JP2022045008A - セメント又はセメント硬化物の製造方法及びその製造システム - Google Patents

セメント又はセメント硬化物の製造方法及びその製造システム Download PDF

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Abstract

【課題】焼却灰を資源化しつつ、焼却灰に含まれるアルカリ金属成分をも有効活用することができる、セメント又はセメント硬化物の製造方法及びその製造システムを提供する。【解決手段】セメント又はセメント硬化物の製造方法は、焼却灰に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、スラリーを水洗する水洗工程と、水洗後のスラリーを脱水する脱水工程と、脱水後の水洗後液又はその水分除去物をセメント設備に投入する投入工程を備えている。また、セメント又はセメント硬化物の製造システムは、収容された焼却灰に水を加えてスラリーにして水洗するための粉体溶解槽と、粉体溶解槽から排出されたスラリーを脱水するための固液分離装置と、固液分離装置で分離された水洗後液をセメント設備に投入するための水洗後液又はその水分除去物の投入装置を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、都市ごみの焼却、バイオマス発電等で発生する焼却灰をセメント原料などとして資源化する技術に関する。
近年、都市ごみの焼却などにより発生する焼却灰は、処分場の逼迫により、セメント原料などとして資源化することが望まれている。なかでも、再生可能エネルギーの普及に向けた各所事業体における諸般の取り組みにより、バイオマス発電設備の建設・運開ラッシュとなっており、バイオマス発電で発生する焼却灰(バイオマス灰)の発生量も増大している。
しかしながら、焼却灰は、CaO、SiO、Al、Fe等、セメントとしての有効な組成成分を含んでいるものの、一方で、アルカリ金属硫酸塩や塩化物を多く含んでおり、これをセメント原料としてそのまま利用すると、近代化したセメント製造プラントでは、これら低融点物質がサスペンションプレヒータに付着し、これを閉塞するなどして安定した焼成操作が不可能となるばかりでなく、製造したセメントの硬化物においても、塩素成分により鉄筋腐食等を引き起こすといった問題があった。
このような問題に関連して、例えば、特許文献1では、焼却灰をセメント原料として資源化するにあたって、焼却灰に水を加えてスラリーとし、焼却灰中のアルカリや塩素成分はその水で洗浄除去する一方、焼却灰中に含まれているカドミウム(Cd)や鉛(Pb)等の重金属物質が最小溶解度となるようスラリーのpHを調整して、廃水から重金属物質が除かれて無害化することが記載されている。
一方、セメント硬化後の強度等の特性にはセメントに含まれるアルカリ金属成分が大きな影響を与えることが知られており、具体的には、アルカリ金属成分が強度を高めることが知られている(例えば特許文献2~5参照)。
特開平07-195051号公報 特公昭59-18331号公報 WO99/07647号公報 特開平11-314947号公報 特開2016-190771号公報
従来、焼却灰を有効に資源化するとともに、焼却灰に含まれるアルカリ成分をも有効活用する技術の開発については、着眼されることがないのが現状であった。
よって、本発明の目的は、焼却灰を資源化しつつ、焼却灰に含まれるアルカリ金属成分をも有効活用することができる、セメント又はセメント硬化物の製造方法及びその製造システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、その第1の観点では、
焼却灰に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、
前記スラリーを水洗する水洗工程と、
前記水洗後のスラリーを脱水する脱水工程と、
前記脱水後の水洗後液又はその水分除去物をセメント設備に投入する投入工程を備えていることを特徴とするセメント又はセメント硬化物の製造方法を提供するものである。
本発明により提供されるセメント又はセメント硬化物の製造方法によれば、焼却灰に水を加えてスラリーにして水洗した後の水洗後液にはアルカリ金属成分が含まれるので、この水洗後液又はその水分除去物を他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことで高強度を発現するセメントが得られる。具体的には、例えば、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げ粉砕ミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、コンクリートミキサなど、様々なセメント製造段階に投入可能なセメント添加剤として好適に使用され得る。
