JP2022080827A - フラックス及びソルダペースト - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明の第1の態様は、ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、活性剤とを含有し、前記チキソ剤は、下記一般式(1)で表される化合物及びポリアマイドを含み、前記ポリアマイドは、脂肪族カルボン酸及びヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸からなる群より選択される1種類以上と、アミンとの縮合物であり、且つ、示差走査熱量測定による吸熱ピークの温度が120℃以上200℃以下である、フラックスである。
本実施形態のフラックスは、ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、活性剤とを含有する。
ロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、並びに該原料ロジンから得られる誘導体が挙げられる。
該誘導体としては、例えば、精製ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、酸変性ロジン、酸変性水添ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。
ロジンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ロジンとしては、上記の中でも、重合ロジン、酸変性水添ロジン及び水添ロジンからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
酸変性水添ロジンとしては、アクリル酸変性水添ロジンを用いることが好ましい。
本実施形態のフラックスにおいて、溶剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、テルピネオール類等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、1,2-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,2′-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、メチルプロピレントリグルコール、ブチルプロピレントリグルコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
溶剤としては、グリコールエーテル系溶剤を用いることが好ましく、この中でも、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルを用いることが好ましい。
溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスにおいて、チキソ剤は、一般式(1)で表される化合物及び特定のポリアマイド(PA1)を含む。
本実施形態のフラックスでは、下記一般式(1)で表される化合物が用いられる。
下記一般式(2)で表される化合物は、上記一般式(1)中、nが1であり、R0aは-NH-C(=O)-R12であり、R0bはR0b1であり、R0cはR22である。
R11又はR12が置換基を有する場合、前記置換基としては、例えば、-CONH2、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基等が挙げられる。
R0b1が置換基を有する場合、前記置換基としては、-CONH2、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも、R0b1が有し得る置換基は、-CONH2であることが好ましい。
mは、1であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物は、N,N-ビス(2-ステアロアミドエチル)-アゼライカミド又はN,N-ビス(2-ステアロアミドエチル)-セバカミドであることが好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物は、上記一般式(1)中、nが2であり、mは、1であり、R0bはR0b2である。
R11及びR11’は、それぞれ、置換基を有してもよい炭素数14~25の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数14~20の炭化水素基であることがより好ましい。
R11及びR11’が置換基を有する場合、前記置換基としては、例えば、-CONH2、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基等が挙げられる。
R0b2は、置換基を有してもよい炭素数5~10の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有してもよい炭素数6~9の炭化水素基であることがより好ましい。
R0b2が置換基を有する場合、前記置換基としては、-CONH2、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基等が挙げられる。
R0a及びR0a’は、それぞれ、飽和炭化水素基又は水素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物は、上記一般式(2)又は上記一般式(3)で表される化合物であることが好ましく、上記一般式(3)で表される化合物であることがより好ましい。
