更にライナーを重ね、加圧しながら熱盤上を走行させて貼合するダブルフェーサ(DF)とを有するコルゲータを用いて製造することができる。加熱加圧条件は特に制限はない。例えば、SFの加熱温度120〜200℃、線圧20〜40kN/m、加圧時間0.01〜0.20秒、DFの加熱温度120〜200℃、線圧0.1〜1.0kN/m、加圧時間2〜7秒等の条件で行うことが好ましい。
段ボールシートをダイレクトプリント方式で印刷する場合のフルートの種類としては、印刷機に対応できるものであれば特に限定はないが、Bフルート、Eフルートは平面圧力及び段方向に平行な圧力に強い強度を持つため、印刷適性に優れるので好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
(ライナー原紙の作製)
表層に、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)420mlに調整したNBKP(白色度85%)とCSF330mlに調整した上白古紙パルプ(白色度82%)を60:40の質量比で配合したパルプを使用した。このパルプ100質量部に対して、サイズ剤(商品名:サイズパイン836、荒川化学工業社製)1.0部、硫酸バンド4.0部、紙力剤1(商品名:PT−1001、荒川化学工業社製)0.05部、紙力剤2(商品名:OM−3、荒川化学工業社製)2.5部を添加して表層用紙料を調製した。
表下層には、CSF270mlに調整した中白古紙パルプ(白色度72%)100%のパルプを使用した。このパルプ100質量部に対して、硫酸バンド1.0部、紙力剤1(商品名:PT−1001、前出)0.05部、紙力剤2(商品名:OM−3、前出)5.0部を添加して表下層用紙料を調製した。
中層には、CSF350mlに調整した新聞古紙パルプ(白色度50%)とCSF200mlに調整したNUKP(白色度27%)を90:10の質量比で配合したパルプを使用した。このパルプ100質量部に対して、サイズ剤(商品名:サイズパイン836、前出)0.4部、硫酸バンド2.0部、紙力剤1(商品名:PT−1001、前出)0.15部、紙力剤2(商品名:OM−3、前出)5.0部を添加して中層用紙料を調製した。
裏層には、CSF350mlに調整した新聞古紙パルプとCSF200mlに調整したNUKPを90:10の質量比で配合したパルプを使用した。このパルプ100質量部に対して、サイズ剤(商品名:サイズパイン836、前出)1.0部、硫酸バンド2.0部、紙力剤1(商品名:PT−1001、前出)0.15部、紙力剤2(商品名:OM−3、前出)2.0部を添加して裏層用紙料を調製した。
これらの紙料により4層を抄き合わせて、表層の米坪21.6g/m、表下層の米坪29.2g/m、中層の米坪38.1g/m、裏層の米坪38.1g/mとし、原紙米坪127g/mのライナー原紙を得た。
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)96部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)4部からなる顔料スラリーを調製した。顔料スラリー中に接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合ラテックス(商品名:B1735、旭化成ケミカルズ社製)15部(いずれも固形分換算)からなる組成物を混合し、さらに助剤として消泡剤及び染料を加えて固形分濃度63%の塗工層用塗液を得た。
(塗工ライナーの作製)
上記塗工層用塗液を前記のライナー原紙の表層上にバーコーターを用いてバー塗工方式で塗工量13g/m(全固形分)となるように塗工及び乾燥して塗工層を形成した。その後、チルドカレンダーを用いて、カレンダー線圧150kN/mでカレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例2
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)90部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)10部の割合の顔料を調製した以外は、実施例1と同様にして塗工層用塗液を得た。その後、この塗工液により、実施例1と同様に作製したライナー原紙に実施例1と同様の塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例3
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)75部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)25部の割合の顔料を調製した以外は、実施例1と同様にして塗工層用塗液を得た。その後、この塗工液により、実施例1と同様に作製したライナー原紙に実施例1と同様の塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例4
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を23.0g/mとし、前記表下層の米坪を31.0g/mとし、前記中層の米坪を40.5g/mとし、前記裏層の米坪を40.5g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪135.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様にして塗工層用溶液を調製し、塗工量5g/m(全固形分)とした以外は実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例5
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を20.7g/mとし、前記表下層の米坪を28.1g/mとし、前記中層の米坪を36.6g/mとし、前記裏層の米坪を36.6g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪122.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様にして塗工層用溶液を調製し、塗工量18g/m(全固形分)とした以外は実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例6
