JP2022102976A - 蓄光材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より残光輝度が高い蓄光材料を提供する。【解決手段】Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の粒子からなる蓄光材料であって、(1)前記粒子のメジアン径(D50)が120μm以上であり、かつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下であり、(2)前記粒子の形状は、角部のない略球状であり、(3)He-Cdレーザー325nm光源の励起による燐光強度が1×103Cd/m2以上であり、かつ、前記光源にて5分照射後光源を切り30分経過した時の残光輝度が1×10-2Cd/m2以上であることを特徴とする蓄光材料に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な蓄光材料とその製造方法に関する。
蓄光材料は、太陽光、電灯(LEDライト)等の光エネルギーを吸収し、暗所で光を一定時間放出できる材料であり、従前より時計の文字盤、各種の計器盤等の表示材として使用されている。最近では、蓄光材料がもつ優位性、すなわち電源不要、メンテナンスフリー等の点が見直され、さまざまな用途への拡大が図られている。例えば、各種の標識(非常階段、避難場所の表示)、自動車部品、建材、医療用(造影剤)等への利用が進められている。
これまで蓄光材料として利用されている物質は、例えば硫化亜鉛(ZnS)系、アルミン酸ストロンチウム(SrAl)系等が知られており、これらの物質を基本組成としてさらに他の添加剤(賦活剤)を加えた材料が開発されている。
例えば、MAlで表される化合物で、M で表す金属元素は、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)およびバリウム(Ba)からなる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウム(Eu)を含み、共賦活剤としてジスプロシウム( D y ) を含む蓄光性蛍光体であって、ユウロピウム(Eu) の含有量は、モル比で0.001≦Eu /(M+Eu+Dy)≦0.05であり、ジスプロシウム(Dy)の含有量は、モル比で0.004≦Dy/(M+Eu+Dy)≦0.06であり、マグネシウム(Mg)の含有量は、モル比で0.02≦Mg/(M+Eu+Dy)≦0.1であり、バリウム(Ba)の含有量は、モル比で0.03≦Ba/(M+Eu+Dy)≦0.15であり、かつ、リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb)の群の少なくとも一つのアルカリ金属元素を含み、アルカリ金属元素の含有量は、M で表す金属元素とユウロピウム(Eu)とジスプロシウム(Dy)の合計の1 モルに対して、0を超え0.06ミリモル未満であることを特徴とした蓄光性蛍光体が提案されている(特許文献1)。
また例えば、SrAlで表される化合物を母体結晶とし、ユーロピウム、ジスプロシウム、リチウム、及び、ホウ素を添加した蓄光材料であって、ユーロピウムのモル数をストロンチウム、ユーロピウム、ジスプロシウム及びリチウムの合計モル数で除した値が0.001を超えて、0.025未満であり、ジスプロシウムのモル数をストロンチウム、ユーロピウム、ジスプロシウム及びリチウムの合計モル数で除した値が0.001を超えて、0.025未満であり、アルミニウムのモル数をストロンチウム、ユーロピウム、ジスプロシウム及びリチウムの合計モル数で除した値が1.88を超えて、2.10以下であり、リチウムのモル数をストロンチウム、ユーロピウム、ジスプロシウム及びリチウムの合計モル数で除した値が0を超えて、0.02未満であり、ホウ素のモル数をストロンチウム、ユーロピウム、ジスプロシウム及びリチウムの合計モル数で除した値が0を超えて、0.03未満であることを特徴とする蓄光材料が知られている(特許文献2)。
例えば、MSi:Yb,Rで表される化合物であり、Mはストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、およびマグネシウム(Mg)から選ばれる少なくとも一種の金属元素であり、Rはエルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ガドリニウム(Gd)、プラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ネオジム(Nd)、ビスマス(Bi)、スカンジウム(Sc)、およびクロム(Cr)から選ばれる少なくとも一種の元素であることを特徴とした、赤色系発光蓄光性蛍光体が知られている(特許文献3)。
その他にも、例えばユウロピウムおよびジスプロシウムを賦活化材とするアルミン酸ストロンチウム系の球状蓄光微粒子粉末であって、前記粉末は、アスペクト比が1.05以下の粒子を個数で65%以上含み、平均粒径D50が20μm以上500μm以下であることを特徴とする球状蓄光微粒子粉末が提案されている(特許文献4)。
特開2015-214702 特開2020-23675 国際公開WO2017/90541 特開2020-158624
しかしながら、これら従来の蓄光材料においては、発光特性の点でさらなる改善が必要である。より具体的には、従来技術では、残光輝度がなお低く、さらなる用途拡大を図るためには残光輝度をより高める必要がある。
