JP2014014785A - シームレスカプセルの製造装置と製造方法 - Google Patents

シームレスカプセルの製造装置と製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセルを効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセル製造装置と製造方法を提供する。
【解決手段】ジェット流を形成するためのノズル120、ノズルに芯液101を供給する芯液供給管141、皮膜液102を供給する皮膜液供給管142、芯液供給管内の芯液と皮膜液供給管内の皮膜液に波動を付与する波動付与部200とから構成され、ここで、波動付与部は予め定められた波動の電圧信号を生成するファンクションジェネレータ210とファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される駆動部230とを含み、駆動部は芯液供給管に配置される芯液駆動部231と皮膜液供給管に配置される皮膜液駆動部232とを含む、シームレスカプセル製造装置1、及びこの装置を用いるシームレスカプセルの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的にはシームレスカプセル、すなわち、継ぎ目のない粒状のカプセルにされた医薬食品組成物の製造装置と製造方法に関し、特定的には、ノズルから吐出されるジェット流を所定の長さに切断することによってシームレスカプセルを製造するための製造装置と製造方法に関する。
医薬品は、疾病の診断、治療又は予防ならびに身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされており、期待される効果を得るためには、有効成分の含量や濃度を制御する必要がある。その効果を効率よく発現させるために、投与経路や製剤機能の選択等、様々に検討されている。
医薬品の製剤は、日本薬局方において製剤総則に規定されており、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、といった経口投与される製剤や、口腔内に適用される製剤、注射により投与される製剤、皮膚などに適用される軟膏剤や貼付剤等の製剤などがある。
これらの製剤のうち、シームレスカプセル剤は、製剤サイズを小さくすることが容易であり、飲みやすさに優れた形態にすることが可能である点に特徴がある。また、製剤化に熱や圧力を要しないので薬物が安定であるし、薬物の含量均一性を高めることもできるので、投与量の調節が容易であるという特徴もある。さらに、放出制御機能を付与することも可能であり、経口投与以外にも、放出制御機能を活かして、体内留置型放出制御製剤、組織損傷修復改善剤、血流循環制御剤等の外科手技的に利用する医薬品とすることも可能である。また、食品利用のための形状とすることも可能である。
シームレスカプセルは、一般的には、次のようにして製造される。すなわち、流動性を有する皮膜形成物質の流れの中に、流動性を有する充てん物質の流れを含むジェット流を形成し、気中または液中に噴出させて液滴を形成させる。この液滴の表面を硬化用液と反応させる。液滴の表面が硬化されることによって、硬化された表面の内側に中心側の液が封入される。
ジェット流を形成させるノズルとして噴出口が1つのものを用いることによって、単一のジェット流から単層の液滴を形成し、最終的に単層のシームレスカプセルを製造することができる。また、例えば同心円状に複数の噴出口が形成されたノズルを用いて、内側ノズルと外側ノズルにそれぞれ互いに溶解しない液体を供給することによって、複合ジェット流を形成することもできる。複合ジェット流からは多層の液滴を得て、最終的に多層のシームレスカプセルを製造することができる。
均一な粒径のカプセルを得るために、従来のシームレスカプセル製造装置では、ジェット流から液滴を形成する時にカプセル形成用液に振動を与えるものがある。
例えば、特開昭52−78775号公報(特許文献1)には、同心二重円筒オリフィスの下端部の直下方に、一定の距離を保持せしめて、ジェット流を取り囲み、かつ、ジェット流の長手方向に一定の振幅をもって、上下方向に往復作動するリングまたは筒体を設けた継目なし充填カプセルの製造方法および装置が記載されている。
また、特開昭57−19032号公報(特許文献2)には、芯液と外芯液が噴出する同心二重ノズルが振動子に装着されており、発振器よりの振動が増幅器によって増幅され、同心二重ノズルに伝達される多相液滴の製造法と製造装置が記載されている。
また、特開昭59−112833号公報(特許文献3)には、多重管ノズルの上部に加振装置を設け、多重管ノズルを軸方向に振動させる継目なし充てんカプセル製造装置が記載されている。
特開平4−338230号公報(特許文献4)には、多層液流を噴出させる多重ノズルにカプセル形成用の液流を供給する管路の一部を可撓性材料で形成し、その可撓性部分を加振装置で振動させて多層液滴を生成するシームレスカプセル製造装置が記載されている。
また、振動を与えるのではなく、他の方法でジェット流から安定して液滴を形成することを目的としたシームレスカプセル製造装置としては、同心の多重ノズルから押し出されるジェット流を一定周期で切断するように、ジェット流を取り囲むように、冷却液圧を加える圧力付加機構を設けることが提案されている。
例えば、特公昭61−17541号公報(特許文献5)には、充填物質を包み込んで落下するカプセル化物質を所定周期で切断する楕円形シームレスカプセルの製造方法において、所定周期の中間でカプセル皮膜内に隔壁を形成する程度に、カプセル化物質に所定数のくぼみを与えることを特徴とする楕円形シームレス微小カプセルの製造方法が記載されている。また、充填物質を包み込んで落下するカプセル化物質を切断する冷却液圧を付加する第1の冷却液圧と、該切断する第1の冷却液圧の出力の間に充填物質を包み込んで落下するカプセル化物質にくぼみを与える第2の冷却液圧を出力する圧付加機構を備える楕円形シームレス微小カプセルの製造装置が記載されている。
また、特開昭61−149155号公報(特許文献6)には、複合ノズルより押出された複合ジェット流に、断続流ノズルからの規則的な媒体液の断続流の衝撃が加わり、複合ジェット流に順次先端より一定の間隔に凹みが形成され、媒体液の下降する液流により下方に引かれて凹みの部分から順次切断される複数核シームレスカプセルの製造方法が記載されている。
特開昭52−78775号公報 特開昭57−19032号公報 特開昭59−112833号公報 特開平4−338230号公報 特公昭61−17541号公報 特開昭61−149155号公報
