JP2022065322A - 不燃壁面シート、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 総発熱量が小さく、且つ損傷し難い不燃壁面シートを提供する。【解決手段】 厚み0.25mmを超え0.50mm未満に形成されたシート本体層2と、前記シート本体層2の表面に積層された意匠層3と、を有し、前記シート本体層2が、塩素化塩化ビニルを含む樹脂成分と、無機充填剤と、可塑剤と、を含み、輻射電気ヒーターからシート表面に50kW/m2の輻射熱を照射する発熱性試験における加熱開始後の20分間の総発熱量が7.2MJ/m2未満である。【選択図】 図2

Description

本発明は、建築物の壁面に施工される不燃壁面シート及びその製造方法に関する。
従来、火災の発生を防止したり、火災時の安全性を考慮して、不燃性能を有する内装材が知られている。不燃性能は、燃え難い性質をいうが、このような性質の指標の1つとして、例えば、次のような建築基準法に基づく条件を満たす性能が知られている。
すなわち、輻射電気ヒーターから材料の表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、(1)加熱開始後の20分間の総発熱量が8MJ/m以下であること、(2)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと、(3)加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないこと、という条件である。
この(1)乃至(3)は、平成12年に改正された建築基準法に基づいて評価方法が規定されており、(1)乃至(3)の性能を満たす内装材には、国土交通大臣の認可である不燃認可を受けることができる。以下、不燃性能のうち、前記(1)乃至(3)の条件を全て満たす性能を「不燃認可性能」という。
特許文献1には、前記のような不燃認可性能を有する不燃シートが開示されている。
具体的には、特許文献1には、不燃シート材がガラス繊維糸を経糸及び緯糸として製織してなるガラス繊維織物の少なくとも片面に樹脂層を設けており、不燃シート材の樹脂層が、樹脂量300~700g/mの軟質塩化ビニル樹脂層であり、不燃シート材全体の厚さが0.45mm以上であり、ガラス繊維織物の通気性が7cm×cm-×s-以下であり、ガラス繊維織物の経糸及び緯糸の密度合計が59本/25mm以上であり、経糸のガラス繊維糸及び緯糸のガラス繊維糸の両方ともが合撚糸であり、経糸及び緯糸の少なくとも何れか一方のガラス繊維糸が撚数3回/25mm以下で撚りを施した合撚糸である、建築材料用不燃シート材が開示されている。
特許文献1の不燃シート材は、特定の合撚糸からなり且つ密度合計が59本/25mm以上のガラス繊維織物であって、通気性が7cm×cm-×s-以下のガラス繊維織物の少なくとも片面に300~700g/mの軟質塩化ビニル樹脂層を設けることにより、火災で発生した炎・煙・有毒ガス等がガラス繊維織物を介して、ほとんど反対側に通過せず、非常に高い防火・防煙性を有する。
特開2003-276113号公報
ところで、不燃認可性能を有している不燃シートは、建築基準法に基づく、前述の(1)乃至(3)の条件を満たしているが、火災発生時を考慮すると、総発熱量がより小さいことが好ましい。
また、壁面に施工される壁面シートは、台車などが接触する可能性があるため、前記接触による抉れ(えぐれ)や穴あきを生じさせ難くすることも求められる。以下、抉れや穴あきを総称して「損傷」という。
特許文献1の不燃シートは、意匠性については何ら考慮されておらず、特許文献1の不燃シートに、意匠層を別途付加すると、総発熱量が増加し、さらに、多層構造化することから損傷し易くなる。
本発明の目的は、意匠性が付与された壁面シートであって、総発熱量が小さく且つ損傷し難い不燃壁面シート及びその製造方法を提供することである。
本発明の不燃壁面シートは、厚みが0.25mmを超え0.50mm未満に形成されたシート本体層と、前記シート本体層の表面に積層された意匠層と、を有し、前記シート本体層が、塩素化塩化ビニルを含む樹脂成分と、無機充填剤と、可塑剤と、を含み、輻射電気ヒーターからシート表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における加熱開始後の20分間の総発熱量が7.2MJ/m未満である。
本発明の好ましい不燃壁面シートは、前記シート本体層が、カレンダー成形シートからなる。
本発明の好ましい不燃壁面シートは、前記無機充填剤が、前記シート本体層全体を100重量%としたときに、40重量%~80重量%含まれている。
本発明の好ましい不燃壁面シートは、前記無機充填剤が、ホウ酸カルシウムを含み、
前記ホウ酸カルシウムが、前記無機充填剤全体を100重量%としたときに、0を超え80重量%以下含まれている。
本発明の好ましい不燃壁面シートは、前記可塑剤が、アジピン酸エステルを含み、
前記アジピン酸エステルが、前記可塑剤全体を100重量%としたときに、50重量%~100重量%含まれている。
本発明の別の局面によれば、上記不燃壁面シートの製造方法を提供する。
本発明の不燃壁面シートの製造方法は、樹脂成分と無機充填剤と可塑剤とを含む形成材料をカレンダー成形することにより、厚み0.25mmを超え0.50mm未満のシート本体層を形成する工程、前記シート本体層の表面に化粧を含む樹脂フィルムを積層することにより、前記シート本体層の表面に意匠層を形成する工程、を有する。
本発明の不燃壁面シートは、総発熱量が小さいので、不燃材として好適であり、さらに、損傷し難いので、壁面シートとして好適である。
本発明の不燃壁面シートの平面図。 第1実施形態に係る不燃壁面シートを図1のII-II線で切断した拡大断面図。 第2実施形態に係る不燃壁面シートの拡大断面図。 第3実施形態に係る不燃壁面シートの拡大断面図。 エンボス凹凸が形成された不燃壁面シートの要部拡大断面図。 不燃壁面シートの製造する過程を示す参考図。 不燃壁面シートの製造する過程を示す参考図。 実施例において、耐傷性試験の試験方法を説明した参考側面図。
