JP2022055492A - 化粧材 - Google Patents

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Takeshi Ogasawara
美幸 飯原
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Abstract

【課題】触感及び意匠性に優れた化粧材を提供すること。【解決手段】化粧材1は、基材10と、基材10に設けられる低艶層30と、低艶層30に積層又は基材10に設けられる高艶層40と、低艶層30及び高艶層40の少なくとも一方に積層される盛り上げ層50とを備え、盛り上げ層50の60度光沢度G1と高艶層40の60度光沢度G2との差の絶対値が5以下であり、高艶層40の60度光沢度G2と低艶層30の60度光沢度G3との関係がG2>G3である。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧材に関する。
従来、建築物の壁材、間仕切り、家具等の表面化粧に使用される建材として、例えば、天然の木材と同じ木目模様の絵柄が印刷された化粧材が用いられている。この種の化粧材には、平面的な意匠性だけでなく、立体的な意匠性も求められている。このような立体的な意匠性を示す化粧材として、例えば、基材上に木目模様の絵柄層を設け、その上に導管部となる低艶の印刷層を設け、更にその上に木肌部となる高艶の印刷層を設けたものが提案されている(特許文献1及び2参照)。また、導管部を含む木目模様の印刷層の表面に部分的に盛り上げ層を設けることにより、人が化粧材の表面に触れたときに、天然の木材に触れたような自然な触感を得るようにした化粧材が知られている(特許文献3参照)。
特公昭53-331号公報 特開平2-151476号公報 特開2015-171810号公報
上述のような盛り上げ層を有する化粧材において、盛り上げ層を、例えばグラビア印刷で形成した場合、盛り上げ層のセル目が見えやすくなるため、不自然な見た目になりやすい。盛り上げ層のセル目が見えやすいとは、盛り上げ層が規則的な模様として観察されることをいう。
本発明の目的は、触感及び意匠性に優れた化粧材を提供することにある。
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜に改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
第1の発明は、基材(10)と、前記基材に設けられる低艶層(30)と、前記低艶層に積層又は前記基材に設けられる高艶層(40)と、前記低艶層及び前記高艶層の少なくとも一方に積層される盛り上げ層(50)と、を備え、前記盛り上げ層の60度光沢度G1(G50)と前記高艶層の60度光沢度G2との差の絶対値が5以下であり、前記高艶層の60度光沢度G2(G40)と前記低艶層の60度光沢度G3(G30)との関係がG2>G3である化粧材(1)に関する。
第2の発明は、第1の発明に係る化粧材において、前記基材に積層される絵柄模様層(20)を備え、前記低艶層は、前記絵柄模様層に積層され、前記高艶層は、前記低艶層に積層される。
第3の発明は、第1の発明に係る化粧材において、前記基材に積層される絵柄模様層を備え、前記低艶層は、前記絵柄模様層の一部(20M)を構成し、前記高艶層は、前記絵柄模様層において前記低艶層となる領域を除く絵柄領域に積層される。
第4の発明は、第1の発明に係る化粧材において、前記基材に積層される絵柄模様層を備え、前記低艶層及び前記高艶層は、前記絵柄模様層の異なる絵柄領域に積層される。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明に係る化粧材において、前記高艶層の60度光沢度G2は、10以下である。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明に係る化粧材において、前記盛り上げ層は、平均高さが5μm以上40μm以下である。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明に係る化粧材において、前記高艶層の表面は、前記低艶層の表面から突出しており、前記高艶層と前記低艶層との表面高度差ΔZは、1~100μmである。
第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明に係る化粧材において、前記盛り上げ層は、バインダーとなる樹脂と光拡散粒子とを含む。
本発明によれば、触感及び意匠性に優れた化粧材を提供できる。
実施形態における化粧材1の一部分を示す斜視図である。 化粧材1の概略断面図である。 単位凸部51の内部構成を示す概略断面図である。 実施例及び比較例の評価結果を示す図である。 第1変形形態の化粧材1Aの概略断面図である。 第2変形形態の化粧材1Bの概略断面図である。 第3変形形態の化粧材1Cの概略断面図である。 第4変形形態の化粧材1Dの概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る化粧材の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、本発明に係る化粧材の構成を模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜に誇張している。