しかしながら、特許文献1に記載の継目なし充填カプセルの製造方法および装置では、リングまたは筒体は、硬化液の安定化した流れを妨げ得る位置に配置される。そのため、ジェット流にリングまたは筒体が接触する可能性が高く、また、リングまたは筒体と加振装置の連結が困難である。
また、特許文献2に記載の多相液滴の製造法と製造装置と、特許文献3に記載の継目なし充てんカプセル製造装置では、ノズル自体を振動させているので、質量が比較的大きいノズルを振動させるために加振装置が大型化する。また、硬化液の安定化した流れに余分な振動が伝達されることによって液滴の乱れが発生する。さらに、硬化液中でノズルを振動させる場合には加振装置とノズルとの連結が困難である。
一方、特許文献4に記載のシームレスカプセル製造装置では、ノズル自体ではなく、管路の一部に設けられた可撓性部分を加振装置で振動させている。しかしながら、後述するように、このようにしても、シームレスカプセルを効率よく安定して製造する生産性やカプセルの形状の均一性、不良率の低減が充分ではない。
また、特許文献5に記載の楕円形シームレス微小カプセルの製造方法と製造装置と、特許文献6に記載の複数核シームレスカプセルの製造方法では、ノズル直下に冷却液圧を加えるための装置を供する必要があり、装置が複雑化する。また、ジェット流切断のための冷却液圧が、硬化液の流れに乱れを生じさせるため、安定したカプセルの製造に限界がある。
そこで、本発明の目的は、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセルを効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセルの製造装置と製造方法を提供することである。
上述のように、従来、ノズル自体やノズルにカプセル剤液を供給する供給管を振動させるための加振機構については、いくつかの形状や振動方法が提案されている。従来のシームレスカプセル製造装置で用いられている加振機構は、周波数と振幅を変更することが可能であるように構成されている。しかしながら、加振機構によってノズル自体や供給管に加えられる振動の周波数と振幅を変更しても、それだけでは、シームレスカプセルの生産性の向上、カプセル形状の均一化、不良率の低減をすることはできなかった。そのため、加振機構は、シームレスカプセルの製造方法と製造装置において、一定の液滴に効率よく安定に分裂させるための、補助的な役割のものとしてしか認識されていなかった。
理論的には、ジェット流が液滴に分裂しやすい波長が存在することが報告されている。理想としては、希望の液滴径と分裂しやすい波長が同期する条件が安定したシームレスカプセルの製造条件となる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、従来技術においてはジェット流の分裂を補助する役割に留まっていた加振機構を、単に周波数と振幅を制御するものではなく、波形も制御するものとして使用した。このようにすることにより、ファンクションジェネレータと駆動部とを含む波動付与部を用いることによって、一つの液滴を形成するための最良の振動プロファイルを作成することが可能となり、ジェット流から能動的に液滴分裂を発生させることが可能となることを見出した。さらに、種々の振動プロファイルを組み合わせることで、隔壁を有する非球形のカプセルを形成することもできる。また、波動を発生させるためにファンクションジェネレータを用いることによって、極めて正確な周波数設定も行えるため、製造安定性が増し、製造能力が飛躍的に向上させることも可能となることが見出された。
以上の知見に基づいて、本発明のシームレスカプセルの製造装置は次のように構成される。
この発明に従ったシームレスカプセル製造装置は、カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズルと、ノズルに本液を供給する本液供給流路と、本液供給流路を介して、本液供給流路内の本液に予め定められた波動を付与する波動付与部とを備える。波動付与部は、予め定められた波動の電圧信号を生成するファンクションジェネレータと、ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される駆動部とを含む。駆動部は、本液供給流路に配置される本液駆動部を含む。
このようにすることにより、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセルを効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセルの製造装置を提供することができる。
この発明に従ったシームレスカプセル製造装置は、ノズルから吐出された本液に、吐出された本液の表面を硬化させるための硬化液を供給する硬化液供給部を備えることが好ましい。駆動部は、硬化液供給部に配置されてファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される硬化液駆動部を含むことが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造装置においては、波動付与部は、ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号を増幅する電力増幅部を含むことが好ましい。駆動部は、電力増幅部に接続され、電力増幅部によって増幅された電圧信号に基づいて駆動されるように構成されていることが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造装置においては、ファンクションジェネレータは、予め定められた波動の電圧信号を周期的に生成するように構成されていることが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造装置においては、本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相であってもよく、本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差があってもよい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造装置においては、ノズルは、内周側ノズルと、内周側ノズルの外側に配置される外周側ノズルとを含む多層ノズルであることが好ましい。本液供給流路は、内周側ノズルに本液を供給する内周側供給流路と、外周側ノズルに本液を供給する外周側供給流路とを含むことが好ましい。本液駆動部は、内周側供給流路に配置される内層液駆動部と、外周側供給流路に配置される外層液駆動部とを含むことが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造装置においては、内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相であってもよく、内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差があってもよい。
