JP7054035B1 - フラックス及びソルダペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】Auめっき、Cu-OSP処理、Snめっき等の種々の表面処理が施された電極に対して濡れ性を高められる、フラックス及びソルダペーストを提供する。【解決手段】ロジンと、溶剤(S)と、チキソ剤と、活性剤とを含有するフラックスを採用する。前記ロジンは、ロジンアミンを含み、前記Sは、沸点が250℃以下である第1の溶剤(S1)を含み、S1の含有量は、前記Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、フラックス及びソルダペーストに関する。
はんだ付けに用いられるフラックスは、はんだ付けの対象となる接合対象物の金属表面及びはんだに存在する金属酸化物を化学的に除去し、両者の境界で金属元素の移動を可能にする効能を持つ。このため、フラックスを使用してはんだ付けを行うことで、両者の間に金属間化合物が形成されるようになり、強固な接合が得られる。このようなフラックスには、一般に、樹脂成分、溶剤、活性剤、チキソ剤等が含まれる。
ソルダペーストは、はんだ合金の粉末とフラックスとを混合させて得られた複合材料である。ソルダペーストを使用したはんだ付けでは、まず、基板にソルダペーストが印刷された後、部品が搭載され、リフロー炉と称される加熱炉で、部品が搭載された基板が加熱される。
電子部品実装用基板の電極には、用途に応じて、Auめっき、Cu-Organic Solderability Preservative(Cu-OSP)処理、Snめっき等の種々の表面処理が施されている場合がある。フラックス及びソルダペーストにおいては、これらの種々の表面処理が施された電極に対して良好な濡れ性を発揮することが望まれている。
これに対し、ロジンアミンを含むフラックスが用いられていた(特許文献1、2参照)。
例えば、特許文献1では、ロジンアミンを含むフラックスは、種々のめっきに対して十分な清浄作用を示すことが記載されている。
また、特許文献2では、ロジンアミンハロゲン化水素酸塩含むフラックスは、銅に対して優れた濡れ性を示すことが記載されている。
特公昭32-7056号公報 特開昭57-165198号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のフラックスは、種々の表面処理が施された電極に対して、リフロー後において、良好な濡れ性が発揮されない場合があった。
そこで本発明は、種々の表面処理が施された電極に対して濡れ性を高められる、フラックス及びソルダペーストを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、ロジンと、溶剤(S)と、チキソ剤と、活性剤とを含有し、前記ロジンは、ロジンアミンを含み、前記Sは、沸点が250℃以下である第1の溶剤(S1)を含み、S1の含有量は、前記Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である、フラックスである。
第1の態様にかかるフラックスにおいて、前記S1の沸点は、150℃以上250℃以下であることが好ましい。
第1の態様にかかるフラックスにおいて、前記Sは、更に、沸点が250℃超である第2の溶剤(S2)を含むことが好ましい。
第1の態様にかかるフラックスにおいて、前記ロジンアミンは、デヒドロアビエチルアミンを含むことが好ましい。
第1の態様にかかるフラックスにおいて、前記ロジンアミンは、更に、ジヒドロアビエチルアミンを含むことが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、はんだ合金粉末と、第1の態様にかかるフラックスと、を含有する、ソルダペーストである。
本発明によれば、種々の表面処理が施された電極に対して濡れ性を高められる、フラックス及びソルダペーストを提供することができる。
Auめっき、Cu-OSP処理及びSnめっきをそれぞれ施した基板に対し、ソルダペーストを印刷し、リフロー後の基板の濡れの状態を示す写真及び濡れの判定基準を示す図である。
(フラックス)
本実施形態のフラックスは、ロジンと、溶剤(S)と、チキソ剤と、活性剤とを含有する。
<ロジン>
本発明において「ロジン」とは、アビエチン酸を主成分とする、アビエチン酸とこの異性体との混合物を含む天然樹脂、及び天然樹脂を化学修飾したもの(ロジン誘導体と呼ぶ場合がある)を包含する。天然樹脂中のアビエチン酸含有量は、一例として、40質量%以上80質量%以下である。アビエチン酸の異性体の代表的なものとしては、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸等が挙げられる。アビエチン酸の構造を以下に示す。
尚、本明細書において「主成分」とは、化合物を構成する成分のうち、その化合物中の含有量が40質量%以上の成分をいう。
Figure 0007054035000001
本発明において「天然樹脂を化学修飾したもの(ロジン誘導体)」とは、前記「天然樹脂」に対して水素化、脱水素化、中和、アルキレンオキシド付加、アミド化、二量化及び多量化、エステル化並びにDiels-Alder環化付加からなる群より選択される1つ以上の処理を施したものを包含する。
《ロジンアミン》
本実施形態のフラックスに含まれるロジンは、ロジン誘導体として、ロジンアミンを含む。
ロジンアミンとしては、例えば、デヒドロアビエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミン等が挙げられる。
ロジンアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ロジンアミンは、いわゆる不均化ロジンアミンを意味する。
デヒドロアビエチルアミン、ジヒドロアビエチルアミンの各構造を以下に示す。
Figure 0007054035000002
前記フラックス中の、ロジンアミンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%超40質量%以下であり、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上15質量%以下が更に好ましく、5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
《その他のロジン》
ロジンは、ロジンアミンに加えて、その他のロジンを含んでもよい。
その他のロジンとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン、蒸留ロジン、その他のロジン誘導体等が挙げられる。
