JP2022067713A - 電流検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータから放射状に放射される磁束が交差する位置に配置された各磁気センサにより、複数組の複数相の電機子巻線を流れる電流を検出する電流検出装置において、ロータの磁束により生じた電流検出誤差により、出力トルクの制御精度が悪化することを抑制できる電流検出装置を提供する。【解決手段】第1組のリプル成分の正負の符号と、第2組のリプル成分の正負の符号とが、互いに異なるように、各磁気センサを通る径方向に直交する平面である径直交平面に対する各組の各相の磁気センサの磁束検出方向の傾き角度が設定されている電流検出装置。【選択図】図4

Description

本願は、電流検出装置に関するものである。
例えば、2組の3相巻線を有する交流回転機のそれぞれの相の巻線の電流を、磁気センサを用いて検出する電流検出装置がある。しかし、各相の磁気センサには、他の相の電流による外乱磁束が混入し、電流検出誤差が生じることがある。この誤差を低減するための構成が種々提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電流検出装置は、1つの相の電流経路を、U字状に形成し、電流の向きが互いに逆になる第1対向部と第2対向部に、第1磁気センサと第2磁気センサを配置し、外乱磁束によって生じる電流検出誤差を低減している。
特開2018-96795号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、1相の電流を検出するために2つの磁気センサが必要となる。例えば、2組の3相巻線を有する交流回転機の場合では、12個の磁気センサが必要となるため、各相を1つの磁気センサで検出する場合に比べて、コストが増加し、装置が大型化する。
また、ランデル型のロータのように、ロータの軸方向の一方側の部分が、N極又はS極になり、各磁気センサが、ロータの軸方向の一方側に配置されると、各磁気センサを、ロータから径方向に放射状に放射される磁束が交差する。このロータの磁束により、各磁気センサに電流検出誤差が生じる場合がある。
そこで、本願は、ロータから放射状に放射される磁束が交差する位置に配置された各磁気センサにより、2組の複数相の電機子巻線を流れる電流を検出する電流検出装置において、ロータの磁束により生じた電流検出誤差により、出力トルクの制御精度が悪化することを抑制できる電流検出装置を提供することを目的とする。
本願に係る電流検出装置は、ロータと、第1組のn相の電機子巻線及び第2組のn相の電機子巻線(nは、3以上の整数)を設けたステータとを有する交流回転機において、各組の各相の電機子巻線に電流を供給する各組の各相の接続線に対向配置された各組の各相の磁気センサの出力信号に基づいて、各組の各相の電機子巻線に流れる電流を検出する電流検出装置であって、
各組の各相の前記磁気センサは、前記ロータから径方向に放射状に放射される磁束が交差する位置に配置され、
前記第1組のn相の電機子巻線において、第1組の第k相の電機子巻線に対する電気角での前記ロータの磁極の位相をθek1とし、第1組の第k相の前記磁気センサにより検出される前記ロータの磁束密度の成分であるロータ磁束密度の検出成分をBsk1としたとき、第1組のリプル成分であるR1を、
Figure 2022067713000002
とし、
前記第2組のn相の電機子巻線において、第2組の第h相の電機子巻線に対する電気角での前記ロータの磁極の位相をθeh2とし、第2組の第h相の前記磁気センサにより検出される前記ロータの磁束密度の成分であるロータ磁束密度の検出成分をBsh2としたとき、第2組のリプル成分であるR2を、
Figure 2022067713000003
としたとき、
前記第1組のリプル成分の正負の符号と、前記第2組のリプル成分の正負の符号とが、互いに異なるように、各前記磁気センサを通る径方向に直交する平面である径直交平面に対する各組の各相の前記磁気センサの磁束検出方向の傾き角度が設定されているものである。
各組のd軸の電流検出値を足し合わせたd軸の和電流の検出値の検出誤差成分、及び各組のq軸の電流検出値を足し合わせたq軸の和電流の検出値の検出誤差成分により、出力トルクの制御精度が悪化する。しかし、d軸及びq軸の和電流の検出値には、第1組のリプル成分と第2組のリプル成分とを足し合わせた、ロータの磁束による検出誤差成分が含まれる。本願に係る電流検出装置によれば、第1組のリプル成分の正負の符号と、第2組のリプル成分の正負の符号とが、互いに異なるように、各磁気センサの磁束検出方向の傾き角度が設定されているので、第1組のリプル成分と第2組のリプル成分とを互いに打ち消し合わせることができ、d軸及びq軸の和電流の検出値に含まれる、ロータの磁束による検出誤差成分を低減することができる。よって、d軸及びq軸の和電流の検出誤差成分の低減により、出力トルクの制御精度を向上させることができる。
実施の形態1に係る交流回転機及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る電機子巻線の位相を説明する図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る磁気センサの配置を説明する図である。 実施の形態1に係るランデル型ロータの斜視図である。 実施の形態1に係る交流回転機の模式的な断面図である。 実施の形態1に係る磁気センサにより検出される磁束を説明する図である。 実施の形態1に係る集磁コアを備えた磁気センサを説明する図である。 実施の形態1に係る磁気センサの配置を説明する図である。 実施の形態1に係る電機子巻線の位相を説明する図である。 実施の形態2に係る電機子巻線の位相を説明する図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る電流検出装置について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置10の概略構成図である。電流検出装置は、交流回転機1及び制御装置10に組み込まれている。
1-1.交流回転機1
交流回転機1は、ステータ18と、ステータ18の径方向内側に配置されたロータ14と、を備えている。ステータ18の鉄心に、第1組のn相の電機子巻線及び第2組のn相の電機子巻線(nは、3以上の整数)が巻装されている。本実施の形態では、nは、3に設定されている。すなわち、ステータ18には、第1組のU1相、V1相、W1相の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1と、第2組のU2相、V2相、W2相の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2とが設けられている。各組の3相の電機子巻線は、スター結線とされてもよいし、デルタ結線とされてもよい。
本実施の形態では、図2に模式図を示すように、第1組の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1の位置に対する第2組の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2の位置の電気角での位相差Δθは、Δθ=-π/6(-30度)に設定されている。なお、電気角は、ロータ14の機械角に磁石の極対数を乗算した角度になる。
ロータ14には磁石が設けられている。本実施の形態では、ロータ14の鉄心に界磁巻線4が巻装されており、ロータ14の磁石は、界磁巻線により界磁される磁石である。よって、交流回転機1は、界磁巻線型の同期回転機とされている。なお、ロータ14の磁石は、永久磁石であってもよい。
