JP2022071563A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

Abstract

【課題】複数のディセンダと、これら複数のディセンダに共通の流路とを接続する複数の接続流路を精度よく形成する。【解決手段】シリコンによって形成され、結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行な流路基板に、複数のディセンダ３２、複数の第２絞り３４、共通接続流路３５及び第２共通流路３７の下側流路部分３７ａが形成されている。複数のディセンダ３２は、紙幅方向に配列されている。各ディセンダ３２は、流路基板を鉛直方向に貫通しており、搬送方向と平行な２つの内壁面３２ａを有する。複数の第２絞り３４は、複数のディセンダ３２に個別に設けられている。各第２絞り３４は、流路基板の下端部に形成され、水平で且つ搬送方向に対して角度Ｋ１傾斜した傾斜方向に延びている。複数の第２絞り３４は、これらに共通の共通接続流路３５を介して、下側流路部分３７ａに接続されている。【選択図】図４

Description

本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。

ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドの一例として、特許文献１には、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドが記載されている。特許文献１に記載の液体噴射ヘッドでは、複数のノズルがＹ方向に配列され、各ノズルが、Ｙ方向と直交するＺ方向に延びた連通路を介して圧力室と連通している。また、複数のノズルに対応する複数の連通路は、それぞれ、回収路を介して共通の回収液室に接続されている。また、回収路は、ノズルが形成されたノズルプレートの上側の部分に形成されており、Ｙ方向及びＺ方向のいずれとも直交するＸ方向に延びている。

特開2019-166705号公報

ここで、特許文献１の液滴噴射ヘッドでは、圧力室内の液体に付与された圧力がどの程度回収路内の液体に伝わるかによって、ノズルからの液体の吐出特性が変わる。また、圧力室内の液体に付与された圧力がどの程度回収路内の液体に伝わるかは、回収路の流路抵抗によって変わる。これらのことから、特許文献１の液体噴射ヘッドでは、ノズル間での液体の吐出特性のばらつきを抑える観点から、複数の回収路の流路抵抗が均一であることが好ましい。

しかしながら、特許文献１では、ノズルプレートの上側の部分にＸ方向に延びた回収路が形成されているところ、エッチング等でノズルプレートにこのようなＸ方向に延びた回収路を形成すると、回収路の高さにばらつきが生じやすい。そのため、複数の回収路間に流路抵抗のばらつきが生じやすい。

本発明の目的は、ノズルと圧力室とをそれぞれ接続する複数のディセンダと、これら複数のディセンダに共通の流路とを接続する複数の接続流路を精度よく形成することが可能な液体吐出ヘッドを提供することである。

本発明の液体吐出ヘッドは、ノズルプレートに形成され、第１方向に配列された複数のノズルと、前記ノズルプレートの前記第１方向と直交する第２方向の一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第１方向に配列された複数の圧力室と、前記第２方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第１方向に配列され、前記第２方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、前記複数の圧力室と接続される第１共通流路と、前記流路基板に形成された第２共通流路と、前記流路基板に形成され、前記複数のディセンダと前記第２共通流路とを接続する複数の接続流路と、を備え、前記流路基板は、シリコンによって形成され、前記ディセンダは、前記流路基板を前記第２方向に貫通し、前記第１方向及び前記第２方向のいずれとも直交する第３方向に平行な内壁面を有し、前記接続流路は、前記第２方向と直交し且つ前記第３方向に対して傾斜した第４方向に延びている。

本発明の実施形態に係るプリンタ１の概略構成図である。 ヘッド１１の平面図である。 （ａ）は図２のIIIＡ－IIIＡ線断面図であり、（ｂ）は（ａ）のIIIＢ部拡大図である。 図３（ｂ）のIV－IV線断面図である。 図３（ｂ）のＶ－Ｖ線断面図である。 変形例１の図３（ｂ）相当の図である。 図６のVII－VII線断面図である。 （ａ）は変形例１の図３（ｂ）に対応する図であり、（ｂ）は（ａ）のVIIIＢ－VIIIＢ線断面図である。

以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。

＜プリンタ１の全体構成＞
図１に示すように、本実施形態に係るプリンタ１は、４つのヘッドユニット２と、プラテン３と、搬送ローラ対４，５とを備えている。４つのヘッドユニット２は、後述するように搬送ローラ対４，５によって記録用紙Ｐが搬送される水平な搬送方向（本発明の「第３方向」）に並んで配置されている。各ヘッドユニット２は、８つのヘッド１１（本発明の「液体吐出ヘッド」）とヘッド保持部材１２とを備えている。

