以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1実施形態における浸水検出システム10の概要を説明する図である。本例の浸水検出システム10は、無線装置100a、100b、100c、100d、および100eを備える。本例の浸水検出システム10は、中継器200a、中継器200b、および中継器200cを備える。本例の浸水検出システム10は、一台の親機250を備える。但し、無線装置100、中継器200、および親機250の数および種類は、この場合に限られない。以下の説明では、無線装置100a〜無線装置100eを無線装置100と総称し、中継器200a〜中継器200cを中継器200と総称する場合がある。
中継器200および親機250は、無線装置100との間で無線通信可能な通信装置である。但し、本例と異なり、浸水検出システム10は、中継器200および親機250の一方のみを通信装置として含んでよい。本例の浸水検出システム10は、中継器200または親機250と通信ネットワーク回線6に接続可能なサーバコンピュータ300を更に備えてよい。無線装置100は、浸水の監視対象の地点に設置される。例えば、地下通路の浸水を監視する場合には、基準面2から予め定められた高さになるように通路に沿って複数の無線装置100が設置される。基準面2は、監視対象の構造物の下面または床面であってよい。
図面では、説明の関係上、縦横の縮尺が変更されている。隣接する無線装置100の間は、数mから数10m、あるいは数100m程度離れていてよい。同様に、隣接する中継器200の間も、同程度の距離離れていてよい。
無線装置100dと無線装置100eのように互いに異なる高さH1、H2に配置された複数の無線装置100が含まれてよい。無線装置100dの配置された地点のみならず、無線装置100a、100b、および100cの配置された各地点において、それぞれ異なる高さH1、H2に設置された複数の無線装置100が含まれてよい。また、無線装置100は、2段階の異なる高さH1、H2に設置される場合に限られず、3段階以上の異なる高さに設置されてもよい。一方、中継器200および親機250は、無線装置100より高い位置に設置されてよい。例えば、中継器200および親機250は、構造物の天井4または側壁の上部等の水没可能性が少ない場所に設置される。
浸水検出システム10は、複数種類の無線装置100を含んでよい。本例では、浸水検出システム10は、センサ部を有しない無線装置100aと、センサ部を有する無線装置100bから100eとを含む。また、本例では、無線装置100bと、無線装置100c〜無線装置100eとは、異なる物理量を検出するための互いに異なるセンサを有する。具体的には、無線装置100bは、温度センサおよび湿度センサ114を有してよく、無線装置100c〜無線装置100eは、圧力センサ112を有してよい。
但し、本実施形態と異なり、浸水検出システム10に含まれる複数の無線装置100は、同一種類であってもよい。無線装置100は、すべて同じ種類のセンサ部を有してもよい。無線装置100のそれぞれは、予め定められた通信頻度で、中継器200または親機250と通信する。無線装置100は、1分ごとなど予め定められた通信間隔で、定期的に通信してよい。無線装置100が送信する信号は、装置を他装置から識別するための識別情報を含んでよい。但し、無線装置100が1台の場合は、他装置から識別する必要がないので、識別情報が含まれなくてよい。
無線装置100は、浸水するのに伴って信号の送信を停止してよい。例えば、無線装置100の筐体102は、開口104を有する。無線装置100が浸水すると、開口104を通じて無線装置100内部に水が流入し、水の流入に伴って信号の送信が停止する。
中継器200は、受信した信号を親機250まで転送する。受信した信号が無線装置100の識別情報を含む場合には、識別情報を含む信号が親機250まで転送されてよい。中継器200a〜中継器200cおよび親機250、すなわち複数の通信装置は、マルチホップ無線メッシュネットワークを構成してよい。
無線装置100a〜無線装置100eのそれぞれは、中継器200a〜中継器200cのうちの少なくとも一つと通信してよい。無線装置100a〜無線装置100eから送信された信号は、複数の中継器200a〜中継器200cの一つ以上を経由して、親機250に伝達されてよい。無線装置100a〜無線装置100eのそれぞれは、中継器200a〜中継器200cを経由せずに、直接的に親機250と通信してもよい。
マルチホップ無線メッシュネットワークによれば、特定の無線装置100から親機250に至る通信経路として複数の候補を有し、複数の候補の中から最も通信状態の良い経路が選択される。通信障害等により、通信不可能になった経路が発生しても、別の経路を再構築することによって、送信先である親機250に達するまで信号が転送される。例えば、無線装置100eは、距離が近い中継器200aと通信するが、通信障害等により中継器200aとの間の通信状態が悪くなった場合には、別の中継器200bと通信する。
したがって、通信状態が良くない状況下でも、マルチホップ無線メッシュネットワークは、親機250まで信号を伝えることができる。このようなマルチホップ無線メッシュネットワークとしては、IEEE802.15.4gの規格を準用してよい。但し、マルチホップ無線メッシュネットワークは、この規格に限られない。