ロータ14には、ロータ14の回転角度(回転角度)を検出する回転センサ15が設けられている。回転センサ15の出力信号は、制御装置10に入力される。回転センサ15には、ホール素子、レゾルバ、又はエンコーダ等の各種のセンサが用いられる。回転センサ15が設けられず、後述する電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-2.直流電源2
直流電源2は、第1組のインバータIN1、第2組のインバータIN2、及びコンバータ9に直流電圧Vdcを出力する。直流電源2として、バッテリー、DC-DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等、直流電圧を出力する任意の機器が用いられる。直流電源2には、平滑コンデンサ3が並列接続されている。
1-3.インバータ
第1組のインバータIN1は、直流電源2と第1組の3相の電機子巻線との間で電力変換を行う。第2組のインバータIN2は、直流電源2と第2組の3相の電機子巻線との間で電力変換を行う。
第1組のインバータIN1は、直流電源2の正極側に接続される正極側のスイッチング素子SP1と、直流電源2の負極側に接続される負極側のスイッチング素子SN1と、が直列接続された直列回路を、第1組の3相各相の電機子巻線に対応して3つ設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、第1組の対応する相の電機子巻線に接続される。
具体的には、第1組のU相の直列回路では、U相の正極側のスイッチング素子SPu1とU相の負極側のスイッチング素子SNu1とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第1組のU相の電機子巻線Cu1に接続されている。第1組のV相の直列回路では、V相の正極側のスイッチング素子SPv1とV相の負極側のスイッチング素子SNv1とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第1組のV相の電機子巻線Cv1に接続されている。第1組のW相の直列回路では、Wの正極側のスイッチング素子SPw1とW相の負極側のスイッチング素子SNw1とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第1組のW相の電機子巻線Cw1に接続されている。
第2組のインバータIN2は、直流電源2の正極側に接続される正極側のスイッチング素子SP2と、直流電源2の負極側に接続される負極側のスイッチング素子SN2と、が直列接続された直列回路を、第2組の3相各相の電機子巻線に対応して3つ設けている。各直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、第2組の対応する相の電機子巻線に接続される。
具体的には、第2組のU相の直列回路では、U相の正極側のスイッチング素子SPu2とU相の負極側のスイッチング素子SNu2とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第2組のU相の電機子巻線Cu2に接続されている。第2組のV相の直列回路では、V相の正極側のスイッチング素子SPv2とV相の負極側のスイッチング素子SNv2とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第2組のV相の電機子巻線Cv2に接続されている。第2組のW相の直列回路では、Wの正極側のスイッチング素子SPw2とW相の負極側のスイッチング素子SNw2とが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点が第2組のW相の電機子巻線Cw2に接続されている。
各組のインバータのスイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置10に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御装置10から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
1-4.磁気センサMS
各組の各相の電機子巻線の電流を検出する各組の各相の磁気センサMSが設けられている。磁気センサMSは、ホール素子等とされる。磁気センサMSは、各組の各相の電機子巻線に一つずつ設けられている。各組の各相の磁気センサMSは、各組の各相の電機子巻線に電流を供給する各組の各相の接続線WRに対向配置されている。具体的には、各組のインバータと各組の3相の電機子巻線とを接続する6本の接続線WRのそれぞれに、磁気センサMSが対向配置されている。第1組のU1相の接続線WRu1に、第1組のU1相の磁気センサMSu1が対向配置され、第1組のV1相の接続線WRv1に、第1組のV1相の磁気センサMSv1が対向配置され、第1組のW1相の接続線WRw1に、第1組のW1相の磁気センサMSw1が対向配置されている。第2組のU2相の接続線WRu2に、第2組のU2相の磁気センサMSu2が対向配置され、第2組のV2相の接続線WRv2に、第2組のV2相の磁気センサMSv2が対向配置され、第2組のW2相の接続線WRw2に、第2組のW2相の磁気センサMSw2が対向配置されている。各磁気センサMSの出力信号は、制御装置10に入力される。
1-5.コンバータ9
コンバータ9は、スイッチング素子を有し、直流電源2と界磁巻線4との間で電力変換を行う。本実施の形態では、コンバータ9は、直流電源2の正極側に接続される正極側のスイッチング素子SPと直流電源2の負極側に接続される負極側のスイッチング素子SNとが直列接続された直列回路を2つ設けたHブリッジ回路とされている。第1の直列回路28における正極側のスイッチング素子SP1と負極側のスイッチング素子SN1との接続点が、界磁巻線4の一端に接続され、第2の直列回路29における正極側のスイッチング素子SP2と負極側のスイッチング素子SN2との接続点が、界磁巻線4の他端に接続される。
コンバータ9のスイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ、MOSFET等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置10に接続されている。よって、各スイッチング素子は、制御装置10から出力されるスイッチング信号によりオン又はオフされる。
なお、第1の直列回路28の負極側のスイッチング素子SN1をダイオードに置き換えたり、第2の直列回路29の正極側のスイッチング素子SP2をダイオードに置き換えたりする等、コンバータ9を他の構成としてもよい。
界磁電流センサ6は、界磁巻線4を流れる電流である界磁電流Ifを検出する電流検出回路である。本実施の形態では、界磁電流センサ6は、第1の直列回路28の接続点と界磁巻線4の一端との間の電線上に設けられている。界磁電流センサ6は、界磁電流Ifを検出可能な他の個所に設けられてもよい。界磁電流センサ6の出力信号は、制御装置10に入力される。界磁電流センサ6は、ホール素子、シャント抵抗等の電流センサとされている。
1-6.制御装置10
制御装置10は、第1組及び第2組のインバータIN1、IN2、及びコンバータ9を介して、交流回転機1を制御する。制御装置10は、図3に示すように、回転検出部31、電機子電流検出部32、電機子電流制御部33、界磁電流検出部34、及び界磁電流制御部35等の機能部を備えている。制御装置10の各機能は、制御装置10が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置10は、図12に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93、及び外部装置とデータ通信を行う通信回路94等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、及び演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、回転センサ15、各組の各相の磁気センサMS、界磁電流センサ6等の各種のセンサが接続され、これらセンサの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、第1組及び第2組のインバータIN1、IN2、及びコンバータ9のスイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。通信回路94は、外部装置と通信を行う。
