JP2022078858A - シームレスカプセル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘性の内層を有するシームレスカプセルを、偏肉が極めて少なく、品質に影響を与えうる大きなアイズが生じることなく、効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とし、ゼラチン、可塑剤及び水を含有し、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を外層とするシームレスカプセル。【選択図】なし

Description

本発明は、製品品質及び製造効率を高めたシームレスカプセル及びその製造方法に関する。
シームレスカプセルは、1粒の組成均一性が極めて高く、形状を小さくすることが容易である点に特徴がある。製造時に極端な熱や圧力を要しないので、不安定な組成物をシームレスカプセル化することで、安定にすることが可能である。さらに、粒状物の外層等の組成を選択することにより、表面性能を変化させ、放出制御することも可能である。シームレスカプセルは、経口医薬品に利用されている他、放出制御機能を活かして、体内留置型放出制御製剤、組織損傷修復改善剤、血流循環制御剤等の外科手技的に利用する医薬品とすることも可能である。また、食品や化成品等工業利用のための形状とすることも可能である。
シームレスカプセルは、一般的には、次のようにして製造される(滴下法)。すなわち、流動性を有する皮膜形成物質の流れの中に、流動性を有する充填物質の流れを含むジェット流を形成し、気中又は液中に噴出させて液滴を形成させる。この液滴の表面が硬化液によって硬化され、硬化された表面の内側に中心側の液が封入される。
均一な粒径のカプセルを得るために、従来のシームレスカプセル製造装置では、ジェット流から液滴を形成する時にカプセル形成用液に振動を与えるものがあり、本出願人は、波形制御を含めた加振機構を有するシームレスカプセルの製造装置及び製造方法を考案している(特許文献1)。
多層のシームレスカプセルの製造時には、内側ノズルと外側ノズルにそれぞれ互いに短時間では混和しない流体を供給することによって、複合ジェット流を形成し、一定間隔で切断することにより、内層と外層を有するカプセルが形成されるが、複合ジェット流を一定間隔で切断する際には、内層と外層に供給する流体の物理的な性質が製品品質に大きな影響を及ぼすため、従来、界面張力調整剤やゲル化促進剤を添加する等して、安定した製造を確保してきた。
しかしながら、特に、内層に供給する流体が、遊離脂肪酸類及びその誘導体、液体パラフィン類及び有機溶剤類等のように、極端に粘度が低い(例えば、粘度が30mPa・s未満)場合、送液の安定化やジェット流の等間隔の切断が困難になり、外層の偏肉や外層中に内層の液滴が複数生じる「アイズ」といった不具合が生じ易い。また、界面張力調整剤やゲル化促進剤の使用は、カプセル内容物の安定性に悪影響を及ぼしたり、カプセル内容物の高含有化を妨げるという問題もある。
特許文献2には、界面張力調整剤又はゲル化促進剤を含有しないシェル組成物とカプセル内容物からなり、内容物としてEPAエチルエステル及びDHAエチルエステルを含有するシームレスカプセルを製造する方法に係る発明が開示されているが、この場合には、カプセル内容物、シェル組成物水溶液及びキャリア液(硬化液)の厳密な温度管理が必要である。供給流体を厳密に温度制御するためには、大掛かりな支援設備が必要となり、限定した産業機器が必要となる場合が多く、汎用機器類での設備設計は困難である。
また、特許文献3には、液中ノズルとせずにノズル先端が硬化液の液面の上方に配置され、併合液流が形成管の中心と偏芯した位置とする、シームレスカプセルの製造方法が開示されているが、ノズル位置の限定は、精密な装置設計、設置据付の適格性を要求し、また、移設の簡易性を阻害する等、装置の汎用性を限定しており、装置製作や装置運用上の妨げとなる。
特許第5922512号公報 特許第5047285号公報 特許第4778639号公報
本発明は、低粘性の内層を有するシームレスカプセルを、偏肉が極めて少なく、品質に影響を与えうる大きなアイズが生じることなく、効率的に製造する方法を提供することに関する。
本発明者らは、液滴形成の際に、一定の振動を付与しつつシームレスカプセルを製造する場合において、所定の粘度特性を有するカプセル剤皮組成物を用いることにより、アイズが生じないシームレスカプセルを効率的に製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~13)に係るものである。