従って、本発明の主な目的は、より残光輝度が高い蓄光材料を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成・構成からなる材料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の蓄光材料及びその製造方法に係る。
1. Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の粒子からなる蓄光材料であって、
(1)前記粒子のメジアン径(D50)が120μm以上であり、かつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下であり、
(2)前記粒子の形状は、角部のない略球状であり、
(3)He-Cdレーザー325nm光源の励起による燐光強度が1×10Cd/m以上であり、かつ、前記光源にて5分間照射後光源を切り30分経過したときの残光輝度が1×10-2Cd/m以上である、
ことを特徴とする蓄光材料。
2. He-Cdレーザー325nm光源を照射した場合において、下記(1)及び(2)に示す燐光強度ピーク:
(1)イエローグリーンに係る波長460~600nmの範囲内の燐光強度ピーク
(2) 以下(a)及び(b)の2つの燐光強度ピーク:
(a)ブルーグリーンに係る波長420~550nmの範囲内の燐光強度ピーク
(b)紫~青紫色領域に係る波長380~450nmの範囲内の燐光強度ピーク
の少なくとも1種を有する、前記項1に記載の蓄光材料。
3. 前記Rが、ユウロピウム及びジスプロシウムの少なくとも1種を含む、前記項1又は2に記載の蓄光材料。
4. モル比(Sr+R):Al=1:2~4:14である、前記項1~3のいずれかに記載の蓄光材料。
5. 見掛けかさ密度が0.5~1.6g/cmである、前記項1~4のいずれかに記載の蓄光材料。
6. Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の角部のない略球状の粒子からなる蓄光材料を製造する方法であって、
(1)Sr原料、Al原料及びR原料を含む混合液を調製する工程、
(2)前記混合液を造粒することによりメジアン径(D50)120μm以上の粒状前駆体を作製する工程及び
(3)前記粒状前駆体を非酸化性雰囲気下1200~1500℃で熱処理する工程
を含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法。
7. 前記(3)の工程で熱処理された処理物を解砕する工程をさらに含む、前記項6に記載の製造方法。
本発明によれば、より残光輝度が高い蓄光材料を提供することができる。特に、本発明の蓄光材料は、特定の組成とともに特定の粒子サイズ及び形状を有することから、既存の蓄光材料よりも高い残光輝度を発揮することができる。高い残光輝度が実現できる理由は、定かではないが、特に本発明の蓄光材料では発光に寄与しない微細な粒子が少なく、単位量当たりの発光量が増大するためと考えられる。また、粒子の表面に存在するクラック、傷等は発光特性を低下させる原因とされているところ、本発明の蓄光材料は比較的滑らかな粒子表面を有しており、発光特性を低下させる原因が少ない点も残光強度に寄与していると考えられる。
また、本発明の製造方法では、熱処理後の材料を粉砕することなく利用することができ、あるいはせいぜい凝集を解す程度の解砕で済み、従来の蓄光材料の製造で要求される粉砕工程を必要としないことから、比較的低コストで蓄光材料を製造することができる。
しかも、本発明の製造方法では、粉砕工程に伴う微細粒子の混入も回避できるので、優れた発光特性を有する蓄光材料をより確実に製造することができる。
このような特徴を有する本発明の蓄光材料は、例えば各種の標識(看板、路面等)、建築材料、文具、計器盤等に幅広く用いることができる。
実施例2、実施例7及び比較例2で得られた試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図である。
1.蓄光材料
本発明の蓄光材料(本発明材料)は、Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の粒子からなる蓄光材料であって、
(1)前記粒子のメジアン径(D50)が120μm以上であり、かつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下であり、
(2)前記粒子の形状は、角部のない略球状であり、
(3)He-Cdレーザー325nm光源の励起による燐光強度が1×10Cd/m以上であり、かつ、前記光源にて5分間照射後光源を切り30分経過した時の残光輝度が1×10-2Cd/m以上である、
ことを特徴とする。
(a)組成
本発明材料の組成は、Sr-Al-R-O系(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)であり、Sr、Al及びRを含む複合酸化物から構成される。Rは、前記のとおり、希土類元素の少なくとも1種であれば良いが、特にジスプロシウム(Dy)及びユーロピウム(Eu)の少なくとも1種が好ましい。この場合、ジスプロシウム(Dy)及びユーロピウム(Eu)の両者を併用することがより好ましい。Dy及びEuを併用する場合、両者の比率は所望の複合酸化物等に応じて適宜設定でき、例えばモル比Eu:Dy=1:0.2~1程度とすることができるが、これに限定されない。