前記フラックス中の、上記一般式(1)で表される化合物の含有量は、フラックスの総量(100質量%)に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のフラックスでは、特定のポリアマイド(PA1)が用いられる。特定のポリアマイド(PA1)は、脂肪族カルボン酸及びヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸からなる群より選択される1種類以上と、アミンとの縮合物である。
特定のポリアマイド(PA1)は、「脂肪族カルボン酸と、アミンとの縮合物」、「ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸と、アミンとの縮合物」、及び「ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸と、脂肪族カルボン酸と、アミンとの縮合物」を包含する。
特定のポリアマイド(PA1)の示差走査熱量測定による吸熱ピークの温度は、120℃以上200℃以下である。
前記脂肪族カルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。前記脂肪族カルボン酸は、モノカルボン酸又はジカルボン酸であることが好ましく、ジカルボン酸であることがより好ましい。
前記脂肪族カルボン酸の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸の炭素数としては、12~22が好ましく、14~22がより好ましく、16~22が更に好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸は、パルミチン酸又はステアリン酸であることが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸の炭素数としては、2~20が好ましく、6~16がより好ましく、8~14が更に好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸は、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸又はドデカン二酸であることが好ましく、セバシン酸又はドデカン二酸であることが更に好ましい。
前記脂肪族カルボン酸は、セバシン酸及びドデカン二酸からなる群より選択される1種以上と、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群より選択される1種以上と、を含むものであってもよい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸の炭素数としては、10~25が好ましく、15~21がより好ましい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸としては、例えば、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、ヒドロキシヘプタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸(ヒドロキシステアリン酸)、ヒドロキシエイコサン酸、ヒドロキシヘンエイコサン酸等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸は、ヒドロキシステアリン酸であることが好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸であることがより好ましい。
前記アミンとしては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミンが挙げられる。前記アミンは、脂肪族アミンであることが好ましい。
前記アミンとしては、例えば、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等が挙げられる。前記アミンは、ジアミンであることが好ましい。
前記脂肪族アミンの炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。前記脂肪族アミンの炭素数としては、3~10が好ましく、4~8がより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4-ジアミノジフェニルメタン、ブタン-1,1,4,4-テトラアミン、ピリミジン-2,4,5,6-テトラアミン等が挙げられる。前記アミンは、ヘキサメチレンジアミンであることが好ましい。
具体的な吸熱ピークの測定方法としては、窒素雰囲気下、約10mgのポリアマイドを、昇温速度を20℃/minに設定し、25℃から350℃まで昇温することにより測定する方法とする。測定機器としては、DSC7020(日立ハイテクサイエンス製)を用いることができる。本明細書において、吸熱ピークの温度は、ピークトップの温度を意味する。
吸熱ピークの個数が1個の場合、その吸熱ピークの温度は、150℃以上200℃以下であることが好ましく、160℃以上200℃以下であることがより好ましく、170℃以上200℃以下であることが更に好ましく、180℃以上200℃以下であることが特に好ましい。
吸熱ピークの個数が2個以上の場合、ポリアマイド(PA1)は、例えば、最も低い温度の吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよいし、最も高い温度の吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよいし、全ての吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよい。
最も高い温度の吸熱ピークの温度は、150℃以上200℃以下であることが好ましく、160℃以上200℃以下であることがより好ましく、170℃以上200℃以下であることが更に好ましく、180℃以上200℃以下であることが特に好ましい。