ヘッド１１は、その下面に形成された複数のノズル１０からインクを吐出する。複数のノズル１０は、水平で且つ搬送方向と直交する紙幅方向（本発明の「第１方向」）に配列されることによってノズル列９を形成している。また、ヘッド１１は、搬送方向に並んだ２列のノズル列９を有している。搬送方向の上流側のノズル列９を構成する複数のノズル１０と、搬送方向の下流側のノズル列９を構成する複数のノズル１０とは、各ノズル列９におけるノズル１０同士の間隔の半分の長さだけ、紙幅方向にずれている。

また、８つのヘッド１１のうち、４つのヘッド１１は、紙幅方向に間隔をあけて並んでいる。また、上記４つのヘッド１１から搬送方向の下流側にずれた位置に、８つのヘッド１１のうち残り４つのヘッド１１が、紙幅方向に間隔をあけて並んでいる。また、搬送方向の上流側の４つのヘッド１１と下流側の４つのヘッド１１とは、紙幅方向の位置がずれている。これにより、１つのヘッドユニット２を構成する８つのヘッド１１の複数のノズル１０が、記録用紙Ｐの紙幅方向の全長にわたって配置されている。

ヘッド保持部材１２は、紙幅方向を長手方向とする長方形の板状の部材である。ヘッド保持部材１２は、８つのヘッド１１を上記位置関係で保持している。

また、４つのヘッドユニット２を構成するヘッド１１の複数のノズル１０からは、搬送方向の上流側のヘッドユニット２を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。

プラテン３は４つのヘッドユニット２の下方に配置されており、４つのヘッドユニット２の複数のノズル１０と鉛直方向（本発明の「第２方向」）に対向している。プラテン３は、紙幅方向において記録用紙Ｐの全長にわたって延び、搬送方向において４つのヘッドユニット２にわたって延び、記録用紙Ｐを下方から支持する。

搬送ローラ対４は、４つのヘッドユニット２よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ対５は、４つのヘッドユニット２よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ対４，５は、それぞれ、鉛直方向に並んだ２つのローラによって構成され、これら２つのローラによって記録用紙Ｐを挟んだ状態で回転することで、記録用紙Ｐを搬送方向に搬送する。

そして、プリンタ１では、搬送ローラ対４，５により記録用紙Ｐを搬送方向に搬送させながら、各ヘッドユニット２を構成する８つのヘッド１１の複数のノズル１０からインクを吐出させることによって、記録用紙Ｐに記録を行うことができる。

＜ヘッド１１の構成＞
次にヘッド１１の構成について説明する。図２、図３（ａ），（ｂ）、図４に示すようにヘッド１１は、流路基板２１、ノズルプレート２２、２枚のダンパプレート２３、及び、圧力室プレート２４を備えている。

流路基板２１は、シリコンによって形成された直方体形状の部材である。また、流路基板２１は、結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルが、鉛直方向と平行となるような向きで配置されている。

ノズルプレート２２は、シリコンによって形成され、流路基板２１の下面の搬送方向における中央部に配置され、紙幅方向において流路基板２１のほぼ全長にわたって延びている。

２枚のダンパプレート２３は、合成樹脂材料などによって形成され、流路基板２１の下面の、搬送方向における上流側及び下流側の端部に配置され、紙幅方向において流路基板２１のほぼ全長にわたって延びている。ダンパプレート２３は、ノズルプレート２２等よりも薄く、弾性変形することによって、後述する第１共通流路３６内のインクの圧力変動を抑える。

圧力室プレート２４は、シリコンによって形成され、流路基板２１の上面に配置されている。これにより、圧力室プレート２４は、ノズルプレート２２の上側（本発明の「第２方向の一方側」）に配置され、流路基板２１がノズルプレート２２と圧力室プレート２４との間に配置される。

流路基板２１とノズルプレート２２とダンパプレート２３と圧力室プレート２４との積層体には、複数のノズル１０、複数の圧力室３１、複数のディセンダ３２、複数の第１絞り３３、複数の第２絞り３４が形成されている。

複数のノズル１０は、ノズルプレート２２に形成されており、上述の２列のノズル列９を形成している。複数の圧力室３１は、圧力室プレート２４に形成されている。複数の圧力室３１は、複数のノズル１０に対して個別に設けられており、搬送方向における内側の端部が、対応するノズル１０と鉛直方向に重なっている。また、圧力室３１は、鉛直方向に投影した形状が、搬送方向を長手方向とし、搬送方向と平行な１組の対向辺を有する平行四辺形である。また、複数の圧力室３１は、圧力室プレート２４の上端部を除いた部分に形成されており、圧力室プレート２４の上端部の、複数の圧力室３１にわたって延びた部分が、複数の圧力室３１を覆う振動板２４ａとなっている。

複数のディセンダ３２は、流路基板２１に形成されている。ディセンダ３２は、互いに対応するノズル１０と圧力室３１との組毎に設けられている。ディセンダ３２は、流路基板２１を鉛直方向に貫通して延びて、対応するノズル１０と圧力室３１の搬送方向における内側の端部とを接続する。

