JP2022065890A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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大輔 川戸
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Abstract

【課題】 成形性、接着性、ガスバリア性に優れた組成物を提供する。【解決手段】 (i)~(iii)を満たす接着剤(a)5~40重量部、(iv)~(v)を満たすビニルアルコール系樹脂(b)30~90重量部、ポリオレフィン(f)に(vi)~(vii)を満たす極性ポリマー(g)をグラフトしたポリマー(h)5~30重量部含む組成物。(i)ポリオレフィン(c)、(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)、並びに(c)と(d)がグラフトされた変性体(e)を含む溶融混練物の加水分解物(ii)エチレン含量が70~98mol%(iii)ケン化度が5~60mol%(iv)エチレン含量が55mol%以下(v)ケン化度が70mol%以上(vi)Fedors法により算出した溶解度因子が10.0~20.0(vii)オレフィン・ビニルエステル共重合体及びその加水分解物を除く【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤を含む樹脂組成物及びこの樹脂組成物を含む層を少なくとも1層含む成形体に関するものである。
食品や飲料、医薬品などの熱可塑性樹脂を素材とした包装材料は、内容物劣化の防止を目的として、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性などに優れるエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略すことがある)が、種々の用途で使用されている。しかしながらEVOHは引張破断伸びが小さく機械物性に劣るため、各種成形体への適用は実用的ではなかった。
このような中、機械物性や成形性の改良として、EVOHとポリエチレン系樹脂と酸変性ポリオレフィンを配合した樹脂組成物(例えば、特許文献1参照。)やEVOHとポリオレフィンとエチレン・酢酸ビニル共重合体加水分解物を配合した樹脂組成物(例えば、特許文献2~3参照)を用いる方法が提案されている。
しかし、前者ではEVOHと酸変性ポリオレフィンがゲル化し増粘するため、成形性の改良効果が十分ではなく、フィッシュアイなどの影響で外観も不良であった。また、後者ではEVOHとポリオレフィンとの相溶性が不十分であり機械物性の改良効果が十分ではなかった。
また、エチレン系樹脂、そのエチレン系樹脂よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体、並びにエチレン系樹脂とエチレン・ビニルエステル共重合体がグラフトされた変性体を含む溶融混練物の加水分解物とEVOHとを混合した樹脂組成物(例えば、特許文献4~5参照)を用いる方法が提案されている。
しかし、これらの樹脂組成物では機械物性、成形性は優れるものの、多層フィルムに成形した時の層間接着強度や射出成形体に成形した際の胴部材とのヒートシール強度に関してはさらなる改良が求められていた。
このような背景から、種々の成形が可能で、且つ優れた接着性とガスバリア性を示す樹脂組成物が望まれていた。
特開2007-161881号公報 特開2000-248128号公報 特開2001-200124号公報 特開2018-145401号公報 特開2020-37604号公報
本発明は、接着性とガスバリア性を示す樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いて成形された成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物が種々の成形が可能であり、かつ、得られた成形体が優れた接着性とガスバリア性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも(i)~(iii)を満たす接着剤(a)を5重量部以上40重量部以下、(iv)~(v)を満たすビニルアルコール系樹脂(b)を30重量部以上90重量部以下、ポリオレフィン(f)に(vi)~(vii)を満たす極性ポリマー(g)をグラフト共重合したグラフトポリマー(h)を5重量部以上30重量部以下((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)含むことを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
(i)ポリオレフィン(c)、ポリオレフィン(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)、並びに(c)と(d)がグラフトされた変性体(e)を含む溶融混練物の加水分解物
(ii)エチレン含量が70mol%以上98mol%以下
(iii)ケン化度が5mol%以上60mol%以下
(iv)エチレン含量が55mol%以下
(v)ケン化度が70mol%以上
(vi)Fedors法により算出した溶解度因子が10.0以上20.0以下
(vii)オレフィン・ビニルエステル共重合体及びその加水分解物を除く
本発明によれば、成形性に優れ種々の成形が可能であり、成形体として用いることで優れた接着性及びガスバリア性を示す樹脂組成物を提供することができる。
