JP2022093073A - 電極シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを効率的に製造する方法を提供すること。【解決手段】集電体10上に電極層11が断続的に形成された電極シート1を製造する方法であって、結着剤を含む結着前駆層12pを前記集電体10上に断続的に形成する結着前駆層形成工程と、電極活物質を含む電極合材13mを前記結着前駆層12pが形成された前記集電体10上に配置し、これらをプレスすることで、前記電極活物質を含む電極活物質層13が前記結着剤を含む結着層12上に一体化された電極層11を形成し電極シート1を得るプレス工程と、前記プレス工程後の前記電極シート1に振動を加えて、前記集電体10上であり前記結着層12以外の部分に配置された前記電極合材13mをふるい落とす振動工程と、を具備する、電極シート1の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電装置に使用可能な電極シートの製造方法に関する。
蓄電装置に使用する電極として、板状や箔状等の集電体上に電極活物質層が形成されたものが知られている。電極活物質層は、一般に、正極活物質または負極活物質から選ばれる電極活物質と、当該電極活物質を集電体に繋ぎ止めるための結着剤とを含有する。
このような電極を製造する方法として、従来から、電極活物質や結着剤を含むスラリー状の電極合材を集電体上に塗布し乾燥する方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
上記の電極を効率的に製造する方法として、先ず、集電体上に複数の電極活物質層を断続的に形成した一続きの電極シートを製造し、次いで、この電極シートを適宜裁断することで、複数の電極を一度に製造する方法が考えられる。この場合、電極シートには、電極活物質層が形成された部分と当該電極活物質層が形成されていない部分とを設け、電極活物質層が形成されていない部分において電極シートを裁断するのが良いと考えられる。以下、必要に応じて、電極シートのうち電極活物質層が形成されている部分を塗工部と称し、電極シートのうち電極活物質層が形成されていない部分を未塗工部と称する。
特許文献3には、塗工部と未塗工部とを交互に形成して電極シートを製造する方法について開示されている。
ところで、蓄電装置の出力を増大させる等の目的で、電極活物質層の厚さを増大させた所謂厚目付の電極が要求される場合がある。この場合、集電体の単位面積あたりに塗布する電極合材の量を増大させるのが有効と考えられるが、スラリー状の電極合材を集電体に厚く塗布することは困難であり、現実的ではない。
厚目付の電極を製造するためには、固形分の比較的高い湿潤状態の電極合材を用いるのが有効と考えらえる(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4には、電極活物質と結着剤とを含む湿潤状態の電極合材を用いて電極を製造する技術が紹介されている。特許文献4の〔0021〕段落~〔0027〕段落には、ロールプレス式の成型転写装置を用いて、固形分濃度が70質量%程度の湿潤状態の電極合材を集電体の表面に圧着した後、乾燥させることにより、電極を製造できる旨が記載されている。
米国特許出願公開第2004/0101630号明細書 特開2018-152189号公報 特開2011-98283号公報 特開2016-103433号公報
ここで、上記した厚目付の電極を製造する場合、集電体上に形成された電極合材層の厚みが過大になり、当該電極合材層と集電体との密着性、ひいては電極活物質層と集電体との密着性を十分に高め難い場合がある。複数の電極の集合体としての電極シートでありかつ厚目付のものを製造する場合であれば、複雑なパターンの電極活物質層を集電体に精密に一体化する必要があるために、電極活物質層と集電体との密着性を高めるのはなおさら困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを製造し得る新規な方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の電極シートの製造方法は、
集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを製造する方法であって、
結着剤を含む結着前駆層を前記集電体上に断続的に形成する結着前駆層形成工程と、
電極活物質を含む電極合材を前記結着前駆層が形成された前記集電体上に配置し、これらをプレスすることで、前記電極活物質を含む電極活物質層が前記結着剤を含む結着層上に一体化された前記電極層を形成して電極シートを得るプレス工程と、
前記プレス工程後の前記電極シートに振動を加えて、前記集電体上であり前記結着層以外の部分に配置された前記電極合材をふるい落とす振動工程と、を具備する、電極シートの製造方法である。