その他のロジン誘導体としては、例えば、水添ロジン、重合ロジン、重合水添ロジン、不均化ロジン、酸変性ロジン、酸変性水添ロジン、無水酸変性水添ロジン、酸変性不均化ロジン、無水酸変性不均化ロジン、フェノール変性ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性物(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、並びに該重合ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びに該α,β不飽和カルボン酸変性物の精製物、水素化物及び不均化物、ロジンアルコール、水添ロジンアルコール、ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジン石鹸、水添ロジン石鹸、酸変性ロジン石鹸等が挙げられる。
その他のロジンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
その他のロジン誘導体としては、上記の中でも、重合ロジン及び酸変性水添ロジンからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
酸変性水添ロジンとしては、アクリル酸変性水添ロジンを用いることが好ましい。
前記フラックス中の、ロジンの合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して15質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、23質量%以上45質量%以下が更に好ましい。
<溶剤(S)>
《第1の溶剤(S1)》
本実施形態のフラックスに含まれる溶剤(S)は、沸点が250℃以下である第1の溶剤(S1)を含む。S1の沸点は、150℃以上250℃以下であることが好ましい。
本明細書において、沸点とは、対象の液体の飽和蒸気圧が1気圧と等しくなるときの、その液体の温度を意味する。
S1としては、例えば、水、沸点が250℃以下のグリコールエーテル系溶剤、沸点が250℃以下のテルピネオール類、沸点が250℃以下のアルコール系溶剤、沸点が250℃以下のエステル系溶剤等が挙げられる。
S1としては、沸点が150℃以上250℃以下のグリコールエーテル系溶剤、沸点が150℃以上250℃以下のテルピネオール類、沸点が150℃以上250℃以下のアルコール系溶剤、沸点が150℃以上250℃以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
沸点が150℃以上250℃以下のグリコールエーテル系溶剤としては、例えば、フェニルグリコール、ブチルカルビトール、へキシレングリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、メチルプロピレントリグリコール等が挙げられる。
沸点が150℃以上250℃以下のテルピネオール類としては、例えば、α―テルピネオールが挙げられる。
沸点が250℃以下のアルコール系溶剤としては、例えば、1,2-ブタンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等が挙げられる。
沸点が150℃以上250℃以下のアルコール系溶剤としては、例えば、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等が挙げられる。
S1としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ブチルカルビトール、へキシレングリコール、及びα-テルピネオールからなる群より選択される一種以上を用いることが好ましい。
S1は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
《第2の溶剤(S2)》
本実施形態のフラックスに含まれる溶剤(S)は、第1の溶剤(S1)に加えて、沸点が250℃超である第2の溶剤(S2)を含んでもよい。
S2としては、例えば、沸点が250℃超のグリコールエーテル系溶剤、沸点が250℃超のアルコール系溶剤、沸点が250℃超のエステル系溶剤等が挙げられる。
沸点が250℃超のグリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
沸点が250℃超のアルコール系溶剤としては、例えば、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2’-オキシビス(メチレン)ビス(2-エチル-1,3-プロパンジオール)、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
沸点が250℃超のエステル系溶剤としては、例えば、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート等が挙げられる。
S2としては、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、及びビス(2-エチルヘキシル)セバケートからなる群より選択される一種以上を用いることが好ましい。
S2は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のフラックスに含まれるS1の含有量は、Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下であり、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上100質量%以下であることが更に好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態のフラックスに含まれるSの合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、40質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
<チキソ剤>
チキソ剤としては、例えば、ワックス系チキソ剤、アマイド系チキソ剤、ソルビトール系チキソ剤等が挙げられる。
チキソ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ワックス系チキソ剤としては、例えばエステル化合物が挙げられ、具体的にはヒマシ硬化油等が挙げられる。
前記フラックス中の、ワックス系チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して2質量%以上10質量%以下であることが好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることが更に好ましい。
