JP6221050B2 - 無線通信システム、無線端末、及び通信方法 - Google Patents

無線通信システム、無線端末、及び通信方法 Download PDF

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Description

本発明は、1つまたは2つ以上の親機と、子機とを含む無線通信システムにおいて利用できる無線通信システム、無線端末、及び通信方法に関するものである。
基地局などの親機と、電池で駆動し親機と通信を行う無線端末(以下、子機と呼ぶ)とを有する無線通信システムにおいて、子機の消費電力を抑えるために、子機は一般的に間欠受信を行う。
子機が間欠受信を行う無線通信システムにおいて、親機は定期的にビーコン信号を送信し、子機はビーコン信号を定期的に受信する。そして、子機は、受信したビーコン信号に基づいて、親機の時計(または、カウンタ、クロックなど)に自機の時計(または、カウンタ、クロックなど)を合わせ、所定のタイミングで親機から送信されたデータを受信する。上記の受信方法は同期方式と呼ばれ、子機の省電力化に有効である。
同期方式の無線通信システムにおいて、親機と子機との間で直接通信ができない場合、親機からの無線信号を子機へ中継する中継無線端末(以下、中継器と呼ぶ)が用いられる。無線信号を中継する中継通信システムにおいては、親機と子機との間の通信ルートの管理方法が重要である。中継通信システムにおける通信ルートの管理方法の例として、特許文献1に開示された方法が挙げられる。
特許文献1によれば、無線端末間の通信ルートを管理する管理装置が存在し、管理装置によって作成された通信ルートテーブルに基づいて、各無線端末は通信ルートを決定する。さらに、特許文献1のルート管理方法について詳細に説明すると、各無線端末は、電界強度測定のための測定信号を定期的に送信し、他の無線端末から送信された測定信号を受信する。そして、各無線端末は、受信した測定信号に基づいて受信レベルを測定し、測定した受信レベルの情報を管理装置に伝送する。管理装置は、各無線端末から伝送された受信レベルの情報に基づいて、通信ルートテーブルを作成または更新し、各無線端末は、管理装置によって作成された通信ルートテーブルに基づいて、通信相手先までの通信ルートを決定する。
特開平11−168526号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術において、管理装置による通信ルートテーブル作成または更新のために、各無線端末は、定期的に受信レベルの測定及び管理装置への通知を行わなければならない。そのため、無線端末において、電力を多く消費するという課題がある。
本発明の目的は、従来の技術における課題を解決するために、電池で駆動する無線端末の消費電力を抑制することができる無線端末、無線通信システム、及び通信方法を提供することである。
1つまたは2つ以上の親機と、子機と、を含む無線通信システムであって、前記子機は、送信電文を送信し、前記親機から送信された返送電文を受信し、前記返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、前記返送電文の受信電界強度が少なくとも1回前記電界強度閾値より大きくなった時
、次回の送信電文の送信出力を小さくし、前記親機は、前記子機から送信された送信電文を受信し、前記子機へ前記返送電文を送信する無線通信システムである。
本発明により、電池で駆動する無線端末の消費電力を抑制することができる。
本発明における無線通信システムの通信エリア構成の一例を示す図 本発明における子機と親機との通信シーケンスの一例を示す図 本発明における子機としての無線端末の基本構成図 本発明の第一の実施の形態における子機のブロック図 本発明の第二の実施の形態における親機のブロック図 本発明の第三の実施の形態における子機のブロック図
第1の発明は、1つまたは2つ以上の親機と、子機と、を含む無線通信システムであって、子機は、送信電文を送信し、親機から送信された返送電文を受信し、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値より大きくなった時、次回の送信電文の送信出力を小さくし、親機は、子機から送信された送信電文を受信し、子機へ返送電文を送信する、無線通信システムである。
第1の発明により、子機が送信出力を小さくすることにより、子機の消費電力を抑制することができる。また、他の無線端末への妨害または干渉を抑制することができる。さらに、子機が送信出力を大きくすることにより、親機との安定的な通信を確保することができる。
第2の発明は、子機は、返送電文の受信電界強度が連続して所定の回数電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、返送電文の受信電界強度が連続して所定の回数電界強度閾値より大きくなった時、次回の送信電文の送信出力を小さくする無線通信システムである。
第2の発明により、返送電文の受信電界強度の判定を複数回行うことで、送信出力を可変する判断の信頼度を向上させて通信品質の安定化を図り、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または干渉の抑制を行うことができる。
第3の発明は、子機は、所定の期間における返送電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、返送電文の受信電界強度が電界強度閾値以下になる回数の比率が所定の割合を超えた時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、所定の期間における返送電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、返送電文の受信電界強度が電界強度閾値より大きくなる回数の比率が所定の割合を超えた時、次回の送信電文の送信出力を小さくする無線通信システムである。
第3の発明により、返送電文の受信電界強度の判定を複数回行うことで、送信出力を可変する判断の信頼度を向上させて通信品質の安定化を図り、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または干渉の抑制を行うことができる。
第4の発明は、親機は、受信した送信電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、返送電文の送信出力を大きくし、受信した送信電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値より大きくなった時、返送電文の送信出力を小さくする無線