本発明材料の組成は、Sr-Al-R-O系であれば限定されないが、モル比(Sr+R):Al=1:2~4:14と範囲内とすることが好ましい。このような範囲内にある代表的な組成としてSr1-nAl(ただし、0<n<1)、Sr4-nAl1425(ただし、0<n<4)等が挙げられる。ただし、本発明の効果を妨げない限り、Sr、Al及びRを含む他の組成であっても良い。
特に、本発明材料は、発光特性の観点から、前記のSr1-nAl(ただし、0<n<1)(以下「組成A」ともいう。)及び/又はSr4-nAl1425(ただし、0<n<4)(以下「組成B」ともいう。)を有することが好ましい。
また、本発明材料は、結晶性であることが好ましいが、本発明の効果を妨げない範囲内で非晶質相が含まれていても良い。
組成Aの場合は、単斜晶系、空間群P121、325nmレーザー光源による励起により515nm付近(例えばイエローグリーンに係るおよそ波長460~600nm)に燐光波長のピークトップを有する結晶性材料であることが好ましい。
組成Bの場合は、斜方晶系、空間群Pmma、325nmレーザー光源による励起により490nm付近(例えばブルーグリーンに係るおよそ波長420~550nm)に燐光波長のピークトップを有し、かつ、400nm付近(例えば紫~青紫色領域に係るおよそ波長380~450nm)にも別のピークを有する結晶性材料であることが好ましい。
本発明材料では、組成Aの結晶性材料と組成Bの結晶性材料との混合物であっても良いし、それぞれの単独の結晶性材料を含むものであっても良い。また、本発明の効果が妨げられない限り、他の結晶相を含んでいても良い。
R元素の含有比率(R元素が2種以上含まれる場合はその合計量が占める比率)は、限定的ではないが、特にモル比Sr:R=1:0.001~0.1程度であることが好ましく、その中でもモル比Sr:R=1:0.005~0.05であることがより好ましい。これにより、より高い発光特性を得ることができる。
本発明材料では、上記成分のほかにも、本発明の効果を妨げない範囲内において他の成分が含まれていても良い。例えば、アルカリ金属(Na,K等)、Sr以外のアルカリ土類金属(Ca,Mg,Ba等)、ホウ素(B)、硫黄(S)等が挙げられる。
(b)性状等
本発明材料は、本発明材料からなる粒子群によって構成されている。このため、本発明材料の外観は、乾燥した粉末状となっている。
粒子形状は、角部のない略球状であり、角部を有する粉砕品とは明確に区別できるものである。角部のない略球状であることから、高い輝度だけでなく、例えば流動性、充填性等においても優れた性能を発揮することができる。
本発明材料のメジアン径(D50)は、通常120μm以上であり、好ましくは125μm以上である。メジアン径が120μm未満の場合は、所望の残光輝度が得られなくなるおそれがある。なお、メジアン径の上限は、特に限定されないが、通常は250μm程度とすれば良い。従って、例えばメジアン径を120~200μmの範囲内に設定することもできる。
また、本発明材料は、上記のメジアン径を有しつつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下(好ましくは10%以下)であるという特徴も有する。すなわち、本発明材料は、微粉の含有率が低いという特徴を有する。これにより、単位量当たりにおいて輝度向上に寄与できる粒子の濃度を高め、より高い輝度を実現することができる。なお、粒径100μm以下の粒子の個数基準割合の下限値は、限定的ではないが、通常は1%程度であることが好ましく、最も好ましくは0%である。
また、本発明材料では、粗大粒子が少ないか又は含まれないことが好ましい。より具体的には、粒径350μmを超える粒子が個数基準で5%以下とすることが好ましく、特に0~1%とすることがより好ましい。これによって、より高い発光強度(ひいては残光輝度)を得ることができる。
本発明材料の見かけ嵩密度は、限定的ではないが、通常は0.5~1.6g/cm程度の範囲内とすることが好ましい。この範囲内に設定することで、より高い発光特性を発揮させることができる。
また、本発明材料は、上記のように乾燥粉末状であり、かつ、粒子形状が角部のない略球状であるため、一定の流動性を有する。より具体的には、安息角(20℃)が30~43度程度(特に32~40度)であることが望ましい。
本発明材料を構成する粒子の表面処理については、特に限定されない。用途に応じて必要であれば、シリカ、アルミナ、石鹸等の脂肪酸類化合物、各種カップリング剤等により、疎水性又は親水性に調整すれば良い。その方法についても、特に限定されず、公知の方法に従って実施することができる。
(c)発光特性
本発明材料は、He-Cdレーザーの波長325nmの光源で励起した時の燐光強度が1×10Cd/m以上であり、かつ、前記光源にて5分間照射した後に光源を切り30分経過した時の残光輝度が1×10-2Cd/m以上という特性を有する。なお、これらの光源等は公知又は市販の装置を使用でき、また一般的な測定環境(暗所等)を採用することができる。
このように、本発明材料は、上記光源で励起されている時の燐光強度が高いうえ、上記光源を切った後の残光輝度も比較的高いという特性を有する。すなわち、本発明材料は、比較的長時間にわたって所望の輝度を保持することができる。
上記の燐光輝度は、通常は1×10Cd/m以上であるが、特に2×10Cd/m以上であることが好ましい。なお、この燐光輝度の上限は、例えば5×10Cd/m程度とすることができるが、これに限定されない。
また、上記の残光輝度は、通常は1×10-2Cd/m以上であるが、特に2×10-2Cd/m以上であることが好ましく、その中でも8×10-2Cd/m以上であることがより好ましい。なお、この残光輝度の上限は、例えば10×10-2Cd/m程度とすることができるが、これに限定されない。
