JP2022063906A - 杭頭免震構造およびその構築方法 - Google Patents

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Tetsuo Murata
尭章 土田
Takaaki Tsuchida
清隆 森
Kiyotaka Mori
康雄 山崎
Yasuo Yamazaki
雄介 太田
Yusuke Ota
翔太 増永
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Toa Corp
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Abstract

【課題】免震装置が固定される固化部材と既製杭との一体性をより高めて、既製杭に対する固化部材の剛体回転をより効果的に抑制できる杭頭免震構造およびその構築方法を提供する。【解決手段】鋼管3の内側に配置した筒形状の外殻コンクリート4の上端部に複数本の補強用アンカーボルト5が埋設された既製杭2を製造しておく。施工工程では、既製杭2を地盤Gに打設し、杭頭部の内空部分2aを固化部材9によって埋めて杭頭部の上面を平坦にし、かつ、それぞれの補強用アンカーボルト5の上端部に接続した複数本の縦補強筋6と、杭周方向に間隔をあけて配置した複数の固定具8とを固化部材9に埋設した状態にする。そして、杭頭部の上面に載置した免震装置13を複数の固定具8を介して既製杭2に固定する。【選択図】図1

Description

本発明は、杭頭免震構造およびその構築方法に関し、さらに詳しくは、免震装置が固定される固化部材と既製杭との一体性をより高めて、既製杭に対する固化部材の剛体回転をより効果的に抑制できる杭頭免震構造およびその構築方法に関するものである。
地盤に打設した杭の杭頭部の上面に載置して固定した免震装置によって上部構造体を免震支持する杭頭免震構造が種々提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の杭頭免震構造では、鋼管の上端部を外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた既製杭を使用し、杭頭部の内空部分を固化部材によって埋めて、固化部材に複数本のアンカーボルトを埋設している。そして、平坦にした杭頭部の固化部材の上面に載置した免震装置を複数本のアンカーボルトを介して既製杭に対して固定している。
地震時には、免震装置からアンカーボルトを介して固化部材に水平方向の力が伝達され、固化部材には、固化部材を既製杭に対して剛体回転させる応力が作用する。この杭頭免震構造では、既製杭と固化部材とが、鋼管と固化部材との接触面と、外殻コンクリートと固化部材との接触面における接着で一体化した状態となっている。このような接着に依存した構造では、既製杭と固化部材との一体性を向上させるには限界がある。そのため、既製杭に対する固化部材の剛体回転を抑制するには改良の余地がある。
特開2019-100088号公報
本発明の目的は、免震装置が固定される固化部材と既製杭との一体性をより高めて、既製杭に対する固化部材の剛体回転をより効果的に抑制できる杭頭免震構造およびその構築方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の杭頭免震構造の構築方法は、既製杭の製造工程で、鋼管の内側に配置した生コンクリートを筒形状に固化させることにより、外周面に前記鋼管を一体化させた筒形状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた前記既製杭を製造しておき、施工現場における施工工程では、前記既製杭を地盤に打設した後、杭頭部の内空部分を、固化部材によって埋めた状態にして前記杭頭部の上面を平坦にして、かつ、前記固化部材に杭周方向に間隔をあけて複数の固定具を埋設した状態にし、次いで、前記上面に免震装置を載置して、複数の前記固定具を介して前記既製杭に対して前記免震装置を固定する杭頭免震構造の構築方法において、前記製造工程で、前記鋼管の内側に配置した前記生コンクリートに複数本の補強用アンカーボルトを埋設した状態で、前記生コンクリートを筒形状に固化させることにより、前記外殻コンクリートの上端部に複数本の前記補強用アンカーボルトが杭周方向に間隔をあけて埋設された前記既製杭を製造しておき、前記施工工程では、前記既製杭を地盤に打設し、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に杭長手方向に延在する縦補強筋を接続した状態にして、かつ、前記内空部分を前記固化部材によって埋めた状態にすることにより、前記固化部材に複数本の前記縦補強筋を埋設した状態にすることを特徴とする。
本発明の杭頭免震構造は、既製杭として、外周面に鋼管を一体化させた筒形状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた杭が使用されて、杭頭部の内空部分が固化部材により埋められて前記杭頭部の上面が平坦になっていて、前記固化部材には、前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に杭周方向に間隔をあけて複数の固定具が埋設されていて、複数の前記固定具を介して免震装置が前記既製杭に対して固定されている杭頭免震構造において、前記既製杭として、前記外殻コンクリートの上端部に複数本の補強用アンカーボルトが杭周方向に間隔をあけて埋設された杭が使用されて、前記固化部材には、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に接続された杭長手方向に延在する縦補強筋が埋設されていることを特徴とする。