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
[不燃壁面シートの概要]
図1は、第1実施形態の不燃壁面シート1の平面図である。
図1に示すように、不燃壁面シート1は、平面視長尺帯状に形成されている。本明細書において、長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の不燃壁面シート1は、通常、ロールに巻かれて保管・運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本発明の不燃壁面シート1は、長尺帯状のシートに限られず、平面視正方形状などの枚葉状に形成されていてもよい(図示せず)。
前記長尺帯状の不燃壁面シート1は、例えば、幅800mm~4000mmのような所定幅で所定長さに形成されたものであり、その長さは、例えば、2m~300mである。枚葉状に形成される不燃壁面シート1は、通常、平面視略矩形状であり、例えば、その縦横がそれぞれ100mm~4000mmである。もっとも、前記枚葉状の不燃壁面シート1は、平面視略三角形状、略六角形状などでもよく、その大きさや形状は特に限定されない。
不燃壁面シート1は、柔軟性を有する。その柔軟性の程度としては、例えば、標準状態下(23℃、1気圧、50%RH)で、不燃壁面シート1の裏面を直径10cmの芯材に接触させつつ、その不燃壁面シート1をその芯材の周囲にロール状に巻き付けることができる状態が挙げられる。不燃壁面シート1は、同様に、その不燃壁面シート1の表面側をその芯材に接触させつつロール状に巻き付けることができる。
不燃壁面シート1は、不燃認可性能を有する。すなわち、本発明の不燃壁面シート1は、輻射電気ヒーターからシート表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における加熱開始後の20分間の総発熱量が7.2MJ/m未満である(以下、この発熱性試験における加熱開始後の20分間の総発熱量を、単に「総発熱量」という)。さらに、本発明の不燃壁面シート1は、前記発熱性試験において、加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴が生じず、且つ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないという条件も満足する。
なお、壁面シートの総発熱量は、ISO5560-1に準じて測定した値をいう。
本発明の不燃壁面シート1は、シート本体層2と、意匠層3と、を有し、意匠層3は、前記シート本体層2の表面に積層されている。シート本体層2は、その厚みが0.25mmを超え0.50mm未満に形成されている。シート本体層2の厚みは、好ましくは、0.3mm~0.45mmであり、より好ましくは、0.35mm以上0.45mm未満である。このような厚みのシート本体層2を有する不燃壁面シート1は、総発熱量が7.2MJ/m未満となり、且つ損傷し難い。シート本体層2は、例えば、カレンダー成形シートから形成される。
本発明の不燃壁面シート1の全厚は、シート本体層2の厚みよりも少し大きく、例えば、0.30mm~0.65mmであり、好ましくは、0.35mm~0.60mmであり、より好ましくは、0.45mm~0.55mmである。
[不燃壁面シートの層構成]
図2は、図1のII-II線に沿って切断した拡大断面図であって、第1実施形態に係る不燃壁面シート1の層構成を示す拡大断面図である。
本発明の好ましい層構成では、不燃壁面シート1は、意匠層3と、シート本体層2と、ガラス繊維層4と、を有する。
図2に示す不燃壁面シート1は、最も好ましい層構成であり、表面側から順に、化粧を含む意匠層3と、シート本体層2と、ガラス繊維層4と、をこの順で有する。図2において、意匠層3とシート本体層2は、直接的に接合されている。意匠層3には、表面側から視認できるように所望の化粧(デザイン)が表されている。
意匠層3は、例えば、樹脂層31と、前記樹脂層31の表面又は/及び裏面に設けられた化粧層と、を有し、必要に応じて、最表面に透明な保護層33が設けられていることが好ましい。図2において、化粧層は図示せず(図3及び図4も同様)。この場合、意匠層3の樹脂層31の裏面とシート本体層2の表面が直接接合されている。また、シート本体層2とガラス繊維層4は、直接的に接合されていてもよいが、図2に示すように、接合樹脂5を介してシート本体層2とガラス繊維層4が接合されていることが好ましい。なお、図示例では、接合樹脂5が、ガラス繊維層4の表面側及び裏面側(シート本体層2に対する接合面側及びその接合面とは反対面側)に存在するが、接合樹脂5は、ガラス繊維層4の接合面側(図示例では表面側)に少なくとも設けられていればよい。接合樹脂5を介在させない場合には、ガラス繊維層4とシート本体層2が直接接合されるが、前述のように接合樹脂5を介在させることにより、ガラス繊維層4とシート本体層2を強く接合させることができ、ガラス繊維層4とシート本体層2の層間接着強度を向上させることができる。
なお、図2において、接合樹脂5を均一な層状で表しているが、実際には、ガラス繊維層4を構成するガラス繊維の周りに接合樹脂5が付着しており、接合樹脂5は図示のような均一な層状でシート本体層2とガラス繊維層4の間に介在しているわけでないことに留意されたい(図3乃至図5も同様)。
図3は、図1のII-II線と同様の箇所で切断した第2実施形態に係る不燃壁面シート1の層構成を示す拡大断面図であり、図4は、同様の箇所で切断した第3実施形態に係る不燃壁面シート1の層構成を示す拡大断面図である。