通信システムである。
第4の発明により、親機も送信出力を可変することで、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または抑制を行いつつ、親機による他の無線端末への妨害または干渉を抑制し、より安定した通信が実現できる。
第5の発明は、親機は、送信電文の受信電界強度が連続して所定の回数電界強度閾値以下になった時、返送電文の送信出力を大きくし、送信電文の受信電界強度が連続して所定の回数電界強度閾値より大きくなった時、返送電文の送信出力を小さくする無線通信システムである。
第5の発明により、送信電文の受信電界強度の判定を複数回行うことで、親機の送信出力を可変する判断の信頼度を向上させて通信品質の安定化を図りつつ、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または干渉の抑制を行うことができる。
第6の発明は、親機は、所定の期間における送信電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、送信電文の受信電界強度が電界強度閾値以下になる回数の比率が所定の割合を超えた時、返送電文の送信出力を大きくし、所定の期間における送信電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、送信電文の受信電界強度が電界強度閾値より大きくなる回数の比率が所定の割合を超えた時、返送電文の送信出力を小さくする無線通信システムである。
第6の発明により、送信電文の受信電界強度の判定を複数回行うことで、親機の送信出力を可変する判断の信頼度を向上させて通信品質の安定化を図りつつ、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または干渉の抑制を行うことができる。
第7の発明は、子機から送信される送信電文は、送信電文の送信出力の情報を含み、送信電文を受信した親機は、送信電文の送信出力と同じ送信出力で、返送電文を子機へ送信する無線通信システムである。
第7の発明により、子機から通知された送信出力に応じて親機が送信出力を可変するため、親機の構成を簡素化でき、子機の消費電力を抑制すると共に妨害または干渉の抑制を行うことができる。
第8の発明は、子機は、アラームを検出した場合、アラームの情報を含む送信電文を最大送信出力または電界強度閾値よりも大きい送信出力で送信する無線通信システムである。
第8の発明により、電界強度閾値に関わらず送信出力を大きくすることで、緊急を要する重要な通知を確実に親機へ伝えることができる。
第9の発明は、送信電文を送信し、親機から送信された返送電文を受信する送受信部と、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値より大きくになった時、次回の送信電文の送信出力を小さくする出力可変部と、を具備する無線端末である。
第9の発明により、子機が送信出力を小さくすることにより、子機の消費電力を抑制することができる。また、他の無線端末への妨害または干渉を抑制することができる。さらに、子機が送信出力を大きくすることにより、親機との安定的な通信を確保することができる。
第10の発明は、アラームを検出するアラーム検出部をさらに具備し、アラームを検出
した場合、送受信部は、アラームの情報を含む送信電文を最大送信出力または電界強度閾値よりも大きい送信出力で送信する無線端末である。
第10の発明により、電界強度閾値に関わらず送信出力を大きくすることで、緊急を要する重要な通知を確実に親機へ伝えることができる。
第11の発明は、送信電文を送信し、返送電文を受信し、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値より大きくになった時、次回の送信電文の送信出力を小さくする、通信方法である。
第11の発明により、送信出力を小さくすることにより、消費電力を抑制すると共に他の無線端末間の妨害または干渉を抑制することができる。さらに、送信出力を大きくすることにより、無線端末間の安定的な通信を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、同様の分野における類似の用語または類似の描写を用いて表現することが可能であることは、当業者において容易に理解されるであろう。
(実施の形態1)
図1は、本発明における無線通信システムの通信エリア構成の一例を示す図である。図1を参照しながら、以下に通信エリアの構成について説明する。
図1において、101、201、301、401は親機、102、202、302、303、402は子機である。
エリアS−1は、親機101と他の親機または子機とが所定の通信品質で通信できるエリアを示す。すなわち、エリアS−1の範囲において、親機からの電波の受信レベルは第一の所定値以上である。なお、第一の所定値は、例えば−90dBmである。
ここで、電波は、周囲環境により変動する。これはフェージングと呼ばれる現象で、一般的に10〜20dB程度瞬間的に落ち込む場合がある。よって、無線機の受信限界が仮に−110dBとした場合、この−110dBmに対して20dBのマージンを確保すると、−90dBmが安定して通信が可能な電波強度となる。
同様に、エリアS−2、S−3、S−4は、それぞれ親機201、301、401と他の親機または子機とが所定の通信品質で通信できるエリアを示す。すなわち、エリアS−2、S−3、S−4の範囲において、各親機からの電波の受信レベルは第一の所定値以上である。
子機102は、親機101の通信エリアS−1、親機201の通信エリアS−2、及び親機301の通信エリアS−3に属している。すなわち、子機102は、親機101、201、301と第一の所定レベル以上で通信可能である。そして、子機102は親機201に最も近いため、通常、親機201からの電波(信号)の受信レベルが最も大きい。
同様に、子機202、302も複数の通信エリアに属している。子機202は親機301に最も近いため、親機301からの電波(信号)の受信レベルが最も大きい。子機302は親機401に最も近いため、親機401からの電波(信号)の受信レベルが最も大きい。
一方、子機402が属している通信エリアは親機401の通信エリアS−4だけであるので、親機401からの電波(信号)の受信レベルが最も大きい。
次に、本発明の無線通信システムにおける親機と子機との通信方法について、図2を用
いて説明する。図2は、本発明における子機と親機との通信シーケンスの一例を示す図である。