本発明では、既製杭の外殻コンクリートの上端部に複数本の補強用アンカーボルトが埋設された状態となり、それぞれの補強用アンカーボルトの上端部に接続された杭長手方向に延在する複数本の縦補強筋が固化部材に埋設された状態となる。そのため、複数本の補強用アンカーボルトおよび縦補強筋により、免震装置が固定される固化部材と既製杭との一体性をより高めることができ、既製杭に対する固化部材の剛体回転をより効果的に抑制できる。
本発明の杭頭免震構造を縦断面視で例示する説明図である。 図1の既製杭を横断面視で例示する説明図である。 図1の既製杭を地盤に打設した状態を縦断面視で例示する説明図である。 図3の杭頭部の内空部分を固化部材によって埋めた状態を縦断面視で例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造の別の実施形態を横断面視で例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造のさらに別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造のさらに別の実施形態を縦断面視で例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造の別の構築方法を縦断面視で例示する説明図であり、固化部材として用いる予め固化させたコンクリート部材を既製杭に嵌合させる前の状態を例示している。 図8のコンクリート部材を既製杭に嵌合させて杭頭部の上面に免震装置を設置した状態を例示する説明図である。 本発明の杭頭免震構造のさらに別の構築方法を縦断面視で例示する説明図であり、固化部材として用いる予め固化させたコンクリート部材を既製杭に嵌合させる前の状態を例示している。 図10のコンクリート部材を既製杭に嵌合させて杭頭部の上面に免震装置を設置した状態を例示する説明図である。
以下、本発明の杭頭免震構造およびその構築方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1および図2に例示する本発明の杭頭免震構造1は、地盤Gに打設した既製杭2の杭頭部の上に載置して固定した免震装置13によって上部構造体18を免震支持する。この杭頭免震構造1は、例えば、ビルやマンションなどの上部構造体18の免震構造として採用することができる。
本発明では、従来使用されているSC杭(鋼管複合杭)をそのまま使用するのではなく、杭の製造工程で特別な工夫をする。そして、製造した特殊な構造の杭頭部を有する既製杭2を地盤Gに打設して杭頭免震構造1を構築する。
免震装置13は一般的な免震装置である。免震装置13は、複数の鋼板が上下に間隔をあけて埋設された積層ゴム14と、積層ゴム14の下端に接合された下フランジ16と、積層ゴム14の上端に接合された上フランジ15とを備えている。免震装置13の仕様やサイズは、要求される許容軸力等に応じて適宜決定される。下フランジ16の積層ゴム14よりも外周側の位置には、既製杭2に対して免震装置13を固定する固定用ボルト17が挿通する複数の貫通孔が周方向に間隔をあけて形成されている。この実施形態の免震装置13(積層ゴム14、鋼板、上下フランジ15、16)は平面視で円形状になっているが、平面視で四角形などの多角形にすることもできる。積層ゴム14に代えてすべり支障を備えた免震装置13を用いることもできる。
本発明の杭頭免震構造1では、既製杭2として、外周面に鋼管3を一体化させた筒形状の外殻コンクリート4を有し、鋼管3の上端部が外殻コンクリート4の上端面よりも杭長手方向(上方向)に突出したSC杭を使用する。この既製杭2は、外殻コンクリート4の上端部に複数本の補強用アンカーボルト5が予め埋設されていることが大きな特徴である。
鋼管3は外殻コンクリート4の外周面を全長に渡り被覆して外殻コンクリート4と一体化している。外殻コンクリート4は高強度コンクリートで形成されている。既製杭2の杭径サイズは、免震装置13(下フランジ16)の外径サイズと概ね同じ、或いは、免震装置13の外径サイズよりも大きく設定される。
図1に例示するように、この実施形態では、地盤Gのより深い位置に拡頭杭19(拡径断面を有するPHC杭やPRC杭)が打設されていて、拡頭杭19の上に既製杭2が打設されている。拡頭杭19の上端部と既製杭2の下端部は継手金具によって連結されている。打設された既製杭2は、杭頭部の上端が地盤Gの地表面よりも上方に突出した状態になっている。既製杭2の下端部には拡頭杭19に代えて、PHC杭やPRC杭等を連結することも、他の杭を連結しない構成にすることもできる。既製杭2の杭頭部よりも下側の内空部分および拡頭杭19の内空部分には中詰材10として、セメントミルク等が充填されている。
この実施形態では、既製杭2を構成する鋼管3の上端部の内周面に、杭周方向に連続する環状の凸部3aが杭長手方向(上下方向)に間隔をあけて配置されている。凸部3aは、鋼管3の内周面の表面積を増大させるものであれば形状や配置は特に限定されず、杭周方向に断続的に設けることも、点在させて設けることもできる。凸部3aは必要に応じて任意で設けることができる。
複数本の補強用アンカーボルト5は、外殻コンクリート4の杭周方向に間隔をあけて配置されていて、既製杭2の杭長手方向に延在して外殻コンクリート4の上端部に埋設されている。外殻コンクリート4の杭半径方向の厚みは、例えば、50mm以上300mm以下に設定される。補強用アンカーボルト5の外殻コンクリート4への埋設長さは、例えば、補強用アンカーボルト5の外径(太さ)の15倍以上40倍以下に設定される。補強用アンカーボルト5の外径(太さ)は、例えば、10mm以上38mm以下に設定される。補強用アンカーボルト5(接続部5a)の上端の高さ位置は、外殻コンクリート4の上端面と概ね同じレベル(高さ位置)に設定され、鋼管3の上端よりも低い位置に設定されている。