以下に本発明の一態様である樹脂組成物を詳細に説明する。
本発明は、前記接着剤(a)を5重量部以上40重量部以下、前記ビニルアルコール系樹脂(b)を30重量部以上90重量部以下、前記グラフトポリマー(h)を5重量部以上30重量部以下((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)含む樹脂組成物である。
本発明を構成する接着剤(a)は、ポリオレフィン(c)と、ポリオレフィン(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多いエチレン・ビニルエステル共重合体(d)と、(c)と(d)がグラフトされた変性体(e)を含む溶融混練物をさらに加水分解したものである加水分解物である。
本発明における接着剤(a)を構成するポリオレフィン(c)としては、特に限定はなく、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどの炭素数2~12のα-オレフィンの単独重合体若しくはこれらの共重合体、エチレンとビニルエステル及び/又はアクリル酸エステルとの共重合体などが挙げられる。
例えば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのエチレン単独重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、ポリ1-ブテン、ポリ1-ヘキセン、ポリ4-メチル-1-ペンテン等が挙げられ、ポリオレフィン(c)は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。中でも、成形性及びコストの観点から高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、ポリプロピレンが好ましく、これらの組成物が成形性にも優れるため最も好ましい。ポリオレフィン(c)は、好ましくは高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体または高密度ポリエチレンからなる群の少なくとも1種であるが、エチレン・酢酸ビニル共重合体である場合は、そのビニルエステル含量は8mol%以下である。
高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、高圧ラジカル重合を例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができ、例えば東ソー株式会社からペトロセンの商品名で市販されている。高密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテン共重合体及びエチレン・1-へキセン共重合体の製造方法は特に限定するものではないが、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができる。例えば東ソー株式会社からニポロンハード、ニポロン-L、ニポロン-Z、ルミタックの商品名で各々市販されている。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の製造方法は、製造方法は限定されないが、高圧法ラジカル重合、溶液重合やラテックス重合等の公知の製造方法が挙げられ、このような樹脂は市販品の中から便宜選択することができ、エチレン・酢酸ビニル共重合体として、東ソー株式会社からウルトラセンの商品名で、ランクセス株式会社からレバプレン、レバメルトの商品名で各々市販されている。
本発明における接着剤(a)を構成するエチレン・ビニルエステル共重合体(d)としては、ポリオレフィン(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多いものである。
このようなエチレン・ビニルエステル共重合体(d)に用いられるビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。中でも、コストの観点からエチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
また、ビニルアルコール系樹脂(b)との相溶性の観点からビニルエステル含量が10mol%以上であることが好ましく、より好ましくは15mol%以上60mol%以下であり、最も好ましくは15mol%以上40mol%以下の範囲である。
本発明における接着剤(a)を構成するポリオレフィン(c)、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)の配合比は、本発明の目的が達成させる限り特に限定はなく、ガスバリア性向上の観点から、ポリオレフィン(c)が5~95重量部及びエチレン・ビニルエステル共重合体(d)が5~95重量部((c)及び(d)の合計は100重量部)を含むものが好ましく、より好ましくはポリオレフィン(c)が15~85重量部及びエチレン・ビニルエステル共重合体(d)が15~85重量部((c)及び(d)の合計は100重量部)、最も好ましくはポリオレフィン(c)が20~60重量部及びエチレン・ビニルエステル共重合体(d)が40~80重量部((c)及び(d)の合計は100重量部)を含むものである。
