JP2022097816A - 車両用バッテリパックの構造 - Google Patents

Abstract

【課題】バッテリパックを軽量化しつつねじれ剛性を確保し、側突等によるバッテリケースの変形を抑制する。【解決手段】バッテリパック１のバッテリケース１０は、底面部１２と、底面部１２の両側部から車両上方に突出し、前後方向に延びる側壁部１３と、を有し、バッテリケース１０内には、幅方向に延びる内側クロスメンバ２０が設けられ、内側クロスメンバ２０の幅方向外側の端部の縁が、側壁部１３の内面に接合されている。【選択図】図７

Description

本発明は、車両用バッテリパックの構造に関する。

電動車両は、例えば、特許文献１に開示されているように、バッテリパックを備えている。バッテリパックは、バッテリモジュールを収容するバッテリケースを備えており、バッテリケースは、車体のフロア部の下面側に固定されている。電動車両の航続距離を延ばすためには、バッテリパックを大容量化させる必要がある。そのため、バッテリパックの大型化が求められる。

一方で、バッテリパックの大型化に伴う重量増を避けるために、バッテリケースには所定の剛性及び強度を確保しつつ、コンパクトな構造が求められる。例えば、特許文献１に開示されてる車体に設けられている電池搭載構造は、車体骨格部材となるロッカと、左右のロッカの間における車幅方向の中央部で車両前後方向に延びるセンタトンネルとを備え、さらに、ロッカとセンタトンネルとの間に複数のクロスメンバが、互いに間隔を空けて設けられている。クロスメンバの端部は、ロッカ及びセンタトンネルに接合されている。センタトンネル及びクロスメンバの下面側には、底板が設けられ、該底板上に電池スタックが配置されている。このように構成することで、電池スタックの搭載スペースを拡大している。

特開２０１８－２０２９４６号公報

上記例のようにクロスメンバを設けることによって、電池スタックの搭載スペースを確保しつつ、電池搭載構造のある程度の剛性は確保できる。一方で、上記例のクロスメンバには、前壁から前方に突出するフランジ、後壁から後方に突出するフランジ、及び上面から上方に突出するフランジが設けられ、当該フランジがロッカ及びセンタトンネルに接合されている。フランジが設けられているため、例えば、クロスメンバの前壁とフランジとにより形成される角部は、車幅方向の外側から車体側部に物体等が衝突する側面衝突（以下、側突）等を受けたときに、変形の起点になる可能性がある。そのため、上記例の構造では、側突等によるバッテリケースの変形を抑制することが困難になる可能性がある。

また、バッテリパックの大型化により、バッテリパックのフロア下部の占有面積が大きくなるため、フロア部を補強するための骨格部材を配置するスペースを確保できない場合がある。そのため、バッテリパックには、ねじれに対する剛性も求められる。上記例のような構造では、バッテリパックを軽量化しつつ、ねじれ剛性を確保し、さらに側突等によるバッテリケースの変形を抑制する上で、改善の余地があった。

本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、軽量化しつつねじれ剛性を確保し、さらに側突等によるバッテリケースの変形を抑制可能な車両用バッテリパックの構造を提供することである。

上記目的を達成するための本発明に係る車両用バッテリパックの構造は、車体のフロア部の車両下方側に取り付けられるバッテリケースを有している。当該車両用バッテリパックの構造における前記バッテリケースは、車両前後方向に延びる板状の底面部と、該底面部の車幅方向両側部から車両上方に突出し、車両前後方向に延びる側壁部と、を有し、前記バッテリケース内には、車幅方向に延びる内側クロスメンバが設けられ、該内側クロスメンバの車幅方向外側の端部の縁が、前記内面に接合されている。

本発明によれば、バッテリパックを、軽量化しつつねじれ剛性を確保し、さらに側突等によるバッテリケースの変形を抑制することができる。

本発明に係る車両用バッテリパックの車両上方から見た斜視図である。 図１のバッテリケースの上側ケース及びバッテリセルを取り外した状態を示す斜視図である。 図１のＡ－Ａ矢視断面図である。 図１のＡ－Ａ矢視の断面を示す斜視図である。 図１のＢ－Ｂ矢視断面の一部を拡大して示す拡大断面図である。 図４の外側部材の周辺を拡大した拡大斜視図である。 図２のＣ－Ｃ矢視断を示す斜視図である。

