JP2012207143A - 窒化物蛍光体粉末の製造方法および窒化物蛍光体粉末 - Google Patents

窒化物蛍光体粉末の製造方法および窒化物蛍光体粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼成後の蛍光体の粉砕が容易であり、凝集が少なく、高輝度で、樹脂と混合するのに適した分散性や粒度分布を有する(Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体粉末を製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、非晶質窒化ケイ素粉末と、Sr源となる物質と、Ca源となる物質と、Euの窒化物、酸窒化物、酸化物、または熱分解により酸化物となる前躯体物質とからなる混合物を、窒素を含有する不活性ガス雰囲気中1400〜1650℃で仮焼成した後に、更に、不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、照射光の一部を、それとは異なる波長の光に変換すると共に、変換しなかった照射光と混合して、色合いの異なる光に変換する機能を有する材料の製造方法に関するものである。具体的には、青色発光ダイオード(青色LED)を光源とする白色発光ダイオード(白色LED)に用いる、(Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体粉末の製造方法およびその製造方法により得られた窒化物蛍光体粉末に関するものである。
近年、青色LEDが実用化されたことにより、この青色LEDを利用した白色LEDの開発が精力的に行われている。白色LEDは、既存の白色光源に較べ消費電力が低く長寿命であるため、液晶パネル用バックライト、室内外の照明機器等への用途展開が進行している。
現在、開発されている白色LEDは、青色LEDの表面にCeをドープしたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を塗布したものである。しかし、CeをドープしたYAGの蛍光波長は530nm付近にあり、この蛍光の色と青色LEDの光を混合して白色光にすると、やや青みの強い光となり、良好な白色を得ることができない。公知の白色に発光する発光装置は、可視光領域の長波長側の発光が得られにくいため、やや青白い白色の発光装置となっていた。特に、店頭のディスプレイ用の照明や、医療現場用の照明などおいては、やや赤みを帯びた暖色系の白色の発光装置が、強く求められている。また、LEDは、電球と比べて、一般に寿命が長く、人の目にやさしいため、電球色に近い白色の発光装置が、強く求められている。
これに対し、希土類元素を賦活させたSrSi:Euの蛍光体は、CeをドープしたYAGの蛍光波長よりもさらに長い、橙から赤領域に発光スペクトルを有する蛍光を発生することが知られている(特許文献1参照)。さらに、2価のSrを単独で用いたときよりも、SrとCaを組み合わせた組成の方が、より長波長側の蛍光体が得られることが知られている。この(Sr,Ca)Si:Eu系の蛍光体と青色LEDの光を混合することで、より赤みを帯びた暖色系の良好な白色光を得ることができるようになる(特許文献2参照)。このように、新たな蛍光体材料として(Sr,Ca)Si:Eu系の蛍光体材料の実用化が期待されている。
国際公開第01/40403号パンフレット 特開2003−321675号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示されている蛍光体は、粒子の形態や凝集状態に配慮がされていない。引用文献の発明は、原料に結晶質窒化ケイ素を使用しており、得られた蛍光体粉末(Sr,Ca)Si:Euは、サブミクロンの一次粒子が強く凝集及び融着した、二次粒子を形成しており蛍光体の粉砕は困難であった。このため、粒度分布は不均一であり、白色LED等の製品を作る際に、色むらの原因等を引き起こし、安定した品質の製品を作ることができなくなる。
また、強い粉砕を行うと、二次粒子の粒径は低減するが、表面欠陥の増加により、蛍光強度の低下を招いてしまう。更に、強い粉砕を行うと粉砕機からの不純物の混入が起こる。蛍光体は光吸収になる成分が少量でも入ると特性が大きく低下するので、強い粉砕は好ましくない。