また、本発明における接着剤(a)の構成成分として、ポリオレフィン(c)(以下、成分(c)と略すことがある)とエチレン・ビニルエステル共重合体(d)(以下、成分(d)と略すことがある)の相溶化剤(j)(以下、成分(j)と略すことがある)を含んでいてもよい。成分(j)としては、例えばエチレン・ビニルエステル共重合体が挙げられ、相溶化剤(j)のビニルエステル含量が成分(c)よりも高く、且つ成分(d)よりもビニルエステル含量が低い、エチレン・ビニルエステル共重合体が好ましい。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。中でも、経済性に優れることから、エチレン・酢酸ビニル共重合体を使用することが好ましく、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。なかでも、成分(c)及び成分(d)の分散性が向上し、脂組成物のガスバリア性が向上することから、2種以上の相溶化剤(j)、さらには3種以上の相溶化剤(j)を併用することが好ましい。
相溶化剤(j)として、エチレン・ビニルエステル共重合体を用いる場合のビニルエステル含量は、相溶化剤(j)と成分(c)及び/又は成分(d)とのビニルエステル含量差が1~40重量%であるエチレン・ビニルエステル共重合体が好ましく、さらに好ましくはビニルエステル含量差が1~30重量%であるエチレン・ビニルエステル共重合体、最も好ましくはビニルエステル含量差が1~20重量%であるエチレン・ビニルエステル共重合体である。
また相溶化剤(j)として2種以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を用いる場合、各々のビニルエステル含量差は、1~20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1~15重量%、最も好ましくは1~10重量%の範囲である。
相溶化剤(j)として、2種以上のエチレン・ビニルエステル共重合体を用いる場合、各エチレン・ビニルエステル共重合体のビニルエステル含量はそれぞれ異なるものである。
また本発明における相溶化剤(j)のエチレン・ビニルエステル共重合体の製造方法は限定されないが、高圧法ラジカル重合、溶液重合やラテックス重合等の公知の製造方法が挙げられ、このような樹脂は市販品の中から便宜選択することができ、エチレン・酢酸ビニル共重合体として、東ソー株式会社からウルトラセンの商品名で、ランクセス株式会社からレバプレン、レバメルトの商品名で各々市販されている。
相溶化剤(j)を含む場合の該接着剤の好適な配合比は、ガスバリア性及び接着性向上の観点から、成分(c)が4~95重量部、成分(d)が4~95重量部及び成分(j)が1~50重量部((c)、(d)及び(j)の合計は100重量部)を含むものであり、さらに好ましくは成分(c)が15~90重量部及び成分(d)が5~75重量部及び成分(j)が5~45重量部((c)、(d)及び(j)の合計は100重量部)を含むものであり、最も好ましくは成分(c)が15~80重量部及び成分(d)が15~50重量部及び成分(j)が5~40重量部((c)、(d)及び(j)の合計は100重量部)を含むものである。
本発明における接着剤(a)を構成するポリオレフィン(c)とエチレン・ビニルエステル共重合体(d)がグラフトされた変性体(e)のグラフト変性方法としては、グラフト変性できるものであれば特に限定されず、反応性などを考慮して適宜選択され、成分(c)にエチレン及びビニルエステルをグラフト共重合する方法、成分(d)にエチレン単独、若しくはエチレンとα-オレフィンをグラフト共重合する方法、成分(c)と成分(d)を予め重合し、これらを架橋剤(k)によりグラフト変性する方法が挙げられるが、生産性の観点から上記成分(c)、成分(d)を架橋剤(k)によりグラフト変性する方法が好ましい。このような架橋剤(k)として有機過酸化物を使用することが最も好ましい。
架橋剤(k)の有機過酸化物としては本発明の目的が達成される限り特に限定されず、例えば、ジクミルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1、1ージ(tーブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ジイソプロピルベンゼン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げることができる。これらは単独で或いは2種類以上を混合して使用することができる。
なかでも、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1、1ージ(tーブチルペルオキシ)シクロヘキサン等が反応性の観点から好ましい。また、前記架橋剤(k)と共に、必要に応じて、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の架橋助剤を用いてもよい。
ポリオレフィン(c)及びエチレン・ビニルエステル共重合体(d)合計100重量部に対する架橋剤(k)の配合量は、0.005~1重量部の範囲が樹脂組成物のガスバリア性、成形性の観点で好ましい。相溶化剤(j)を含む場合は、(c)、(d)及び(j)の合計100重量部に対する架橋剤(k)の配合量は、0.005~1重量部の範囲が樹脂組成物のガスバリア性、成形性の観点で好ましい。
ポリオレフィン(c)、成分(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)、並びに成分(c)と成分(d)がグラフトされた変性体(e)を含む溶融混練物の製造プロセスの具体例は次のとおりである。なお、相溶化剤(j)を含む場合も同様である。