ポリアマイド(PA1)のDSCによる測定で、160℃以上200℃以下の範囲における吸熱量の割合が、前記下限値以上であることにより、リフローの際の加熱だれを十分に抑制することができる。特に、予備加熱の温度が高められた場合でも、例えば、190℃以上、更に200℃以上の場合であっても、加熱だれを抑制することができる。
本明細書において、ポリアマイドの吸熱量は、ポリアマイドのDSC曲線のピーク面積から算出することができる。
ポリアマイド(PA1)のDSCによる測定で、50℃以上180℃以下の範囲における吸熱量の割合は、50℃以上200℃以下の範囲における総吸熱量に対して、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のフラックスに含まれる特定のポリアマイド(PA1)は、ジカルボン酸と、ヒドロキシ基含有モノカルボン酸と、ジアミンとの縮合物であることがより好ましい。
本実施形態のフラックスに含まれる特定のポリアマイド(PA1)は、炭素数が8~14である脂肪族ジカルボン酸と、炭素数が15~21であるヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸と、炭素数が4~8である脂肪族ジアミンとの縮合物であることが更に好ましい。
これらの中でも、ポリアマイド(PA1)は、セバシン酸及びドデカン二酸からなる群より選択される1種以上と、12-ヒドロキシステアリン酸と、ヘキサメチレンジアミンとの縮合物であることが特に好ましい。
ポリアマイド(PA1)は、セバシン酸及びドデカン二酸からなる群より選択される1種以上と、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群より選択される1種以上と、12-ヒドロキシステアリン酸と、ヘキサメチレンジアミンとの縮合物であってもよい。
ここで、ポリアマイド(PA1)の原料として用いる、脂肪族ジカルボン酸をXモル、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸をYモル、脂肪族ジアミンをZモルとする。
原料に含まれている化合物のアミノ基の総モル数は、カルボキシル基の総モル数と等しいか、あるいは、原料に含まれている化合物のアミノ基の総モル数は、カルボキシル基の総モル数よりも少ないことが好ましい。具体的には、2Z≦2X+Yを満たすことが好ましい。
原料間のモル比の関係は、0.2Y≦X≦2Yであることが好ましく、0.4Y≦X≦1.5Yであることがより好ましい。
原料間のモル比の関係は、0.5Y≦Z≦2Yであることが好ましく、0.8Y≦Z≦1.8Yであることがより好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物及び特定のポリアマイド(PA1)の合計の質量(100質量%)に対する、上記一般式(1)で表される化合物の割合は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、15質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。
チキソ剤は、上記一般式(1)で表される化合物及びポリアマイド(PA1)に加えて、その他のチキソ剤を含んでもよい。
その他のチキソ剤としては、例えば、上記以外のアマイド系チキソ剤、ワックス系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
その他のチキソ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、p-トルアミド、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等が挙げられる。
ビスアミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、メチレンビスオレイン酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、芳香族ビスアミド等が挙げられる。
その他のポリアミドとしては、飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等が挙げられる。
前記フラックス中の、ワックス系チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上3質量%以下であることが更に好ましい。
前記フラックス中の、ソルビトール系チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0質量%以上3.5質量%以下がより好ましい。
前記フラックス中の、その他のチキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0質量%以上5質量%以下がより好ましい。
前記フラックス中の、チキソ剤の合計の質量(100質量%)に対する、その他のチキソ剤の割合は、0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
活性剤としては、例えば、有機酸、ハロゲン系活性剤、アミン等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)、グリシン、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジエチルグルタル酸、2-キノリンカルボン酸、3-ヒドロキシ安息香酸、プロピオン酸、リンゴ酸、p-アニス酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ピメリン酸、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
有機酸は、ジカルボン酸であることが好ましい。