図3に示す不燃壁面シート1は、表面側から順に、化粧を含む意匠層3と、ガラス繊維層4を含むシート本体層2と、を有する。ガラス繊維層4は、前記シート本体層2の厚み方向中間部に埋設されている。図3において、意匠層3は、第1実施形態と同様に、樹脂層31と化粧層とを有し、好ましくは、さらに、透明な保護層33を有する。シート本体層2は、概念的には、ガラス繊維層4を挟んで第1シート層21と第2シート層22が一体化されたものからなる。ガラス繊維層4とシート本体層2(第1シート層21及び第2シート層22)は、直接的に接合されていてもよいが、層間接着強度を向上させるために、図2に示すように、接合樹脂5を介して第1シート層21及び第2シート層22とガラス繊維層4とが接合されていることが好ましい。
図3に示す層構成の場合、ガラス繊維層4は、シート本体層2の厚み方向中間部よりも下側に位置していることが好ましい。このようにガラス繊維層4がシート本体層2の厚み方向下寄りに埋設されていることにより、意匠層3とガラス繊維層4の距離が比較的大きくなる。このため、シート本体層2の腰が強くなり且つ剛性度も高くなり、損傷し難く且つ下地の不陸隠蔽性にも優れる不燃壁面シート1を提供できる。
図4に示す不燃壁面シート1は、表面側から順に、化粧を含む意匠層3と、ガラス繊維層4と、シート本体層2と、を有する。図4において、意匠層3は、第1実施形態と同様に、樹脂層31と化粧層とを有し、好ましくは、さらに、透明な保護層33を有する。意匠層3(例えば、意匠層3の樹脂層31)とガラス繊維層4は、直接的に接合されていてもよいが、意匠層3とガラス繊維層4の層間接着強度を向上させるために、図4に示すように、接合樹脂5を介して意匠層3とガラス繊維層4が接合されていることが好ましい。接合樹脂5を介在させない場合には、意匠層3とガラス繊維層4が直接接合されるが、前述のように接合樹脂5を介在させることにより、意匠層3とガラス繊維層4を強く接合させることができる。また、シート本体層2とガラス繊維層4は、直接的に接合されていてもよいが、接合樹脂5を介してシート本体層2とガラス繊維層4が接合されていることが好ましい。
不燃壁面シート1の表面には、必要に応じて、凹凸が形成されていてもよい。
図5は、表面に凹凸が形成された不燃壁面シート1の要部拡大断面図である。なお、図5では、化粧層32を表している。
凹凸は、例えば、エンボス加工によって形成される。凹凸の凹部61と凸部62の配置は、均等でもよく、ランダムでもよい。また、凹凸の模様(平面視の模様)は、特に限定されず、例えば、梨地模様を成すように凹凸が形成される。表面に凹凸を形成することにより、表面光沢度を低減でき、下地の不陸を不燃壁面シート1によって隠蔽できる。凹部61の深さ6Hは、特に限定されないが、表面光沢度の低減及び汚れの堆積防止の観点から、20μm~300μmが好ましく、さらに、50μm~160μmがより好ましい。ただし、凹部61の深さ6Hは、凸部62の頂面と凹部61の底面の落差をいう。
<意匠層>
意匠層3は、不燃壁面シート1に意匠を付与する層である。
意匠層3の厚みは、特に限定されないが、シート本体層2よりも薄いことが好ましく、例えば、0.05mm~0.16mmであり、好ましくは、0.07mm~0.1mmである。
意匠層3に具備される化粧の内容(デザインの図柄など)は、特に限定されない。
意匠層3は、例えば、樹脂層31と、樹脂層31の表面又は/裏面に設けられた化粧層32と、からなる。また、意匠層3は、樹脂層31と、樹脂層31の表面又は/裏面に設けられた化粧層32と、樹脂層31の表面(樹脂層31の表面に化粧層32が設けられている場合には、化粧層32の表面)に設けられた透明な保護層33と、からなる。化粧層32が、樹脂層31の裏面に設けられる場合には、透明な樹脂層31が用いられる。化粧層32が樹脂層31の表面にのみ設けられる場合には、樹脂層31は、透明でもよく又は不透明若しくは半透明でもよい。
好ましくは、意匠層3は、樹脂層31と、樹脂層31の表面に設けられた化粧層32と、からなる、又は、樹脂層31と、樹脂層31の表面に設けられた化粧層32と、化粧層32の表面に設けられた透明な保護層33と、からなる。より好ましくは、意匠層3は、樹脂層31と、樹脂層31の表面に設けられた化粧層32と、化粧層32の表面に設けられた透明な保護層33と、からなる。
なお、樹脂層31及び保護層33は、いずれも非発泡である。
樹脂層31を構成する樹脂成分は、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル(塩化ビニル単独重合体)、塩素化塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂などが挙げられる。樹脂層31には、樹脂成分以外に、顔料などの着色剤、安定剤などの各種添加剤が含有されていてもよい。特に、樹脂層31は、酸化チタンを含むことが好ましい。酸化チタンは白色顔料の中でも隠蔽性に優れており、不燃壁面シート1をその表面側から見たときに、樹脂層31によってその下側のシート本体層2の色彩を隠蔽できる上、化粧層32に表された化粧を際立たせることができる。このため、意匠的に良好な外観を有する不燃壁面シート1を提供できる。
また、樹脂層31(又は意匠層3)は、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を含んでいてもよいが、表面側の強度を維持して損傷し難い不燃壁面シート1を構成するために、樹脂層31は、実質的に無機充填剤を含まないことが好ましく、意匠層3は、実質的に無機充填剤を含まないことがより好ましい。前記実質的に無機充填剤を含まないとは、樹脂層31(又は意匠層3)の製造時に不用意に又は不可避的に無機充填剤が混入する場合を許容する意味である。この実質的に含まない場合の無機充填剤の含有量は、樹脂層31(又は意匠層3)の全体を100重量%とした場合、3重量%以下であり、好ましくは、1重量%以下である。