上記製造方法においては、前記水洗後液を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入することが好ましい。この場合、例えば投入する箇所がクリンカクーラー、予備粉砕ミル、仕上げミル、クリンカクーラーと仕上げミルとの間の輸送機等である場合には、アルカリ金属成分を含む水洗後液を乾燥や固形化することなく、水分はクリンカ冷却用やミルの槽内の温度調整用の散水を兼ねながら、他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。あるいは、例えば投入する箇所がコンクリートミキサ等である場合には、セメントペーストとなる水分を兼ねながら、他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。
上記製造方法においては、前記水洗後液又はその水分除去物は、該水洗後液の塩素イオンを低減してから、前記セメント設備に投入することが好ましい。これによれば、得られるセメント又はセメント硬化物中の塩素成分の含有量の増加を抑えることができ、ひいては鉄筋腐食等のリスクを低減することができる。塩素イオンの低減手段としては、具体的には、イオン交換樹脂、膜分離、銀や鉛イオンによる沈殿形成などが挙げられる。
上記製造方法においては、前記塩素イオンの低減が両性イオン交換樹脂及び/又はナノろ過膜によるものであることが好ましい。これによれば、焼却灰の水洗後液にはセレンと六価クロムも含まれる場合が多いが、両性イオン交換樹脂及び/又はナノろ過膜によって塩素イオンの低減させた場合、その結果生じる塩素イオンが濃縮された水中には当該セレンと六価クロムの濃度が低くなるので、その廃水の処理が容易となる。その一方で、塩素イオンが低減された水の量は減少するので、固形化する場合には乾燥が容易になり、また、少ない水量でもより多量のアルカリ金属成分を他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。
上記製造方法においては、前記脱水後の改質焼却灰をセメント設備に投入することが好ましい。これによれば、水洗後液を得た後に残る脱水物としてアルカリや塩素成分が低減した改質焼却灰が得られるので、これをセメントクリンカ等の原料として資源化することができる。また、その場合、プレヒーターや窯尻、キルンへの低融点物質の付着による閉塞が抑制される。具体的には、例えば、セメントクリンカの原料の調合のための混合機、ロータリーキルン前のプレヒータートップや仮焼炉、ロータリーキルン窯尻など、様々なセメント製造段階に投入可能なセメントクリンカ原料として好適に使用され得る。また、上述したアルカリ金属成分を含む水洗後液と同様に、例えば、クリンカ製造後の段階に投入するセメント混合材や混和材利用の用途としても好適に使用され得る。
上記製造方法においては、前記焼却灰はバイオマス灰であることが好ましい。これによれば、バイオマス灰には、都市ごみ焼却灰や塩素バイパスダストなどに比べてアルカリ金属硫酸塩やアルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属成分が高含有に含まれているので、水洗によりこれらアルカリ金属成分がより効率的に得られる。一方で水洗により溶出されるアルカリ金属塩化物の量は比較的少ない。よって、得られるセメント又はセメント硬化物中の塩素成分の含有量の増加を抑えることができ、ひいては鉄筋腐食等のリスクを低減することができる。また、塩素イオンを低減させてから用いる場合も、塩素イオンとその他のイオンを効率的に分離することが可能であり、より高含有にアルカリ金属成分を含む水洗後液が得られる。更に、水洗後液中に含有する炭酸アルカリが、塩素イオンの低減工程などにおけるスケール発生を抑える効果も有している。
上記製造方法においては、前記バイオマス灰は、飛灰又は分級した細粒分を用いることが好ましい。これによれば、バイオマス灰の飛灰や細粒分にはアルカリ金属成分がより高含有に含まれているので、水溶性のアルカリ金属成分がより効率的に得られる。
上記製造方法においては、前記バイオマス灰を水洗した後の当該水洗後液又はその水分除去物は、該水洗後液の塩素イオンを両性イオン交換樹脂により低減してから、前記セメント設備に投入することが好ましい。これによれば、上述したとおり、バイオマス灰にはアルカリ金属炭酸塩が高含有に含まれており、これを水洗により溶出させることができるところ、水洗後液を両性イオン交換樹脂にかけて塩素イオンを低減させると、塩素イオンを低減させた水にはアルカリ金属炭酸塩が濃縮される。よって、得られた水洗後液又はその水分除去物を、セメント又はセメント硬化物の原料に添加して利用することができるとともに、脱硫剤や二酸化炭素回収剤として有効に利用し得る。
