以下、図面を参照して、本発明に係る浸水検知装置、浸水検知システム、及びサーバについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1に、本開示の一実施形態に係る浸水検知システム1000の構成図を示す。図1では堤防300と他方の堤防301との間に河川の水200が流れている場合を示している。浸水検知システム1000は、浸水検知装置100(100a、100b)と、中継器30と、IoTプラットフォーム50と、サーバ40と、を含む。IoTプラットフォーム50は、通信ネットワーク60を介してサーバ40と接続される。浸水検知装置100は、河川の堤防300の壁面に設置されて、浸水の有無を検出する。浸水検知装置100は、複数台設置されてもよい。例えば、堤防300の壁面に浸水検知装置100aと浸水検知装置100bが設置されてもよい。例えば、浸水検知装置100aを、避難準備警報を発出すべき水位に相当する位置に設け、浸水検知装置100bを、避難指示を発出すべき水位に相当する位置に設けるようにしてもよい。このような構成とすることにより、例えば、中継器30が、浸水検知装置100aの浸水を検知した場合は、IoTプラットフォーム50を介してサーバ40に対して、浸水検知装置100aが浸水した旨を通知し、サーバ40は、避難準備警報を発出することができる。さらに、水位が上昇し、浸水検知装置100bが浸水した場合には、同様の手順により、サーバ40は、避難指示を発出することができる。すなわち、複数台の浸水検知装置を設置することにより、一実施形態に係る浸水検知システム1000は、水位に応じて水害の危険度を通知することができる。
浸水検知装置100(100a、100b)は、信号s(sa、sb)を中継器30に送信する。中継器30は、例えば、堤防301に設けた支柱400に設置するようにしてもよい。あるいは、中継器30は、河川に架けた橋の欄干に設置するようにしてもよい。中継器30は、受信した信号s(sa、sb)の強度に基づいて、浸水検知装置100(100a、100b)が浸水しているか否かを判断する。図1においては、浸水検知装置100aが浸水し、浸水検知装置100bは浸水していない状態を例示している。浸水検知装置100aから送信された信号saの一部sa´は水200を通る際に減衰する。一方、浸水検知装置100bから送信された信号sbは、水200を通らないため減衰しない。中継器30は、浸水検知装置100(100a、100b)が浸水していないときの信号強度を予め記憶しておき、受信した信号との差分である減衰量が所定の基準値を超えた場合に、浸水検知装置100(100a、100b)が浸水したものと判断することができる。
中継器30が浸水の有無を判断した結果は、IoTプラットフォーム50に送られ、データの処理が行われる。IoTプラットフォーム50で処理されたデータは、通信ネットワーク60を介してサーバ40に送られる。自治体運用者等は、サーバ40にアクセスして避難通知等を発出すべきか否かを判断することができる。
次に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100及び中継器30について説明する。図2に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100及び中継器30の構成図を示す。浸水検知装置100は、第1デバイス10と、第1デバイス10から所定の距離だけ離間して配置された第2デバイス20と、を備える。
図3(a)に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100の正面図を示し、図3(b)に、図3(a)のA-A線における断面図を示す。浸水検知装置100は、例えば、河川の堤防300の壁面に設置される。例えば、浸水検知装置100を構成する第1デバイス10及び第2デバイス20は、防水の樹脂製ボックスに電池と共に収納され、樹脂102で封止されてよい。樹脂102は、枠体101でさらに固定されてよい。なお、枠体101の素材は、電波の伝搬に影響が少ない素材であれば特に限定されない。枠体101は、例えば樹脂等で構成されてよい。
第1デバイス10及び第2デバイス20は、所定の距離dだけ離間して配置されている。第1デバイス10及び第2デバイス20を一定距離離隔させて配置することにより、減衰量を安定的に監視し浸水検出を行うことができる。即ち、第1デバイス10及び第2デバイス20の間に層厚d0の水が存在すれば所望の減衰量が得られる場合、間隔dをd0以上とすることも考えられる。ここで、河川の水200の水面は揺らいでいる場合が多いと考えられ、水面が揺らぐと検出される信号強度が安定しなくなる場合がある。この場合、第1デバイス10及び第2デバイス20は、第1デバイス10と第2デバイス20との間の間隔dが水200によって満たされた時に所望の減衰量が得られる間隔で配置されればよい。
枠体101には開口部103が設けられている。河川の水200は、矢印201で示すように、浸水検知装置100の下側に流れるだけでなく、矢印202で示すように、開口部103にも自由に流れる構造となっている。従って、河川の水200の水位が上昇して第2デバイス20が浸水した後、水200の水位が下がれば、第2デバイス20は再び水200に覆われない状態となり、浸水していない状態に戻る。ここで、「浸水」している状態とは、第2デバイス20が水200に漬かっている状態をいう。具体的には、「浸水」とは、第1デバイス10と第2デバイス20との間で送受信される無線信号が水200に接触している状態であってよい。この状態のときに、第1デバイス10又は第2デバイス20から送信される信号Sの強度が所定の減衰量以上減衰することを検知することにより、浸水検知システム1000は、浸水検知装置100が浸水していることを検知することができる。例えば、図3(b)に示すように、第2デバイス20から送信された信号Sのうちの一部S´は水200を通るため、第1デバイス10に到達する前に信号Sの信号強度は減衰する。この場合、浸水検知システム1000は、浸水検知装置100が浸水していることを検知することができる。なお、第1デバイス10から第2デバイス20に向かって送信される信号についても同じことが言える。即ち、浸水検知システム1000は、第1デバイス10から送信される信号の強度が所定の減衰量以上減衰していれば、浸水検知装置100が浸水していることを検知することもできる。
