JP2022094790A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた濃度再現性を有し得るとともに、低湿環境で連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーの製造方法を提供すること。【解決手段】 トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有するトナー母粒子を得る工程、トナー母粒子に、有機ケイ素重合体粒子を外添する外添工程、及び有機ケイ素重合体粒子が外添された前記トナー母粒子を、熱風による表面処理を行って、前記有機ケイ素重合体粒子を前記トナー母粒子に固着させてトナー粒子を得る、熱風処理工程を含み、有機ケイ素重合体粒子は、式(1)で表されるT3単位構造を有する、ことを特徴とするトナーの製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、トナーの製造方法に関する。
電子写真用トナーにおいて、様々な環境や条件においても、安定した画像品位で出力できることへの要求が高まっている。このような要求の1つとして、連続した画像出力においても現像性が変動しにくく、画像不良が生じにくいことが求められている。また、トナーの現像性を変動させる要因の1つとして外添剤の脱離等が挙げられる。
特許文献1では、外添剤としてポリオルガノシルセスキオキサン微粒子の粒径とトナー粒子に含まれる結着樹脂との関係を制御することにより、画像濃度の低下や機内汚染を低減させることが開示されている。
特開2017-122873号公報
特許文献1に記載のトナーについて本発明者らが検討した結果、低湿環境で連続して画像出力を行った場合における、トナーの帯電性の経時的な変化についてより一層の改善が必要であることを認識した。
本発明の一態様は、優れた濃度再現性を有し得るとともに、低湿環境で連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーの製造方法を提供に向けたものである。
本発明の一態様は、トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有するトナー母粒子を得る工程、
前記トナー母粒子に、有機ケイ素重合体粒子を外添する外添工程、及び
前記有機ケイ素重合体粒子が外添された前記トナー母粒子を、熱風による表面処理を行って、前記有機ケイ素重合体粒子を前記トナー母粒子に固着させてトナー粒子を得る、熱風処理工程
を含み、
前記有機ケイ素重合体粒子は、下記式(1)で表されるT3単位構造を有する、
-SiO3/2 ・・・ (1)
(式(1)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
ことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明の一態様によれば、優れた濃度再現性を有し得るとともに、低湿環境で連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーの製造方法を提供できる。
本発明に係るトナーを製造する熱風を用いた表面処理装置の一例を示す図である。
数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
<発明に至った経緯>
T3単位構造を有する有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナーを用いると画像濃度の変動が生じにくく、優れた濃度再現性を有し得ることが知られている。これは、T3単位構造を有する有機ケイ素重合体粒子は機械的強度が過大になりにくく、トナー母粒子に埋め込まれにくいために、トナー粒子中の帯電が不均一になりにくいためであると本発明者らは考えている。
しかし、上記のトナーについて本発明者らが検討した結果、低湿環境において連続した画像出力を行った場合、トナーの帯電性の経時的な変化について、より一層の改善が必要であることを認識した。帯電性が変化するのは、上記の有機ケイ素重合体粒子とトナー母粒子との密着性が十分でない場合があり、有機ケイ素重合体粒子がトナー母粒子の表面から離れることが原因であると本発明者らは推測している。
上記の考察に基づき本発明者らが鋭意検討した結果、上記の構成要件を有する製造方法により、優れた濃度再現性を有し得るとともに、低湿環境で連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーが得られやすいことを見出した。以下に、推測しているメカニズム及び、それぞれの構成要件について詳細に説明する。
<本発明の効果が発現するメカニズム>
本発明の効果が発現するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
ポリエステル及び炭化水素ワックスを含有するトナー母粒子を得る際に、炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマーを用いることで、該トナー母粒子中の全体に、炭化水素ワックスが分散されやすくなる。
そして、トナー母粒子に有機ケイ素重合体粒子を外添した後に熱風処理工程を実施することで、トナー母粒子の表面付近に存在する炭化水素ワックスがトナー母粒子の表面に染み出し、染み出された炭化水素ワックスによって有機ケイ素重合体粒子が固着される。その結果、有機ケイ素重合体粒子がトナー母粒子の表面から離れにくくなり、連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーが得られやすくなる。
<トナー及びトナー粒子の製造方法>
トナーの製造方法は、炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有するトナー母粒子を得る工程を有する。
ポリエステル及び炭化水素ワックスと共に、炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマーを含有させることで、トナー母粒子が得られる過程において該グラフトポリマーが炭化水素ワックスの分散剤として働くと考えられる。これは、スチレンアクリル系樹脂の部分が、トナー母粒子中のポリエステルと親和性を示し、炭化水素化合物の部分がトナー母粒子中の炭化水素ワックスと親和性を示すためであると本発明者らは考えている。即ち、上記のグラフトポリマーは、スチレンアクリル樹脂部位及び炭化水素化合物部位を有することが好ましい。
また、トナー母粒子中に炭化水素ワックスを十分に分散させやすくなることで、後述する熱風処理工程において有機ケイ素重合体粒子の固着度のばらつきが生じにくくなると考えられる。その結果、優れた濃度安定性、帯電安定性を有するトナーが得られやすくなると考えられる。上記のグラフトポリマーは、スチレンアクリル系樹脂に炭化水素化合物がグラフト重合しているポリマーであることがより好ましい。
該炭化水素化合物は、炭化水素ワックスとの親和性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
上記のグラフトポリマー中の炭化水素化合物の含有割合は、5.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以上12.0質量%以下であることがより好ましい。
上記スチレンアクリル系樹脂は、特に限定される事はないが、飽和脂環式の基を有するビニル系モノマー(a)と、その他のモノマー(b)との共重合体であることが好ましい。
上記ビニル系モノマー(a)としては、例えば以下のものが挙げられる。
シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなど。これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートが好ましい。ビニル系モノマー(a)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記その他のモノマー(b)としては、例えば以下のものが挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン、p-アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー。その他のモノマー(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、極性調整のため、酸基や水酸基を付加するモノマーを上記の共重合体の構成成分として含有してもよい。酸基や水酸基を付加するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、アクリル酸2エチルヘキシルなどが挙げられる。
上記グラフトポリマーの酸価は、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以上35mgKOH/g以下であることがより好ましく、25mgKOH/g以上35mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価が上記の範囲内である場合、グラフトポリマーとポリエステルとの親和性が大きくなりやすく、それに伴い、炭化水素ワックスをトナー母粒子中に分散させやすくなると考えられる。