また、ディセンダ３２は、鉛直方向に投影した形状が、平行四辺形であり、上記平行四辺形の１組の対向辺を形成する、紙幅方向の両側の内壁面３２ａが、搬送方向と平行である。

複数の第１絞り３３は、複数の圧力室３１に対して個別に設けられている。第１絞り３３は、流路基板２１の上側の部分において鉛直方向に延び、その上端において、対応する圧力室３１の搬送方向における外側の端部と接続されている。また、第１絞り３３は、鉛直方向に投影した形状が、搬送方向と平行な１組の対向辺を有する平行四辺形である。

複数の第２絞り３４は、複数のディセンダ３２に対して個別に設けられており、流路基板２１の下端部に形成されている。第２絞り３４は、搬送方向の上流側に向かうほど、紙幅方向の右側に向かうように、搬送方向に対して角度Ｋ１傾いた傾斜方向（本発明の「第４方向」）に延びている。角度Ｋ１は、例えば、５５°程度である。また、第２絞り３４は、傾斜方向の長さＬ１が、水平で（鉛直方向と直交し）且つ傾斜方向と直交する傾斜直交方向（本発明の「第５方向」）の長さＬ２よりも短い。長さＬ１は５０μｍ以下であることが好ましく、２５μｍ以下であることがより好ましい。例えば、長さＬ１は、１５μｍ程度である。長さＬ２は、４０μｍ程度である。

第２絞り３４の傾斜方向の外側の端は、対応するディセンダ３２の搬送方向の内側の端の下端部と接続されている。また、第２絞り３４の傾斜方向における各部分での紙幅方向の長さＬ３が、ディセンダ３２の紙幅方向の長さＬ４よりも短い。

また、図５に示すように、第２絞り３４の上側の面である天井面３４ａは、傾斜直交方向において、第２絞り３４の中央側に向かうほど上側に向かうように、傾斜直交方向に対して角度Ｋ２傾斜している。角度Ｋ２は、例えば３５°程度である。

ここで、このような天井面３４ａを有する第２絞り３４は、シリコンによって形成された流路基板２１にウェットエッチングによって形成することができる。より詳細に説明すると、本実施形態では、流路基板２１がシリコンによって形成されており、流路基板２１の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行である。そのため、エッチング速度が遅い(１１１)面は、基板面に対してある一定の傾きを持つ。流路パターンにより、（１１１）面がストッパー面となり、上述したように傾斜直交方向に対して角度Ｋ２傾斜した天井面３４aが形成される。

また、本実施形態では、第２絞り３４が上記のような構造となっていることにより、第２絞り３４の流路抵抗が、ノズル１０の流路抵抗よりも小さくなっている。例えば、ノズル１０の流路抵抗が、４×１０¹³Ｐａ・ｓ／ｍ³程度であるのに対して、第２絞り３４の流路抵抗が２×１０¹³Ｐａ・ｓ／ｍ³程度である。

そして、ヘッド１１では、対応するノズル１０と圧力室３１とディセンダ３２と第１絞り３３と第２絞り３４とによって、個別流路２０が形成されている。また、ヘッド１１では、複数のノズル１０が２列のノズル列９を形成しているのに対応して、複数の個別流路２０が、紙幅方向に配列されることによってそれぞれ形成され、搬送方向に並んだ２列の個別流路列１９を形成している。

また、流路基板２１とノズルプレート２２とダンパプレート２３と圧力室プレート２４との積層体には、上述したような複数の個別流路２０のほかに、２つの第１共通流路３６の下側の部分である２つの下側流路部分３６ａと、１つの第２共通流路３７の下側の部分である１つの下側流路部分３７ａと、２つの共通接続流路３５とが形成されている。

２つの下側流路部分３６ａは、２列の個別流路列１９に対応して設けられている。下側流路部分３６ａは、搬送方向において、対応する個別流路列１９の外側に位置している。下側流路部分３６ａは、対応する個別流路列１９を構成する複数の個別流路２０にわたって紙幅方向に延びている。また、下側流路部分３６ａは、搬送方向の外側の端部を除いた部分が、流路基板２１の下側の部分に形成されており、各個別流路列１９を構成する複数の個別流路２０の第１絞り３３の下端が、下側流路部分３６ａに接続されている。

また、下側流路部分３６ａは、搬送方向における外側の端部において、流路基板２１及び圧力室プレート２４を鉛直方向に貫通して延びている。また、上述のダンパプレート２３は、下側流路部分３６ａの下側の壁を形成しており、ダンパプレート２３が弾性変形することによって、下側流路部分３６ａ内のインクの圧力変動が抑えられる。