また、本発明材料は、前記のように、その組成に応じて以下のような発光特性を有することが好ましい。例えば、組成Aによる結晶性材料の場合は、He-Cdレーザー325nm光源を照射した場合において、イエローグリーンに係るおよそ波長460~600nmの範囲内の燐光強度ピークを有する。また、組成Bによる結晶性材料の場合は、He-Cdレーザー325nm光源を照射した場合において、(a)ブルーグリーンに係るおよそ波長420~550nmの範囲内の燐光強度ピーク及び(b)紫~青紫色領域に係るおよそ波長380~450nmの範囲内の燐光強度ピークを有する。
2.蓄光材料の製造方法
本発明は、Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の角部のない略球状の粒子からなる蓄光材料を製造する方法であって、
(1)Sr原料、Al原料及びR原料を含む混合液を調製する工程(混合液調製工程)、
(2)前記混合液を造粒することによりメジアン径(D50)120μm以上の粒状前駆体を作製する工程(造粒工程)及び
(3)前記粒状前駆体を非酸化性雰囲気下1200~1500℃で熱処理する工程(熱処理工程)
を含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法を包含する。
混合液調製工程
混合液調製工程では、Sr原料、Al原料及びR原料を含む混合液を調製する。
Sr原料、Al原料及びR原料としては、各元素を含む化合物を用いることができ、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、塩化物等を挙げることができる。従って、Sr原料としては、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム等が例示される。Al原料としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム等が例示される。R原料としては、硝酸ジスプロシウム、硝酸ユーロピウム、酸化ジスプロシウム、酸化ユーロピウム等が例示される。これらの原料は、一般的には粉末の状態で提供することができるが、これに限定されない。また、これらの原料は、公知又は市販のものを使用することができるほか、公知の製法に従って得られたものを使用することもできる。
これらの原料は、所定の(Sr+R):Alモル比となるように配合することができる。このモル比は、前記「1.蓄光材料」で説明した比率となるように調整すれば良い。例えば組成Aを目的とする場合は、(Sr+R):Al=0.9:2~1.1:2程度の範囲内で仕込むことができる。組成Bを目的とする場合は、(Sr+R):Al=3.8:14~4.2:14程度の範囲内で仕込むことができる。その上で、これらを溶媒と混合することで混合液を調製することができる。また、Sr:Rの比率も、前記「1.蓄光材料」で説明した比率となるように調整すれば良い。
溶媒としては、特に限定されず、例えばa)水、b)アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)の水溶性有機溶媒、c)水と水溶性有機溶媒の混合溶媒等を使用することができる。
また、本発明では、混合液中には、必要に応じて各種の添加剤も適宜配合することができる。例えば、バインダー(ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、高級アルコール、脂肪酸誘導体、高級アルコール誘導体、金属石鹸、シリコーン等)、分散剤(水溶性アクリル系分散剤、ポリカルボン酸アンモニウム等)、保湿剤(エチレングリコール、プロピレングリコール等)、消泡剤(アセチレングリコール系消泡剤等)、結着剤(水ガラス、アルミン酸ソーダ、ホウ酸系無機材、金属塩等)等の各種の添加剤を挙げることができる。
これらの各成分を均一に混合することにより混合液を調製することができる。混合は、ボールミル等の装置を用いて実施することができる。混合液の固形分含有量は、例えば原料組成、粒径等によって適宜変更すれば良く、特に限定されないが、造粒の生産効率等の見地より、通常は30~40重量%程度とすることが好ましい。
造粒工程
造粒工程では、前記混合液を造粒することによりメジアン径(D50)120μm以上(好ましくは150μm以上)の粒状前駆体を作製する。
造粒方法は、特に限定されず、例えば噴霧造粒法(スプレードライ法)、流動層造粒法等のいずれも適用することができる。これによって、所定のメジアン径を有する粒状前駆体を作製することができる。この場合、メジアン径が120μm以上(好ましくは150μm以上)の粒状前駆体が得られるように所定の時間をかけて造粒を実施すれば良い。なお、得られた粒状前駆体のメジアン径が120μm未満(特に150μm未満)の場合は、例えば分級等によりメジアン径が120μm以上(好ましくは150μm以上)になるように適宜調節すれば良い。
また、得られた粒状前駆体が有機成分を含む場合は、後記に示す熱処理工程に先立って、脱脂工程を実施することもできる。
脱脂工程は、例えば酸化性雰囲気中600~1000℃の範囲内で好適に実施することができる。これにより、より確実に有機成分を除去することができる。
また、本発明では、熱処理工程に先立って、シリカ、アルミナ、ホウ素等を含む無機系ガラスフラックスとなり得る成分を予め添加することができる。その添加量は、特に限定されないが、好ましくは1~5質量%程度であり、より好ましくは2~4質量%である。