そして、制御装置10が備える各制御部31~35等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置10の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~35等が用いる各種の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置10の各機能について詳細に説明する。
<回転検出部31>
回転検出部31は、電気角でのロータの磁極位置θ(ロータの回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、回転検出部31は、回転センサ15の出力信号に基づいて、電気角での磁極位置θ(回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。磁極位置は、ロータに設けられた電磁石のN極の向きに設定される。本実施の形態では、磁極位置θ(回転角度θ)は、第1組のU1相の電機子巻線を基準にした、電気角での磁極(N極)の位置(角度)である。図2に示した第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との位相差π/6から、第2組のU2相の電機子巻線を基準にした、電気角での磁極(N極)の位置(角度)は、θ-π/6になる。
なお、回転検出部31は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
<電機子電流検出部32>
電機子電流検出部32は、各組の各相の磁気センサMSの出力信号に基づいて、各組の各相の電機子巻線に流れる電機子巻線電流を検出する。具体的には、電機子電流検出部32は、第1組のU1相の磁気センサMSu1の出力信号に基づいて、第1組のU1相の電機子巻線電流iu1sを検出し、第1組のV1相の磁気センサMSv1の出力信号に基づいて、第1組のV1相の電機子巻線電流iv1sを検出し、第1組のW1相の磁気センサMSw1の出力信号に基づいて、第1組のW1相の電機子巻線電流iw1sを検出する。また、電機子電流検出部32は、第2組のU2相の磁気センサMSu2の出力信号に基づいて、第2組のU2相の電機子巻線電流iu2sを検出し、第2組のV2相の磁気センサMSv2の出力信号に基づいて、第2組のV2相の電機子巻線電流iv2sを検出し、第2組のW2相の磁気センサMSw2の出力信号に基づいて、第2組のW2相の電機子巻線電流iw2sを検出する。
<電機子電流制御部33>
電機子電流制御部33は、最大トルク電流制御、弱め磁束制御、Id=0制御等のベクトル制御を用い、トルク指令値及び回転角速度ω等に基づいて、第1組のd軸及びq軸の電流指令値id1c、iq1c、及び第2組のd軸及びq軸の電流指令値id2c、iq2cを算出する。
d軸は、磁石の磁極(N極)の方向に定められ、q軸は、d軸より電気角で90度進んだ方向に定められる。
電機子電流制御部33は、次式に示すように、第1組の3相の電機子巻線の電流検出値iu1s、iv1s、iw1sを、磁極位置θに基づいて、3相2相変換及び回転座標変換を行って、第1組のd軸の電流検出値id1s及びq軸の電流検出値iq1sに変換する。
Figure 2022067713000004
電機子電流制御部33は、次式に示すように、第2組の3相の電機子巻線の電流検出値iu2s、iv2s、iw2sを、磁極位置θに基づいて、3相2相変換及び回転座標変換を行って、第2組のd軸の電流検出値id2s及びq軸の電流検出値iq2sに変換する。
Figure 2022067713000005
上述したように、第2組のU2相の電機子巻線を基準にした磁極位置は、θ-π/6になるので、式(1)の座標変換と式(2)の座標変換との間には、位相差π/6が設けられている。
電機子電流制御部33は、第1組のd軸及びq軸の電流検出値id1s、iq1sが第1組のd軸及びq軸の電流指令値id1c、iq1cに近づくように、PI制御等により、第1組のd軸及びq軸の電圧指令値Vd1c、Vq1cを算出する。そして、電機子電流制御部33は、次式に示すように、第1組のd軸及びq軸の電圧指令値Vd1c、Vq1cを、磁極位置θに基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、第1組の3相の電圧指令値Vu1c、Vv1c、Vw1cに変換する。
Figure 2022067713000006
電機子電流制御部33は、第2組のd軸及びq軸の電流検出値id2s、iq2sが第2組のd軸及びq軸の電流指令値id2c、iq2cに近づくように、PI制御等により、第2組のd軸及びq軸の電圧指令値Vd2c、Vq2cを算出する。そして、電機子電流制御部33は、次式に示すように、第2組のd軸及びq軸の電圧指令値Vd2c、Vq2cを、磁極位置θに基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、第2組の3相の電圧指令値Vu2c、Vv2c、Vw2cに変換する。
Figure 2022067713000007
式(1)と式(2)と同様に、式(3)の座標変換と式(4)の座標変換との間には、位相差π/6が設けられている。なお、電機子電流制御部33は、電圧利用率を向上させるために、第1組及び第2組の3相の電圧指令値に対して、空間ベクトル変調、二相変調などの公知の変調を加えてもよい。
電機子電流制御部33は、第1組の3相の電圧指令値Vu1c、Vv1c、Vw1cに基づいて、PWM制御(Pulse Width Modulation)により第1組のインバータIN1の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。また、電機子電流制御部33は、第2組の3相の電圧指令値Vu2c、Vv2c、Vw2cに基づいて、PWM制御により第2組のインバータIN2の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。PWM制御として、公知のキャリア波比較PWM又は空間ベクトルPWMが用いられる。
<界磁電流の制御>
界磁電流検出部34は、界磁電流センサ6の出力信号に基づいて、界磁巻線4に流れる電流である界磁電流Ifsを検出する。界磁電流制御部35は、トルク指令値等に基づいて、界磁電流指令値Ifcを設定する。界磁電流制御部35は、界磁電流の検出値Ifsが界磁電流指令値Ifcに近づくように、PI制御等により、界磁電圧指令値Vfを算出する。そして、界磁電流制御部35は、界磁電圧指令値Vfに基づいて、PWM制御によりコンバータ9の複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。
1-7.ロータの磁束による電流検出誤差を低減する磁気センサMSの配置
図4は、軸方向に見た、各組の各相の磁気センサMSの配置位置を示す概略図である。各組の各相の磁気センサMSは、ロータ14から径方向に放射状に放射される磁束が交差する位置に配置されている。