1)20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とし、ゼラチン、可塑剤及び水を含有し、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を外層とするシームレスカプセル。
2)カプセル剤皮組成物が、さらに、50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・s、のいずれか1以上を具備する、1)に記載のシームレスカプセル。
3)カプセル剤皮組成物が、さらに、45℃における粘度が60~260mPa・s及び/又は50℃における粘度が50~230mPa・sを具備する、1)又は2)に記載のシームレスカプセル。
4)カプセル剤皮組成物が、当該組成物中に、ゼラチン及び可塑剤からなる固形分を20~35質量%含有する、1)~3)のいずれかに記載のシームレスカプセル。
5)カプセル内容物の20℃における粘度が30mPa・s以下である物質が、炭素数18~22のω3系脂肪酸又はそのアルキルエステルである、1)~4)のいずれかに記載のシームレスカプセル。
6)滴下法により、20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とするシームレスカプセルを製造する方法であって、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を用い、一定の振動を付与しつつ液滴を形成させることを特徴とする、シームレスカプセルの製造方法。
7)正弦波又はパルス波の振動を付与する、6)に記載の方法。
8)ノズル付近で計測された、カプセル内容物の粘度とカプセル剤皮組成物の粘度の比(カプセル内容物/カプセル剤皮組成物)が5~20である場合にサイン波の振動を付与し、5未満又は20より大きい場合にパルス波の振動を付与する、7)に記載の方法。
9)カプセル剤皮組成物が、さらに、50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・s、のいずれか1以上を具備する、6)~8)のいずれかに記載の方法。
10)カプセル剤皮組成物が、さらに、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び/又は50℃における粘度が50~230mPa・sを具備する、6)~9)のいずれかに記載の方法。
11)カプセル剤皮組成物が、当該組成物中に、ゼラチン及び可塑剤からなる固形分を20~35質量%含有する、6)~10)のいずれかに記載の方法。
12)カプセル内容物の20℃における粘度が30mPa・s以下である物質が、炭素数18~22のω3系脂肪酸又はそのアルキルエステルである、6)~11)のいずれかに記載の方法。
13)カプセル剤皮組成物のノズル付近の温度を30~50℃に制御する、6)~11)のいずれかに記載の方法。
本発明の方法によれば、偏肉がなく、アイズがないか又は極めて小さい、低粘性の物質を内層に含むシームレスカプセルを効率よく製造することができる。すなわち、本発明の方法によれば、ノズル位置を限定することもなく、温度制御幅が広くても安定して高品質、高効率なシームレスカプセルの製造が可能で、周辺装置の汎用性や設置汎用性、装置運用性が向上する。
カプセル剤皮組成物の温度-粘度特性。 シームレスカプセル製造装置を模式的に示す図。 シームレスカプセル製造装置を模式的に示す図。
本発明におけるカプセル内容物及びカプセル剤皮組成物において、「粘度」は、音叉型振動式粘度計を用いて測定された粘度を指す。
本発明のシームレスカプセルは、20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とし、ゼラチン、可塑剤及び水を含有し、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を外層とする。
本発明のシームレスカプセルにおいて内層を構成するカプセル内容物は、20℃における粘度が30mPa・s以下の物質を含有する。
「カプセル内容物」とは、2重ノズルの内層に供給され、カプセルの内核(内層)を構成する物質であり、「内容物」、「芯液」とも称される。
20℃における粘度が30mPa・s以下の物質としては、好適には15mPa・s以下、更に好適には10mPa・s以下である。ここで、20℃なる温度は、シームレスカプセルの製造装置の多重ノズル(例えば、図2及び3中の121)付近に供給される内容物の標準温度を示しており、20℃での粘度は、本発明のカプセル充填に適した粘度と云える。