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を19.9g/mとし、前記表下層の米坪を26.9g/mとし、前記中層の米坪を35.1g/mとし、前記裏層の米坪を35.1g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪117.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様にして塗工層用溶液を調製し、塗工量23g/m(全固形分)とした以外は実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例7
(ライナー原紙の作製)
中層の新聞古紙パルプとNUKPを80:20の質量比で配合し、裏層の新聞古紙パルプとNUKPを75:25の質量比で配合した以外は実施例1と同様にして、原紙米坪117.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例8
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を12.7g/mとし、前記表下層の米坪を19.0g/mとし、中層の新聞古紙パルプとNUKPを96:4の質量比で配合した紙料を調製し、米坪を50.8g/mとし、裏層の新聞古紙パルプとNUKPを96:4の質量比で配合した紙料を調製し、米坪を44.5g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪127.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例9
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を29.2g/mとし、前記中層の米坪を30.5g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪127.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例10
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を44.5g/mとし、前記表下層の米坪を19.1g/mとし、前記中層の紙料パルプを31.7g/mとし、前記裏層の紙料パルプを31.7g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪127.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例11
(ライナー原紙の作製)
表層に、NBKPと上白古紙パルプと紡錘状軽質炭酸カルシウム(商品名:TP121MC、奥多摩工業社製)を55:35:10の質量比で配合した紙料調製し、米坪を21.6g/mとした以外は実施例1と同様にして、原紙米坪127.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例12
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)70部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(商品名:TP-121MC、奥多摩工業社製)20部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)10部の割合の顔料を調製し、使用した以外は実施例1と同様にして塗工層用塗液を調製した。その塗工層用塗液により、実施例1と同様にして作製した原紙米坪127g/mのライナー原紙に、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例13
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)50部、紡錘状軽質炭酸カルシウム(商品名:TP-121MC、奥多摩工業社製)40部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)10部の割合の顔料を調製し、使用した以外は実施例1と同様にして塗工層用塗液を調製した。その塗工層用塗液により、実施例1と同様にして作製した原紙米坪127g/mのライナー原紙に、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
実施例14
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を33.5g/mとし、前記表下層の米坪を45.3g/mとし、前記中層の米坪を59.1g/mとし、前記裏層の米坪を59.1g/mとした以外は実施例1と同様にして原紙米坪197.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工用塗液を調製し、このライナー原紙に実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪210g/mの塗工ライナーを得た。
実施例15
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を31.8g/mとし、前記表下層の米坪を43.0g/mとし、前記中層の米坪を56.1g/mとし、前記裏層の米坪を56.1g/mとして、原紙米坪を187.0g/mとした以外は実施例1と同様にライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、塗工量23g/m(全固形分)として実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪210g/mの塗工ライナーを得た。
実施例16
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を45.3g/mとし、前記中層の米坪を47.3g/mとした以外は実施例14と同様にして原紙米坪197.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪210g/mの塗工ライナーを得た。
実施例17
(ライナー原紙の作製)
中層の紙料パルプを新段ボール古紙(白色度26%)100%とし、裏層の紙料パルプを新段ボール古紙100%とした以外は実施例9と同様にして、原紙米坪127.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、実施例1と同様に塗工、カレンダー線圧40kN/cmの処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
比較例1
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)100部を顔料として使用して塗工層用塗液を調製し、使用した以外は、実施例1と同様にして米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