また、図4を除く各図には、X-Y-Z又はX-Zの互いに直交する座標系を記載した。この座標系においては、化粧材1を図1の配置で見たときの一方の方向をX方向とし、このX方向と直交する他方の方向をY方向とする。また、化粧材1において、X-Y平面と直交する厚さ方向(法線方向)をZ方向とする。
本明細書中に記載する数値、形状、材料等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してもよい。
図1は、実施形態における化粧材1の一部分を示す斜視図である。図2は、化粧材1の概略断面図である。図2は、図1に示す化粧材1のX-Z平面と平行な断面を示している。図3は、単位凸部51の内部構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態の化粧材1は、基材10、絵柄模様層20、低艶層30、表面保護層40及び盛り上げ層50を備えている。
基材10は、化粧材1のベースとなる部材である。基材10としては、例えば、各種の紙材、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を、用途に応じて適宜に選択できる。これらの材料は、それぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体、紙とプラスチックフィルムとの複合体等、任意の組合せによる積層体でもよい。また、基材10は、木材、石材、コンクリート、ガラス、金属、陶磁器等であってもよい。
基材10として、特にプラスチックフィルム、プラスチックシートを用いる場合、基材10の上に形成される層との密着性を高めるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法、凹凸化法等の物理的又は化学的な表面処理を施してもよい。
上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理法、クロム酸化処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン及び紫外線処理法等が挙げられる。上記凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材10の種類に応じて適宜に選択されるが、一般的にはコロナ放電処理法が好ましく用いられる。また、基材10は、絵柄模様層20との間にプライマー層を形成するための他の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装、デザイン的な観点での模様等があらかじめ形成されていてもよい。
基材10として用いられる紙材としては、例えば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等が挙げられる。これらの紙材には、更にアクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を添加(抄造後に樹脂含浸又は抄造時に内填)させてもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらのほか、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。更には、事務分野、通常の印刷、包装等に用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布、不織布も基材10として使用できる。各種繊維としては、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。
基材10として用いられるプラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等に代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
基材10の厚さについては、特に制限されない。基材10として、プラスチックを素材とするフィルム又はシートを用いる場合、厚さは、例えば、20~150μm程度、好ましくは30~100μmの範囲である。また、基材10として、紙材を用いる場合には、坪量として、例えば、20~150g/m程度、好ましくは30~100g/m程度である。
絵柄模様層20は、基材10の一方の面(図1では、Z方向の上側の面)に積層された木目模様の層である。絵柄模様層20は、例えば、基材10の上に直接、印刷することにより形成できる。絵柄模様層20は、図1及び図2に示すように、絵柄領域の一部として、導管部20Mを有する。導管部20Mは、木目模様の導管溝を模した絵柄である。絵柄模様層20において、導管部20M以外の絵柄領域は、木肌部(符号を省略する)となる。木肌部は、木目模様の木部繊維を模した絵柄である。以下の説明では、木目模様の導管溝を模した絵柄を「導管柄」ともいう。また、化粧材1を平面的に視て、導管部20Mとなる領域を「導管部分」、木肌部となる領域を「非導管部分」ともいう。
絵柄模様層20は、例えば、グラビア印刷法により着色層及び木目柄の絵柄層を塗工することにより形成される。その場合、着色層としては、アクリル系樹脂に着色剤が配合された混合物を使用できる。また、絵柄層には、アルキド系樹脂とニトロセルローズ系樹脂に着色剤が配合された混合物を使用できる。なお、絵柄模様層20は、印刷のほか、転写等により形成してもよい。なお、絵柄模様層20とその上に積層される低艶層30(後述)との密着性を高めるために、プライマー層を設けてもよい。