また、蛍光体粉末の粒子形態や凝集状態は光の散乱、吸収に影響するため、蛍光強度にも影響する。さらに、蛍光体を塗布する際のスラリーの物性にも影響を与える。スラリーの物性は製品の製造プロセスに重要な因子である。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、焼成後の蛍光体の粉砕が容易であり、凝集が少なく、高輝度で、樹脂と混合するのに適した分散性や粒度分布を有する(Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体粉末を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、(Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体において、詳細な研究を行い、原料に用いる窒化ケイ素粉末として、結晶質窒化ケイ素よりも、非晶質窒化ケイ素を用いることで、焼成後の粉末を容易に粉砕できて、分散性の良好な粒度分布を有するように調節できる蛍光体粉末が得られることを突き止めた。また、蛍光強度は、結晶質窒化ケイ素を使用した蛍光体に比べて高くなることを突き止めた。
即ち、本発明は、一般式:(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体の製造方法であって、非晶質窒化ケイ素粉末と、Sr源となる物質と、Ca源となる物質と、Euの窒化物、酸窒化物、酸化物、または熱分解により酸化物となる前躯体物質とからなる混合物を、窒素を含有する不活性ガス雰囲気中1400〜1650℃で仮焼成した後に、更に、不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成することを特徴とする窒化物蛍光体粉末の製造方法に関する。
特に、前記非晶質窒化ケイ素粉末の比表面積が400〜500m/gであることが好ましい。400〜450m/gのものは更に好ましい。
また、前記非晶質窒化ケイ素粉末は、シリコンジイミド(Si(NH))を熱分解することにより得られた窒化ケイ素粉末であることが好ましい。
また、前記窒化物蛍光体粉末の製造方法において、不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成後に、酸を含む溶液中で酸洗浄処理を施すことが好ましい。
さらに、本発明は、上記の製造方法で得られた窒化物蛍光体粉末であり、焼成後の蛍光体に粉砕操作を施し、目開き600μm以下の篩を乾式で通過させた当該蛍光体の粒度分布曲線における標準偏差が、130μm以内であり、且つ50%径が10〜150μmであり、且つ90%径が350μm以下であることを特徴とする一般式(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体粉末に関する。
原料として非晶質窒化ケイ素を使用することにより、本発明の蛍光体粉末の製造方法で得られた一般式(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体粉末は、結晶質窒化ケイ素を用いた場合に比べて異相の生成が少なく、焼成後に粉砕が容易で、粉砕後の粒子の凝集は大きくなく、そのため、得られた蛍光体粉末は適当な大きさと分布を有し、蛍光体材料として樹脂と混合して薄膜を形成するのに適している。また、得られた蛍光体は色むらが少なく、大きい蛍光強度を示す。
実施例1および比較例1で得られた結晶のX線回折チャートを示す図である。 実施例1および比較例1で得られた蛍光体の蛍光及び励起スペクトルを示す図である。 実施例1および比較例1で得られた蛍光体の粒度分布(粒度分布曲線)を示す図である。 実施例1〜3および比較例1〜3で得られた蛍光体のSEM写真である。
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の窒化物蛍光体粉末は、一般式(Sr,Ca)Si:Euで表される。前記蛍光体粉末は、ニトリドシリケートタイプのホスト結晶を有し、アルカリ土類金属イオン(Ca、Sr)が組み込まれた架橋SiN四面体の3次元ネットワークをベースとするものである。アルカリ土類金属(Ca、Sr)は完全に又は部分的にCa又はSrに置換することができる。本発明の窒化物蛍光体粉末は、青色LEDから発光された青色光の一部を吸収して橙から赤色領域の光を発光する。また、Srのみ、若しくは、Caのみのときより、SrとCaとを混合した方が、より長波長側にピーク波長がシフトする。SrとCaのモル比が、7:3若しくは、3:7のとき、Ca、Srのみを用いた場合と比べて、長波長側にピーク波長がシフトしている。さらに、SrとCaのモル比が、ほぼ5:5のとき、最も長波長側にピーク波長がシフトする。