濃度再現性、帯電安定性及び部材汚染の観点から、上記グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)が5000~70000であることが好ましく、10000~50000であることがより好ましく、15000~35000であることがさらに好ましい。また、トナー母粒子中のグラフトポリマーの含有割合は、2.0~15.0質量%であることが好ましく、2.0~10.0質量%であることがより好ましく、2.0~7.0質量%であることがさらに好ましい。
<溶融混練工程及び粉砕工程>
トナー母粒子中の炭化水素ワックスが十分に分散されやすいため、上記のトナー母粒子を得る工程は溶融混練法による工程であることが好ましい。
即ち、トナーの製造方法は、炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有する混合物を溶融混練し、混練物を得る溶融混練工程、及び
該混練物を粉砕し、トナー母粒子を得る、粉砕工程、を有することが好ましい。
<外添工程及び熱風処理工程>
トナーの製造方法は、トナー母粒子に有機ケイ素重合体粒子を外添する外添工程、及び有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナー母粒子を、熱風による表面処理を行って、有機ケイ素重合体粒子をトナー母粒子に固着させてトナー粒子を得る、熱風処理工程を含む。
上記の外添工程の後に該熱風処理工程を実施することで、トナー母粒子の表面付近に存在する炭化水素ワックスがトナー母粒子の表面に染み出し、染み出した炭化水素ワックスが有機ケイ素重合体粒子を強く固着させる、と考えられる。その結果、外添された有機ケイ素重合体粒子が、トナー母粒子の表面から離れにくくなり、連続して画像出力を行った場合でも優れた帯電安定性を有し得るトナーが得られやすくなると考えられる。また、トナー母粒子中の炭化水素ワックスが十分に分散されており、トナー母粒子の表面に染み出す炭化水素ワックスの量が過大になりにくいと考えられるため、炭化水素ワックスによる部材汚染を生じさせにくくなる。
熱風処理工程における熱風処理条件としては、熱風処理温度が130℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上190℃以下であることがより好ましい。また、熱風処理時間は0.1ミリ秒以上100.0ミリ秒以下であることが好ましく、1.0ミリ秒以上10.0ミリ秒以下であることがより好ましい。熱風処理条件が上記の範囲内であれば、トナー母粒子の表面付近に存在する炭化水素ワックスがトナー母粒子の表面に染み出させやすく、有機ケイ素重合体粒子を固着させやすいと考えられる。
<溶融混練法>
以下、溶融混練法を用いた、トナーの製造手順について詳細に説明する。
まず、トナー原料として、ポリエステル、炭化水素ワックス、着色剤、並びにワックス分散剤などを所定量秤量して配合し、混合する。
該混合に使用される装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などがある。
次に、得られた混合物を溶融及び混練して、トナー原料を分散させる(溶融混練工程)。
溶融混練に使用される装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。連続生産できるなどの優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸又は2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
次に、得られた溶融混練物は、2本ロールなどで圧延され、水冷などで冷却する。
得られた冷却物は、所望の粒径にまで粉砕される。まず、クラッシャー、ハンマーミル、又はフェザーミルなどで粗粉砕され、さらに、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)などで微粉砕され、樹脂粒子を得る。得られた樹脂粒子を、所望の粒径に分級して、トナー母粒子を得る。分級に使用される装置としては、ターボプレックス、ファカルティ、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)などがある。
このようにして得られた、トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体粒子を外添する外添工程を経た後、熱風による表面処理を施し、必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得ることができる。
外添工程においてトナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体粒子を外添する方法は特に制限されるものではなく、トナー母粒子と有機ケイ素重合体粒子とを所定量秤量して配合して混合する。
また本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機微粒子や荷電制御剤、流動性付与剤などを同時に配合することもできる。
混合装置の例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーが好ましく挙げられる。この中でも、トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体粒子をより均一に付着させることができる点で、混合装置としてヘンシェルミキサーを用いることがより好ましい。
混合条件としては、混合羽根の回転速度が高いほど、混合時間が長いほど、トナー母粒子の表面に均一に有機ケイ素重合体粒子を付着させやすくなるため好ましい。ただし、混合羽根の回転数が高すぎたり、混合時間が長すぎたりすると、混合羽根との摩擦熱が高くなり、トナー母粒子が融着してしまうことがある。よって、混合羽根や、混合機に水冷ジャケットを設けるなどして、混合機を積極的に冷却することが好ましい。
混合羽根の回転数や、混合時間は、混合機内の温度が45℃以下となる範囲に調整することが好ましい。具体的には、混合羽根の最大周速は10.0~150.0m/秒であることが好ましく、混合時間は0.5~60分の範囲で調整することが好ましい。
また、外添工程は、1段階で行っても、2段階以上の多段階で行ってもよく、それぞれの段階で用いる混合装置、混合条件などは、同一であっても異なっていても良い。
有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナー母粒子の表面処理に使用される装置としては、熱風を用いてトナー母粒子の表面を溶融状態にする手段を有し、且つ、熱風を用いて処理されたものを冷風で冷却できる手段を有した装置であれば、特に制限されない。
上記装置としては、例えば、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業社製)などが例示できる。
以下、図1に示す熱処理装置を用いて、有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナー母粒子に、熱風による表面処理を実施する方法を具体的に例示する。該例示において、有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナー母粒子を、被処理物と記載する。
原料定量供給手段1により定量供給された被処理物は、圧縮気体流量調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した被処理物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室6に供給された被処理物は、処理室6内に設けられた被処理物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室6に供給された被処理物は、処理室6内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。供給された被処理物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる(なお、11は熱風供給手段出口を示す)。処理室6内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度(熱風処理温度)が130℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上190℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が上記の範囲内であれば、被処理物を加熱しすぎることによる融着や合一を防止しつつ、被処理物の表面に染み出させた炭化水素ワックスで有機ケイ素重合体粒子を固着させやすくなると考えられる。
熱風は熱風供給手段7から供給される。さらに熱処理された熱処理樹脂粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風の温度は-20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理した被処理物を効率的に冷却することができ、被処理物の融着や合一が生じにくいと考えられる。また、冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された被処理物は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された樹脂粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、回収手段10も、旋回された樹脂粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に接線方向に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平且つ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される被処理物の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前の被処理物に強力な遠心力がかかり分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナー粒子が得られやすい。