熱処理工程
熱処理工程では、前記粒状前駆体を非酸化性雰囲気下1200~1500℃で熱処理する。熱処理することにより、本発明の所定の蓄光材料を得ることができる。
熱処理温度は、上記のように通常1200~1500℃程度とし、特に1250~1450℃とすることが好ましい。また、熱処理雰囲気は、非酸化性雰囲気であれば良く、例えば還元性雰囲気(例えば水素ガス)、不活性ガス雰囲気(例えば窒素ガス、ヘリウムガス)等を好適に採用することができる。熱処理時間は、熱処理温度等に応じて適宜調節でき、例えば1~10時間程度の範囲内とすることができるが、これに限定されない。
このようにして得られた蓄光材料は、粉末状の形態をとり、各粒子は角部のない略球状を有する。ただし、本発明の効果を妨げない範囲内において、角部を有する粒子が微量に含まれることは許容される。
また、得られた蓄光材料は、通常はメジアン径(D50)が120μm以上であり、かつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下となっているが、必要に応じて解砕処理等を実施することもできる。これにより、一時的に形成されている凝集体をほぐし、所望の粒子を得ることができる。また、解砕処理後には、必要に応じて分級することもできる。これにより、粗大粒子を取り除くことができる。解砕方法は、一時的に形成されている凝集体をほぐす程度とし、角部を有する粉砕物がなるべく生成しないようにマイルドな条件下で実施できる限り、特に限定されず、例えばロールクラッシャー等のように公知又は市販の装置を用いて実施すれば良い。
3.蓄光材料の使用
本発明材料は、公知又は市販の蓄光材料(蓄光顔料)と同様の使用方法にて用いることができる。例えば、本発明材料の粉末を含む粉末組成物の形態のほか、本発明材料を含む液体塗料等の形態で使用することができる。この場合において、本発明材料の含有量は、所望の発光特性等に応じて適宜調整することができる。
また、用途も、暗所で発光できる特性が要求される分野であれば限定されず、例えば計器類の標示盤、時計文字盤、道路標識(カードレール、路面標識等を含む。)、看板類等のほか、暗所で発光できる部材(日用品、雑貨類等)に幅広く利用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
炭酸ストロンチウム27.4kg、アルミナ34.8kg、硝酸ジスプロシウム5水塩82g、硝酸ユーロピウム6水塩415.7gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともにボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH17R」三菱ケミカル(株)製)2kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「ジュリマーAC-10SL」東亞合成(株)製)530g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5468」サンノプコ製)15g、保湿剤(プロピレングリコール)380g、硫酸アルミニウムn水塩310g及び純水135Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=4:14:0.02:0.01)。
得られた前駆体スラリーをスプレードライ(ロータリーアトマイザー式)により前駆体粉末を調製した。スプレードライ条件は、ガス入口温度220℃、前駆体スラリー送液速度13L/分、アトマイザー回転速度7500rpmとした。
次いで、上記の前駆体粉末に対して3.9質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中900℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス4%/窒素ガス96%の混合ガス雰囲気中1300℃で3時間の熱処理を実施した。このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕することによって、目的とする粒子状試料を得た。
実施例2
炭酸ストロンチウム27.2kg、アルミナ34.8kg、硝酸ジスプロシウム5水塩82g、硝酸ユーロピウム6水塩415.7gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともに湿式アトライターに投入した。さらに、前記湿式アトライターにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGM14R」三菱ケミカル(株)製)2.3kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「ジュリマーAC-10SL」東亞合成(株)製)700g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5468」サンノプコ製)16g、保湿剤(エチレングリコール)400g、消泡剤(製品名「オルフィンAF-103」日信化学工業(株)製)85g及び純水138Lを加えた後、4時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=3.97:14:0.02:0.01)。