低艶層30は、低艶を表現するための透明なマットコート層である。本実施形態の低艶層30は、絵柄模様層20上の全面に形成される。低艶層30の60度光沢度(以下、「G30」ともいう)と表面保護層40の60度光沢度(以下、「G40」ともいう)との関係は、G40>G30となるように設定される。このように、表面保護層40よりも低艶層30の光沢度を小さくすることにより、表面保護層40と、表面保護層40から露出した低艶層30の直下にある導管部20Mとのコントラスト差が大きくなるため、視覚的な立体感を得ることができる。
低艶層30において、主剤となる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂を含む)、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。
上記樹脂に含める艶消し材としては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硝子等の無機系粒子、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、尿素樹脂、珪素樹脂等の有機系粒子等が挙げられる。
表面保護層40は、化粧材1の表面を保護するための透明なグロスコート層(高艶層)である。本実施形態の表面保護層40は、低艶層30の直下にある導管部20M(絵柄模様層20)を除いた部分の表面を覆っている。すなわち、表面保護層40は、木目模様(絵柄模様層20)の木肌部と同調する絵柄領域に設けられている。表面保護層40の60度光沢度G40と、盛り上げ層50の60度光沢度(以下、「G50」ともいう)との差の絶対値(|G50-G40|)は、5以下となるように設定される。表面保護層40の60度光沢度は、化粧材1の表面において、盛り上げ層50が設けられていない領域を、光沢計により、例えばJIS Z 8741の規格に準拠して測定した値である。
表面保護層40の60度光沢度G40と低艶層30の60度光沢度G30との関係は、G40>G30となるように設定される。また、表面保護層40の60度光沢度G40は、10以下となるように設定される。更に、図2に示すように、表面保護層40と低艶層30との表面高度差ΔZは、1~100μm以下となるように設定される。
表面保護層40を形成する樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカードネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル-アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂は、電子放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂である。具体的には、電離放射線硬化性樹脂は、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、モノマー等のうち、少なくとも1種を混合したものが挙げられる。なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合或いは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、一般的には紫外線、電子線等が用いられる。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層40を形成するのに適している。
盛り上げ層50は、絵柄模様層20の木目模様に触感を付与するための層である。図1及び図2に示すように、本実施形態の盛り上げ層50は、表面保護層40の表面に設けられる。前述したように、盛り上げ層50の60度光沢度G50は、表面保護層40の60度光沢度G40との差の絶対値(|G50-G40|)が5以下となるように設定される。盛り上げ層50の60度光沢度は、図2に示す盛り上げ層50において、単位凸部51(後述)が密集している部分の表面を、光沢計により、例えばJIS Z 8741の規格に準拠して測定した値である。
盛り上げ層50は、図2に示すように、複数の凸部(以下、「単位凸部51」ともいう)の集合体として形成される。単位凸部51は、低艶層30の上に盛り上げ層50を形成した際に、印刷版(不図示)のセルの中で分割されたそれぞれのインキ部分が、転写された表面保護層40の上で互いにレベリングすることなく、独立した状態で硬化したものである。なお、単位凸部51は、例えば、図1に示すように、表面保護層40において、低艶層30の直下にある導管部20M(絵柄模様層20)の周囲に配置されることが望ましい。
単位凸部51の平均高さは、5μm以上40μm以下である。単位凸部51の平均外径は、例えば、200μm程度である。また、隣接する単位凸部51間の間隔は、例えば、20~30μmである。なお、各図面においては、単位凸部51の大きさ、形状、配置等を模式的に示している。