得られるトナーの平均円形度は0.958以上0.973以下とすることが好ましい。また、トナーの重量平均粒径(D4)は5.0~10.0μmであることが好ましい。
<有機ケイ素重合体粒子>
有機ケイ素重合体粒子は、下記式(1)で表されるT3単位構造を有する。
-SiO3/2 ・・・ (1)
(式(1)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
上記のT3単位構造を有する有機ケイ素重合体粒子は機械的強度が過大になりにくく、連続した画像出力等でトナーが摺擦等のストレスを受けた場合にも、有機ケイ素重合体粒子がトナー母粒子に埋め込まれ難くなると考えられる。その結果、トナー粒子中の帯電が不均一になりにくくなると考えられ、優れた濃度再現性を有し得るトナーが得られやすい。
また、有機ケイ素重合体粒子中の単位構造は上記のT3単位構造のみであることが好ましい。即ち、有機ケイ素重合体粒子はシルセスキオキサン粒子であることが好ましい。
T3単位構造は、有機ケイ素重合体粒子の製造時に、後述する三官能性シランをモノマーとして用いることで、有機ケイ素重合体粒子に含有させることができる。
また、上記の有機ケイ素重合体粒子は1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
<有機ケイ素重合体粒子の凸高さ>
有機ケイ素重合体粒子が、トナー母粒子の表面において、30nm以上300nm以下の凸高さを有することが好ましい。
該凸高さを30nm以上とすることで、トナー母粒子の表面に染み出した炭化水素ワックスが、周囲の部材を汚染しにくくなると考えられる。そのため、30nm以上であり、45nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましい。該凸高さを300nm以下とすることで、ケイ素重合体粒子がトナー母粒子から脱離しにくくなると考えられる。そのため、300nm以下であり、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。
上記の凸高さは、例えばケイ素重合耐粒子の粒径や、熱風処理工程における熱風処理温度、熱風処理時間を調整することにより、制御することができる。
<有機ケイ素重合体粒子の含有量>
トナー中の有機ケイ素重合体粒子の含有割合は、0.5~6.0質量%であることが好ましい。0.5質量%以上であると、優れた現像性を有するトナーが得られやすい。そのため、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。また、6.0質量%以下であると、トナー母粒子に対して有機ケイ素重合体粒子の量が過大になりにくく、十分な量の有機ケイ素重合体粒子がトナー母粒子の表面に固着されると考えられる。そのため、6.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。
<有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径>
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径は、50nm以上350nm以下であることが好ましく、80nm以上160nm以下であることがより好ましい。該個数平均粒径は、例えば、有機ケイ素重合体粒子の製造において、反応液の混合時間を調製すること等により、制御することができる。
<トナー母粒子に対する、有機ケイ素重合体粒子の固着率>
トナー母粒子に対する、有機ケイ素重合体粒子の固着率は60%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
該固着率が上記の範囲内であることで、トナー母粒子から有機ケイ素重合体粒子が離れにくくなると考えられるため好ましい。該固着率は、例えばケイ素重合耐粒子の粒径や、熱風処理温度、熱風処理時間を調整することにより、制御することができる。
<有機ケイ素重合体粒子の製造方法>
有機ケイ素重合体粒子の製法は特に限定されず、例えば水に少なくとも1種類以上の三官能性シラン(詳細は後述する)を滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られた懸濁液を濾過、乾燥して得ることができる。触媒の種類、配合比、反応開始温度、滴下時間などにより粒径をコントロールすることができる。
触媒としては酸性触媒及び塩基性触媒が挙げられる。酸性触媒を用いると加水分解反応が進行しやすく、塩基性触媒を用いると縮合反応が進行しやすいためである。
酸性触媒としては例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒としては例えば、アンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記T3単位構造を有する有機ケイ素重合体粒子は、下記のモノマー原料を重合させて得ることができる。
モノマー原料:下記式(2)で示され、下記式(2)中のRが炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、R、R、及びR10が、それぞれ独立して加水分解性基である有機ケイ素化合物を含有するモノマー原料。
上記有機ケイ素化合物を、以下、三官能性シランとも表記する。三官能性シランはモノマー原料中に1種が単独で含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。尚、三官能性シランのみを原料に用い、加水分解及び重縮合反応を行って得られるものは、シルセスキオキサンと呼ばれる。
Figure 2022094790000001
加水分解性基とは、加水分解反応の後にヒドロキシ基に変換される官能基、又はヒドロキシ基を意味する。
加水分解性基の例としては例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン官能基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基)、アルコキシ基、及びアシルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基が挙げられる。上記の中でも好ましくはアルコキシ基、アセトキシ基であり、さらに好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びアセトキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基である。これらの加水分解性基が加水分解されると、シラノール構造を有するため、そこから重縮合されることに十分な量のT3単位構造を有する有機ケイ素重合体粒子が得られやすいため好ましい。
また、上記モノマー原料は、例えば、下記の化合物を含有してもよい。
・式(2)中のR、R、R、及びR10が、それぞれ独立して加水分解性基である化合物(以下、四官能性シラン)、
・式(2)中のR及びRがそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、R及びR10がそれぞれ独立して加水分解性基である有機ケイ素化合物(以下、二官能性シラン)、
・式(2)中のR、R、及びRがそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、R10が加水分解性基である有機ケイ素化合物(以下、一官能性シラン)。
有機ケイ素重合体粒子中に、上記T3単位構造を十分な量含有させやすいため、モノマー原料中に含有される全てのモノマーの質量に対し、上記三官能性シランの質量が50~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。
上記四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
上記三官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、ペンチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
上記二官能性シランとしては、ジ-tert-ブチルジクロロシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記一官能性シランとしては、t-ブチルジメチルクロロシラン、t-ブチルジメチルメトキシシラン、t-ブチルジメチルエトキシシラン、t-ブチルジフェニルクロロシラン、t-ブチルジフェニルメトキシシラン、t-ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
<炭化水素ワックス>
炭化水素ワックスとは、炭素と水素を主として構成される疎水性の高いワックスを意味する。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。炭化水素ワックスは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。
