JP2022077825A - チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に積層体が形成されたウェーハをデバイスチップに分割するコストを抑制することができるチップの製造方法を提供すること。【解決手段】チップの製造方法は、ウェーハの表面に赤外吸収層を形成する赤外吸収層形成ステップ1001と、赤外吸収層を介してウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップ1002と、赤外領域の波長を有するレーザービームを保護部材越しにウェーハの分割予定ラインに沿って照射し、積層体を部分的に除去してレーザー加工溝を形成する溝形成ステップ1003と、ウェーハの裏面から赤外領域の波長を有するレーザービームを照射してウェーハの内部に該分割予定ラインに沿った改質層を形成する改質層形成ステップ1004と、ウェーハに外力を付与して該分割予定ラインに沿ってウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割ステップ1005と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、チップの製造方法に関する。
表面に低誘電率絶縁膜(Low-k膜)のような積層体が形成された半導体ウェーハを分割するために、積層体に対して吸収性を有する波長のレーザービームをウェーハの表面側から照射して分割予定ライン上の積層体を除去し、その後、基板に対して透過性を有する波長のレーザービームを基板の内部に集光点を位置付けて照射して分割予定ラインに沿って分割起点となる改質層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に示された方法を用いれば表面に積層体が形成されたウェーハを確実に分割することが可能となるが、積層体に対して吸収性を有する波長のレーザー発振器を搭載したアブレーション用の加工装置と、基板に対して透過性を有する波長のレーザー発振器を搭載した内部加工用の加工装置の2台が必要となるため、装置の導入にコストがかかるという課題がある。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、表面に積層体が形成されたウェーハをデバイスチップに分割するコストを抑制することができるチップの製造方法を提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のチップの製造方法は、基板の表面に積層された積層体によって複数のデバイスが形成されたウェーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って分割してデバイスチップを製造するチップの製造方法であって、ウェーハの表面に赤外吸収層を形成する赤外吸収層形成ステップと、該赤外吸収層を介して該ウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、を有し、該保護部材配設ステップを実施した後、赤外領域の波長を有するレーザービームを該保護部材越しにウェーハの該分割予定ラインに沿って照射し、該レーザービームを該赤外吸収層に吸収させるとともに該積層体を部分的に除去してレーザー加工溝を形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップを実施した後、ウェーハの裏面から該赤外領域の波長を有するレーザービームを照射してウェーハの内部に該分割予定ラインに沿った改質層を形成する改質層形成ステップと、該改質層形成ステップを実施した後、ウェーハに外力を付与して該分割予定ラインに沿ってウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割ステップと、を備えることを特徴とする。
前記チップの製造方法において、該赤外吸収層は、赤外吸収材料を含む液体を該ウェーハの表面に塗布することで形成されても良い。
前記チップの製造方法において、該赤外吸収層を除去する除去ステップを更に含んでも良い。
本発明のチップの製造方法は、表面に積層体が形成されたウェーハをデバイスチップに分割するコストを抑制することができるという効果を奏する。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るチップの製造方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るチップの製造方法の流れを示すフローチャートである。