以下、本発明に係る車両用バッテリパックの構造の一実施形態について、図面（図１～図７）を参照しながら説明する。なお、図において、矢印Ｆｒ方向は車両前後方向における前方を示す。実施形態の説明における「前部（前端）及び後部（後端）」は、車両前後方向における前部及び後部に対応する。また、矢印Ｌ、Ｒ方向は、車幅方向における左側、右側を示している。また、本実施形態の説明における「左右」は、車両室内の乗員が車両前方を向いたときの左右に対応している。

本実施形態の車両用バッテリパック１の構造は、車体のフロア部の車両下方側にバッテリパック１の構造である。

本実施形態のバッテリパック１は、図１～図５に示すように、バッテリセル１Ａを収容するバッテリケース１０と、バッテリケース１０の車幅方向外側部に設けられるバッテリサイドメンバ３０と、バッテリケース１０の内部に配置される内側クロスメンバ２０と、下側ケース１１の外側に取り付けられた外側クロスメンバ２５と、有している。

先ず、バッテリパック１のバッテリケース１０について説明する。バッテリケース１０は、車体のフロア部のフロアパネル（図示せず）の車両下方側に配置され、バッテリサイドメンバ３０を介して、サイドシル（図示せず）等に固定されている。図１に示すように、バッテリケース１０は、下側ケース１１と、上側ケース１７と、を有している。

図２に示すように、下側ケース１１は、底面部１２と、側壁部１３と、前壁部１４と、後壁部１５と、を有している。底面部１２は、バッテリセル１Ａが設置される部分であり、車両前後方向に延びる略長方形状である。側壁部１３は、底面部１２の車幅方向の両外側に設けられており、底面部１２の車幅方向外側端から車両上方に突出し、車両前後方向に延びている。側壁部１３の上端には、車幅方向外側に突出する下外側フランジ１３ａが設けられている。

前壁部１４は、底面部１２の前端から車両上方に突出し、車幅方向に延びている。また、前壁部１４の車幅方向外側部は、側壁部１３の前部に接続されている。前壁部１４の前面には、フロントサイドメンバ等の骨格部材に連結されるブラケット７５等が接合されている。後壁部１５は、底面部１２の後端から車両上方に突出し、車幅方向に延びている。また、後壁部１５の車幅方向外側部は、側壁部１３の後部に接続されている。下側ケース１１の前壁部１４の上端には、車両前方に突出し、車幅方向に延びる前側フランジ１４ａが設けられ、後壁部１５の上端には、車両後方に突出し、車幅方向に延びる後側フランジ１５ａが設けられている。

図１に示すように、上側ケース１７は、下側ケース１１を車両上方から覆う、蓋状の部材である。この例の上側ケース１７は、天面部１８と、側壁部１９と、前壁部１９ａと、後壁部１９ｂと、を有している。天面部１８は、下側ケース１１の底面部１２の車両上方側に間隔を空けて配置され、フロアパネル７１の下面に対して、若干の間隔を空けて配置されている部分であり、車両前後方向に延びる略長方形状である。上側ケース１７の側壁部１９は、天面部１８の車幅方向の両外側に設けられており、天面部１８の車幅方向外側端から車両下方に突出し、車両前後方向に延びている。上側ケース１７の側壁部１９の下端には、車幅方向外側に突出する上外側フランジ１８ａが設けられている。上外側フランジ１８ａは、下外側フランジ１３ａにボルト等により締結されている。

上側ケース１７の前壁部１９ａは、天面部１８の前端から車両下方に突出し、車幅方向に延びている。前壁部１９ａの車幅方向外側部は、側壁部１９の前部に接続されている。上側ケース１７の後壁部１９ｂは、天面部１８の後端から車両下方に突出し、車幅方向に延びている。後壁部１９ｂの車幅方向外側部は、側壁部１９の後部に接続されている。上側ケース１７の前壁部１９ａ及び後壁部１９ｂのそれぞれには、下側ケース１１の前壁部１４及び後壁部１５と同様に、フランジ１９ｃが設けられている。上側ケース１７の各フランジ１９ｃは、下側ケース１１の前側フランジ１４ａ及び後側フランジ１５ａに、それぞれボルト等により締結されている。