それぞれの補強用アンカーボルト5の上端部(接続部5a)には、杭長手方向に延在する縦補強筋6が接続されている。この実施形態では、ネジ部が形成された縦補強筋6の下端部が、補強用アンカーボルト5の上端部に設けられた接続部5aに螺合した状態で接続されている。縦補強筋6は例えば、丸鋼やねじ節鉄筋などの金属製の棒状部材で構成される。縦補強筋6の外径(太さ)は、例えば、10mm以上38mm以下に設定される。接続部5aは例えば、ジョイントナットなどの金属製の継手金具で構成される。
補強用アンカーボルト5の上端部と縦補強筋6の下端部との接続方法は、補強用アンカーボルト5に対して縦補強筋6が水平方向において拘束された状態になる接続方法であれば特に限定されない。例えば、補強用アンカーボルト5の上端部と縦補強筋6の下端部とを溶接や接着剤などで接合することもできる。また、例えば、補強用アンカーボルト5の接続部5aに設けられた杭長手方向に延在する嵌合穴に縦補強筋6の下端部を嵌合させて連結することもできる。
この実施形態では、直線状の縦補強筋6を使用し、縦補強筋6の上端部6aに拡頭金具を設けている。拡頭金具には例えば、袋ナットなどが採用される。拡頭金具の代替として、縦補強筋6の上端部6aを屈曲させて形成された屈曲部(フック)を有する構成や、縦補強筋6の上端部6aに接合された板状部材(プレート)を有する構成にすることもできる。
図2に例示するように、この実施形態では、横断面視で既製杭2の杭芯を中心にした同一円上に12本の補強用アンカーボルト5および縦補強筋6が杭周方向に等間隔で配置されている。補強用アンカーボルト5および縦補強筋6の仕様(形状や太さ、長さ等)や、補強用アンカーボルト5の本数および外殻コンクリート4における配置、埋設深さなどは、杭頭免震構造1に要求される許容軸力や免震装置13の仕様等に応じて適宜決定される。
この実施形態では、さらに、杭周方向に延在し、隣り合う縦補強筋6どうしを連結する横補強筋7が固化部材9に埋設されている。横補強筋7は、例えば、直径が10mm程度の鉄筋で構成される。縦補強筋6の杭長手方向に間隔をあけて複数ヶ所に横補強筋7が配設されている。横補強筋7は必要に応じて任意で設けることができる。
図1に例示するように、既製杭2の杭頭部の内空部分2aは、固化部材9により埋められて杭頭部の上面は平坦になっている。この実施形態では、鋼管3の上端と固化部材9の上面とが同じレベルに設定されている。固化部材9は、コンクリート9aで形成される。この実施形態では、外殻コンクリート4の上端よりも中詰材10の上端が下方に位置し、杭長手方向(上下方向)において、外殻コンクリート4と固化部材9とが重なる領域を有する構成にしている。即ち、固化部材9は、相対的に外径が大きい大径部と、その下に位置する相対的に外径が小さい小径部とを有する柱状に形成されている。杭頭部における外殻コンクリート4の内側の内空部分2aが小径部により埋められ、外殻コンクリート4よりも上方の鋼管3の内側の内空部分2aが大径部により埋められた状態になっている。例えば、外殻コンクリート4の上端と中詰材10の上端とを同じ高さに設定して、杭長手方向において、外殻コンクリート4と固化部材9とが重なる領域を有さない構成にすることもできる。
固化部材9の上部には、既製杭2に対して免震装置13を固定する複数の固定具8が、杭周方向に間隔をあけて配設されている。固定具8は杭長手方向に延在して固化部材9に埋設されている。固定具8には、固定用ボルト17を連結可能な連結部8a(例えば、ソケット等)が上端部に設けられたアンカーボルトや、固定用ボルト17を連結可能な杭長手方向に延在する袋ナットなどが採用される。固定具8の固化部材9への埋設長さは、例えば、固定具8の外径(太さ)の15倍以上40倍以下に設定される。固定具8(連結部8a)の上端のレベルは、固化部材9の上面と同じレベルに設定されている。
それぞれの固定具8は、免震装置13の下フランジ16に形成されている貫通孔と対応する位置に配置されている。図2に例示するように、この実施形態では、12本の固定具8が杭周方向に等間隔で配置されている。それぞれの固定具8は、外殻コンクリート4の上端面よりも内側(杭芯側)に配置されている。また、横断面視で既製杭2の杭芯を横断する同一直線上に縦補強筋6と固定具8とが位置するように縦補強筋6および固定具8が配置されている。固化部材9に埋設される固定具8の仕様や本数、配置などは、杭頭免震構造1に要求される許容軸力や免震装置13の仕様等に応じて適宜決定される。
図面では省略しているが、固化部材9にはさらに、杭周方向に間隔をあけて配置された杭長手方向に延在する複数本の主筋と、杭周方向に延在して主筋を囲む環状の帯筋(フープ筋)とが埋設されている。主筋および帯筋は、固化部材9の小径部の下端の近傍から固化部材9の大径部の上端の近傍まで配筋されている。主筋および帯筋は必要に応じて任意で設けることができる。
即ち、既製杭2の杭頭部の内空部分2aを埋めている固化部材9(コンクリート9a)に、縦補強筋6、横補強筋7、固定具8、主筋および帯筋が埋設されて鉄筋コンクリート構造になっている。そして、既製杭2の外殻コンクリート4に埋設された複数本の補強用アンカーボルト5と、固化部材9に埋設された複数本の縦補強筋6とが接続されていることで、既製杭2と固化部材9とが強固に一体化した状態になっている。
免震装置13は、杭頭部の上面に載置され、複数の固定具8を介して既製杭2に対して固定されている。この実施形態では、上方から下フランジ16の貫通孔に挿通された固定用ボルト17が、固定具8の上端に設けられた連結部8aに螺合して固定されることで、既製杭2(固化部材9)に対して免震装置13が固定されている。上フランジ15はボルトなどの固定部材によって上部構造体18に固定されている。