本発明の実施形態1に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るチップの製造方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係るチップの製造方法の流れを示すフローチャートである。
実施形態1に係るチップの製造方法は、図1に示されたウェーハ1を加工する方法である。実施形態1に係るチップの製造方法の加工対象のウェーハ1は、シリコン(Si)、サファイア(Al2O3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板2とする円板状の半導体ウェーハ、又は光デバイスウェーハなどのウェーハである。
ウェーハ1は、図1に示すように、互いに交差(直交)する複数の分割予定ライン3によって区画された表面4の各領域にデバイス5が形成されている。デバイス5は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいはLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、LED(Light Emitting Diode)等である。
実施形態1において、ウェーハ1は、基板2の表面に積層体である機能層6が積層されている。機能層6は、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(以下、Low-k膜と呼ぶ)と、導電性の金属により構成された導電体膜とを備えている。Low-k膜は、導電体膜と積層されて、デバイス5を形成する。導電体膜は、デバイス204の回路を構成する。このために、デバイス5は、基板の表面に積層された機能層6のLow-k膜とLow-k膜間に積層された導電体膜とによって形成されている。なお、分割予定ライン3の機能層6は、Low-k膜により構成され、TEG(Test Element Group)を除いて導電体膜を備えていない。TEGは、デバイス5に発生する設計上や製造上の問題を見つけ出すための評価用の素子である。
実施形態1において、ウェーハ1は、複数のデバイス5を区画する分割予定ライン3に沿って分割されて、複数のデバイスチップ7に分割される。なお、デバイスチップ7は、基板2の一部分とデバイス5とにより構成される。
実施形態1に係るチップの製造方法は、複数のデバイス5が形成されたウェーハ1を分割予定ライン3に沿って分割してデバイスチップ7を製造する方法である。実施形態1に係るチップの製造方法は、図2に示すように、赤外吸収層形成ステップ1001と、保護部材配設ステップ1002と、溝形成ステップ1003と、改質層形成ステップ1004と、分割ステップ1005と、除去ステップ1006と、エキスパンドステップ1007とを備える。
(赤外吸収層形成ステップ)
図3は、図2に示されたチップの製造方法の赤外吸収層形成ステップを示す断面図である。赤外吸収層形成ステップ1001は、ウェーハ1の表面4に赤外吸収層10(図4に示す)を形成するステップである。
図3は、図2に示されたチップの製造方法の赤外吸収層形成ステップを示す断面図である。赤外吸収層形成ステップ1001は、ウェーハ1の表面4に赤外吸収層10(図4に示す)を形成するステップである。
実施形態1において、赤外吸収層形成ステップ1001では、吸収層形成装置20が、スピンナーテーブル21の保持面22上にウェーハ1の表面4の裏側の裏面8を吸引保持する。実施形態1において、赤外吸収層形成ステップ1001では、吸収層形成装置20が、スピンナーテーブル21を軸心回りに回転しながら供給ノズル23から赤外吸収材料である赤外線吸収剤が混入された水溶性樹脂24をウェーハ1の表面4の中央に滴下する。この際、吸収層形成装置20は、供給ノズル23をウェーハ1の径方向に往復移動してもいい。滴下された水溶性樹脂24は、スピンナーテーブル21の回転により発生する遠心力によって、ウェーハ1の表面4上を中心側から外周側に向けて流れていき、ウェーハ1の表面4の全面に塗布される。
水溶性樹脂24は、例えば、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)又はポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone:PVP)等の水溶性の液状樹脂に赤外線吸収剤が混入されたものである。すなわち、水溶性樹脂24は、赤外吸収材料を含む液体である。水溶性の液状樹脂は、例えば、株式会社ディスコ製のHOGOMAX(登録商標)が用いられる。赤外線吸収剤は、赤外線を吸収して赤外線を熱に変換するものであって、例えば、ナフタロシアニンが用いられる。