親機250は、通信ネットワーク回線6に接続されてよい。本例では、親機250は、通信ネットワーク回線6を通じてサーバコンピュータ300に通信可能に接続されている。通信ネットワーク回線6は、例えば、イーサネット(登録商標)である。本例のサーバコンピュータ300は、浸水判断部310、取得部320、空調制御部330、記憶部340、選択部350、および止水板制御部360を備える。浸水判断部310は、無線装置100および中継器200(あるいは親機250)の一方の装置が他方の装置から受信した信号の電波強度に基づいて、無線装置100が設置された地点における浸水状況を判断する。
本明細書において、信号の電波強度に基づいて浸水状況を判断することには、電波強度がゼロか否かに基づいて浸水状況を判断すること、すなわち、受信される信号の有無に基づいて浸水状況を判断することが含まれてよい。本例では、浸水判断部310は、無線装置100a〜無線装置100eからの信号の送信停止を検出することによって無線装置100a〜無線装置100eが設置された地点が浸水したと判断する。取得部320は、通信ネットワーク回線6と接続するためのインタフェースを含んでよい。取得部320は、通信ネットワーク回線6を通じて外部サーバ370と通信してもよい。
空調制御部330は、無線装置100による物理量の検出結果に基づいて、無線装置100の設けられた地点についての空調を制御する。物理量は、温度、湿度、照度、または圧力を含んでよい。例えば、空調制御部330は、通信ネットワーク回線6を介して、外部の空調機器用サーバ332に制御情報を送信する。本実施形態の浸水検出システム10は、浸水していない平常時には、空調制御システムなどの別の制御システムとして使用することができる。あるいは、逆に、空調制御システムなど別の制御システムを浸水時に浸水検出システム10として利用できる。
記憶部340は、各種の情報およびテーブルを記憶する。無線装置100a〜無線装置100eのそれぞれの識別情報と設置位置情報とを関連づけるテーブル、地図データ(地図情報)、および誘導路に関する情報が記憶部340に予め格納されてよい。設置位置情報には、無線装置100a〜無線装置100eが設置されている高さの情報が含まれてよい。
選択部350は、浸水状況の判断結果に基づいて、浸水のより少ない領域への誘導路を選択する。選択部350は、誘導路の選択結果を報知部352に送信してよい。報知部352は、電光掲示板、音声案内、対象エリアにいる利用者に限定した緊急速報メールの送信、またはインターネット上での案内サイト等で利用者に誘導路を知らせてよい。選択部350による処理内容については、後述する。
止水板制御部360は、浸水状況の判断結果に基づいて、浸水の拡大を食い止めるための止水板364を制御する。例えば、止水板制御部360は、止水板用アクチュエータ362に制御信号を送信する。制御信号を受けた止水板用アクチュエータ362が駆動することによって、止水板364が稼働する。
浸水検出システム10において、取得部320、空調制御部330、記憶部340、選択部350、および止水板制御部360は省略されてよい。また、本例の浸水検出システム10は、空調制御するものに限られない。物理量の検出結果は、空調制御以外の制御のために用いられてよい。また、本例の浸水検出システム10は、選択部350によって誘導路を選択したり、止水板制御部360によって止水板364を制御したりするものに限られない。浸水状況を判断して警備会社および管理者等の特定人の携帯する端末装置または指令装置に通知するものであってよい。
図2は、第1実施形態における無線装置100の構成の一例を示す図である。本例の無線装置100は、センサ部110、アンテナ部122、送受信制御部124、記憶部126、電力供給部128、および電極部129を備える。センサ部110は、圧力センサ112、温度センサおよび湿度センサ114、および照度センサ116などの物理量センサである。但し、無線装置100は、圧力センサ112、温度センサおよび湿度センサ114、および照度センサ116をすべて有する必要はない。また、無線装置100は、センサ部110を備えていなくてもよい。
アンテナ部122は、無線装置100の信号を送信し、中継器200からの信号を受信する。例えば、無線装置100および中継器200は、920MHzの周波数帯の電波を用いて通信する。但し、無線装置100および中継器200は、他の周波数帯の電波を用いて通信してもよい。
送受信制御部124は、アンテナ部122から送信するための信号を生成して供給したり、あるいは受信された信号を処理したりする。送受信制御部124は、無線装置100の通信頻度を制御してよい。記憶部126は、無線装置100を識別するための識別情報(ID)を予め格納する。記憶部126は、センサ部110による物理量検出結果を一時的に記憶してよい。送受信制御部124は、記憶部126から識別情報と物理量検出結果を読み出して、識別情報と物理量検出結果とを含む信号を生成してよい。
電力供給部128は、無線装置100の電力源であり、例えば、バッテリである。電極部129は、複数の電極を有する。無線装置100が浸水するのに伴って複数の電極間が水によって短絡することによって、無線装置100アンテナ部122からの信号の送受信が停止してよい。電極部129は、センサ部110、アンテナ部122、送受信制御部124、記憶部126、および電力供給部128を構成する回路中の電極部分であってもよく、この場合は、別途の電極部129を設ける必要がない。例えば、無線装置100は、水没によってセンサとしての機能を喪失し、周期的に中継器200を介して信号を伝えることができなくなる。