上部構造体18の下面には、このような既製杭2(固化部材9を含む)と免震装置13とで構成された複数の杭頭免震構造1が水平方向に間隔をあけて配置されている。そして、隣り合う杭頭部どうしが、地盤G上に形成されたつなぎ梁12によって連結されている。つなぎ梁12は、例えば、鉄筋コンクリート構造で形成される。この実施形態では、杭頭部の左右前後の四方につなぎ梁12が設けられている。既製杭2を構成する鋼管3の外周面には、スタッドボルト11が杭半径方向外側に突出して接合されていて、そのスタッドボルト11はつなぎ梁12に埋設された状態になっている。つなぎ梁12は必要に応じて設ければよく、つなぎ梁12を有していない杭頭免震構造1にすることもできる。
次に、杭頭免震構造1の構築する手順を説明する。
既製杭2の製造工程で、図3に例示する既製杭2を予め製造しておく。その製造工程では、鋼管3の上部の内側に複数本の補強用アンカーボルト5を杭周方向に間隔をあけて配置し、複数本の補強用アンカーボルト5よりも内側(杭芯側)に、外殻コンクリート4の内周面を形成する仕切り板を設置する。次いで、その仕切り板と鋼管3との間に生コンクリートを流し込む。そして、外殻コンクリート4の上端面を形成する抑え蓋を補強用アンカーボルト5(接続部5a)の上端部の上に被せた状態で、鋼管3を管軸心中心にして回転させて、生コンクリートを遠心力締固め成形して筒形状に固化させる。これにより、外周面に鋼管3を一体化させた筒形状の外殻コンクリート4を有し、鋼管3の上端部が外殻コンクリート4の上端面よりも杭長手方向に突出し、外殻コンクリート4の上端部に複数本の補強用アンカーボルト5が杭周方向に間隔をあけて埋設された既製杭2を製造する。製造した既製杭2は杭頭免震構造1を構築する施工現場に搬送される。
施工現場における施工工程では、杭頭免震構造1を構築する地盤Gに、アースオーガ等の掘削機を使用して既製杭2を打設するための縦穴を所定の深さまで掘削する。そして、縦穴の底部に根固め材を注入し、縦穴の中途の範囲に杭周固定液を充填して、従来と同様に施工を行う。
次いで、図3に例示するように、掘削した縦穴に既製杭2を挿入して打設する。この実施形態では、既製杭2の下端部と拡頭杭19の上端部とを継手金具で連結した状態で、既製杭2および拡頭杭19を縦穴に挿入して打設する。打設した既製杭2の杭頭部の上端部は、地盤Gの地表面よりも上方に突出した状態にする。プレボーリング工法によって既製杭2を打設する方法を例示したが、中堀杭工法やバイブロハンマー工法によって既製杭2を打設することもできる。
既製杭2の杭頭部よりも下側の内空部分と拡頭杭19の内空部分には、中詰材10を充填する。杭頭部の内空部分2aは、空洞の状態にしておく。鋼管3の外周面には溶接によってスタッドボルト11を接合する。
次いで、図4に例示するように、外殻コンクリート4に埋設されているそれぞれの補強用アンカーボルト5の上端部(接続部5a)に縦補強筋6を接続する。次いで、複数本の縦補強筋6どうしを横補強筋7により連結する。そして、杭頭部の内空部分2aの上部に、杭周方向に間隔をあけて複数の固定具8を杭長手方向に延在させて配置し、内空部分2aに主筋と帯筋を配筋する。
次いで、杭頭部の内空部分2aに生コンクリートを充填して、杭頭部の内空部分2aを固化部材9(コンクリート9a)によって埋めた状態にする。そして、杭頭部の上面を平坦にし、かつ、固化部材9に縦補強筋6、横補強筋7、固定具8、主筋および帯筋を埋めた状態にする。内空部分2aに生コンクリートを充填する際には、鋼管3が型枠として機能する。そして、生コンクリートを固化させることで固化部材9を成形し、固化部材9と既製杭2とを一体化させる。
次いで、平坦にした杭頭部の上面に免震装置13(下フランジ16)を載置して、複数の固定具8を介して既製杭2に対して免震装置13を固定する。この実施形態では、下フランジ16の上方から下フランジ16のそれぞれの貫通孔に固定用ボルト17を挿入して、固定具8の連結部8aに螺合することで既製杭2(固定部材9)に対して免震装置13を固定する。免震装置13を設置した後には、免震装置13の上に上部構造体18を構築し、免震装置13の上フランジ15に対して上部構造体18を固定する。
つなぎ梁12を設ける場合には、隣接する杭頭部どうしの間につなぎ梁12を構成する鉄筋12aを配筋するとともに、その鉄筋12aの外側を型枠で囲む。そして、型枠の内側に生コンクリートを打設して固化させた後に、型枠を取り外す。以上により、つなぎ梁12を有する杭頭免震構造1の施工が完了する。
杭頭免震構造1を構築する手順は、上記で示した手順に限らず適宜作業順を変更できる。例えば、既製杭2の製造工程で、既製杭2に予めスタッドボルト11を接合しておくこともできる。また、例えば、補強用アンカーボルト5の上端部に縦補強筋6を接続する以前に、主筋および帯筋を配筋することもできる。また、例えば、杭頭部に免震装置13を設置する前に、つなぎ梁12を構築することもできる。
このように、既製杭2の製造工程において、外殻コンクリート4の上端部に複数本の補強用アンカーボルト5が杭周方向に間隔をあけて予め埋設された既製杭2を製造しておく。そして、施工工程において、それぞれの補強用アンカーボルト5の上端部に縦補強筋6を接続し、固化部材9に複数本の縦補強筋6を埋設した状態にする。これにより、既製杭2の外殻コンクリート4に埋設された複数本の補強用アンカーボルト5と固化部材9に埋設された複数本の縦補強筋6とが接続された構造になる。そのため、固化部材9と既製杭2との一体性をより高めることができ、既製杭2に対する固化部材9の剛体回転をより効果的に抑制できる。
つまり、この杭頭免震構造1では、地震時に免震装置13から固定具8を介して固化部材9に作用する水平方向の応力が、縦補強筋6および補強用アンカーボルト5を介して既製杭2(外殻コンクリート4および鋼管3)に伝達されるので、より広範囲に分散される。それ故、既製杭2に対して固化部材9を剛体回転させる応力を効果的に減衰させることができる。さらに、この杭頭免震構造1では、縦補強筋6および補強用アンカーボルト5に応力が伝達されて、鋼管3により外殻コンクリート4および固化部材9の膨れが拘束されて抑制されるので、耐久性に優れている。さらに、SC杭を改良した既製杭2を用いることで、施工現場で場所打ち杭を成形する場合に比して杭頭免震構造1の構築に要する施工工期を大幅に短縮できる。