単位凸部51(盛り上げ層50)は、図3示すように、バインダーとなる樹脂52と、フィラー(光拡散粒子)53とから構成される。盛り上げ層50の形成には、樹脂52とフィラー53とを混入させたインキが用いられる。このインキは、一般的なグラビア印刷に使用されるインキよりも粘度が高いため、上述したように、転写された表面保護層40の上で互いにレベリングすることなく、独立した状態で硬化する。
このインキに使用される樹脂52としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。これらのうち、特に、ベヒクル成分として、アクリル系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ウレタン系の樹脂で水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する樹脂に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂は、表面性能の維持及び製造コストの点から望ましい。
また、フィラー53としては、例えば、アクリルビーズ等の有機粒子、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、各種セラミックス等の無機粒子が挙げられる。フィラー53の平均粒径は、例えば、10~30μm程度である。単位凸部51を形成する樹脂52にフィラー53を含有させることにより、単位凸部51の表面にフィラー53による微細な凹凸が形成される。そのため、化粧材1の表面に形成された盛り上げ層50に、より自然な触感を付与できる。なお、図3では、フィラー53を球状に図示しているが、実際のフィラー53の形状は不規則であり、表面にも不規則な凹凸を有する。
盛り上げ層50となるインキに含有させるフィラー53の粒径、形状を適宜に選択することにより、盛り上げ層50の光沢度を変更できる。例えば、フィラー53の粒径を大きくしたり、形状が球形に近いものを用いたりすると、光拡散性が低くなり、光沢度が高くなる。また、フィラーの粒径を小さくしたり、形状が不規則なものを用いたりすると、光拡散性が高くなり、光沢度が低くなる。なお、フィラー53の含有量は、例えば、20~40重量%である。
次に、実施例及び比較例を示して、本発明に係る化粧材を更に詳細に説明する。但し、本発明に係る化粧材の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
図2に示す層構成において、盛り上げ層50と表面保護層40の光沢度の差の絶対値と、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さを変更した実施例及び比較例の化粧材を7種類作製し、それぞれの化粧材について意匠性、触感の官能評価を行った。なお、実施例及び比較例では、共通のパラメータとして、表面保護層40の60度光沢度G40を10以下とし、表面保護層40の60度光沢度G40と低艶層30の60度光沢度G30との関係が、いずれもG40>G30となるように設定した。また、実施例及び比較例では、表面保護層40と低艶層30との表面高度差ΔZ(図2参照)が1~100μmとなるように設定した。
実施例1~4では、光沢度の差を0~5の間で設定し、盛り上げ層50の平均高さTを5~40μmの間で設定した。また、比較例1~3では、光沢度の差を5~10の間で設定し、盛り上げ層50の平均高さTを0~20μmの間で設定した。盛り上げ層50を形成するインキの種類、樹脂及びフィラーの配合は、実施例及び比較例で同一とした。評価方法について、以下に説明する。
意匠性について、村上色彩技術研究所製の携帯用光沢計、GMX-202を使用してJIS Z 8741の規格に準拠して、各化粧材の60度の光沢度(60度光沢度)を測定した。そして、意匠性の優劣を、盛り上げ層50のセル目が目立ちにくいか否かで判定した。具体的には、盛り上げ層50と表面保護層40から露出した低艶層30との間で認識される違和感の大小を下記の基準で判定した。
◎:低艶層30と盛り上げ層50との違和感がない。
〇:低艶層30と盛り上げ層50との違和感が小さい。
×:低艶層30と盛り上げ層50との違和感が大きい。
触感については、各化粧材の表面の手触りを下記の基準で判定した。
◎:指触により十分な盛り上げ感が認識できる。
○:指触により盛り上げ感が認識できる。
×:指触による盛り上げ感がほとんど認識できない。
実施例1~4及び比較例1~3の各化粧材について、上記各項目による評価結果を図4に示す。図4は、実施例及び比較例の評価結果を示す図である。なお、図4において、「G60°」は、盛り上げ層50の60度の光沢度G50と表面保護層40の60度光沢度G40との差の絶対値(|G50-G40|)を表している。また、「T」は、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さを表している。
(評価結果)
実施例1~4の化粧材は、低艶層30と盛り上げ層50との違和感がない又は小さいという結果が得られ、いずれも意匠性に優れていることが確認された。
また、実施例1~4の化粧材は、指触により盛り上げ感が認識できる又は十分な盛り上げ感が認識できるという結果が得られ、いずれも触感に優れていることが確認された。