図２～図７に示すように、内側クロスメンバ２０は、車幅方向に延びる部材で、内側クロスメンバ２０の下部は下側ケース１１の底面部１２に接合され、内側クロスメンバ２０の車幅方向外側の端部は、側壁部１３の内面に当接し、当該端部の縁が内面に接合されている。

本実施形態では、複数の内側クロスメンバ２０が、車両前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。図示は省略しているが、バッテリセル１Ａは、車両前後方向に並ぶ内側クロスメンバ２０の間に配置されている。それぞれの内側クロスメンバ２０は、車両前後方向に所定に幅を有し、この幅よりも、車両上下方向の高さが長く設定されている。また、内側クロスメンバ２０と下側ケース１１の底面部１２とにより、車幅方向視で、閉断面構造が構成されている。

本実施形態では、バッテリケース１０の内部に、３つの内側クロスメンバ２０が設けられ、最前の内側クロスメンバ２０は、下側ケース１１の前壁部１４の車両後方側に間隔を空けて配置されている。中間の内側クロスメンバ２０は、最前の内側クロスメンバ２０の車両後方側に間隔を空けて配置され、最後の内側クロスメンバ２０は、中間の内側クロスメンバ２０の車両後方側に間隔を空けて配置さている。下側ケース１１の後壁部１５は、最後の内側クロスメンバ２０の車両後方側に間隔を空けて配置されている。

本実施形態の内側クロスメンバ２０は、中間部材２１と、左右の外側部材２２と、を有している。図２及び図５に示すように、中間部材２１は、全体で車幅方向に延びる部材であり、車両前後に配置されるフロントパネル２１Ａとリアパネル２１Ｂとを有し、これらは互いに接合されている。図５～図７に示すように、フロントパネル２１Ａは、車両前方を臨む前壁２１ａと、前壁２１ａの上端から車両後方に突出する上面部２１ｃと、上面部２１ｃの前端から車両上方に突出する上前側フランジ２１ｂと、を有している。また、フロントパネル２１Ａの前壁２１ａの下端には、該下端から車両前方に突出する下前側フランジ（前側フランジ）２１ｄが設けられている。

図５～図７に示すように、リアパネル２１Ｂは、車両後方を臨む後壁２１ｅと、後壁２１ｅの上端から車両上方に突出する上後側フランジ２１ｆと、を有している。また、リアパネル２１Ｂの後壁２１ｅの下端には、該下端から車両後方に突出する下後側フランジ（後側フランジ）２１ｇが設けられている。

フロントパネル２１Ａの上前側フランジ２１ｂとリアパネル２１Ｂの上後側フランジ２１ｆとがスポット溶接等により接合されることにより、中間部材２１が構成される。また、フロントパネル２１Ａの下前側フランジ２１ｄとリアパネル２１Ｂの下後側フランジ２１ｇとが、下側ケース１１の底面部１２にスポット溶接等により接合されている。これにより、中間部材２１と底面部１２により、上記した閉断面構造が構成されている。また、中間部材２１の車幅方向端部には、開口が形成されている。

下側ケース１１の底面部１２から中間部材２１の上面部２１ｃまでの車両上下方向の距離は、中間部材２１の前壁２１ａと後壁２１ｅとの車両前後方向の距離よりも長く設定されている。すなわち、中間部材２１は、車幅方向視で、車両上下方向に延びるＵ字形状の断面を有し、上記した閉断面構造は、車両上下方向に延びている。