また、この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法は、カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズルに供給するために流通させる本液供給流路において、ファンクションジェネレータによって生成される電圧信号に基づいて駆動部を駆動させることによって本液供給流路を介して供給流路内の本液に予め定められた波動を付与するステップを含む。駆動部は、本液供給流路に配置される本液駆動部を含む。
このようにすることにより、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセルを効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセルの製造方法を提供することができる。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法においては、ノズルから吐出された本液に、吐出された本液の表面を硬化させるための硬化液を供給する硬化液供給部において、硬化液供給部を介して硬化液供給部内の硬化液に予め定められた波動を付与するステップを含むことが好ましい。駆動部は、硬化液供給部に配置されてファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される硬化液駆動部を含むことが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法は、ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号を増幅し、増幅された電圧信号に基づいて駆動部を駆動することが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法においては、駆動部は、ファンクションジェネレータによって周期的に生成される予め定められた波動の電圧信号によって駆動されることが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法においては、本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相であってもよく、本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差があってもよい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法においては、ノズルは、内周側ノズルと、内周側ノズルの外側に配置される外周側ノズルとを含む多層ノズルであることが好ましい。本液供給流路は、内周側ノズルに本液を供給する内周側供給流路と、外周側ノズルに本液を供給する外周側供給流路とを含むことが好ましい。本液駆動部は、内周側供給流路に配置される内層液駆動部と、外周側供給流路に配置される外層液駆動部とを含むことが好ましい。
この発明に従ったシームレスカプセルの製造方法においては、内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相であってもよく、内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差があってもよい。
以上のように、この発明によれば、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセルを効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセルの製造装置と製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態としてシームレスカプセル製造装置の構成を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態としてシームレスカプセル製造装置の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態のシームレスカプセル製造装置1は、主に、カプセル本体を形成するための液体として本液を貯留する本液槽110と、ノズル120と、本液槽110とノズル120とを接続する本液供給流路として芯液供給管141と皮膜液供給管142と、カプセル外皮を硬化させる硬化液103を貯留する硬化液槽113と、硬化液103をノズル120の近傍に供給するための吐出口を有する硬化液吐出部133と、硬化液槽113と硬化液吐出部133とを接続する硬化液供給管143と、ノズル120と硬化液吐出部133とを硬化液に浸漬する硬化液流下槽144と、芯液供給管141と皮膜液供給管142と硬化液供給管143内の液体に波動を付与する波動付与部200と、各槽の液体を各供給流路内で輸送するためのポンプ(図示しない)と、硬化液103を硬化液流下槽144から回収するための硬化液回収槽161と、シームレスカプセルを回収するカプセル回収管151とカプセル回収容器162と、硬化液を循環させるための硬化液流下槽循環管152と硬化液槽循環管153と、ポンプ154,155とを備える。シームレスカプセル製造装置1は、例えば、内層と外層とから構成されるカプセルを製造するための装置である。硬化液吐出部133と硬化液供給管143とは、硬化液供給部の一例である。
本液槽110は、例えば、別個に形成された芯液槽111と皮膜液槽112とを含む。芯液槽111には、この実施形態においては、製造されるカプセル104の内層(第一層)となる芯液101の一例として、中鎖脂肪酸トリグリセリドに薬効成分を分散させた液が収容されている。皮膜液槽112には、この実施形態においては、製造されるカプセル104の外層(第二層)となる皮膜液102の一例として、例えば、水にゼラチンとグリセリンまたはソルビトールを添加した液が収容されている。芯液101と皮膜液102とは、互いに溶け合わない組成を有する。硬化液槽113には、皮膜液102を硬化させるための硬化液103の一例として、食用油が収容されている。なお、硬化とは、カプセル剤として使用されることが可能であるように形状が保持される程度に硬化されればよく、ゲル化を含むものとする。