図3は、中継器200の構成の一例を示す図である。中継器200は、アンテナ部204、送受信制御部206、記憶部208、および電力供給部210を備える。アンテナ部204は、中継器200の信号を送信し、無線装置100および他の中継器200からの信号を受信する。送受信制御部206は、アンテナ部204から送信するための信号を生成して供給したり、あるいは受信された信号を処理したりする。送受信制御部206がアンテナ部204に供給する信号には、無線装置100から受信した識別情報および物理量検出結果が含まれてよい。また、送受信制御部206は、中継器200同士および親機250がマルチホップ無線メッシュネットワーク通信するための処理を実行する。
記憶部208は、無線装置100から受信した識別情報および物理量検出結果を一時的に記憶してよい。電力供給部210は、中継器200の電力源であり、バッテリであってもよく、外部電源からの電力を所望の電力に変換して供給する電力回路であってもよい。
図4は、親機250の構成の一例と示す図である。親機250は、アンテナ部254、送受信制御部256、記憶部258、電力供給部260、およびインタフェース262を有する。親機250は、通信ネットワーク回線6に接続するためのインタフェース262を有することを除いて、中継器200と同様の構成を備えてよい。
図5は、第1実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。本例の無線装置100は、浸水していない状態で(ステップS100:NO)、設置地点での物理量をセンサ部110によって検出する(ステップS101)。無線装置100は、浸水していない状態で、アンテナ部122を通じて、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を送信する(ステップS102)。無線装置100は、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を中継器200または親機250に送信してよい。ステップS101の処理は、無線装置100と中継器200(あるいは親機250)との間で無線通信する段階に相当する。
識別情報は、物理量を検出した無線装置100を特定するために利用される。一方、無線装置100が、浸水した場合には(ステップS100:YES)、無線装置100は、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号の送信を停止する(ステップS103)。本例の浸水検出システム10においては、浸水するのに伴って無線装置100が信号の送信を停止すればよい。したがって、無線装置100自体に、特別な浸水センサを設けなくてもよいので、構造を簡略化できる。
中継器200は、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を無線装置100から受信した場合には(ステップS104)、受信した信号を親機250まで転送する(ステップS105)。信号は、複数の中継器200および親機250によって構成されているマルチホップ無線メッシュネットワークを介して転送されてよい。
サーバコンピュータ300は、通信ネットワーク回線6を介して親機250から物理量の検出結果と識別情報とを受信する(ステップS106)。サーバコンピュータ300が、物理量の検出結果を受信した場合には(ステップS106:YES)、空調制御部330は、温度、湿度、照度、または圧力などの物理量の検出結果に基づいて、無線装置100の設けられた地点についての空調を制御する(ステップS107)。
サーバコンピュータ300は、例えば、無線装置100a〜無線装置100eのそれぞれの識別情報と設置位置情報とを関連づけるテーブルを記憶部340から読み出す。サーバコンピュータ300は、受信した物理量の検出結果、識別情報、および読み出されたテーブルを参照してよい。これにより、無線装置100a〜無線装置100eの設置位置ごとの物理量が取得されて、設置位置ごとに空調が制御されてよい。
サーバコンピュータ300が、特定の無線装置100から物理量の検出結果と識別情報とを受信しないまま(ステップS106:NO)、一定期間が経過した場合には(ステップS108:YES)、浸水判断部310は、特定の無線装置100が浸水したと判断する(ステップS109)。浸水判断部310は、無線装置100a〜無線装置100eのそれぞれからの信号の送信停止を検出することによって、無線装置100a〜無線装置100eが設置された各地点が浸水したと判断してよい。
ステップS106、ステップS108、およびステップS109の処理は、中継器200(あるいは親機250)が受信した信号の電波強度がゼロか否かに基づいて浸水状況を判断する段階、すなわち、中継器200によって受信される信号の有無に基づいて浸水状況を判断する段階に対応する。したがって、ステップS106、ステップS108、およびステップS109の処理は、無線装置100および中継器200(あるいは親機250)の一方の装置が他方の装置から受信した信号の電波強度に基づいて、無線装置100が設置された地点における浸水状況を判断する段階の一例に対応する。
なお、高さH1に設置された無線装置100dからは信号の送信停止が確認される一方、高さH2(H2>H1)に設置された無線装置100eからは信号の送信が確認されている場合には、浸水判断部310は、基準面2から高さH1までは、浸水しているが、高さH2までは浸水していないことを判断することができる。これにより、浸水するのに伴って信号の送信を停止する無線装置100を用いる場合であっても、浸水の有無のみならず、水位についてまで判断することができる。