得られた前駆体スラリーを実施例1と同様にしてスプレードライ(ロータリーアトマイザー式)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体粉末に対して3.0質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中850℃で4時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス4%/窒素ガス96%の混合ガス雰囲気中1245℃で4時間の熱処理を実施した。このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕することによって、目的とする粒子状試料を得た。
実施例3
炭酸ストロンチウム34.3kg、アルミナ43.5kg、酸化ジスプロシウム130g、酸化ユーロピウム306gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともにボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH14R」三菱ケミカル(株)製)2.9kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「アロンA-30SL」東亞合成(株)製)875g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5023」サンノプコ製)20g、保湿剤(エチレングリコール)504g、消泡剤(製品名「サーフィノールDF-75」日信化学工業(株)製)75g及び純水134Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=4:14:0.03:0.012)。
得られた前駆体スラリーを実施例1と同様にしてスプレードライ(ロータリーアトマイザー式)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体を目開き300μmの篩で篩分けした粉末に対して3.4質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中800℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス4%/窒素ガス96%の混合ガス雰囲気中1350℃で6時間の熱処理を実施した。このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕することによって、目的とする粒子状試料を得た。
実施例4
炭酸ストロンチウム27.4kg、アルミナ34.8kg、酸化ジスプロシウム104g、酸化ユーロピウム245gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともにボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH17R」三菱ケミカル(株)製)2.3kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「アロンA-30SL」東亞合成(株)製)700g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5068」サンノプコ製)16g、保湿剤(エチレングリコール)404g、消泡剤(製品名「サーフィノールDF-75」日信化学工業(株)製)44g及び純水134Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=3.958:14:0.03:0.012)。
得られた前駆体スラリーをスプレードライ(スプレーノズル式、ロータリーアトマイザーなし)により前駆体粉末を調製した。スプレードライ条件は、ガス入口温度550℃、前駆体スラリー送液速度22L/分とした。
次いで、上記の前駆体粉末に対して3.5質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中800℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス3%/窒素ガス97%の混合ガス雰囲気中1345℃で8時間の熱処理を実施した。
このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕し、目開き250μmの篩にて篩い分けをすることで粗大粒子を取り除いた後、目的とする粒子状試料を得た。
実施例5
炭酸ストロンチウム35.8kg、アルミナ26.0kg、酸化ジスプロシウム530g、酸化ユーロピウム130gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともにボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH17R」三菱ケミカル(株)製)2.0kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「アロンA-30SL」東亞合成(株)製)470g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5068」サンノプコ製)18g、保湿剤(エチレングリコール)428g、消泡剤(製品名「サーフィノールDF-75」日信化学工業(株)製)62g及び純水120Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=0.96:2:0.025:0.015)。