本実施の形態では、各磁気センサMSに交差するロータの磁束方向及び磁束密度は、ロータの回転に応じて変化しない。言い換えると、各磁気センサMSの径方向内側に配置されたロータの部分(本例では、回転軸14a)から放射状に放射される磁束密度は、周方向に変化しない。なお、各磁気センサMSに交差するロータの磁束方向及び磁束密度は、周方向に交互に配置されたN極及びS極の磁極から放射される磁束の影響等により、ロータの回転に応じて、多少変化してもよい(例えば、±10%の範囲内)。
<ランデル型のロータ>
本実施の形態では、ロータ14は、ランデル型(クローポール型ともいう)のロータである。各組の各相の磁気センサMSの径方向内側には、ロータ14の回転軸14aが配置されている。各磁気センサMSの径方向内側に配置された回転軸14aの部分は、N極又はS極になる。そして、回転軸14aから径方向に放射状に放射している磁束が、各磁気センサMSに交差する。
図5にランデル型のロータの斜視図を示し、図6に交流回転機1の断面図を示す。ロータ14は、円柱状又は円筒状の回転軸14aと、回転軸14aと一体回転する界磁鉄心14bと、界磁鉄心14bに巻装された界磁巻線14cとを有している。界磁鉄心14bは、回転軸14aの外周面に嵌合された円筒状の中心部14b1と、中心部14b1の軸方向の一方側X1の端部から径方向外側に延出した後、中心部14b1の径方向外側を軸方向の他方側X2に延びた複数の第1爪部14b2と、中心部14b1の軸方向の他方側X2の端部から径方向外側に延出した後、中心部14b1の径方向外側を軸方向の一方側X1に延びた複数の第2爪部14b3と、を有している。第1爪部14b2と第2爪部14b3とは、周方向に交互に配置されており、互いに異なる磁極になる。例えば、第1爪部14b2と第2爪部14b3は、それぞれ6個又は8個設けられ、極対数は6又は8になる。
界磁巻線14cが、回転軸14a及び界磁鉄心の中心部14b1の外周部に、軸心Cを中心とする同心円状に巻装されている。界磁巻線14cの径方向内側に、軸方向の磁束が生じ、ロータの軸方向の一方側X1の部分と軸方向の他方側X2の部分とが、互いに異なる磁極になる。なお、界磁巻線14cを補助するため、回転軸14a及び界磁鉄心の中心部14b1の外周部に、永久磁石が設けられてもよい。また、磁極間の磁束の漏洩を減少させるために、周方向に着磁された永久磁石を第1爪部14b2と第2爪部14b3との間に配置してもよい。
よって、界磁巻線14cが軸心Cを中心とした同心円状に巻装されたランデル型のロータでは、ロータの軸方向の一方側X1の部分と、ロータの軸方向の一方側X1の部分とは、互いに異なる磁極になる。以下では、ロータの軸方向の一方側X1の部分が、N極であり、ロータの軸方向の他方側X2の部分が、S極である場合を説明する。N極とS極とが入れ替わってもよく、軸方向の一方側X1と軸方向の他方側X2とが入れ替わってもよい。
界磁鉄心14bから軸方向の一方側X1に突出した回転軸14aの部分、及び第1爪部14b2を含む界磁鉄心14bの軸方向の一方側X1の部分が、N極となる。界磁鉄心14bから軸方向の他方側X2に突出した回転軸14aの部分、及び第2爪部14b3を含む界磁鉄心14bの軸方向の他方側X2の部分が、S極となる。
<各磁気センサの配置>
各組の各相の磁気センサMSは、ロータの軸方向の一方側X1に配置され、ロータの軸方向の一方側X1の部分から径方向に放射状に放射される磁束が交差する。磁気センサMSに交差する磁束には、径方向の成分に加えて軸方向の成分が含まれてよい。
図6に示すように、第1組及び第2組のインバータIN1、IN2は、ステータ18の軸方向の一方側X1に配置されている。各組の各相の接続線WRは、第1組及び第2組の電機子巻線から軸方向の一方側X1に延出し、第1組及び第2組のインバータIN1、IN2に接続されている。各組の各相の接続線WRは、軸方向の一方側X1の回転軸14aの部分の径方向外側に配置されており、各組の各相の接続線WRに対向配置されている各組の各相の磁気センサMSは、軸方向の一方側X1の回転軸14aの部分の径方向外側に配置されている。
各組の各相の磁気センサMSには、軸方向の一方側X1の回転軸14aの部分から径方向に放射状に放射される磁束が交差する。なお、各組の各相の磁気センサMSは、界磁鉄心14bの軸方向の一方側X1の端部から径方向に放射状に放射される磁束が交差してもよい。
本実施の形態では、図4に示すように、第1組の磁気センサMSと、第2組の磁気センサMSとが周方向に交互に等角度間隔で配置されている。MSu1、MSu2、MSv1、MSv2、MSw1、MSw2の順に、周方向に、機械角でπ/3(60度)の等角度間隔で、軸心Cを中心とした同一円上に配置されている。なお、周方向の各磁気センサMSの順番は、任意の順番でもよい。また、各磁気センサMSは、周方向に等角度間隔で配置されなくてもよい。なお、各磁気センサMSを周方向に等角度間隔で配置することにより、磁気センサMSが対向配置されていない他の接続線WRの電流により発生した磁束による磁気センサMSの検出誤差を低減できる。各磁気センサMSの一部分が、同一円上に乗っていれば、誤差の範疇として扱うことができる。
各磁気センサMS(センサ素子)は、センサ素子に交差する磁束の磁束検出方向DSの磁束密度の成分を検出し、検出した磁束密度に応じた信号を出力する。磁束検出方向DSは、センサ素子の配置方向に応じた特定の方向になる。図7に接続線WRの延出方向に見た模式図に示すように、各磁気センサMS(センサ素子)の磁束検出方向DSは、各接続線WRを流れる電流により生じる磁束の方向に平行になるように配置されている。すなわち、各磁気センサMSの磁束検出方向DSは、各接続線WRを中心とした周方向に平行になるように配置されている。図8に示すように、各磁気センサMSには、集磁コア20が設けられてもよい。
図4の例では、各磁気センサMSが対向配置された各接続線WRの部分は、概ね径方向に延出している。各磁気センサMS(センサ素子)は、径方向に延出した接続線WRの部分の軸方向の他方側X2に、接続線WRと対向して配置されている。
各磁気センサMSは、対向する接続線WRの電流に比例して発生した磁束密度を検出する。磁気センサMSの磁束検出方向DSが、センサ素子に交差する径方向のロータの磁束に直交する場合は、ロータの磁束の磁束検出方向DSの磁束密度の成分が生じないため、ロータの磁束による電流の検出誤差は生じない。しかし、磁気センサMSの磁束検出方向DSが、センサ素子に交差する径方向のロータの磁束に直交せずに、センサ素子を通る径方向に直交する平面である径直交平面Porに対して傾いている場合は、傾き角度θtに応じて、ロータの磁束の磁束検出方向DSの磁束密度の成分が生じるため、ロータの磁束による電流の検出誤差が生じる。
ここで、θt11を、第1組のU1相の磁気センサMSu1の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por11に対する、当該磁気センサMSu1の磁束検出方向DS11の傾き角度とし、θt21を、第1組のV1相の磁気センサMSv1の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por21に対する、当該磁気センサMSv1の磁束検出方向DS21の傾き角度とし、θt31を、第1組のW1相の磁気センサMSw1の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por31に対する、当該磁気センサMSw1の磁束検出方向DS31の傾き角度とする。θt12を、第2組のU2相の磁気センサMSu2の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por12に対する、当該磁気センサMSu2の磁束検出方向DS12の傾き角度とし、θt22を、第2組のV2相の磁気センサMSv2の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por22に対する、当該磁気センサMSv2の磁束検出方向DS22の傾き角度とし、θt32を、第2組のW2相の磁気センサMSw2の中心を通る径方向に直交する方向である径直交平面Por32に対する、当該磁気センサMSw2の磁束検出方向DS32の傾き角度とする。なお、本実施の形態では、各磁気センサMSの磁束検出方向DSは、軸方向に直交しており、各磁気センサの傾き角度θtは、軸心Cを中心とし、各磁気センサMSを通る円の接線方向に対する傾き角度になっている。ここでは、接続線WRに流れる電流の方向を全ての相において外径方向とする場合で説明するが、一部または全部の相において内径方向としてもよい。その場合、磁束検出方向DSを逆方向にして、傾き角度θtをそれに合わせて設定すれば、同様の考え方ができる。