トナー中の炭化水素ワックスの含有割合は、1.0~20.0質量%であることが好ましい。該含有割合が上記範囲内であると、炭化水素ワックスによる部材の汚染を生じさせにくく、且つ有機ケイ素重合体粒子を十分に固着させやすくなると考えられるため好ましい。
また、炭化水素ワックスの融点は、45~100℃であることが好ましく、70~100℃であることがより好ましい。炭化水素ワックスの融点が上記範囲内であると、熱風処理工程において、炭化水素ワックスがトナー母粒子の表面に染み出しやすく、有機ケイ素重合体粒子を固着させやすいと考えられるため好ましい。
<XPSによる分析>
X線光電子分光法によりトナー粒子の表面分析を行ったとき、
アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをSAlkylとし、エステル結合を構成している炭素原子に該当するピークの高さをSEsterとしたときの、SEster/SAlkylが0.005以下であることが好ましい。
上記の値が0.005以下であることで、トナー母粒子の表面に炭化水素ワックスが十分に染み出され、上述したように有機ケイ素重合体粒子がトナー母粒子から離れにくくなると考えられる。下限は特に制限されず、0.000以上である。
また、X線光電子分光法によりトナー粒子の表面から50nm深さの位置の分析を行ったとき、
アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをIAlkylとし、エステル結合を構成している炭素原子に該当するピークの高さをIEsterとしたときの、(IEster/IAlkyl)/(SEster/SAlkyl)が1.5以上であることが好ましい。1.5以上であることで、トナー粒子の表面から50nm深さの位置の炭化水素ワックスの量が少なくなっていることを意味しており、トナー母粒子の表面近傍に存在する炭化水素ワックスの量が過大になりにくいと考えられる。その結果、炭化水素ワックスによる部材の汚染を生じさせにくくなると、本発明者らは推測している。そのため、1.5以上であり、より好ましくは2.0以上であり、さらに好ましくは2.5以上である。
Ester/SAlkyl、及び(IEster/IAlkyl)/(SEster/SAlkyl)の値は、ワックス分散剤の種類及び量、熱風処理工程における熱風処理温度、熱風処理時間を調整することによって制御することができる。
<ポリエステル>
トナー母粒子はポリエステルを含有する。ポリエステルは1種を単独で用いても、複数種を併用してもよい。また、トナー母粒子は結着樹脂を含有し、結着樹脂中にポリエステルが60~100質量%含有されることが好ましい。より好ましくは、80~100質量%である。
ポリエステルは結晶性ポリエステルであっても非晶性ポリエステルあってもよいが、非晶性ポリエステルであることが好ましい。ポリエステルを製造する際は、酸成分及びアルコール成分を用いる通常のポリエステル合成法で製造することができる。ポリエステルの酸成分としては、カルボン酸化合物だけでなく、その酸無水物、酸ハロゲン化物、低級アルキルエステル等の誘導体であってもよい。
<非晶性ポリエステル>
非晶性ポリエステルの酸成分としては、以下の2価のカルボン酸化合物又はその誘導体が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類。
非晶性ポリエステルのアルコール成分としては、以下の2価のアルコール化合物が挙げられる。
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体、及び式(B)で示されるジオール類。
Figure 2022094790000002
非晶性ポリエステルの構成成分は、上述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物以外に、3価以上のカルボン酸化合物、及び/又は、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどが挙げられる。
非晶性ポリエステルの構成成分は、上述した化合物以外に、1価のカルボン酸化合物及び/又は1価のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられ、また、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸などが挙げられる。
1価のアルコール化合物としては、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
<各種添加剤>
トナーは必要により、着色剤、磁性体、荷電制御剤及び無機微粒子などから選ばれる1つ以上の添加剤を含有してもよい。
<着色剤>
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
着色剤としては例えば、以下のものが挙げられる。
黒色トナー用着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したもの。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の含有割合は、トナー母粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して、二成分現像剤として用いることもできる。
磁性キャリアとしては、例えば以下のものが挙げられる。
酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体など。また、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)なども挙げられる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、磁性キャリアとトナーの混合比率は、二成分現像剤中のトナー濃度が、2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては、特に制限されないが、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つポリマー、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つポリマー、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つポリマー、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンなど。
ポジ系荷電制御剤としては例えば以下のものが挙げられる。
四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、トナー母粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の含有割合は、トナー母粒子100.0質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
<無機微粒子>
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、セリア、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムなどの金属酸化物が挙げられる。無機微粒子は、官能基を有するシラン化合物や有機ケイ素化合物のような処理剤、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。有機微粒子の材料としては、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。無機微粒子は、トナー母粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
<各種測定方法等>
以下に、各種測定方法等について記載する。
<トナー母粒子の表面における有機ケイ素重合体粒子の凸高さ>
トナー粒子を測定試料とし、電子顕微鏡の試料台にカーボンテープを用いて測定試料を固定し、以下の条件で測定試料を観察する。トナー母粒子の表面からの法線が像面と並行になる領域を含むようにして以下の条件で像を取得する。
・使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製 SU8220
加速電圧:2kV
放射電流:10μA
像取得:2次電子検出器
像倍率:50000倍
解像度:1280×960
取得した像を、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いて以下のように有機ケイ素重合体粒子の凸高さの計測を行う。トナー母粒子の表面からの法線が像面と並行になっている領域に固着されている有機ケイ素重合体粒子について、トナー母粒子の表面と有機ケイ素重合体粒子の頂点までの画素数を求め、該画素数×1.98nmを凸高さとして計測する。1.98nmとは、上記像取得条件における1画素あたりの距離である。有機ケイ素重合体粒子100個について前述の計測を行い、その平均値を有機ケイ素重合体粒子の凸高さとする。
本発明に係るトナーから、トナー粒子を得るには下記の操作を行う。