ジカルボン酸は、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、グルタル酸、アジピン酸及びアゼライン酸からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
ハロゲン系活性剤としては、例えば、ハロゲン化脂肪族化合物、アミンハロゲン化水素酸塩等が挙げられる。
ハロゲン系活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素を反応させた化合物であり、アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
本実施形態のフラックスは、ハロゲン化脂肪族化合物を含むことが好ましい。
ハロゲン化脂肪族化合物は、トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオールであることが好ましい。
アミンとしては、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-ウンデシルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-エチル-4′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′-tert-ブチル-5′-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6′-tert-ブチル-4′-メチル-2,2′-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1′,2′-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-フェニルテトラゾール等が挙げられる。
アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アミンは、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾールからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
また、本実施形態のフラックスは、ロジン、溶剤、チキソ剤及び活性剤に加えて、更に、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、着色剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体等が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、例えば、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
本実施形態のソルダペーストは、はんだ合金粉末と、上述したフラックスと、を含有する。
はんだ合金粉末は、Sn-Pb系、あるいは、Sn-Pb系にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
はんだ合金粉末は、Pbを含まないはんだであることが好ましい。
ソルダペースト中、フラックスの含有量は、ソルダペーストの全質量に対して5~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
かかる他の実施形態において、フラックスは、ロジンと、溶剤と、特定のチキソ剤と、活性剤とを含有する。
かかる他の実施形態のフラックスにおいて用いられるロジンとしては、上述したものが挙げられる。
ロジンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
他の実施形態のフラックス中の、ロジンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して30質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
かかる他の実施形態のフラックスにおいて用いられる溶剤としては、上述したものが挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
かかる他の実施形態のフラックス中の、溶剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、35質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
かかる他の実施形態のフラックスは、特定のチキソ剤として、ポリアマイド(PA2)を含む。
ポリアマイド(PA2)は、脂肪族カルボン酸及びヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸からなる群より選択される1種類以上と、炭素数3~10の脂肪族アミンとの縮合物である。
すなわち、ポリアマイド(PA2)は、ポリアマイド(PA1)の原料であるアミンを、炭素数3~10の脂肪族アミンに特定したものである。
前記脂肪族カルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。前記脂肪族カルボン酸は、モノカルボン酸又はジカルボン酸であることが好ましく、ジカルボン酸であることがより好ましい。
前記脂肪族カルボン酸の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸の炭素数としては、12~22が好ましく、14~22がより好ましく、16~22が更に好ましい。
前記脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸は、パルミチン酸又はステアリン酸であることが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸の炭素数としては、11~20が好ましく、12~18がより好ましく、12~16が更に好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸は、ドデカン二酸であることが好ましい。