本発明の電極シートの製造方法は、集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを製造し得る新規な方法である。
実施例の製造方法、および、実施例の製造方法で用いる電極製造装置を模式的に説明する説明図である。 実施例の製造方法におけるプレス工程を説明する説明図である。 実施例の製造方法における振動工程を説明する説明図である。 実施例の製造方法における振動工程を説明する説明図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の電極シートの製造方法は、集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを製造する方法であって、
結着剤を含む結着前駆層を前記集電体上に断続的に形成する結着前駆層形成工程と、
電極活物質を含む電極合材を前記結着前駆層が形成された前記集電体上に配置し、これらをプレスすることで、前記電極活物質を含む電極活物質層が前記結着剤を含む結着層上に一体化された前記電極層を形成して電極シートを得るプレス工程と、
前記プレス工程後の前記電極シートに振動を加えて、前記集電体上であり前記結着層以外の部分に配置された前記電極合材をふるい落とす振動工程と、を具備する方法である。
本発明の電極シートの製造方法で得られる電極シートは、集電体上に電極層が断続的に形成されたものであり、当該電極層は結着層及び電極活物質層を有する。各々の当該電極層は、電極活物質層が結着層に含まれる結着剤を介して集電体上に結着されたものともいい得る。つまり、本発明の製造方法によると、複数の電極活物質層の各々が結着層を介して集電体に強固に一体化された電極シートを得ることが可能であり、また、当該電極活物質層を厚目付にすることも可能である。
さらに本発明の電極シートの製造方法は、プレス工程後の電極シートに振動を加えて、集電体上であり結着層以外の部分に配置された電極合材をふるい落とす振動工程を具備する。このため本発明の電極シートの製造方法においては、結着層の前駆体である結着前駆層上にのみ電極合材を配置するのではなく、当該結着前駆層が形成されていない集電体上にも電極合材を配置でき、これらをともにプレスすることができる。これにより、本発明の電極シートの製造方法によると、結着前駆層さえ望み通りの寸法に形成できれば、集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを効率よく製造できる。
つまり、本発明の電極シートの製造方法によると、製造する対象が複数の電極層を有する複雑な形状の電極シートであるにも拘らず、当該電極シートを効率良くかつ精度高く製造することが可能である。
以下、本発明の電極シートの製造方法および本発明の電極シートの製造方法で得られる電極シートを、構成要素ごとに説明する。なお、以下、必要に応じて、本発明の電極シートの製造方法を、単に本発明の製造方法、実施例の製造方法等と称する場合がある。また、必要に応じて、本発明の製造方法で得られた電極シートを、本発明の電極シート、実施例の電極シート等と称する場合がある。
本発明の製造方法で得られる本発明の電極シートは、集電体上に電極層が断続的に形成されたものであり、既述したように、複数の電極の集合体ともいい得る。電極層は、集電体の一方の面にのみ形成されても良いし、両方の面に形成されても良い。電極層が集電体の両方の面に形成される場合、一方の面に形成される電極層と他方の面に形成される電極層とが同種(具体的には、負極と負極、または正極と正極)であっても良いし、異種(具体的には、負極と正極)であっても良い。
電極シートには、集電体上に電極層が形成された部分すなわち塗工部と、集電体上に電極層が形成されていない部分すなわち未塗工部とが交互に形成される。塗工部は電極として機能し、未塗工部は電極タブとして機能する。したがって、本発明の電極シートを裁断することで、電極タブ付きの電極を同時に複数個得ることができる。
集電体としては、一般的なものを選択すれば良い。例えば、集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体の形状や厚さは特に限定しないが、本発明の製造方法におけるプレス工程を後述するようにロールプレスにより行う場合には、集電体は箔状をなすのが好ましい。ここで言う箔状とは、シート状、フィルム状、リボン状等を含む概念であり、厚さ1mm以下かつ幅及び長さが厚さよりも大きいものを指す。
結着層は、結着剤を含むものであり、当該結着剤以外の成分を含み得る。一般的な結着剤は、溶剤に溶解または分散された状態で使用されるために、結着層の前駆層である結着前駆層は、当該結着剤を溶解する溶剤を含み得る。さらに、結着層は、集電体から電極活物質層までの導電パスを確保するために、導電助剤を含むのが好適である。結着層は、結着剤及び導電助剤を主成分とするのが好ましい。なお、本明細書でいう主成分とは、その対象に、固形分全体の質量を基準として90質量%以上含まれることを意味するものとする。