第2デバイス20は、第1デバイス10より低い位置に配置されてよい。この場合、第1デバイス10の設置位置の高さと、第2デバイス20の設置位置の高さとが異なるため、河川の水200の水位が徐々に上昇する際に、一方のみが浸水した状態とすることができる。例えば、図3(a)及び(b)に示すように、第2デバイス20が浸水し、第1デバイス10が浸水していない場合、中継器30が受信する信号の強度に差が生じる。そのため、浸水検知装置100は、この差に基づいて浸水の有無を判断することができる。さらに、下側に配置した第2デバイス20は浸水により中継器30と通信が行えない状態になった場合でも、上側に配置された第1デバイス10は中継器30と通信を行うことが可能となる場合もあり得る。すなわち、一実施形態に係る浸水検知システム1000は可用性を向上し得る。また、図3(a)及び(b)において、第1デバイス10及び第2デバイス20を鉛直方向に並べて配置した例を示したが、このような例には限られず、第1デバイス10と第2デバイス20とを結ぶ直線は、鉛直方向の直線と任意の角度を形成するように配置してもよい。以下の説明においては、第1デバイス10及び第2デバイス20を鉛直方向に並べて配置した場合を例にとって説明する。
第1デバイス10は、第1通信部11と、第1検出部12と、第1判断部13と、を有する。第1デバイス10は、さらに、第1記憶部14と、第1アンテナ15と、を有してもよい。第1通信部11は、例えば、汎用のBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)モジュール等の通信モジュールであってよい。ただし、第1通信部11は、このような例には限られず、Wifi(登録商標)や920MHz帯無線等の任意の通信規格を利用する通信モジュールであってもよい。第1記憶部14には、ROMやRAM等の半導体メモリを用いることができる。第1検出部12及び第1判断部13は、第1デバイス10に設けられたCPU等のプロセッサにより第1記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてよい。
第1通信部11は、第2デバイス20との間で無線信号を送受信する。後述するように、第1通信部11は、中継器30、サーバ40、及びIoTプラットフォーム50等の外部装置に無線信号を送信してよい。中継器30等が第1デバイス10から受信した無線信号は、浸水検知装置100の浸水の有無の判断に用いられてよい。
第1検出部12は、第2デバイス20から受信した信号の強度を検出する。第2デバイス20が浸水していない状態、即ち、第1デバイス10と第2デバイス20との間に水が存在しない場合は、信号の強度が最も高くなる。これに対して、図3(a)及び(b)に示すように、第2デバイス20が浸水し、第1デバイス10と第2デバイス20との間に水200が存在すると、水200によって信号の強度が減衰し、第1検出部12によって検出される信号強度が弱くなる。さらに、水200の水位が第1デバイス10に達すると、第1デバイス10と第2デバイス20との間は水200で満たされた状態となる。つまり、第1デバイス10及び第2デバイス20により、水200がサンドイッチされた状態となる。この場合、第1検出部12によって検出される信号強度は最も弱くなる。このように、第1検出部12によって検出される信号強度に基づいて、浸水の有無を検出することができる。さらに、信号強度の時間的変化から、水位の変化速度を算出することもできる。
第1記憶部14は、浸水前の第2デバイス20から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度である第1閾値を記憶する。上述したように、第2デバイス20が浸水する前の状態において、第1デバイス10と第2デバイス20との間には、信号を減衰させる水が存在していないため、第1検出部12が検出する信号強度は最も高くなる。一方、第2デバイス20が浸水した場合に、第1検出部12が検出する信号強度が、浸水前の第2デバイス20から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度ITHになったとすると、この信号強度ITHを浸水の有無を判断するための基準とすることができる。そこで、この基準となる信号強度ITHを第1閾値とする。第1記憶部14は、第1閾値ITHを記憶する。
第1判断部13は、第2デバイス20から受信した信号の強度が、第1閾値以下に減衰しているか否かに基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断する。第1判断部13は、浸水検知装置100が浸水しているか否かの判断結果を第1通信部11に送信する。例えば、第1判断部13は、浸水の有無を表すフラグを第1通信部11に送信するようにしてもよい。具体的には、第2デバイス20が浸水していると判断した場合には、第1判断部13は、浸水していることを表すフラグ「1」を第1通信部11に送信し、第2デバイス20が浸水していないと判断した場合には、第1判断部13は、浸水していないことを表すフラグ「0」を第1通信部11に送信するようにしてもよい。
第1通信部11は、第1判断部13の判断結果を無線信号として送信する。第1通信部11は、第2デバイス20に第1判断部13の判断結果を送信してよい。また、第1通信部11は、中継器30、サーバ40、及びIoTプラットフォーム50等の外部装置に第1判断部13の判断結果を送信してもよい。第1通信部11が第2デバイス20等に対して送信する信号には、浸水の有無を表すフラグを含めるようにしてもよい。このようにすることで、浸水検知手段及び浸水検知情報の伝達手段に同一信号を使用することができる。即ち、送信パケット自体が浸水検知用信号と浸水検知情報の通知用信号の両方を兼ねるようにすることにより、浸水検知装置100を安価なセンサデバイスとして構成することができる。
第2デバイス20は、第2通信部21と、第2検出部22と、第2判断部23と、を有する。第2デバイス20は、さらに、第2記憶部24と、第2アンテナ25と、を有することが好ましい。第2通信部21、第2検出部22、第2記憶部24、第2判断部23、及び第2アンテナ25の構成は、それぞれ、第1デバイス10における、第1通信部11、第1検出部12、第1記憶部14、第1判断部13、及び第1アンテナ15の構成と同様であってよい。第2記憶部24には、ROMやRAM等の半導体メモリを用いることができる。第2検出部22及び第2判断部23は、第2デバイス20に設けられたCPU等のプロセッサにより第2記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより実現されてよい。
第2通信部21は、第1デバイス10との間で無線信号を送受信する。第2通信部21は、中継器30、サーバ40、及びIoTプラットフォーム50等の外部装置に無線信号を送信してよい。中継器30等が第2デバイス20から受信した無線信号は、浸水検知装置100の浸水の有無の判断に用いられてよい。
第2検出部22は、第1デバイス10から受信した信号の強度を検出する。第1デバイス10が浸水していない状態、即ち、第1デバイス10と第2デバイス20との間に水が存在しない場合は、信号の強度が最も高くなる。これに対して、図3(a)及び(b)に示すように、第2デバイス20が浸水し、第1デバイス10と第2デバイス20との間に水200が存在すると、水200によって信号の強度が減衰し、第2検出部22によって検出される信号強度が弱くなる。さらに、第1デバイス10と第2デバイス20との間が水200で満たされた状態において、第2検出部22によって検出される信号強度は最も弱くなる。このように、第2検出部22によって検出される信号強度に基づいて、浸水の有無を検出することができる。さらに、信号強度の時間的変化から、水位の変化速度を算出することもできる。