成分(c)、成分(d)、相溶化剤(j)、架橋剤(k)のドライブレンド物を、押出機のホッパーに投入する。成分(c)、成分(d)、相溶化剤(j)及び架橋剤(k)の少なくとも一部をサイドフィーダー等から添加してもよい。さらに、二台以上の押出機を使用し、段階的に順次溶融混練してもよい。前記成分(c)、成分(d)、相溶化剤(j)、架橋剤(k)の混合には、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどを使用してもよい。
また、本発明における接着剤(a)は、上記した成分以外に、必要に応じて架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常熱可塑性樹脂に使用される添加剤や他のポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を添加したものでもかまわない。
本発明における接着剤(a)を構成する前記成分(c)、成分(d)、相溶化剤(j)、架橋剤(k)を含む溶融混練物の加水分解の処理方法は特に限定されないが、生産性の観点から上記樹脂組成物のペレット又はパウダーをアルカリ中で直接加水分解処理するのが好ましい。
また、本発明の接着剤(a)のビニルエステル成分のケン化度は、ガスバリア性に優れることから5mol%以上60mol%以下であり、より好ましくは10mol%以上60mol%以下、最も好ましくは20mol%以上50mol%以下である。
本発明における接着剤(a)のエチレン含量は、接着性に優れることから、70mol%以上98mol%以下であり、より好ましくは80mol%以上95mol%以下、最も好ましくは85mol%以上95mol%以下の範囲である。
また、接着剤(a)における加水分解後のビニルアルコール含量とビニルエステル含量は、ビニルアルコール系樹脂(b)との相溶性の観点から、ビニルアルコール含量は0.5mol%以上40mol%以下かつビニルエステル含量は30mol%以下であり、好ましくはビニルアルコール含量は0.5mol%以上35mol%以下かつビニルエステル含量は28mol%以下、最も好ましくは、ビニルアルコール含量は1mol%以上35mol%以下かつビニルエステル含量は26mol%以下である。ここでビニルエステル含量にはケン化部分は含まないものとする。
本発明における接着剤(a)は、ペレットやパウダーなどの任意の形態にしておいて使用することができる。
また本発明における接着剤(a)は、ポリオレフィン(c)、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)を含む樹脂が分散してなる接着剤であることが好ましい。
本発明におけるビニルアルコール系樹脂(b)としては、主としてビニルアルコール単位からなる重合体であるポリビニルアルコール、又はエチレン単位とビニルアルコール単位とからなる共重合体であるEVOHである。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明において使用されるビニルアルコール系樹脂(b)としては、特に限定されることはなく、例えば、成形用途で使用されるような公知のものを挙げることができる。
ビニルアルコール系樹脂(b)のエチレン単位の含有量は、ガスバリア性に優れることから、55mol%以下であり、10~55mol%のものがより好ましい。
ビニルアルコール系樹脂(b)のケン化度は、ガスバリア性に優れることから、70mol%以上である。
ビニルアルコール系樹脂(b)の製造方法としては、特に限定はなく、例えば、公知の方法にしたがって、脂肪酸ビニルエステルの重合体、若しくはエチレンと脂肪酸ビニルエステルとの共重合体を製造し、次いで、これを加水分解することによってポリビニルアルコール若しくはEVOHを製造することができる。
このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができ、例えばポリビニルアルコールとしてクラレ(株)からポバール、三菱ケミカル(株)からゴーセノールが、またEVOHとしてクラレ(株)からエバール、三菱ケミカル(株)からソアノールの商品名で各々市販されている。
またEVOHは、エチレン単位及びビニルアルコール単位に加えて、少量であれば他の構成単位を有していてもよい。
ビニルアルコール系樹脂(b)のメルトマスフローレート(温度190℃、荷重2.16kg)は、成形性の点から、0.1~100g/10分であることが好ましく、0.5~50g/10分であることがより好ましく、1~20g/10分であることが最も好ましい。
本発明を構成するグラフトポリマー(h)としては、ポリオレフィン(f)を幹ポリマーとし、このポリオレフィン(f)に極性ポリマー(g)が枝ポリマーとしてグラフト共重合されたポリマーである。
本発明におけるグラフトポリマー(h)を構成するポリオレフィン(f)は特に限定はなく、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどの炭素数2~12のα-オレフィンの単独重合体若しくはこれらの共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体加水分解物、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。また、これらのエチレン系樹脂は無水マレイン酸や塩素などの極性基で変性されたものや無水マレイン酸などと共重合されたものでもよい。
本発明におけるグラフトポリマー(h)を構成する極性ポリマー(g)としては、オレフィン・ビニルエステル共重合体及びその加水分解物を除く極性ポリマーである。