後述するように塩化ビニル系樹脂を主成分樹脂とするシート本体層、又は、ウレタン系樹脂を主成分樹脂とする接合樹脂に対して、強固に接合することから、樹脂層31は、主成分樹脂として塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル又は塩素化塩化ビニル)を含むことが好ましく、さらに、樹脂成分の全てが塩化ビニル系樹脂であることがより好ましい。
ここで、本明細書において、主成分樹脂(主成分)は、その層を構成する樹脂成分(ただし、添加剤を除く)の中で最も多い成分(重量比)をいう。主成分樹脂の量は、その層を構成する樹脂成分全体を100重量%とした場合、50重量%を超え、好ましくは、70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。主成分樹脂の量の上限は、100重量%である。主成分樹脂の量が100重量%未満である場合において、その層に含まれる主成分樹脂以外の樹脂は、特に限定されず、公知の樹脂成分を用いることができる。
不燃壁面シート1の製造過程では、通常、樹脂層31は、樹脂フィルムとして提供される。樹脂フィルムをシート本体層などに接合することによって、シート本体層2などに積層された樹脂層31を形成できる。
不燃壁面シート1の総発熱量を小さくする観点から、樹脂層31の厚みは、できるだけ小さいことが好ましいが、余りに小さいと樹脂層31を形成することが困難となるおそれがある。かかる観点から、樹脂層31の厚みは、0.04mm~0.15mmが好ましく、0.07mm~0.09mmがより好ましい。
前記樹脂層31の表面又は/及び裏面に設けられる化粧層32としては、化粧転写層、化粧印刷層などが挙げられる。化粧転写層は、化粧(デザイン)が表された転写箔であり、その転写箔を樹脂層31の表面などに貼り付けることによって化粧層32を成す。化粧印刷層は、樹脂層31の表面などにグラビア印刷などの公知の印刷法によって化粧を印刷した印刷層(インキ層)である。
化粧層32の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1μm~10μmであり、好ましくは、1μm~7μmであり、より好ましくは、2μm~6μmである。
保護層33の表面は、不燃壁面シート1の最表面を構成する。保護層33は、化粧を含む樹脂層31を保護し、汚れが付着することを抑制する。
保護層33の形成材料としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、イソシアネート系などの各種樹脂類:ワックス類;ニスなどが挙げられる。前記樹脂類は、溶剤揮発型でもよく、或いは、紫外線硬化型でもよい。紫外線硬化型の樹脂は、一般に、強度に優れた保護層33を形成できる。
ワックス類としては、パラフィンワックス、アクリルワックス、ウレタンワックスなどが挙げられる。
保護層33の厚みは、不燃壁面シート1の総発熱量を小さくする観点から出来るだけ小さいことが好ましいが、余りに小さいと保護層33としての機能を奏さないおそれがある。かかる観点から、保護層33の厚みは、1μm~10μmが好ましく、2μm~7μmがより好ましい。
厚みを薄く形成できることから、保護層33の形成材料としては、ワックス類を用いることが好ましい。また、滑り性に優れていることから、アクリルワックス、ウレタンワックス、又はアクリルワックスとウレタンワックスの混合物を用いることが好ましく、さらに、アクリルワックスとウレタンワックスの混合物を用いることがより好ましい。滑り性に優れた保護層33は、異物が衝突した際にそれを受け流して傷付き難く、汚れも付着し難い。
<シート本体層>
シート本体層2は、カレンダー成形シートから形成されている。シート本体層2がカレンダー成形シートであることにより、壁面シートとしての強度と柔軟性を両立できる。
シート本体層2の厚みは、上述のように、0.25mmを超え0.50mm未満である。シート本体層2の厚みが0.50mm未満であるので、総発熱量がより小さい不燃壁面シート1を構成できる。他方、シート本体層2の厚みが0.25mmを超えるので、損傷し難い不燃壁面シート1を構成できる。シート本体層2の厚みは、前記範囲で適宜設定できるが、総発熱量をより小さくしつつ損傷を効果的に防止する観点から、シート本体層2は厚み0.3mm~0.45mmに形成されていることが好ましく、厚み0.35mm以上0.45mm未満に形成されていることがより好ましい。なお、図3に示すように、ガラス繊維層4が埋設されているシート本体層2の厚みは、そのガラス繊維層4を除いたものをいう(つまり、ガラス繊維層4が埋設されているシート本体層2の厚みは、第1シート層21の厚みと第2シート層22の厚みの和に相当する)。
シート本体層2の形成材料は、塩素化塩化ビニルを含む樹脂成分と、無機充填剤と、可塑剤と、を含み、必要に応じて、各種添加剤を含む。添加剤は、従来公知のものを使用でき、例えば、難燃剤、安定剤、吸湿剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、防黴剤などが挙げられる。シート本体層2は、発泡されていてもよいが、通常、非発泡である。塩素化塩化ビニルを含む樹脂成分を用いることにより、比較的少ない樹脂量で強度に優れ且つ損傷防止効果が高いシート本体層2を形成できる。
シート本体層2を構成する樹脂成分は、塩素化塩化ビニルを含んでいればよく、例えば、塩素化塩化ビニルと塩化ビニル系樹脂以外の樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂など)の混合物でもよいが、塩素化塩化ビニルを含む塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
前記塩化ビニル系樹脂としては、上記樹脂層31で例示したような、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル、塩化ビニルモノマーと他のモノマーの共重合体(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体など)などが挙げられる。