図５～図７に示すように、外側部材２２は、中間部材２１の車幅方向外側部に接合され、外側部材２２の外側端は、下側ケース１１の側壁部１３に接合されている。

外側部材２２は、２つの部材が接合されることにより形成され、車幅方向に貫通する環状の部材である。車幅方向視の断面形状は、車上上下方向に延びる長円形状である。外側部材２２の車幅方向内側は、中間部材２１のフロントパネルの前壁及びリアパネルの後壁に、スポット溶接等により接合される。すなわち、外側部材２２の車幅方向内側は、中間部材２１の車幅方向外側端の開口に挿入され、中間部材２１の前壁及び後壁に挟まれて保持されて溶接されている。

外側部材２２の下部は、底面部１２の車両上方側に間隔を空けて配置され、底面部１２にほぼ平行に延びている。外側部材２２の上端は、車幅方向外側に向かうに従い車両上方に傾斜するように延びている。すなわち、外側部材２２は、図３、図４及び図６に示すように、正面視で、略台形をなしている。外側部材２２を上記のように構成することで、製造を容易にしている。また、外側部材２２の車幅方向外側部の端部の縁は、後述する第１の補強部材５１を介して、下側ケース１１の側壁部１３に当接した状態で接合されている。

内側クロスメンバ２０の車幅方向外側の端部の縁を、内壁部１３の内面に突き当てるように当接することにより、端部の断面形状、すなわち、環状の外側部材２２の車幅方向外側端部の断面形状（車両上下方向を長径とする略長円形状）を維持することができ、車両上下方向の剛性をより向上させることが可能となる。そのため、側突等による衝撃荷重による変形を抑制できる。

また、内側クロスメンバ２０の外側部材２２の外側端部に、例えば車両前方及び後方に折り曲げることによりフランジを一体的に形成すると、屈曲する部分（屈曲点または曲点）が変形の起点となり、変形を促進させる可能性がある。これに対して、本実施形態では、当該フランジを設けない構造であるため、変形の起点が存在しないため、内側クロスメンバ２０は、側突の荷重入力に対して、より高い剛性を確保できる。

また、フランジを成形する加工工程がないため、内側クロスメンバ２０の製造工程を簡素化できる。また、本実施形態では、内側クロスメンバ２０を、中間部材２１と、左右の外側部材２２とにより構成しているため、左右の外側部材２２の取付位置を変更するだけで、車幅方向の寸法の異なるバッテリケース１０に適用可能となる。

内側クロスメンバ２０の車幅方向外側の端部は、板状の第１の補強部材５１を介して、側壁部１３の内面に接合される。この例では、上記したように、外側部材２２の車幅方向外側部の端部の縁が、図２及び図７に示すように、第１の補強部材５１を介して、側壁部１３に接合されている。

この例の第１の補強部材５１は、車両上下方向及び車両前後方向に延びる板状の部材で、第１の補強部材５１の車両前後方向の長さは、内側クロスメンバ２０の車両前後方向の長さよりも長く設定されている。

第１の補強部材５１の外面は、スポット溶接等により側壁部１３の内面に接合されている。この例では、第１の補強部材５１の前端は、外側部材２２の前端よりも車両前方に配置され、第１の補強部材５１の後端は、外側部材２２の後端よりも車両後方に配置されている。

第１の補強部材５１を設けることにより、側壁部１３の強度及び剛性を向上させることが可能となり、さらに、バッテリケース１０の変形を抑制することが可能である。また、側突による衝撃荷重が入力されると、内側クロスメンバ２０の外側部材２２の車幅方向外側端部に応力が集中しやすくなる。これに対して、第１の補強部材５１を設けることによって、当該応力を、第１の補強部材５１を介して周辺に分散させることができ、バッテリケース１０への応力が局所的に集中すること（一点集中）を抑制することが可能である。

また、図５～図７に示すように、内側クロスメンバ２０の前側の下部には、車両前方に突出する下前側フランジ２１ｄが設けられ、内側クロスメンバ２０の後側の下部には、車両後方に突出する下後側フランジ２１ｇが設けられている。本実施形態では、下前側フランジ２１ｄ及び下後側フランジ２１ｇは、上記したように、中間部材２１の下部に設けられている。また、本実施形態では、図６に示すように、下前側フランジ２１ｄの車幅方向外側端及び下後側フランジ２１ｇの車幅方向外側端は、側壁部１３に対して、車幅方向に間隔を空けて配置されている。