上記製造方法においては、前記脱水後の改質バイオマス灰をセメント混合材として資源化するため、前記脱水後の改質バイオマス灰を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入することが好ましい。これによれば、水洗により得られる改質バイオマス灰はガラス質であり比較的活性が低いものであるところ、アルカリ金属成分を含む水洗後液又はその水分除去物とともにセメント又はセメント硬化物の原料として資源化することで、当該水洗後液を添加しない場合よりも反応性が増して強度を高めることができる。なお、本明細書においてセメント混合材は、コンクリート用混和材も含む概念である。
上記製造方法においては、前記水洗工程において、前記スラリーの水洗を該スラリーに二酸化炭素含有ガスの吹込みながら行うことが好ましい。これによれば、一般に焼却灰の水洗後液にはカルシウム分が多く溶出されるところ、スラリーの水洗を二酸化炭素含有ガスを吹込みながら行うので、そのカルシウム分をあらかじめ炭酸カルシウムとして析出させて、水洗後液に含まれるカルシウム分を抑えることができるとともに、使用した二酸化炭素を固定化することができる。これにより、水洗後液を原料化する際の諸工程でのスケール発生が抑制されるとともに、二酸化炭素含有ガスとしてセメント設備の最終排ガスや塩素バイパスの抽気ガスを使用すれば、当該ガスに含まれる硫黄酸物(SOx)などの有害ガスも固定化される。加えて、焼却灰としてバイオマス灰を使用し、水洗後の脱水物をセメント混合材として原料化する場合には、バイオマス灰中に含まれる易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムが除かれて、フレッシュコンクリートの流動性などの品質を均質化させることができる。
上記目的を達成するために、本発明は、その第2の観点では、
収容された焼却灰に水を加えてスラリーにして水洗するための粉体溶解槽と、
前記粉体溶解槽から排出されたスラリーを脱水するための固液分離装置と、
前記固液分離装置で分離された水洗後液又はその水分除去物をセメント設備に投入するための水洗後液又はその水分除去物の投入装置を備えていることを特徴とするセメント又はセメント硬化物の製造システムを提供するものである。
本発明により提供されるセメント又はセメント硬化物の製造システムによれば、そのシステムにより得られる水洗後液にはアルカリ金属成分が含まれており、この水洗後液又はその水分除去物を他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことで高強度を発現するセメントが得られる。具体的には、例えば、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、コンクリートミキサなど、様々なセメント製造段階に投入可能なセメント添加剤として好適に使用され得る。
上記システムにおいては、前記水洗後液又はその水分除去物の投入装置は、前記水洗後液を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入するためのものであることが好ましい。この場合、例えば投入する箇所がクリンカクーラー、予備粉砕ミル、仕上げミル、クリンカクーラーと仕上げミルとの間の輸送機等である場合には、アルカリ金属成分を含む水洗後液を乾燥や固形化することなく、水分はクリンカ冷却用やミルの槽内の温度調整用の散水を兼ねながら、他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。あるいは、例えば投入する箇所がコンクリートミキサ等である場合には、セメントペーストとなる水分を兼ねながら、他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。
上記システムにおいては、前記水洗後液の塩素イオンを低減するための塩素イオン低減化装置を更に備えていることが好ましい。これによれば、アルカリ金属成分を含む水洗後液から塩素イオンを低減してから他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。よって、得られるセメント又はセメント硬化物中の塩素成分の含有量の増加を抑えることができ、ひいては鉄筋腐食等のリスクを低減することができる。塩素イオン低減化装置としては、具体的には、イオン交換樹脂、膜分離、銀や鉛イオンによる沈殿形成などの手段を備える装置が挙げられる。