この実施形態のように、施工工程において、生コンクリートを施工現場で固化させて固化部材9を成形すると、免震装置13の下フランジ16に形成されている貫通孔と、固定具8(連結部8a)との位置を合わせる調整を施工現場で行えるので、杭頭免震構造1を簡易に構築できる。鋼管3の上端部が型枠として機能するので、面倒な型枠設置作業が不要であり、少ない作業工数で効率的に杭頭免震構造1を構築できる。
縦補強筋6どうしを横補強筋7により連結し、固化部材9に横補強筋7を埋設した構成にすると、横補強筋7により既製杭2と固化部材9との一体性がより高くなり、固化部材9のせん断力に対する耐力もより高くなる。さらに、横補強筋7を設けることで、鋼管3と固化部材9との間で生じるてこ反力(鋼管3と固化部材9との当接部分で生じるテコ作用による水平力)への抵抗をより強化できる。また、横補強筋7により縦補強筋6どうしが互いに拘束された状態となるので、縦補強筋6の座屈を抑制するにはより有利になり、固化部材9がより変形や破損をし難くなる。それ故、杭頭免震構造1の耐久性を高めるにはより一層有利になる。
縦補強筋6の上端部6aに拡頭金具を設けると、縦補強筋6と固化部材9との接着面が広くなるので、固化部材9と既製杭2との一体性がより高くなる。縦補強筋6の上端部6aに屈曲部を設けた場合や、縦補強筋6の上端部6aに板状部材を接合した場合にも同様の効果が得られる。
図1に例示するように、縦補強筋6を固定具8の下端よりも上方に延在させた構成にすると、地震時に免震装置13から固定具8に伝達される水平方向の応力が縦補強筋6に伝達され易くなり、その縦補強筋6に伝達された応力が補強用アンカーボルト5を介して既製杭2の広い範囲に分散され易くなる。それ故、既製杭2に対して固化部材9を剛体回転させる応力を減衰させるにはより有利になる。
この実施形態では、補強用アンカーボルト5を、内空部分2aを埋めた状態の固化部材9の下端面(中詰材10が充填されている上端面)よりも深い位置まで外殻コンクリート4に埋設した構成にしている。このような構成にすると、地震時に免震装置13から固定具8および縦補強筋6を介して補強用アンカーボルト5に伝達される水平方向の応力が、外殻コンクリート4の固化部材9に面する範囲よりもより深い範囲まで伝達され易くなる。これにより、地震時に発生する応力が既製杭2のより広い範囲で効果的に分散されるので、固化部材9に面する外殻コンクリート4の上端部に応力が集中することを回避するには有利になり、外殻コンクリート4の上部がより破損し難くなる。
また、縦補強筋6を地盤Gの地表面よりも上方に延在させた構成にすると、地震時に免震装置13から固定具8を介して地盤Gに埋まっていない鋼管3および固化部材9の上部に伝達される水平方向の応力が、縦補強筋6を介して補強用アンカーボルト5に伝達され易くなる。それ故、縦補強筋6の上端が地表面よりも下方に位置する場合に比して、地上に露出した鋼管3および固化部材9の上端部に応力が集中することを回避するには有利になり、鋼管3および固化部材9がより変形や破損をし難くなる。
固定具8を地盤Gの地表面よりも下方に延在させた構成にすると、地震時に免震装置13から固定具8に伝達される水平方向の応力が、既製杭2の地盤Gに埋まっている部分にまで伝達され易くなる。それ故、固定具8の下端が地表面よりも上方に位置する場合に比して、地上に位置する鋼管3および固化部材9の上端部に応力が集中することを回避するには有利になり、鋼管3および固化部材9がより変形や破損をし難くなる。
ネジ部が形成された縦補強筋6の下端部を、補強用アンカーボルト5の上端部に設けられた接続部5aに螺合させることで、補強用アンカーボルト5と縦補強筋6との接続作業を短時間で簡易に行える。少ない作業工数で接続できるので、施工工期を短縮するにも有利になる。
鋼管3の上面と固化部材9の上面とを同じレベルに設定すると、固化部材9の杭長手方向のすべての範囲が鋼管3で被覆された状態となるので、固化部材9がより破損し難く、杭頭免震構造1の耐久性が非常に高くなる。また、固化部材9を成形するために型枠を設置する必要がないので、少ない作業工数で固化部材9を効率的に成形できる。
ビルやマンションに設ける杭頭免震構造1では、免震装置13から固定具8を介して固化部材9に伝達される応力の方向が全方位で概ね均等であると想定される。そのような場合には、複数本の補強用アンカーボルト5および縦補強筋6と、複数の固定具8とを杭周方向に等間隔で配置することが好ましい。一方で、例えば、橋梁に設ける杭頭免震構造1のように、免震装置13から固定具8を介して固化部材9に伝達される力の方向が一定の方向に偏ることが想定される場合もある。そのような場合には、複数本の補強用アンカーボルト5および縦補強筋6と、複数の固定具8とを固化部材9に伝達される力が偏ることが想定される方向に偏在させて配置することもできる。
図5に例示する杭頭免震構造1の別の実施形態は、図1~図4に例示した実施形態と固定具8の配置が異なっている。その他の構成は実質的に同じである。
この杭頭免震構造1では、外殻コンクリート4の上端面の上方位置に杭周方向に間隔をあけて複数の固定具8を配置している。また、杭周方向において、隣り合う縦補強筋6どうしの間の位置に固定具8を配置している。このように、外殻コンクリート4の上端面の上方位置に固定具8を配置すると、固定具8を既製杭2の外周面に近い位置に配置できるので、杭頭部の上面の広さをより無駄なく利用して、既製杭2の杭径と同程度の外径サイズの大きい免震装置13を杭頭部に固定することが可能になる。