イオン交換水10.3gにショ糖20.7g(キシダ化学社製)を溶解させたショ糖水溶液に、界面活性剤であるコンタミノンN(富士フィルム和光純薬社製)6ccを30ccのガラスバイアル(例えば、日電理化硝子社製、VCV-30、外径:35mm、高さ:70mm)に入れて十分混合し、分散液を作製する。このバイアルにトナーの粉末1.0gを添加し、トナーの粉末が自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この分散液を、振とう機(YS-8D型:ヤヨイ社製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうする。この後、遠心分離機を用いて3700rpmで30minの遠心分離を行い、脱離した粒子を分離し、吸引濾過を行うことでトナー粒子の粉末を採取し、乾燥させる。
<X線光電子分光(XPS)>
トナー母粒子の表面近傍における炭化水素ワックスの存在状態のX線光電子分光(XPS)装置による評価方法について説明する。トナー粒子の粉末を試料として、XPS装置の試料台にインジウムシートを用いて固定し、以下の条件で測定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al-Kα線
出力:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
測定対象:C1s
測定範囲:紛体300μm×200μm
上記条件で得られたC1s光電子スペクトルにおいて284.5eV付近の、アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをSAlkylとし、289.0eV付近の、エステル結合を構成する炭素原子に該当するピークの高さをSEsterとする。
上記測定を行った後、以下の条件でスパッタリングを行う。
・スパッタイオンガン:Arガスクラスターイオンビーム
・加速電圧:5kV
・スパッタリング領域:5mm×5mm
・スパッタリング深さ:測定試料の表面からの深さ50nm
「測定試料の表面からの深さ」とは、上記条件において膜厚既知のポリエステル膜をスパッタリングしてスパッタリングレートを算出し、試料としてのトナー粒子を上記条件でスパッタリングした際のスパッタ時間をスパッタリング深さとして換算したものである。
スパッタリング深さの位置で、上と同様の測定条件にて測定したC1s光電子スペクトルにおいて、アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをIAlkylとし、エステル結合を構成している炭素原子に該当するピークの高さをIEsterとする。
<有機ケイ素重合体粒子の同定方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の同定方法はSEMによる形状観察及びEDSによる元素分析を組み合わせて行うことができる。
走査型電子顕微鏡「S-4800(日立製作所製)」を用いて、最大5万倍に拡大した視野において、トナーを観察する。トナー母粒子表面にピントを合わせて、外添剤を観察する。外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子がケイ素原子を有する粒子であるか否かを判断する。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子とシリカ微粒子の両方が含まれている場合には、Si、Oの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで有機ケイ素重合体の同定を行う。有機ケイ素重合体粒子、シリカ微粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si、Oそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。有機ケイ素重合体粒子のSi/O比をAとし、シリカ微粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A,Bそれぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。
判別対象の微粒子のSi/O比が[(A+B)/2]よりもA側にある場合に、その微粒子を有機ケイ素重合体粒子と判断する。
有機ケイ素重合体粒子の標品として、トスパール120(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を、シリカ微粒子の標品として、HDK V15(旭化成)を用いる。
<有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定には、NMRを用いる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子に加えて、シリカ微粒子が含まれる場合、トナー1gをバイアル瓶に入れクロロホルム31gに溶解させ、分散させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R、コクサン社製)にて、58.33s-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、下層に比重の重いシリカ微粒子が含まれる。上層の有機ケイ素重合体粒子を含むクロロホルム溶液を採取して、クロロホルムを真空乾燥(40℃/24時間)にて除去しサンプルを作製する。
上記サンプル又は有機ケイ素重合体粒子を用いて、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比及び、有機ケイ素重合体粒子中のT3単位構造の割合を、固体29Si-NMRで測定・算出できる。
固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体粒子を構成するSiに結合する官能基数によって、異なるシフト領域にピークが検出される。各ピークの官能基数は標準サンプルを用いて特定することができる。また、得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することができる。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることができる。
固体29Si-NMRの測定条件は、例えば下記の通りである。
・装置:JNM-ECX5002 (JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay :180s
Scan:2000
上記Rの構造は、13C-NMRにより確認する。
13C-NMR(固体)の測定条件≫
・装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
上記測定条件にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)又はフェニル基(Si-C-)などに起因するシグナルの有無により、上記Rで表される炭化水素基を確認する。
<有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径>
有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800(日立製作所製)」を用いて行う。有機ケイ素重合体粒子、又は有機ケイ素重合体粒子が外添されたトナーを観察して、最大5万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の有機ケイ素重合体粒子の長径を測定し、一次粒子の個数平均粒径を求める。観察倍率は、有機ケイ素重合体粒子の大きさによって適宜調整する。
<トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の定量>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の含有割合は以下の方法で求めることができる。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナーをクロロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物を除去してから有機ケイ素重合体粒子の含有量を求める。
まず、プレスしたトナー試料に対して蛍光X線測定を行い、検量線法又はFP法などの解析処理を行うことでトナー試料中のケイ素の含有量を求める。
次に、固体29SiNMR及び熱分解GC/MSなどを用いて構造を特定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物について、その分子量からケイ素の質量比を求める。
蛍光X線で求めたトナー中のケイ素の含有量と、構成化合物中のケイ素の含有量比の関係から、計算によってトナー中の有機ケイ素重合体粒子の量を求めることができる。
<トナー母粒子に対する、有機ケイ素重合体粒子の固着率>
50mL容量のバイアルにコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の30質量%水溶液)20gを秤量し、トナー粒子1gと混合する。
いわき産業社製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50に設定して120秒間振盪する。これにより、有機ケイ素重合体粒子の固着状態に依っては、トナー母粒子の表面から分散液へ移行する。
その後、遠心分離機(H-9R、コクサン社製)(16.67s-1にて5分間)にて、トナー粒子と上澄み液に移行した有機ケイ素重合体粒子を分離し、分離したトナーを真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させる。乾固させたトナーを試料プレス成型機MAEKAWA Testing Machine(MFG Co,LTD製)を用いてペレット化してサンプルとする。具体的には、アルミリング(型番:3481E1)にトナー0.5gを入れて5.0トンの荷重に設定し1分プレスし、ペレット化する。