20℃における粘度が30mPa・s以下の物質としては、単一の化合物であっても組成物であってもよい。物質の種類は限定されず、医薬品、化粧品、食品及び化成品等のいずれでも良い。
例えば、脂肪酸類(例えば、炭素数18~22のω3-脂肪酸(例えば、オクタデカトリエン酸、オクタデカテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)又はそのアルキルエステル)、遊離脂肪酸類(例えばオレイン酸等の炭素数18以下、常温で溶液状のもの)及びその誘導体、植物油(オリーブ油、シソ油、ゴマ油、菜種油、ひまわり油等の植物由来の油脂で常温で溶液状のもの)、界面活性剤類(常温で溶液状のグリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル等常温で溶液状の非イオン界面活性剤)、液体パラフィン類(流動パラフィン等のオレフィン系炭化水素を含み常温で液体で非揮発性物質)、及び有機溶剤類(オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の常温で液状の飽和アルコール類)等が挙げられる。また、カプセル内容物には、安定化剤のような添加剤を適宜配合することができる。
安定化剤としては、例えば、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及びトコトリエノール等が挙げられる。
本発明のシームレスカプセルにおいて外層を構成するカプセル剤皮組成物は、ゼラチン、可塑剤及び水を含有し、40℃における粘度が70~400mPa・sである。
ここで、ゼラチンは、温度依存性の可逆的ゾルゲル形態を構成する主要な物質である。
ゼラチンは、由来原料や製造時の処理方法によって、様々なグレードが存在するが、本発明においては、いずれのグレードのゼラチンも用いることが可能である。例えば、牛の骨、皮由来のアルカリ処理ゼラチンや豚の皮由来の酸処理ゼラチンが入手しやすい。また、ゼラチンの経時溶解性を向上させるコハク化処理を付したコハク化ゼラチンも用いることが可能である。
ゼラチンは高分子成分と低分子成分の複合素材であり、これらの分布により性質が変化する。特にゼリー強度と粘度が物性に大きくかかわり、これらの特性はゼラチンの選択時に有効な指針となる。ゼラチンのゼリー強度と粘度の測定方法は一般化されており、例えば日本工業規格「にかわ及びゼラチン」 JIS K6503に定められている。
本発明のシームレスカプセルにおいては、カプセル剤皮組成物が、40℃における粘度が70~400mPa・sであるという特性を有していれば、原料ゼラチンのグレードは限定されないが、極端に粘度が高いものは適さない。
カプセル剤皮組成物中、ゼラチンの含有量は、10~40質量%であり、好ましくは20~30質量%である。
可塑剤としては、糖アルコール(例えば、濃グリセリン;エリスリトール、トレイトール等のテトリトール;キシリトール、アラビニトール、リビトール、アドニトール等のペンチトール;マンニトール、ソルビトール、イジトール、ズルシトール、ガラクチトール等のヘキシトール;マルチトール、ラクチトール等のドデシトール等)や糖類(例えば、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、オリゴ糖等)などが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カプセル剤皮組成物中、可塑剤の含有量は、0.5~10質量%であり、好ましくは1~5質量%である。
また、カプセル剤皮組成物中、ゼラチン及び可塑剤からなる固形分の含有量は、20~35質量%であり、好ましくは22~30質量%である。
カプセル剤皮組成物には、上記成分の他に、カラギーナンや寒天、アルギン酸ナトリウム等の増粘多糖類を配合することができる。
斯かる増粘多糖類は、ゲル化温度が高いことから、これを配合した場合には、冷却液温度は高くすることが望ましく、カプセル剤皮組成物のゲル化温度から10~60℃低く設定するのが好ましい。
また、アルギン酸ナトリウムはカルシウムイオン等の2価の陽イオンによりゲル化する性質を持つため、これを配合した場合には、硬化液として塩化カルシウム溶液を用いることも可能である。
また、カプセル剤皮組成物には、適宜、着色剤や保存剤を添加することも可能である。