前記脂肪族カルボン酸は、ドデカン二酸と、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群より選択される1種以上と、を含むものであってもよい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸の炭素数としては、10~25が好ましく、15~21がより好ましい。
前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸としては、例えば、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸、ヒドロキシヘプタデカン酸、ヒドロキシオクタデカン酸(ヒドロキシステアリン酸)、ヒドロキシエイコサン酸、ヒドロキシヘンエイコサン酸等が挙げられる。前記ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸は、ヒドロキシステアリン酸であることが好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸であることがより好ましい。
ポリアマイド(PA2)が由来するアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等が挙げられる。前記アミンは、ジアミンであることが好ましい。
前記脂肪族アミンの炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。前記脂肪族アミンの炭素数としては、4~8が好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよい。前記炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ブタン-1,1,4,4-テトラアミン等が挙げられる。前記脂肪族アミンは、ヘキサメチレンジアミンであることが好ましい。
ポリアマイド(PA2)は、炭素数が12~20である脂肪族ジカルボン酸と、炭素数が15~21であるヒドロキシ基含有モノカルボン酸と、炭素数が4~8である脂肪族ジアミンとの縮合物であることがより好ましい。
これらの中でも、ポリアマイド(PA2)は、ドデカン二酸と、12-ヒドロキシステアリン酸と、ヘキサメチレンジアミンとの縮合物であることが更に好ましい。
ポリアマイド(PA2)は、ドデカン二酸と、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群より選択される1種以上と、12-ヒドロキシステアリン酸と、ヘキサメチレンジアミンとの縮合物であってもよい。
ポリアマイド(PA2)のDSCによる測定で、50℃以上190℃以下の範囲における吸熱量は、50℃以上200℃以下の範囲における総吸熱量に対して、好ましくは90%以上であり、より好ましくは92%以上であり、更に好ましくは94%以上である。
ポリアマイド(PA2)のDSCによる測定で、50℃以上195℃以下の範囲における吸熱量は、50℃以上200℃以下の範囲における総吸熱量に対して、好ましくは96%以上であり、より好ましくは98%以上であり、更に好ましくは99%以上である。
ポリアマイド(PA2)のDSCによる測定で、160℃以上200℃以下の範囲における吸熱量の割合が、前記下限値以上であることにより、リフローの際の加熱だれを十分に抑制することができる。特に、予備加熱の温度が高められた場合でも、例えば、190℃以上、更に200℃以上の場合であっても、加熱だれを抑制することができる。
本明細書において、ポリアマイドの吸熱量は、ポリアマイドのDSC曲線のピーク面積から算出することができる。
ポリアマイド(PA2)のDSCによる測定で、50℃以上180℃以下の範囲における吸熱量の割合は、50℃以上200℃以下の範囲における総吸熱量に対して、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
吸熱ピークの個数が1個の場合、その吸熱ピークの温度は、150℃以上200℃以下であることが好ましく、160℃以上200℃以下であることがより好ましく、170℃以上200℃以下であることが更に好ましく、180℃以上200℃以下であることが特に好ましい。
吸熱ピークの個数が2個以上の場合、ポリアマイド(PA2)は、例えば、最も低い温度の吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよいし、最も高い温度の吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよいし、全ての吸熱ピークが120℃以上200℃以下の範囲にあってもよい。
最も高い温度の吸熱ピークの温度は、150℃以上200℃以下であることが好ましく、160℃以上200℃以下であることがより好ましく、170℃以上200℃以下であることが更に好ましく、180℃以上200℃以下であることが特に好ましい。
第1の吸熱ピークの温度は、150℃未満であることが好ましく、120℃以上140℃以下であることがより好ましく、125℃以上135℃以下であることが更に好ましく、125℃以上130℃以下であることが特に好ましい。
第2の吸熱ピークの温度は、150℃以上であることが好ましく、155℃以上175℃以下であることがより好ましく、160℃以上170℃以下であることが更に好ましく、162℃以上167℃以下であることが特に好ましい。
第3の吸熱ピークの温度は、150℃以上であることが好ましく、180℃以上196℃以下であることがより好ましく、183℃以上195℃以下であることが更に好ましく、185℃以上193℃以下であることが特に好ましい。