選択部350は、複数の無線装置100a〜無線装置100eが設置された各地点における浸水状況の判断結果に基づいて、浸水のより少ない領域への誘導路を選択してよい(ステップS110)。これにより、素早く誘導路を報知することができる。また、必要に応じて、止水板制御部360は、無線装置100a〜無線装置100eの配置されている各地点の浸水状況の判断結果に基づいて、浸水の拡大を食い止めるための止水板364を制御してよい(ステップS111)。浸水状況の判断結果に基づいて、浸水の拡大を食い止めるための止水板364を制御するので、浸水の拡大を防止することが可能となる。
図6は、誘導路選択処理の一例を示すフローチャートである。図6は、図5のステップS110における誘導路選択処理の内容を示す。まず、浸水判断部310は、無線装置100a〜無線装置100eが設置された各地点における浸水状況を判断する。特に、浸水判断部310は、無線装置100a〜無線装置100eからの信号の送信停止を検出した時期に基づいて、無線装置100a〜無線装置100eの浸水開始時期を算出する(ステップS120)。
選択部350は、それぞれの無線装置100a〜無線装置100eの浸水開始時期に基づいて、誘導路を選択してよい。浸水開始時期が早い地点ほど、ある時点における水位が高い傾向がある。したがって、浸水するのに伴って信号の送信を停止する無線装置100を用いる場合でも、浸水の程度を予想して、適切な誘導路を選択することができる。
本例の選択部350は、記憶部340から地図データを読み出す(ステップS121)。選択部350は、各無線装置100a〜無線装置100eの識別情報を取得してよい。選択部350は、識別情報と設置位置情報とを関連づけるテーブルを参照することによって、地図データ上で、浸水開始時点が早い地点から遅い地点へ向かう方向を演算する(ステップS122)。選択部350は、演算された方向に基づいて、誘導路を探索してよい。記憶部340内には、誘導経路を示す電光掲示板の位置が登録されていてよい。選択部350は、電光掲示板の位置ごとに、誘導路を探索してよい。
以上のように、本例の浸水検出システム10によれば、無線装置100を設置する際に、配線がいらない。また、複数の中継器200等の通信装置が、マルチホップ無線メッシュネットワークを構成するので、地下または構造物内のような通信状態が良くない状況下でも、マルチホップ無線メッシュネットワークを介して、親機250まで信号を伝えることができる。
本例の浸水検出システム10は、浸水していない平常時には、空調制御システムなどの別の制御システムとして使用することができる。あるいは、逆に、空調制御システムなどを浸水時に浸水検出システム10として利用できる。無線装置100は、信号を送信するものであればよいので、複数種類の無線装置100を浸水検出システム10に利用できる。したがって、複数種類のセンサを用いた複数種類の制御システムを統合して浸水検出システム10として使用することができる。以上のように、本実施形態によれば、汎用性を持つ浸水検出システム10を実現できる。
図7は、第2実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。第2実施形態における浸水検出システム10においては、無線装置100がセンサ部110を有しない。したがって、無線装置100から中継器200および親機250へは、物理量の検出結果が送信されず、識別情報が送信される(ステップS201)。サーバコンピュータ300は、物理量の検出結果を取得しないので、空調制御部330による空調制御(図5のステップS107)は実行されない。これらの点を除いて、第2実施形態の浸水検出システム10の構成は、図1から図6に示される第1実施形態の浸水検出システム10と同様である。したがって、繰り返しの説明は、省略する。
本例の浸水検出システム10によれば、無線装置100は、識別情報を含む信号を無線送信することができればよく、センサ部110を有する必要がないので、簡易な構成で浸水検出システム10を構成することができる。
図8は、第3実施形態における浸水検出システム10の概要を説明する図である。本例の浸水検出システム10は、無線装置150として、防水構造の筐体152に収容された複数の無線装置150a、150b、150c、150d、および150eを備える。以下の説明では、無線装置150a〜無線装置150eを無線装置150と総称する場合がある。本例の中継器200は、電波強度判断部202を有してよい。同様に、親機250が無線装置150から直接的に信号を受信する場合のために、親機250も電波強度判断部252を有してよい。
本例の電波強度判断部202および電波強度判断部252は、無線装置150から受信した信号の電波強度を測定する。電波強度判断部202は、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度表示)回路を用いて電波強度を判断してもよく、PER(パケットエラー率)を用いて電波強度を判断してもよい。
空気と水の誘電率の違いに起因して、電波は、空気中に比べて水中において減衰しやすい。したがって、無線装置150の周囲の水位が高くなるほど、信号の電波の減衰が大きくなる。図8において、例えば、無線装置150cが信号を送信し、中継器200bが信号を受信する場合を考えると、水位D1から水位D2(D2>D1)になるにしたがって、中継器200bに設けられた電波強度判断部202によって測定される信号の電波強度は弱くなる。