さらに、本実施形態の下側ケース１１の側壁部１３及び底面部１２によって形成される角部には、第２の補強部材５２が接合されている。当該角部と、第２の補強部材５２との間には、若干の間隙が設けられている。第２の補強部材５２は、下前側フランジ２１ｄ及び下後側フランジ２１ｇのそれぞれと、第１の補強部材５１の前部及び後部のそれぞれとを、連結している。

図５～図７に示すように、第２の補強部材５２は、側壁部１３に沿って配置される側板部５２ａと、底面部１２上の配置される底板部５２ｂとを有し、側板部５２ａ及び底板部５２ｂが一体的に形成されている、金属製の部材である。第２の補強部材５２は、車両前後方向に延びており、車両前後方向に並んで配置される内側クロスメンバ２０の間に配置される。この例では、第２の補強部材５２は、最前の内側クロスメンバ２０と中間の内側クロスメンバ２０との間、中間の内側クロスメンバ２０と後側の内側クロスメンバ２０との間、及び、後側の内側クロスメンバ２０と後壁部１５との間に、配置されている。

側板部５２ａは、車両前後方向に延び、側壁部１３にスポット溶接等により接合されている。また、側板部５２ａの前部は、対応する第１の補強部材５１の後部の下部にスポット溶接等により接合され、側板部５２ａの後部は、対応する第１の補強部材５１の前部に接合される。また、側板部５２ａの車両前後方向の中間部には、上端から下方に切り欠かれている切欠き５２ｃが設けられている。

底板部５２ｂは、底面部１２に当接し、車両前後方向に延びており、底面部の前部は、対応する内側クロスメンバ２０の下後側フランジにスポット溶接等により接合され、底面部の後部は、対応する内側クロスメンバ２０の下前側フランジ等に接合される。

例えば、図７に示すように、最前の内側クロスメンバ２０と中間の内側クロスメンバ２０の間に配置される第２の補強部材５２の側板部５２ａは、側壁部１３にスポット溶接等により接合され、さらに、当該側板部５２ａの前部は、最前の内側クロスメンバ２０が接合される第１の補強部材５１の後部に接合され、側板部５２ａの後部は、中間の内側クロスメンバ２０が接合される第１の補強部材５１の前部に接合されている。同様に、底板部５２ｂの前部は、最前の内側クロスメンバ２０の下後側フランジの上面に接合され、底板部５２ｂの後部は、中間の内側クロスメンバ２０の下後側フランジの上面に接合されている。また、最後の内側クロスメンバ２０と後壁部１５との間の第２の補強部材５２の底板部５２ｂの後部は、後壁部１５の車両前方側に位置する底面部１２に接合されている。

第２の補強部材５２を設けることにより、内側クロスメンバ２０によって、底面部１２と側壁部１３との間接的に接合することが可能となり、更に、角部に間隙を形成することにより、角部への応力の集中を回避することができる。

また、第２の補強部材５２は、車両前後方向に並んで配置される内側クロスメンバ２０を連接し、前壁部１４と後壁部１５とを繋ぐように構成されている。これにより、内側クロスメンバ２０が設けられている以外の位置において、バッテリケース１０の強度及び剛性を向上させることが可能となる。また、例えば、最前の内側クロスメンバ２０と中間の内側クロスメンバ２０との間に位置する側壁部１３、中間の内側クロスメンバ２０と最後の内側クロスメンバ２０との間に位置する側壁部１３、及び、再度の内側クロスメンバ２０と後壁部１５との間に位置する側壁部１３に、側突等の衝撃荷重の入力があっても、隣接する内側クロスメンバ２０に衝撃荷重を伝達させることが可能となる。

図２及び図６に示すように、バッテリケース１０の下側ケース１１の側壁部１３の車幅方向外側には、車両前後方向に延び、中空部材であるバッテリサイドメンバ３０が設けられている。バッテリサイドメンバ３０は、車両前後方向視で車両上下方向に延びる略長方形状の閉断面構造が構成されている。以下、バッテリサイドメンバ３０の構造について説明する。