芯液供給管141は芯液槽111内の芯液101を図中の矢印Aで示す方向に流通させるものである。皮膜液供給管142は皮膜液槽112内の液体を図中の矢印Bで示す方向に流通させるものである。
ノズル120は、例えば、同心円状の二重ノズルである。内側ノズル121は、芯液供給管141によって芯液槽111と接続されている。外側ノズル122は、皮膜液供給管142によって皮膜液槽112と接続されている。ノズル120は、上述のように同心円状の構造でも、多核を有する複合形態の構造であってもよい。ノズル120は、内側ノズル121と、内側ノズル121の外側に配置される外側ノズル122とを含む多層ノズル120であり、芯液供給管141と皮膜液供給管142は、それぞれ、内側ノズル121に本液を供給する内周側供給流路と、外側ノズル122に本液を供給する外周側供給流路である。
硬化液槽113には硬化液供給管143の一方の端部が接続されている。硬化液供給管143の他方の端部には、吐出口が形成された硬化液吐出部133が接続されている。硬化液吐出部133の吐出口は、例えば、ノズル120の先端の下方においてノズル120の近傍に配置されている。硬化液槽113内の液体は、硬化液供給管143内を図中の矢印Cで示す方向に流通する。
硬化液103は、硬化液槽113から硬化液供給管143を通って硬化液吐出部133から硬化液流下槽144内に供給される。硬化液103は、硬化液流下槽144内において下向きに流れるように供給される。硬化液流下槽144内の硬化液103にはノズル120と硬化液吐出部133とが浸漬される。このようにすることにより、ノズル120から吐出されるジェットの本液は、空気中ではなく、硬化液103中に吐出される。このように、ノズル120が硬化液103中に配置されることによって、ノズル120の周辺の物理的衝撃がノズル120に伝わりにくくなり、シームレスカプセルを安定して製造することが可能になる。
硬化液流下槽144の底部にはカプセル回収管151が接続されている。カプセル回収管151は、硬化液回収槽161の上方において開口している。硬化液回収槽161は、上面が例えば傾斜を付けたメッシュで覆われている。カプセル回収管151を通って硬化液流下槽144から流れ出た硬化液は、メッシュの孔を通って硬化液回収槽161内に流入するが、カプセルは硬化液回収槽161内に落ちずに、メッシュ上を転がって、硬化液回収槽161とは別に設けたカプセル回収容器162内に落ちる。硬化液回収槽161は、硬化液流下槽循環管152によって硬化液流下槽144と連通され、硬化液槽循環管153によって硬化液槽113と連通されている。硬化液流下槽循環管152にはポンプ154が配置され、硬化液槽循環管153にはポンプ155が配置されている。
硬化液回収槽161内の硬化液103は、ポンプ154が駆動されると、硬化液流下槽循環管152を通って、硬化液流下槽144内に戻される。また、硬化液回収槽161内の硬化液は、ポンプ155が駆動されると、硬化液槽循環管153を通って、硬化液槽113内に戻される。このように、硬化液槽113内の硬化液103と硬化液流下槽144内の硬化液103は、同じ硬化液103である。硬化液103は上述のように循環されて再利用される。
波動付与部200は、予め定められた波動の電圧信号を生成するファンクションジェネレータ210と、電力増幅部220と、駆動部230とを含む。ファンクションジェネレータ210は、任意の周波数と波動を持った交流電圧信号を生成することのできる電気計測器であり、この実施形態においては、一定周波数の任意の波動を任意の位相で発生させることが可能なものである。ファンクションジェネレータ210は、この実施形態においては、第1出力端子211と第2出力端子212と第3出力端子213とを含む。
ファンクションジェネレータ210の基本的な構成としては、電圧、周波数、波形等の設定が可能であり、電圧は±数10V、周波数はDCから上限は数10〜数100MHzの出力、波形は例えば正弦波、矩形波、三角波、のこぎり波、パルス波、および、これらを組み合わせた任意の波形を出力することが可能であるように構成されていることが好ましい。製造装置1で用いるファンクションジェネレータ210は、特にデジタル化され、より複雑な任意の波動生成やデジタル変調に対応していることが望ましい。本発明でいうファンクションジェネレータ210とは、一般に信号発生器として、任意の波形を所定の周波数で出力可能なものであればよく、上述のファンクションジェネレータ210に類似の装置も含む。また、波形出力と周波数出力を組み合わせた、ファンクションジェネレータ210と同様の機能を有する自主製作装置をも含む。ファンクションジェネレータ210としては、例えば、アジレント・テクノロジー株式会社、エヌエフ回路設計ブロック株式会社、株式会社TFT、横河メータ&インスツルメンツ株式会社で販売している装置を利用することができる。
なお、ファンクションジェネレータ210はこの実施形態では3系統の出力を有するが、適宜系統を増減することが可能である。ファンクションジェネレータ210は、例えばこのように、3系統の出力を有し、それぞれの出力間で波動の波形や位相を同一にしたり、異ならせたりすることが可能であるように構成されていてもよい。あるいは、ファンクションジェネレータ210と後述する電力増幅器との間に、ファンクションジェネレータ210の出力を分岐する位相制御機器が配置されていてもよい。
電力増幅部220は、この実施形態においては、ファンクションジェネレータ210の第1出力端子211に電気的に接続される第1電力増幅器221と、第2出力端子212に電気的に接続される第2電力増幅器222と、第3出力端子213に電気的に接続される第3電力増幅器223とを含む。電力増幅部220は、ファンクションジェネレータ210によって発生された電圧信号を増幅して駆動部230に伝達する。
電力増幅器221,222,223は、一般的な電力増幅器を指し、駆動部230のインピーダンスに応じて、入出力仕様を選択すればよい。なお、ファンクションジェネレータ210の周波数域でノイズ発生が抑えられるノイズフィルターを有する仕様が望ましい。また、電力増幅器には電圧増幅、電力増幅および電流増幅が含まれるが、本発明では駆動部230を適切に作動させるように電流と電圧の増幅が達成されるのであれば、特に仕様は制限されない。
駆動部230は、ファンクションジェネレータ210によって生成された電圧信号に基づいて駆動されるものである。駆動部230は、この実施形態においては、芯液駆動部231と皮膜液駆動部232と硬化液駆動部233とを含む。内層液駆動部として芯液駆動部231は、第1電力増幅器221に接続されており、芯液供給管141を介して芯液供給管141内の芯液101に波動を付与する。外層液駆動部として皮膜液駆動部232は、第2電力増幅器222に接続されており、皮膜液供給管142を介して皮膜液供給管142内の皮膜液102に波動を付与する。芯液駆動部231と皮膜液駆動部232とは本液駆動部を構成する。硬化液駆動部233は、第3電力増幅器223に接続されており、硬化液供給管143を介して硬化液供給管143内の硬化液103に波動を付与する。なお、硬化液供給管143内ではなく、硬化液流下槽144内に貯められている硬化液には、硬化液駆動部233によって波動は付与されない。