アマイド系チキソ剤としては、例えば、モノアミド、ビスアミド、その他のポリアミドが挙げられる。
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、p-トルアミド、p-トルエンメタンアミド、芳香族アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、置換アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールアミド、脂肪酸エステルアミド等が挙げられる。
ビスアミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシ脂肪酸(脂肪酸の炭素数C6~24)アミド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミド、メチレンビスオレイン酸アミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、芳香族ビスアミド等が挙げられる。
その他のポリアミドとしては、飽和脂肪酸ポリアミド、不飽和脂肪酸ポリアミド、芳香族ポリアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリス(2-メチルシクロヘキシルアミド)、環状アミドオリゴマー、非環状アミドオリゴマー等が挙げられる。
前記環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、トリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー、ジカルボン酸及びトリカルボン酸とジアミン及びトリアミンとが環状に重縮合したアミドオリゴマー等が挙げられる。
また、前記非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸とモノアミンとが非環状に重縮合したアミドオリゴマーである場合等が挙げられる。モノカルボン酸又はモノアミンを含むアミドオリゴマーであると、モノカルボン酸、モノアミンがターミナル分子(terminal molecules)として機能し、分子量を小さくした非環状アミドオリゴマーとなる。また、非環状アミドオリゴマーは、ジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸と、ジアミン及び/又はトリアミンとが非環状に重縮合したアミド化合物である場合、非環状高分子系アミドポリマーとなる。更に、非環状アミドオリゴマーは、モノカルボン酸とモノアミンとが非環状に縮合したアミドオリゴマーも含まれる。
前記フラックス中の、アマイド系チキソ剤の合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、4質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
ソルビトール系チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデン-D-ソルビトール、ビス(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、(D-)ソルビトール、モノベンジリデン(-D-)ソルビトール、モノ(4-メチルベンジリデン)-(D-)ソルビトール等が挙げられる。
前記フラックス中の、ソルビトール系チキソ剤の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0質量%以上3.5質量%以下がより好ましい。
本実施形態のフラックスに含まれるチキソ剤の合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上6質量%以下であることが更に好ましい。
<活性剤>
活性剤としては、例えば、有機酸、ハロゲン系活性剤、アミン等が挙げられる。
本実施形態のフラックスは、有機酸、ハロゲン系活性剤及びアミンからなる群より選択される一種以上を含有することが好ましい。
有機酸:
有機酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、エイコサン二酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、ジピコリン酸、ジブチルアニリンジグリコール酸、スベリン酸、セバシン酸、チオグリコール酸、ジチオグリコール酸、テレフタル酸、ドデカン二酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、ピコリン酸、フェニルコハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、ラウリン酸、安息香酸、酒石酸、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)、グリシン、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジエチルグルタル酸、2-キノリンカルボン酸、3-ヒドロキシ安息香酸、プロピオン酸、リンゴ酸、p-アニス酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ピメリン酸、ダイマー酸、トリマー酸、ダイマー酸に水素を添加した水添物である水添ダイマー酸、トリマー酸に水素を添加した水添物である水添トリマー酸等が挙げられる。
有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機酸としては、ジカルボン酸を用いることが好ましい。
ジカルボン酸としては、グルタル酸を用いることが好ましい。
前記フラックス中の、有機酸の合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。
ハロゲン系活性剤:
ハロゲン系活性剤としては、例えば、ハロゲン化脂肪族化合物、アミンハロゲン化水素酸塩等が挙げられる。
ハロゲン系活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ハロゲン化脂肪族化合物としては、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-ブタノール、1,3-ジブロモ-2-プロパノール、2,3-ジブロモ-1-プロパノール、1,4-ジブロモ-2-ブタノール、2,3-ジブロモ-1,4-ブタンジオール、トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール等が挙げられる。