ここで、ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルモノマーの単独重合体をいう。ポリ塩化ビニルは、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで製造されたものを用いることができる。本発明では、平均重合度が500~2000程度、好ましくは700~1800程度のポリ塩化ビニルを用いることができる。
塩素化塩化ビニルは、ポリ塩化ビニルの塩素化物をいう。製造工程を考慮すると、塩素化塩化ビニルは、前述の各種方法でポリ塩化ビニルを得た後に、そのポリ塩化ビニルの塩素化が行なわれた樹脂をいう。塩素化塩化ビニルとしては、熱塩素化塩化ビニルと光塩素化塩化ビニルが知られており、いずれを使用してもよい。熱塩素化塩化ビニルは、加熱により塩素化された塩素化塩化ビニルであり、光塩素化塩化ビニルは、紫外線により塩素化された塩素化塩化ビニルである。
塩素化塩化ビニルの塩素含有率は、57重量%~80重量%であり、好ましくは、60重量%~70重量%である。前記範囲内の塩素含有率を有する塩素化塩化ビニルを用いることにより、樹脂の強度が低下することなく、総発熱量を小さくできる。
シート本体層2を構成する樹脂成分は、塩素化塩化ビニルを含む塩化ビニル系樹脂を主成分とすることが好ましい。この場合、シート本体層2を構成する樹脂成分は、塩素化塩化ビニルのみ、又は、塩素化塩化ビニルとポリ塩化ビニルの混合物、又は、塩素化塩化ビニルとポリ塩化ビニルとこれら以外の樹脂との混合物、などが挙げられる。
前記シート本体層2を構成する樹脂成分が塩素化塩化ビニルとポリ塩化ビニルの混合物からなる場合、塩素化塩化ビニルの量は、例えば、その樹脂成分(混合物)全体を100重量%としたときに、20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは60重量%以上である。なお、前記混合物の塩素化塩化ビニルの量の上限値は、100重量%未満である。シート本体層2を構成する樹脂成分が塩素化塩化ビニルのみからなる場合には、その量は100重量%である。中でも、シート本体層2を構成する樹脂成分は、総発熱量が同量のポリ塩化ビニルよりも小さくなることから、塩素化塩化ビニルのみ、又は、塩素化塩化ビニルとポリ塩化ビニルの混合物であって塩素化塩化ビニルを主成分樹脂とする混合物が好ましく、塩素化塩化ビニルのみからなることがより好ましい。
前記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、マイカなどが挙げられる。
無機充填剤は、標準状態で固体の物質であり、その体積平均粒径(50%径)は、例えば、0.05μm~20μmであり、好ましくは、1μm~10μmであり、より好ましくは、2μm~6μmである。
総発熱量の小さいシート本体層2を形成でき且つ比較的安価なシート本体層2を形成できることから、無機充填剤は多量に配合されていることが好ましい。一方、無機充填剤の量が余りに多いと、相対的に樹脂成分の占める割合が小さくなってシート本体層2の強度が低下する。かかる観点から、無機充填剤は、シート本体層2全体を100重量%としたときに、40重量%~80重量%含まれていることが好ましく、さらに、60重量%~70重量%含まれていることがより好ましい。
無機充填剤は、上述の例示の中から1種単独で又は2種以上を併用できるが、中でも、ホウ酸カルシウムを含んでいることが好ましい。ホウ酸カルシウムは、熱が加わると脱水するので、これを含むシート本体層2は、発熱速度が緩やかになって、最高発熱速度が小さくなる。
無機充填剤がホウ酸カルシウムを含む場合、ホウ酸カルシウムの量は、特に限定されないが、前記効果の観点から、無機充填剤全体を100重量%としたときに、0を超え80重量%以下含まれていることが好ましく、さらに、10重量%~50重量%含まれていることがより好ましく、20重量%~40重量%含まれていることがさらに好ましい。ホウ酸カルシウムが前記範囲内であれば、加工性が悪化することなく、シート本体層2を作製することができる。
ホウ酸カルシウムを含む無機充填剤は、ホウ酸カルシウムのみ、又は、ホウ酸カルシウムとこれ以外の無機充填剤との併用、からなる。併用の場合、ホウ酸カルシウムと併用される無機充填剤は、例えば、炭酸カルシウム若しくはシリカ、又は、炭酸カルシウム及びシリカの併用が挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、リン酸エステル、アジピン酸エステル、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)、ジオクチルイソフタレート(DOIP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOTP)などが挙げられる。標準状態下で液状の可塑剤を用いることが好ましい。
可塑剤の量は、特に限定されない。シート本体層2の総発熱量を小さくしつつ良好な可塑化を実現する観点から、可塑剤は、シート本体層2全体を100重量%としたときに、5重量%~35重量%含まれていることが好ましく、さらに、10重量%~20重量%含まれていることがより好ましい。
特に、総発熱量の小さいシート本体層2を形成できることから、可塑剤は、リン酸エステル及びアジピン酸エステルのうちの少なくとも一方を用いることが好ましい。この場合、可塑剤は、リン酸エステルのみ、又は、アジピン酸エステルのみ、又は、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、からなる。アジピン酸エステル又は/及びリン酸エステルは、シート本体層2をカレンダー法で製造する際に好適である。