中継器200は、受信した信号に電波強度の測定結果の情報を付加して、親機250まで転送する。したがって、識別情報と電波強度とが関連づけられて親機250まで転送される。本例のサーバコンピュータ300において、浸水判断部310は、電波強度判断部202による電波強度の測定結果を親機250から取得して、電波強度の測定結果に基づいて、浸水状況を判断する。浸水判断部310は、電波強度が弱いほど、無線装置150の周囲の水位が高いと判断する。
図9は、第3実施形態における無線装置150の構成の一例を示す図である。無線装置150は、筐体152に収容されている。筐体152は、水を通す開口104を有しない防水構造である。したがって、無線装置150は、内部に水が流入しないので、水没しても送信が停止しない。本例の無線装置150は、センサ部110、アンテナ部122、送受信制御部124、記憶部126、および電力供給部128を有しており、これらの構成は、図2に示される無線装置150における構成と同様である。
図10は、第3実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。本例の無線装置150は、センサ部110によって物理量を検出する(ステップS300)。無線装置150は、アンテナ部122を通じて、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を送信する(ステップS301)。無線装置150は、物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を中継器200または親機250に送信してよい。ステップS301の処理は、無線装置150と中継器200(あるいは親機250)との間で無線通信する段階に相当する。
中継器200が物理量の検出結果と識別情報とを含む信号を無線装置150から受信するのを待って(ステップS302:YES)、電波強度判断部202は、無線装置150から受信した信号の電波強度を測定する(ステップS303)。中継器200に設けられた送受信制御部206は、受信した物理量の検出結果と識別情報とを含む信号に対して、電波強度の測定結果の情報を付加して、新たな信号を生成する。新たな信号には、無線装置150から受信した中継器200を識別するための中継器用識別情報が更に付加されてもよい。
中継器200は、物理量の検出結果、電波強度の測定結果、および識別情報を含む信号を転送する(ステップS304)。信号は、複数の中継器200および親機250によって構成されているマルチホップ無線メッシュネットワークを介して親機250まで転送されてよい。
サーバコンピュータ300は、通信ネットワーク回線6を介して親機250から物理量の検出結果、電波強度の測定値、および識別情報を受信する(ステップS305)。サーバコンピュータ300が、物理量の検出結果および電波強度の測定値を受信した場合には(ステップS305:YES)、浸水判断部310は、電波強度に基づいて水位を判断する(ステップS306)。ステップS306の処理は、無線装置150および通信装置の一方の装置が他方の装置から受信した信号の電波強度に基づいて、無線装置150が設置された地点における浸水状況を判断する段階の一例に対応する。
記憶部340には、電波強度と水位との関係を示すテーブルまたは変換式が予め記憶されてよい。浸水判断部310は、テーブル等を参照することによって、無線装置150a〜無線装置150eのそれぞれからの信号の電波強度に基づいて、いずれかの信号において、水位がゼロでない場合を示すものが存在するか否かを判断する。
電波強度に基づく水位の判断の結果、特に異常がなく水位がゼロであると判断される場合(ステップS307:YES)、空調制御部330は、温度、湿度、照度、または圧力などの物理量の検出結果に基づいて、無線装置150の設けられた地点についての空調を制御する(ステップS308)。一方、水位がゼロでないと判断される場合される場合(ステップS307:NO)、浸水が発生したと考えられる。
浸水が発生した場合には(ステップS307:NO)、選択部350は、複数の無線装置150a〜無線装置150eが設置された各地点における浸水状況の判断結果に基づいて、浸水のより少ない領域への誘導路を選択してよい(ステップS309)。さらに、必要に応じて、止水板制御部360は、無線装置150a〜無線装置150eの配置されている各地点の水位の判断結果に基づいて、浸水の拡大を食い止めるための止水板364を制御してよい(ステップS310)。
図11は、誘導路選択処理の一例を示すフローチャートである。図11は、図10のステップS309における誘導路選択処理の一例を説明する。浸水判断部310は、無線装置150a〜無線装置150eが設置された各地点における水位を算出する(ステップS320)。浸水判断部310は、電波強度と水位との関係を示すテーブルまたは変換式に基づいて、識別情報毎に水位を算出してよい。
本例の選択部350は、記憶部340から地図データを読み出す(ステップS321)。また、選択部350は、識別情報と設置位置情報とを関連づけるテーブルを記憶部340から読み出してよい。選択部350は、ステップS320における識別情報別の水位の算出結果、識別情報と設置位置情報を関連づけるテーブル、および地図データを用いて、地図データ上で、水位のより高い地点から水位のより低い地点へ向かう方向を演算する(ステップS322)。選択部350は、演算された方向に基づいて、誘導路を探索してよい。