アミンハロゲン化水素酸塩は、アミンとハロゲン化水素を反応させた化合物であり、アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド等が挙げられ、ハロゲン化水素としては、塩素、臭素、ヨウ素の水素化物が挙げられる。
本実施形態のフラックスは、ハロゲン系活性剤を含有することが好ましい。
ハロゲン系活性剤としては、アミンハロゲン化水素酸塩を用いることが好ましい。
アミンハロゲン化水素酸塩としては、1,3-ジフェニルグアニジンのハロゲン化水素酸塩を用いることが好ましい。
1,3-ジフェニルグアニジンのハロゲン化水素酸塩としては、1,3-ジフェニルグアニジン・HBrを用いることが好ましい。
前記フラックス中の、ハロゲン系活性剤の合計の含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
アミン:
アミンとしては、エチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジフェニルグアニジン、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-ウンデシルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-エチル-4′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2′-メチルイミダゾリル-(1′)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン、エポキシ-イミダゾールアダクト、2-メチルベンゾイミダゾール、2-オクチルベンゾイミダゾール、2-ペンチルベンゾイミダゾール、2-(1-エチルペンチル)ベンゾイミダゾール、2-ノニルベンゾイミダゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′-tert-ブチル-5′-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6′-tert-ブチル-4′-メチル-2,2′-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1-(1′,2′-ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1-(2,3-ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-[(2-エチルヘキシルアミノ)メチル]ベンゾトリアゾール、2,6-ビス[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]-4-メチルフェノール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-フェニルテトラゾール等が挙げられる。
アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アミンとしては、2-エチルイミダゾール、ジフェニルグアニジンからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。
前記フラックス中の、アミンの含有量は、前記フラックスの総量(100質量%)に対して、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の成分>
また、本実施形態のフラックスは、ロジン、溶剤、チキソ剤及び活性剤に加えて、更に、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、着色剤が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、弱カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アルコールポリオキシエチレン付加体、芳香族アルコールポリオキシエチレン付加体、多価アルコールポリオキシエチレン付加体等が挙げられる。
弱カチオン系界面活性剤としては、例えば、末端ジアミンポリエチレングリコール、末端ジアミンポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、脂肪族アミンポリオキシエチレン付加体、芳香族アミンポリオキシエチレン付加体、多価アミンポリオキシエチレン付加体が挙げられる。
上記例示の界面活性剤以外の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール類、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
また、本実施形態のフラックスには、はんだ合金粉末の酸化を抑える目的で酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
本実施形態のフラックスは、Auめっき、Cu-OSP処理、Snめっきの処理が施された電極に対して、十分な濡れ性を発揮する。
Auめっき処理された電極に比べて、Cu-OSP処理された電極、Snめっき処理された電極は表面が酸化されやすいため、濡れにくい。また、これら3種類の電極のうち、Snめっき処理された電極は表面が最も酸化されやすいため、Snめっき処理された電極は最も濡れにくい。
本実施形態のフラックスは、ロジンアミン及び沸点が250℃以下である第1の溶剤(S1)を含み、且つ、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上であることにより、リフロー時において溶剤の揮発量が増加し、ロジン及び活性剤の濃度が高くなり、その結果、フラックスの濡れ性が高められると推定される。
(ソルダペースト)
本実施形態のソルダペーストは、はんだ合金粉末と、上述したフラックスと、を含有する。
はんだ合金粉末は、Sn単体のはんだの粉体、または、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Bi系、Sn-In系等、あるいは、これらの合金にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
はんだ合金粉末は、Sn-Pb系、あるいは、Sn-Pb系にSb、Bi、In、Cu、Zn、As、Ag、Cd、Fe、Ni、Co、Au、Ge、P等を添加したはんだ合金の粉体で構成されてもよい。