親機は、例えばビルの屋上など見通しの良いところに設置され、基地局のような役割を果たす。親機は、AC電源で駆動し、常時無線通信可能な状態で用いられる。図2において、親機は、信号(電文)の送信を行っていない時間帯では常に受信状態となっている。一方、子機は、例えば各家庭のガスメータに内蔵もしくは外付けで設置され、定期的に検針値を親機へ送信する。送信された検針値は、親機を通じてガス会社のセンターに送られる。子機の電力源は電池であり、長期間(例えば10年、15年、20年)のメンテナンスフリーが要求される。
よって、消費電力を削減するために、子機は常時無線通信可能な状態を維持することはできない。すなわち、図2に示されるように、子機は、特定のタイミングで検針値を送信した後、親機からの返送を予め決められたタイミング(時間帯)で待ち受け、それ以外のタイミングでは、無線通信回路を停止させる。このような間欠受信を行うことにより、子機の消費電力が抑制される。
ここで、親機は基地局のような役割を果たすため、1台の親機において数千台〜数万台の子機を収容(カバー)することが求められる。そのため、親機の通信エリア(カバーエリア)は、数百m〜数km必要である。よって、親機及び子機の送信出力は、数百mW〜1W程度必要となる。この場合、送信時に消費する電力も大きくなる。
なお、ここではガスメータの場合を例に説明したが、水道メータなどの自動検針システムにおいても同様である。いずれのメータにおいても、メータに内蔵される子機の設置場所及び取り付け方法は、インストール時から長期間変えることができない(あるいは変える必要がない)。すなわち、子機は、設置場所が固定された固定局である。
また、メータに外付けで設置された子機においても、運用開始後、多少の取り付け方法の変更は可能であるが、設置場所及び周辺環境などを踏まえて、基本的に取り付け方法を大々的(ドラスティック)に変更することは難しい。よって、子機が内蔵された場合と同様、一度設置された後から長期間、固定局として安定した動作が求められる。
一方、親機においても、ビルの屋上など見通しの良いところに設置された後、設置場所を変えることは基本的に想定されない。設置場所を変えるためには、設置場所に人が赴かなければならず、人件費及び作業工数が発生する。これは、子機も同様である。よって、長期間メンテナンスフリーの無線通信システムにおいて、親機及び子機共に、固定局として長期間安定した通信品質が求められる。
図3は、本発明における子機としての無線端末の基本構成図を示す。無線端末は、送信電文を送信し、親機から送信された返送電文を受信する送受信部2と、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値より大きくになった時、次回の送信電文の送信出力を小さくする出力可変部3と、を具備する。この構成により、無線端末の消費電力を抑制することができる。
次に、子機の具体的な動作について、図4のブロック図を用いて説明する。
図4に示されるように、子機は、アンテナ1と、送受信部2と、出力可変部3と、測定部4と、制御部5と、記憶部6と、を含む。
ここで、図1における子機102を例に、具体的な動作を説明する。子機102は、送信出力を可変する出力可変機能を有する。子機102が現場に設置されて動作を開始すると、制御部5は、送信電文を作成して、送受信部2へ送信電文を出力する。送受信部2は、アンテナ1を介して制御部5から出力された送信電文を送信する。
この時の送信出力(送信電力)は、子機102が送信可能な最大出力(最大電力)である。なお、送信出力は出力可変部3によって調整される。そして、送信電文を送信した後、子機102は、親機からの返送電文を所定のタイミング(時間帯)で待ち受ける。
子機102から送信された送信電文は、親機101、親機201、及び親機301で受信される。そして、親機101、親機201、及び親機301のいずれか1台の親機が、子
機102に対して返送電文を送信する。ここでは、子機102に最も近い親機201が返送電文を送信する。
なお、親機101、親機201、及び親機301のうち、どの親機が返送電文を送信するかに関しては、各親機と子機102間のロケーションの関係、各親機における子機の収容数(カバー数)などに基づいて、例えばガス会社のセンターが決定し、各親機に事前に指示してもよい。
送受信部2は、親機201からの返送電文をアンテナ1を介して受信する。そして、測定部4は、受信した返送電文の受信電界強度を測定する。
一方、子機102の記憶部6には、予め定められた電界強度閾値が記憶されている。この電界強度閾値は、親機と子機とが安定的に通信を行うことができる所定のレベルであり、例えば前述のように−90dBmである。
親機201から送信された返送電文の受信電界強度が、記憶部6に記憶された電界強度閾値よりも大きい(あるいは、電界強度閾値以上)場合、子機102は、次回の送信電文の送信出力(送信電力)を前回の送信出力よりも小さくして送信する。
より詳細には、制御部5は、測定部4から出力された返送電文の受信電界強度と記憶部6に記憶された電界強度閾値とを比較し、比較結果を出力可変部3に出力する。出力可変部3は、比較結果に基づいて、送受信部2から送信される送信電文の送信出力を変更する。つまり、出力可変部3は、比較結果から返送電文の受信電界強度が電界強度閾値よりも大きい(あるいは電界強度閾値以上)と判断した場合、次回の送信電文の送信出力を前回の送信電力よりも所定の量だけ小さくするよう、送受信部2に指示する。送受信部2は、出力可変部3からの指示にしたがって、制御部5で作成された送信電文を送信する。
なお、送信出力を小さくする減少量(言い換えれば、前回の送信出力と次回の送信出力との差)は、予め決められた値としてもよいし、返送電文の受信電界強度と記憶部6に記憶された電界強度閾値との差から調整してもよい。例えば、受信電界強度と電界強度閾値との差が5dBmであれば、次回送信時、5dBmに相当する分だけ送信出力を小さくする。あるいは、受信電界強度と電界強度閾値との差が大きいほど、減少量を大きくして送信出力を小さくする。
このように、子機102は、親機からの返送電文の受信電力強度によって、次回の送信電文を、前回の送信電力よりも小さい送信出力で送信する。そして、子機からの送信電文を受信した親機201は、返送電文を送信する。子機102は、再度親機からの返送電文を受信した後、受信電界強度を測定し、記憶された電界強度閾値と測定された受信電界強度とを比較して、次回の送信電文の送信出力を決定する。
子機102は、上記の通信シーケンスを、受信した返送電文の受信電界強度が電界強度閾値と等しくなるまで繰り返す。そして、受信した返送電文の受信電界強度が電界強度閾値と等しくなった場合、子機102は、その時点の送信出力を維持しながら、送信電文を送信する。