こうして、赤外吸収層形成ステップ1001において、赤外吸収層10は、赤外吸収剤を含む液体である水溶性樹脂24をウェーハ1の表面4に塗布することで形成される。
(保護部材配設ステップ)
図4は、図2に示されたチップの製造方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。保護部材配設ステップ1002は、赤外吸収層10を介してウェーハ1の表面4側に保護部材30を配設するステップである。
図4は、図2に示されたチップの製造方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。保護部材配設ステップ1002は、赤外吸収層10を介してウェーハ1の表面4側に保護部材30を配設するステップである。
実施形態1において、保護部材配設ステップ1002では、保護部材30として、ウェーハ1と同径の円盤状の保護テープを用いる。実施形態1において、保護部材30は、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された糊層とを備える。
実施形態1において、保護部材配設ステップ1002では、図4に示すように、糊層をウェーハ1の表面4に形成された赤外吸収層10に対面させた後、赤外吸収層10に糊層を貼着して、赤外吸収層10を介してウェーハ1の表面4側に保護部材30を配設する。
(溝形成ステップ)
図5は、図2に示されたチップの製造方法の溝形成ステップを示す断面図である。溝形成ステップ1003は、赤外領域の波長を有するレーザービーム44を保護部材30越しにウェーハ1の分割予定ライン3に沿って照射し、レーザービーム44を赤外吸収層10に吸収させることで機能層6を部分的に除去してレーザー加工溝11を形成するステップである。
図5は、図2に示されたチップの製造方法の溝形成ステップを示す断面図である。溝形成ステップ1003は、赤外領域の波長を有するレーザービーム44を保護部材30越しにウェーハ1の分割予定ライン3に沿って照射し、レーザービーム44を赤外吸収層10に吸収させることで機能層6を部分的に除去してレーザー加工溝11を形成するステップである。
実施形態1において、溝形成ステップ1003では、レーザー加工装置40がウェーハ1の裏面8側をチャックテーブル41の保持面42に吸引保持する。実施形態1において、溝形成ステップ1003では、図5に示すように、レーザー加工装置40が分割予定ライン3に沿ってチャックテーブル41とレーザービーム照射ユニット43とを相対的に移動させながら、レーザービーム照射ユニット43からレーザービーム44を分割予定ライン3に沿ってウェーハ1の表面4側に照射する。なお、レーザービーム44は、ウェーハ1の基板2に対して透過性を有し、かつ赤外吸収層10に対して吸収性を有する赤外線領域の波長のレーザービームである。実施形態1において、レーザービーム44の波長は、例えば、1064nmであるが、本発明では、1064nmに限定されない。
実施形態1において、溝形成ステップ1003では、レーザービーム44が赤外吸収層10に対して吸収性を有する波長であるので、照射されたレーザービーム44が分割予定ライン3上の赤外吸収層10に吸収されて、レーザー加工装置40がウェーハ1の表面4側に分割予定ライン3に沿ってアブレーション加工を施す。実施形態1において、溝形成ステップ1003では、レーザー加工装置40がウェーハ1の表面4側に分割予定ライン3に沿ってアブレーション加工を施して、分割予定ライン3上の赤外吸収層10及び機能層6を除去して、溝底に基板2を露出するレーザー加工溝11がウェーハ1の表面4側に分割予定ライン3に沿って形成する。実施形態1において、溝形成ステップ1003では、レーザー加工装置40が、ウェーハ1の表面4側に全ての分割予定ライン3に沿ってレーザー加工溝11を形成する。
(改質層形成ステップ)
図6は、図2に示されたチップの製造方法の改質層形成ステップを示す断面図である。改質層形成ステップ1004は、溝形成ステップ1003を実施した後、ウェーハ1の裏面8から赤外領域の波長を有するレーザービーム44を照射してウェーハ1の内部に分割予定ライン3に沿った図6に示す改質層12を形成するステップである。
図6は、図2に示されたチップの製造方法の改質層形成ステップを示す断面図である。改質層形成ステップ1004は、溝形成ステップ1003を実施した後、ウェーハ1の裏面8から赤外領域の波長を有するレーザービーム44を照射してウェーハ1の内部に分割予定ライン3に沿った図6に示す改質層12を形成するステップである。