比較例1の化粧材では、低艶層30と盛り上げ層50との違和感が小さいという結果が得られた。これは、比較例1の化粧材では、光沢度の差を実施例と同じ範囲に設定したためと考えられる。一方、比較例1の化粧材では、指触による盛り上げ感がほとんど認識できないという結果が得られた。これは、比較例2の化粧材では、盛り上げ層50の平均高さTを0μmとしたためと考えられる。このように、比較例1の化粧材は、意匠性には優れているが、触感に乏しいことが明らかとなった。
比較例2の化粧材では、低艶層30と盛り上げ層50との違和感が大きいという結果が得られた。これは、比較例2の化粧材では、光沢度の差を10としたためと考えられる。一方、比較例2の化粧材では、指触により十分な盛り上げ感が認識できるという結果が得られた。これは、比較例2の化粧材では、盛り上げ層50の平均高さTを実施例2と同じ20μmとしたためと考えられる。このように、比較例2の化粧材は、触感には優れているが、意匠性が乏しいことが明らかとなった。
比較例3の化粧材では、低艶層30と盛り上げ層50との違和感が大きいという結果が得られた。これは、比較例3の化粧材では、光沢度の差を8としたためと考えられる。また、比較例3の化粧材では、指触による盛り上げ感がほとんど認識できないという結果が得られた。これは、比較例3の化粧材では、盛り上げ層50の平均高さTを2μmとしたためと考えられる。
以上の結果から、実施例1~4の化粧材は、いずれも触感及び意匠性に優れていることが明らかとなった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。なお、以下の説明及び図面において、前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を適宜に付して、重複する説明を適宜に省略する。
(変形形態)
第1~第4変形形態の化粧材1A~1Dは、実施形態の化粧材1と同じく、基材10、木目模様の絵柄模様層20、低艶層30、表面保護層(高艶層)40及び盛り上げ層50を備えている。
図5は、第1変形形態の化粧材1Aの概略断面図である。
図5に示すように、本形態の化粧材1Aは、絵柄模様層20において木肌部(非導管部分)となる領域の上に表面保護層40が積層されている。また、化粧材1Aにおいて、絵柄模様層20の一部である導管部20Mは、低艶となるように形成されている。すなわち、化粧材1Aにおいて、絵柄模様層20の導管部20Mは、導管柄を有する層であると同時に、低艶層(30)でもある。絵柄模様層20の導管部20Mを低艶とするには、例えば、絵柄模様層20において、導管部20Mとなる部分の樹脂に、前述したシリカ等の艶消し材を添加すればよい。
本形態の化粧材1Aにおいても、表面保護層40と盛り上げ層50の60度光沢度の差の絶対値(|G50-G40|)が5以下となり、表面保護層40と低艶層(絵柄模様層20の導管部20M)との関係がG40>G30となるように設定することにより、実施形態の化粧材1と同じ効果を得ることができる。また、本形態の化粧材1Aにおいて、表面保護層40の60度光沢度G40、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さ、表面保護層40と絵柄模様層20(低艶層)との表面高度差ΔZは、実施形態と同等の範囲に設定される。
本形態の化粧材1Aによれば、実施形態の化粧材1(図2参照)のように、絵柄模様層20と表面保護層40との間に低艶層30を積層する必要がないため、全体として層厚を薄くすることができる。
図6は、第2変形形態の化粧材1Bの概略断面図である。
図6に示すように、本形態の化粧材1Bは、表面保護層40が設けられていない領域であって、絵柄模様層20の導管部20Mと同調する部分の直上に低艶層30が設けられている。本形態において、絵柄模様層20の導管部20Mは、直上に形成された低艶層30により低艶として視認される。
本形態の化粧材1Bにおいても、表面保護層40と盛り上げ層50の60度光沢度の差の絶対値(|G50-G40|)が5以下となり、表面保護層40と低艶層30との関係がG40>G30となるように設定することにより、実施形態の化粧材1と同じ効果を得ることができる。また、本形態の化粧材1Aにおいて、表面保護層40の60度光沢度G40、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さ、表面保護層40と低艶層30との表面高度差ΔZは、実施形態と同等の範囲に設定される。
なお、絵柄模様層20の導管部分を低艶とする構成は、上記の例に限定されない。例えば、絵柄模様層20に導管部20Mを設けずに、導管部分と同調する部分の低艶層30に導管柄を設けてもよい。また、絵柄模様層20の全体を木肌部の絵柄とし、導管部分と同調する部分の低艶層30の直下に導管柄の印刷層を設けてもよい。この場合の導管部分の層構成は、基材10、絵柄模様層20、導管柄の印刷層、低艶層30となる。更に、基材10上において、絵柄模様層20の導管部20Mと同調する部分に低艶層30を形成し、その上に導管部20Mを含む絵柄模様層20を設けてもよい。この場合の導管部分の層構成は、基材10、低艶層30、絵柄模様層20(導管部20M)となる。上述のように、絵柄模様層20の導管部分を低艶とするには、様々な構成を適用することができる。
図7は、第3変形形態の化粧材1Cの概略断面図である。
図7に示すように、本形態の化粧材1Cは、低艶層30の部分にのみ盛り上げ層50が設けられている点が第2変形形態と相違する。本形態の化粧材1Cにおいて、その他の層構成は、第2変形形態の化粧材1Bと同じである。