第2記憶部24は、浸水前の第1デバイス10から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度である第2閾値を記憶する。第2閾値は、第1閾値と同じであってもよい。すなわち、例えば、第2デバイス20が浸水する前に受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度ITHを第2閾値としてもよい。
第2判断部23は、第1デバイス10から受信した信号の強度が、第2閾値以下に減衰しているか否かに基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断する。第2判断部23は、浸水検知装置100が浸水しているか否かの判断結果を第2通信部21に送信する。例えば、第2判断部23は、浸水の有無を表すフラグを第2通信部21に送信してもよい。具体的には、浸水検知装置100が浸水していると判断した場合には、第2判断部23は、浸水していることを表すフラグ「1」を第2通信部21に送信し、浸水検知装置100が浸水していないと判断した場合には、第2判断部23は、浸水していないことを表すフラグ「0」を第2通信部21に送信してもよい。
第2通信部21は、第2判断部23の判断結果を無線信号として送信する。第2通信部21は、第1デバイス10に第2判断部23の判断結果を送信してよい。また、第2通信部21は、中継器30、サーバ40、及びIoTプラットフォーム50等の外部装置に第2判断部23の判断結果を送信してもよい。第2通信部21が第1デバイス10等に対して送信する信号には、浸水の有無を表すフラグを含めるようにしてもよい。
中継器30は、浸水検知装置100に設けられた第1デバイス10及び第2デバイス20から信号を受信する。中継器30は、受信部31と、検出部32と、判断部33と、記憶部34と、送信部35と、受信用アンテナ36と、送信用アンテナ37と、を有する。
受信部31は、第1デバイス10及び第2デバイス20から無線信号を受信する。受信部31が第1デバイス10から受信する信号には、第2デバイス20または第1デバイス10自身の浸水の有無に関する判断結果を表すフラグが含まれてよい。また、受信部31が第2デバイス20から受信する信号には、第1デバイス10または第2デバイス20自身の浸水の有無に関する判断結果を表すフラグが含まれてよい。中継器30は、受信部31が受信した信号に含まれるフラグを参照することにより、浸水検知装置100が浸水しているか否かを識別することができる。
中継器30は、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した信号の強度から、浸水検知装置100の浸水の有無を判断してもよい。
検出部32は、第1デバイス10及び第2デバイス20からそれぞれ受信した信号の強度を検出する。
記憶部34は、中継器30が浸水前の第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度である第3閾値及び第4閾値を記憶してよい。第3閾値は第1デバイス10から受信した信号に基づいて浸水検知装置100の浸水の有無を判断するための閾値であり、第4閾値は第2デバイス20から受信した信号に基づいて浸水検知装置100の浸水の有無を判断するための閾値である。第3閾値は、第4閾値と同じであってもよい。
判断部33は、第1デバイス10から受信した信号の強度が、第3閾値以下に減衰しているか否かに基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断してもよい。また、判断部33は、第2デバイス20から受信した信号の強度が、第4閾値以下に減衰しているか否かに基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断してもよい。
送信部35は、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した、浸水検知装置100の浸水の有無に関する判断結果をサーバ40に送信してもよい。サーバ40は、この判断結果から浸水検知装置100の浸水の有無を判断することができる。また、送信部35は、中継器30の判断部33によって判断された、浸水検知装置100の浸水の有無に関する判断結果をサーバ40に送信してよい。サーバ40は、この判断結果から浸水検知装置100の浸水の有無を判断することができる。
送信部35は、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した、浸水検知装置100の浸水の有無に関する判断結果と併せて、中継器30の判断部33によって判断された、浸水検知装置100の浸水の有無に関する判断結果を送信してもよい。中継器30が、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した信号に含まれるフラグに基づく判断結果と、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信した信号の強度に基づく判断結果とを併せてサーバ40に送信することにより、ユーザはこれらの判断結果を比較することができる。すなわち、一実施形態に係る浸水検知システム1000によれば、浸水検知装置100の浸水の有無の判断結果の精度と信頼性を向上させることができる。
受信用アンテナ36は、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された信号を受信し、受信部31に送信する。送信部35は、判断部33から判断結果を取得し、送信用アンテナ37を介して、判断結果をIoTプラットフォーム50に送信する。
次に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100において、第1デバイス10が信号の減衰量から浸水を検知する手順について説明する。図4に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100において、第1デバイス10が第2デバイス20から受信した信号の減衰量に基づいて、浸水検知装置100の浸水の有無を検知する場合の動作手順を説明するためのフローチャートを例示する。
まず、ステップS101において、第1デバイス10が、第2デバイス20から信号を受信し、信号強度を検出する。具体的には、まず、第2デバイス20の第2通信部21が第2アンテナ25を介して、信号を送信する。第2通信部21から送信された信号は、第1アンテナ15を介して、第1デバイス10の第1通信部11により受信される。第1通信部11が受信した信号は第1検出部12に送信される。第1検出部12は、第1通信部11から送信された信号の強度を検出し、検出結果を第1判断部13に送信する。