図9に示すように、各磁気センサMSが対向配置された各接続線WRの部分が、軸方向に延出してよい。そして、磁気センサMS(センサ素子)は、軸方向に延出した接続線WRの部分の径方向内側に、接続線WRと対向して配置されてもよい。この場合でも、磁気センサMSの磁束検出方向DSが、センサ素子を通る径方向に直交する平面である径直交平面Porに対して傾いている場合は、傾き角度θtに応じて、ロータの磁束の磁束検出方向DSの磁束密度の成分が生じるため、ロータの磁束による電流の検出誤差が生じる。
<電流検出誤差による影響>
ロータの磁束による電流検出誤差を考慮すると、各組の各相の磁気センサMSにより検出される各組の各相の電流検出値iu1s~iw2sは、次式で表される。
Figure 2022067713000008
ここで、iu1は、第1組のU1相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δu1は、ロータの磁束による第1組のU1相の電流の検出誤差成分であり、iv1は、第1組のV1相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δv1は、ロータの磁束による第1組のV1相の電流の検出誤差成分であり、iw1は、第1組のW1相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δw1は、ロータの磁束による第1組のV1相の電流の検出誤差成分である。iu2は、第2組のU2相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δu2は、ロータの磁束による第2組のU2相の電流の検出誤差成分であり、iv2は、第2組のV2相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δv2は、ロータの磁束による第2組のV2相の電流の検出誤差成分であり、iw2は、第2組のW2相の電機子巻線を流れる真の電流値であり、δw2は、ロータの磁束による第2組のV2相の電流の検出誤差成分である。Iは、各組の電流ベクトルの大きさであり、βは、各組のq軸に対する電流ベクトルの位相である。図2に示した第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との位相差π/6から、第2組の3相の真の電流値は、第1組の3相の真の電流値に対して、位相差π/6だけ遅れている。
<d軸及びq軸の和電流と出力トルクとの関係>
交流回転機の出力トルクTは、次式で表せられる。Pmは、極対数であり、ψは、磁石の鎖交磁束であり、Ldは、d軸のインダクタンスであり、Lqは、q軸のインダクタンスである。ここで、組間のd軸の真の和電流及びq軸の真の和電流(id1+id2、iq1+iq2)に比べて、組間のd軸の真の差電流及びq軸の真の差電流(id1-id2、iq1-iq2)が微小であることを利用し、組間のd軸の真の和電流及びq軸の真の和電流により、出力トルクTを算出する式に近似している。
Figure 2022067713000009
式(6)の出力トルクTの近似式より、組間のd軸の真の和電流及びq軸の真の和電流(id1+id2、iq1+iq2)に含まれる検出誤差成分を低減することにより、出力トルクの精度を向上し、出力トルクに含まれるリプル成分を低減することができる。
<ロータの磁束による、d軸及びq軸の和電流の検出誤差>
式(5)を、式(1)及び式(2)に代入し、座標変換を行った第1組のd軸の電流検出値Id1s及び第2組のd軸の電流検出値Id2sの和電流、第1組のq軸の電流検出値Iq1s及び第2組のq軸の電流検出値Iq2sの和電流は、式(7)及び式(8)になる。
Figure 2022067713000010
Figure 2022067713000011
ここで、式(7)の右辺の第1項は、d軸の真の和電流であり、式(8)の右辺の第1項は、q軸の真の和電流である。よって、式(7)の右辺の第2項及び第3項は、ロータの磁束によるd軸の和電流の検出誤差成分であり、式(8)の右辺の第2項及び第3項は、ロータの磁束によるq軸の和電流の検出誤差成分である。
誤差を含むd軸及びq軸の電流検出値に基づいて電流フィードバック制御を行うと、d軸及びq軸の真の電流値は、d軸及びq軸の電流指令値から、誤差分だけずれる。式(6)の近似式に示したように、d軸の和電流及びq軸の和電流に応じて、出力トルクTが変化するため、実際の出力トルクは、d軸の和電流の検出誤差成分及びq軸の和電流の検出誤差成分に応じて、d軸及びq軸の電流指令値に対応する目標の出力トルクからずれる。式(7)の右辺の第2項及び第3項のd軸の和電流の検出誤差成分、及び式(8)の右辺の第2項及び第3項のd軸の和電流の検出誤差成分は、磁極位置θに応じて振動する振動成分であるので、出力トルクTには、検出誤差によりトルクリプルが生じる。
ロータの磁束による各組の各相の電流の検出誤差成分δは、各磁気センサMSを通る径方向に直交する平面である径直交平面Porに対する各組の各相の磁気センサの磁束検出方向DSの傾き角度θtを用いて次式で表される。
Figure 2022067713000012
ここで、Brは、各磁気センサを通るロータの径方向の磁束の磁束密度であり、本実施の形態では、各磁気センサは、軸心Cを中心とした同一円上に配置されているので、各磁気センサについて同じ値である。Br×sinθtにより、各磁気センサにより検出されるロータの磁束密度の成分であるロータ磁束密度の検出成分Bsが算出される。Kbiは、ロータ磁束密度の検出成分Bsから電流検出値への換算係数である。傾き角度θtk1(kは、1以上の整数)は、第1組の第k相の傾き角度であり、U1相、V1相、W1相の代わりに、第1相、第2相、第3相を用いている。傾き角度θth2(hは、1以上の整数)は、第2組の第h相の傾き角度であり、U2相、V2相、W2相の代わりに、第1相、第2相、第3相を用いている。同様に、Bsk1は、第1組の第k相の検出成分であり、Bsh2は、第2組の第h相の検出成分である。
式(9)を、式(7)及び式(8)に代入すると、d軸及びq軸の和電流の検出値は、式(10)及び式(11)になる。
Figure 2022067713000013
Figure 2022067713000014
<リプル成分R1、R2を用いた、和電流の検出誤差の表現>
ここで、第1組のリプル成分R1及び第2組のリプル成分R2を、式(12)で定義する。
Figure 2022067713000015