下側流路部分３７ａは、搬送方向における２つの個別流路列１９の間に配置されており、流路基板２１及び圧力室プレート２４を鉛直方向に貫通して延びている。また、下側流路部分３７ａは、２つの個別流路列１９を構成する複数の個別流路２０にわたって紙幅方向に延びている。

２つの共通接続流路３５は、２列の個別流路列１９に対応して設けられており、搬送方向において、対応する複数の第２絞り３４と、下側流路部分３７ａとの間に配置されている。各共通接続流路３５は、対応する複数の第２絞り３４にわたって紙幅方向に延びている。そして、これらの第２絞り３４の搬送方向における内側の端が、共通接続流路３５の搬送方向における外側の端に接続されている。また、共通接続流路３５の搬送方向の内側の端が、下側流路部分３７ａに接続されている。また、共通接続流路３５は、流路基板２１の下側の部分に形成されており、第２絞り３４よりも鉛直方向の長さが長く、第２共通流路３７よりも鉛直方向の長さが短い。

また、ヘッド１１は、流路基板２１、ノズルプレート２２、ダンパプレート２３及び圧力室プレート２４のほかに、２つの圧電アクチュエータ２５、保護基板２６及びカバー部材２７を備えている。

２つの圧電アクチュエータ２５は、２列の個別流路列１９に対応している。各圧電アクチュエータ２５は、圧電層４１、共通電極４２及び複数の個別電極４３を備えている。

圧電層４１は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料によって形成され、圧力室プレート２４（振動板２４ａ）の上面に配置され、対応する個別流路列１９を構成する複数の圧力室３１にわたって紙幅方向に延びている。

共通電極４２は、圧力室プレート２４（振動板２４ａ）と圧電層４１との間に、その全域にわたって延びている。共通電極４２は、図示しない配線部材などを介して図示しない電源に接続され、グランド電位に保持されている。複数の個別電極４３は、圧電層４１の上面に配置されている。各個別電極４３は、１つの圧力室３１に対応しており、対応する圧力室３１の中央部と鉛直方向に重なっている。複数の個別電極４３は、図示しない配線部材などを介して図示しないドライバＩＣに接続されている。複数の個別電極４３には、ドライバＩＣにより個別に、グランド電位及び所定の駆動電位（例えば２０～３０Ｖ程度）のいずれかが選択的に付与される。

また、共通電極４２及び複数の個別電極４３がこのように配置されているのに対応して、圧電層４１の各個別電極４３と共通電極４２とに挟まれた部分が、それぞれ、鉛直方向に分極されている。

ここで、圧電アクチュエータ２５によりノズル１０からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ２５では、複数のノズル１０からインクを吐出させないときには、全ての個別電極４３にグランド電位が付与されている。あるノズル１０からインクを吐出させるときには、そのノズル１０に対応する個別電極４３の電位をグランド電位から駆動電位に切り換える。すると、圧電層４１のこの個別電極４３と共通電極４２とに挟まれた部分に、分極方向と平行な鉛直方向の電界が発生し、この電界によって、圧電層４１のこの部分が分極方向と直交する水平方向（紙幅方向及び搬送方向）に収縮する。これにより、振動板２４ａ及び圧電層４１の圧力室３１と鉛直方向に重なる部分が圧力室３１側に凸となるように変形する。その結果、圧力室３１の容積が小さくなることで、圧力室３１内のインクの圧力が上昇し、圧力室３１に連通するノズル１０からインクが吐出される。また、ノズル１０からのインクの吐出後、個別電極４３の電位が駆動電位からグランド電位に戻される。これにより、振動板２４ａ及び圧電層４１が変形前の状態に戻る。

保護基板２６は、シリコンによって形成され、２つの圧電アクチュエータ２５が配置された圧力室プレート２４の上面に配置され、２つの圧電アクチュエータ２５を覆っている。より詳細には、保護基板２６の下面の、２つの圧電アクチュエータ２５と鉛直方向に重なる部分に凹部２６ａが形成されている。そして、凹部２６ａ内に圧電アクチュエータ２５が収容されている。

カバー部材２７は、２つの圧電アクチュエータ２５及び保護基板２６が配置された圧力室プレート２４の上面に配置され、２つの圧電アクチュエータ２５及び保護基板２６を覆っている。

また、カバー部材２７には、２つの第１共通流路３６の上側の部分を構成する２つの上側流路部分３６ｂが形成されている。上側流路部分３６ｂは、下側流路部分３６ａと鉛直方向に重なっており、下側流路部分３６ａの全長にわたって紙幅方向に延びている。また、上側流路部分３６ｂは、カバー部材２７の上端部を除いた部分にわたって鉛直方向に延びている。また、上側流路部分３６ｂの紙幅方向における中央部には、カバー部材２７の上端まで延びた接続口３６ｃが形成されている。