本形態の化粧材1Cにおいても、表面保護層40と盛り上げ層50の60度光沢度の差の絶対値(|G50-G40|)が5以下となり、表面保護層40と低艶層30との関係がG40>G30となるように設定することにより、実施形態の化粧材1と同じ効果を得ることができる。また、本形態の化粧材1Cにおいて、表面保護層40の60度光沢度G40、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さ、表面保護層40と低艶層30との表面高度差ΔZは、実施形態と同等の範囲に設定される。
図8は、第4変形形態の化粧材1Dの概略断面図である。
図8に示すように、本形態の化粧材1Dは、低艶層30と表面保護層40の両方に盛り上げ層50が設けられている点が第2変形形態と相違する。本形態の化粧材1Dにおいて、その他の層構成は、第2変形形態の化粧材1Bと同じである。
本形態の化粧材1Dにおいても、表面保護層40と盛り上げ層50の60度光沢度の差の絶対値(|G50-G40|)が5以下となり、表面保護層40と低艶層30との関係がG40>G30となるように設定することにより、実施形態の化粧材1と同じ効果を得ることができる。なお、本形態の化粧材1Dにおいて、表面保護層40の60度光沢度G40は、盛り上げ層50が設けられていない領域で測定される。また、本形態の化粧材1Dにおいて、表面保護層40の60度光沢度G40、盛り上げ層50(単位凸部51)の平均高さ、表面保護層40と低艶層30との表面高度差ΔZは、実施形態と同等の範囲に設定される。
(その他の変形形態)
実施形態の化粧材1(図2参照)において、絵柄模様層20を省いて、基材10の上に低艶層30を積層してもよい。また、絵柄模様層20を省くと共に、基材10において、化粧材1の表層側の面に低艶層30と同じ光沢度の粗面を形成してもよい。すなわち、低艶層30は、図2に示すように、基材10の一方の面側に設けられていてもよいし、上述したように、基材10の一部として基材10の一方の面に設けられていてもよい。
実施形態では、化粧材1の絵柄模様層20を木目模様とした例について説明したが、絵柄模様層20は、例えば、敷き詰めたタイルと目地の模様でもよいし、積み上げた煉瓦、コンクリートブロックと目地の模様であってもよい。
本発明に係る化粧材は、建築物の壁材(外装材、内装材)、床材、天井材、間仕切り等の建築物の部材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面化粧材、鴨居、敷居、腰壁、廻縁等の造作部材、机、食器棚、箪笥等の家具、室内装飾品等のほか、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の乗り物の室内用カバー材、各種家電製品、事務機器等の表面化粧材等にも適用できる。
1,1A,1B,1C,1D 化粧材
10 基材
20 絵柄模様層
20M 導管部
30 低艶層
40 表面保護層
50 盛り上げ層

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材に設けられる低艶層と、
    前記低艶層に積層又は前記基材に設けられる高艶層と、
    前記低艶層及び前記高艶層の少なくとも一方に積層される盛り上げ層と、を備え、
    前記盛り上げ層の60度光沢度G1と前記高艶層の60度光沢度G2との差の絶対値が5以下であり、
    前記高艶層の60度光沢度G2と前記低艶層の60度光沢度G3との関係がG2>G3である化粧材。
  2. 請求項1に記載の化粧材において、
    前記基材に積層される絵柄模様層を備え、
    前記低艶層は、前記絵柄模様層に積層され、
    前記高艶層は、前記低艶層に積層される化粧材。
  3. 請求項1に記載の化粧材において、
    前記基材に積層される絵柄模様層を備え、
    前記低艶層は、前記絵柄模様層の一部を構成し、
    前記高艶層は、前記絵柄模様層において前記低艶層となる領域を除く絵柄領域に積層される化粧材。
  4. 請求項1に記載の化粧材において、
    前記基材に積層される絵柄模様層を備え、
    前記低艶層及び前記高艶層は、前記絵柄模様層の異なる絵柄領域に積層される化粧材。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の化粧材において、
    前記高艶層の60度光沢度G2は、10以下である化粧材。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の化粧材において、
    前記盛り上げ層は、平均高さが5μm以上40μm以下である化粧材。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の化粧材において、
    前記高艶層の表面は、前記低艶層の表面から突出しており、
    前記高艶層と前記低艶層との表面高度差ΔZは、1~100μmである化粧材。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載に化粧材において、
    前記盛り上げ層は、バインダーとなる樹脂と光拡散粒子とを含む化粧材。
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