図12は、誘導路選択処理の他例を示すフローチャートである。図12は、図10のステップS309における誘導路選択処理の一例を説明する。浸水判断部310は、無線装置150a〜無線装置150eが設置された各地点における電波強度の時間変化に基づいて、各地点での水位の変化速度を算出する(ステップS330)。ここで、水位の変化速度は、単位時間あたりの水位の時間変化を意味してよい。
図11のステップS320と同様の方法によって、浸水判断部310は、複数の時刻において、識別情報毎に水位を算出してよい。浸水判断部310は、各時刻間での水位の変化量に基づいて、各地点における水位の時間変化速度を算出してよい。
本例の選択部350は、記憶部340から地図データを読み出す(ステップS331)。選択部350は、ステップS330における識別情報別の水位の変化速度の算出結果、識別情報と設置位置情報を関連づけるテーブル、および地図データを用いて、地図データ上で、水位の上昇が激しい地点から遠ざかる方向を演算してよい(ステップS332)。選択部350は、演算された方向に基づいて、誘導路を探索してよい。
以上のように、本例の浸水検出システム10によれば、無線装置150が防水処理された筐体152に収容されており、筐体152に開口104がないので、内部に水が流入しない。したがって、設置環境による影響を受けづらい。浸水判断部310は、浸水の有無のみならず、水位までも判断することができる。また、浸水判断部310は、電波強度の時間変化に基づいて、水位の変化速度を算出することができる。したがって、浸水の有無のみならず、水位や水位の上昇率などを考慮することができる。
本実施形態では、算出された水位または水位の変化速度を誘導路選択処理に用いる場合を説明したが、この場合に限定されない。算出された水位または水位の変化速度を考慮して止水板364を制御してもよい。また、算出された水位の変化速度または水位に基づいて誘導路選択を行うことなく、警備会社および管理者等の特定人の携帯する端末装置に通報するものであってよい。
図13は、第4実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。本例は、第3実施形態における浸水検出システム10において、センサ部110として、圧力センサ112を含んでおり、浸水判断部310が、電波強度の検出結果と圧力センサ112の検出結果とを併用して浸水状況を判断する。この点を除いて、本例の構成は、第3実施形態の場合と同様であるので、詳しい説明を省略する。
圧力センサ112は、圧力を検出する(ステップS350)。圧力センサ112は、気圧センサおよび水圧センサとして兼用できるセンサであってよい。この場合、圧力センサ112は、無線装置150が浸水していない場合には、設置地点における気圧を検出する一方、無線装置150が浸水した状態では、設置地点における水圧を検出してよい。
無線装置150は、圧力の検出結果と識別情報とを含む信号を送信する(ステップS351)。したがって、無線装置150が浸水していない場合には、気圧の検出結果と識別情報とを含む信号が転送されてよい。一方、無線装置150が浸水している場合には、水圧の検出結果と識別情報とを含む信号が転送されてよい。ステップS350からステップS356の処理は、物理量の検出結果として、圧力の検出結果を含む点を除いて、図10のステップS300からS305の処理と同様である。
サーバコンピュータ300は、通信ネットワーク回線6を介して親機250から圧力の検出結果、電波強度の測定値、および識別情報を受信する(ステップS355)。サーバコンピュータ300が、圧力の検出結果、電波強度の測定値、および識別情報を受信した場合には(ステップS355:YES)、浸水判断部310は、電波強度の変化と圧力センサ112の検出結果とを併用して、水位を判断する(ステップS356)。
無線装置150が浸水した場合に圧力センサ112によって検出される圧力値は、浸水していない場合に比べて高い。したがって、浸水判断部310は、圧力センサ112によって検出された圧力値の上昇に基づいて、無線装置150が浸水したか否かを判断することができる。一方で、電波強度の変化によれば、無線装置150の周囲の水位を判断することができる。したがって、本実施形態では、浸水の有無については圧力センサ112の検出結果に基づいて判断し、圧力センサ112によって浸水したと判断される場合において、電波強度の変化に基づいて水位を判断するようにしてもよい。
但し、本実施形態は、この場合に限られず、電波強度の変化と圧力センサ112の検出結果とを併用して浸水状況を判断するものであればよい。電波強度の変化と、圧力センサ112の検出結果との少なくとも一方に基づいて浸水を検知した場合に、浸水判断部310が、最終的に浸水したと判断するようにしてよい。あるいは、電波強度の変化に基づく判断と、圧力センサ112の検出結果に基づく判断の双方が、浸水を示す場合に、浸水判断部310が、最終的に浸水したと判断するようにしてよい。
ステップS356からステップS360の処理は、ステップS306からステップS310の処理と同様である。無線装置150が浸水していない状態で圧力センサ112によって検出された気圧の検出結果は、水位がゼロの場合における(ステップS357:YES)、空調制御または気候観測などに用いてもよい。本実施形態の浸水検出システム10によれば、電波強度の変化と圧力センサ112の検出結果とを併用して浸水状況を判断するので、浸水状況の検出精度を高めることができる。
図14は、第5実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。第5実施形態における浸水検出システム10においては、無線装置150がセンサ部110を有しない。