次に、ステップS102において、第1判断部13が、受信した信号の強度が第1閾値以下であるか否かを判断する。ここで、第1閾値は、浸水前の第2デバイス20から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度であって、第2デバイス20が所定の深さの水に漬かったときに第1デバイス10の第1通信部11が検出する信号強度である。従って、第1通信部11が、第2デバイス20から受信した信号の強度が、第1閾値以下になっていれば、浸水検知装置100は所定の深さ以上の水に漬かっていると判断することができる。第1閾値は第1記憶部14に記憶されており、第1判断部13は、第1記憶部14から第1閾値を読み出し、第1検出部12から受信した信号強度と第1閾値とを比較する。
ステップS102において、第2デバイス20から受信した信号の強度が第1閾値以下である場合は、第1判断部13は、ステップS103において、浸水検知装置100は浸水していると判断する。第1判断部13は、判断結果を第1通信部11に送信する。
次に、ステップS104において、第1デバイス10が、浸水検出フラグを送出する。具体的には、第1デバイス10の第1通信部11が送信する信号に、浸水検知装置100が浸水している旨を表すフラグを含めたうえで、信号を送信する。
一方、ステップS102において、第2デバイス20から受信した信号の強度が第1閾値より大きい場合は、第1判断部13は、ステップS105において、浸水検知装置100は浸水していないと判断し、ステップS101に戻って、第2デバイス20から送信される信号の受信を継続する。
以上のようにして、第1デバイス10は、第2デバイス20から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することができる。図4に示した第1デバイス10による第2デバイス20の浸水の有無の判断手順は、第1デバイス10に設けられたプロセッサが、第1記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
第1デバイス10と第2デバイス20は、基本的には同じデバイスであるため、同じ処理を実行してよい。これにより、各デバイスはそれぞれ浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することができる。以下、第1デバイス10が浸水検知装置100の浸水の有無を判断し、続けて、第2デバイス20が浸水検知装置100の浸水の有無を判断する手順について説明する。図5に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100において、第1デバイス10が信号の減衰量から浸水検知装置100の浸水の有無を検知した後、続けて第2デバイス20が信号の減衰量から浸水検知装置100の浸水の有無を検知する場合の手順を説明するためのフローチャートを示す。
ステップS201からステップS205までの手順は、第1デバイス10が第2デバイス20の浸水の有無を判断するステップである、図4に示したステップS101からステップS105までの手順と同様であるので、詳細な説明を省略する。
ステップS206において、第2デバイス20が、第1デバイス10から信号を受信し、信号強度を検出する。具体的には、図2に示すように、第1デバイス10の第1通信部11が第1アンテナ15を介して、信号を送信する。第1通信部11から送信された信号は、第1アンテナ15を介して、第2デバイス20の第2通信部21により受信される。第2通信部21が受信した信号は第2検出部22に送信される。第2検出部22は、第2通信部21から送信された信号の強度を検出し、検出結果を第2判断部23に送信する。
次に、ステップS207において、第2判断部23が、受信した信号の強度が第2閾値以下であるか否かを判断する。ここで、第2閾値は、第2デバイス20が浸水する前に第1デバイス10から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度であって、第2デバイス20が所定の深さの水に漬かったときに第2デバイス20の第2通信部21が検出する信号強度である。第2デバイス20が、所定の深さの水に漬かっている場合は、第1デバイス10と第2デバイス20との間の空間はほぼ水200で満たされていると判断できるため、第2デバイス20は、浸水検知装置100が浸水していると判断することができる。従って、第2通信部21が、第1デバイス10から受信した信号の強度が、第2閾値以下になっていれば、第2デバイス20は、浸水検知装置100が浸水していると判断することができる。第2閾値は第2記憶部24に記憶されており、第2判断部23は、第2記憶部24から第2閾値を読み出し、第2検出部22から受信した信号強度と第2閾値とを比較する。
ステップS207において、第1デバイス10から受信した信号の強度が第2閾値以下である場合は、第2判断部23は、ステップS208において、浸水検知装置100が浸水していると判断する。第2判断部23は、判断結果を第2通信部21に送信する。
次に、ステップS209において、第2デバイス20が、浸水検出フラグを送出する。具体的には、第2デバイス20の第2通信部21が送信する信号に、浸水検知装置100が浸水している旨を表すフラグを含めたうえで、信号を送信する。
一方、ステップS207において、第1デバイス10から受信した信号の強度が第2閾値より大きい場合は、第2判断部23は、ステップS205において、浸水検知装置100は浸水していないと判断し、ステップS201に戻って、第1デバイス10による、浸水検知装置100の浸水の有無の判断を継続する。
以上のようにして、第2デバイス20は、第1デバイス10から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することができる。
上記のように、第1デバイス10と第2デバイス20は同じ処理を行う。そのため、2つのデバイスのうち、どちらか一方のデバイスと中継器30またはサーバ40との間の通信が途絶した場合でも、第1デバイス10での浸水判断を第2デバイス20が、第2デバイス20での浸水判断を第1デバイス10が、それぞれ中継器30に対して転送することができる。その結果、システムの冗長化を実現することができる。