なお、改質層12とは、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。また、改質層12は、ウェーハ1の他の部分よりも機械的な強度等が低い。
実施形態1において、改質層形成ステップ1004では、レーザー加工装置40がウェーハ1の表面4側を赤外吸収層10及び保護部材30を介してチャックテーブル41の保持面42に吸引保持する。改質層形成ステップ1004では、図6に示すように、レーザー加工装置40がレーザービーム44の集光点45を基板2の内部に設定して、チャックテーブル41とレーザービーム照射ユニット43とを分割予定ライン3に沿って相対的に移動させながらパルス状のレーザービーム44を分割予定ライン3に沿って照射する。
実施形態1において、改質層形成ステップ1004では、レーザー加工装置40が、ウェーハ1の基板2に対して透過性を有する波長のレーザービーム44を照射するために、図6に示すように、基板2の内部に分割予定ライン3に沿って改質層12を形成する。実施形態1において、改質層形成ステップ1004では、レーザー加工装置40が、全ての分割予定ライン3に沿って基板2の内部に改質層12を形成する。
このように、実施形態1に係るチップの製造方法は、溝形成ステップ1003で用いるレーザー加工装置40と改質層形成ステップ1004で用いるレーザー加工装置40とが同一であって、溝形成ステップ1003で照射するレーザービーム44と改質層形成ステップ1004で照射するレーザービーム44とが同一の波長の同一のレーザービームである。なお、本発明では、溝形成ステップ1003で照射するレーザービーム44と改質層形成ステップ1004で照射するレーザービーム44とが、赤外線領域の波長のレーザービームであれば、同一の波長のレーザービームでなくても良い。
(分割ステップ)
図7は、図2に示されたチップの製造方法の分割ステップを示す斜視図である。図8は、図2に示されたチップの製造方法の分割ステップにおいてウェーハが個々のデバイスチップに分割された状態を示す斜視図である。分割ステップ1005は、改質層形成ステップ1004を実施した後、ウェーハ1に外力を付与して分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を個々のデバイスチップ7に分割するステップである。
図7は、図2に示されたチップの製造方法の分割ステップを示す斜視図である。図8は、図2に示されたチップの製造方法の分割ステップにおいてウェーハが個々のデバイスチップに分割された状態を示す斜視図である。分割ステップ1005は、改質層形成ステップ1004を実施した後、ウェーハ1に外力を付与して分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を個々のデバイスチップ7に分割するステップである。
実施形態1において、分割ステップ1005では、研削装置50が、チャックテーブル51の保持面52に保護部材30及び赤外吸収層10を介してウェーハ1の表面4側を吸引保持する。分割ステップ1005では、図7に示すように、スピンドル53により研削ホイール54を回転しかつチャックテーブル51を軸心回りに回転させ、図示しない研削液ノズルから純水等の研削液を供給しつつ、研削ホイール54の研削用砥石55をウェーハ1の裏面8に当接させてチャックテーブル51に所定の送り速度で近づけて、研削用砥石55でウェーハ1の裏面8を研削して、ウェーハ1を薄化する。
実施形態1において、分割ステップ1005では、研削装置50の研削中にウェーハ1の裏面8に研削用砥石55から外力である研削押圧力を付与し、改質層12からウェーハ1の表面4及び裏面8に向かってクラックが伸長し、ウェーハ1が分割予定ライン3に沿って分割される。実施形態1において、分割ステップ1005では、ウェーハ1は、図8に示すように、個々のデバイスチップ7に分割されるとともに、デバイスチップ7間にウェーハ1を分割する分割溝13が形成される。実施形態1において、分割ステップ1005では、研削装置50が所定の厚みになるまでウェーハ1を薄化する。
(除去ステップ)
図9は、図2に示されたチップの製造方法の除去ステップ後のウェーハを示す斜視図である。除去ステップ1006は、赤外吸収層10をウェーハ1の表面4側から除去するステップである。
図9は、図2に示されたチップの製造方法の除去ステップ後のウェーハを示す斜視図である。除去ステップ1006は、赤外吸収層10をウェーハ1の表面4側から除去するステップである。