ここで、磁極位置θは、上述したように、第1組のU1相の電機子巻線の位置に対する電気角でのロータの磁極(N極)の位相(角度)である。式(12)の第1式において、右辺の第1項の正弦関数の位相θは、第1組のU1相の電機子巻線Cu1の位置に対する電気角での磁極(N極)の位相(角度)θe11であり、右辺の第2項の正弦関数の位相(θ-2π/3)は、第1組のV1相の電機子巻線Cv1に対する磁極の位相θe21であり、右辺の第3項の正弦関数の位相(θ+2π/3)は、第1組のW1相の電機子巻線Cw1に対する磁極の位相θe31である。式(12)の第2式において、右辺の第1項の正弦関数の位相(θ-π/6)は、第2組のU2相の電機子巻線Cu2の位置に対する電気角での磁極の位相θe12であり、右辺の第2項の正弦関数の位相(θ-5π/6)は、第2組のV2相の電機子巻線Cv2に対する磁極の位相θe22であり、右辺の第3項の正弦関数の位相(θ+π/2)は、第2組のW2相の電機子巻線Cw2に対する磁極の位相θe32である。
よって、式(12)を一般化して表現すると式(13)を得る。
Figure 2022067713000016
ここで、θek1は、第1組の第k相の電機子巻線の位置に対する電気角でのロータの磁極の位相であり、第1組のU1相の電機子巻線Cu1に対する磁極位置θから、第1組のU1相の電機子巻線Cu1に対する第1組の第k相の電機子巻線の位相を減算した位相になる。Bsk1は、第1組の第k相の磁気センサにより検出されるロータ磁束密度の検出成分である。θeh2は、第2組の第h相の電機子巻線の位置に対する電気角でのロータの磁極の位相であり、第1組のU1相の電機子巻線Cu1に対する磁極位置θから、第1組のU1相の電機子巻線Cu1に対する第2組の第h相の電機子巻線の位相を減算した位相になる。Bsh2は、第2組の第h相の磁気センサにより検出されるロータ磁束密度の検出成分である。
<リプル成分R1、R2の相互打ち消しによる、和電流の検出誤差の低減>
式(12)を用いて式(10)を表現すると、式(14)に示すように、式(10)の右辺の第2項は、第1組のリプル成分R1の磁極位置θの位相を、π/2だけ進ませたものに対して係数を掛けたものであり、第3項は、第2組のリプル成分R2の磁極位置θの位相を、π/2だけ進ませたものに対して係数を掛けたものである。式(12)を用いて式(11)を表現すると、式(15)に示すように、式(11)の右辺の第2項は、第1組のリプル成分R1の磁極位置θの位相を、πだけ進ませたものに対して係数を掛けたものであり、第3項は、第2組のリプル成分R2の磁極位置θの位相を、πだけ進ませたものに対して係数を掛けたものである。
Figure 2022067713000017
Figure 2022067713000018
<リプル成分R1、R2の相互打ち消しのための、傾き角度θtの設定>
式(14)及び式(15)より、第1組のリプル成分R1の正負の符号と、第2組のリプル成分R2の正負の符号と、が互いに異なれば、互いに打ち消し合わせることができ、d軸及びq軸の和電流の検出誤差を低減できることがわかる。R1及びR2の値は、式(12)及び式(13)より、各組の各相のロータ磁束密度の検出成分Bsにより変化し、Bsの値は、式(9)より、各組の各相の磁気センサの磁束検出方向DSの傾き角度θtにより変化する。
そこで、本実施の形態では、第1組のリプル成分R1の正負の符号と、第2組のリプル成分R2の正負の符号と、が互いに異なるように、径直交平面Porに対する各組の各相の磁気センサの磁束検出方向DSの傾き角度θtが設定されている。
この構成によれば、第1組のリプル成分R1と第2組のリプル成分R2とを互いに打ち消し合わせ、ロータの磁束によるd軸及びq軸の和電流の検出誤差を低減することができる。そして、式(6)を用いて説明したように、d軸及びq軸の和電流の検出誤差の低減により、出力トルクの制御精度を向上させることができる。
<和電流の検出誤差が低減する例>
式(16)に示すように、各磁気センサの傾き角度θtを設定すれば、式(17)が成り立つので、d軸及びq軸の和電流の検出値は、式(18)及び式(19)で表せる。この例では、組間で傾き角度θt及び電流の検出誤差成分δが正負の反転値に設定される組合せは、U2相の傾き角度θt12及びU1相の傾き角度θt11、V2相の傾き角度θt22及びV1相の傾き角度θt21、W2相の傾き角度θt32及びW1相の傾き角度θt31である。図2からわかるように、これらの組合せは、組間で電機子巻線の位相差(電流の位相差)が最も小さくなる第1組の相と第2組の相とが組み合わされており、位相差は、π/6である。
Figure 2022067713000019
Figure 2022067713000020
Figure 2022067713000021
Figure 2022067713000022
式(18)及び式(19)を、式(7)及び式(8)と比較すると、第1組の電機子巻線のd軸及びq軸の和電流の検出誤差成分の振幅が、2sin(π/12)=(√6-√2)/2≒0.517倍に低減する。π/12は、組間の電機子巻線の位相差π/6の半分である。
<和電流の検出誤差が悪化する比較例>
逆に、d軸及びq軸の和電流の検出誤差成分の振幅が増加する比較例を示す。式(20)に示すように、各磁気センサの傾き角度θtを設定すれば、式(21)が成り立つので、d軸及びq軸の和電流の検出値は、式(22)及び式(23)で表せる。この例では、組間で傾き角度θt及び電流の検出誤差成分δが正負の反転値に設定される組合せは、U2相の傾き角度θt12及びV1相の傾き角度θt21、V2相の傾き角度θt22及びW1相の傾き角度θt31、W2相の傾き角度θt32及びU1相の傾き角度θt11である。図2からわかるように、これらの組合せは、組間で電機子巻線の位相差(電流の位相差)が2番目に小さくなる第1組の相と第2組の相とが組み合わされており、位相差は、π/2である。
Figure 2022067713000023
Figure 2022067713000024
Figure 2022067713000025
Figure 2022067713000026
式(22)及び式(23)を、式(7)及び式(8)と比較すると、第1組の電機子巻線のd軸及びq軸の和電流の検出誤差成分の振幅が、2sin(5π/12)=(√6+√2)/2≒1.931倍に増加する。5π/12は、組間の電機子巻線の位相差π/6と相間の電機子巻線の位相差2π/3との和の半分である。
<和電流の検出誤差を低減する設定方法>
上述した2つの例から、第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との間で、電流の位相差(又は電機子巻線の位置の電気角での位相差)が最も小さくなる第1組の相と第2組の相との組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号と、第2組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号とが、互いに異なるように、各組の各相の磁気センサの傾き角度θtが設定されているとよい。
なお、式(9)に示すように、ロータ磁束密度の検出成分Bsは、ロータの磁束による電流の検出誤差成分δに比例する。また、磁気センサの傾き角度θtの正負の符号を異ならせれば、ロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号を異ならせることができる。
この構成によれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が小さくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとは、互いに正負の符号が異なり、互いに打ち消し合う。よって、d軸及びq軸の和電流の検出誤差を低減させることができ、出力トルクの制御精度を向上させることができる。
更に、上述した例のように、組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの絶対値と第2組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの絶対値とが、互いに同じになるように、各組の各相の磁気センサの傾き角度θtが設定されているとよい。