得られた前駆体スラリーを実施例1と同様にしてスプレードライ(ロータリーアトマイザー式)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体粉末に対して2.8質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中800℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス2%/窒素ガス98%の混合ガス雰囲気中1420℃で4時間の熱処理を実施した。得られた処理物をロールミル、次いでアルミナボールを用いた乾式ボールミルで精密解砕し、目開き250μm及び90μmの篩の間に残存する粒子状試料を得た。
実施例6
炭酸ストロンチウム45.0kg、アルミナ32.7kg、酸化ジスプロシウム683g、酸化ユーロピウム1610gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともにボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH14R」三菱ケミカル(株)製)3.0kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「アロンA-30SL」東亞合成(株)製)875g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5068」サンノプコ製)20g、保湿剤(エチレングリコール)505g、消泡剤(製品名「サーフィノールDF-75」日信化学工業(株)製)75g及び純水135Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=0.958:2:0.03:0.012)。
得られた前駆体スラリーを実施例1と同様にしてスプレードライ(ロータリーアトマイザー式)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体粉末に対して2.8質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中800℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス2%/窒素ガス98%の混合ガス雰囲気中1415℃で4時間の熱処理を実施した。このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕し、目開き250μmの篩にて篩い分けをすることで粗大粒子を取り除いた後、目的とする粒子状試料を得た。
実施例7
実施例6と同様にして前駆体粉末を調製し、熱処理を実施した。得られた処理物をロールクラッシャーで解砕し、目開き250μm及び45μmの篩の間に残存する粒子状試料を得た。
実施例8
炭酸ストロンチウム32.7kg、アルミナ45.0kg、酸化ジスプロシウム455g、酸化ユーロピウム1074gを秤量し、アルミナボール(120kg)とともに遊星ボールミルに投入した。さらに、前記ボールミルにポリビニルアルコール(製品名「ゴーセノールGH22」三菱ケミカル(株)製)2.6kg、水溶性アクリル酸系分散剤(製品名「アロンT-50」東亞合成(株)製)950g、離型・分散剤(製品名「SNディスパーサント5468」サンノプコ製)28g、保湿剤(エチレングリコール)480g、保湿剤(プロパノール)30g、消泡剤(製品名「サーフィノールDF-58」日信化学工業(株)製)87g及び純水140Lを加えた後、10時間攪拌混合した。このようにして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=0.972:2:0.02:0.008)。
得られた前駆体スラリーを実施例4と同様にしてスプレードライ(スプレーノズル式、ロータリーアトマイザーなし)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体粉末に対して2.5質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中900℃で6時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス42%/窒素ガス98%の混合ガス雰囲気中1400℃で5時間の熱処理を実施した。このようにして得られた処理物をロールクラッシャーで解砕し、目開き250μmの篩にて篩い分けをすることで粗大粒子を取り除いた後、目的とする粒子状試料を得た。
比較例1
実施例2と同様にして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=3.97:14:0.02:0.01)。
得られた前駆体スラリーに対して3.0質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合物をアルミナ甲鉢に詰め、5×10-2Paまで真空引きした後、窒素パージした。これを3回繰り返し、水素ガス4%/窒素ガス96%の混合ガス雰囲気中13時間かけて1380℃まで昇温し、4時間エージングした。その後、炉冷にて300℃まで冷却後、窒素に流通ガスを切り替えた。50℃にて炉から取り出した。
熱処理した試料をロールクラッシャーで解砕後、高速ハンマーミルで精密粉砕し、目開き250μmの篩にて篩い分けをすることで粗大粒子を取り除いた後、目的とする粒子状試料を得た。
比較例2
実施例6と同様にして前駆体スラリーを得た(モル比でSr:Al:Eu:Dy=0.958:2:0.03:0.012)。