一方、親機201から送信された返送電文の受信電界強度が、電界強度閾値以下(あるいは、電界強度閾値よりも小さい)場合、子機102は、次回の送信電文の送信出力(送信電力)を前回の送信出力よりも大きくして送信する。
より詳細には、制御部5は、測定部4から出力された返送電文の受信電界強度と記憶部6に記憶された電界強度閾値とを比較し、比較結果を出力可変部3に出力する。出力可変部3は、比較結果に基づいて、送受信部2から送信される送信電文の送信出力を変更する。つまり、出力可変部3は、比較結果から返送電文の受信電界強度が電界強度閾値以下(あるいは電界強度閾値よりも小さい)と判断した場合、次回の送信電文の送信出力を前回の送信電力よりも所定の量だけ大きくするよう、送受信部2に指示する。送受信部2は、出力可変部3からの指示にしたがって、制御部5で作成された送信電文を送信する。
なお、送信出力を大きくする増加量(言い換えれば、前回の送信出力と次回の送信出力と
の差)は、予め決められた値としてもよいし、返送電文の受信電界強度と記憶部6に記憶された電界強度閾値との差から調整してもよい。例えば、受信電界強度と電界強度閾値との差が5dBmであれば、次回送信時、5dBmに相当する分だけ送信出力を大きくする。あるいは、受信電界強度と電界強度閾値との差が大きいほど、増加量を大きくして送信出力を大きくする。
以降、子機102は同様の動作を繰り返し、受信した返送電文の受信電界強度が記憶部6に記憶された電界強度閾値よりも大きい場合には送信出力を小さくし、受信した返送電文の受信電界強度が記憶部6に記憶された電界強度閾値以下の場合には送信出力を大きくして、送信電文を送信する。なお、子機102のこれらの動作は、制御部5によってコントロールされる。
以上の動きを、図1に照らし合わせて説明する。親機101、201、301、401は、それぞれエリアS−1、S−2、S−3、S−4の4つの安定した通信が可能なサービスエリアを有しており、そのサービスエリアは−90dBmが基準となっている。なお、この基準値−90dBmは、図4の記憶部6に記憶されている電界強度閾値と同様である。すなわち、親機201を基準にした場合、サービスエリアS−2の線上が、電界強度−90dBmとみなすことができる。
ここで、子機102は、図1に示されるように、親機201のサービスエリアS−2の基準(つまり、サービスエリアS−2の線)よりも内側に配置されている。すなわち、親機201との距離がサービスエリアS−2の限界(境界)よりも近い。これは、子機102が親機201から受ける電波(言い換えれば、親機201から受信する返送電文)の受信電界強度が−90dBmよりも大きいことが想定される。この場合、子機102は、最大送信電力(あるいは、電界強度閾値)よりも小さい送信電力で、親機201へ送信電文を繰り返し送信することが多い。
送信電力の大きさは、送信時に使用する消費電流の大きさに直結する。特に、本発明の通信システムのように、数百mW〜1W程度の高出力が必要な無線端末の場合、送信電流も大きくなる。
よって、送信出力を小さくして送信を繰り返すことができることは、子機の消費電力の削減として大きなメリットである。もちろん、安定的な通信が可能なサービスエリアの電界強度閾値(例えば、−90dBm)は確保されているため、通信信頼性を損なうことはない。しかしながら、環境の変化、ノイズまたは干渉などの理由により、一時的に受信電界強度が低下した場合には、次回の送信時に送信出力を一時的に大きくするように動作するため、安定的な通信への回復も実現することができる。
次に、親機201からの返送電文を、子機102が受信できなかった場合について説明する。子機102が何らかの理由で返送電文を受信できなかった場合、測定部4は受信電界強度を測定することができない。この場合、出力可変部3は、次回送信する送信電文の送信出力をより大きくして送信する。子機102は、親機201からの返送電文が受信できるようになるまで、以降同様の動作を繰り返す。
ここで、親機201が何らかの理由で故障した場合、あるいは、親機201と子機102との間の電波伝搬路上に定常的な障害物が設置されて通信が不能もしくは著しく電界強度が小さくなった場合、などが想定される。これらの場合、子機102が送信電文の送信出力を大きくしたとしても親機201からの返送電文が受信できないため、親機201と子機102との通信が復旧できない可能性がある。すなわち、子機102からの送信電文が送信電力の大きさに関わらず親機201に届かないため、親機201は返送電文を送信しない。
このような状況は、例えばガス会社のセンターにて検知または認知することができる。
もし、子機102からの送信電文が親機201を経由してガス会社のセンターに通知されない状況が続いた場合、ガス会社のセンターは子機102と親機201との間の通信異常を検知することができる。あるいは、親機201と子機102との間の電波伝搬路上に高層ビルなどが建設された場合、現地調査などによって、ガス会社のセンターは通信以上の原因を認知することができる。
また、例えばガス会社のセンターが、高層ビルなどの建設などが原因で、子機102と親機201との間の通信異常が解消されないと判断した場合、ガス会社のセンターは、親機201及び親機201とは異なる他の親機に対して、子機102と通信を行う親機として親機201から他の親機に変更させるように指示する。
この指示を受けた他の親機は、子機102と通信を行う親機として親機201から他の親機に変更させるための指示情報が含まれた指示電文を子機102へ送信する。
一方、この指示を受けた親機201は、子機102からの送信の待ち受けを停止する。さらに、親機201は、子機102と通信を行う親機として親機201から他の親機に変更させるための指示情報が含まれた返送電文を子機102へ送信するようにしてもよい。なお、この場合の返送電文の送信電力は、緊急用送信電力として、サービスエリアの基準値(例えば、−90dBm)より大きくしてもよい。
送受信部2は、親機201からの返送電文または他の親機からの指示電文をアンテナ1を介して受信する。そして、通信を行う親機として親機201から他の親機に変更させるための指示情報を検知した場合、制御部5は、他の親機へ送信するための送信電文を作成して、送受信部2へ送信電文を出力する。送受信部2は、アンテナ1を介して制御部5から出力された他の親機へ送信するための送信電文を送信する。
子機102から送信された送信電文が親機201に届かない場合でも、他の親機(例えば親機301)に届く可能性がある。この場合、親機301は、子機102へ返送電文を送信しないが、子機102から送信された送信電文をガス会社のセンターへ通知する。