したがって、無線装置150から中継器200および親機250へは、物理量の検出結果が送信されず、識別情報が送信される(ステップS400)。サーバコンピュータ300は、物理量の検出結果を取得しないので、空調制御部330による空調制御(図10のステップS308)は実行されない。これらの点を除いて、第5実施形態の浸水検出システム10の構成は、図8から図10に示される第3実施形態の浸水検出システム10と同様である。したがって、繰り返しの説明は、省略する。
本例の浸水検出システム10によれば、無線装置150は、識別情報を含む信号を無線送信することができればよい。したがって、無線装置150はセンサ部110を有する必要がないので、簡易な構成で浸水検出システム10を構成することができる。
図15は、第6実施形態における浸水検出システム10の処理を示すフローチャートである。第3から第5実施形態においては、電波強度判断部202が、中継器200および親機250に設けられており、電波強度判断部202は、無線装置150から受信した信号の電波強度を測定する場合を説明した。一方、本例では、電波強度判断部202が無線装置150側に設けられており、電波強度判断部202は、中継器200から受信した信号の電波強度を測定する。
したがって、本例の無線装置150は、図9に示される無線装置150の構成に加えて電波強度判断部202が付加されたことを除いて、図9の構成と同様である。なお、センサ部110は、省略されてもよい。一方、本例の中継器200は、電波強度判断部202を有していなくてよく、図3に示された構成と同様であってよい。その他の構成は、第3から第5実勢形態における浸水検出システム10と同様であってよい。したがって、繰り返しの説明を省略する。
中継器200は、無線装置150に対して要求信号を送信する(ステップS501)。無線装置150が中継器200から要求信号を受信するのを待って(ステップS502:YES)、無線装置150に設けられた電波強度判断部202は、中継器200から受信した要求信号の電波強度を測定する(ステップS503)。
無線装置150における送受信制御部124は、識別情報と受信強度の測定結果とを含む信号を生成する。無線装置150は、識別情報と受信強度の測定結果とを含む信号をアンテナ部122によって中継器200に送信する。中継器200は、識別情報と受信強度の測定結果とを含む信号を親機250まで転送してよい。ステップS506からステップS510の処理は、図14に示される第5実施形態の処理(ステップS404からステップS408)と同様である。
無線装置150側に電波強度判断部202を有する構成は、図10に示される第3実施形態のように、無線装置150が物理量検出結果を送信するタイプの構成に適用することもできる。この場合は、無線装置150における送受信制御部124は、識別情報と受信強度の測定結果と物理量の検出結果とを含む信号を中継器200に送信し、中継器200が親機250に転送する。
本実施形態によっても、浸水判断部310は、無線装置150および中継器200(あるいは親機250)の一方の装置が他方の装置から受信した信号の電波強度に基づいて、無線装置150が設置された地点における浸水状況を判断することができる。ステップS507の処理は、無線装置150および中継器200(あるいは親機250)の一方の装置が他方の装置から受信した信号の電波強度に基づいて、無線装置150が設置された地点における浸水状況を判断する段階の一例に対応する。
図16は、第7実施形態における浸水検出システム10の概要を説明する図である。サーバコンピュータ300において、取得部320は、浸水に関連する関連情報を取得する。取得部320は、通信ネットワーク回線6を介して外部サーバ370と通信して、関連情報を取得してよい。外部サーバ370は、日本の国土交通省が運営する「XバンドMPレーダによる気象観測網」(XRAIN)など国または地方自治体が運営する公的なWebサイトであってよい。関連情報は、雨量情報、天候情報、水位情報、浸水情報、地震情報、または津波情報であってよい。関連情報は、特に、浸水検出システム10による浸水の監視を強化するべき警戒情報であってよい。
本例の浸水検出システム10においては、複数の無線装置170a、170b、170c、170d、および170eを備える。以下の説明では、無線装置170a〜無線装置170eを無線装置170と総称する場合がある。無線装置170が、切換部130を有する。切換部130は、関連情報に基づいて、複数の無線装置の動作モードを切り換える。以上の点を除いて、本例の浸水検出システム10は、第1から第6実施形態と同様の構成を有する。したがって、繰り返しの説明を省略する。
図17は、第7実施形態における無線装置170の構成の一例を示す図である。無線装置170は、図9に示される第3実施形態の無線装置150の構成に加えて、切換部130を更に備える。送受信制御部124は、切換部130によって動作モードの切換の指示を受けて送受信制御内容を変更してよい。センサ部110は、省略することができる。また、無線装置170は、図3に示される第1実施形態の無線装置100の構成に加えて、切換部130を追加した構成であってもよい。
図18は、第7実施形態における浸水検出システム10において浸水関連情報が取得されたときの処理を示すフローチャートである。本例の浸水検出システム10における浸水検出処理は、第1から第6実施形態における処理と同様である。サーバコンピュータ300は、取得部320を通じて外部サーバ370と通信する。取得部320が、外部サーバ370から関連情報を取得した場合(ステップS601:YES)、サーバコンピュータ300は、運転モード切換命令を親機250に送信する(ステップS602)。