上記システムにおいては、前記粉体溶解槽に収容された前記スラリーに二酸化炭素含有ガスを吹込むための二酸化炭素含有ガス供給装置を更に備えていることが好ましい。これによれば、一般に焼却灰の水洗後液にはカルシウム分が多く溶出されるところ、スラリーの水洗を二酸化炭素含有ガスを吹込みながら行うことで、そのカルシウム分をあらかじめ炭酸カルシウムとして析出させて、水洗後液に含まれるカルシウム分を抑えることができるとともに、使用した二酸化炭素を固定化することができる。これにより、水洗後液を原料化する際の諸工程でのスケール発生が抑制されるとともに、二酸化炭素含有ガスとしてセメント設備の最終排ガスや塩素バイパスの抽気ガスを使用すれば、当該ガスに含まれる硫黄酸物(SOx)などの有害ガスも固定化される。加えて、焼却灰としてバイオマス灰を使用し、水洗後の脱水物をセメント混合材として原料化する場合には、バイオマス灰中に含まれる易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムが除かれて、フレッシュコンクリートの流動性などの品質を均質化させることができる。
上記システムにおいては、前記固液分離装置で分離された前記脱水物を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入するための脱水物投入装置を更に備えていることが好ましい。これによれば、水洗後液を得た後に残る脱水物としてアルカリ金属や塩素成分が低減した改質焼却灰が得られるので、これを、例えばクリンカ製造後の段階に投入するセメント混合材や混和材利用の用途として、効率的に資源化することができる。
上記システムにおいては、前記粉体溶解槽に収容する焼却灰として分級した細粒分を得るための分級装置を更に備えていることが好ましい。これによれば、例えば、バイオマス灰の細粒分にはアルカリ金属成分がより高含有に含まれているので、搬入したバイオマス灰を分級して細粒分を得、これを水洗することにより水溶性のアルカリ金属成分がより効率的に得られる。
上記システムにおいては、前記焼却灰がバイオマス灰であることが好ましい。これによれば、バイオマス灰は、都市ごみ焼却灰や塩素バイパスダストなどに比べてアルカリ金属硫酸塩やアルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属成分の占める割合が大きいので、水洗によりこれらアルカリ金属成分がより効率的に得られる。一方で水洗により溶出されるアルカリ金属塩化物の量は比較的少ない。よって、得られるセメント又はセメント硬化物中の塩素成分の含有量の増加を抑えることができ、ひいては鉄筋腐食等のリスクを低減することができる。また、塩素イオンを低減させてから用いる場合も、塩素イオンとその他のイオンを効率的に分離することが可能であり、より高含有にアルカリ金属成分を含む水洗後液が得られる。更に、水洗後液中に含有する炭酸アルカリが、塩素イオンの低減工程などにおけるスケール発生を抑える効果も有している。
本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の更に他の実施形態を説明するフローチャートである。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の更に別の実施形態を説明するフローチャートである。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造システムの一実施形態を説明する概略構成説明図である。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造システムの他の実施形態を説明する概略構成説明図である。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造システムの更に他の実施形態を説明する概略構成説明図である。 本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造システムの更に別の実施形態を説明する概略構成説明図である。
まず、本発明が適用される焼却灰について説明する。
本発明が適用される焼却灰としては、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩等のアルカリ金属成分を含むものであればよい。例えば、都市ごみ焼却灰の主灰・飛灰、産業廃棄物焼却灰、塩素バイパスダスト、バイオマス灰等が挙げられる。アルカリ金属成分の含有量は、焼却灰の水洗後液中に水溶性のアルカリ金属成分をより効率的に得る観点から、アルカリ金属塩換算(酸化物換算量)で0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。ここでアルカリ金属塩換算量は、水洗を行った前後の質量、アルカリ金属、炭酸、硫黄、塩素等の化学組成の変化から求めることができる。