実施形態1において、除去ステップ1006では、ウェーハ1の裏面8側に、外縁に環状フレーム14が貼着された粘着テープ15の中央を貼着する。実施形態1において、除去ステップ1006では、図9に示すように、保護部材30を赤外吸収層10とともにウェーハ1の表面4から剥離する。
なお、環状フレーム14は、内径及び外径がウェーハ1の外径よりも大径な円環状に形成されている。粘着テープ15は、外径がウェーハ1の外径よりも大径な円板状に形成されている。粘着テープ15は、非粘着性と可撓性を有する樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ粘着性と可撓性を有する樹脂により構成されて環状フレーム14及びウェーハ1の裏面8に貼着する糊層とを備える。
(エキスパンドステップ)
図10は、図2に示されたチップの製造方法のエキスパンドステップにおいてエキスパンド装置が環状フレームを保持した状態を一部断面で示す側面図である。図11は、図10に示されたエキスパンド装置が環状フレームに貼着された粘着テープを拡張した状態を一部断面で示す側面図である。図12は、図11に示されたエキスパンド装置が粘着テープの外縁部を収縮した状態を一部断面で示す側面図である。
図10は、図2に示されたチップの製造方法のエキスパンドステップにおいてエキスパンド装置が環状フレームを保持した状態を一部断面で示す側面図である。図11は、図10に示されたエキスパンド装置が環状フレームに貼着された粘着テープを拡張した状態を一部断面で示す側面図である。図12は、図11に示されたエキスパンド装置が粘着テープの外縁部を収縮した状態を一部断面で示す側面図である。
実施形態1において、エキスパンドステップ1007は、粘着テープ15を面方向に拡張し分割溝13を拡張するステップである。エキスパンドステップ1007では、図10に示すように、エキスパンド装置60がフレーム保持ユニット61のフレーム載置プレート62とフレーム押さえプレート63との間に環状フレーム14と粘着テープ15の外縁部との間で挟んで保持するとともに、拡張ドラム64の上端に設けられたコロ部材65及び拡張ドラム64の内側に設けられたチャックテーブル66の保持面67を粘着テープ15に当接させる。
こうして、エキスパンドステップ1007では、図10に示すように、エキスパンド装置60が、粘着テープ15が外縁部と中央部とに亘って平坦な状態で、粘着テープ15を介してウェーハ1をフレーム保持ユニット61で保持する。また、図10に示す状態では、エキスパンド装置60は、保持面67に吸引路68を介して接続しかつ吸引源69とも接続した開閉弁70を閉じておく。
エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、環状フレーム14と、ウェーハ1とをウェーハ1の表面4に対して交差(実施形態1では、直交)する方向に沿って相対的に移動させる。実施形態1において、エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、フレーム保持ユニット61を下降させて、環状フレーム14と、ウェーハ1とをウェーハ1の表面に対して交差(実施形態1では、直交)する方向に沿って相対的に移動させる。すると、図11に示すように、粘着テープ15のウェーハ1の外縁と環状フレーム14の内縁との間の外縁部をコロ部材65が下方から上方に向けて押圧するとともに、ウェーハ1をチャックテーブル66が下方から上方に向けて押圧して、粘着テープ15が面方向に拡張される。エキスパンドステップ1007では、粘着テープ15の拡張の結果、粘着テープ15に放射状の引張力が作用する。
このようにウェーハ1の裏面8が接着された粘着テープ15に放射状の引張力が作用すると、ウェーハ1の各分割予定ライン3に分割溝13が形成されているので、粘着テープ15がウェーハ1の表面4及び裏面8と平行な面方向に拡張させ、分割溝13の幅が広げられる。エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、開閉弁70を開いて、吸引源69の負圧を保持面67に作用させて(即ち、吸引源69に保持面67を吸引させて)、拡張した粘着テープ15を介してウェーハ1即ち複数のデバイスチップ7をチャックテーブル66の保持面67に吸引保持する。
エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、外縁部と中央部とに亘って平坦な状態に粘着テープ15を位置付ける。実施形態1において、エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、フレーム保持ユニット61を上昇させて、粘着テープ15を外縁部と中央部とに亘って平坦な状態に位置付ける。すると、粘着テープ15が一旦拡張され、ウェーハ1即ち複数のデバイスチップ7がチャックテーブル66の保持面67に吸引保持されているので、粘着テープ15の粘着テープ15のウェーハ1の外縁と環状フレーム14の内縁との間の外縁部に図示しない弛み部が形成される。
エキスパンドステップ1007では、エキスパンド装置60が、弛み部に加熱ユニット71を相対させ、図12に示すように、加熱ユニット71で弛み部を所定時間加熱し、収縮させる。すると、チャックテーブル66の保持面67から吸引保持されなくなっても、弛み部が収縮しているので、分割溝13の幅が、図11に示す拡張された際の幅に維持される。
以上説明した実施形態1に係るチップの製造方法は、機能層6が積層されたウェーハ1の表面4側の保護部材30と機能層6との間に赤外吸収層10を形成し、溝形成ステップ1003において、赤外線領域の波長のレーザービーム44を保護部材30越しに機能層6に対して照射する。このために、実施形態1に係るチップの製造方法は、溝形成ステップ1003において、赤外吸収層10によって赤外線領域の波長のレーザービーム44の吸収性が上がることで機能層6にレーザー加工溝11を容易に形成できる。したがって、実施形態1に係るチップの製造方法は、レーザー加工溝11の形成と改質層12の形成とを同一の赤外線領域のレーザービーム44を照射することで実施でき、溝形成ステップ1003と改質層形成ステップ1004とを同一のレーザー加工装置40で実施することができる。
その結果、実施形態1に係るチップの製造方法は、表面4に機能層6が形成されたウェーハ1をデバイスチップ7に分割するコストを抑制することができるという効果を奏する。
また、実施形態1に係るチップの製造方法は、溝形成ステップ1003にウェーハ1の機能層6に保護部材30が配設されているので、溝形成ステップ1003においてウェーハ1にアブレーション加工を施しても、デブリが飛散することを抑制でき、デブリがレーザービーム照射ユニット43の集光レンズに付着して汚すことを抑制することができる。
〔変形例1〕
本発明の実施形態1の変形例1に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態1の変形例1に係るチップの製造方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。変形例1に係るチップの製造方法の説明では、図13の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態1の変形例1に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態1の変形例1に係るチップの製造方法の保護部材配設ステップを示す斜視図である。変形例1に係るチップの製造方法の説明では、図13の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例1にかかるチップの製造方法は、図13に示す保護部材30-1の基材層31に積層された糊層32を構成する樹脂に前述した赤外線吸収剤を混入して、保護部材配設ステップ1002において、ウェーハ1の表面4に保護部材30-1を配設することで、ウェーハ1の表面4に赤外吸収層10を形成する。即ち、変形例1に係るチップの製造方法では、保護部材30-1の糊層32が赤外吸収層10となり、保護部材配設ステップ1002がウェーハ1の表面4に赤外吸収層10を形成する赤外吸収層形成ステップをなしている。
変形例1に係るチップの製造方法は、機能層6が積層されたウェーハ1の表面4に貼着される保護部材30-1の糊層32が赤外吸収層10であるために、溝形成ステップ1003において、赤外線領域の波長のレーザービーム44を保護部材30越しに機能層6に対して照射するので、機能層6にレーザー加工溝11を容易に形成できる。その結果、変形例1に係るチップの製造方法は、実施形態1と同様に、溝形成ステップ1003と改質層形成ステップ1004とを同一のレーザー加工装置40で実施することができ、表面4に機能層6が形成されたウェーハ1をデバイスチップ7に分割するコストを抑制することができるという効果を奏する。
〔変形例2〕