結着層および結着前駆層に含まれる結着剤は、集電体と電極活物質層とを結着する機能を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。
以下、必要に応じて、結着層に含まれる結着剤を第1の結着剤と称し、後述する電極活物質層に含まれる結着剤を第2の結着剤と称して両者を区別する場合がある。なお、特に説明が無ければ、単に結着剤という場合には上記の第1の結着剤と第2の結着剤とを総称するものとする。
第1の結着剤としては、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)などのゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、アクリル酸やメタクリル酸などのモノマー単位を含むアクリル系樹脂を例示することができる。また、第1の結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基が例示される。親水基を有するポリマーの具体例として、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p-スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)を挙げることができる。ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。なお、第1の結着剤としては、上記の各種の結着剤を単独で用いても良いし2種以上を併用しても良い。
結着前駆層に含まれる溶剤は、主に本発明の電極シートの製造時において、第1の結着剤を溶解または分散させるために用いられる。電極シートの柔軟性向上等を目的として、溶剤の一部を電極シートに残存させる場合もある。この場合には、当該溶剤が結着層にも残存し得る。
溶剤は、第1の結着剤の種類に応じて適宜適切に選択し、使用すれば良い。結着層と電極活物質層との密着性を考慮すると、溶剤として、第1の結着剤と第2の結着剤との両方を溶解可能なものを用いるのが好ましい。
結着前駆層及び結着層に含まれる導電助剤は、化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(VaporGrownCarbonFiber)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて電極材料に添加することができる。
結着前駆層及び結着層は、第1の結着剤及び導電助剤に加えて、その他の材料を含有し得る。当該その他の材料としては、既述した溶剤や各種の添加剤等が例示される。結着層中の当該その他の材料の含有割合は10%以下であるのが好適であるが、特に限定されない。
結着層における第1の結着剤と導電助剤との割合は特に限定しないが、優れた結着性と優れた導電性とを両立させるためには、第1の結着剤と導電助剤との好ましい割合は、質量比で、20:80~80:20の範囲内、30:70~70:30の範囲内、または40:60~60:40の範囲内であるのが好ましい。結着前駆層についても同様である。
また、結着層における第1の結着剤の量としては、結着層の固形分全体に対して、20~80質量%の範囲内、30~70質量%の範囲内、または40~60質量%の範囲内を例示できる。結着層における導電助剤の量としては、結着層の固形分全体に対して、20~80質量%の範囲内、30~70質量%の範囲内、または40~60質量%の範囲内を例示できる。結着前駆層についても同様である。
結着層の厚さは、その組成や電極活物質層の厚さに応じて適宜設定できるが、好ましい範囲として、1μm~30μmの範囲内、3μm~20μmの範囲内または5μm~15μmの範囲内を例示できる。
電極合材及び電極活物質層は、電極活物質を含むものであり、当該電極活物質以外の成分を含み得る。当該電極活物質以外の成分としては、第2の結着剤、溶剤、導電助剤およびその他の添加剤が例示される。
このうち第2の結着剤は、電極活物質層に電極活物質を結着するために使用される。
第2の結着剤としては、第1の結着剤として例示したものの中から一種以上を適宜選択すればよい。第2の結着剤は、第1の結着剤と同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。
電極合材に用いられる溶剤は、結着層に用いられる溶剤と同様に、第2の結着剤を溶解または分散させるために用いられ、場合によっては電極シートに残存する。この場合、電極活物質層にも溶剤が残存し得る。溶剤の種類は、第2の結着剤の種類応じて適宜適切に選択すれば良く、既述したように、第1の結着剤と第2の結着剤との両方を溶解できるものが好適である。
電極活物質は、正極用の正極活物質と負極用の負極活物質の何れに対しても適用可能であり特に限定しない。正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。