上記処理を行って得られるペレット化したサンプルに関して、下記に示す波長分散型蛍光X線分析(XRF)装置により、ケイ素の定量を行う。そして、上記処理を行う前のトナー粒子も、上記試料プレス成型機を用いてペレット化し、同様の操作でケイ素の定量を行う。
・使用装置:蛍光X線分析装置3080(理学電気社製)
(測定条件)
測定径:10mmφ
測定電位、電圧 50kV、50~70mA
2θ角度 25.12°
結晶板 LiF
測定時間 60秒
上記で得られるケイ素の定量値から、下記式を用いて、有機ケイ素重合体粒子の固着率を算出することができる。該固着率はサンプル100個の相加平均値を採用する。
有機ケイ素重合体粒子の固着率(%)=(処理後のペレット中のケイ素の定量値/処理前のペレット中のケイ素の定量値)×100
<最大吸熱ピークのピーク温度(融点)の測定>
試料の最大吸熱ピークのピークトップ温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TAインストルメント社製)を用いて、ASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、1回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。測定条件は以下の通りである。
昇温速度:10℃/分
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
トナーを試料とする場合において、吸熱ピーク(結着樹脂由来の吸熱ピーク)がワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっていない場合には、得られた最大吸熱ピークをそのままワックス及び結晶性樹脂に由来する吸熱ピークとして扱う。
一方、トナーを試料とする場合、ワックスの吸熱ピークと結晶性樹脂の吸熱ピークの判別が困難な場合がある。その場合、トナーからヘキサン溶媒を使用したソックスレー抽出によってワックスを抽出し、ワックス単体の示査走査熱量測定を上記方法で行い、得られた吸熱ピークとトナーの吸熱ピークを比較することにより判別する。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。該最大吸熱ピークのピーク温度を、融点とする。
<平均円形度の測定>
粒子試料の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。さらに粒子試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に上記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。上記手順に従い調整した分散液を上記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
<酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。酸価はJIS K 0070-1992に準じ、以下のように測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。上記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、上記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、上記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した上記水酸化カリウム溶液の量から求める。上記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として上記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、上記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(即ちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<分子量測定>
試料の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<重量平均粒径(D4)の測定>
重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように上記専用ソフトの設定を行う。
上記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の(1)~(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに上記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに上記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に上記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、粒子試料を約10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いて粒子試料を分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、本発明を製造例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。また、実施例中における測定結果は、上記した測定方法で測定した。
<有機ケイ素重合体粒子1の製造例>
(第一工程)
温度計、撹拌機を備えた反応容器に、水を360.0部、濃度5.0質量%の塩酸を15.0部添加して均一溶液とした。これを反応温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン135.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過を行い、透明な反応液を得た。
(第二工程)
温度計、撹拌機、滴下装置を備えた反応容器に、水を540.0部、濃度10.0質量%のアンモニア水を17.0部添加して均一溶液とした。これを反応温度35℃で撹拌しながら、第一工程で得られた反応液100部を1.20時間かけて滴下し、6時間撹拌して懸濁液を得た。得られた懸濁液を遠心分離器にかけて微粒子を沈降させて取り出し、温度200℃の乾燥機で24時間乾燥させ、有機ケイ素重合体粒子1を得た。有機ケイ素重合体粒子1の一次粒子の個数平均粒径130nmであった。
<有機ケイ素重合体粒子2~4の製造例>
第一工程及び第二工程のそれぞれにおいて、反応温度、各種添加量、滴下時間を表1に記載の様に変更した以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして、有機ケイ素重合体粒子2~4を得た。有機ケイ素重合体粒子2~4の一次粒子の個数平均粒径を表1に示す。
Figure 2022094790000003
表1における略号は以下の通り。
MTMS:メチルトリメトキシシラン
<ポリエステルの製造例>
<低分子量のポリエステル(L)の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.8)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:76.6部(0.17モル、多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:17.4部(0.10モル、多価カルボン酸総モル数に対して72.0mol%)
・アジピン酸:6.0部(0.04モル、多価カルボン酸総モル数に対して28.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記材料を秤量して投入した。次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
その後、0.1部のtert-ブチルカテコールを加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃で1時間反応させ、反応物の軟化点が90℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性ポリエステル(L)を得た。反応中の、反応物の軟化点ASTM D36-86に従って測定した。
得られた非晶性ポリエステル(L)は、ピーク分子量(Mp)が5000、軟化点(Tm)が90℃、ガラス転移温度(Tg)が52℃であった。
<高分子量のポリエステル(H)の製造例>
・ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.2部(0.20モル、多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:13.2部(0.08モル、多価カルボン酸総モル数に対して48.0mol%)
・アジピン酸: 8.2部(0.06モル、多価カルボン酸総モル数に対して34.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記材料を秤量した。次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・トリメリット酸:6.3部(0.03モル、多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、反応物の軟化点が140℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性ポリエステル(H)を得た。反応中の、反応物の軟化点ASTM D36-86に従って測定した。