本発明が適用される焼却灰としては、バイオマス灰であってもよい。バイオマス灰は、広く一般にバイオマスの燃焼灰であるものを含み、例えば、草木竹の燃焼灰や食品残渣の燃焼灰などを含む。なかでも草木竹の燃焼灰はKO含有率が比較的高く、水洗後液中により多量のアルカリ金属成分が得られるので好ましい。また、水洗後に脱水物として残る改質焼却灰をセメント混合材として用いる場合には、その活性も高いので好ましい。KO含有率は、2質量%~10質量%であることが好ましく、3質量%~8質量%であることがより好ましく、3質量%~5質量%であることが更により好ましい。バイオマス灰のKO含有率が2質量%未満であると、水洗後液中に得られるアルカリ金属成分が少なくなり、また、水洗後に脱水物として残る改質焼却灰をセメント混合材として用いる場合に、その活性が低くなる。バイオマス灰のKO含有率が10質量%を超えると、セメントクリンカの原料として用いる場合の使用量が制限される。また、その全アルカリ金属濃度(RO換算=NaO+0.658×KO)は、2質量%~11質量%であることが好ましく、3質量%~6質量%であることがより好ましい。また、硫黄酸化物濃度(SO換算)は、1質量%~6質量%であることが好ましく、2質量%~5質量%であることがより好ましい。なお、バイオマス灰は燃焼灰であるので、石炭灰と同様にポゾラン反応性を有するガラス成分を含んでおり、カリウムの半分以上はそのガラス相に包埋されて含まれている。
バイオマス発電所では、バイオマスと石炭との混焼を行う場合もあるが、本発明が適用されるバイオマス灰には、そのような混焼を行う場合に生じる灰も含まれる。ただし、一般に石炭を燃焼した石炭灰はKO含有率が低くなるので、混焼時の石炭の使用量によりバイオマス灰の活性が異なる。そのため、セメント混合材として資源化する観点からは、石炭との混焼である場合、燃料中のバイオマスの比率が50質量%以上のものから得られた灰であることが好ましい。
本発明が適用されるバイオマス灰としては、草木竹の燃焼灰のなかでもパーム椰子殻を燃料として得られたパーム椰子殻灰(PKS灰)であってもよい。パーム椰子殻はパーム油生産の副産物であり、天然バイオマス・エネルギー産業で主に使用されている。パーム椰子殻は、灰分の少ない黄褐色の繊維状物質で、その粒径は5mm~40mm程度であり、発熱量は4000Kcal/kg程度であるため、再生可能資源を用いたエネルギー生産において、パーム椰子殻は、近年、バイオマス発電の燃料としての利用が増えている。
バイオマス発電の燃焼炉には、ストーカ式や流動床式があるが、流動床式である循環流動床式や加圧式流動床式の燃焼炉では炉内で脱硫を行うために石灰石が投入される。そこで、そのような燃焼炉からのバイオマス灰には、カルシウム成分や硫黄成分が多く含まれており、例えばCaO含有率は、一般に5質量%~45質量%となっている。また、投入した石灰石由来のCa化合物の形態として、CaO(生石灰)、Ca(OH)(消石灰)、CaCO(石灰石)、CaSO(石膏)等の形態が含まれることになる。
本発明が適用されるバイオマス灰のCaO含有率は、セメント混合材として資源化した場合のセメントの強度の観点から、10質量%~40質量%であることが好ましく、15質量%~30質量%であることがより好ましい。
本発明が適用されるバイオマス灰の灰種別としては、バイオマス発電の燃焼炉等で炉底に燃え残る主灰であってもよく、燃焼排ガスに含まれて気体として浮遊する煤塵を集塵機により収集して得られる飛灰であってもよい。このうち飛灰は、アルカリや塩素成分を多く含んでいるうえ、水洗により水洗後液中により効率的にアルカリ金属成分を溶出させることができるため好ましい。粒度は、例えば、メジアン径(D50)が100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。粒度は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置が使用でき、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製 MW3300EXIIにてエタノールを分散媒とし、1分間の超音波分散後に測定することなどにより測定することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に具体的に説明する。
図1には、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートを示す。図1中の実線の矢印は各工程に持ち込まれる物質の流れを表している(以下、図2~図4において同様である。)。