同様に、負極活物質としては、電荷担体を吸蔵及び放出し得る材料が使用可能である。したがって、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はない。たとえば、負極活物質としてLiや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すればよい。合金又は化合物の具体例としては、Ag-Sn合金、Cu-Sn合金、Co-Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質として、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、又は、Li3-xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
電極合材及び電極活物質層は、その他、導電助剤や各種の添加剤等を含み得る。
このうち導電助剤は、集電体から電極活物質までの導電パスを確保するために用いられる。電極活物質層用の導電助剤については結着層用の導電助剤として例示したものを好適に使用できる。電極活物質層用の導電助剤は、結着層用の導電助剤と同一のものであっても良いし異なるものであっても良い。
電極活物質層における電極活物質の量としては、電極活物質層の固形分全体に対して50~99質量%の範囲内、70~99質量%の範囲内、または80~95質量%の範囲内を例示できる。
電極活物質層における第2の結着剤の量としては、電極活物質層の固形分全体に対して0.5~15質量%の範囲内、2~10質量%の範囲内を例示できる。
電極活物質層における導電助剤の量としては、電極活物質層の固形分全体に対して0.5~15質量%の範囲内、2~10質量%の範囲内を例示できる。
電極合材についても同様に、電極合材の固形分全体に対して上記範囲内の電極活物質、第2の結着剤、または導電助剤を含有するのが好ましい。
以下、本発明の製造方法を具体的に説明する。
本発明の製造方法は、既述したように、結着前駆層形成工程、プレス工程および振動工程を具備する。
本発明の製造方法において、結着前駆層形成工程において集電体上に形成された結着前駆層は、結着層の前駆体であり、プレス工程においてプレスおよび必要に応じて乾燥および/または加熱されることにより、結着層となる。また、プレス工程において当該結着前駆層上に配置された電極合材は、同じくプレス工程においてプレスおよび必要に応じて乾燥および/または加熱されることにより、層状をなす電極活物質層を形成する。
上記したように、電極活物質層は、結着前駆層に由来する結着層上に一体化される。換言すると、電極合材は、結着前駆層に含まれる結着剤によって結着層に結着され、結着層上に層状をなす電極活物質層を形成する。したがって、集電体上において、結着前駆層が形成された部分には、結着層と電極活物質層とが一体化された電極層が形成される。
一方、集電体上において、結着前駆層が形成されていない部分には、当該電極層や電極活物質層は形成されない。つまり、集電体のうち結着前駆層が形成されず集電体が露出している部分に電極合材を配置してプレス等しても、当該電極合材は集電体上に十分な強度で結着できず、電極活物質層は形成されない。したがって、プレス工程後における集電体の当該部分には、電極合材が、集電体と結合せずに遊離した状態で残存する。換言すると、プレス工程後の電極シートは、電極層が形成された塗工部と、電極層が形成されない未塗工部とを有し、当該未塗工部上には電極合材が未塗工部を構成する集電体から遊離した状態で残存する。なお、このとき集電体上すなわち未塗工部上に残存する電極合材は、溶剤を含まない固形分のみであっても良いし、未塗工部に部分的に結着または凝着していても良い。
本発明の製造方法では、プレス工程後の電極シートに振動を加えて、上記した集電体上であり結着層以外の部分に配置された電極合材をふるい落とす振動工程を具備する。当該振動工程により、上記したように未塗工部上に残存する電極合材を効率良く除去でき、塗工部と未塗工部とを有する本発明の電極シートを効率良く製造することが可能である。
結着前駆層形成工程は、第1の結着剤を含む結着前駆層を形成できれば良く、その方法は特に限定しない。
例えば、結着前駆層用の結着合材として、導電助剤と、結着前駆層用の溶剤に溶解された第1の結着剤とを含み、流動性に優れるものを用いることができる。換言すると、結着合材としては、溶剤の量が比較的多く固形分の量が比較的少ないスラリー組成物を用い得る。そして当該結着合材を、ダイコータやグラビアコータ等を用いたロール塗布、スプレーコータやインクジェットコータ等を用いたスプレー塗布等の基地の方法で、集電体上に塗布し、結着前駆層を形成すれば良い。
結着前駆層形成工程により得られた結着前駆層は、プレス工程開始時において、結着合材に含まれる溶剤の多くが残存する湿潤状態であっても良いし、当該溶剤の多くが蒸発した乾燥状態であっても良い。なお、本明細書においては、結着合材に含まれる揮発成分、すなわち固形分以外の成分が、30質量%以上残存する場合に、結着前駆層が湿潤状態であるという。当該揮発成分は溶剤を主成分とする。