本発明のカプセル剤皮組成物は、40℃における粘度が70~400mPa・sになるように調整される。当該粘度の調整は、可塑剤及び水の量を適宜変えることにより行うことができる。水の含有量は、組成物中50~90質量%であり、好ましくは60~85質量%、より好ましくは70~80質量%である。
本発明のカプセル剤皮組成物は、40℃における粘度が70~400mPa・sであるが、さらに、50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・s、のいずれか1以上を具備するのが好ましい。さらには、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び/又は50℃における粘度が50~230mPa・sを具備するのがより好ましく、さらには50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・sを具備するのがより好ましい。
カプセル充填時における上記カプセル剤皮組成物とカプセル内容物との質量比は、通常10:1~1:10で、好ましくは2:1~1:1である。
本発明のシームレスカプセルは、上述したカプセル内容物とカプセル剤皮組成物を用い、滴下法により、一定の振動を付与しつつ液滴を形成させることにより、シームレスカプセルを製造することができる。
具体的には、例えば、多重ノズルの内側のノズルからカプセル内容物を、外側からカプセル剤皮組成物を、一定の振動を付与しつつ一定速度で硬化液(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、オリーブ油、大豆油、コーン油、スクワラン等の動植物由来の油性基材、流動バラフィン等の鉱物油及び水添ポリイソプテン等の化学合成で得られる非鉱物系オイルやこれらの混合物が該当し、カプセル充填時にカプセル剤皮組成物と界面を形成する液体)中に流出させ、この2層の流液を一定間隔で切断し、界面張力で液滴としたのち、外側のシェル層を冷却によってゲル化させ、シームレスカプセルとする。
斯かるシームレスカプセル製造は、振動付与手段を備えたカプセル製造装置を使用することにより行うことができ、当該装置は特に限定されないが、例えば、特許文献1に記載の装置を使用するのが好ましい(図2,3)。
振動は、液滴形成に作用するように付与されればよく、その態様は限定されないが、例えば、多重ノズルに供給されるカプセル剤液(カプセル内容物及びカプセル剤皮組成物)、多重ノズル付近へ供給される硬化液、及びノズル近傍の躯体から選ばれる一以上の対象に付与する態様が挙げられる。
ここで、ノズル近傍の躯体としては、ノズル自体、管路の一部に設けられた可撓性部分、パルセータ等が挙げられる。
振動の付与は、ファンクションジェネレータと、それによって生成された電圧信号に基づいて駆動される駆動部を有する加振機構によって行われる。ファンクションジェネレータは、様々な電圧波形すなわち時間の関数(Function)を自在に発生させることができる機器であり、周波数、振幅、波形等を制御できる。
本発明のシームレスカプセルの製造方法において、振動は、電圧、周波数に加えて波形を制御するのが好ましい。波形は、正弦波(サイン波)、矩形波、三角波、のこぎり波、パルス波及びこれらの組み合わせであり得、パルス波、正弦波であるのが好ましい。
電圧は±数10V、周波数はDCから上限は数10~数100MHzの出力が挙げられる。
また、本発明の製造法によれば、アイズを制御できるが、ノズル(例えば、図1及び2中の120)付近で計測されたカプセル内容物の粘度と、同様に計測されたカプセル剤皮組成物の粘度の比(カプセル内容物/カプセル剤皮組成物)が5~20である場合にはサイン波の振動を付与すること、またこの粘度比の範囲の外側(5未満又は20より大きい)ではパルス波の振動を付与することにより、より効果的にアイズを小さく又は消滅させることができる。したがって、用いるカプセル内容物とカプセル剤皮組成物の粘度に応じて、付与する振動の波形を適宜選択することが好ましい。
シームレスカプセルの製造においては、カプセルが形成されるノズル近傍の温度条件が最終的なカプセルの品質に大きな影響を与える。中でもカプセル剤皮組成物が冷却してゲル化しカプセル剤皮を形成する間は高度な温度制御が必要となる。
カプセル内容物は、送液中、無脈動で温度及び圧力が一定の状態でノズルへ供給されることが望ましい。一定条件の場合、カプセル内容物の粘度も一定とすることが可能となり、粘度起因の不具合を減少することが出来る。
カプセル内容物の温度は、ノズル(例えば、図2及び3中の121)付近で室温を標準とし、例えば、0℃~50℃、より好ましくは10℃~30℃、さらに好ましくは15℃~25℃の範囲で制御される。