これにより、既製杭2の許容軸力と、既製杭2に固定できる免震装置13の許容軸力との差を小さくすることができ、それに伴い、既製杭2の杭径をより小さくすることが可能になるので、施工コストの低減には非常に有利になる。尚、平面視で多角形の免震装置13を用いる場合、免震装置13の外径サイズとは免震装置13に対する外接円の直径サイズを意味する。
図6に例示する杭頭免震構造1のさらに別の実施形態は、図1~図4に例示した実施形態と鋼管3および縦補強筋6の構成が異なっている。その他の構成は実質的に同じである。
この杭頭免震構造1では、鋼管3のつなぎ梁12を形成する位置にそれぞれ、水平方向に貫通する貫通孔3bが形成されている。そして、つなぎ梁12を構成する水平方向に延在する鉄筋12aが、貫通孔3bと固化部材9を挿通して配筋されている。即ち、固化部材9に、つなぎ梁12を構成する鉄筋12aが埋設された状態になっている。
また、縦補強筋6の上端部6aを杭長手方向に対して屈曲させて縦補強筋6の上端部6aに屈曲部を設けている。この実施形態では、それぞれの縦補強筋6の上端部6aを内側(杭芯側)に向けて杭長手方向に対して略直角に屈曲させているが、屈曲させる方向や杭長手方向に対して屈曲させる角度などは適宜決定できる。この実施形態では、外殻コンクリート4の上端と中詰材10の上端とを同じ高さに設定して、杭長手方向において、外殻コンクリート4と固化部材9とが重なる領域を有さない構成にしている。
この杭頭免震構造1を構築する手順は、図1~図4に例示した実施形態で説明した手順と概ね同じである。貫通孔3bは既製杭2の製造工程で予め形成しておくこともできるし、施工工程で形成することもできる。つなぎ梁12を構成する鉄筋12aの配筋作業を行なう際には、鉄筋12aを貫通孔3bに挿通させて配筋する。そして、つなぎ梁12を構成する鉄筋12aの外側を型枠で囲み、型枠内に生コンクリートを打設し、つなぎ梁12を成形する。
このように、鋼管3のつなぎ梁12を連結する位置に貫通孔3bを設けると、杭頭部とつなぎ梁12とをコンクリート9aの継ぎ目がない状態で一体的に成形することができる。そのため、杭頭部とつなぎ梁12とをより強固に接合でき、両者の一体性を向上させることができる。この実施形態では、鋼管3の外周面に鉄筋12aが挿通する程度の小さな貫通孔3bを複数設けているが、例えば、鋼管3の外周面につなぎ梁12の横断面と同程度の大きさの貫通孔3bを設けた構成にすることもできる。
図7に例示する杭頭免震構造1の別の実施形態は、図1~図4に例示した実施形態と杭頭部および縦補強筋6の構成が異なっている。その他の構成は実質的に同じである。
この杭頭免震構造1では、鋼管3の上端よりも上方の位置にも鉄筋コンクリート構造の固化部材9が突出して配置されている。即ち、固化部材9の下部は鋼管3に埋入され、固化部材9の上部は鋼管3よりも上方に突出している。それぞれの固定具8は、鋼管3の上端面を上下に跨いで配置されている。地盤Gに打設された既製杭2の鋼管3の上端は、地盤Gの地表面と同じレベルに設定されている。固定具8(連結部8a)の上端の高さ位置は、地盤Gの地表面よりも高いレベルに設定されている。縦補強筋6の上端部6aには、水平方向に延在する板状部材が接合されている。
この実施形態では、固化部材9で構成された杭頭部の上部は円柱形状になっていて、その外径は既製杭2の杭径と概ね同じ寸法に設定されている。固定具8(連結部8a)の上端の高さ位置は、固化部材9の上面と同じレベルに設定されている。それぞれの縦補強筋6は、鋼管3よりも上方に突出している。さらに、つなぎ梁12を構成する水平方向に延在する複数本の鉄筋12aが、固化部材9を挿通して配筋されている。即ち、鋼管3よりも上方に位置する固化部材9の上部に、つなぎ梁12を構成する鉄筋12aが埋設された状態になっている。
この杭頭免震構造1を構築する手順は、図1~図4に例示した実施形態で説明した手順と概ね同じである。ただし、この実施形態では、既製杭2を地盤Gに打設する際に、鋼管3の上端を地盤Gの地表面と同じレベルに設定する。そして、杭頭部の内空部分2aとその上方に、縦補強筋6、固定具8、主筋、帯筋および鉄筋12aをそれぞれ配設するとともに、鋼管3よりも上方に突出している縦補強筋6、固定具8、主筋、帯筋および鉄筋12aの外側を型枠で囲む。
次いで、杭頭部の内空部分2aおよび型枠の内側に生コンクリートを流し込んで、固定具8(連結部8a)の上端位置まで生コンクリートを充填させることで、内空部分2aと型枠の内側を埋めた状態にして杭頭部の上面を平坦にする。そして、杭頭部の内空部分2aと型枠の内側に充填した生コンクリートを固化させることで、固化部材9を成形する。また、つなぎ梁12の周面を形成する型枠の内側に生コンクリートを充填させて固化させることで、固化部材9と一体化したつなぎ梁12を成形する。そして、型枠を取り外して、杭頭部の上面に免震装置13を設置する。
このように、固化部材9の上面を鋼管3の上端よりも上方に突出させた構成にすると、杭頭部とつなぎ梁12とをコンクリート9aの継ぎ目がない状態で一体的に成形できるので、杭頭部とつなぎ梁12とをより強固に接合でき、両者の一体性をより高めることができる。また、杭頭部の上側部分を円柱形状に限らず、四角柱形状(多角形形状)などの所望の形状、大きさにすることができるので、様々な形状の免震装置13に適用することが可能となる。
既述したそれぞれの実施形態では、施工工程で生コンクリートを打設して固化部材9を成形する場合を例示したが、例えば、図8および図9に例示する実施形態や、図10および図11に例示する実施形態のように、固化部材9として、予め固化させた柱状のコンクリート部材(以下、プレキャスト固化部材9Aという)を用いて杭頭免震構造1を構築することもできる。