本発明におけるグラフトポリマー(h)を構成する極性ポリマー(g)のFedors法により算出した溶解度因子(以下SP値と略す)は、接着性に優れることから、10.0以上20.0以下の範囲であり、好ましくは10.0以上15.0以下の範囲である。
このようなSP値の算出手法については、(株)高分子刊行会発行「接着の基礎理論」(第1版、1993年3月21日発行、著者井本稔、P89~P93)に記載されている。
このような極性ポリマー(g)としては特に限定はなく、ポリアミド6(SP値11.2)、ポリアミド11(SP値10.1)、ポリアミド66(SP値14.4)、ポリ酢酸ビニル(SP値10.6)、ポリビニルアルコール(SP値19.1)、ポリアクリル酸(SP値14.0)、ポリメタクリル酸(SP値12.5)などが挙げられる。
ポリオレフィン(f)に極性ポリマー(g)をグラフト共重合する手法については特に限定はなく、従来公知の手法を用いることができる。例えば、過酸化物などを用いてポリオレフィン(f)にラジカル種を発生させ直接極性ポリマー(f)を重合する手法、エチレン・ビニルエステル共重合体加水分解物の水酸基やエチレン・アクリル酸共重合体中のカルボキシル基、変性した無水マレイン酸基を開始点として極性ポリマー(f)を重合する手法、前記極性基とあらかじめ重合した極性ポリマー(f)の末端官能基を縮合する手法などが例示される。
このようなグラフトポリマー(h)は市販品の中から便宜選択することができ、例えばポリエチレンにポリアミド6をグラフト共重合したグラフトポリマーとしてアルケマ(株)からアポリヤLPグレード、ポリエチレンにポリアミド11をグラフト共重合したグラフトポリマーとしてアルケマ(株)からアポリヤLBグレード、ポリエチレンやポリプロピレンにポリアクリル酸をグラフト共重合したグラフトポリマーとしてアディバントジャパン合同会社からポリボンドの商品名で各々市販されている。
本発明の樹脂組成物を構成する接着剤(a)、ビニルアルコール系樹脂(b)及びグラフトポリマー(h)の好適な配合比は、ガスバリア性向上や成形性の観点から、接着剤(a)が5~40重量部、ビニルアルコール系樹脂(b)が30~90重量部、グラフトポリマー(h)が5重量部~30重量部((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)を含むものであり、より好ましくは接着剤(a)が10~30重量部、ビニルアルコール系樹脂(b)が40~80重量部、グラフトポリマー(h)が10~30重量部((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)、最も好ましくは接着剤(a)が20~30重量部、ビニルアルコール系樹脂(b)が50~70重量部、グラフトポリマー(h)が10~20重量部((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)を含むものである。
また、コストの観点から、本発明の樹脂組成物にはさらに熱可塑性樹脂(m)を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂(m)を含む場合、接着剤(a)及びビニルアルコール系樹脂(b)に対する熱可塑性樹脂(m)の好適な配合比は、ガスバリア性向上や成形性の観点から、接着剤(a)、ビニルアルコール系樹脂(b)及びグラフトポリマー(h)の合計100重量部に対し5~100重量部が好ましく、より好ましくは10~60重量部、最も好ましくは20~50重量部である。
このような熱可塑性樹脂(m)としては、特に限定はなく、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド、ポリアセタール、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどが例示される。これらの中でポリオレフィンとスチレン系樹脂が好ましく、特にポリオレフィンが好ましい。
また、ポリオレフィン(c)と同じ熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリオレフィン(c)がエチレン系樹脂の場合は熱可塑性樹脂(m)もエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
このようなポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどの炭素数2~12のα-オレフィンの単独重合体若しくはこれらの共重合体、エチレンとビニルエステル及び/又はアクリル酸エステルとの共重合体などが挙げられる。
例えば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、ポリ1-ブテン、ポリ1-ヘキセン、ポリ4-メチル-1-ペンテン等が挙げられ、熱可塑性樹脂(m)は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。中でも、射出成形性、機械物性及びコストの観点から高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、ポリプロピレンが好ましく、これらの組成物が成形性にも優れるため最も好ましい。