図２及び図６に示すように、バッテリサイドメンバ３０は、車両前後方向に延びる第１のサイドメンバ３１と、車両前後方向に延びる第２のサイドメンバ４０と有している。第１のサイドメンバ３１及び第２のサイドメンバ４０は互いに接合されており、第１のサイドメンバ３１は、サイドシル（図示せず）に接合され、第２のサイドメンバ４０は、バッテリケース１０の下側ケース１１の側壁部１３の外面に接合されている。

第１のサイドメンバ３１は、例えばアルミニウムを含む素材により形成され、車両前後方向に延びる中空の直方体状の部材である。また、第１のサイドメンバ３１の横断面（車両前後方向視の断面）は、車幅方向に延びる四角形状である。この例では、第１のサイドメンバ３１は、アルミニウム合金を引抜成形によって形成される。第１のサイドメンバ３１は、上側フランジ３２及び下側フランジ３３を有し、これらが、第２のサイドメンバ４０にボルト等により接合されている。

図６に示すように、第２のサイドメンバ４０は、車両前後方向に延びる板金製のアウタパネル４１と、車両前後方向に延びる板金製のインナパネル４５とを有している。アウタパネル４１は、１枚の金属材料からなる板材を屈曲することのよって形成されている。インナパネル４５は、アウタパネル４１と同様に、１枚の金属材料からなる板材を屈曲することのよって形成される。アウタパネル４１及びインナパネル４５が接合されることによって、車両前後方向視で車両上下方向に延びる四角形状の閉断面構造が構成されている。

閉断面構造の車両上下方向の長さは、内側クロスメンバ２０の車両上下方向の長さに等しく設定されている。上記したように、側壁部１３の外側には、中空部材であるバッテリサイドメンバ３０が接合されている。当該バッテリサイドメンバ３０の車幅方向内側面と、側壁部１３と、第１の補強部材５１は、重なった状態で、３枚接合されてもよい。

図６及び図７に示すように、バッテリサイドメンバ３０の第２のサイドメンバ４０の閉断面構造の内側には、車両前後方向視でハット形状断面を有するハット形状部材８０が接合されている。ハット形状部材８０は、内側クロスメンバ２０及び第１の補強部材５１に交差するように、車両前後方向に延びている。この例では、ハット形状部材８０の前端は、第１の補強部材５１の前端よりも車両前方側に位置し、ハット形状部材８０の後端は、第１の補強部材５１の後端よりも車両後方側に位置している。ハット形状部材８０の車幅方向内側の接合面は、側壁部１３の外面にスポット溶接等により接合されている。また、当該接合面における下側の部分は、第２の補強部材５２の側板部５２ａの切欠き５２ｃに対応する位置に、スポット溶接等により接合されている。

バッテリサイドメンバ３０を設けることにより、側壁部１３の剛性を向上させることができる。さらに、バッテリサイドメンバ３０で受けた衝撃荷重は、ハット形状部材８０を介して、内側クロスメンバ２０に効果的に伝達される。バッテリサイドメンバ３０が意図するように（設計に沿って）変形して衝撃吸収を行えるように、内側クロスメンバ２０で支持することによって、バッテリサイドメンバ３０と内側クロスメンバ２０が協働し、側突により衝撃荷重を効果的に吸収することができる。

本実施形態では、下側ケース１１の底面部１２の下面側に、外側クロスメンバ２５が設けられている。外側クロスメンバ２５は、車幅方向に延びている。この例では、複数の外側クロスメンバ２５が、内側クロスメンバ２０に対応するように、車両前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。内側クロスメンバ２０及び外側クロスメンバ２５によって、底面部１２を挟むことにより、バッテリケース１０の剛性を向上させることが可能である。