アジピン酸エステルは、比較的安価であり、リン酸エステルよりも可塑化効率に優れ、低温環境下でもシート本体層2の柔軟性を維持できる。このため、可塑剤は、アジピン酸エステルを含んでいることが好ましく、さらに、アジピン酸エステルを比較的多く含んでいることが好ましい。例えば、前記アジピン酸エステルは、前記可塑剤全体を100重量%としたときに、50重量%~100重量%含まれている。
特に、可塑剤は、アジピン酸エステルのみ、又は、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物を用いることが好ましい。リン酸エステルは、アジピン酸エステルよりも燃焼カロリーが小さいので、可塑剤は、リン酸エステルとアジピン酸エステルの併用がより好ましい。リン酸エステルとアジピン酸エステルを併用する場合において、アジピン酸エステルの比率が大きいことが好ましく、例えば、リン酸エステル:アジピン酸エステルが、重量比で、30:70~49:51が好ましい。
<ガラス繊維層>
ガラス繊維層4は、ガラス繊維を含む織布又は不織布からなる。
燃焼時の有害な変形を防止でき、柔軟性を有し、引裂強度及び引張強度に優れることから、ガラス繊維層4は、ガラス繊維の織布を用いることが好ましい。織布の織組織は、平織り、朱子織り、綾織り、斜子織り、畦織りなどが挙げられ、これらの中では、平織り、斜子織り、畦織りが好ましい。
前記ガラス繊維は、ガラスのモノフィラメントでもよく、或いは、マルチフィラメントでもよい。ガラス繊維層4として織布を用いる場合、その織布を構成するガラス繊維(織布を構成する糸)は、マルチフィラメントであることが好ましい。ガラス繊維層4として不織布を用いる場合、その不織布を構成するガラス繊維は、マルチフィラメントであることが好ましい。
ガラスのマルチフィラメントは、複数本のガラスのモノフィラメントを束ねて1本の糸としたものである。マルチフィラメントにおいて、そのモノフィラメントの本数は特に限定されないが、例えば、5本~3000本であり、好ましくは、100本~400本である。マルチフィラメントは、撚り糸でもよい。撚り数は、特に限定されないが、例えば、1回/25mm~4回/25mmである。
マルチフィラメントの番手は、不燃壁面シート1の柔軟性、引裂強度、引張強度、切断性の観点から、10tex~100texが好ましく、さらに、20tex~50texがより好ましい。
織布の糸密度は、特に限定されない。不燃壁面シート1の柔軟性を確保し、下地の不陸を隠蔽できる不燃壁面シート1を構成する観点から、織布の経糸及び緯糸の密度がそれぞれ独立して50本/25mm~80本/25mmで、且つ、合計密度が100本/25mm~160本/25mmであることが好ましく、さらに、織布の経糸及び緯糸の密度がそれぞれ独立して50本/25mm~80本/25mmで、且つ、合計密度が110本/25mm~130本/25mmであることがより好ましい。なお、合計密度は、経糸の密度と緯糸の密度の和である。
<接合樹脂>
接合樹脂5は、シート本体層2とガラス繊維層4の双方に対して接着性に優れた樹脂を主成分樹脂として含む。
接合樹脂5としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂などが挙げられる。ガラス繊維と塩化ビニル系樹脂の双方に対する接着性に優れることから、接合樹脂5は、ウレタン系樹脂を主成分樹脂として含むものが好ましい。
接合樹脂5の量は、特に限定されないが、余りに多いと接合樹脂5に起因する発熱量が大きくなり、余りに少ないと、接合樹脂5に基づく層間強度の向上が小さくなる。かかる観点から、接合樹脂5の量は、4g/m~10g/mであることが好ましく、5g/m~7g/mであることがより好ましい。
[不燃壁面シートの製法]
本発明の不燃壁面シート1は、例えば、下記の手順で製造できる。ただし、本発明の不燃壁面シート1は、下記製法で製造されるものに限定されるわけではない。
本発明の不燃壁面シートは、シート本体層の成形工程、前記シート本体層にガラス繊維層を積層する積層工程、前記シート本体層に意匠層を積層する工程、を有する。
図6及び図7は、例えば、図2に示す層構成の不燃壁面シート1を製造する製造装置9の一例を示す。なお、図6及び図7において、各ロールの回転方向を矢印で示し、シートの搬送方向を白抜き矢印で示している。
図6を参照して、シート本体層の形成材料2Aを、カレンダーロール91,91間に供給する。シート本体層の形成材料2Aは、上述のように、例えば、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂成分、無機充填剤、可塑剤及び必要に応じて添加される添加剤を、それぞれ所定量配合し、図示しないミキシング(図示せず)によって混合したものである。主成分樹脂がポリ塩化ビニルである場合及び主成分樹脂が塩素化塩化ビニルである場合のいずれの場合でも、前記混合するときの樹脂の温度は、150℃~200℃の温度範囲で行うことが好ましい。
前記形成材料2Aを複数のカレンダーロール91に通過させることによって、シート状に成形される。カレンダーロール91の温度は、樹脂成分の溶融温度以上である。主成分樹脂がポリ塩化ビニル及び塩素化塩化ビニルの何れの場合でも、カレンダーロール91の温度を100℃~200℃の範囲に設定することが好ましい。
カレンダーロール91を通過して得られたカレンダー成形シートが、シート本体層2である。このシート本体層の裏面に、ガラス繊維層4Aを積層する。
ガラス繊維層4Aは、上述のように、例えば、ガラス繊維(ガラスのマルチフィラメント)を経糸及び緯糸とする織布からなる。このガラス繊維層4Aの少なくとも表面(シート本体層2に対する接合面)には、接合樹脂が塗布されている。接合樹脂は、コーティング法、スプレー法、ディッピング法などの方法によって塗布される。例えば、ガラス織布(ガラス繊維層)に接合樹脂をディッピング(浸漬)することにより、表裏面に接合樹脂が設けられたガラス繊維層が得られる。或いは、ガラス織布(ガラス繊維層)の表面側から接合樹脂をコーティング或いはスプレーすることにより、主として表面に接合樹脂が設けられたガラス繊維層が得られる。ディッピングなどによってガラス繊維層に接合樹脂を付与することによって、ガラス繊維のほつれを防止し、ガラス繊維の強度を高めることもできる。また、ガラス繊維層が織布であっても、接合樹脂によって、ガラス繊維層とシート本体層とを強固に接合することができる。