カプセル剤皮組成物は、上記のとおり、40℃における粘度が70~400mPa・sという特性を有するが、送液中、溶液状態を保ち、ノズルに安定して送液されることが必要である。送液の状態は、無脈動で温度及び圧力が一定の状態が望ましい。一定条件の場合、カプセル剤皮組成物の粘度も一定とすることが可能となり、粘度起因の不具合を減少することが出来る。
本発明の方法において、カプセル剤皮組成物のノズル(例えば、図2及び3中の122)付近の温度は、高温にする必要はなく、50℃未満、好ましくは48℃未満、より好ましくは46℃未満であり、30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上である。
カプセル剤皮組成物の冷却固化(ゲル化)は、連続的に形成される2重ジェット流からの切断物を、硬化液を用いて0~15℃の温度下に置くことにより行われる。この場合、温度変化が少ないことがより望ましく、冷却設備やバッファー環境にもよるが±1~2℃程度の変動であれば許容される。
カプセル剤皮組成物のゲル化に際しては、ジェット流の切断から界面張力による球形化の速度と冷却固化の速度に好適な比が存在し、冷却固化が早すぎた場合、低真球度やツノ状の突起を有するカプセルが生じるなど、収率に影響する。逆に冷却固化が遅い場合はゲル化が不十分な状態となり、カプセル同士が衝突することで、2個玉や大玉が発生したり、流路管内での衝突により変形が生じたりする。これらの現象はカプセル化直後の検体を観測することで見分けることが可能である。
カプセル内容物とカプセル剤皮組成物とはカプセル充填の機構上、両素材間に良好な界面を形成することが必須である。本発明のシームレスカプセルの製造においては、界面形成が不十分な場合は、カプセル内容物及び/又はカプセル剤皮組成物に、界面張力を調整するためにアルコールや界面活性剤を添加すること、或いは内側ノズルと外側ノズルの間にノズルを設け第3の溶液を供給する等を適宜行うことができる。ここで、第3の溶液としては、レシチンやスクロース酢酸イソブチル、又はこれらの中鎖脂肪酸トリグリセリドや植物油による希釈物等のカプセル内容物及びカプセル剤皮組成物共に界面を形成する溶液を用いることが可能である。
斯くして、本発明によれば、偏肉がなく、アイズがないか又は極めて小さい、低粘性の物質を内層に含むシームレスカプセルを効率よく製造することができる。
製造例1 カプセル剤皮組成物の調製
(1)ゼラチン、濃グリセリン、ソルビトール及び精製水を表1-1及び表1-2で示される組成で混合した後、室温でゼラチンを十分膨潤させる。その後、ダマ等がなく全体が均一の溶液となるまで加温溶解し、カプセル剤皮組成物を得た。
Figure 2022078858000001
Figure 2022078858000002
(2)カプセル剤皮組成物の温度・粘度特性
(1)で調製したカプセル剤皮組成物の各温度における粘度を、音叉型振動式粘度計(SV-10;エーアンドデイ(株)製)を用い測定した。
結果を表2及び図1に示す。
Figure 2022078858000003
実施例 シームレスカプセルの製造
図3に示すシームレスカプセル製造装置により、製造例1で調製したカプセル剤皮組成物1~14、比較組成物1~3及びカプセル内容物(オメガ-3脂肪酸エチル、イコサペント酸エチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド)を用い、表3-1及び表3-2に示す条件にて、シームレスカプセルを製造した。
硬化液としては食用油(医薬品添加物規格中鎖脂肪酸トリグリセリド)を用い図3 103に適用した。ファンクションジェネレータはTektronix社製(Model:AFG3022B)を用いた(図3 310)。駆動部としては330にファンクションジェネレータの電気信号を振動に変換する汎用装置を用い、強度調整のための電力増幅器(自社製)を320として使用した。製造されたカプセルは104として回収し、アイズの有無やサイズ、カプセル剤皮の偏肉の程度並びに変形の状態を観察した。その後カプセルは乾燥し、全数目視検査を実施し、不良率を算出した。
製造されたシームレスカプセルの評価結果を表3-1及び表3-2に併せて示す。