駆動部230は公知技術の仕様であれば特に制限されるものでない。例えば、芯液供給管141、皮膜液供給管142、硬化液供給管143のそれぞれの内部に設けた弁などの可撓性部材を、任意波動のX−Yプロットに追従可能な様に往復運動させる機構を備えた仕様が望ましい。これは、振動プロファイルが極めて精度よく液滴を分裂させるための良好な仕様の一つである。
このように、シームレスカプセル製造装置1においては、波動付与部200は、ファンクションジェネレータ210によって発生された電圧信号を増幅する電力増幅部220を含む。駆動部230は、電力増幅部220に接続され、電力増幅部220によって増幅された電圧信号に基づいて、芯液供給管141と皮膜液供給管142および硬化液供給管143を介して芯液供給管141と皮膜液供給管142内の本液および硬化液供給管143内の硬化液103に付与するように構成されている。
以上のように構成されるシームレスカプセル製造装置1を用いたシームレスカプセル104の製造方法を説明する。
まず、ステップ(a)として、ポンプ154を駆動し、硬化液流下槽循環管152、硬化液流下槽144、カプセル回収管151、硬化液回収槽161へと硬化液103を循環させる。ステップ(b)として、ポンプを駆動し、カプセル本体を形成するための芯液101と皮膜液102を、芯液供給管141と皮膜液供給管142内を流通させて、ジェット流として吐出するノズル120に供給する。また、ステップ(c)として、ポンプを駆動し、吐出された本液の表面を硬化させるための硬化液103を、硬化液供給管143を流通させて硬化液吐出部133から、ノズル120から吐出された本液に供給する。なお、ステップ(b)と(c)とは、同時に行われることが好ましい。ステップ(b),(c)が行われる時に、ファンクションジェネレータ210と電力増幅部220と駆動部230とを駆動させる。ファンクションジェネレータ210は、予め定められた周波数、強度、波形の波動を発生させる。ファンクションジェネレータ210によって発生された波動は、電力増幅部220によって増幅され、増幅された波動が駆動部230によって、芯液供給管141内の芯液101、皮膜液供給管142内の皮膜液102、硬化液供給管143内の硬化液103にそれぞれ付与される。
ノズル120の内側ノズル121から吐出される芯液101のジェット流と、外側ノズル122から吐出される皮膜液102のジェット流とは、複合ジェット流を形成する。この複合ジェット流は、硬化液吐出部133を通過する。芯液101、皮膜液102および硬化液103に付与された波動によって、複合ジェット流が切断されて、粒形になる。多層を構成する各液は、隣り合う層が互いに容易に溶けあわない組成により構成され、層間の界面張力によって、カプセルの形状が決定される。粒形になったカプセル104は、矢印Dで示すように硬化液流下槽144内を流れ落ち、硬化液103とともにカプセル回収管151を通り、カプセル回収容器162に回収される。このようにしてシームレスカプセル104が製造される。
波動付与部200は、複合ジェット流を構成する芯液101と皮膜液102、および、硬化液103とに付与される波動を任意の位相に制御することが可能であるように構成されている。
例えば、波動は、芯液供給管141内の芯液101、皮膜液供給管142内の皮膜液102、硬化液供給管143内の硬化液103に、周期的に付与されることが好ましい。
また、予め定められた波動を、芯液供給管141内の芯液101と、皮膜液供給管142内の皮膜液102と、硬化液供給管143内の硬化液103とに、同一の波形の波動を同一の周波数で周期的に、同一の位相で付与してもよい。一方、予め定められた波動を、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102とに付与する位相と、硬化液供給管143内の硬化液103に付与する位相との間に、予め定められた位相差を設けるように付与してもよい。また、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102との間に予め定められた一定の位相差で波動が付与されてもよい。これらの場合において、芯液101、皮膜液102、硬化液103のそれぞれに付与される波動の波形と周波数は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102と硬化液供給管143内の硬化液103とに付与する波動の位相差は、それぞれの液体の粘度や比重の差や駆動部230からノズル120までの距離に基づいて調節される。このようにすることにより、ジェット流を、目的とするカプセル単位の大きさに区切りやすくなり、シームレスカプセルを安定して製造することができる。
また、この実施形態においては、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供路142内の皮膜液102と硬化液供給流路143内の硬化液103のすべてに波動が付与されているが、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供路142内の皮膜液102と硬化液供給流路143内の硬化液103のいずれか一つにのみ波動が付与されてもよいし、いずれか二つにのみ波動が付与されてもよい。
以上のように、第1実施形態のシームレスカプセル製造装置1は、カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズル120と、ノズル120に本液として芯液101を供給する芯液供給管141と皮膜液102を供給する皮膜液供給管142と、芯液供給管141と皮膜液供給管142を介して、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102に予め定められた波動を付与する波動付与部200とを備える。波動付与部200は、予め定められた波動の電圧信号を生成するファンクションジェネレータ210と、ファンクションジェネレータ210によって生成された電圧信号に基づいて駆動される駆動部230とを含む。駆動部230は、芯液供給管141に配置される芯液駆動部231と皮膜液供給管142に配置される皮膜液駆動部232を含む。