本発明の前記窒化物蛍光体に固溶させる賦活材として、黄色から赤色領域で発光を行うEuを用い、希土類元素であるEuを発光中心とする。Euは主に2価と3価のエネルギー準位を持つ。本発明の窒化物蛍光体は、母体のアルカリ土類金属系窒化ケイ素に対して、Eu2+を賦活材として用いる。Eu2+は酸化されやすく、3価のEuの組成で市販されている。また、Eu単体、EuNとして用いることも可能である。
窒化物蛍光体には、基本構成元素のほかに、Mg、Sr、Ba、Zn、Ca、In、B、Al、Cu、Mn、Li、Na、K、Re、Ni、Cr、Mo、O及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含有してもよい。これらの元素は、粒径を大きくしたり、蛍光強度を高めたりするなどの作用を有している。一方、Fe,Moは、蛍光強度を低下させる恐れがあるため、系外に除外しておくことが好ましい。
本発明の窒化物蛍光体粉末の製造方法について説明する。本発明の、一般式(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体粉末は、原料に非晶質窒化ケイ素と、Sr源となる物質と、Ca源となる物質と、発光中心となるEuを含む窒化物、酸窒化物、酸化物、または熱分解により酸化物となる前躯体物質とを所望の窒化物蛍光体の組成になるように混合し、得られた混合粉末を、窒素を含有する不活性ガス雰囲気中1400〜1650℃で仮焼成した後に、更に、不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成することによって得られる。
Sr源となる物質としては、金属Srを使用することが好ましいが、イミド化合物、アミド化合物などの化合物を使用することもできる。原料の金属Srを、アルゴン雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。金属Srの純度は99%以上である事が好ましいが、これに限定されない。2価のSrを窒素雰囲気中600〜900℃、約5時間、窒化する。これによりSrの窒化物を得ることができる。Srの窒化物は、高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。
Ca源となる物質としては、金属Caを使用することが好ましいが、イミド化合物、アミド化合物などの化合物を使用することもできる。原料の金属Caを、アルゴン雰囲気中、グローブボックス内で粉砕を行う。金属Caの純度は99%以上である事が好ましいが、これに限定されない。2価のCaを窒素雰囲気中600〜900℃、約5時間、窒化する。これによりCaの窒化物を得ることができる。Caの窒化物は、高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。これらの物質は粉末の状態で用いるのが好ましい。
発光中心となるEuを含む窒化物、酸窒化物、酸化物、または熱分解により酸化物となる前躯体物質としては、EuN、Eu(NO、EuまたはEuCl等を使用することができる。ここでは、Euを使用するが、前記Eu化合物も使用可能である。酸化ユウロピウムは高純度のものが好ましいが、市販のものも使用することができる。これらの物質は粉末の状態で用いるのが好ましい。本発明の窒化物赤色蛍光体は、少量の酸化物を含有したEuを用いても得ることができる。そのため、本発明の赤色蛍光体は、少量の酸素を含有していても良い。
原料の非晶質窒化ケイ素粉末としては、含窒素シラン化合物を熱分解したものを使用することができる。含窒素シラン化合物としては、シリコンジイミド(Si(NH))、シリコンニトロゲンイミド(SiNH)などを用いることができる。これらは、公知方法、例えば四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを気相または液相状態で反応させることにより生成するシリコンジイミド等のSi−N−H系前躯体化合物を窒素またはアンモニアガス雰囲気下に600〜1200℃に加熱分解して得ることができる。
非晶質窒化ケイ素粉末及び、含窒素シラン化合物の平均粒子径は、通常、0.005〜0.05μmである。前記の含窒素シラン化合物、非晶質窒化ケイ素粉末は加水分解し易く、酸化されやすい。したがって、これらの原料粉末の秤量は、不活性ガス雰囲気中で行う。
非晶質窒化ケイ素の比表面積は400〜500m/gであることが好ましい。400〜450m/gのものは更に好ましい。この範囲内であれば、反応が均一に進みやすく、簡便で凝集の大きくなく、蛍光強度の大きい前記蛍光体を得ることができるので好ましい。