得られた前駆体スラリーを実施例4と同様にしてスプレードライ(スプレーノズル式、ロータリーアトマイザーなし)により前駆体粉末を調製した。
次いで、上記の前駆体粉末に対して3.0質量%のホウ酸を添加・混合した後、得られた混合粉末の脱脂処理を行った。脱脂処理は、大気中800℃で5時間実施した。その後、炉内を2時間かけて窒素パージを行った後、水素ガス2%/窒素ガス98%の混合ガス雰囲気中1450℃で5時間の熱処理を実施した。
得られた処理物をロールクラッシャー、次いでアルミナボールを用いた乾式ボールミルで精密解砕し、目開き90μmの篩にて篩い分けをすることで粗大粒子を取り除いた後、目的とする粒子状試料を得た。
試験例1
各実施例及び比較例で得られた試料の物性を測定した。その結果を表1に示す。また、粒子形状の観察結果を図1に示す。なお、各物性は、以下のようにして測定した。
(1)粒子形状
日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡「JEM-6380LA」で試料を観察した視野内の粒子全ての粒子形状を観察した。
(2)メジアン径及び粒度分布
レーザ回折式粒度分布測定装置「MT-3000」(マイクロトラック・ベル(株)製) を用い、個数基準にて粒度分布を計測し、メジアン径D50を求めた。前記粒度分布において、粒径100μm以下の個数割合を算出した。
(3)蓄光特性評価
得られた試料の蓄光特性評価は以下のように行った。Quantaurus-Tau 小型蛍光寿命測定装置「C11367」(浜松ホトニクス(株)製)で絶対PL(蛍光)量子収率測定(蛍光寿命・燐光計測、蛍光スペクトル測定)を行った。蓄光(蛍光・燐光)の輝度については、5mW出力のHe-Cdレーザー325nm光源の励起により燐光強度を測定した。残高輝度については、上記光源にて試料粉末に対して5分照射後に光源を切って30分経過したときの輝度を測定した。
また併せて、得られた各蛍光スペクトルにおいて、最大の強度を示すピークの波長(nm)、波長400nm±10nmにおけるピークの有無も測定した。
(4)粉末の嵩密度
得られた粉末試料の嵩密度については、以下のように測定した。粉末の見掛け嵩密度(ρ)は、日本産業規格JIS-Z2504:2012の通りとした。また、タップ嵩密度(ρ)は、日本産業規格JIS-R1628:1997に従った。
Figure 2022102976000001
表1の結果からも明らかなように、特定の粒子形状、メジアン径等を兼ね備えた実施例の蓄光材料は、高い初期輝度及び残光輝度を有することがわかる。
試験例2
代表例として、実施例2、実施例7及び比較例2の粒子形状を走査型電子顕微鏡にて観察した。その結果を図1に示す。
図1の結果からも明らかなように、実施例2及び実施例7の粒子状試料を構成する粒子は、角部のない略球状になっていることがわかる。また、粒子表面は、より微細な凹凸と空隙を有していることもわかる。これに対し、比較例2の粒子状試料を構成する粒子は、岩石のような角部のある不定形状であることがわかる。

Claims (7)

  1. Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の粒子からなる蓄光材料であって、
    (1)前記粒子のメジアン径(D50)が120μm以上であり、かつ、粒径100μm以下の粒子が個数基準で40%以下であり、
    (2)前記粒子の形状は、角部のない略球状であり、
    (3)He-Cdレーザー325nm光源の励起による燐光強度が1×10Cd/m以上であり、かつ、前記光源にて5分間照射後光源を切り30分経過した時の残光輝度が1×10-2Cd/m以上である、
    ことを特徴とする蓄光材料。
  2. He-Cdレーザー325nm光源を照射した場合において、下記(1)及び(2)示す燐光強度ピーク:
    (1)イエローグリーンに係る波長460~600nmの範囲内の燐光強度ピーク
    (2) 以下(a)及び(b)の2つの燐光強度ピーク:
    (a)ブルーグリーンに係る波長420~550nmの範囲内の燐光強度ピーク
    (b)紫~青紫色領域に係る波長380~450nmの範囲内の燐光強度ピーク
    の少なくとも1種を有する、請求項1に記載の蓄光材料。
  3. 前記Rが、ユウロピウム及びジスプロシウムの少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の蓄光材料。
  4. モル比(Sr+R):Al=1:2~4:14である、請求項1~3のいずれかに記載の蓄光材料。
  5. 見掛けかさ密度が0.5~1.6g/cmである、請求項1~4のいずれかに記載の蓄光材料。
  6. Sr-Al-R-O系複合酸化物(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種を示す。)の角部のない略球状の粒子からなる蓄光材料を製造する方法であって、
    (1)Sr原料、Al原料及びR原料を含む混合液を調製する工程、
    (2)前記混合液を造粒することによりメジアン径(D50)120μm以上の粒状前駆体を作製する工程及び
    (3)前記粒状前駆体を非酸化性雰囲気下1200~1500℃で熱処理する工程
    を含むことを特徴とする蓄光材料の製造方法。
  7. 前記(3)の工程で熱処理された処理物を解砕する工程をさらに含む、請求項6に記載の製造方法。
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