はんだ合金粉末は、Pbを含まないはんだであることが好ましい。
フラックスの含有量:
ソルダペースト中、フラックスの含有量は、ソルダペーストの全質量に対して5~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
本実施形態のソルダペーストは、種々の表面処理が施された電極に対して、十分な濡れ性を発揮する。
本実施形態のソルダペーストは、ロジンアミン及び沸点が250℃以下である第1の溶剤(S1)を含み、且つ、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上であることにより、リフロー時において溶剤の揮発量が増加し、ロジン及び活性剤の濃度が高くなり、その結果、フラックスの濡れ性が高められると推定される。
本実施形態のソルダペーストは、Auめっき処理された電極、Cu-OSP処理された電極、及びSnめっき処理された電極のいずれに対しても、十分な濡れ性を発揮する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<フラックスの調製>
(実施例1~12、比較例1~6)
以下の表1から表2に示す組成で実施例及び比較例のフラックスを調合した。ただし、実施例9については参考例とする。
ロジン:
アクリル酸変性水添ロジン
重合ロジン
ロジンアミン
沸点が250℃以下である、第1の溶剤(S1):
フェニルグリコール(沸点 237℃)
ブチルカルビトール(沸点 230.6℃)
α-テルピネオール(沸点 218℃)
へキシレングリコール(沸点 197℃)
沸点が250℃超である、第2の溶剤(S2):
ヘキシルジグリコール(沸点 255℃)
2-エチルヘキシルジグリコール(沸点 275℃)
ビス(2-エチルヘキシル)セバケート(沸点 377℃)
なお、表1から表2における組成率は、フラックスの全質量を100質量%とした場合の質量%であり、空欄は0質量%を意味する。
<ソルダペーストの調製>
各例のフラックスと、下記のはんだ合金粉末と、をそれぞれ混合してソルダペーストを調合した。調合したソルダペーストは、いずれも、フラックスが10.5質量%、はんだ合金粉末が89.5質量%である。
ソルダペースト中のはんだ合金粉末は、Agが3質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnのはんだ合金からなる粉末である。
はんだ合金粉末は、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において、記号6を満たすサイズ(粒度分布)である。
<濡れ性の評価>
(1)検証方法
基板に対して、Auめっき、Cu-OSP処理及びSnめっきをそれぞれ施した3種類の基板を用意した。
ランドサイズを8mm×8mmとし、マスク厚を80μmに設定して、それぞれの基板上に、調製したソルダペーストを印刷した。
ソルダペーストを印刷した基板に対して、リフローを行った。
リフロー条件は、150℃まで2℃/秒で昇温させ、150~180℃で80秒間昇温した後、180~240℃まで2℃/秒で昇温させつつ、220℃以上で40秒間保持とした。
リフローは、N雰囲気下、酸素濃度80~150ppmで行った。
リフロー後のそれぞれの基板の表面状態を、次に示す判定基準により評価した。
(2)判定基準
A:印刷面に均一にはんだが濡れている。
B:印刷外周部にディウエットが発生している。
C:印刷面の半分以上にディウエットが発生している。
Auめっき、Cu-OSP及びSnめっきをそれぞれ施した基板に対し、ソルダペーストを印刷し、リフロー後の基板の濡れの状態を示す写真及び濡れの判定基準を、図1に示した。図1は、左から、Auめっき、Cu-OSP処理及びSnめっきをそれぞれ施した基板であり、上から、濡れの状態の評価がA、B、Cである
実施例1~12、比較例1~6の結果を表1~2に示した。
Figure 0007054035000003
Figure 0007054035000004
実施例1のフラックスは、ロジンとしてアクリル酸変性水添ロジン、重合ロジン、3質量%のロジンアミンを含み、第1の溶剤(S1)としてα-テルピネオールを含み、活性剤としてグルタル酸、ジフェニルグアニジン・HBrを含み、チキソ剤としてヒマシ硬化油を含み、S1の含有量は、溶剤の総質量に対して100質量%である。
実施例1のフラックスは、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがBであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
実施例2のフラックスは、ロジンアミンの含有量を5質量%に増やしても、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例3のフラックスは、ロジンアミンの含有量を10質量%に増やしても、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例4のフラックスは、ロジンアミンの含有量を15質量%に増やしても、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
実施例5のフラックスは、ヒマシ硬化油の含有量を3質量%に減らし、アクリル酸変性水添ロジン及び重合ロジンの含有量をそれぞれ20%に増やしても、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例6のフラックスは、S1としてフェニルグリコールを含んでも、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例7のフラックスは、S1としてブチルカルビトールを含んでも、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例8のフラックスは、S1としてヘキシレングリコールを含んでも、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例9のフラックスは、ジフェニルグアニジン・HBrの代わりにジフェニルグアニジン、2-エチルイミダゾールを含んでも、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがAであった。
実施例10のフラックスは、S1としてへキシレングリコールを含み、第2の溶剤(S2)としてヘキシルジグリコールを含み、S1の含有量を、溶剤の総質量に対して62.8質量%に減らしても、Auめっき基板の濡れがBであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがBであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