本実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。

本実施形態では、内側クロスメンバ２０を、中間部材２１及び左右の外側部材２２によって構成しているが、これに限らない。１本の部材で構成してもよい。

１ バッテリパック
１Ａ バッテリセル
１０ バッテリケース
１１ 下側ケース
１２ 底面部
１３ 側壁部
１３ａ 下外側フランジ
１４ 前壁部
１４ａ 前側フランジ
１５ 後壁部
１５ａ 後側フランジ
１７ 上側ケース
１８ 天面部
１８ａ 上外側フランジ
１９ 側壁部
１９ａ 前壁部
１９ｂ 後壁部
２０ 内側クロスメンバ
２１ 中間部材
２１Ａ フロントパネル
２１ａ 前壁
２１ｂ 上前側フランジ
２１ｃ 上面部
２１ｄ 下前側フランジ（前側フランジ）
２１Ｂ リアパネル
２１ｅ 後壁
２１ｆ 上後側フランジ
２１ｇ 下後側フランジ（後側フランジ）
２２ 外側部材
２５ 外側クロスメンバ
３０ バッテリサイドメンバ
３１ 第１のサイドメンバ
３２ 上側フランジ
３３ 下側フランジ
４０ 第２のサイドメンバ
４１ アウタパネル
４５ インナパネル
５１ 第１の補強部材
５２ 第２の補強部材
５２ａ 側板部
５２ｂ 底板部
５２ｃ 切欠き
７５ ブラケット
８０ ハット形状部材

Claims (5)

1. 車体のフロア部の車両下方側に取り付けられるバッテリケースを有する車両用バッテリパックの構造において、
   前記バッテリケースは、車両前後方向に延びる板状の底面部と、該底面部の車幅方向両側部から車両上方に突出し、車両前後方向に延びる側壁部と、を有し、
   前記バッテリケース内には、車幅方向に延びる内側クロスメンバが設けられ、該内側クロスメンバの車幅方向外側の端部の縁が、前記内面に接合されていることを特徴とする車両用バッテリパックの構造。
2. 前記内側クロスメンバの車幅方向外側の前記端部は、板状の第１の補強部材を介して、前記側壁部の内面に接合され、
   前記第１の補強部材の車両前後方向の長さは、前記内側クロスメンバの車両前後方向の長さよりも長く設定されていることを特徴とする、請求項１に記載の車両用バッテリパックの構造。
3. 前記内側クロスメンバの前側の下部には、車両前方に突出する前側フランジが設けられ、前記内側クロスメンバの後側の下部には、車両後方に突出する後側フランジが設けられ、
   前記前側フランジ及び前記後側フランジは、前記底面部に接合され、
   前記前側フランジの車幅方向外側端及び前記後側フランジの車幅方向外側端は、前記側壁部に対して、車幅方向に間隔を空けて配置されており、
   前記側壁部及び前記底面部によって形成される角部には、第２の補強部材が接合されており、
   前記第２の補強部材は、前記前側フランジ及び前記後側フランジのそれぞれと、前記第１の補強部材の前部及び後部のそれぞれとを、連結していることを特徴とする、請求項２に記載の車両用バッテリパックの構造。
4. 前記バッテリケースの前記側壁部の車幅方向外側には、車両前後方向視で閉断面構造が構成され、車両前後方向に延びているバッテリサイドメンバが設けられており、
   前記閉断面構造の車両上下方向の長さは、前記内側クロスメンバの車両上下方向の長さに等しく設定されており、
   前記バッテリサイドメンバの前記閉断面構造の内側には、車両前後方向視でハット形状断面を有するハット形状部材が接合されており、
   前記ハット形状部材は、前記内側クロスメンバ及び前記第１の補強部材に交差するように車両前後方向に延びていることを特徴とする、請求項２または請求項３に記載の車両用バッテリパックの構造。
5. 前記底面部の前部には、車両上方に突出し、車幅方向に延びる前壁部が設けられ、前記底面部の後部には、車両上方に突出し、車幅方向に延びる後壁部が設けられており、
   前記バッテリケース内には、複数の前記内側クロスメンバが車両前後方向に互いに間隔を空けて配置されており、
   前記第２の補強部材は、車両前後方向に隣接する前記内側クロスメンバを連接し、前記前壁部と前記後壁部とを繋ぐように構成されていることを特徴とする、請求項２ないし請求項４のいずれか一項に記載の車両用バッテリパックの構造。

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