高圧法低密度ポリエチレンの製造方法は、高圧ラジカル重合を例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができ、例えば東ソー株式会社からペトロセンの商品名で市販されている。高密度ポリエチレン、エチレン・1-ブテン共重合体及びエチレン・1-へキセン共重合体の製造方法は特に限定するものではないが、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができ、このような樹脂は、市販品の中から便宜選択することができる。例えば東ソー株式会社からニポロンハード、ニポロン-L、ニポロン-Z、ルミタックの商品名で各々市販されている。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の製造方法は、エチレン・酢酸ビニル共重合体の製造が可能であれば特に制限されるものではないが、公知の高圧ラジカル重合法やイオン重合法を例示することができる。高圧ラジカル重合法により製造されたエチレン・酢酸ビニル共重合体として、東ソー株式会社からウルトラセンの商品名で市販されている。
接着剤(a)、ビニルアルコール系樹脂(b)、グラフトポリマー(h)、熱可塑性樹脂(m)の溶融混練の方法は、各成分を均一に分散しうる溶融混練装置であれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダ-、回転ロール、ラボプラストミルなどの溶融混練装置が挙げられる。溶融温度はビニルアルコール系樹脂(b)若しくはグラフトポリマー(h)の融点~260℃程度が好ましい。
また本発明の樹脂組成物は、ペレットやパウダーなどの任意の形態にしておいて使用することができる。
以下に本発明の一態様である成形体を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は成形加工により得られる成形体にして使用することができる。
本発明の樹脂組成物の成形方法は特に限定はなく、通常の成形加工装置を用いて成形加工することができる。このような成形加工方法としては、例えば、押出成形、ブロー成形、シート成形、フィルム成形、押出ラミネート成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、真空成形、共押出成形などの任意の方法が挙げられ、シート状、フィルム状、パイプ状、ブロック状その他任意の形状に成形することができる。本発明の樹脂組成物を用いることで、本発明の樹脂組成物からなる成形体がガスバリア性に優れるだけでなく、他の素材と積層した際の接着性に優れる。好適には、フィルム状の成形体として用いることができる。
本発明の樹脂組成物は成形性に優れており、得られた成形体は、接着性及び酸素等に対するガスバリア性が高いものとなり、これらの性質が要求される食品や飲料、医薬品などの熱可塑性樹脂を素材とした包装材や容器などに好適に使用することができる。特に、その接着性、ガスバリア性の観点から、他の素材と貼り合わせ、本発明の樹脂組成物からなる成形体を備えた多層積層体形状で好適に使用することができる。積層体における成形体の配置は、中間層であってもよく、最外層であってもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)密度
密度は、JIS K6922-1(1997年)、若しくはJIS K6924-2(1997年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922-1(1997年)、若しくはJIS K6924-2(1997年)に準拠して測定した。
(3)酢酸ビニル含量
酢酸ビニル含量は、JIS K6924-2(1997年)に準拠して測定した。
(4)ケン化度
ケン化度は、JIS K6924-2(1999年)に準拠して測定したケン化前後の接着剤の酢酸ビニル含量を用いて計算した。
(5)酸素透過度
酸素透過度は、実施例により得られた射出成形体(幅100mm、長さ150mm、厚み670μm)を用いて、JIS K7126-2(2006年)に準拠して測定した酸素透過度(cc/m・24時間・atm)を、厚み600μmに換算して算出した。厚み600μm換算の酸素透過度(cc/m・24時間・atm)が50以上で×、50未満10以上で△、10未満5以上で○、5未満で◎とし、厚み600μm換算の酸素透過度(cc/m・24時間・atm)が50未満でガスバリア性が良好とした。
(6)ヒートシール強度
まず、ニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルE5100、厚み12μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した後、その接着剤塗布面に、MFRが7g/10分、密度が922kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名ペトロセン204、以下PEと記す場合がある)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機(ムサシノキカイ(株)製)に供給し、320℃の温度、100m/分の引き取り速度、130mmのエアギャップ長さで、PEの厚みが25μmとなるように押出し、PET、ポリウレタン系接着剤、PEの順に積層されてなるラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:タケラックA3210(15部)+タケネートA3072(5部)+酢酸エチル(140部)
タケラックA3210、タケネートA3072はいずれも三井化学ポリウレタン(株)製
接着剤厚み:0.2μm