このような状態が続いた後、ガス会社のセンターは、子機102と親機201間の電波環境が悪いと判断し、子機102から送信された送信電文に対する返送電文を送信するように、親機301へ指示することも可能である。
このようにすることで、子機102と親機201との間の通信異常が解消されない場合でも、別の通信ルートが確立されて、他の親機と子機102との通信を継続させることができる。
一方、子機102は、親機201からの返送電文を受信できないため、送信出力を徐々に大きくしながら送信電文を送信する。すると、子機102から送信された送信電文は、図1における親機101または親機301で受信される場合がある。
すなわち、子機102が親機201と安定的な通信を継続していた時、子機102は、サービスエリアS−2の閾値(例えば、−90dBm)を超えないように送信電文の送信電力を絞って送信していた(言い換えれば、電界強度閾値を超えられないような通信シーケンスにしたがって、動作をしていた)。
そのため、子機102からの距離が親機201よりも遠い親機101または親機301へ、子機102から送信された送信電文が届くことはなかった。しかしながら、子機102が上記の動作にしたがって送信出力を大きくすることによって、電界強度閾値を超える送信電力で子機102から送信された送信電文が、親機101または親機301に届くようになる。
ここで、子機102から送信された送信電文に対して返送電文を送信するのは親機201と決定されているため、子機102が送信した送信電文を親機101または親機301が受信できたとしても、親機101または親機301は返送電文の送信は行わない。
しかし、親機101または親機301が、子機102が送信した送信電文に含まれるデータなどをガス会社のサーバへ送ることは想定される。すなわち、この場合、子機102からのデータがガス会社のサーバ(またはセンター)に、親機201経由では届かないが、親機101または親機301経由では届く。
ガス会社のセンターは、これらの状況を踏まえ、子機102からの送信電文または送信電文に含まれるデータが親機101とは異なる他の親機経由で届いたとき、子機102の送信電文に対する返送電文を送信する親機を、親機201から他の親機に切り替える。
例えば、図1に示されるロケーションの場合、ガス会社のセンターは、子機102との距離が親機201に次いで短い親機301を、親機201に代わって返送電文を送信する親機として指定する。つまり、ガス会社のセンターは、子機102からの送信電文または送信電文に含まれるデータが親機101とは異なる複数の他の親機経由で届いたとき、子機102の送信電文に対する返送電文を送信する親機として、複数の他の親機のうち子機102との距離が親機201に次いで短い他の親機を選択して、親機201から選択された他の親機に切り替える。
返送電文を送信する親機として選択された親機301は、例えばガス会社のセンターから選択された後に子機102から送信電文を受信した場合、返送電文を子機102へ送信する。以降、子機102と親機301は、上記と同様の通信シーケンスにしたがって通信を行い、子機102は親機301のサービスエリアS−3の電界強度閾値(例えば、−90dBm)を確保するまで、送信出力を次第に小さくする。
以上より、通信障害が発生した場合でも、他の通信ルートでの通信が確立され、確立された通信上で子機の送信出力を可変させることで、安定した通信品質を維持しつつ消費電力を抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、子機102が送信した送信電文に対して、親機201が返送電文を毎回送信する場合を説明したが、親機201は必ずしも毎回返送電文を送信する必要はない。例えば、子機102からの送信電文が所定の回数(例えば、3回)受信されたときに1回、親機201は返送電文を送信するようにしてもよい。あるいは、子機102からの送信電文が受信された日に1回、親機201は返送電文を送信するようにしてもよい。
この場合、親機201から返送電文が受信されない状況において、その返送電文が受信されなかったタイミングが予め規定された返送タイミングと異なる場合、子機102は、返送電文が受信されなくても正常であるとみなし、前回受信した返送電文の受信電界強度と電界強度閾値との比較結果に基づいて決定した送信出力で、送信電文の送信を行う。一方、予め規定された返送タイミングに返送電文が受信されなかった場合のみ、次回の送信電文の送信出力を大きくする。
親機が毎回返送電文を送信しない上記の方法は、無線通信システムの通信トラフィックを低減させる点でも有益である。子機が送信電文を送信するタイミングは、基本的にガスメータなどの検針値を取得して親機を経由してガス会社などのサーバ(またはセンター)に送信するタイミングである。
例えば、ガス会社が1時間毎の検針値をほぼリアルタイムで取得したい場合、子機は1時間毎に検針値を送信する必要がある。ここで、数百〜数千の子機が1時間毎に送信することは、膨大なトラフィックを生ずる。さらに、その検針値を送信する送信電文に対して親機が返送電文を送信することによって、トラフィックはさらに増大する。
よって、例えば、子機の1時間毎の検針値の送信に対して、親機は返送電文を送信しないようにする。この場合、上記の方法により、子機が返送電文を受信できなくても、子機は送信電文を再送しないし、送信出力を大きくすることもしない。
親機と子機の時計ズレを抑制するために、子機は定期的に親機の時計に自機の時計を合わせる必要がある。例えば、子機が1日1回親機に自機の時計を合わせる場合、親機は子機に1日1回時計データを送信する必要がある。
この場合、親機は、子機が送信した送信電文としての検針値データに対して、1日1回、返送電文としての時計データ(あるいは、時計データを含む返送電文)を送信する。そして、子機は、時計データに基づいて、子機に含まれる時計を調整する。
このようにすることで、通信トラフィックを低減させるとともに、リアルタイムで正確に検針値の送受信を行うことができる。
さらに、子機の送信出力を小さくすることで、周辺の無線端末への妨害または干渉を抑制することもできる。すなわち、子機102から送信される送信電文の送信出力を小さくすると、他の無線通信システムに与える影響も小さくなる。
他の無線通信システムにおいて、子機102から送信される送信電文は、妨害信号または干渉信号となるため、他の無線通信システム中の通信信号の送受信の妨げとなる。よって、子機102の送信出力を小さくすることで、他の無線通信システムに与える影響の範囲も小さくすることができ、その結果妨害または干渉を抑制することができる。