ここで、第2デバイス20が浸水することにより、第1デバイス10が第2デバイス20から受信する信号の強度が減衰している場合、第2デバイス20が第1デバイス10から受信する信号の強度も減衰していると考えられる。即ち、第1デバイス10が、浸水検知装置100は浸水していると判断した時点において、第2デバイス20も浸水検知装置100が浸水していると判断することができる。換言すれば、第1デバイス10が浸水検知装置100の浸水を検知した時点で、第2デバイス20が浸水検知装置100の浸水を検知できない場合は、第1デバイス10及び第2デバイス20の少なくとも一方が故障していると考えられる。従って、一実施形態に係る浸水検知システム1000は、第1デバイス10によって、浸水検知装置100の浸水の有無を判断した後、続けて第2デバイス20が浸水検知装置100の浸水の有無を判断することにより、両者が同じ結果となるか否かに基づいて、故障の有無を判断してもよい。
例えば、浸水検知装置100に対して水200の水位が徐々に上昇した場合、第1デバイス10と第2デバイス20との間で送受信される信号の強度は、両者間に存在する水200により減衰し、両者間で送受信される信号の強度はともに減衰するものと考えられる。従って、ステップS203において、第1デバイス10が、浸水検知装置100の浸水を検知した時点では、第2デバイス20も浸水検知装置100が浸水していることを検知することができる。このように、両者がほぼ同時に浸水検知装置100の浸水を検知していれば、両者は正常に動作していると推定できる。一方、片方のデバイスのみが、浸水検知装置100の浸水を検知した場合は、少なくとも一方のデバイスが故障していると推定することができる。
以上のように、第2デバイス20が浸水している場合も含め、第1デバイス10及び第2デバイス20が交互に信号(パケット)をやり取りし情報を伝達し合うことにより、一方のデバイスが検出した減衰量を、他方のデバイスが自ら検出した減衰量と比較し正常性を確認することができる。また、浸水検知装置100は、中継器30を介して、確認した結果をサーバ40に通知することができる。これによれば、一実施形態に係る浸水検知システム1000は、浸水検知の精度の向上およびデバイス自体の故障検知が可能となる。
上記の説明においては、第1デバイス10及び第2デバイス20が、信号の減衰量に基づいて、浸水検知装置100の浸水の有無を検出する例について説明した。しかしながら、本開示に係る浸水検知装置100の出力はこのような例には限られない。例えば、一実施形態に係る浸水検知装置100は、信号の減衰量の変化速度に基づいて浸水の有無を判断してもよい。
また、例えば、浸水検知装置100は、第1デバイス10が第2デバイス20から受信した信号の強度を検出する場合において、複数回測定した検出値の移動平均に基づいて浸水の有無を判断してもよい。これによれば、一実施形態に係る浸水検知装置100は、検出した信号強度のばらつきに基づく誤検知が生じる可能性を低減することができる。また、例えば、浸水検知装置100は、検出頻度を低くしてもよい。これによれば、一実施形態に係る浸水検知装置100は、電力消費量を低減することができる。
なお、第2デバイス20が水に漬かり始めてから、信号が減衰し信号強度が第1閾値以下となり、浸水していることを検知するまでに、ある程度の時間を要する場合もありうる。しかしながら、河川の氾濫が深刻である場合には、一刻も早く避難指示を発出することが必要である。そこで、一実施形態に係る浸水検知システム1000は、浸水の有無を早期に検出するために、信号強度の時間的変化に基づいて浸水の有無を検出してもよい。以下に、信号強度の減衰量の変化速度から浸水の有無を判断する手順について説明する。
図6に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100において、第1デバイス10が信号の減衰量の変化速度から浸水検知装置100の浸水を検知する場合の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。
まず、ステップS301において、第1デバイス10が、第2デバイス20から信号を受信し、信号強度を検出する。次に、ステップS302において、浸水検知装置100は、信号強度の減衰量の変化速度が閾値速度以上であるか否かを判断する。具体的には、浸水検知装置100は、第1デバイス10が第2デバイス20から受信した信号の強度について、1周期前に受信した信号の強度からの減衰量を算出してよい。なお、以下の説明において、1周期前に受信した信号の強度からの減衰量を1周期当たりの減衰量の変化速度ともいう。例えば、浸水検知装置100は、変化速度が所定の値である閾値速度以上である場合は、近い将来に浸水する可能性が非常に高いと判断してよい。また、例えば、浸水検知装置100は、この場合に、浸水検知装置100が浸水する可能性が高いと判断してよい。
ステップS302において、信号強度の減衰量の変化速度が閾値速度以上である場合には、ステップS303において、浸水検知装置100は、浸水検知装置100が浸水する可能性が高いと判断する。また、ステップS304において、浸水検知装置100は、浸水検知装置100が浸水している旨を表す浸水検出フラグを送出する。
一方、ステップS302において、信号強度の減衰量の変化速度が閾値速度未満である場合には、ステップS305において、浸水検知装置100は、浸水検知装置100が近い将来に浸水する可能性は低いと判断する。この場合、ステップS302に戻って、浸水検知装置100は、第1デバイス10は第2デバイス20からの信号の受信を継続する。
以上のように、一実施形態に係る浸水検知装置100は、受信した信号強度の変化速度に基づいて浸水の有無を判断することにより、浸水検知装置が実際に浸水する前に、浸水する可能性が高いことを早い段階で検知することができる。すなわち、一実施形態に係る浸水検知システム1000によれば、避難指示を迅速に発出することができる。
上記の説明では、第1デバイス10及び第2デバイス20が、相手側から受信した信号の強度の減衰量から浸水の有無を表す浸水検出フラグを送出する例について説明した。しかしながらこのような例には限られず、浸水検知装置100は、第1デバイス10が送出する浸水検出フラグと第2デバイス20が送出する浸水検出フラグの両者を比較することによって故障の有無を検出してもよい。第1デバイス10が第2デバイス20から受信した信号には、浸水検出フラグが含まれている。この浸水検出フラグは、半周期前に第2デバイス20が第1デバイス10から受信した信号に基づいて判断した浸水検知装置100の浸水の有無に関する情報を表しているため、これを「第1浸水検出フラグ」とする。一方、第1デバイス10は第2デバイス20から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100の浸水の有無を判断すすることができ、これを「第2浸水検出フラグ」とする。第1デバイス10が第2デバイス20から受信する信号と、第2デバイス20が第1デバイス10から受信する信号は、浸水によりほぼ同時に減衰すると考えられるため、第1デバイス10と第2デバイス20が正常に動作している場合には、「第1浸水検出フラグ」は「第2浸水検出フラグ」と一致すると考えられる。そこで、浸水検知装置100は、「第1浸水検出フラグ」と「第2浸水検出フラグ」が一致しているか否かに基づいて、第1デバイス10及び第2デバイス20が正常に動作しているか否かを検証してもよい。以下に、浸水検出フラグからデバイスの故障の有無を判断する手順について説明する。