原料の窒化ケイ素に結晶質の窒化ケイ素を用いると、サブミクロンの一次粒子が強く凝集及び融着した、二次粒子を形成しており蛍光体の粉砕は困難であった。このため、粒度分布は不均一であり、白色LED等の製品を作る際に、色むらの原因等を引き起こし、安定した品質の製品を作ることができない。
このような問題を回避するために、原料として非晶質窒化ケイ素を用いることは重要なことである。非晶質窒化ケイ素は、結晶質窒化ケイ素に比べて、微粒で表面積が大きいため反応性が高く、原料を混合し坩堝中で焼成するという簡便な方法で凝集の大きくない前記蛍光体を得ることができる。
前記した各出発原料を混合する方法については、特に制約は無く、それ自体公知の方法、例えば、乾式混合する方法、原料各成分と実質的に反応しない不活性溶媒中で湿式混合した後に溶媒を除去する方法などを採用することができる。混合装置としては、V型混合機、ロッキングミキサー、ボールミル、振動ミル、媒体攪拌ミルなどが好適に使用される。但し、含窒素シラン化合物および/または非晶質窒化ケイ素粉末は、水分、湿気に対して極めて敏感であるので、出発原料の混合は、制御された不活性ガス雰囲気下で行うことが必要である。
出発原料の混合物は、常圧の窒素含有不活性ガス雰囲気中1400〜1650℃で仮焼成した後に、更に、不活性ガス雰囲気中、好ましくは1600〜1900℃、より好ましくは1700〜1750℃で本焼成され、目的とする一般式(Sr,Ca)Si:Eu蛍光体が得られる。仮焼成の温度が1400℃よりも低いと、反応が不十分であり所望の前記蛍光体粉末の核形成ができない。仮焼温度が1650℃を超えると、一次粒子同士が凝集してしまう。このため、本焼成での粒成長を妨げてしまう。本焼成の温度が1600℃よりも低いと、所望の前記蛍光体粉末の生成に長時間の加熱を要し、実用的でなく、また、生成粉末中における前記蛍光体相の生成割合も低下する恐れがある。焼成温度が1900℃を超えると、窒化ケイ素および前記蛍光体が昇華分解し、遊離のシリコンが生成する恐れがある。
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどが例示される。本発明においては、アンモニア雰囲気中で焼成することも可能である。
粉末混合物の焼成に使用される加熱炉については、とくに制約は無く、例えば、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式によるバッチ式電気炉、ロータリーキルン、流動化焼成炉、プッシャ−式電気炉などを使用することができる。
得られた一般式(Sr,Ca)Si:Eu蛍光体粒子の表面には、ガラス相が付着して、蛍光強度が低下していることがある。この場合には、焼成後の蛍光体粉末を、酸を含む溶液中で酸処理を施すことにより、ガラス層を除去する。前記酸処理は、硫酸、塩酸、または硝酸から選ばれる酸溶液に前記蛍光体粉末を入れ表面のガラス層を除去する。酸濃度は0.1規定から7規定であり、好ましくは1規定から3規定である。濃度を調整した酸溶液に、前記蛍光体粉末を溶液に対し5wt%入れ、攪拌しながら、所望の時間保持する。洗浄後、前記蛍光体粉末の入った溶液をろ過して水洗によって、酸を洗い流して乾燥する。酸処理によって表面のガラス相が除去され、蛍光強度が向上する。
本発明の製造方法で得られた蛍光体粉末は、結晶質の窒化ケイ素を原料に用いたものに比べて凝集が少なく、粒度分布の標準偏差が小さいという特徴がある。焼成後の蛍光体粉末に粉砕操作を施し、目開き600μm以下の篩を乾式で通過させた当該蛍光体粉末の粒度分布曲線における標準偏差が、130μm以下であり、且つ50%径が10〜150μmであり、且つ90%径が350μm以下である。このように特定の粒度分布幅とすることで、照明器具等に適用する際の分散性悪化や色むら発生を解消することができる。標準偏差が130μmを超えると、蛍光強度が著しく不均一になるので好ましくない。50%径が10μm未満になると、蛍光強度が著しく低下する。これは粒子表面の欠陥が増大するためと考えられる。また、50%径が150μmを超えて且つ、90%径が350μmを超えると、粒子の凝集によるばらつきが増加し、蛍光強度が著しく不均一になるので好ましくない。なお、蛍光体粒子の粒度分布曲線は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定したものである。
以下では、具体例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