これは、子機が含まれる通信システムに対しても同様である。すなわち、図1に示されるように、本発明の無線通信システムは、複数の親機と複数の子機とで構成されており、それぞれ独自のタイミングで送受信を行っている。
よって、子機102から送信された送信電文は、同じ無線通信システム上の他の子機による通信において、妨害信号または干渉信号となる。例えば、図1において、子機202が親機301からの返送電文の受信を待ち受けしている時に、子機102の送信電文が子機202に対して妨害または干渉を与えると、子機202が返送電文を受信できない恐れがある。
しかしながら、本実施の形態においては、子機102は必要に応じた(場合によっては必要最小限の)送信出力で送信電文を送信することができるため、同じ無線通信システムの他の無線端末に対して、妨害または干渉の影響を抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、子機102が、親機からの返送電文の受信電界強度の測定を行い、その測定結果を予め定められた閾値と比較する閾値判定を行うたびに、子機の送信出力が調整されるように説明した。
しかしながら、例えば、親機201からの返送電文の受信電界強度が、記憶部6に記憶されているサービスエリアS−2の電界強度閾値(例えば、−90dBm)に対して、連続して所定の回数下回った(つまり、電界強度閾値以下になった(あるいは、電界強度閾値より小さくなった))場合に子機の送信出力を大きくし、あるいは連続して所定の回数上回った(つまり、電界強度閾値より大きく(あるいは、電界強度閾値以上になった))場合に子機の送信出力を小さくする構成とすることもできる。
受信電界強度は周囲環境の変化等によって瞬時に変動するため、1回の閾値判定のたびに送信出力を変化させた場合、安定的な通信を確保することが困難になる可能性もある。そこで、閾値判定を所定の回数分連続で行い、その判定結果に基づいて送信出力の調整を行うことで、通信品質の安定化を図ると共に子機の消費電力の削減、及び妨害または干渉の抑制を行うことができる。
また、返送電文の受信電界強度を記憶部6に所定の期間継続的に記憶させ、その所定の期間中電界強度閾値を下回った回数(期間)の割合または電界強度閾値を上回った回数(期間)の割合を計算し、その割合が予め定められた割合を超えた場合に、子機の送信電力を調整することも可能である。
つまり、所定の期間における受信電界強度の総記憶回数に対する、受信電界強度が電界強度閾値以下になる(あるいは電界強度閾値より小さくなる)回数の比率が所定の割合を超えた場合送信電文の送信電力を大きくし、所定の期間における受信電界強度の総記憶回数に対する、受信電界強度が電界強度閾値より大きくなる(あるいは電界強度閾値以上になる)回数の比率が所定の割合を超えた場合送信電文の送信電力を小さくする。
なお、本実施の形態においては、親機と子機との間の動作についてのみ説明したが、中継器を導入したシステムに関しても同様の方式が適用可能である。すなわち、子機は、親機もしくは中継器から返送電文を受信し、受信された返送電文の受信電界強度によって、次回の送信電文の送信出力(送信電力)を制御することで同様の効果を奏することができる。
既にシステムが運用されている状態において、新たに親機または中継器が導入された場合の動作について説明する。
既にシステムが運用されている状態として、図1に示されるように、子機102は、親機201から返送電文を受信するようにガス会社のセンターによって予め設定されている。そこへ、新たに親機501(図示せず)または中継器が導入されたとする。
ここで、子機102にとって、親機501(または中継器)の設置環境が親機201よりも優れた環境である場合、子機102から送信された送信電文は、新たに設置された親機501にも届くはずである。
よって、ガス会社のセンターは、子機102から送信された送信電文が親機201経由と新たに設置された親機501経由とで受信することができるようになる。その結果、親機501における子機102から送信された送信電文の受信電界強度結果と、親機201における子機102から送信された送信電文の受信電界強度結果との比較により、ガス会社のセンターは、子機102へ返送電文を送信する親機として、親機201のままでよいのか、あるいは、新たに設置された親機501に切り替えるのかを判断する。
一方、子機102にとって、親機501(または中継器)の設置環境が親機201よりも劣悪な環境である場合、子機102から送信された送信電文は、新たに設置された親機501に届かない可能性がある。
子機102から送信された送信電文が親機501に届かないとき、ガス会社のセンターは、子機102から送信された送信電文が親機201経由でしか受信できない。
もちろん、ガス会社のセンターは、新たに設置された親機501、子機102、及び親機201の設置ロケーション関係を把握しているので、その設置ロケーション関係に基づいて、子機102へ返送電文を送信する親機を再選定することも可能である。しかしながら、実際に子機102から送信された送信電文が親機501に届かないことが、設置ロケーションに因るものなのかどうか分からない。
このような状況を踏まえ、子機102は、複数回(例えば10回)に1回は記憶部6に記憶された電界強度閾値との判定によらず、電界強度閾値よりも大きい送信出力(あるいは、最大送信出力)で、送信電文を送信するようにしてもよい。
この場合、親機501の設置環境が親機201よりも劣悪な環境であっても、親機501は、子機102から送信された送信電文を受信することができる場合があり、送信電文に関する情報をガス会社のセンターへ知らせることができる。これにより、ガス会社のセンターは、子機102から送信された送信電文を、新たに設置された親機501経由で受信することができるようになる。
そして、ガス会社のセンターは、親機501経由で受信されたこと及び設置ロケーションから、子機102へ返送電文を送信する親機として、親機201のままでよいのか、あるいは、新たに設置された親機501に切り替えるのかを判断する。このようにすることで、子機の送信出力の増加を最小限に抑えながら、新たに設置された親機または中継器に対応したルート選定の精度を高めることができる。
(実施の形態2)
本発明の第二の実施の形態について、以下に説明する。なお、第二の実施の形態において、第一の実施の形態と同様の事項については、説明を省略する。
第二の実施の形態において、子機の動作は第一の実施の形態と同じである。親機の通信
動作について、図5のブロック図を用いて説明する。