少なくとも表面に接合樹脂が設けられたガラス織布4Aの表面を、カレンダーロール91から出たシート本体層2の裏面に接触させ、両者をニップロール92に通過させて押圧することにより、表面側から順にシート本体層/ガラス繊維層からなる複合シート1Aが得られる。余熱によって両者を接合させることができるので、ガラス繊維層とシート本体層を積層する際に加熱しなくてもよい。もっとも、必要に応じて、この際にも加熱してもよい。
得られた複合シート1Aは、一旦、巻き取りロール93に巻き取られる。
巻き取られた複合シート1Aは、図7に示す工程に供される。ただし、前記複合シート1Aをロールに巻き取らず、そのまま、図7に示す工程を行なってもよい。
図7を参照して、前記複合シート1Aを巻き出し、オーブンなどの加熱装置95にて加熱する。複合シート1Aの表面温度が例えば100℃~150℃となるように、加熱装置95にて加熱する。複合シート1Aの表面に、化粧を含む樹脂フィルム31Aを積層する。化粧を含む樹脂フィルム31Aは、シート本体層2に積層されることによって、化粧を含む樹脂層となる。化粧を含む樹脂フィルム31Aとしては、例えば、化粧印刷層が印刷された塩化ビニル系樹脂フィルムなどを用いることができる。
加熱によって軟化した複合シート1Aの表面に樹脂フィルム31Aを接触させ、両者をニップロール96に通過させて押圧することにより、表面側から順に意匠層/シート本体層/ガラス繊維層からなる複合シート1Aが得られる。
この複合シート1Aの表面(例えば、化粧印刷層の表面)に、保護層の形成材料33Aを塗布し、その材料を固化させる。保護層の形成材料33Aは、上述のように、ワックス類などを用いることができる。保護層の形成材料33Aの塗布方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用できるが、比較的薄く且つ略均一な層を形成できることから、グラビア印刷法が好ましい。例えば、保護層の形成材料33Aをグラビアロール97を用いて塗布した後、乾燥装置98にてその材料を乾燥することにより、保護層を形成できる。なお、保護層の形成材料33Aが、紫外線硬化型樹脂である場合には、紫外線照射装置(図示せず)にてその材料を硬化させる。
このようにして、図2に示すような、保護層33を有する意匠層3/シート本体層2/ガラス繊維層4からなる不燃壁面シート1が得られる。
必要に応じて、前記不燃壁面シート1の表面にエンボスロール99を当て、凹凸を形成した後、不燃壁面シート1を巻き取りロール93に巻き取る。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
<シート本体層の形成材料>
・ポリ塩化ビニル
新第一塩ビ株式会社製の商品名「ZEST 800Y」。
・塩素化塩化ビニル
株式会社カネカ製の商品名「耐熱カネビニールH438」。
・リン酸エステル
味の素ファインテクノ株式会社製の商品名「レオフォス35」。
・アジピン酸エステル
大八化学工業株式会社製の商品名「BXA-N」。
・フタル酸ジオクチル(DOP)
株式会社ジェイ・プラス製の「DOP」。
・炭酸カルシウム
三共製粉株式会社製の商品名「エスカロン#200」。
・ホウ酸カルシウム
キンセイマテック株式会社製の商品名「コレマナイトUBP」。
・酸化チタン
石原産業株式会社製の商品名「タイペークCR60-2」。
・シリカ
東ソーシリカ株式会社製の商品名「NIPSIL AQ」。
・安定剤
株式会社ADECA社製の商品名「アデカスタブ NPS-309」。
<意匠層>
意匠層として、厚み80μmの印刷済み塩化ビニル系樹脂製フィルム(凸版印刷株式会社製の商品名「塩ビ化粧シート」)を使用した。
<ガラス繊維層>
ガラス繊維層として、ガラス繊維(マルチフィラメント)を平織りした織布に接合樹脂(ウレタン樹脂)が含浸されている、厚み約0.10mmの樹脂付きガラス織布(ユニチカ株式会社製の商品名「目止め処理ガラスクロス」)を使用した。このガラス織布の経糸は22.5tex/本、緯糸は22.5tex/本であり、合計密度は120本/25mmであった。また、ガラス織布の目付量は、105g/mで、樹脂付きガラス織布の目付量は113g/mであった。
[実施例1]
表1に示す配合(各材料の量を重量部で表している)で、各材料を混合してペレット化した後、そのペレットを140℃で溶融し、この溶融物を150℃のカレンダーロールに通してカレンダー成形加工を行なうことにより、厚み約0.30mmのシート本体層(カレンダー成形シート)を作製した。
上記ガラス繊維層(樹脂付きガラス織布)の表面に、このシート本体層を重ね、さらに、このシート本体層の表面に上記意匠層(印刷済み塩化ビニル系樹脂製フィルム)を重ねた後、その積層体全体をプレヒーターで150℃に加熱しつつ、30kgf/cmで加圧することにより、各層を一体化させた。このようにして、表面側から順に、意匠層/シート本体層/ガラス繊維層からなる不燃性の壁面シートを作製した。この壁面シートの厚みは、約0.47mmであった。
Figure 2022065322000002
[実施例2乃至5、比較例1乃至4]
シート本体層を表2に示す厚みとなるように、シート本体層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、不燃性の壁面シートを作製した。
Figure 2022065322000003
<総発熱量>
実施例1乃至5及び比較例1乃至4の壁面シートの総発熱量の理論値を算出した。
