JP3951160B2 - 津波検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、津波の発生を観測する津波検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、津波の観測は地震の発生により行い、その地震の震源の深さ等を計算して予報されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の津波の予報は、震源の深さ等を基に津波を予測するに過ぎないため、その正確性、信頼性に劣るという問題がある。
この発明は、上記問題に鑑み、津波の発生により海底部分に流れが生じるという事実に着目してなされたもので、津波の発生を確実、かつ正確に観測できる津波検知装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる津波検知装置は、海底に揺動自在に支持された支持ロッドの上端に浮遊する浮体が取り付けられた振動系を設置し、該振動系の支持ロッドの傾動を検出する傾斜センサと該傾斜センサの傾斜が所定値以上の時に超音波による傾斜信号を出力する送信機とを設けるとともに、海面に浮遊ブイを設け、該ブイに前記送信機の出力を受信する受信機と該受信機の出力で陸上観測局へ津波発生報知の電波を出力する電波テレメータを設けたものである。
【0005】
そして、この発明の津波検知装置は、前記振動系を、海底に起設された第1のロッドの上端にユニバーサルジョイントを介して第2のロッドを連結し、該第2のロッドの他端を前記浮体に固設された第3のロッドと第2にユニバーサルジョイントを介し連結して構成し、前記第2のロッドに前記傾斜センサを設ける態様(請求項2)に構成してもよい。
また、この発明の津波検知装置は、前記傾斜センサが複数の各々異なった傾斜スイッチを備え、前記送信機を前記傾斜スイッチの閉成による給電で給電期間中のみ前記傾斜信号を出力する態様(請求項3)に構成することができる。
さらに、前記ブイに前記受信機の傾斜信号受信時間を判断する時間判断手段を設け、前記傾斜信号受信時間が所定時間を越える場合に前記電波テレメータが津波発生報知の電波を出力する態様(請求項4)に構成することができる。
【0006】
【作用】
この発明の津波検知装置によれば、津波の発生により海底に2cm/s程度の流れが生じ、この流れにより浮体が力を受けて支持ロッドが傾斜する。そして、この支持ロッドの傾斜が傾斜センサにより検出され、送信機による超音波発信により浮遊ブイの受信機に伝達され、電波テレメータから陸上観測局に送信される。このため、津波の発生(伝播)を確実、かつ正確に観測できる。
【0007】
そして、請求項2の発明の津波検知装置は、支持ロッドをユニバーサルジョイントによるロッドの連結構造で構成するため、支持ロッドを確実かつ円滑に傾動させることができ、高い信頼性が得られ、また、その固有振動周期を長くすることも容易で魚の衝突等による誤観測を防止できる。
また、請求項3の発明の津波検知装置の傾斜スイッチは複数の各々異なった傾斜スイッチを備えており、支持ロッドが所定角度傾斜した場合にのみ給電され送信機から傾斜信号を出力し、これを受信機で受信し各傾斜信号による海水の流れ速度を検出し、電波テレメータで発信される。
さらに、請求項4記載の津波検知装置は、傾斜信号受信時間が所定時間を越える場合、すなわち、支持ロッドが所定時間を越えて傾いていた場合にのみ津波発生報知の電波を出力するため、魚の衝突等に起因した支持ロッドの一時的な傾動による誤報を防止できる。
【0008】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1はこの発明にかかる津波検知装置の一実施例を示す模式図である。
【0009】
図中、10は水深が1000m程度の海底Gに設けられた振動系、30は海面Sに浮遊するブイである。振動系10は、海底Gに支持ロッド11を設け、この支持ロッド11の上端に浮体12を取り付けて構成される。浮体12は、比重が1より小さな材料から浮揚可能に構成され、取付ロッド12aが固定されている。支持ロッド11は、海底Gに固設された固定ロッド11aの上端にユニバーサルジョイント13aを介して傾動ロッド11bを連結して構成され、傾動ロッド11bの上端は浮体12の取付ロッド12aとユニバーサルジョイント13bを介して連結されている。
【0010】
なお、この振動系10は、浮体12の浮力を小さく、また、支持ロッド11(傾動ロッド11b)を長くし、長い固有振動周期を有するように構成されている。この固有振動周期は、30秒以上、望ましくは、60秒以上に設定される。また、浮体12は、津波により生じる海底の流れの流速が小さいため(2cm/秒)、寸法を大きくして流れに対する抵抗を大きくすることが望ましい。
【0011】
支持ロッド11には傾動ロッド11bにその傾動を検出する複数の水銀傾斜スイッチ(傾斜センサ)15が設けられ、また、浮体12には送信機16が設けられている。水銀傾斜スイッチ15は、傾動ロッド11bの全方向における傾動を検出可能に設けられ、送信機16と電源バッテリとの間に介装されている。この水銀傾斜スイッチ15は、複数のそれぞれ傾斜角度の相違する水銀傾斜スイッチから構成されており、傾動ロッド11bがいずれかの方向に所定角度以上に傾斜すると閉成し、送信機16をバッテリと接続して給電するようになっている。送信機16は、水銀傾斜スイッチ15の閉成期間、すなわち、バッテリと接続された給電期間中のみ所定振動数の超音波(傾斜信号、以下、超音波信号と称する)をブイ30の後述する受信機に向けて発信する。