このようにすることにより、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセル104を効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセル製造装置1を提供することができる。
また、シームレスカプセル製造装置1は、ノズル120から吐出された本液に、吐出された本液をさらに安定して分裂させるための硬化液103を供給する硬化液供給管143と硬化液吐出部133を備える。駆動部230は、硬化液供給管143に配置されてファンクションジェネレータ210によって生成された電圧信号に基づいて駆動される硬化液駆動部233を含む。硬化液吐出部133は、ノズル120と一体的に形成されていてもよく、例えば、ノズル120の外側ノズル122のさらに外側に硬化液用のノズルを備える、同心円状の三重ノズルとして構成されていてもよい。
また、シームレスカプセル製造装置1においては、波動付与部200は、ファンクションジェネレータ210によって生成された電圧信号を増幅する電力増幅部220を含む。駆動部230は、電力増幅部220に接続され、電力増幅部220によって増幅された電圧信号に基づいて駆動されるように構成されている。
シームレスカプセル製造装置1によれば、シームレスカプセル104の製造時、および、製剤中での有効成分の安定性や製剤均一性を高めることができ、また、投与量の調整が容易となる粒状組成物を簡便に製造することが可能となる。シームレスカプセル製造装置1は、従来は達成することのできなかった製造能力と製造安定性を同時に向上させる新たなシームレスカプセルの製造方式を有する製造装置である。
(第2実施形態)
図2に示されるように、第2実施形態のシームレスカプセル製造装置2は、第1実施形態の製造装置1と同様に、主に、カプセル本体を形成するための液体として本液を貯留する本液槽110と、ノズル120と、本液槽110とノズル120とを接続する本液供給流路として芯液供給管141と皮膜液供給管142と、カプセル外皮を硬化させる硬化液103をノズル120の近傍に供給するための硬化液流下槽343と、芯液供給管141と皮膜液供給管142内の液体に波動を付与する波動付与部300とを備える。硬化液流下槽343と硬化液流下槽循環管152とは硬化液供給部の一例である。
硬化液流下槽343の底部にはカプセル回収管151が接続されている。カプセル回収管151は、硬化液回収槽162の上方において開口している。硬化液回収槽162は、上面が例えば傾斜を付けたメッシュで覆われている。カプセル回収管151を通って硬化液流下槽343から流れ出た硬化液は、メッシュの孔を通って硬化液回収槽162内に流入するが、カプセルは硬化液回収槽162内に落ちずに、メッシュ上を転がって、硬化液回収槽162とは別に設けたカプセル回収容器162内に落ちる。硬化液回収槽161は、硬化液流下槽循環管152によって硬化液流下槽343と連通されている。硬化液流下槽循環管152にはポンプ154が配置されている。
硬化液103は、ポンプ154が駆動されると硬化液流下槽343、カプセル回収管151、硬化液回収槽161、硬化液流下槽循環管152を循環される。硬化液103としては、例えば、食用油が用いられる。硬化液103は、硬化液流下槽343内において下向きに流れるように供給される。硬化液流下槽343内の硬化液103にはノズル120が浸漬される。このようにすることにより、ノズル120から吐出されるジェットの本液は、空気中ではなく、硬化液103中に吐出される。このように、ノズル120が硬化液103中に配置されることによって、ノズル120の周辺の物理的衝撃がノズル120に伝わりにくくなり、シームレスカプセルを安定して製造することが可能になる。
第2実施形態の製造装置2が第1実施形態の製造装置1と異なるもう一つの点として、波動付与部300は、第1出力端子311と第2出力端子312とを有するファンクションジェネレータ310と、第1電力増幅器321と第2電力増幅器322とから構成されている電力増幅部320と、芯液駆動部331と皮膜液駆動部332とから構成されている駆動部330とによって構成されている。波動付与部300は、第1実施形態とは異なり、硬化液流下槽循環管152内の硬化液103に波動を付与しない。
第1実施形態と同様に、芯液101は芯液槽111から芯液供給管141を通って内側ノズル121に供給され、皮膜液102は皮膜液槽112から皮膜液供給管142を通って外側ノズル122に供給される。ノズル120からジェットとして吐出された芯液101と皮膜液102は、複合ジェット流を形成する。芯液101と皮膜液102に付与された波動によって、複合ジェット流が切断されて、粒形になる。粒形になった本液は、矢印Dで示すように、流下する硬化液103とともに硬化液流下槽343内で落下する。皮膜液102は硬化液103である食用油中で冷却されてゲル化し、カプセル104が形成される。
以上のように、第2実施形態のシームレスカプセル製造装置1は、カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズル120と、ノズル120に本液を供給する芯液供給管141と皮膜液供給管142と、ノズル120から吐出された本液に、吐出された本液の表面を硬化させるための硬化液103を供給する硬化液供給管143と、芯液供給管141と皮膜液供給管142を介して、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102に予め定められた波動を付与する波動付与部300とを備える。波動付与部300は、予め定められた波動を発生させるファンクションジェネレータ310と、ファンクションジェネレータ310によって発生された波動を芯液供給管141と皮膜液供給管142を介して芯液供給管141と皮膜液供給管142内の本液に付与する駆動部330とを含む。
芯液供給管141内の芯液101に付与される波動と、皮膜液供給管142内の皮膜液102に付与される波動とは、同一の波形であってもよいし、異なる波形であってもよい。また、同一の周波数で、同一の位相で付与されてもよいし、異なる位相で付与されてもよい。さらにまた、芯液供給管141内の芯液101と皮膜液供給管142内の皮膜液102のいずれか一方にのみ波動が付与されてもよい。
このようにすることにより、ノズルの構成を複雑にすることなく、ジェット流を安定に分裂させて、シームレスカプセル104を効率よく安定して製造することが可能なシームレスカプセル製造装置2を提供することができる。
第2実施形態のその他の構成と効果は第1実施形態と同様である。
(実施例1)
カプセル剤を以下のようにして様々な条件下で作製し、カプセル形状と不良率を観察した。製造装置としては、図2に示す第2実施形態のシームレスカプセル製造装置を用いた。