各実施例などの壁面シートの総発熱量の理論値は、各壁面シートを形成する各成分のうち、無機成分(無機充填剤やガラス繊維層など)を除く、樹脂成分や可塑剤などの含有量とそれらの発熱カロリーから算出した。その結果を表2に示す。
実施例及び比較例の壁面シートの総発熱量として理論値を採用したのは、経験上、総発熱量の測定値と理論値がほぼ似通った値になるという知見を有すること、及び、総発熱量を実際に測定する際には多大なコスト及び時間がかかること、などが理由である。
ただし、本件の特許請求の範囲などに記載された壁面シートの総発熱量は、実際の測定値を意味する。
実施例3の壁面シートについては、総発熱量を実際に測定した。
具体的には、実施例3の壁面シートを、1辺の大きさが99mm±1mmの平面視正方形状に裁断し、これを試験体とした。この試験体を、ISO5660-1に準じて、コーンカロリーメーターを使用して加熱強度50kW/mで加熱し、加熱開始後の20分間の総発熱量を測定した。
その結果、実施例3の総発熱量の測定値は、概ね理論値と同様の値であった。
<耐傷性試験>
各実施例及び比較例の壁面シートの耐傷性を、下記のようにして試験した。その結果を表2に示す。
・抉れ傷の評価
壁面シートを敷設する場所として、吉野石膏株式会社製の厚み12.5mmの石膏ボード(商品名:タイガーボードGB-R)を準備した。
各実施例及び比較例の壁面シートを、それぞれ縦×横=150mm×200mmに裁断してサンプル片を得た。サンプル片を石膏ボードの表面上にアクリル樹脂系接着剤を用いて貼り付けた。このサンプル片を貼り付けた石膏ボードを、水平面に対して60度に傾けた状態で固定した。落下高さ750mmで、図8に示すように、弧状先端部を有する400gの鉄製重り(重りの形状及び寸法は、図8参照)を、サンプル片(壁面シート)の表面に自然落下させた後、サンプル片(壁面シート)の表面を目視で観察した。
表2の抉れ傷の欄の「○」は、重り跡は確認できたがシートの破損はなかったことを、「△」は、シートが少し破損したことを、「×」は、シートが大きく破損したことを表す。
・重量物衝撃の評価
抉れ傷の評価と同様に、サンプル片(壁面シート)を石膏ボードに貼り付けたものを準備し、水平面に平行に載置した(水平に固定した)。落下高さ2000mmで、1.5kgの卵型の鉄製重りを、サンプル片(壁面シート)の表面に自然落下させた後、サンプル片(壁面シート)の表面を目視で観察した。
表2の重量物衝撃の欄の「○」は、シートに亀裂が発生しなかったことを、「△」は、シートに一部に亀裂が生じたことを、「×」は、シートの全体的に亀裂が生じたことを表す。
実施例1乃至5と比較例1乃至4から、厚み0.25mmを超えるシート本体層を有する壁面シートは、耐傷性が良好であることが判る。また、厚み0.50mm以上のシート本体層を有する比較例4の壁面シートは、総発熱量が7.2MJ/mを超えることが判る。
[実施例6乃至9、比較例5]
シート本体層の形成材料を表3に示す配合(各材料の量を重量部で表している)に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、厚み約0.40mmのシート本体層を作製し、このシート本体層を用いて、総厚み約0.57mmの不燃性の壁面シートを作製した。
得られた実施例6乃至9、比較例5の壁面シートのそれぞれ総発熱量の理論値を、上記と同様にして算出した。その結果を表3に示す。
実施例6乃至9の壁面シートは、総発熱量が7.2MJ/m未満となり、比較例5の壁面シートは、総発熱量が7.2MJ/mであった。
実施例4及び実施例6の対比から、塩素化塩化ビニルを多く含むほど、総発熱量の小さい壁面シートが得られることが判る。
実施例7及び実施例8の対比から、リン酸エステルはアジピン酸エステルよりも総発熱量を小さくする効果に優れていることが判る。
Figure 2022065322000004
1 不燃壁面シート
2 シート本体層
3 意匠層
31 樹脂層
32 化粧層
33 保護層
4 ガラス繊維層
5 接合樹脂

Claims (6)

  1. 厚みが0.25mmを超え0.50mm未満に形成されたシート本体層と、前記シート本体層の表面に積層された意匠層と、を有し、
    前記シート本体層が、塩素化塩化ビニルを含む樹脂成分と、無機充填剤と、可塑剤と、を含み、
    輻射電気ヒーターからシート表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験における加熱開始後の20分間の総発熱量が7.2MJ/m未満である、不燃壁面シート。
  2. 前記シート本体層が、カレンダー成形シートからなる、請求項1に記載の不燃壁面シート。
  3. 前記無機充填剤が、前記シート本体層全体を100重量%としたときに、40重量%~80重量%含まれている、請求項1または2に記載の不燃壁面シート。
  4. 前記無機充填剤が、ホウ酸カルシウムを含み、
    前記ホウ酸カルシウムが、前記無機充填剤全体を100重量%としたときに、0を超え80重量%以下含まれている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の不燃壁面シート。
  5. 前記可塑剤が、アジピン酸エステルを含み、
    前記アジピン酸エステルが、前記可塑剤全体を100重量%としたときに、50重量%~100重量%含まれている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の不燃壁面シート。
  6. 請求項1乃至5の不燃壁面シートの製造方法であって、
    樹脂成分と無機充填剤と可塑剤とを含む形成材料をカレンダー成形することにより、厚み0.25mmを超え0.50mm未満のシート本体層を形成する工程、
    前記シート本体層の表面に化粧を含む樹脂フィルムを積層することにより、前記シート本体層の表面に意匠層を形成する工程、を有する不燃壁面シートの製造方法。
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