本発明の実施形態1の変形例2に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図14は、実施形態1の変形例2に係るチップの製造方法のデバイスチップに分割されたウェーハを洗浄する状態を示す断面図である。変形例2に係るチップの製造方法の説明では、図14の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
本発明の実施形態1の変形例2に係るチップの製造方法を図面に基づいて説明する。図14は、実施形態1の変形例2に係るチップの製造方法のデバイスチップに分割されたウェーハを洗浄する状態を示す断面図である。変形例2に係るチップの製造方法の説明では、図14の実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例2にかかるチップの製造方法は、除去ステップ1006において保護部材30を剥離して赤外吸収層10をウェーハ1の表面4側から除去した後に、図14に示す洗浄装置80が、ウェーハ1を洗浄する。
ウェーハ1を洗浄する際には、洗浄装置80が、スピンナーテーブル81の保持面82上にウェーハ1の裏面8を粘着テープ15を介して吸引保持し、スピンナーテーブル81の周囲のクランプ部83が環状フレーム14をクランプする。洗浄装置80が、スピンナーテーブル81を軸心回りに回転しながらウェーハ1の表面4に沿って移動する洗浄水供給ノズル84から純水などの図示しない洗浄水をウェーハ1の表面4に供給する。供給された洗浄水は、スピンナーテーブル81の回転により発生する遠心力によって、ウェーハ1の表面4上を中心側から外周側に向けて流れていき、ウェーハ1の表面4に残存した赤外吸収層10を洗い流して洗浄し、ウェーハ1の表面4から赤外吸収層10を除去する。
変形例2に係るチップの製造方法は、機能層6が積層されたウェーハ1の表面4側の保護部材30と機能層6との間に赤外吸収層10を形成し、溝形成ステップ1003において、赤外線領域の波長のレーザービーム44を保護部材30越しに機能層6に対して照射するので、機能層6にレーザー加工溝11を容易に形成できる。その結果、変形例2に係るチップの製造方法は、実施形態1と同様に、溝形成ステップ1003と改質層形成ステップ1004とを同一のレーザー加工装置40で実施することができ、表面4に機能層6が形成されたウェーハ1をデバイスチップ7に分割するコストを抑制することができるという効果を奏する。
また、変形例2に係るチップの製造方法は、除去ステップ1006において保護部材30を剥離して赤外吸収層10をウェーハ1の表面4側から除去した後に、ウェーハ1を洗浄する。その結果、変形例2に係るチップの製造方法は、ウェーハ1を洗浄する点で実施形態1と異なり、これにより、実施形態1の効果に加え、確実に赤外吸収層10を除去できるという効果を奏する。また、変形例2に係るチップの製造方法は、エキスパンドステップ1007実施後のウェーハ1を図14に示す洗浄装置80を用いて洗浄しても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明は、赤外吸収層形成ステップ1001、保護部材配設ステップ1002、溝形成ステップ1003を順に実施した後、実施形態1の分割ステップ1005と同様に研削装置50がウェーハ1を所定の厚みまで薄化し、改質層形成ステップ1004、除去ステップ1006、エキスパンドステップ1007を順に実施しても良い。この場合、エキスパンドステップ1007は、エキスパンド装置60が粘着テープ15を拡張して、ウェーハ1に外力である粘着テープ15の放射状の引張力を付与して、改質層12即ち分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を個々のデバイスチップ7に分割する分割ステップとなる。なお、この場合、実施形態1と同様に、溝形成ステップ1003と改質層形成ステップ1004では、保護部材30を表面4側に貼着したウェーハ1に加工を施すこととなる。
また、本発明は、赤外吸収層形成ステップ1001、保護部材配設ステップ1002、溝形成ステップ1003を順に実施した後、実施形態1の分割ステップ1005と同様に研削装置50がウェーハ1を所定の厚みまで薄化し、除去ステップ1006、改質層形成ステップ1004、エキスパンドステップ1007を順に実施しても良い。この場合、エキスパンドステップ1007は、エキスパンド装置60が粘着テープ15を拡張して、ウェーハ1に外力である粘着テープ15の放射状の引張力を付与して、改質層12即ち分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を個々のデバイスチップ7に分割する分割ステップ1005となる。なお、この場合、実施形態1と同様に、溝形成ステップ1003では、保護部材30を表面4側に貼着したウェーハ1に加工を施すこととなり、改質層形成ステップ1004では、外縁部に環状フレーム14が貼着された粘着テープ15に貼着したウェーハ1に粘着テープ15越しに加工を施すこととなる。