次に、実施例により得られた射出成形体(幅100mm、長さ150mm、厚み670μm)および上記ラミネートフィルムをそれぞれ幅100mm、長さ100mmに切り出し、ラミネートフィルムのPE面と射出成形体を重ね、ヒートシール試験機TP-701B(テスター産業(株)製)を用いて設定温度160℃、片面加熱(ラミネートフィルム側)、エアー圧力0.2MPa、シール時間2秒間で幅10mm、長さ300mmのシールバーでヒートシールを行った。この試験片を15mm幅に切り出し、引張試験機テンシロンRTE-1210((株)オリエンテック製)を用いて引張速度300mm/分、剥離角度180°で剥離試験を行いヒートシール強度(N/15mm)を測定した。ヒートシール強度(N/15mm)が5.0未満で×、5.0以上5.5未満で〇、5.5以上で◎とし、ヒートシール強度(N/15mm)が5.0以上で接着性が良好とした。
以下に接着剤の製造方法を示す。
[接着剤A1の製造方法]
ポリオレフィン(C)として
MFRが14g/10分、密度が935kg/m、酢酸ビニル含量が15.0重量%(5.4mol%)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン625)を62.5重量部、
エチレン・ビニルエステル共重合体(D)として、
MFRが70g/10分、密度が968kg/m、酢酸ビニル含量が42.0重量%(19.1mol%)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン760)(D1)を25重量部、
相溶化剤(J)として、
MFRが20g/10分、密度が940kg/m、酢酸ビニル含量が20.0重量%(7.53mol%)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン633)を33.4重量部、
MFRが18g/10分、密度が949kg/m、酢酸ビニル含量が28.0重量%(11.2mol%)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン710)を33.3重量部、
MFRが30g/10分、密度が954kg/m、酢酸ビニル含量が32.0重量%(13.3mol%)であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名ウルトラセン750)を33.3重量部
からなる相溶化剤(J1、MFR22g/10分、密度948kg/m、酢酸ビニル含量26.7重量%(10.6mol%))を16.7重量部
及び有機過酸化物(日油(株)製、商品名パーヘキサC)(K1)を0.1重量部
の割合でドライブレンドし、二軸押出機TEX25αIII((株)日本製鋼所製)を用いて、樹脂温度190℃、回転数150rpm、吐出量10kg/時の条件で溶融混練し、ペレット状のサンプルを得た。続いて、本サンプルを7重量%の水酸化ナトリウムメタノール溶液中で45℃で加水分解処理を行い、ケン化度が30.0mol%、エチレン含量が91.3mol%、ビニルアルコール含量が2.6mol%、ビニルエステル含量が6.1mol%である接着剤(A1)を得た。
実施例1
接着剤(A)として接着剤(A1)を、ビニルアルコール系重合体(B)としてMFRが8.5g/10分、密度が1180kg/m、エチレン含量が35mol%、ケン化度が100mol%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体((株)クラレ製 商品名エバールC109B)(B1)を、グラフトポリマー(H)としてポリオレフィン(F)がポリエチレン、極性ポリマー(G)がポリアミド6(G1、SP値11.2)であり、ISO1133に準拠して測定した温度260℃、荷重2.16kgfにおけるMFRが10g/10分、ISO1183に準拠して測定した密度が990kg/mであるグラフトポリマー(アルケマ(株)製 商品名アポリヤLP21H)(H1)を、熱可塑性樹脂(M)としてMFRが8g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン203)(M1)を使用した。
まず、(A1)が35.8重量部、(B1)が57.1重量部、(H1)が7.1重量部、(M1)が42.9重量部となるようにドライブレンドし、二軸押出機を装着したラボプラストミル4C150((株)東洋精機製)を用いて、樹脂温度240℃、回転数100rpm、吐出量2.5kg/時の条件で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
次に、射出成形機MD100Xi2.7((株)宇部興産機械製)を用いて、樹脂温度240℃、射出圧100MPa 、金型温度50℃の条件下で得られた樹脂組成物を射出成形した。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。
実施例2
接着剤(A)として接着剤(A1)を28.6重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を57.1重量部、グラフトポリマー(H)としてグラフトポリマー(H1)を14.3重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を42.9重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。
実施例3