図8および図9に例示する実施形態では、杭周方向に間隔をあけて配置された複数の固定具8が埋設されていて、複数本の縦補強筋6が埋設された状態で固化させたプレキャスト固化部材9Aを用いている。このプレキャスト固化部材9Aは、工場等で予め製造しておき、施工現場に搬送する。施工工程では、既製杭2を地盤Gに打設した後、プレキャスト固化部材9Aを杭頭部の内空部分2aに嵌合させるとともに、それぞれの補強用アンカーボルト5の上端部に縦補強筋6を接続して、内空部分2aをプレキャスト固化部材9Aで埋めた状態にする。その後の免震装置13を設置する作業やつなぎ梁12を形成する作業の手順は図1~図4に例示した実施形態と同じである。
より詳しくは、この実施形態では、補強用アンカーボルト5の上端部に設けられた接続部5aに、縦補強筋6の下端部が嵌合する杭長手方向に延在した嵌合穴が設けられている。また、外殻コンクリート4の上端面に当接させるプレキャスト固化部材9Aの大径部の下端面から、それぞれの縦補強筋6の下端部が下方に突出している。そして、それぞれの縦補強筋6の下端部と接続部5aの嵌合穴との位置を合わせた状態で、プレキャスト固化部材9Aを内空部分2aに嵌合させることで、それぞれの縦補強筋6の下端部が接続部5aの嵌合穴に嵌り込む。そして、補強用アンカーボルト5に対して縦補強筋6が水平方向において拘束される。
この実施形態では、外殻コンクリート4よりも上方に突出している鋼管3の上端部の内周面に杭長手方向に延在する凸状のガイド部3cが設けられている。プレキャスト固化部材9Aの大径部の外周面には、杭長手方向に延在する凹状のガイド溝9cが設けられている。そして、鋼管3のガイド部3cに、プレキャスト固化部材9Aのガイド溝9cを嵌め合わせることで、縦補強筋6の下端部と接続部5aの嵌合穴との位置が合うように構成されている。ガイド部3cおよびガイド溝9cは必要に応じて任意に設けることができる。
図10および図11に例示する実施形態では、杭周方向に間隔をあけて配置された複数の固定具8が埋設されていて、複数本の縦補強筋6がそれぞれ挿通可能な複数の挿通孔9bを有している固化させたプレキャスト固化部材9Aを用いている。このプレキャスト固化部材9Aは、工場等で予め製造しておき、施工現場に搬送する。施工工程では、既製杭2を地盤Gに打設した後、プレキャスト固化部材9Aを杭頭部の内空部分2aに嵌合させる。そして、それぞれの補強用アンカーボルト5の上端部に、それぞれの挿通孔9bに挿通させた状態の縦補強筋6を接続して、内空部分2aをプレキャスト固化部材9Aで埋めた状態にする。その後の免震装置13を設置する作業やつなぎ梁12を形成する作業の手順は図1~図4に例示した実施形態と同じである。
より詳しくは、この実施形態では、補強用アンカーボルト5の上端部が外殻コンクリート4の上端面よりも上方に突出している。補強用アンカーボルト5の上端部を挿通孔9bに嵌め合わせることで、挿通孔9bと補強用アンカーボルト5の上端部との位置が合うように構成されている。例えば、この実施形態の鋼管3およびプレキャスト固化部材9Aにガイド部3cおよびガイド溝9cを設けた構成にすることもできる。
この実施形態では、内空部分2aに嵌合させたプレキャスト固化部材9Aの上方から挿通孔9bに縦補強筋6を挿通させて、縦補強筋6の下端部を、補強用アンカーボルト5の接続部5aに螺合させることで、縦補強筋6を補強用アンカーボルト5に接続している。そして、挿通孔9bと縦補強筋6との間のすき間に、モルタルなどの充填材を充填して固化させることで、プレキャスト固化部材9Aと縦補強筋6とを一体化させている。
なお、前述した作業手順に限らず、例えば、補強用アンカーボルト5の上端部に縦補強筋6を接続した後に、縦補強筋6の上方からプレキャスト固化部材9Aの挿通孔9bに縦補強筋6を挿通させるようにして、内空部分2aにプレキャスト固化部材9Aを嵌合させることもできる。
このように、固化部材9として予め固化させたプレキャスト固化部材9Aを用いる場合にも、既製杭2の杭頭部の内空部分2aにプレキャスト固化部材9Aが嵌り込み、プレキャスト固化部材9Aに埋設された複数本の縦補強筋6と既製杭2の外殻コンクリート4に埋設された複数本の補強用アンカーボルト5とが接続された状態になる。それ故、既製杭2とプレキャスト固化部材9Aは強固に一体化した状態となる。プレキャスト固化部材9Aを用いる場合には、モルタルなどの接着剤をプレキャスト固化部材9Aの外周面や既製杭2の内周面に塗布した状態で、プレキャスト固化部材9Aを内空部分2aに嵌合させると、既製杭2とプレキャスト固化部材9Aとの一体性を高めるにはより有利になる。
プレキャスト固化部材9Aを用いる構築方法では、施工工程において、固化部材9を形成する生コンクリートを固化させるための養生期間が不要になる。そのため、施工工程で生コンクリートを打設して固化部材9を成形する場合に比して、施工工期を大幅に短縮できる。
図8および図9で例示した構築方法と図10および図11で例示した構築方法とを比較すると、図8および図9で例示した構築方法では、プレキャスト固化部材9Aの挿通孔9bと縦補強筋6との間に充填材を充填して固化させる作業が不要であるため、より少ない作業工数で杭頭免震構造1を構築できる。一方で、図10および図11で例示した構築方法では、縦補強筋6を補強用アンカーボルト5の上端部に接続する際に、それぞれの縦補強筋6を個々に動かすことができる。それ故、縦補強筋6を補強用アンカーボルト5の上端部の接続部5aに螺合させて接続することが可能となり、縦補強筋6と補強用アンカーボルト5との杭長手方向における接続強度をより高くできる。
上記で例示したそれぞれの実施形態では、杭頭部の上面に免震装置13が直接載置されているが、例えば、杭頭部の上面と免震装置13(下フランジ16)との間に、介在部材(台座や防水シート等)を設けることもできる。その場合には、介在部材に固定用ボルト17が挿通する貫通孔を形成する。
1 杭頭免震構造
2 既製杭
2a 内空部分
3 鋼管
3a 凸部
3b 貫通孔
3c ガイド部
4 外殻コンクリート
5 補強用アンカーボルト
5a 接続部
6 縦補強筋
6a (縦補強筋の)上端部
7 横補強筋
8 固定具
8a 連結部