プレス工程において電極合材を結着前駆層に強く結着させて電極活物質層を精密に形成するためには、プレス工程開始時において、結着前駆層は溶剤の多くが残存する湿潤状態であるのが好ましい。換言すると、プレス工程開始時において、結着前駆層は、結着剤と溶剤とを含む湿潤層であるのが好ましい。
結着前駆層に残存する揮発成分のより好ましい範囲として、結着合材に含まれる揮発成分の40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上の各範囲を例示できる。
プレス工程においては、先ず、上記の結着前駆層形成工程を経て結着前駆層が形成された集電体上に、電極合材を配置する。そして、集電体と、当該集電体上に形成された結着前駆層と、当該結着前駆層が形成された集電体上に配置された電極合材と、をプレスする。
プレス工程に用いる電極合材は、接着合材と同様に、流動性に優れるスラリー組成物を用いることもできるが、湿潤粉体を用いることもできる。
ここで、本明細書における湿潤粉体とは、既述した電極合材に相当し、電極活物質、第2の結着剤に加えて溶剤を含むものの、流動性の乏しいものを意味する。湿潤粉体を用いることで、厚目付の電極活物質層を容易に形成することが可能である。
湿潤粉体は、例えば、溶剤中に固形分が70質量%~99%の範囲で分散されているのがよい。湿潤粉体における固形分の割合としては、例えば下限値として70質量%、75質量%、80質量%を採用することができ、上限値としては90質量%を採用することができる。
なお、本明細書中における湿潤粉体と、スラリー組成物とはその粘度によって区別することも可能である。両者を区別するための指針を例示すると、粘度が10万Pa・s以上である場合に湿潤粉体、10万Pa・s未満であるときにスラリー組成物と扱うことができる。なお、確実にスラリー組成物であるとすることができる粘度の上限としては10Pa・sが例示できる。あるいは、湿潤粉体とスラリー組成物とを区別するための他の指針として、両者の固形分率が3質量%以上異なることを例示できる。
電極合材として、流動性に優れる、すなわち溶剤の量が比較的多く固形分の量が比較的少ないスラリー組成物を用いる場合には、結着前駆層に含まれる第1の結着剤の多くが当該スラリー組成物に含まれる溶剤に溶解してしまい、結着層に因る密着性向上機能が十分に発揮されない虞がある。
これに対して、電極合材として湿潤粉体を用いる場合には、電極合材としてスラリー組成物を用いる場合に比べて、結着前駆層に含まれる第1の結着剤が電極合材に含まれる溶剤に過剰に溶解することを抑制でき、結着層に因る密着性向上機能を十分に発揮させることが可能である。
当該湿潤粉体としては、単に電極活物質、第2の結着剤および溶剤を混合したものを用いても良いし、適宜造粒したものを用いても良い。造粒された湿潤粉体は、粉粒体としての挙動を示す。
湿潤粉体が造粒されたものである場合、当該造粒体状の湿潤粉体の粒径としては1mm以下であることが好ましい。当該粒径の下限値としては50μmであることが好ましい。当該粒径は、画像解析等により算出することが可能である。具体的には、顕微鏡下における湿潤粉体像につき、その外接円の直径を当該湿潤粉体の粒径とすれば良い。
本明細書において、特に説明のない場合、湿潤粉体とは、造粒されたものと造粒されていないもののとの両方を指すものとする。
結着前駆層上に配置する電極合材は、既述したように、電極活物質、第2の結着剤に加えて溶剤を含む。電極合材用の溶剤としては、第2の結着剤に対する溶解性のあるものを用いれば良いが、電極活物質層を結着層上に強固に一体化するためには、第2の結着剤および第1の結着剤に対する溶解性のあるものを用いるのが好ましい。こうすることで、結着層に含まれる第1の結着剤と電極活物質層に含まれる第2の結着剤とが三次元的に混ざり合い、結着層と電極活物質層との耐剥離性を高め得る。
電極合材用の溶剤と結着合材用の溶剤とは同じものであっても良い。加えて、第1の結着剤と第2の結着剤ともまた同一の結着剤であっても良い。
プレス工程において、電極合材は、結着前駆層上にのみ配置しても良いが、電極シートの製造効率の向上を図るためには、結着前駆層が形成された集電体上の全面に配置するのが好ましい。
プレス工程に用いるプレス装置としては、既知の種々のものを用い得るが、電極合材が湿潤粉体である場合には、電極活物質層が厚目付となることから、曲面状のプレス面を有する二つのロールの間で対象物をプレスする、ロールプレス装置を用いるのが好適である。この場合、結着前駆層が形成された集電体を、結着前駆層側を露出させつつ一方のロールに沿わせて搬送し、二つのロールの間に電極合材を供給することで、集電体、結着前駆層及び電極合材を一体にプレスすることができる。これにより、結着層及び当該結着層上に一体化された電極活物質層を有する電極層を形成し、電極シートを得ることが可能である。