得られた非晶性ポリエステル(H)は、ピーク分子量(Mp)が8700、軟化点(Tm)が142℃、ガラス転移温度(Tg)が57℃であった。
<グラフトポリマーの製造例>
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレンを300.0部、ポリプロピレン(融点90℃)を10.0部投入して充分溶解し、窒素置換した。その後、180℃に昇温した反応槽中に、下記材料を混合した混合溶液を3時間滴下して重合した。
・スチレン 68.0部
・メタクリル酸 5.0部
・メタクリル酸シクロヘキシル 5.0部
・ブチルアクリレート 12.0部
・キシレン 250.0部
滴下後、180℃で30分間保持して脱溶剤を行い、グラフトポリマーを得た。得られたグラフトポリマーの酸価は30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)は25000、軟化点(Tm)は125℃、ガラス転移温度(Tg)は64℃であった。
<トナー母粒子1の製造例>
・非晶性ポリエステル(L) 70.0部
・非晶性ポリエステル(H) 30.0部
・グラフトポリマー 5.0部
・フィッシャートロプシュワックス 5.0部
(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度(融点)が90℃)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5分で混合した後、温度150℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、池貝社製)にて溶融及び混練し、溶融混錬物を得た。得られた溶融混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業社製)にて微粉砕し、微粉砕物を得た。得られた微粉砕物に対して、ファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー母粒子1を得た。ファカルティF-300の運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
<トナー母粒子2の製造例>
・非晶性ポリエステル(L) 70.0部
・非晶性ポリエステル(H) 30.0部
・フィッシャートロプシュワックス 5.0部(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度(融点)が90℃)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
上記材料を用いたこと以外は、トナー母粒子の製造例1と同様にしてトナー母粒子2を得た。
〔トナーの製造例1〕
・トナー母粒子1:100.0部
・有機ケイ素重合体粒子1:2.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機社製)に投入し、回転羽根の周速を35m/秒とし、混合時間5分で混合することにより、トナー母粒子1の表面に、有機ケイ素重合体粒子1を付着させた。
次に、図1に示す熱風を用いた表面処理装置により処理を行った。
表面処理装置の条件は、原料供給速度が1.0kg/hr、熱風流量が1.4m/分、熱風処理温度が180℃、熱風処理時間5ミリ秒、冷風温度が3℃、冷風流量が1.2m/分、絶対水分量が3.0g/mに設定し、表面処理を行った。
次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(「エルボージェットラボEJ-L3」、日鉄鉱業社製)で、微粉及び粗粉を同時に分級除去して熱風処理物を得た。
続いて、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製FM-75型)に、上記の熱風処理物を100.0部、疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、一次粒子の個数平均径120nm)を2.0部、疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、一次粒子の個数平均径10nm)を1.0部投入した。その後、30℃の温度下で回転羽根の周速を35m/秒、混合時間8分に設定して混合を行い、45μmの目開きの篩を通してトナー1を得た。トナー1の物性を表2に示す。
〔トナーの製造例2~7〕
トナー母粒子の種類、有機ケイ素重合体粒子の種類、熱風処理温度を表2に記載するように変更した以外は、トナーの製造例1と同様の操作を行い、トナー2~7を得た。得られたトナー2~7の物性を表2に示す。
〔トナーの製造例8〕
ヘンシェルミキサー(「FM-75型」、三井三池化工機社製)に、トナー母粒子2を100.0部、有機ケイ素重合体粒子1を2.0部投入した。そして、回転羽根の周速を35m/秒とし、混合時間20分で混合することにより、トナー母粒子2の表面に、有機ケイ素重合体粒子1を付着させた粒子8を得た。
次に、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製FM-75型)に、上記の粒子8を100.0部、疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、一次粒子の個数平均径120nm)を2.0部、疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、一次粒子の個数平均径10nm)を1.0部投入した。そして、温度30℃、回転羽根の周速を35m/秒、混合時間8分に設定して行い、45μmの目開きの篩を通してトナー8を得た。得られたトナー8の物性を表2に示す。
〔トナーの製造例9〕
トナー母粒子1の代わりにトナー母粒子2を、有機ケイ素重合体粒子の代わりに、疎水性シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンで表面処理、一次粒子の個数平均径120nm)を、用いたこと以外はトナーの製造例1と同様の操作を行い、トナー9を得た。得られたトナー9の物性を表2に示す。
Figure 2022094790000004
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量及び混合工程)
Fe 62.7部
MnCO 29.5部
Mg(OH) 6.8部
SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合し、粉砕物を得た。
・工程2(仮焼成工程)
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りであった。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393であった。
・工程3(粉砕工程)
上記仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライトを100部、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕し、スラリーを得た。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程)
上記フェライトスラリーに、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウムを1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコールを2.0部添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子をロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程)
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から1300℃まで2時間かけて昇温し、その後、1150℃に降温して、該温度で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で凝集した粒子を取り出した。
・工程6(選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品を除き、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8部
・メチルメタクリレートモノマー 0.2部
・トルエン 31.3部
・メチルエチルケトン 31.3部
・マクロモノマー(下記式(M)で表され、式(M)中のM’が下記式(M’)で示されるメタクリル酸メチル重合体。重量平均分子量が5000のマクロモノマー。) 8.4部
Figure 2022094790000005
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素雰囲気にした後、80℃まで加温した。その後、2.0部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合した。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