そして、２つの第１共通流路３６に設けられた２つの接続口３６ｃは、図示しないチューブなどを介して、ポンプ５１ａに接続されている。また、ポンプ５１ａは、インクタンク５２に接続されている。ポンプ５１ａは、インクタンク５２から接続口３６ｃに向けてインクを送る。

また、保護基板２６及びカバー部材２７には、第２共通流路３７の上側の部分である上側流路部分３７ｂが形成されている。上側流路部分３７ｂは、下側流路部分３７ａと鉛直方向に重なっており、下側流路部分３７ａの全長にわたって紙幅方向に延びている。また、上側流路部分３７ｂは、カバー部材２７の上端部を除いた部分と保護基板２６とにわたって鉛直方向に延びている。また、上側流路部分３７ｂの紙幅方向における中央部には、カバー部材２７の上端まで延びた接続口３７ｃが形成されている。

接続口３７ｃは、図示しないチューブなどを介して、ポンプ５１ｂに接続されている。また、ポンプ５１ｂは、インクタンク５２に接続されている。ポンプ５１ｂは、接続口３７ｃからインクタンク５２に向けてインクを送る。

そして、本実施形態では、ポンプ５１ａ，５１ｂを駆動させると、インクタンク５２内のインクが、図示しないチューブなどを介して２つの接続口３６ｃから２つの第１共通流路３６に流れ込む。さらに、第１共通流路３６に流れ込んだインクは、第１絞り３３から複数の個別流路２０に流れ込む。複数の個別流路２０に流れ込んだインクは、第２絞り３４から共通接続流路３５を経て第２共通流路３７に流れ出る。第２共通流路３７に流れ出たインクは、接続口３７ｃから流れ出て、図示しないチューブを介してインクタンク５２に戻る。このように、本実施形態では、ヘッド１１とインクタンク５２との間でインクを循環させることができる。

なお、ポンプ５１ａ，５１ｂのうち、片方のポンプはなくてもよい。この場合でも、当該片方のポンプを駆動させることにより、上述したのと同様に、ヘッド１１とインクタンク５２との間でインクを循環させることができる。

＜効果＞
本実施形態では、流路基板２１がシリコンによって形成され、流路基板２１の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行である。一方で、流路基板２１を鉛直方向に貫通するディセンダ３２が搬送方向と平行な内壁面３２ａを有しているのに対して、流路基板２１に形成される第２絞り３４が、搬送方向に対して５５°（５０～６０°）傾斜した傾斜方向に延びている。これにより、流路基板２１にウェットエッチングによってディセンダ３２及び第２絞り３４を形成すれば、流路基板２１の結晶方位の（１１１）面がストッパー面となり、この面が天井面３４ａとなる第２絞り３４を精度よく形成することができる。

また、このとき、ストッパー面となる流路基板２１の結晶方位の（１１１）面によって形成される第２絞り３４の天井面３４ａを、傾斜直交方向において接続流路の中央側に向かうほど、上側に向かうようなテーパ状の面として精度よく形成することができる。

また、本実施形態では、第２絞り３４の流路抵抗が、ノズル１０の流路抵抗よりも小さい。これにより、ヘッド１１とインクタンク５２との間でインクが循環する際に、ディセンダ３２か第２絞り３４にインクが流れやすく、ノズル１０からインクが漏れ出しにくい。

また、本実施形態では、第２絞り３４の傾斜方向における各部分での紙幅方向の長さＬ３が、ディセンダ３２の紙幅方向の長さＬ４よりも短い。これにより、紙幅方向において、第２絞り３４同士の間隔が、ディセンダ３２同士の間隔よりも大きくなる。したがって、ディセンダ３２内のインクが隣接するディセンダ３２に漏れ出さない程度にディセンダ３２同士の間隔が確保されていれば、第２絞り３４内のインクが隣接する第２絞り３４に漏れ出してしまうのを確実に防止することができる。

また、本実施形態では、第２絞り３４の傾斜方向の長さを５０μｍ以下と短くしている。これにより、第２絞り３４の流路抵抗が大きくなりすぎず、第２絞り３４及び共通接続流路３５を介してディセンダ３２から第２共通流路３７の下側流路部分３７ａにスムーズにインクを流れさせることができる。また、本実施形態では、２列のノズル列９が搬送方向に間隔をあけて配置されているのに対して、各第２絞り３４が、搬送方向においてこれら２列のノズル列９の間に配置されている。したがって、第２絞り３４の傾斜方向の長さを５０μｍ以下と短くすることにより、２列のノズル列９の搬送方向の間隔を小さくすることができる。これにより、ヘッド１１の搬送方向のサイズを小さくすることができる。