本発明の製造法では、振動工程において、上記したプレス工程後の電極シートに振動を加えることで、集電体上であり結着層以外の部分に配置された電極合材をふるい落とす。この時振動を加える箇所は、電極シート自体であっても良いし、プレス装置であっても良いし、電極シートを搬送する搬送装置であっても良い。結着層や電極活物質層の損傷を回避するためには、搬送装置またはプレス装置に振動を加え、その振動を電極シートに伝達させることで、電極シートに間接的に振動を加えるのが好ましく、プレス工程に与える影響を考慮すると、搬送装置に振動を加えるのが因り好ましい。
電極シートに直接振動を加える場合には、電極シートのうち結着層や電極活物質層の無い未塗工部に振動を加えるのが好ましい。
電極シートに直接的又は間接的に振動を加えるための振動装置としては、特に限定は無く、既知のものを用いることができる。当該振動装置の一例として、モータの回転により振動を生じるモータ型のバイブレータや、空気圧を利用したエア型のバイブレータ等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例および比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例)
実施例の電極シートは、リチウムイオン二次電池用の正極の集合体である。実施例の電極シートの製造方法を以下に説明する。
実施例の製造方法、および、実施例の製造方法で用いる電極製造装置を模式的に説明する説明図を図1に示す。実施例の製造方法におけるプレス工程を説明する説明図を図2に示す。実施例の製造方法における振動工程を説明する説明図を図3~図4に示す。
先ず、実施例の製造方法で用いる電極製造装置EAについて説明する。以下、上流側、下流側とは、集電体および電極シートの搬送方向における上流側、下流側を意味するものとする。また、上、下、長手方向、幅方向とは、図1に示す上、下、長手方向、幅方向をそれぞれ意味するものとする。なお、長手方向、幅方向とは、集電体および電極シートの長手方向、幅方向と一致する。
実施例の製造方法で用いる電極製造装置EAは、図1に示すように、集電体10および電極シート1を搬送するための搬送装置2、結着前駆層12pを塗工形成するための塗工装置3、電極合材13mを供給するためのフィーダ4、電極層11を形成するためのロールプレス装置5、電極合材13mをふるい落とすための振動装置6、および、個々の電極(図略)を回収するための電極回収装置(図略)が一体化されたものである。
このうち搬送装置2は、集電体ロール21、ガイドロール22、第1搬送ロール23および第2搬送ロール24を具備する。集電体ロール21およびガイドロール22は、その軸方向を幅方向に向けている。ガイドロール22、第1搬送ロール23および第2搬送ロール24ならびに後述する第1プレスロール51および第2プレスロール52をはじめとするその他のロールに関しても同様に、軸方向は幅方向を向く。
集電体ロール21にはシート状の集電体10が巻かれており、集電体ロール21が回転することによって当該集電体10がその長手方向に巻き出される。
ガイドロール22は当該集電体ロール21よりも下流側に位置し、集電体ロール21から巻き出された集電体10または電極シート1の位置や向きをガイドするとともに、自身が回転することで集電体10または電極シート1を搬送する役割を担う。
実施例においては、ガイドロール22はロールプレス装置5の下流側かつ図略の電極回収装置の上流側に配置されている。なお、電極製造装置EAはガイドロール22を一つのみ有しても良いし、複数有しても良い。
第1搬送ロール23および第2搬送ロール24は、ガイドロール22よりもさらに下流側かつ図略の電極回収装置の上流側に配置されている。
第1搬送ロール23および第2搬送ロール24は、互いに逆方向に回転可能であり、互いに隙間をもって配置されている。第1搬送ロール23および第2搬送ロール24は、当該隙間にロールプレス装置5を経た電極シート1を挟みつつ回転することにより、電極シート1を下流側に搬送する。
塗工装置3は、集電体10上に結着合材12mを塗布形成するための複数のノズル31nを有するスプレーコータ31と、複数の窓部32wを有し当該スプレーコータ31と集電体10との間に配置されるマスク32と、を具備する。マスク32の窓部32wは、結着前駆層12pの形に対応した形状であり、スプレーコータ31によってマスク32を介して集電体10に結着合材12mを吹き付けることにより、窓部32wの形状に対応した複数の結着前駆層12pを一度に形成することが可能である。なお、結着前駆層12pの周縁部、主として隣り合う結着前駆層12pの間は、マスク32により隠されて、結着前駆層12pが形成されないため、集電体10が露出する。後述するように、この集電体10が露出する部分は、電極シート1における未塗工部19となる。