製造されるカプセルの第一層、すなわち、内層を形成する芯液として中鎖脂肪酸トリグリセリドを用い、カプセルの第二層、すなわち、外層を形成する皮膜液として水にゼラチンとグリセリンを添加した液(日本薬局方ゼラチン25重量%、日本薬局方グリセリン2.5重量%、精製水72.5重量%)を用い、硬化液として食用油(医薬品添加物規格中鎖脂肪酸トリグリセリド)を用いた。ジェット流を形成するノズルとしては同心円状の二重ノズルを使用した。
ファンクションジェネレータとしてはTektronix社製(Model:AFG3022B)を用いた。駆動部としては、ファンクションジェネレータの電気信号を振動に変換する汎用装置を用いた。駆動部は、電力増幅器を介してファンクションジェネレータに電気的に接続された。駆動部は、芯液供給流路内の芯液に波動を与え、皮膜液供給流路内の皮膜液には波動を与えないように、芯液供給流路内に配置された。
ファンクションジェネレータで、表1に示す波形を発生させて、駆動部によって芯液供給流路内の芯液にそれぞれの波動を付与した。
観察結果は表1のとおりであった。
Figure 2014014785
カプセル形状および不良率は、条件1(非付与)を基準として、顕著に改善(◎)、改善(○)、変化なし(△)、悪化(×)とした。カプセル形状については、例えば、製造直後のシームレスカプセルを顕微鏡観察することによって、形状が真球に近いかどうか、芯液がカプセルの中心に配置されているかどうか、といったことから判断した。不良率については、一定時間の製造中に、形状が乱れたシームレスカプセルの個数から判断した。それぞれの波動は例えばデューティ比等の個々の調整パラメータが存在するが、適宜好適な設定を選択し、その条件で観察を行った。
以上のように、供給管内の液体に付与する波形を変更することによって、カプセル形状、不良率が変化することがわかった。正弦波、三角波、パルス波のいずれの波形の波動を付与した場合でも、波動を付与しなかった場合と比較して、カプセル形状が均一となり、不良率も改善されて、結果として生産数が向上した。さらに、例えば、三角波またはパルス波を付与した場合には、波動を付与しなかった場合と比較して、カプセル形状、不良率が顕著に改善されていた。
(実施例2)
カプセル剤を以下のようにして様々な条件下で作製し、カプセル形状と不良率を観察した。製造装置としては、図2に示す第2実施形態のシームレスカプセル製造装置を用いた。
製造されるカプセルの第一層、すなわち、内層を形成する芯液として中鎖脂肪酸トリグリセリドを用い、カプセルの第二層、すなわち、外層を形成する皮膜液として水にゼラチンとグリセリンを添加した液(日本薬局方ゼラチン25重量%、日本薬局方グリセリン2.5重量%、精製水72.5重量%)を用い、硬化液として食用油(医薬品添加物規格中鎖脂肪酸トリグリセリド)を用いた。ジェット流を形成するノズルとしては同心円状の二重ノズルを使用した。
ファンクションジェネレータとしてはTektronix社製(Model:AFG3022B)を用いた。駆動部としては、ファンクションジェネレータの電気信号を振動に変換する汎用装置を用いた。駆動部は、電力増幅器を介してファンクションジェネレータに電気的に接続された。駆動部は、芯液供給流路内の芯液に波動を与え、皮膜液供給流路内の皮膜液にも波動を与えるように、芯液供給流路内と皮膜液供給流路内のそれぞれに配置された。
ファンクションジェネレータで、表1に示す波形を発生させて、駆動部によって芯液供給流路内の芯液にそれぞれの波動を付与した。
観察結果は表2のとおりであった。
Figure 2014014785
カプセル形状および不良率は、条件1(非付与)を基準として、顕著に改善(◎)、改善(○)、変化なし(△)、悪化(×)とした。それぞれの波動は例えばデューティ比等の個々の調整パラメータが存在するが、適宜好適な設定を選択し、その条件で観察を行った。
以上のように、供給管内の液体に付与する波形を変更することによって、カプセル形状、不良率が変化することがわかった。
第一層、すなわち、芯液供給流路内の芯液に付与された波動は、パルス波または矩形波であることが好ましい。芯液に付与される波動がパルス波である場合には、第二層、すなわち、皮膜液供給流路内の皮膜液に付与される波動が正弦波または矩形波であれば、芯液にも皮膜液にも波動を付与しない場合と比較して、シームレスカプセルのカプセルの形状が顕著に改善され、不良率も改善された。芯液に付与される波動がパルス波である場合、特に、皮膜液に付与される波形がのこぎり波であれば、カプセル形状、不良率のすべてを顕著に改善することができた。また、芯液に付与されるは波動が矩形波である場合には、皮膜液に付与される波動がパルス波であればカプセル形状、不良率のすべてが顕著に改善され、皮膜液に付与される波動が正弦波であればカプセル形状が顕著に改善され、不良率も改善された。このように、カプセルの形状と不良率を改善することによって、結果として、生産性を向上させることができる。
また、芯液に付与された波動が三角波である場合には、皮膜液に付与する波動をパルス波または矩形波にすることによって、不良率を著しく改善し、カプセル形状も改善することができた。芯液に付与された波動が三角波である場合に、皮膜液に正弦波が付与されても、カプセル形状、不良率のすべてを改善することができる。
芯液に付与された波動が正弦波である場合には、皮膜液には、三角波、正弦波、または、パルス波を付与することが好ましい。皮膜液には特に、矩形波を付与することが好ましく、パルス波を付与することがより好ましい。芯液に付与された波動が正弦波であり、皮膜液に付与された波動が矩形波である場合には、カプセルの形状と不良率も改善された。芯液に付与された波動が正弦波であり、皮膜液に付与された波動がパルス波である場合には、カプセル形状が顕著に改善され、不良率が改善された。芯液に付与された波動が正弦波であり、皮膜液には三角液が付与された場合には、不良率は、芯液にも皮膜液にも波動を付与しない場合と比較して変化がなかったが、カプセル形状が改善され、結果として生産数が向上した。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
1,2:シームレスカプセル製造装置、101:芯液、102:皮膜液、103:硬化液、104:カプセル、120:ノズル、121:内側ノズル、122:外側ノズル、133:硬化液吐出部、141:芯液供給管、142:皮膜液供給管、143:硬化液供給管、200,300:波動付与部、210,310:ファンクションジェネレータ、220,320:電力増幅部、230,330:駆動部、231,331:芯液駆動部、232,332:皮膜液駆動部、233:硬化液駆動部。

Claims (18)