また、本発明は、赤外吸収層形成ステップ1001、保護部材配設ステップ1002を順に実施した後、実施形態1の分割ステップ1005と同様に研削装置50がウェーハ1を所定の厚みまで薄化し、保護部材30を剥離することなく実施形態1の除去ステップ1006と同様に外縁部に環状フレーム14が貼着した粘着テープ15をウェーハ1の裏面8に貼着し、溝形成ステップ1003、改質層形成ステップ1004を実施し、保護部材30を剥離して、エキスパンドステップ1007を実施しても良い。この場合、エキスパンドステップ1007は、エキスパンド装置60が粘着テープ15を拡張して、ウェーハ1に外力である粘着テープ15の放射状の引張力を付与して、改質層12即ち分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を個々のデバイスチップ7に分割する分割ステップ1005となる。なお、この場合、実施形態1と同様に、溝形成ステップ1003では、保護部材30を表面4側に貼着したウェーハ1に加工を施すこととなり、改質層形成ステップ1004では、外縁部に環状フレーム14が貼着された粘着テープ15に貼着したウェーハ1に粘着テープ15越しに加工を施すこととなる。
1 ウェーハ
2 基板
3 分割予定ライン
4 表面
5 デバイス
6 機能層(積層体)
7 デバイスチップ
8 裏面
10 赤外吸収層
11 レーザー加工溝
12 改質層
30,30-1 保護部材
44 レーザービーム
1001 赤外吸収層形成ステップ
1002 保護部材配設ステップ
1003 溝形成ステップ
1004 改質層形成ステップ
1005 分割ステップ
1006 除去ステップ
2 基板
3 分割予定ライン
4 表面
5 デバイス
6 機能層(積層体)
7 デバイスチップ
8 裏面
10 赤外吸収層
11 レーザー加工溝
12 改質層
30,30-1 保護部材
44 レーザービーム
1001 赤外吸収層形成ステップ
1002 保護部材配設ステップ
1003 溝形成ステップ
1004 改質層形成ステップ
1005 分割ステップ
1006 除去ステップ
Claims (3)
- 基板の表面に積層された積層体によって複数のデバイスが形成されたウェーハを、該複数のデバイスを区画する分割予定ラインに沿って分割してデバイスチップを製造するチップの製造方法であって、
ウェーハの表面に赤外吸収層を形成する赤外吸収層形成ステップと、
該赤外吸収層を介して該ウェーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設ステップと、を有し、
該保護部材配設ステップを実施した後、
赤外領域の波長を有するレーザービームを該保護部材越しにウェーハの該分割予定ラインに沿って照射し、該レーザービームを該赤外吸収層に吸収させるとともに該積層体を部分的に除去してレーザー加工溝を形成する溝形成ステップと、
該溝形成ステップを実施した後、ウェーハの裏面から該赤外領域の波長を有するレーザービームを照射してウェーハの内部に該分割予定ラインに沿った改質層を形成する改質層形成ステップと、
該改質層形成ステップを実施した後、ウェーハに外力を付与して該分割予定ラインに沿ってウェーハを個々のデバイスチップに分割する分割ステップと、
を備えることを特徴とするチップの製造方法。 - 該赤外吸収層は、赤外吸収材料を含む液体を該ウェーハの表面に塗布することで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のチップの製造方法。
- 該赤外吸収層を除去する除去ステップを更に含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のチップの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020188852A JP2022077825A (ja) | 2020-11-12 | 2020-11-12 | チップの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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