ロールプレス装置5は、第1プレスロール51および第2プレスロール52を具備する。第1プレスロール51および第2プレスロール52は互いに逆方向に回転可能である。
第1プレスロール51および第2プレスロール52は、各々、曲面状のプレス面51s、52sを有する。第1プレスロール51のプレス面51sと第2プレスロール52のプレス面52sとの間には、所定の隙間が設けられている。当該隙間には、結着前駆層12pが形成されかつ電極合材13mが配置された集電体10が挟まれる。当該隙間の大きさは集電体10の厚みや当該集電体10の表面に形成すべき電極層11の厚み等に応じて適宜適切に設定でき、例えば、50μm~350μmが好適である。
なお、実施例の電極製造装置EAにおける搬送装置2は、集電体10を、下流側に搬送する。集電体10を挟む第1プレスロール51および第2プレスロール52は、搬送装置2による集電体10の搬送に従動して回転するため、第1プレスロール51の周速度は集電体10および電極シート1の搬送速度と等しい速度である。
フィーダ4は、集電体10の上方に配置され、集電体10上に電極合材13mを供給する役割を担う。フィーダ4は、第1プレスロール51上の集電体10の上面に、単位面積あたりで一定量になるように電極合材13mを供給する。
フィーダ4によって電極合材13mを第1プレスロール51と第2プレスロール52との間に供給しつつ、第1プレスロール51のプレス面51s上に集電体10を供給する。これにより、電極合材13mは、第1プレスロール51と第2プレスロール52との間で圧縮されつつ、第2プレスロール52によって、第1プレスロール51のプレス面51s上に供給された集電体10に押圧される。
ここで、第2プレスロール52上に配置される電極合材13mを低減し、第1プレスロール51上にある集電体10上により多くの電極合材13mを配置するために、実施例の電極製造装置EAにおいては、第1プレスロール51の周速度を第2プレスロール52の周速度よりも速くしている。周速度の比{(第1プレスロール)/(第2プレスロール)}は、3.0~1.1程度であることが好ましく、特に2.8~1.5程度であることが好ましい。
振動装置6は、搬送装置2のガイドロール22に取り付けられている。詳しくは図示しないが、振動装置6は、空気を利用して、偏心したロータを回転させることで振動を生じるエア型のロータリーバイブレータである。振動装置6の振動は、ガイドロール22に伝達し、更には当該ガイドロール22が搬送しガイドする集電体10および電極シート1に伝達する。したがって、当該振動装置6は電極シート1に間接的に振動を加えるといい得る。
ガイドロール22の下方には、電極シート1から振り落とされた電極合材13mを受けるための、図略の回収容器が配置されている。回収された電極合材13mは再利用することも可能である。
電極回収装置は、第1搬送ロール23および第2搬送ロール24よりもさらに下流側に配置され、図略のロータリーダイカッターおよび図略の乾燥炉を具備する。
ロータリーダイカッターは、電極シート1を隣り合う電極層11の間の未塗工部19で裁断し、電極シート1から未塗工部に由来する電極タブ付きの電極を、複数個形成する。乾燥炉は、当該電極を減圧乾燥させることで、当該電極に残存する溶剤を揮発させる。
以下、実施例の製造方法につき説明する。
(結着前駆層形成工程)
第1の結着剤としてCMC12.5質量部およびSBR37.5質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック50質量部と、を適量の水に溶解または分散させて、結着合材12mを得た。
当該結着合材12mを、図1に示す塗工装置3のスプレーコータ31に充填し、当該スプレーコータ31のノズル31nを介して集電体10としての銅箔上に吹き付けることで、結着前駆層12pを形成した。
このとき、搬送装置2により集電体10を搬送しつつ結着前駆層12pを形成することで、集電体10上にはその長手方向に沿って、多数の結着前駆層12pが断続的に順次形成された。
(プレス工程)
〔電極合材〕
第2の結着剤としてCMC0.8質量部およびSBR4.2質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部と、電極活物質としてリン酸鉄リチウム(LFP)90質量部と、に25質量部の水を加えて、撹拌混合することで、電極合材13mを得た。当該電極合材13mは湿潤粉体であり、その固形分は80質量%であった。
〔プレス〕
上記の電極合材13mをフィーダ4に供給し、ロールプレス装置5における第1プレスロール51と第2プレスロール52との間に、上側から、電極合材13mを供給した。電極合材13mは、第1プレスロール51上を搬送される集電体10の上に配置され、第2プレスロール52によって集電体10に向けて押し付けられた。