また、本実施形態では、傾斜方向に延びた第２絞り３４の、傾斜直交方向の長さＬ２が、傾斜方向の長さＬ１よりも長い。これにより、第２絞り３４の流路抵抗を小さくして、ディセンダ３２から第２共通流路にスムーズにインクを流れさせることができる。

また、本実施形態では、各個別流路列１９を構成する複数の個別流路２０の第２絞り３４と、第２共通流路３７（下側流路部分３７ａ）との間に、これらの第２絞り３４に共通の共通接続流路３５が配置されている。これにより、複数の第２絞り３４と共通接続流路３５とによって形成される、複数のディセンダ３２と第２共通流路３７とを接続する流路の流路抵抗を小さくして、ディセンダ３２から第２共通流路にスムーズにインクを流れさせることができる。

＜変形例＞
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。

上述の実施形態では、複数の第２絞り３４と第２共通流路３７の下側流路部分３７ａとの間に、共通接続流路３５が配置され、共通接続流路３５を介して、複数の第２絞り３４と下側流路部分３７ａとが接続されていたが、これには限られない。

変形例１では、図６、図７に示すように、第２絞り１０１が、第２共通流路３７の下側流路部分３７ａに直接接続されている。また、変形例１でも、上述の実施形態と同様、第２絞り１０１の傾斜方向の長さＬ５は５０μｍ以下であるが、上述の実施形態とは異なり、第２絞り１０１の傾斜方向の長さＬ５は、傾斜直交方向の長さＬ６よりも長い。また、変形例１でも、上述の実施形態と同様、第２絞り１０１の傾斜方向における各部分での紙幅方向の長さＬ７が、ディセンダ３２の紙幅方向の長さＬ８よりも短い。

また、変形例１では、第２絞り１０１の、傾斜方向の長さＬ５が、傾斜直交方向の長さＬ６よりも長くなっていたが、例えば、下側流路部分３７ａの搬送方向の長さを変形例１よりも長くするとともに、第２絞り１０１の傾斜方向の長さＬ５を変形例１よりも短くすることによって、第２絞り１０１の傾斜方向の長さＬ５を、傾斜直交方向の長さＬ６以下としてもよい。

また、上述の実施形態のように、第２絞り３４が共通接続流路３５を介して下側流路部分３７ａに接続されている構成において、第２絞り３４の傾斜方向の長さＬ１が、傾斜直交方向の長さＬ２以上であってもよい。

また、上述の実施形態及び変形例１では、第２絞りの傾斜方向の長さが５０μｍ以下であったが、これには限られない。第２絞りの傾斜方向の長さは５０μｍよりも長くてもよい。

また、上述の実施形態では、第２絞り３４の傾斜方向における各部分での紙幅方向の長さＬ３が、ディセンダ３２の紙幅方向の長さＬ４よりも短くなっていたが、これには限られない。第２絞り３４の傾斜方向における各部分での紙幅方向の長さＬ３は、ディセンダ３２の紙幅方向の長さＬ４以上であってもよい。

また、上述の実施形態では、第２絞り３４の流路抵抗が、ノズル１０の流路抵抗よりも小さくなっていたが、これには限られない。例えば、上述したようにヘッド１１とインクタンク５２との間でインクが循環するときに、ノズル１０からインクが漏れ出さない範囲であれば、第２絞り３４の流路抵抗が、ノズル１０の流路抵抗以上であってもよい。

また、上述の実施形態では、シリコンによって形成された流路基板２１の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が、鉛直方向と平行であり、第２絞り３４が、搬送方向に対して５５°傾斜して延びていたが、これには限られない。

例えば、第２絞り３４は、搬送方向に対して５０～６０°の範囲の別の角度が傾斜して延びていてもよい。

あるいは、流路基板２１が、結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が、鉛直方向と平行となる向きとは異なる向きで配置されていてもよい。この場合でも、流路基板２１を鉛直方向に貫通するディセンダ３２を、搬送方向と平行な内壁面を有するものとし、流路基板２１の結晶方位の各面の向き、及び、第２絞り３４の搬送方向に対する傾斜角度を適宜設定することにより、流路基板２１の結晶方位に応じて精度よく第２絞り３４を形成することができる。

また、以上の例では、第２絞りが、流路基板２１にのみ形成されていたが、これには限られない。

変形例２では、図８（ａ），（ｂ）に示すように、第２絞り１１１が、第１流路部分１１１ａと、第２流路部分１１１ｂとを有している。また、変形例２では、ノズルプレート２２がシリコンによって形成されており、ノズルプレート２２の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行になっている。

第１流路部分１１１ａは、第２絞り１１１のディセンダ３２側の部分であり、ディセンダ３２と接続されている。第１流路部分１１１ａは、流路基板２１にのみ形成されており、上述の実施形態の第２絞り３４のディセンダ３２側の部分と同様の形状となっている。