実施例11のフラックスは、S1の含有量を、Sの総質量に対して50質量%に減らしても、Auめっき基板の濡れがBであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがBであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
実施例12のフラックスは、S1としてα-テルピネオールを含み、S2としてビス(2-エチルヘキシル)セバケートを含み、S1の含有量を、溶剤の総質量に対して61質量%に減らしても、Auめっき基板の濡れがBであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがBであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
ロジンアミンを含む実施例1のフラックスは、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがBであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
これに対し、ロジンアミンを含まない比較例1のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもCであった。
S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である実施例2のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもAであった。
これに対し、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%未満である比較例2~3のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもCであった。
S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である実施例10~12のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもBであった。
これに対し、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%未満である比較例4のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもCであった。
S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である実施例4のフラックスは、Auめっき基板の濡れがAであり、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板の濡れがAであり、Snめっき基板の濡れがBであった。
これに対し、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%未満である比較例5のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもCであった。
S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上100質量%以下である実施例10~12のフラックスは、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板の濡れがいずれもBであった。
これに対し、S1の含有量が、溶剤の総質量に対して50質量%未満である比較例6のフラックスは、Auめっき基板及びCu-OSP処理ガラスエポキシ基板に対する濡れ性はBであったが、Snめっき基板に対する濡れがCであった。
本発明の実施例1~12のフラックス及びソルダペーストは、ロジンアミン及び沸点が250℃以下であるS1を含み、且つ、S1の含有量が、Sの総質量に対して50質量%以上であることにより、リフロー時において溶剤の揮発量が増加し、ロジン及び活性剤の濃度が高くなり、その結果、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板に対する濡れを十分なものとすることができた。
また、本発明の実施例2~3、5~9のフラックスは、ロジンアミンの含有量が、フラックスの総量に対して5質量%以上10質量%以下であり、且つ、S1の含有量は、Sの総質量に対して70質量%以上100質量%以下であり、Auめっき基板、Cu-OSP処理ガラスエポキシ基板、及びSnめっき基板に対する濡れを優れたものとすることができた。
Auめっき、Cu-OSP処理、Snめっき等の種々の表面処理が施された電極に対して濡れ性を高められる、フラックス及びソルダペーストを提供する。このフラックス及びソルダペーストは、種々の表面処理が施された電極の接合に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. ロジンと、溶剤(S)と、チキソ剤と、ハロゲン系活性剤とを含有し、
    前記ロジンは、ロジンアミンを含み、
    前記溶剤(S)は、沸点が150℃以上250℃以下である第1の溶剤(S1)を含み、
    前記第1の溶剤(S1)の含有量は、前記溶剤(S)の総質量に対して70質量%以上100質量%以下であ
    前記ロジンの含有量が、フラックスの総量(100質量%)に対して、15質量%以上60質量%以下であり、
    前記ロジンアミンの含有量が、フラックスの総量(100質量%)に対して、3質量%以上15質量%以下であり、
    前記溶剤(S)の含有量が、フラックスの総量(100質量%)に対して、30質量%以上80質量%以下である、フラックス。
  2. 前記溶剤(S)は、更に、沸点が250℃超である第2の溶剤(S2)を含み、
    前記第1の溶剤(S1)の含有量は、前記溶剤(S)の総質量に対して70質量%以上100質量%未満である、請求項1に記載のフラックス。
  3. 前記ロジンアミンは、デヒドロアビエチルアミンを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のフラックス。
  4. 前記ロジンアミンは、更に、ジヒドロアビエチルアミンを含む、請求項に記載のフラックス。
  5. はんだ合金粉末と、請求項1~のいずれか一項に記載のフラックスと、を含有する、ソルダペースト。
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