得られた被覆樹脂1を30部、トルエン40部、及びメチルエチルケトン30部に溶解させ、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
・重合体溶液1(固形分30質量%) 33.3部
・トルエン 66.4部
・カーボンブラック(Regal330、キャボット社製) 0.3部
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸収量75ml/100g)
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂の被覆)
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を、100部の磁性コア粒子1に対して、樹脂の固形分が2.5部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。
得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1に対し、トナー1~9をそれぞれ、トナー濃度が8.0質量%になるように添加し、V型混合機(V-10型:徳寿製作所製)を用い0.5s-1、回転時間5分の条件で混合し、二成分現像剤1~9を得た。
Figure 2022094790000006
<実施例1>
上記二成分現像剤1~9を用いて、評価を行った。
下記の評価においては、画像形成装置として、デジタル商業印刷用プリンター(商品名:imageRUNNER ADVANCE C9075 PRO、キヤノン社製)の改造機を用いた。改造点としては、静電潜像担持体又は紙上のトナーの載り量を調節できるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、レーザーパワーを変更できるようにした点であった。シアン位置の現像器に二成分現像剤1を入れ、下記の評価を行った。
<濃度再現性の評価>
以下の反射濃度となるように設定したハーフトーン画像を、常温低湿環境(温度23℃/湿度5RH%、以下「N/L環境」ともいう)で、それぞれのパターンごとに5000枚ずつ出力した。5000枚目に出力された画像の反射濃度が、設定された反射濃度の範囲外となったパターンがいくつあるかで、濃度再現性を評価した。各パターンにおいて設定された反射濃度の範囲外となったパターンが2つ以下であるものを、本発明の効果が得られているものと判断した。
画像の反射濃度はX-Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X-Rite 404A)を用いて測定した。
パターン1:反射濃度0.10~0.13
パターン2:反射濃度0.25~0.28
パターン3:反射濃度0.45~0.48
パターン4:反射濃度0.65~0.68
パターン5:反射濃度0.85~0.88
パターン6:反射濃度1.05~1.08
パターン7:反射濃度1.25~1.28
パターン8:反射濃度1.45~1.48
<帯電安定性の評価>
交番電界のピーク間の電圧(Vpp)を1.3kVに固定し、N/L環境において出力される、シアン単色のベタ画像の反射濃度が1.50になるように、Vdcを設定し、該設定でシアン単色のベタ画像を2万枚出力した。その後、上記の設定のままVdcのみを調整し、画像濃度1.50になるVdcを求め、最初に設定したVdcとの差の値で二成分現像剤の帯電安定性を評価した。該評価においては、最初に設定したVdcとの差の値が小さいほど、連続した画像出力前後においても二成分現像剤の帯電量の変化が小さいことを意味している。反射濃度は、分光濃度計500シリーズ(X-Rite社製)を用いて測定した。
<部材汚染の評価>
まず、未使用の二成分現像剤1を用いて、電界分離によりトナーからキャリアを分離して、分離したキャリアに対してXPS分析を行い、C1s光電子スペクトルを得た。該スペクトルにおいて、キャリアの被覆樹脂中のエステル構造に該当するピーク(289eV付近)の強度を強度Aとした。
続いて、上記の画像形成装置を用い、トナー載り量が0.90mg/cmになるように設定したベタ画像を5000枚出力し、その後に現像器から二成分現像剤1を取り出した。そして、取り出した二成分現像剤1に対して電界分離を行い、トナーからキャリアを分離して、分離したキャリアに対してXPS分析を行い、C1s光電子スペクトルを得た。該スペクトルにおいて、キャリアの被覆樹脂中のエステル構造に該当するピーク(289eV付近)の強度を強度Bとした。
上記の強度A及び強度Bを用い、下記式で算出される減少率(%)を用いて部材汚染の評価を行った。
・減少率(%)=(強度A-強度B)/強度A
上記の減少率が35%以下であるものを本発明の効果が得られているものと判断した。
ここで、キャリアの被覆樹脂中のエステル構造に該当するピークが減少するのは、現像機内におけるトナーとキャリア間での摺擦により、キャリア表面に炭化水素ワックスが付着する事によるものである。
<実施例2~6及び比較例1~3>
二成分系現像剤2~9を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2022094790000007
1 原料定量供給手段
2 圧縮気体流量調整手段
3 導入管
4 突起状部材
5 供給管
6 処理室
7 熱風供給手段
8 冷風供給手段
9 規制手段
10 回収手段
11 熱風供給手段出口
12 分配部材
13 旋回部材
14 粉体粒子供給口

Claims (11)

  1. トナー粒子を有するトナーの製造方法であって、
    炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有するトナー母粒子を得る工程、
    前記トナー母粒子に、有機ケイ素重合体粒子を外添する外添工程、及び
    前記有機ケイ素重合体粒子が外添された前記トナー母粒子を、熱風による表面処理を行って、前記有機ケイ素重合体粒子を前記トナー母粒子に固着させてトナー粒子を得る、熱風処理工程
    を含み、
    前記有機ケイ素重合体粒子は、下記式(1)で表されるT3単位構造を有する、
    -SiO3/2 ・・・ (1)
    (式(1)中、Rは炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. X線光電子分光法により前記トナー粒子の表面分析を行ったとき、
    アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをSAlkylとし、エステル結合を構成している炭素原子に該当するピークの高さをSEsterとしたときの、SEster/SAlkylが0.005以下であり、
    X線光電子分光法により前記トナー粒子の表面から50nm深さの位置の分析を行ったとき、
    アルキル基を構成する炭素原子に該当するピークの高さをIAlkylとし、エステル結合を構成している炭素原子に該当するピークの高さをIEsterとしたときの、(IEster/IAlkyl)/(SEster/SAlkyl)が1.5以上である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記(IEster/IAlkyl)/(SEster/SAlkyl)が2.5以上である請求項2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記有機ケイ素重合体粒子が、前記トナー母粒子の表面において、30nm以上300nm以下の凸高さを有する請求項1~3の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記トナー中の前記有機ケイ素重合体粒子の含有割合が、0.5~6.0質量%である請求項1~4の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径が50nm以上350nm以下である請求項1~5の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記トナー母粒子に対する、前記有機ケイ素重合体粒子の固着率が60%以上である請求項1~6の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  8. 前記熱風処理工程における熱風処理時間が、0.1ミリ秒以上100.0ミリ秒以下であり、熱風処理温度が、130℃以上300℃以下である
    請求項1~7の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記トナー中の前記炭化水素ワックスの含有割合が、1.0~20.0質量%である請求項1~8の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  10. 前記炭化水素ワックスの融点が、45~100℃である請求項1~9の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
  11. 前記トナー母粒子を得る工程が、
    炭化水素化合物とスチレンアクリル系樹脂とのグラフトポリマー、ポリエステル、及び炭化水素ワックスを含有する混合物を溶融混練し、混練物を得る溶融混練工程、及び
    前記混練物を粉砕し、トナー母粒子を得る、粉砕工程、
    である請求項1~10の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
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