四塩化珪素とアンモニアを反応させることにより得られた非晶質窒化珪素粉末と、窒化ストロンチウム粉末、窒化カルシウム粉末、及び酸化ユーロピウム粉末とを、表1の組成で秤量した。攪拌用のナイロンボールと秤量した粉末を容器に入れ、窒素雰囲下において、1時間振動ミルによって混合した。混合後、粉末を取り出し、カーボン製の坩堝に充填した。この時の充填密度は、非晶質窒化ケイ素を用いた場合約0.18g/cmで、結晶質窒化ケイ素を用いた場合約0.5g/cmであった。
原料粉末を充填したカーボン坩堝を、抵抗加熱炉にセットし、常圧の窒素ガス流通雰囲気下で、仮焼を行った。室温から1000℃までを1時間、1000℃から1300℃までを8時間、1300℃から1650℃までを、450℃/hの昇温スケジュールで加熱し、仮焼粉末を得た。得られた粉末を大きな塊の無い粉末になるまで、めのう乳鉢を用いて軽く粉砕した。粉砕した仮焼粉末を、窒化ホウ素(BN)材質の坩堝に入れ、抵抗加熱炉にセットし、常圧の窒素ガス流通雰囲気下で、本焼成を行った。室温から1000℃までを1時間、1000℃から1250℃までを2時間、1250℃から1700℃までを、200℃/hの昇温スケジュールで加熱し、1700℃で12時間の保持を行い、蛍光体粉末を得た。得られた粉末は焼結した塊になっていたので、大きな塊のない粉末になるまで、窒化ケイ素乳鉢を用いて解砕した。粉砕した粉末を600μm以下の篩を通過させた。実施例2〜5も、組成と窒化ケイ素の比表面積以外は同じ方法で焼成を行った。比較例1〜4では、結晶質窒化ケイ素を用いた合成を行った。
この粉末のX線回折パターンを測定し、結晶相の同定を行った。すべての実施例、比較例において、主要な結晶相はSrSi相(ICSDNo01−085−0101)であることを確認した。この他に、SrSiO相(ICSDNo00−038−0271)、EuSi相(ICSDNo01−087−0423)、CaSi相(ICSDNo01−082−2489)を僅かに含んでいることを確認した。実施例1と比較例1の結果を図1に示す。結晶相の品質は、異相のピーク強度からも判断できる。異相であるSrSiO相のピーク強度に関しては、非晶質窒化ケイ素を用いた方が、結晶質窒化ケイ素を用いた場合に比べて低く、異相の生成が少ないことが確認できる。その理由は、結晶質の窒化ケイ素の粒子径が0.2μm程度であるのに対し、非晶質窒化ケイ素は数nmから10nm程度の超微粉であるため、原料が均一に分散され、組成の偏析が少ないためである。
Figure 2012207143
得られた粉末の蛍光特性は、日本分光社製、積分球付のFP−6500を用いて蛍光特性の測定を行った。実施例1と比較例1の蛍光スペクトルと、励起スペクトルを図2(a)、(b)に示す。蛍光スペクトルの励起波長は450nmとした。励起スペクトルの蛍光波長は、630nmとした。すべての実施例・比較例について蛍光スペクトルのピーク波長とピーク強度の評価を行った。なお、蛍光強度は、測定治具に励起光を照射したときの、単位面内にある発光元素(Eu)の量によって変化する。つまり充填密度の高い蛍光体ほど単位面内に多くのEuを含むため蛍光強度は高くなる傾向にあり、充填密度が異なれば蛍光強度は変化する。そこで測定治具に充填する蛍光体の、単位面積あたりの蛍光体充填量をそろえた条件で比較した。
蛍光強度比は、比較例1の強度を100%とする相対強度で示す。結果を表2に示す。実施例1では、140%以上の高い蛍光強度比が得られている。他の実施例2〜5も、比較例よりも高い蛍光強度が得られている。一方、比較例1〜4では、蛍光強度比は100%程度であり、実施例に比べて蛍光強度が低い。
Figure 2012207143
次に、実施例1〜5、比較例1〜4の粒子について、粒度分布を堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて測定した。測定方法は次のとおり。サンノプコ社製のSNディスパーサントを0.03wt%含む分散媒をフローセルに入れブランク測定を行った。次に、同じ組成の分散媒に試料を加え、超音波分散を60分行った。溶液の透過率が95%〜70%になるように試料の量を調整し測定を行った。測定結果を、あらかじめ測定したブランク測定結果で補正し、粒度分布を求めた。実施例1、比較例1について、粒度分布の測定結果を図3(a)、図3(b)に示した。さらに、実施例1〜5、比較例1〜4について10%径、50%径、90%径、標準偏差を表2に示した。実施例1の標準偏差は50μmと小さく、50%径が41.7μmであり、90%径が118μmであった。頻度分布曲線は、なだらかな山状の曲線を示した。他の実施例2〜5も同様に、標準偏差は130μm以下であり、50%径が10〜150μmであり、且つ90%径が350μm以下であった。このような粒度分布や標準偏差により、蛍光体材料として樹脂との混合が容易になる。