ここで、ポリアマイド(PA2)の原料として用いる、脂肪族ジカルボン酸をXモル、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸をYモル、脂肪族ジアミンをZモルとする。
原料に含まれている化合物のアミノ基の総モル数は、カルボキシル基の総モル数と等しいか、あるいは、原料に含まれている化合物のアミノ基の総モル数は、カルボキシル基の総モル数よりも少ないことが好ましい。具体的には、2Z≦2X+Yを満たすことが好ましい。
原料間のモル比の関係は、0.2Y≦X≦2Yであることが好ましく、0.4Y≦X≦1.5Yであることがより好ましい。
原料間のモル比の関係は、0.5Y≦Z≦2Yであることが好ましく、0.8Y≦Z≦1.8Yであることがより好ましい。
また、かかる他の実施形態のフラックスは、ロジン、溶剤、特定のチキソ剤及び活性剤に加えて、更に、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、ポリアマイド(PA2)以外のチキソ剤、界面活性剤、シランカップリング剤、着色剤が挙げられる。
その他のチキソ剤としては、例えば、ポリアマイド(PA2)以外のアマイド系チキソ剤、ワックス系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
その他のチキソ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記フラックス中の、ワックス系チキソ剤の含有量は、前記アマイド系チキソ剤及びワックス系チキソ剤の総量(100質量%)に対して12質量%以上100質量%以下であることが好ましく、18質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、33質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
また、かかる他の実施形態のフラックスは、前記フラックスに含まれるポリアマイド(PA2)が、150℃、180℃において一部溶融しないため、加熱だれを十分に抑制することができる。特に、予備加熱の温度が高められた場合でも、例えば、190℃以上、更に200℃以上の場合であっても、加熱だれを抑制することができる。
ソルダペーストの他の実施形態は、はんだ合金粉末と、かかる他の実施形態のフラックスと、を含有する。
はんだ合金粉末は、Sn-Pb系、あるいは、Sn-Pb系にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
はんだ合金粉末は、Pbを含まないはんだであることが好ましい。
他の実施形態のソルダペースト中、フラックスの含有量は、ソルダペーストの全質量に対して5~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
ロジンとして、アクリル酸変性水添ロジン、重合ロジン、水添ロジンを用いた。
チキソ剤として、チキソ剤A、チキソ剤B、ビスアマイド、ポリアマイドを用いた。
チキソ剤A:N,N’-ビス(2-ステアロアミドエチル)-アゼライカミド
チキソ剤Aは、下記化学式(3-1)で表される化合物である。
チキソ剤Bは、下記化学式(3-2)で表される化合物である。
(ポリアマイド 調製例1)
12-ヒドロキシステアリン酸とドデカン二酸を加えて約100℃まで加熱し、その後ヘキサメチレンジアミンを加えて約220℃まで加熱して3時間保持し、調製例1のポリアマイドを得た。
原料として用いた、ドデカン二酸をXモル、12-ヒドロキシステアリン酸をYモル、ヘキサメチレンジアミンをZモルとする。原料のモル数は、2Z=2X+Yの関係を満たすものであった。
(ポリアマイド 調製例2)
12-ヒドロキシステアリン酸とセバシン酸を加えて約100℃まで加熱し、その後ヘキサメチレンジアミンを加えて約220℃まで加熱して3時間保持し、調製例2のポリアマイドを得た。
原料として用いた、セバシン酸をXモル、12-ヒドロキシステアリン酸をYモル、ヘキサメチレンジアミンをZモルとする。原料のモル数は、2Z=2X+Yの関係を満たすものであった。
より具体的な吸熱ピークの測定方法としては、窒素雰囲気下、約10mgのポリアマイドを、昇温速度を20℃/minに設定し、25℃から350℃まで昇温することにより測定した。測定機器としては、DSC7020(日立ハイテクサイエンス製)を用いた。測定結果を図1に示す。図1は、得られたポリアマイド 調製例1のDSC曲線を示す図である。ピークトップの温度を、吸熱ピークの温度と定義した。
得られたポリアマイドは、全ての吸熱ピークのピークトップの温度が120℃以上200℃以下であった。
有機酸として、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸を用いた。
ハロゲン系活性剤として、トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオールを用いた。
アミンとして、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾールを用いた。
溶剤として、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルを用いた。
(実施例1~15、比較例1~4)
以下の表1~表3に示す組成で、実施例及び比較例の各フラックスを調合した。
なお、表1~表3における各成分の含有量は、フラックスの全質量を100質量%とした場合の質量%であり、空欄は0質量%を意味する。
各例のフラックスと、下記のはんだ合金粉末とをそれぞれ混合してソルダペーストを調合した。
はんだ合金粉末として、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnであるSn-Ag-Cu系のはんだ合金を用いた。