比較例2
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)65部、合成非晶質シリカ(商品名:ミズカシールP603、水澤化学社製)35部の割合の顔料を使用して塗工層用塗液を調製し、使用した以外は、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
比較例3
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を18.7g/mとし、前記表下層の米坪を25.3g/mとし、前記中層の米坪を33.0g/mとし、前記裏層の米坪を33.0g/mとした以外は実施例1と同様にして原紙米坪110.0g/mとのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工用塗液を調製し、塗工量を30g/mとした以外は、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
比較例4
(ライナー原紙の作製)
前記表層の米坪を23.5g/mとし、前記表下層の米坪を31.7g/mとし、前記中層の米坪を41.4g/mとし、前記裏層の米坪を41.4g/mとした以外は実施例1と同様にして原紙米坪を138.0g/mのライナー原紙を得た。その後、実施例2と同様に塗工層用塗液を調製し、塗工量を2g/mとした以外は、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪140g/mの塗工ライナーを得た。
比較例5
(塗工層用塗液の調製)
顔料として、微粒カオリン(商品名:アマゾン、CADAM社製)100部の割合の顔料を使用して塗工層用塗液を調製した。
この塗工層用塗液を使用し、実施例14と同様に作製したライナー原紙に、実施例1と同様に塗工、カレンダー処理を施して米坪210g/mの塗工ライナーを得た。
実施例及び比較例で作製した塗工ライナーの白紙品質及びフレキソ印刷品質について、以下の評価基準により評価した。結果を表1に示す。
(白色度)
塗工ライナーの塗工層側の白色度をJIS P 8148:2001に準じて、分光白色度測定計(SC−10WT,スガ試験機社製)を用いて測定した。
(白紙光沢)
塗工ライナーの塗工層側の白紙光沢をJIS P 8142:2005に準じて、光沢度計(GM−26PRO,村上色彩研究所製)を用いて測定した。
(PPS平滑度)
塗工ライナーの塗工層側のプリント・サーフ表面粗さをJIS P8151:2004に準じて、PPS平滑度計(型式165、L&W製)を用いて、ソフトバッキングを使用し2MPaに加圧してPPS平滑度として測定した。
(比破裂強さ)
塗工ライナーをJIS P 8131:1995に準じて測定した。
(比圧縮強さ)
塗工ライナーをJIS P 8126:2005に準じて測定した。
(チリ個数)
塗工ライナーの塗工層側を紙塵測定装置(型式DF−2000、王子計測機器社製)を用いて、設定しきい値:27にて測定した。
(フレキソ印刷品質)
500×1350mmの大きさの貼合シートをダイレクトフレキソ印刷機DYNA FLEX160(ボブスト社製)を用いて、550線/インチに彫刻したアニロックスロールで水性フレキソインキ(サカタインク社製):紅→墨→藍→黄→ニスの順で印刷を行った。
(インキ乾燥性)
印刷速度4000シート/時で印刷を行い、印刷直後に印刷面と裏ライナー面を擦り、裏ライナー面のインキ付着具合を目視にて評価を行った。
○:インキ付着はなく、インキ乾燥性は良好。
△:インキ付着がほとんどなく、インキ乾燥性は若干悪いが、実用上問題ない。
×:インキ付着があり、インキ乾燥性が悪く、実用上問題となる。
(インキ着肉性)
重色部の着肉ムラについて以下の基準で評価を行った。
○:着肉ムラがなく、印刷仕上がりが良好。
△:着肉ムラがほとんどなく、印刷仕上がりが若干悪いが、実用上問題ない。
×:着肉ムラが劣り、印刷仕上がりが悪く、実用上問題となる。
(ニス光沢)
墨部を60°光沢度計(TC−108DPA、東京電色技術センター社製)を用いて、60°光沢を測定した。
表1に示すように、本発明の塗工ライナーは、表面のチリが少なく、白紙外観が良好で、強度が強く、フレキソ印刷のインキ乾燥性、インキ発色性、ニス光沢性に優れている。このような塗工ライナーは、段ボール業界における塗工ライナーの軽量化、塗工ライナー表面の美粧性の向上、ライナー表面保護用のニス加工面のインキ乾燥性等についての要求に十分に対応できるものである。

Claims (7)

  1. 少なくとも2層以上の紙層を有するライナー原紙の表層となる紙層上に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えた塗工ライナーであって、
    前記塗工層は、全顔料中の3〜30質量%の量の合成非晶質シリカを含有し、塗工量が3〜25g/m(全固形分)であることを特徴とする塗工ライナー。
  2. 前記ライナー原紙は、表層となる紙層にライナー原紙の全紙層中の全パルプの10〜50質量%の量の白色度78%以上のパルプを含有し、前記表層となる紙層以外の紙層にライナー原紙の全紙層中の全パルプの30〜80質量%の量の新聞古紙パルプと、3〜15質量%の量の針葉樹未晒クラフトパルプを含有しており、
    前記塗工層を備えた表側の白色度が70%以上であることを特徴とする請求項1記載の塗工ライナー。
  3. 前記塗工ライナーの前記塗工層表面の面積0.05mm以上のチリの個数が600個/m以下である、請求項1又は2に記載の塗工ライナー。
  4. 前記塗工ライナーの比圧縮力が100N/(g/m)以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の塗工ライナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工ライナーを使用したフレキソ印刷用ライナー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗工ライナーを備えた段ボールシート。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工ライナーを製造する方法であって、
    少なくとも2層以上の紙層を有する前記ライナー原紙の表層となる紙層上に、全顔料中の3〜30質量%が合成非晶質シリカである顔料と接着剤とを含有する塗液により、塗工量3〜25g/m(全固形分)の塗工層を形成することを特徴とする、塗工ライナーの製造方法。
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