このとき、集電体10上において、結着前駆層12pの上に配置された電極合材13mは、圧縮されつつ当該結着前駆層12pに一体化された。これにより、電極活物質層13が形成された。このとき結着前駆層12もまた圧縮され、かつ、当該結着前駆層12に含まれる溶剤が一部揮発して、結着前駆層12pに由来する結着層12が形成された。したがって、このとき、結着層12上に電極活物質層13が一体化された電極層11が形成され、電極シート1が得られた(図2)。
既述したように、結着前駆層12pは、集電体10上に断続的に複数設けられているため、電極層11もまた、集電体10上に断続的に複数設けられた。
ここで、結着前駆層12pは集電体10上に所定の間隔をおいて形成されているために、隣り合う結着前駆層12p同士の間には集電体10が露出する。集電体10に押圧された電極合材13mのうち、結着前駆層12p上に配置されたものは当該結着前駆層12pに十分な結着力で結着するが、集電体10が露出している部分に配置されたものは集電体10にも結着前駆層12pにも十分に結着しない。このため、図2に示すように、集電体10上には、遊離のまたは一部凝集した電極合材13mが残存する。
(振動工程)
図1に示すように、上記のプレス工程後の電極シート1は、第1プレスロール51および第2プレスロール52の下流側において、ガイドロール22に供給され、当該ガイドロール22によって位置や向きをガイドされつつさらに下流側に搬送される。
実施例の電極製造装置EAにおいて、ガイドロール22には振動装置6が取り付けられている。そして、当該振動装置6が生じる振動は、ガイドロール22を介して電極シート1に伝達される。つまり、このとき電極シート1には振動が加えられる。
図3に示すように、電極シート1に振動が加えられると、集電体10上に残存する遊離のまたは一部凝集した電極合材13mは電極シート1からふるい落とされる。これにより、図4に示すように、電極シート1には、塗工部18すなわち電極層11が形成された部分と、未塗工部19すなわち集電体10が露出する部分とが形成される。既述したように、未塗工部19は電極タブとして利用される。
以上の工程により、実施例の電極シートが得られた。
なお、振動工程後、図示しない電極回収装置により、電極シート1を未塗工部19で裁断することで、電極タブ付きの電極を複数形成し、さらに、当該電極を乾燥炉で乾燥させることでリチウムイオン二次電池に使用される電極が得られた。
実施例の製造方法によると、集電体10上に複数の電極層11が断続的に形成された電極シート1であって、各電極層11に含まれる電極活物質層13が各々結着層12を介して集電体10に強固に一体化されたものを製造することが可能である。また、電極活物質層13が結着層12により集電体10に結着されるために、電極活物質層13を厚目付にしても電極活物質層13と集電体10との密着性を十分に確保することが可能である。
実施例の製造方法によると、振動工程により、集電体10上であり結着層12以外の部分に配置された電極合材13mをふるい落とすことで、集電体10上に電極層11が断続的に形成された電極シート1を効率よく製造することが可能である。
1:電極シート
10:集電体 11:電極層
12:結着層 12m:結着合材 12p:結着前駆層
13:電極活物質層 13m:電極合材
18:塗工部 19:未塗工部
EA:電極製造装置
2:搬送装置
21:集電体ロール 22:ガイドロール
23:第1搬送ロール 24:第2搬送ロール
3:塗工装置
31:スプレーコータ 32:マスク
4:フィーダ
5:ロールプレス装置
51:第1プレスロール 52:第2プレスロール
6:振動装置

Claims (5)

  1. 集電体上に電極層が断続的に形成された電極シートを製造する方法であって、
    結着剤を含む結着前駆層を前記集電体上に断続的に形成する結着前駆層形成工程と、
    電極活物質を含む電極合材を前記結着前駆層が形成された前記集電体上に配置し、これらをプレスすることで、前記電極活物質を含む電極活物質層が前記結着剤を含む結着層上に一体化された前記電極層を形成して電極シートを得るプレス工程と、
    前記プレス工程後の前記電極シートに振動を加えて、前記集電体上であり前記結着層以外の部分に配置された前記電極合材をふるい落とす振動工程と、を具備する、電極シートの製造方法。
  2. 前記振動工程は、前記プレス工程後の前記電極シートを搬送する搬送装置を振動させることで行う、請求項1に記載の電極シートの製造方法。
  3. 前記プレス工程開始時において、前記結着前駆層は、前記結着剤と溶剤とを含む湿潤層である、請求項1または請求項2に記載の電極シートの製造方法。
  4. 前記プレス工程開始時において、前記電極合材は、前記電極活物質と溶剤とを含む湿潤粉体である、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の電極シートの製造方法。
  5. 前記湿潤粉体の固形分は70質量%以上である、請求項4に記載の電極シートの製造方法。
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