9 固化部材
9A プレキャスト固化部材
9a コンクリート
9b 挿通孔
9c ガイド溝
10 中詰材
11 スタッドボルト
12 つなぎ梁
12a 鉄筋
13 免震装置
14 積層ゴム
15 上フランジ
16 下フランジ
17 固定用ボルト
18 上部構造体
19 拡頭杭
G 地盤

Claims (10)

  1. 既製杭の製造工程で、鋼管の内側に配置した生コンクリートを筒形状に固化させることにより、外周面に前記鋼管を一体化させた筒形状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた前記既製杭を製造しておき、施工現場における施工工程では、前記既製杭を地盤に打設した後、杭頭部の内空部分を、固化部材によって埋めた状態にして前記杭頭部の上面を平坦にして、かつ、前記固化部材に杭周方向に間隔をあけて複数の固定具を埋設した状態にし、次いで、前記上面に免震装置を載置して、複数の前記固定具を介して前記既製杭に対して前記免震装置を固定する杭頭免震構造の構築方法において、
    前記製造工程で、前記鋼管の内側に配置した前記生コンクリートに複数本の補強用アンカーボルトを埋設した状態で、前記生コンクリートを筒形状に固化させることにより、前記外殻コンクリートの上端部に複数本の前記補強用アンカーボルトが杭周方向に間隔をあけて埋設された前記既製杭を製造しておき、
    前記施工工程では、前記既製杭を地盤に打設し、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に杭長手方向に延在する縦補強筋を接続した状態にして、かつ、前記内空部分を前記固化部材によって埋めた状態にすることにより、前記固化部材に複数本の前記縦補強筋を埋設した状態にすることを特徴とする杭頭免震構造の構築方法。
  2. 前記縦補強筋どうしを杭周方向に延在する横補強筋により連結した状態にし、前記固化部材に前記横補強筋を埋設した状態にする請求項1に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  3. 前記施工工程において、前記既製杭を地盤に打設した後、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に前記縦補強筋を接続し、前記内空部分に複数の前記固定具を配置した状態で、前記内空部分に生コンクリートを充填し、その複数本の前記縦補強筋と複数の前記固定具とを埋設した状態で固化させた前記生コンクリートにより前記固化部材を成形して、前記内空部分を前記固化部材で埋めた状態にする請求項1または2に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  4. 前記固化部材として、杭周方向に間隔をあけて配置された複数の前記固定具が埋設されていて、複数本の前記縦補強筋が埋設された状態で固化させた柱状のコンクリート部材を用いて、このコンクリート部材を前記内空部分に嵌合させるとともに、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に前記縦補強筋を接続して、前記内空部分を前記コンクリート部材で埋めた状態にする請求項1または2に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  5. 前記固化部材として、杭周方向に間隔をあけて配置された複数の前記固定具が埋設されていて、複数本の前記縦補強筋がそれぞれ挿通可能な複数の挿通孔を有している予め固化させた柱状のコンクリート部材を用いて、このコンクリート部材を前記内空部分に嵌合させて、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に、それぞれの前記挿通孔に挿通させた状態の前記縦補強筋を接続して、前記内空部分を前記コンクリート部材で埋めた状態にする請求項1または2に記載の杭頭免震構造の構築方法。
  6. 前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に杭周方向に間隔をあけて複数の前記固定具を配置した状態にする請求項1~5のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  7. 前記縦補強筋を、前記固定具の下端よりも上方に延在させて前記固化部材に埋設した状態にする請求項1~6のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  8. 前記固化部材の上面と前記鋼管の上端とを同じレベルに設定する請求項1~7のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  9. 前記固化部材の上面を前記鋼管の上端よりも上方に突出させた状態にする請求項1~7のいずれかに記載の杭頭免震構造の構築方法。
  10. 既製杭として、外周面に鋼管を一体化させた筒形状の外殻コンクリートを有し、前記鋼管の上端部を前記外殻コンクリートの上端面よりも杭長手方向に突出させた杭が使用されて、杭頭部の内空部分が固化部材により埋められて前記杭頭部の上面が平坦になっていて、前記固化部材には、前記外殻コンクリートの上端面の上方位置に杭周方向に間隔をあけて複数の固定具が埋設されていて、複数の前記固定具を介して免震装置が前記既製杭に対して固定されている杭頭免震構造において、
    前記既製杭として、前記外殻コンクリートの上端部に複数本の補強用アンカーボルトが杭周方向に間隔をあけて埋設された杭が使用されて、前記固化部材には、それぞれの前記補強用アンカーボルトの上端部に接続された杭長手方向に延在する縦補強筋が埋設されていることを特徴とする杭頭免震構造。
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