一方、比較例1の標準偏差は188.8μmと大きく、50%径が333μmであり、90%径が529μmであった。頻度分布曲線は、90%径が著しく大きい急峻な山状の曲線を示した。他の比較例2〜4も同様に、標準偏差は130μmよりも大きく、90%径も400μm以上と大きく、粉砕が進んでおらず、粒子の分散は不均一である。
結晶質窒化ケイ素を用いて(Sr,Ca)Si:Eu蛍光体粉末を作製すると、小さな一次粒子が、融着・凝集した二次粒子からなる粉末になるが、それを粉砕して蛍光体にすると、二次粒子のかけらの微粒と、大きな二次粒子とに分かれる。このような粉末では、微細な粒子によって散乱が増え、蛍光強度は低くなり、粒度分布も相対的に悪くなる。
次に、粒子形態について述べる。実施例1〜3、比較例1〜3で得られた一般式(Sr,Ca)Si:Eu蛍光体について、日立ハイテクノロジーズ社製S4800、及び日本電子社製JSM−7000Fの走査型電子顕微鏡(SEM)によって粒子形態を観察した。結果を図4に示す。実施例1〜3では粒径が5μm前後の粗大な一次粒子で構成されていることが分かる。一方、比較例1〜3では、2〜3μm程度の一次粒子が凝集しており、粒子の形態は不均一である。
(実施例6)
次に、実施例5で得られた蛍光体粉末を、2規定−硝酸溶液中に5時間浸漬、攪拌し酸処理を行なった。酸処理後の粉末を110℃の温度で5時間乾燥して、蛍光特性の測定を行った。結果を表3に示す。酸処理を行うことで蛍光強度の増加が認められる。これは、焼成後の蛍光体粉末が、酸溶液において洗浄されることで、表面に付着したガラス成分などを取り除いたためである。
Figure 2012207143
以上のように、本発明の蛍光体の製造方法では、原料として、非晶質窒化ケイ素粉末を使用することにより、製造した、一般式(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体粉末は、焼成後に容易に粉砕が可能で、粒子は、凝集が大きくなく、そのため、適当な大きさと分布を有し、蛍光体材料として樹脂と混合して薄膜を形成するのに適しており、また、色むらが少なく、蛍光強度の大きい蛍光材料が得られる。
本発明の製造方法によれば、凝集粒子の大きさが制限され、粒度分布の標準偏差が小さい蛍光体粉末を得ることができ、樹脂等と混合して青色LEDに塗布しやすく、容易に高輝度の白色LEDを得ることができる。

Claims (5)

  1. 一般式:(Sr,Ca)Si:Euで表される窒化物蛍光体の製造方法であって、非晶質窒化ケイ素粉末と、Sr源となる物質と、Ca源となる物質と、Euの窒化物、酸窒化物、酸化物、または熱分解により酸化物となる前躯体物質とからなる混合物を、窒素を含有する不活性ガス雰囲気中1400〜1650℃で仮焼成した後に、更に、不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成することを特徴とする窒化物蛍光体粉末の製造方法。
  2. 前記非晶質窒化ケイ素粉末の比表面積が400〜500m/gであることを特徴とする請求項1記載の窒化物蛍光体粉末の製造方法。
  3. 前記非晶質窒化ケイ素粉末が、シリコンジイミド(Si(NH))を熱分解することにより得られた非晶質窒化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1記載の窒化物蛍光体粉末の製造方法。
  4. 前記の不活性ガス雰囲気中1600〜1900℃で本焼成後に、酸を含む溶液中で洗浄処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物蛍光体粉末の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた窒化物蛍光体粉末であり、焼成後の蛍光体に粉砕操作を施し、目開き600μm以下の篩を乾式で通過させた当該蛍光体の粒度分布曲線における標準偏差が、130μm以下であり、且つ50%径が10〜150μmであり、且つ90%径が350μm以下であることを特徴とする窒化物蛍光体粉末。
JP2011074363A 2011-03-30 2011-03-30 窒化物蛍光体粉末の製造方法および窒化物蛍光体粉末 Expired - Fee Related JP5782778B2 (ja)

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