はんだ合金粉末は、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号4を満たすサイズ(粒度分布)のものを用いた。
調合したソルダペーストは、いずれも、フラックスを11質量%、はんだ合金粉末を89質量%とした。
ソルダペーストの印刷時のだれを評価した。この結果を表1~表3に示した。
得られたソルダペーストについて、JIS Z 3284-3:2014の「印刷時のだれ試験」に記載された方法に従って、印刷だれを評価した。「印刷時のだれ試験」の図6中のI(孔のサイズ 3.0×0.7)に示すパターン孔を配したメタルマスクを用いて、ソルダペーストを印刷して試験板を得た。試験板について、印刷されたソルダペースト全てが一体にならない最小間隔を評価した。
フラックスと、はんだ合金粉末とをそれぞれ混合して得られたソルダペーストの加熱時のだれを評価した。この結果を表1~表3に示した。
得られたソルダペーストについて、JIS Z 3284-3:2014の「加熱時のだれ試験」に記載された方法に従って、加熱だれを評価した。まず、「印刷時のだれ試験」の図6中のI(孔のサイズ 3.0×0.7)に示すパターン孔を配したメタルマスクを用いて、ソルダペーストを印刷して試験板を得た。得られた試験板を、空気循環式加熱炉において200℃に加熱した。加熱後の試験板について、印刷されたソルダペースト全てが一体にならない最小間隔を評価した。
判定基準:
〇:加熱だれの評価値が0.5mm以下であるか、加熱だれの評価値と印刷だれの評価値との差が0.2mm以下である。
×:加熱だれの評価値が0.6mm以上であるか、加熱だれの評価値と印刷だれの評価値との差が0.3mm以上である。
実施例15のフラックスは、上記一般式(1)で表される化合物及びポリアマイド(調製例2)を含むことで、200℃の加熱だれ抑制能を十分なものとすることができた。
これに対し、比較例1、4のフラックスは、チキソ剤A及びチキソ剤Bを含まず、200℃の加熱だれ抑制能が不十分であった。
また、比較例2、3のフラックスは、ポリアマイド(調製例1)及びポリアマイド(調製例2)を含まず、200℃の加熱だれ抑制能が不十分であった。
これらの結果から、一般式(1)で表される化合物及びポリアマイドを含むことにより、加熱だれ抑制能を十分なものとすることができることが明らかになった。
(ポリアマイド 調製例1)
12-ヒドロキシステアリン酸とドデカン二酸を加えて約100℃まで加熱し、その後ヘキサメチレンジアミンを加えて約220℃まで加熱して3時間保持し、調製例1のポリアマイドを得た。
原料として用いた、ドデカン二酸をXモル、12-ヒドロキシステアリン酸をYモル、ヘキサメチレンジアミンをZモルとする。原料のモル数は、2Z=2X+Yの関係を満たすものであった。
(ポリアマイド 調製例2)
12-ヒドロキシステアリン酸とセバシン酸を加えて約100℃まで加熱し、その後ヘキサメチレンジアミンを加えて約220℃まで加熱して3時間保持し、調製例2のポリアマイドを得た。
原料として用いた、セバシン酸をXモル、12-ヒドロキシステアリン酸をYモル、ヘキサメチレンジアミンをZモルとする。原料のモル数は、2Z=2X+Yの関係を満たすものであった。
調製例1及び調製例2のポリアマイドの吸熱ピークの温度は、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量測定)により測定した。
より具体的な吸熱ピークの測定方法としては、窒素雰囲気下、約7mgの調製例1及び調製例2の各ポリアマイドを、昇温速度を20℃/minに設定し、30℃から220℃まで昇温することにより測定した。測定機器としては、DSC7020(日立ハイテクサイエンス製)を用いた。ピークトップの温度を、吸熱ピークの温度と定義した。
測定結果を図2、3に示す。
図2は、調製例1のポリアマイドの吸熱ピークであり、図3は、調製例2のポリアマイドの吸熱ピークである。
調製例1及び調製例2のポリアマイドについて、ある特定温度における吸熱量の割合を次のように算出した。
ポリアマイドの吸熱量は、ポリアマイドのDSC曲線のピーク面積から算出した。
ここで、「ある特定温度における吸熱量の割合」とは、50℃以上200℃以下の範囲における総吸熱量に対する、50℃以上特定温度以下の範囲における吸熱量を意味する。
結果を図4~7に示す。
図4は、調製例1のポリアマイドの吸熱量の割合と温度との関係を示すグラフであり、図5は、調製例2のポリアマイドの吸熱量の割合と温度との関係を示すグラフである。
図6は、図4の一部を拡大した、調製例1のポリアマイドの吸熱量の割合と温度の関係を示すグラフである。
図7は、図5の一部を拡大した、調製例2のポリアマイドの吸熱量の割合と温度の関係を示すグラフである。
これに対し、調製例2のポリアマイドは、190℃における吸熱量の割合が90%未満であり、195℃における吸熱量の割合は98%未満であった。
調製例1のポリアマイドの195℃以上200℃以下における吸熱量の割合は、調製例2のポリアマイドの195℃以上200℃以下の吸熱量の割合と比べて、小さいことが明らかになった。
ロジンとして、アクリル酸変性水添ロジン、重合ロジン、水添ロジンを用いた。
チキソ剤として、調製例1及び調製例2のポリアマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、硬化ひまし油を用いた。
有機酸として、アジピン酸、スベリン酸、水添ダイマー酸を用いた。
ハロゲン系活性剤として、トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオールを用いた。
アミンとして、2-フェニルイミダゾールを用いた。
溶剤として、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルを用いた。
(試験例1~14)