  1. カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズルと、
    前記ノズルに前記本液を供給する本液供給流路と、
    前記本液供給流路を介して、前記本液供給流路内の本液に予め定められた波動を付与する波動付与部とを備え、
    前記波動付与部は、予め定められた波動の電圧信号を生成するファンクションジェネレータと、前記ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される駆動部とを含み、
    前記駆動部は、前記本液供給流路に配置される本液駆動部を含む、シームレスカプセル製造装置。
  2. 前記ノズルから吐出された前記本液に、吐出された前記本液の表面を硬化させるための硬化液を供給する硬化液供給部を備え、
    前記駆動部は、前記硬化液供給部に配置されて前記ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される硬化液駆動部を含む、請求項1に記載のシームレスカプセル製造装置。
  3. 前記波動付与部は、前記ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号を増幅する電力増幅部を含み、
    前記駆動部は、前記電力増幅部に接続され、前記電力増幅部によって増幅された電圧信号に基づいて駆動されるように構成されている、請求項1または請求項2に記載のシームレスカプセル製造装置。
  4. 前記ファンクションジェネレータは、予め定められた波動の電圧信号を周期的に生成するように構成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造装置。
  5. 前記本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相である、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造装置。
  6. 前記本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差がある、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造装置。
  7. 前記ノズルは、内周側ノズルと、前記内周側ノズルの外側に配置される外周側ノズルとを含む多層ノズルであり、
    前記本液供給流路は、前記内周側ノズルに本液を供給する内周側供給流路と、前記外周側ノズルに本液を供給する外周側供給流路とを含み、
    前記本液駆動部は、前記内周側供給流路に配置される内層液駆動部と、前記外周側供給流路に配置される外層液駆動部とを含む、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造装置。
  8. 前記内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相である、請求項7に記載のシームレスカプセル製造装置。
  9. 前記内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差がある、請求項7に記載のシームレスカプセル製造装置。
  10. カプセル本体を形成するための本液をジェット流として吐出するノズルに供給するために流通させる本液供給流路において、ファンクションジェネレータによって生成される電圧信号に基づいて駆動部を駆動させることによって前記本液供給流路を介して前記供給流路内の本液に予め定められた波動を付与するステップを含み、
    前記駆動部は、前記本液供給流路に配置される本液駆動部を含む、シームレスカプセル製造方法。
  11. 前記ノズルから吐出された前記本液に、吐出された前記本液の表面を硬化させるための硬化液を供給する硬化液供給部において、前記硬化液供給部を介して前記硬化液供給部内の硬化液に予め定められた波動を付与するステップを含み、
    前記駆動部は、前記硬化液供給部に配置されて前記ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号に基づいて駆動される硬化液駆動部を含む、請求項10に記載のシームレスカプセルの製造方法。
  12. 前記ファンクションジェネレータによって生成された電圧信号を増幅し、増幅された電圧信号に基づいて前記駆動部を駆動する、請求項10または請求項11に記載のシームレスカプセル製造方法。
  13. 前記駆動部は、前記ファンクションジェネレータによって周期的に生成される予め定められた波動の電圧信号によって駆動される、請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造方法。
  14. 前記本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相である、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造方法。
  15. 前記本液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記硬化液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差がある、請求項11から請求項13までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造方法。
  16. 前記ノズルは、内周側ノズルと、前記内周側ノズルの外側に配置される外周側ノズルとを含む多層ノズルであり、
    前記本液供給流路は、前記内周側ノズルに本液を供給する内周側供給流路と、前記外周側ノズルに本液を供給する外周側供給流路とを含み、
    前記本液駆動部は、前記内周側供給流路に配置される内層液駆動部と、前記外周側供給流路に配置される外層液駆動部とを含む、請求項10から請求項15までのいずれか1項に記載のシームレスカプセル製造方法。
  17. 前記内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相とが同一の位相である、請求項16に記載のシームレスカプセル製造方法。
  18. 前記内層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相と前記外層液駆動部を駆動させる電圧信号の位相との間に予め定められた位相差がある、請求項16に記載のシームレスカプセル製造方法。
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