図7に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置において、浸水検出フラグからデバイスの故障の有無を検出する手順を説明するためのフローチャートを示す。
まず、ステップS401において、浸水検知装置100は、第1デバイス10が第2デバイス20から信号を受信し、受信した信号の強度に基づいて浸水検知装置100の浸水の有無を判断し、浸水検知装置100の浸水状況を表す第1浸水検出フラグを決定する。次に、ステップS402において、浸水検知装置100は、第2デバイス20が第1デバイス10から信号を受信し、受信した信号の強度から浸水検知装置100の浸水の有無を判断し、浸水検知装置100の浸水の状況を表す第2浸水検出フラグを決定する。
次に、ステップS403において、浸水検知装置100は、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致するか否かを判断する。具体的には、浸水検知装置100は、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグが共に1であるか否か、または、共に0であるか否かを判断する。
ステップS403において、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致している場合には、ステップS404において、浸水検知装置100は、第1デバイス10及び第2デバイス20は正常に動作していると判断する。すなわち、この場合に、浸水検知装置100は、自装置について故障なしと判断してよい。
一方、ステップS403において、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致していない場合には、ステップS405において、浸水検知装置100は、第1デバイス10及び第2デバイス20の少なくとも一方が故障していると判断する。すなわち、この場合に、浸水検知装置100は、自装置について故障ありと判断してよい。
ここで、第1浸水検出フラグが決定された時刻と、第2浸水検出フラグが決定された時刻は、第1デバイス10が信号の受信を行う周期の半分の期間だけずれている。例えば、1周期を4秒とすれば半周期は2秒に相当し、2秒の間に第2デバイス20が浸水していない状態から、浸水した状態に移行することも考えられる。この場合は、第1デバイス10と第2デバイス20とが正常に動作していても、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致しないこととなる。そこで、浸水検知装置100は、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致するか否かの判断を複数の周期において連続して実行してもよい。例えば、浸水検知装置100は、複数の周期に渡って連続して、第1浸水検出フラグと第2浸水検出フラグとが一致しない場合において、第1デバイス10及び第2デバイス20の少なくとも一方が故障していると判断するようにしてもよい。すなわち、この場合に、浸水検知装置100は、自装置について故障ありと判断してよい。
以上の説明においては、浸水検出フラグを用いてデバイスの故障の有無を判断する例について説明した。しかしながらこのような例には限られず、受信したデータに信号強度あるいは減衰量の情報が含まれている場合には、浸水検知装置100は、浸水検出フラグの代わりに信号強度あるいは減衰量を比較することにより、自装置の故障の有無を判断するようにしてもよい。
上記の説明においては、第1デバイス10及び第2デバイス20が相手側のデバイスから受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100の浸水の有無を判断する例について説明した。しかしながらこのような例には限られず、第1デバイス10及び第2デバイス20から信号を受信する中継器30が浸水検知装置100の浸水の有無を検知することもできる。図1に示すように、浸水検知装置100bが浸水していない場合、浸水検知装置100bから送信された信号は、河川の水200によって減衰することなく中継器30によって受信される。一方、浸水検知装置100aが浸水している場合には、浸水検知装置100aから送信される信号saのうち、河川の水200を通る部分に相当する信号sa´は水200によって減衰する。従って、中継器30は、浸水検知装置(100a、100b)から受信する信号強度に基づいて浸水の有無を判断してもよい。同じことは、第1デバイス10と第2デバイス20についても当てはまる。即ち、図2に示すように、浸水検知装置100から送信される信号は、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信されており、それぞれのデバイスが浸水している場合には、中継器30で受信される信号の強度が減衰する。以下、中継器30が、浸水検知装置100を構成する第1デバイス10及び第2デバイス20から送信される信号の強度に基づいて、浸水検知装置100の浸水の有無を判断する手順について説明する。
図8に、本開示の一実施形態に係る浸水検知システムにおいて、中継器30が浸水検知装置100から受信した信号の減衰量から浸水検知装置100の浸水を検知する手順を説明するためのフローチャートを示す。まず、ステップS501において、中継器30が第1デバイス10から信号を受信し、信号強度を検出する。具体的には、図2に示すように、第1デバイス10の第1通信部11が第1アンテナ15を介して、信号を送信する。第1通信部11から送信された信号は、中継器30の受信用アンテナ36を介して、受信部31により受信される。受信部31が受信した信号は検出部32に送信される。検出部32は、受信部31から送信された信号の強度を検出し、検出結果を判断部33に送信する。
次に、ステップS502において、中継器30の判断部33が、受信した信号の強度が第3閾値以下であるか否かを判断する。ここで、第3閾値は、浸水前の第1デバイス10から中継器30が受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度であって、第1デバイス10が浸水したときに中継器30の検出部32が検出する信号強度である。従って、中継器30が、第1デバイス10から受信した信号の強度が、第3閾値以下となっていれば、第1デバイス10は浸水していると判断することができる。第3閾値は記憶部34に記憶されており、判断部33は、記憶部34から第3閾値を読み出し、検出部32から受信した信号強度と第3閾値とを比較する。
ステップS502において、第1デバイス10から受信した信号の強度が第3閾値以下である場合は、判断部33は、ステップS503において、浸水検知装置100が浸水していると判断する。