第２流路部分１１１ｂは、第２絞り１１１の共通接続流路３５側の部分であり、第１流路部分１１１ａと共通接続流路３５とを接続している。第２流路部分１１１ｂは、流路基板２１の下側の部分と、ノズルプレート２２の上側の部分とにわたって延びている。

また、第１流路部分１１１ａと第２流路部分１１１ｂとにわたって延びる第２絞り１１１の天井面１１１ｃは、上述の実施形態の第２絞り３４の天井面３４ａと同様、傾斜直交方向において、第２絞り１１１の中央側に向かうほど上側に向かうように、傾斜直交方向に対して角度Ｋ２傾斜している。

また、第２流路部分１１１ｂの下側の面である底面１１１ｄは、傾斜直交方向において、第２絞り１１１（第２流路部分１１１ｂ）の中央側に向かうほど下側（本発明の「第２方向の他方側」）に向かうように、傾斜直交方向に対して角度Ｋ３傾斜している。角度Ｋ３は、角度Ｋ２と同程度であり、例えば３５°程度である。なお、第１流路部分１１１ａの底面は、水平な面である。

ここで、第２絞り１１１のうち、流路基板２１に形成される、第１流路部分１１１ａ、及び、第２流路部分１１１ｂの上側の部分は、上述の実施形態の第２絞り３４と同様、流路基板２１にウェットエッチングによって形成することができる。

また、ノズルプレート２２に形成される、第２流路部分１１１ｂの下側の部分は、シリコンによって形成されたノズルプレート２２にウェットエッチングによって形成することができる。より詳細に説明すると、変形例２では、ノズルプレート２２がシリコンによって形成されており、ノズルプレート２２の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が鉛直方向と平行である。そのため、エッチング速度が遅い(１１１)面は、基板面に対してある一定の傾きを持つ。流路パターンにより、（１１１）面がストッパー面となり、上述したように傾斜直交方向に対して角度Ｋ３傾斜した底面１１１ｄが形成される。

変形形２では、第２絞り１１１の一部を、流路基板２１とノズルプレート２２とにわたって形成されたものとすることにより、第２絞り１１１の流路抵抗を小さくして、第２絞り１１１等を介してディセンダ３２から第２共通流路３７にスムーズにインクを流れさせることができる。

また、変形例２では、ウェットエッチングによって流路基板２１及びノズルプレート２２に第２絞り１１１の一部となる部分をそれぞれ形成することにより、流路基板２１の結晶方位の（１１１）面によって、第２絞りの天井面１１１ｃを、傾斜直交向において接続流路の中央側に向かうほど、第２方向の一方側に向かうようなテーパ状の面として精度よく形成することができる。同様に、ノズルプレート２２の結晶方位の（１１１）面によって、第２絞り１１１の第２流路部分１１１ｂの底面１１１ｄを、傾斜直交方向において第２絞り１１１（第２流路部分１１１ｂ）の中央側に向かうほど、下側に向かうようなテーパ状の面として精度よく形成することができる。これらのことから、流路基板２１とノズルプレート２２とにわたって形成される第２絞り１１１を精度よく形成することができる。

また、変形例２では、第２絞り１１１のうち、ディセンダ３２と接続される第１流路部分１１１ａを流路基板２１にのみ形成することによって精度を高くして、複数のノズル１０間でのインクの吐出特性のばらつきを抑えることができる。

ここで、変形例２では、上述したように、シリコンによって形成された流路基板２１及びノズルプレート２２にウェットエッチングによって第２絞り１１１の一部となる部分をそれぞれ精度よく形成することができる。ただし、変形例２では、流路基板２１とノズルプレート２２とを接合したときに、流路基板２１及びノズルプレート２２に形成された第２絞り１１１の一部となる部分同士が合わさって第２絞り１１１が形成される。そのため、流路基板２１とノズルプレート２２との接合時の位置ずれを考慮した場合、第２絞り１１１のうち、ディセンダ３２と接続される第１流路部分１１１ａを流路基板２１にのみ形成されたものとする方が、第２絞り全体を流路基板２１とノズルプレート２２とにわたって形成されたものとするよりも、第２絞り１１１のディセンダ３２と接続される部分の精度を高いものとすることができる。

また、変形例２では、第２絞り１１１のうち、第１流路部分１１１ａが流路基板２１にのみ形成され、第２流路部分１１１ｂが流路基板２１とノズルプレート２２とにわたって形成されていたが、これには限られない。第２絞り全体が、流路基板２１とノズルプレート２２とにわたって形成されていてもよい。