図5に示されるように、親機は、アンテナ11と、送受信部12と、出力可変部13と、測定部14と、制御部15と、記憶部16と、を含む。
ここで、図1における親機201を例に、具体的な動作を説明する。親機201は、送信出力を可変する出力可変機能を有する。親機201において、送受信部12は、子機102からの送信電文を、アンテナ11を介して受信する。そして、測定部14は、受信した送信電文の受信電界強度を測定する。
一方、親機201の記憶部16には、予め定められた電界強度閾値が記憶されている。この電界強度閾値は、親機と子機とが安定的に通信を行うことができる所定のレベルであり、例えば第一の実施の形態のように−90dBmである。
子機102から送信された送信電文の受信電界強度が、記憶部16に記憶された電界強度閾値よりも大きい(あるいは、電界強度閾値以上)場合、親機201は、返送電文の送信出力(送信電力)を、記憶部16に記憶された電界強度閾値程度になるように小さくして送信する。
より詳細には、制御部15は、測定部14から出力された送信電文の受信電界強度と記憶部16に記憶された電界強度閾値とを比較し、比較結果を出力可変部13に出力する。出力可変部13は、比較結果に基づいて、送受信部12から送信される返送電文の送信出力を変更する。
つまり、出力可変部13は、比較結果から送信電文の受信電界強度が電界強度閾値よりも大きい(あるいは電界強度閾値以上)と判断した場合、返送電文の送信出力を電界強度閾値程度まで小さくするよう、送受信部12に指示する。送受信部12は、出力可変部13からの指示にしたがって、制御部15で作成された返送電文を送信する。
このように、親機201は、返送電文を、電界強度閾値と同じ送信出力で送信する。そして、親機201は、その後も、子機102から送信された送信電文を受信するたびに、受信電界強度を測定し、記憶された電界強度閾値と測定された受信電界強度とを比較して、返送電文の送信出力を決定する。
親機201は、上記の通信シーケンスを、受信した子機102からの送信電文の受信電界強度が電界強度閾値と等しくなるまで繰り返す。そして、受信した子機102からの送信電文の受信電界強度が電界強度閾値と等しくなった場合、親機201は、その時点の送信出力を維持しながら、返送電文を送信する。
一方、受信した子機102からの送信電文の受信電界強度が電界強度閾値以下(あるいは、電界強度閾値よりも小さい)場合、親機201は、返送電文の送信出力(送信電力)を、記憶部16に記載された電界強度閾値程度になるように大きくして送信する。
より詳細には、制御部15は、測定部14から出力された送信電文の受信電界強度と記憶部6に記憶された電界強度閾値とを比較し、比較結果を出力可変部13に出力する。出力可変部13は、比較結果に基づいて、送受信部12から送信される返送電文の送信出力を変更する。
つまり、出力可変部13は、比較結果から送信電文の受信電界強度が電界強度閾値以下(あるいは電界強度閾値よりも小さい)と判断した場合、返送電文の送信出力を電界強度閾値程度まで大きくするよう、送受信部12に指示する。送受信部12は、出力可変部13からの指示にしたがって、制御部15で作成された返送電文を送信する。
以降、親機201は同様の動作を繰り返し、受信した子機102からの送信電文の受信電界強度が記憶部16に記憶された電界強度閾値よりも大きい場合には送信出力を小さくし、受信した子機102からの送信電文の受信電界強度が記憶部16に記憶された電界強度閾値以下の場合には送信出力を大きくして、返送電文を送信する。なお、親機201のこ
れらの動作は、制御部15によってコントロールされる。
なお、本実施の形態においては、第一の実施の形態における子機の場合と同様に、例えば、子機102からの送信電文の受信電界強度が、記憶部6に記憶されている電界強度閾値に対して、連続して所定の回数下回った(つまり、電界強度閾値以下になった(あるいは、電界強度閾値より小さくなった))場合に返送電文の送信出力を大きくし、あるいは連続して所定の回数上回った(つまり、電界強度閾値より大きく(あるいは、電界強度閾値以上になった))場合に返送電文の送信出力を小さくする構成とすることもできる。
また、送信電文の受信電界強度を記憶部6に所定の期間継続的に記憶させ、その所定の期間中電界強度閾値を下回った回数(期間)の割合または電界強度閾値を上回った回数(期間)の割合を計算し、その割合が予め定められた割合を超えた場合に、返送電文の送信電力を調整することも可能である。
つまり、所定の期間における送信電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、受信電界強度が電界強度閾値以下になる(あるいは電界強度閾値より小さくなる)回数の比率が所定の割合を超えた場合返送電文の送信電力を大きくし、総記憶回数に対する、受信電界強度が電界強度閾値より大きくなる(あるいは電界強度閾値以上になる)回数の比率が所定の割合を超えた場合返送電文の送信電力を小さくする。
第一の実施の形態と第二の実施の形態とを組み合わせると、子機102と親機201の双方が、各々の送信出力を制御することになる。無線通信の特性上、無線端末間の距離及び周囲環境に変化がない場合、一方から送信された信号を他方が受信したときの受信電界強度は、同一周波数であれば送信側(一方)と受信側(他方)とを入れ替えた場合でも同じになり、異なる周波数であれば送信側(一方)と受信側(他方)とを入れ替えた場合異なる。
よって、子機102と親機201の双方が送信出力を可変することで、使用する周波数に依存せずに、お互いの通信が品質を確保しながら、より適切な送信出力で通信することができる。特に、電池駆動により消費電力の抑制が求められる子機にとって、親機でも返送電文の送信出力が調整されることで、子機の送信電文の送信出力の設定精度がより向上し、消費電力をより効率よく抑制することができる。
また、親機も送信出力を可変することで、親機が周囲の他のシステム及び/または自システムに与える妨害または干渉の影響も抑制できる。なお、親機は、複数の子機に対して返送電文を送信する必要があるため、子機毎に送信出力の調整を行う必要がある。
さらに、親機における送信出力の調整は、親機自らが有する電界強度閾値に基づくのではなく、子機から送信される送信電文に含まれる子機における送信電力の情報に従って行われるようにしてもよい。
すなわち、制御部5は、送信電文に、送信出力の情報を含める。子機から送信された送信電文を受信した親機は、電文を解析して子機の送信出力の情報を取り出し、子機から送信された送信電文の送信出力と同じ送信出力で、返送電文を子機へ送信する。