この構成によれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が小さくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとを互いに打ち消し合わせる効果を高めることができる。
本実施の形態では、第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、Δθ=-π/6である。しかし、第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、次式の範囲であれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が小さくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとを互いに打ち消し合わせる効果を得ることができる。
Figure 2022067713000027
第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、次式の範囲であれば、打ち消し合わせ効果が高められ、更に好適である。
Figure 2022067713000028
<位相差Δθ=0の場合>
図10に示すように、第1組の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1の位置に対する第2組の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2の位置の電気角での位相差Δθ(電流の位相差も同様)が、0に設定されている場合(Δθ=0)を説明する。
この場合は、d軸及びq軸の和電流の検出値は、式(26)および式(27)で表現できる。
Figure 2022067713000029
Figure 2022067713000030
式(26)及び式(27)のように、第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との間で、電流の位相差が0になる第1組の相と第2組の相との組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsと第2組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsとの間で、正負の符号が互いに異なり、絶対値が互いに同じになるように、各組の各相の磁気センサの傾き角度θtが設定されていれば最も好適である。
このように設定すると、次式に示すように、第1組の電流の検出誤差成分δと第2組の電流の検出誤差成分δとを完全に打ち消し合わせることができ、d軸及びq軸の和電流の検出誤差の成分が0になる。よって、出力トルクの制御精度を最も高めることができる。
Figure 2022067713000031
このとき、次式に示すように、第1組のリプル成分R1と第2組のリプル成分R2との合計値が0になる。
Figure 2022067713000032
<異常判定>
理想的に、式(16)及び式(17)のように設定されていれば、式(5)から、次式に示すように、各組の各相の電流の検出誤差成分δは互いに完全に打ち消され、第1組の3相の電流検出値の和と、第2組の3相の電流検出値の和との合計値は、0になる。
Figure 2022067713000033
一方、各組の各相の電流の検出誤差成分δが互いに完全に打ち消されないように、各組の各相の磁気センサが配置された場合は、合計値は0からオフセットした所定値になる。
そこで、電機子電流検出部32は、次式に示すように、第1組の3相の電機子巻線の電流検出値の和と第2組の3相の電機子巻線の電流検出値の和との合計値が、予め設定された判定範囲を超えたときに、異常が生じたと判定する。
Figure 2022067713000034
電機子電流検出部32は、式(31)が成り立っている場合は、正常と判定し、式(31)が成り立っていない場合は、異常と判定する。ここで、判定下限値isum_min及び判定上限値isum_maxは、磁気センサの温度特性及び経年変化等のバラツキ要因による変動幅を考慮して、予め設定されている。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る電流検出装置について図面を参照して説明する。実施の形態1と同様に、電流検出装置は、交流回転機1及び制御装置10に組み込まれている。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転機1及び制御装置10の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との間の位相差Δθが実施の形態1と異なり、それに伴って、各磁気センサの傾き角度θtの設定が実施の形態1と異なっている。
本実施の形態では、図11に示すように、第1組の3相の電機子巻線Cu1、Cv1、Cw1の位置に対する第2組の3相の電機子巻線Cu2、Cv2、Cw2の位置の電気角での位相差Δθは、Δθ=-π/3(-60度)に設定されている。
そのため、本実施の形態では、式(1)から式(4)における第1組の座標変換と第2組の座標変換との間には、位相差π/3が設けられる(数式は、省略)。また、各組の各相の磁気センサMSにより検出される各組の各相の電流検出値iu1s~iw2sは、次式で表される。第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθは、Δθ=-π/3になる。
Figure 2022067713000035
この場合は、d軸及びq軸の和電流の検出値は、式(33)及び式(34)で表現できる。
Figure 2022067713000036
Figure 2022067713000037
したがって、各検出誤差成分δを、式(35)を満たすように設定することで、第1組の電流の検出誤差成分δと第2組の電流の検出誤差成分δとを完全に打ち消し合わせることができ、式(36)に示すように、d軸及びq軸の和電流の検出値に含まれる電気角1次の誤差成分を0にすることができる。
Figure 2022067713000038
Figure 2022067713000039
式(35)を満たすために、例えば、式(37)を満たすように、各磁気センサの傾き角度θtを設定すればよい。
Figure 2022067713000040
式(35)及び式(37)において、組間で検出誤差成分δ及び傾き角度θtが対応する組合せは、U2相とW1相、V2相とU1相、W2相とV1相に設定されており、図11に示すように、組間で位相差が最も大きくなる第1組の相と第2組の相の組合せである。
よって、第1組の電機子巻線と第2組の電機子巻線との間で、電流の位相差(又は電機子巻線の位置の位相差)が最も大きくなる第1組の相と第2組の相との組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号と、第2組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号とが、互いに同じになるように、各組の各相の磁気センサの傾き角度θtが設定されているとよい。
なお、式(9)に示すように、ロータ磁束密度の検出成分Bsは、ロータの磁束による電流の検出誤差成分δに比例する。また、磁気センサの傾き角度θtの正負の符号を同じにすれば、ロータ磁束密度の検出成分Bsの正負の符号を同じにすることができる。
この構成によれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が大きくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとは、互いに正負の符号が異なり、互いに打ち消し合う。よって、d軸及びq軸の和電流の検出誤差を低減させることができ、出力トルクの制御精度を向上させることができる。