【0012】
ブイ30は、海中に没する部分に受信機31が、海上に臨む上部に受信機31と接続された電波テレメータ32が設けられている。受信機31は、送信機16が発射する超音波信号を受信し、受信期間中において電波テレメータ32に所定の受信信号を出力する。電波テレメータ32は、タイマ回路を内蔵し、受信機31から所定時間を越えて受信信号が入力すると予め定められた津波発生警報の電波を発射する。なお、33は電子テレメータ32の電波発射用のアンテナである。
【0013】
この実施例にあっては、津波の発生により海底Gに流速が2cm/s以下の流れが生じ、この流れにより浮体12が力を受けて支持ロッド11がユニバーサルジョイント13a,13bで屈折して傾動ロッド11bが傾斜する。ここで、傾斜ロッド11bは固定ロッド11aにユニバーサルジョイント13aを、また、浮体12の取付ロッド12aにユニバーサルジョイント13bを介して屈曲自在に連結するため、傾動ロッド11bは円滑に傾動(振動)することができ、また、振動系の周期が長いため魚等が衝突しても誤作動のおそれも少ない。
【0014】
そして、傾動ロッド11bが所定角度を越えて傾斜すると、水銀傾斜スイッチ15が閉成する。このため、この閉成した水銀傾斜スイッチ15により送信機16がバッテリと接続され、水銀傾斜スイッチ15の閉成時間、すなわち、傾動ロッド11bが所定角度を越えて傾斜している状態でのみ、送信機16が超音波を発射する。ここで、送信機16は傾斜ロッド11bが所定角度を越えて傾斜している場合にのみ給電されるため、バッテリの電力を節約できる。
【0015】
また、受信機31は送信機16の超音波を受信して受信信号を電波テレメータ32に出力する。そして、電波テレメータ32は、受信機16から受信信号が所定の時間継続して入力する場合、すなわち、傾動ロッド11bが所定角度を越えて傾斜した状態が所定時間継続した場合に、予め定められた津波発生警報の電波を発射する。このため、魚の衝突等による一時的な傾動で電波を発射することがなく、高い信頼性を得られる。そして、陸上の観測局は電波テレメータ32の電波を受信することで津波の発生とその伝播方向を知ることができる。
【0016】
なお、上述した実施例では、傾斜センサとして複数の水銀傾斜スイッチを用いたが、アナログ的に傾斜角度を検出できるセンサを用いることも可能である。
また、送信機から受信機への信号の伝送は超音波によること無く長波長の電波を用いることも可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかる津波検知装置によれば、津波により生じる海底の流れを検出して津波の発生を検知すると共に、海底の流れの大きさ、すなわち津波の大きさについても検知できるため、地震の震源深さ等を求めること無く遠隔地の地震による津波の発生も正確にリアルタイムに観測でき、高い精度の警報を発令することが可能となる。また、傾斜スイッチにより送信機の電源をオンオフするのでバッテリーの長寿命が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる津波検知装置の模式構成図である。
【符号の説明】
10 振動系
11 支持ロッド
11b 傾動ロッド
12 浮体
13a,13b ユニバーサルジョイント
15 水銀傾斜スイッチ(傾斜センサ)
16 送信機
30 浮遊ブイ
31 受信機
32 電波テレメータ
G 海底
S 海面

Claims (4)

  1. 海底に揺動自在に支持された支持ロッドの上端に浮体が取り付けられた振動系を設置し、該振動系の支持ロッドの傾動を検出する傾斜センサと、該傾斜センサにより検出された前記支持ロッドの傾斜が所定値以上の時に超音波による傾斜信号を出力する送信機とを設けるとともに、海面に浮遊ブイを設け、該ブイに前記送信機の出力を受信する受信機と該受信機の出力で陸上観測局へ津波発生報知の電波を出力する電波テレメータを設けたことを特徴とする津波検知装置。
  2. 前記振動系は、海底に起設された第1のロッドの上端にユニバーサルジョイントを介して第2のロッドを連結し、該第2のロッドの他端を前記浮体に固設された第3のロッドと第2にユニバーサルジョイントを介して連結し、前記第2のロッドに前記傾斜センサを設けた請求項1記載の津波検知装置。
  3. 前記傾斜センサは複数の異なった傾斜スイッチを備え、前記送信機を前記傾斜スイッチの閉成による給電で給電期間中のみ前記傾斜信号を出力するように構成した請求項1または請求項2記載の津波検知装置。
  4. 前記ブイに前記受信機の傾斜信号受信時間を判断する時間判断手段を設け、前記傾斜信号受信時間が所定時間を越える場合に前記電波テレメータが津波発生報知の電波を出力するようにした請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の津波検知装置。
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