接着剤(A)として接着剤(A1)を14.3重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を57.1重量部、グラフトポリマー(H)としてグラフトポリマー(H1)を28.6重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を42.9重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。
実施例4
接着剤(A)として接着剤(A1)を25.0重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を62.5重量部、グラフトポリマー(H)としてグラフトポリマー(H1)を12.5重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を25.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。
実施例5
接着剤(A)として接着剤(A1)を22.2重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を66.7重量部、グラフトポリマー(H)としてグラフトポリマー(H1)を11.1重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を11.1重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
接着剤(A)として接着剤(A1)を42.9重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を57.1重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を42.9重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。接着性に劣っていた。
比較例2
接着剤(A)として接着剤(A1)を37.5重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を62.5重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を25.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。接着性に劣っていた。
比較例3
接着剤(A)として接着剤(A1)を33.3重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を66.7重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を11.1重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。接着性に劣っていた。
比較例4
接着剤(A)として接着剤(A1)を50.0重量部、ビニルアルコール系重合体(B)としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(B1)を50.0重量部、熱可塑性樹脂(M)として高圧法低密度ポリエチレン(M1)を66.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様の手法により樹脂組成物及び射出成形体を得た。得られた射出成形体を用いてヒートシール強度及び酸素透過度を評価した。結果を表1に示す。ガスバリア性に劣っていた。
Figure 2022065890000001
本発明の樹脂組成物は、接着性やガスバリア性が要求される成形体に用いることができ、特に、食品や飲料、医薬品などの包装材料に用いられる成形体に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも(i)~(iii)を満たす接着剤(a)を5重量部以上40重量部以下、(iv)~(v)を満たすビニルアルコール系樹脂(b)を30重量部以上90重量部以下、ポリオレフィン(f)に(vi)~(vii)を満たす極性ポリマー(g)をグラフト共重合したグラフトポリマー(h)を5重量部以上30重量部以下((a)、(b)および(h)の合計は100重量部)含むことを特徴とする樹脂組成物。
    (i)ポリオレフィン(c)、ポリオレフィン(c)よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体(d)、並びに(c)と(d)がグラフトされた変性体(e)を含む溶融混練物の加水分解物
    (ii)エチレン含量が70mol%以上98mol%以下
    (iii)ケン化度が5mol%以上60mol%以下
    (iv)エチレン含量が55mol%以下
    (v)ケン化度が70mol%以上
    (vi)Fedors法により算出した溶解度因子が10.0以上20.0以下
    (vii)オレフィン・ビニルエステル共重合体及びその加水分解物を除く
  2. 極性ポリマー(f)のFedors法により算出した溶解度因子が10.0以上15.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 極性ポリマー(f)がポリアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成形体。
  5. 請求項4に記載の成形体を備える多層積層体。
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