また、変形例２では、第２流路部分１１１ｂの底面１１１ｄが、傾斜直交方向において第２絞り１１１（第２流路部分１１１ｂ）の中央側に向かうほど、下側に向かうようなテーパ状の面であったが、これには限られない。第２流路部分１１１ｂの底面は、水平な面であってもよい。また、この場合、ノズルプレート２２は、シリコン以外の材料からなるものであってもよい。

また、上述の実施形態では、第１絞り３３が流路基板２１に形成され、第１共通流路３６が、流路基板２１、圧力室プレート２４及びカバー部材２７にわたって形成されていたが、これには限られない。例えば、第１絞り３３が圧力室プレート２４に形成され、第１共通流路３６が、圧力室プレート２４及びカバー部材２７にわたってのみ形成されていてもよい。

また、以上では、ノズルからインクを吐出するヘッドに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。インク以外の液体を吐出液体吐出ヘッドに本発明を適用することも可能である。

１０ ノズル
１１ ヘッド
２１ 流路基板
２２ ノズルプレート
２４ 圧力室プレート
３１ 圧力室
３２ ディセンダ
３４ 第２絞り
３４ａ 天井面
３５共通接続流路
３６ 第１共通流路
３７ 第２共通流路
１０１ 第２絞り
１１１ 第２絞り
１１１ａ 第１流路部分
１１１ｂ 第２流路部分
１１１ｃ 天井面
１１１ｄ 底面

Claims (12)

1. ノズルプレートに形成され、第１方向に配列された複数のノズルと、
   前記ノズルプレートの前記第１方向と直交する第２方向の一方側に配置された圧力室プレートに形成され、複数のノズルに対して個別に設けられ、前記第１方向に配列された複数の圧力室と、
   前記第２方向における前記ノズルプレートと前記圧力室プレートとの間に配置された流路基板に形成され、前記第１方向に配列され、前記第２方向に延びて対応する前記ノズルと前記圧力室とを接続する複数のディセンダと、
   前記複数の圧力室と接続される第１共通流路と、
   前記流路基板に形成された第２共通流路と、
   前記流路基板に形成され、前記複数のディセンダと前記第２共通流路とを接続する複数の接続流路と、を備え、
   前記流路基板は、シリコンによって形成され、
   前記ディセンダは、
   前記流路基板を前記第２方向に貫通し、
   前記第１方向及び前記第２方向のいずれとも直交する第３方向に平行な内壁面を有し、
   前記接続流路は、
   前記第２方向と直交し且つ前記第３方向に対して傾斜した第４方向に延びていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
2. 前記流路基板の結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が、前記第２方向と平行であることを特徴とする請求項１に記載の液体吐出ヘッド。
3. 前記第４方向が、前記第３方向に対して５０～６０°傾斜していることを特徴とする請求項２に記載の液体吐出ヘッド。
4. 前記接続流路の前記第２方向における前記一方側の内壁面が、前記第２方向及び前記第４方向のいずれとも直交する第５方向において前記接続流路の中央側に向かうほど、前記第２方向の前記一方側に向かうようなテーパ状の面となっていることを特徴とする請求項２又は３に記載の液体吐出ヘッド。
5. 前記接続流路の流路抵抗が、前記ノズルの流路抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項１～４のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
6. 前記接続流路の、前記第４方向における各部分での前記第１方向の長さが、前記ディセンダの前記第１方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項１～５のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
7. 前記接続流路の前記第４方向の長さが５０μｍ以下であることを特徴とする請求項１～６のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
8. 前記接続流路は、前記第４方向の長さが、前記第２方向及び前記第４方向のいずれとも直交する第５方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項１～７のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
9. 前記接続流路が、前記流路基板と前記ノズルプレートとにわたって形成されていることを特徴とする請求項１～８のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
10. 前記接続流路のうち、前記ディセンダと接続される部分は、前記流路基板と前記ノズルプレートのうち前記流路基板にのみ形成されていることを特徴とする請求項９に記載の液体吐出ヘッド。
11. 前記複数の接続流路と前記第２共通流路との間に、前記流路基板に形成され、前記複数の接続流路にわたって前記第１方向に延び、前記複数の接続流路と前記第２共通流路とを接続し、前記第２共通流路よりも前記第２方向の長さが短い共通接続流路、を備えていることを特徴とする請求項１～１０のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
12. 前記ノズルプレートがシリコンによって形成され、
    前記ノズルプレートの結晶方位の（１１０）面の法線ベクトルの方向が、前記第２方向と平行であり、
    前記接続流路が、前記流路基板と前記ノズルプレートとにわたって形成され、
    前記ノズルプレートに形成される、前記接続流路の前記第２方向における他方側の端面が、前記第５方向において前記接続流路の中央側に向かうほど、前記第２方向の前記他方側に向かうようなテーパ状の面となっていることを特徴とする請求項４に記載の液体吐出ヘッド。

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