表中、内容物及びカプセル剤組成物の粘度は、カプセル充填時のノズル付近の温度に対応する。実施例1~16では、アイズが無く又はあっても品質に影響を及ぼさない程度の大きさに制御することが可能であった。また、偏肉や変形の状態も適切であり製品不良率が極めて抑制された。この時のカプセル剤皮組成物のノズル(図3中の122)付近の温度は40~49℃の範囲で良好な製造が達成されていた。一方、比較例では、カプセル剤皮組成物の40℃における粘度が高いことから、ノズル付近の温度を50℃より高くせざるを得ず、これにより、偏肉や変形が発生し、製品不良率も著しく増加した。
Figure 2022078858000004
Figure 2022078858000005
1,2:シームレスカプセル製造装置、101:芯液、102:皮膜液、103:硬化
液、104:カプセル、120:ノズル、121:内側ノズル、122:外側ノズル、1
33:硬化液吐出部、141:芯液供給管、142:皮膜液供給管、143:硬化液供給
管、200,300:波動付与部、210,310:ファンクションジェネレータ、22
0,320:電力増幅部、230,330:駆動部、231,331:芯液駆動部、23
2,332:皮膜液駆動部、233:硬化液駆動部。

Claims (13)

  1. 20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とし、ゼラチン、可塑剤及び水を含有し、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を外層とするシームレスカプセル。
  2. カプセル剤皮組成物が、さらに、50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・s、のいずれか1以上を具備する、請求項1に記載のシームレスカプセル。
  3. カプセル剤皮組成物が、さらに、45℃における粘度が60~260mPa・s及び/又は50℃における粘度が50~230mPa・sを具備する、請求項1又は2に記載のシームレスカプセル。
  4. カプセル剤皮組成物が、当該組成物中に、ゼラチン及び可塑剤からなる固形分を20~35質量%含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のシームレスカプセル。
  5. カプセル内容物の20℃における粘度が30mPa・s以下である物質が、炭素数18~22のω3系脂肪酸又はそのアルキルエステルである、請求項1~4のいずれか1項に記載のシームレスカプセル。
  6. 滴下法により、20℃における粘度が30mPa・s以下である物質を含有するカプセル内容物を内層とするシームレスカプセルを製造する方法であって、40℃における粘度が70~400mPa・sであるカプセル剤皮組成物を用い、一定の振動を付与しつつ液滴を形成させることを特徴とする、シームレスカプセルの製造方法。
  7. 正弦波又はパルス波の振動を付与する、請求項6に記載の方法。
  8. ノズル付近で計測された、カプセル内容物の粘度とカプセル剤皮組成物の粘度の比(カプセル内容物/カプセル剤皮組成物)が5~20である場合にサイン波の振動を付与し、5未満又は20より大きい場合にパルス波の振動を付与する、請求項7に記載の方法。
  9. カプセル剤皮組成物が、さらに、50℃における粘度が50~230mPa・s、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び35℃における粘度が100~600mPa・s、のいずれか1以上を具備する、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. カプセル剤皮組成物が、さらに、45℃における粘度が60~260mPa・s、及び/又は50℃における粘度が50~230mPa・sを具備する、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. カプセル剤皮組成物が、当該組成物中に、ゼラチン及び可塑剤からなる固形分を20~35質量%含有する、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. カプセル内容物の20℃における粘度が30mPa・s以下である物質が、炭素数18~22のω3系脂肪酸又はそのアルキルエステルである、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. カプセル剤皮組成物のノズル付近の温度を30~50℃に制御する、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
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