この方法は、無線通信の特性上、無線機間の距離及び周囲環境に変化がない場合、一方から送信された信号を他方が受信したときの受信電界強度は、同一周波数において、送信側(一方)と受信側(他方)とを入れ替えた場合でも同じになるという特性を利用したものである。
なお、この方法の場合、親機は、測定部14及び電界強度閾値を記憶する記憶部16を有する必要はない。また、親機は、子機毎に返送電文の送信出力を可変する必要はあるが、子機毎に電界強度閾値を記憶する必要はなく、各子機から送信される送信電文に含まれる情報に基づいて、各子機へ送信する返送電文の送信出力を決定することができる。
(実施の形態3)
本発明の第三の実施の形態について、以下に説明する。なお、第三の実施の形態におい
て、第一の実施の形態、第二の実施の形態と同様の事項については、説明を省略する。
第三の実施の形態における子機の動作について、図6のブロック図を用いて説明する。図6において、アンテナ1、送受信部2、出力可変部と、測定部4、制御部5及び記憶部6は、第一の実施の形態と同様に動作する。さらに、図6に示される子機は、アラーム検出部7を含む。
子機102は、例えば、ガスメータに内蔵または外付けに設置された電池で駆動するため、様々なアラーム機能を有する。例えば、ガスの最大流量オーバー(または流量値異常)、いたずらなどによる子機の取り外し、ガス漏れ検知、電池残量低下などのアラームが考えられる。
ここで、これらのアラームが発生した場合、その旨を確実にガス会社のセンターに知らせる必要がある。なぜなら、アラームの内容(種類)によって、使用者の生命に対して危険な状況が発生したり、検針値に基づいた確実なガス料金の回収の妨げが発生したりする可能性があるため、ガス会社による迅速な対応が必要になるからである。
アラーム検出部7は、これらのアラームを検出する。そして、アラームが検出された場合、子機102は、親機経由でガス会社のセンターへ通知するために、制御部5で作成されたその旨を通知する電文の送信を行う。より詳細には、アラーム検出部7は、アラームを検出したとき、検出結果を制御部5へ出力する。制御部5は、アラーム検出部7から出力された検出結果に基づいて、アラーム検出情報を生成する。
このとき、子機102において、送信電文の送信出力が第一の実施の形態のように抑制されている状況であったとしても、出力可変部3は、送受信部2に対して送信出力を最大または電界強度閾値よりも大きくするように指示し、送受信部2は、出力可変部3からの指示に従って、アンテナ1を介してアラームを通知する電文(あるいはアラームの情報を含む送信電文)の送信を行う。
上記の動作を、図1を用いて説明する。通常、子機102は、親機201との安定した通信を確保できる最低限の送信出力で、送信電文を送信する。しかし、アラームの通知のような情報を確実に親機経由でガス会社のセンターに送らなければならない場合、親機201のみではなく、周囲の親機101及び/または親機301にも届くような送信出力で、アラーム情報を送信する。
これにより、万が一、親機201が通常の送信電文よりも重要な電文を受信し損ねた場合でも、親機101及び/または親機301経由で重要な電文(例えば、アラーム情報)がガス会社へ送られる可能性が高くなり、重要な情報を確実に知らせることができる。
なお、アラームは頻繁に発生するものではないため、通常の送信電文時よりも送信出力を大きくしても、子機102の電池寿命に大きな影響を与えることはなく、また周辺のシステムあるいは無線端末に与える妨害または干渉の影響も深刻ではない。
上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
以上のように、本発明にかかる無線端末、無線通信システム、及び通信方法は、10年以上の長期間電池駆動で動作を継続する無線端末、及びその無線端末を含む無線通信システムにおいて有用である。
1、11 アンテナ
2、12 送受信部
3、13 出力可変部
4、14 測定部
5、15 制御部
6、16 記憶部
7 アラーム検出部
101、201、301、401、501 親機
102、202、302、303、402 子機

Claims (3)

  1. 1つまたは2つ以上の親機と、子機と、を含む無線通信システムであって、
    前記子機は、
    送信電文を送信し、
    前記親機から送信された返送電文を受信すると共に、
    所定の期間における前記返送電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、前記返送電文の受信電界強度が前記電界強度閾値以下になる回数の比率が所定の割合を超えた時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、前記所定の期間における前記返送電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、前記返送電文の受信電界強度が前記電界強度閾値より大きくなる回数の比率が所定の割合を超えた時、次回の送信電文の送信出力を小さくし、
    前記親機は、
    前記子機から送信された送信電文を受信し、
    前記子機へ前記返送電文を送信する、
    無線通信システム。
  2. 1つまたは2つ以上の親機と、子機と、を含む無線通信システムであって、
    前記子機は、
    送信電文を送信し、
    前記親機から送信された返送電文を受信し、
    前記返送電文の受信電界強度が少なくとも1回電界強度閾値以下になった時、次回の送信電文の送信出力を大きくし、前記返送電文の受信電界強度が少なくとも1回前記電界強度閾値より大きくなった時、次回の送信電文の送信出力を小さくし、
    前記親機は、
    前記子機から送信された送信電文を受信し、
    前記子機へ前記返送電文を送信すると共に、
    所定の期間における前記送信電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、前記送信電文の受信電界強度が前記電界強度閾値以下になる回数の比率が所定の割合を超えた時、前記返送電文の送信出力を大きくし、前記所定の期間における前記送信電文の受信電界強度の総記憶回数に対する、前記送信電文の受信電界強度が前記電界強度閾値より大きくなる回数の比率が所定の割合を超えた時、前記返送電文の送信出力を小さくする、
    無線通信システム。
  3. 前記子機は、アラームを検出した場合、前記アラームの情報を含む送信電文を最大送信出力または前記電界強度閾値よりも大きい送信出力で送信する、
    請求項1または2記載の無線通信システム。
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