一方、ステップS502において、第1デバイス10から受信した信号の強度が第3閾値より大きい場合は、判断部33は、ステップS504において、浸水検知装置100が浸水していないと判断する。
以上のようにして、中継器30は、第1デバイス10から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することができる。
中継器30は、第2デバイス20から受信した信号に基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することもできる。ただし、第2デバイス20は、第1デバイス10よりも低い位置に配置されているため、第1デバイス10が浸水している場合には、第2デバイス20も浸水していると考えられる。従って、ステップS503において、浸水検知装置100が浸水していると判断した場合は、ステップS501に戻って、浸水検知装置100の浸水の有無の判断を継続して行う。
一方、ステップS504において、浸水検知装置100が浸水していないと判断した場合には、第2デバイス20のみが浸水している可能性も考えられる。そこで、中継器30は、第2デバイス20からの信号に基づいて浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断する。まず、ステップS505において、中継器30が第2デバイス20から信号を受信し、信号強度を検出する。具体的には、第2デバイス20の第2通信部21が第2アンテナ25を介して、信号を送信する。第2通信部21から送信された信号は、中継器30の受信用アンテナ36を介して、受信部31により受信される。受信部31が受信した信号は検出部32に送信される。検出部32は、受信部31から送信された信号の強度を検出し、検出結果を判断部33に送信する。
次に、ステップS506において、中継器30の判断部33が、受信した信号の強度が第4閾値以下であるか否かを判断する。ここで、第4閾値は、中継器30が浸水前の第2デバイス20から受信した信号の強度より、所定の大きさだけ小さい信号強度であって、第2デバイス20が浸水したときに中継器30の検出部32が検出する信号強度である。従って、中継器30が、第2デバイス20から受信した信号の強度が、第4閾値以下となっていれば、浸水検知装置100は浸水していると判断することができる。第4閾値は記憶部34に記憶されており、判断部33は、記憶部34から第4閾値を読み出し、検出部32から受信した信号強度と第4閾値とを比較する。
ステップS506において、第2デバイス20から受信した信号の強度が第4閾値以下である場合は、判断部33は、ステップS507において、浸水検知装置100が浸水していると判断する。
一方、ステップS506において、中継器30が第2デバイス20から受信した信号の強度が第4閾値より大きい場合は、判断部33は、ステップS508において、浸水検知装置100が浸水していないと判断する。
以上のようにして、中継器30は、第2デバイス20から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断することができる。
中継器30は、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信する信号に、浸水検知装置100が浸水しているか否かを示す浸水検知フラグが含まれている場合は、第1デバイス10及び第2デバイス20から受信する信号のみから、浸水検知装置100の浸水の有無を判断することもできる。また、中継器30自身が第1デバイス10及び第2デバイス20から受信する信号の強度から、浸水検知装置100の浸水の有無を併せて判断することにより、第1デバイス10及び第2デバイス20から送信された信号に含まれる浸水の有無に関する情報の精度と信頼性を向上させることもできる。
また、図1に例示するように、複数の浸水検知装置(100a、100b)を異なる高さの位置に配置し、中継器30が複数の浸水検知装置(100a、100b)から受信した信号に基づいて浸水を検知することにより、中継器30は、浸水の程度や浸水の速度を推定してもよい。これによれば、一実施形態に係る浸水検知システム1000のユーザは、浸水の程度や速度に関する情報に基づいて、自治体等は住民に対して避難準備警報や避難指示を発出することができる。
上記の説明では、中継器30が、浸水検知装置(100a、100b)から受信した信号の強度に基づいて、浸水検知装置(100a、100b)の浸水の有無を判断する例について説明した。ここで、図1において、浸水検知装置(100a、100b)における河川の水200の水位が上昇すると、浸水検知装置100aからの信号saのうち水200を通過する部分sa´が占める部分が増加し、信号強度が中継器30検出限界以下に低下することも考えられる。このような場合は、中継器30は、浸水検知装置100aから信号を受信できなくなり、信号が途絶した状態となり、浸水検知装置100aの浸水の有無については判断することができなくなる場合がある。ここで、浸水検知装置100aから中継器30への信号が途絶する前の時点で、既に中継器30が、浸水検知装置100aが浸水している旨の判断を行っており、浸水検知装置100aから中継器30への信号が途絶した場合は、中継器30は、浸水検知装置100aは浸水している状態を維持していると判断してもよい。以下に、中継器30が浸水検知装置100から受信した信号が途絶した場合の浸水の有無の判断方法について説明する。
図9に、本開示の一実施形態に係る浸水検知システム1000において、中継器30が浸水検知装置100からの信号の途絶の有無に基づいて浸水検知装置100の浸水状態を推定する場合の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。
まず、ステップS601において、中継器30が浸水検知装置100を構成する第1デバイス10から信号を受信する。次に、ステップS602において、受信した信号の強度を第3閾値と比較することにより、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断する。この判断手順は図8のステップS501からS504で説明した通りである。
次に、ステップS602において、浸水検知装置100は浸水していないと判断した場合には、ステップS601に戻って、中継器30が第1デバイス10からの信号の受信を継続する。一方、ステップS602において、浸水検知装置100が浸水していると判断した場合は、ステップS603において、中継器30が第1デバイス10から受信していた信号が途絶したか否かを判断する。中継器30が、第1デバイス10からの信号が途絶したと判断した場合には、ステップS604において、浸水検知装置100の浸水検知状態を維持する。
一方、ステップS603において、中継器30が、第1デバイス10からの信号が途絶していないと判断した場合には、ステップS601に戻って、中継器30が第1デバイス10から信号を受信し、浸水検知装置100の浸水の有無の判断を継続する。