親機250を介して中継器200が運転モード切換命令を受信すると(ステップS603:YES)、中継器200は、無線装置170a〜無線装置170eに切換命令を送信する(ステップS604)。例えば、親機250および中継器200によって構成されるマルチホップ無線メッシュネットワークを介して、すべての無線装置170a〜無線装置170eに切換命令がブロードキャストされる。
無線装置170が、動作モード切換命令を受信すると(ステップS605:YES)、無線装置170に設けられた切換部130は、運転モード切換処理を実行する(ステップS606)。したがって、本例の浸水検出システム10によれば、関連情報が取得されて浸水の可能性が高まると、複数の無線装置170の動作モードを切り換えて、浸水の監視を強化することができる。
図19は、運転モード切換処理の一例を示すフローチャートである。図19は、図18のステップS606における運転モード切換処理の一例を説明する。切換部130は、複数の無線装置170が相互にマルチホップ無線メッシュ通信可能なモードに動作モードを切り換える(ステップS610)。動作モードが、マルチホップ無線メッシュ通信可能なモードに切り換わると、送受信制御部124は、無線装置170a〜無線装置170e同士がマルチホップ無線メッシュネットワークする通信ための送受信制御を実行する。好ましくは、送受信制御部124は、複数の無線装置170a〜無線装置170eと、複数の中継器200a〜中継器200cと、親機250とが相互にマルチホップ無線メッシュネットワーク通信可能とする。
マルチホップ無線メッシュネットワーク通信可能なモードは、マルチホップ無線メッシュネットワーク通信可能でない通常モードに比べて通信経路を早期に確保しやすいが、消費電力が通常モードに比べて大きい。したがって、取得部320によって関連情報が取得されていない平常時には、消費電力を抑えて、電力供給部128(バッテリ)の寿命を伸ばす。一方、取得部320によって関連情報が取得された場合には、無線装置170同士がマルチホップ無線メッシュネットワーク通信可能なモードに動作モードを切り換えて、監視体制を強化することができる。
図20は、運転モード切換処理の他例を示すフローチャートである。図20は、図18のステップS606における運転モード切換処理の一例を説明する。取得部320が関連情報を取得していない場合に比べて、それぞれの無線装置170が中継器200(または親機250)に通信する頻度が平常時より高いモードに動作モードを切り換える(ステップS610)。動作モードが、通信頻度が平常時より高いモードに切り替わると、送受信制御部124は、通信頻度を平常時より高く制御する。本例においては、取得部320によって関連情報が取得されていない平常時には、通信頻度を低くすることで、消費電力を低減することができる。
無線装置170は、平常時には、例えば、通信間隔を10分以上24時間以下に設定する。すなわち、1時間に1回、あるいは1日に1回といった比較的低い通信頻度で、無線装置170は中継器200と通信する。なお、通信しない間は、センサ部110、アンテナ部122、送受信制御部124、記憶部126、切換部130、および電力供給部128の各部の消費電力についても軽減するスリープモードに切り換えてもよい。
本例の処理によれば、消費電力が抑えられて、電力供給部128(バッテリ)の寿命が伸びる。また、平常時においても、まったく通信しないわけではなく、所定の通信間隔で通信することによって無線装置170が故障していないことを知ることができる。したがって、メンテナンスの工数が削減できる。
一方、取得部320によって関連情報が取得された場合には、無線装置170は、例えば、通信間隔を30秒以上5分以下に設定する。これにより、一方、取得部320によって関連情報が取得された場合には、通信頻度を平常時より高くして監視体制を強化することができる。
運転モード切換処理は、以上の場合に限られない。例えば、図19と図20に示された処理を併用することもできる。取得部320によって関連情報が取得された場合には、複数の無線装置170間でのマルチホップ無線メッシュネットワーク通信を可能とするとともに通信頻度を高くするように、動作モードを切り換えてよい。
以上のように、本例の浸水検出システム10によれば、電力供給部128(バッテリ)の寿命を伸ばすことができる。したがって、バッテリ交換などメンテナスにかかる費用を低減することができる。一方で、取得部320によって関連情報が取得された場合には、消費電力よりも監視体制の強化を優先することができる。したがって、浸水状況の変化をきめ細かく検出することができる。
以上の第1から第7実施形態においては、中継器200および親機250といった通信装置とは別の装置であるサーバコンピュータ300に、浸水判断部310、取得部320、空調制御部330、記憶部340、選択部350、および止水板制御部360を設ける場合が示されたが、本浸水検出システム10は、この場合に限られない。中継器200または親機250に、浸水判断部310等の構成を設けてよい。また、浸水判断部310、空調制御部330、選択部350、および止水板制御部360を複数の装置に分散して設けてよい。
本明細書における各実施形態は、適宜組み合わせることができる。以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。