更に、上述した例のように、組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsと第2組の相の磁気センサによるロータ磁束密度の検出成分Bsとが、互いに同じになるように、各組の各相の磁気センサの傾き角度θtが設定されているとよい。
この構成によれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が大きくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとを互いに打ち消し合わせる効果を高めることができる。
本実施の形態では、第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、Δθ=-π/3である。しかし、第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、次式の範囲であれば、d軸電流及びq軸電流に変換された状態において、組間で最も位相差が大きくなる第1相の電流の検出誤差成分δと第2相の電流の検出誤差成分δとを互いに打ち消し合わせる効果を得ることができる。
Figure 2022067713000041
第1組の電機子巻線の電流に対する第2組の電機子巻線の電流の位相差Δθ(巻線位置の電気角での位相差も同様)は、次式の範囲であれば、打ち消し合わせ効果が高められ、更に好適である。
Figure 2022067713000042
なお、各磁気センサMSは、各組のインバータにおける正極側のスイッチング素子と負極側のスイッチング素子の各相の直列回路が備える接続線に対向配置され、各組のインバータが、ロータから放射された径方向の磁束が交差する場所に配置されてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 交流回転機、4 界磁巻線、14 ロータ、18 ステータ、Bs ロータ磁束密度の検出成分、C 軸心、DS 磁束検出方向、MS 磁気センサ、Por 径直交平面、R1 第1組のリプル成分、R2 第2組のリプル成分、WR 接続線、X1 軸方向の一方側、θt 径直交平面に対する磁束検出方向の傾き角度、Δθ 位相差

Claims (12)

  1. ロータと、第1組のn相の電機子巻線及び第2組のn相の電機子巻線(nは、3以上の整数)を設けたステータとを有する交流回転機において、各組の各相の電機子巻線に電流を供給する各組の各相の接続線に対向配置された各組の各相の磁気センサの出力信号に基づいて、各組の各相の電機子巻線に流れる電流を検出する電流検出装置であって、
    各組の各相の前記磁気センサは、前記ロータから径方向に放射状に放射される磁束が交差する位置に配置され、
    前記第1組のn相の電機子巻線において、第1組の第k相の電機子巻線に対する電気角での前記ロータの磁極の位相をθek1とし、第1組の第k相の前記磁気センサにより検出される前記ロータの磁束密度の成分であるロータ磁束密度の検出成分をBsk1としたとき、第1組のリプル成分であるR1を、
    Figure 2022067713000043
    とし、
    前記第2組のn相の電機子巻線において、第2組の第h相の電機子巻線に対する電気角での前記ロータの磁極の位相をθeh2とし、第2組の第h相の前記磁気センサにより検出される前記ロータの磁束密度の成分であるロータ磁束密度の検出成分をBsh2としたとき、第2組のリプル成分であるR2を、
    Figure 2022067713000044
    としたとき、
    前記第1組のリプル成分の正負の符号と、前記第2組のリプル成分の正負の符号とが、互いに異なるように、各前記磁気センサを通る径方向に直交する平面である径直交平面に対する各組の各相の前記磁気センサの磁束検出方向の傾き角度が設定されている電流検出装置。
  2. 前記第1組のリプル成分と前記第2組のリプル成分との合計値が、零になるように、各組の各相の前記磁気センサの前記傾き角度が設定されている請求項1に記載の電流検出装置。
  3. 前記第1組のn相の電機子巻線の電流に対する前記第2組のn相の電機子巻線の電流の位相差であるΔθは、-π/3<Δθ<π/3の範囲内であり、
    前記第1組のn相の電機子巻線と前記第2組のn相の電機子巻線との間で、電流の位相差が最も小さくなる第1組の相と第2組の相との組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の正負の符号と、第2組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の正負の符号とが、互いに異なるように、各組の各相の前記磁気センサの前記傾き角度が設定されている請求項1又は2に記載の電流検出装置。
  4. 前記組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の絶対値と第2組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の絶対値とが、互いに同じになるように、各組の各相の前記磁気センサの前記傾き角度が設定されている請求項3に記載の電流検出装置。
  5. 前記Δθは、-π/6≦Δθ≦π/6の範囲内である請求項3又は4に記載の電流検出装置。
  6. 前記第1組のn相の電機子巻線の電流に対する前記第2組のn相の電機子巻線の電流の位相差であるΔθは、-2π/3<Δθ<0の範囲内であり、
    前記第1組のn相の電機子巻線と前記第2組のn相の電機子巻線との間で、電流の位相差が最も大きくなる第1組の相と第2組の相との組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の正負の符号と、第2組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分の正負の符号とが、互いに同じになるように、各組の各相の前記磁気センサの前記傾き角度が設定されている請求項1又は2に記載の電流検出装置。
  7. 前記組み合わせのそれぞれにおいて、第1組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分と第2組の相の前記磁気センサによる前記ロータ磁束密度の検出成分とが、互いに同じになるように、各組の各相の前記磁気センサの前記傾き角度が設定されている請求項6に記載の電流検出装置。
  8. 前記Δθは、-π/2≦Δθ≦-π/6の範囲内である請求項6又は7に記載の電流検出装置。
  9. 各組の各相の前記磁気センサは、軸心を中心とした同一円上に配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載の電流検出装置。
  10. 前記第1組のn相の電機子巻線の電流検出値の和と前記第2組のn相の電機子巻線の電流検出値の和との合計値が、予め設定された判定範囲を超えたときに、異常が生じたと判定する請求項1から9のいずれか一項に記載の電流検出装置。
  11. 前記ロータには、界磁巻線が設けられている請求項1から10のいずれか一項に記載の電流検出装置。
  12. 前記ロータは、界磁巻線が軸心を中心とした同心円状に巻装された、ランデル型のロータであり、ロータの軸方向の一方側の部分は、N極又はS極になり、
    各組の各相の前記磁気センサは、ロータの軸方向の一方側に配置され、ロータの軸方向の一方側の部分から径方向に放射状に放射される磁束が交差する請求項1から11のいずれか一項に記載の電流検出装置。
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