以上のようにして、中継器30は、第1デバイス10から受信した信号に基づいて、浸水検知装置100が浸水していると判断した後に、第1デバイス10からの信号が途絶した場合は、浸水検知装置100が浸水している状態が継続していると判断することができる。同様に、中継器30は、第2デバイス20から受信した信号に基づいて、浸水検知装置100が浸水していると判断した後に、第2デバイス20からの信号が途絶した場合は、浸水検知装置100が浸水している状態が継続していると判断することができる。
ここで、浸水検知装置100は第1デバイス10及び第2デバイス20を備えているが、第1デバイス10からの信号の途絶のみを検出するようにしてもよい。これは、第1デバイス10は、第2デバイス20よりも高い位置に設置されているため、第2デバイス20よりも信号の途絶は生じにくいと考えられ、第1デバイス10からの信号が途絶していれば、第2デバイス20からの信号も途絶している可能性が高いためである。
次に、第1デバイス10及び第2デバイス20が送信する信号のタイミングについて説明する。図10に、本開示の一実施形態に係る浸水検知システムにおいて、第1デバイス10、第2デバイス20、及び中継器30の間で送受信する信号の例を示す。図11に、本開示の一実施形態に係る浸水検知システム1000において、第1デバイス10、第2デバイス20、及び中継器30の間で送受信する信号のタイミングチャートを示す。
中継器30は、第1デバイス10及び第2デバイス20がそれぞれ送信した信号S11及びS21によって伝送される情報を取得する。また、中継器30自らは、信号S11及びS21の信号強度を検出する。第1デバイス10が送信した信号S11を第2デバイス20が受信することによりタイミングを検知する。それを基に第2デバイス20の送受信のタイミングをロック(追従)させる。ここで、第1デバイス10と第2デバイス20との間における信号の送受信は、所定の周期Tごとに実行され、第2デバイス20が信号を送信するタイミングは、第1デバイス10が信号を送信するタイミングと半周期(T/2)ずれていることが好ましい。このように、一方の送信タイミングを他方に対して半周期(半サイクル)ずらして送信する(ただし、2つのデバイスの送信サイクルは同じ)ことにより、中継器30から見た場合、冗長性の向上以外に、単位時間当たりの浸水検知の密度を均一に2倍に増加させることができ、より迅速な浸水検知が可能となる。例えば、周期(サイクルタイム)を4秒とした時、情報更新を2秒間隔とすることができる。
中継器30も同様に受信タイミングを第1デバイス10及び第2デバイス20の信号の送信タイミングにロックさせる。これにより全てのデバイスの送信機能、受信機能をON/OFFするタイミングを最適化し、消費電力を最小化でき電池駆動を実現することができる。さらに、受信タイミングをピンポイントに絞ることにより、通常のBLE技術より省電力化を実現できる。
次に、本開示の一実施形態に係る浸水検知100を構成する第1デバイス10及び第2デバイス20の配置について説明する。図3(b)に示すように、第2デバイス20は、第1デバイス10から所定の距離dだけ離間して配置されている。この距離dは、第2デバイス20が浸水し、第1デバイス10と第2デバイス20との間が水で満たされた場合でも、2つのデバイス間で通信が可能な距離に設定してよい。また、この所定の距離dは、第1デバイス10と第2デバイス20との間で送受信する信号の反半波長以上、かつ、1波長以下の距離であることが好ましい。例えば、BLEモジュールで用いる周波数2.4GHzの電波の場合、所定の距離は、6~12センチであることが好ましく、6センチとすることがさらに好ましい。
図12に、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置100における、水の深度と信号強度の関係を調べた実測値の例を示すグラフを示す。横軸は水深[cm]であり、縦軸は第2デバイス20から送信された信号を第1デバイス10が受信した時の信号強度の減衰量[dB]を表す。第1デバイス10及び第2デバイス20は直径3cmの円筒状の形状を備え、鉛直方向に6cm離間させて水槽に配置した。水槽に水を水深3[cm]まで入れた時に第2デバイス20の全体が水に漬かった状態となる。
水深を5[cm]としたときに、第1デバイス10と第2デバイス20の間に水の層が2[cm]形成され、減衰量a2は15[dB]であった。また、水深を7[cm]としたときに、第1デバイス10と第2デバイス20の間に水の層が4[cm]形成され、減衰量a4は16[dB]であった。さらに、水深を9[cm]としたときに、第1デバイス10と第2デバイス20の間に水の層が6[cm]形成され、減衰量a6は20[dB]であった。
このように、実験結果から第1デバイス10と第2デバイス20の間に配置される水の層が増加するにしたがって信号強度が減衰しており、信号の強度から浸水の有無を判断できることが確認できた。
以上、本開示に係る浸水検知システム1000について、実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
例えば、浸水検知装置100において、第1デバイス10と第2デバイス20とを入れ替えても、本発明を実施することができる。すなわち、第1デバイス10が上記説明した第2デバイスが実行する処理を実行してもよいし、第2デバイス20が上記説明した第1デバイス10が実行する処理を実行してもよい。
また、以上説明した浸水検知装置が実行する処理はプログラムの発明として解釈されてもよい。すなわち、例えば、第1デバイス10と、第1デバイス10から所定の距離だけ離間して配置された第2デバイス20とを有する浸水検知装置において実行されるプログラムであって、第1デバイス10が第2デバイス20から無線信号を受信するステップと、受信した無線信号の強度を検出するステップと、第2デバイス20から受信した信号の強度が、第1閾値以下に減衰しているか否かに基づいて、浸水検知装置100が浸水しているか否かを判断するステップと、をコンピュータに実行させるプログラムの発明として解釈されてもよい。
また、上記の説明では浸水検知装置100から送信された信号が中継装置40やIoTプラットフォーム50によって中継されてサーバ40に送信される例を示したが、浸水検知装置100は、信号をサーバ40に直接送信してもよい。すなわち、サーバ40は、浸水検知装置100から浸水フラグが付された信号を直接受信し、浸水検知装置100の浸水の有無を判断してもよい。なお、サーバが浸水検知装置100の浸水の有無を判断する手順は中継器40において浸水検知装置100の浸水の有無を判断する手順と同様の手順であってよい。
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る浸水検知装置によれば、安価で信頼性が高い浸水検知装置を実現することができる。