以下の表4に示す組成で、試験例の各フラックスを調合した。
試験例1~13のフラックスは、ロジンと、溶剤と、ポリアマイド(PA2)と、活性剤とを含有する。
試験例14のフラックスは、ロジンと、溶剤と、活性剤とを含有し、ポリアマイド(PA2)を含有しない。
なお、表4における各成分の含有量は、フラックスの全質量を100質量%とした場合の質量%であり、空欄は0質量%を意味する。
各例のフラックスと、下記のはんだ合金粉末とをそれぞれ混合してソルダペーストを調合した。
はんだ合金粉末として、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnであるSn-Ag-Cu系のはんだ合金を用いた。
はんだ合金粉末は、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において記号4を満たすサイズ(粒度分布)のものを用いた。
調合したソルダペーストは、いずれも、フラックスを11質量%、はんだ合金粉末を89質量%とした。
フラックスと、はんだ合金粉末とをそれぞれ混合して得られたソルダペーストの加熱時のだれを評価した。
得られたソルダペーストについて、JIS Z 3284-3:2014の「加熱時のだれ試験」に記載された方法に従って、加熱だれを評価した。まず、「印刷時のだれ試験」の図6中のI(孔のサイズ 3.0×0.7)、及び、図6中のII(孔のサイズ 3.0×1.5)に示すパターン孔を配したメタルマスクを用いて、ソルダペーストを印刷して試験板を得た。得られた試験板を、空気循環式加熱炉において150℃又は200℃に加熱した。加熱後の試験板について、印刷されたソルダペースト全てが一体にならない最小間隔(単位はmm)を評価した。この結果を表4に示した。
メタルマスク(開口径0.30mm、マスク厚0.12mm)を用いて、基板(Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板)にソルダペーストを印刷し、LGA(Land Grid Array:端子処理Auフラッシュ、ピッチ:0.5mm、φ:0.3mm、バンプ数:160個)を搭載した。
続いて、大気リフローにより、40~150℃まで3~4℃/秒で昇温し、150~175℃で80~90秒間保持し、175~240℃まで1~2℃/秒で昇温し、220℃以上で35~45秒間保持した。
続いて、X線観察装置(マーストーケンソリューション製 TUX-3200)を用いて、LGA搭載部を撮影した。3個のLGA(総計480個のバンプ)について、同様にデータを取得した。
480個の各バンプにおいて、それぞれ、バンプのランド面積に対するボイドの総面積の割合を算出した。得られた割合の平均値を算出し、ボイド面積率とした。この結果を表4に示した。
また、バンプの総数(480個)に対する、ボイドを有しないバンプの個数の割合を算出し、これをボイド未発生率とした。この結果を表4に示した。
○:ボイド面積率が、1.2%以下である。
×:ボイド面積率が、1.2%超である。
○:ボイド未発生率が、35%以上である。
×:ボイド未発生率が、35%未満である。
試験例14は、ポリアマイドを含まず、200℃の加熱だれの抑制能が不十分であった。
試験例1~12は、調製例1のポリアマイドを含み、ボイドの発生の抑制能が十分であった。
試験例13は、調製例2のポリアマイドを含み、ボイドの発生の抑制能が不十分であった。
調製例2のポリアマイドは、炭素数が10であるセバシン酸を原料として用いて調製されたものである。
一般に、脂質等の有機化合物は、炭素数が多いほど、融点は高くなる。
意外にも、調製例1のポリアマイドは、50℃以上190℃以下の吸熱量の割合、50℃以上195℃以下の吸熱量の割合が十分に高いため、試験例1~12は、ボイドの発生の抑制能が十分であった。
また、調製例2のポリアマイドは、50℃以上190℃以下の吸熱量の割合、50℃以上195℃以下の吸熱量の割合が十分に高くないため、試験例13は、ボイドの発生の抑制能が不十分であった。
調製例2のポリアマイドは、190℃、195℃における流動性が十分に高くないため、試験例13は、ボイドの発生の抑制能が不十分であったと推測される。
Claims (8)
- ロジンと、溶剤と、チキソ剤と、活性剤とを含有し、
前記チキソ剤は、下記一般式(1)で表される化合物及びポリアマイドを含み、
前記ポリアマイドは、脂肪族カルボン酸及びヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸からなる群より選択される1種類以上と、アミンとの縮合物であり、且つ、示差走査熱量測定による吸熱ピークの温度が120℃以上200℃以下である、フラックス。
- 前記ポリアマイドは、脂肪族カルボン酸と、ヒドロキシ基含有脂肪族カルボン酸と、アミンとの縮合物である、請求項1に記載のフラックス。
- 前記脂肪族カルボン酸は、ジカルボン酸を含む、請求項1又は2に記載のフラックス。
- 前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、フラックスの総質量に対して1質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフラックス。
- 前記一般式(3)で表される化合物は、N,N’-ビス(2-ステアロアミドエチル)-セバカミド又はN,N’-ビス(2-ステアロアミドエチル)-アゼライカミドである、請求項5に記載のフラックス。
- 前記ロジンの含有量は、フラックスの総質量に対して30質量%以上50質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のフラックス。
- はんだ合金粉末と、請求項1~7のいずれか一項に記載のフラックスと、を含有する、ソルダペースト。
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