図1の実施形態に示されるように、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法は、焼却灰M1に水W1を加えてスラリーS1にするスラリー化工程と、スラリーS1を水洗する水洗工程と、水洗後のスラリーS2を脱水する脱水工程と、脱水後の排水W2(水洗後液M2)をセメント設備に投入する投入工程を備えている。スラリー化は、焼却灰M1と水W1を収容するための容器と、それらを混合してスラリーS1となすための攪拌手段を少なくとも備えた粉体溶解槽を使用して行い得る。水洗は、スラリーS1を所定時間静置又は攪拌することにより行い得る。これにより、焼却灰M1の溶解性成分がスラリーの液相に溶出した状態のスラリーS2となる。その状態のスラリーS2を粉体溶解槽から排出して、フィルタープレス等の固液分離装置を使用して脱水する。脱水後には、脱水物C1とともに、従来は廃水として処分されていた水洗後液M2が得られるので、その水洗後液M2を回収してセメント又はセメント硬化物の原料となす。水洗後液M2の回収は、固液分離装置の液相排出口に配置された回収用配管やそれに連通する回収用タンク等により行えばよい。回収した水洗後液M2は、セメント設備の任意の段階に搬送して、所定量を他の原料M3に投入することができる。なお、回収した水洗後液M2には、任意に水分除去の処理を施してもよく、例えば濃縮物や乾燥物等の形態にして、所定量を他の原料M3に投入するようにしてもよい。
スラリー化工程における焼却灰M1と水W1との質量比(W1/M1)は、2~10が好ましく、3~7がより好ましく、4~6が特に好ましい。質量比(W1/M1)が2よりも小さいと、焼却灰M1からのアルカリ金属等の水溶性成分の溶出が不十分となる場合がある。また、質量比(W1/M1)が10よりも大きいと水洗後液M2の水分量が多くなり、その分、水洗後液M2中のアルカリ金属成分の濃度が低くなってしまう。
水洗工程の所要時間は、焼却灰M1からアルカリ金属等の水溶性成分を十分に溶出させるため、30分間以上とすることが好ましく、45分間以上がより好ましい。また、温度条件は、高い程、焼却灰M1からのアルカリ金属等の水溶性成分の溶出効率が良くなるが、処理に係るコストの観点からは、5℃~50℃とすることが好ましく、25℃~50℃がより好ましい。
脱水工程においては、スラリーS2中に含まれるアルカリ金属や塩素等の水溶性成分が液相と共に残留することを防ぐため、脱水物C1の水分は20質量%~90質量%とすることが好ましく、30質量%~70質量%とすることがより好ましい。また、この脱水工程において、脱水物に水W3を加えて再度脱水を施してもよい。これによれば、スラリーS2の液相がほとんど水に置き換わるので、後述するように脱水物C1をセメント又はセメント硬化物の原料として資源化する場合に、より好ましい。ただし、この再度脱水時の排水はアルカリ金属成分の濃度が低く、セメント又はセメント硬化物の原料に添加して利用するには不十分であるので、廃水として処理するか焼却灰の水洗用として再利用することが好ましい。
図2には、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の他の実施形態が示される。
図2に示す実施形態では、図1において説明した実施形態において、脱水後の改質焼却灰M4をセメント設備に投入する投入工程を、更に備えている。すなわち、水洗後液を得た後に残る脱水物としてアルカリ金属や塩素成分が低減した改質焼却灰M4が得られるので、これを回収してセメント又はセメント硬化物の原料として資源化するようにしている。改質焼却灰M4の回収は、固液分離装置の固相排出口に配置された回収用コンベアやそれに連通する回収用タンク等により行えばよい。回収した改質焼却灰M4は、セメント設備の任意の段階に搬送して、所定量を他の原料に投入することができる。なお、ここでいう他の原料には、上記した水洗後液M2又はその水分除去物を投入してなるセメント又はセメント硬化物の原料も含まれる。
図3には、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の更に他の実施形態が示される。
図3に示す実施形態では、図1又は図2において説明した実施形態において、脱水後の水洗後液M2を、更にその塩素イオンを低減して水洗後液M5を得てから他の原料M3に投入するようにしている。これによれば、得られるセメント中の塩素成分の含有量の増加を抑えることができ、ひいては鉄筋腐食等のリスクを低減することができる。また、セメント又はセメント硬化物を構成するための添加剤としてより多量に他の原料M3に投入することが可能となる。塩素イオンの低減手段としては、公知の技術を用いればよいが、具体的には、イオン交換樹脂、膜分離、銀や鉛イオンの添加による沈殿形成などが挙げられる。なお、塩素イオンを低減した水洗後液M5は、任意に水分除去の処理を施してから用いてもよいことは、上述した水洗後液M2と同様であり、例えば濃縮物や乾燥物等の水分除去物の形態にして、所定量を他の原料M3に投入するようにしてもよい。
塩素イオンの低減手段としては、なかでも、両性イオン交換樹脂及び/又はナノろ過膜によるものが好ましい。これによれば、選択的に硫酸イオン・炭酸イオンと塩素イオンを分離でき、硫酸イオン・炭酸イオン濃度が高くなり塩素イオン濃度が低くなった水と、硫酸イオン・炭酸イオン濃度が低くなり塩素イオン濃度が高くなった水を得ることができる。更に、焼却灰の水洗後液には、セレンと六価クロムも含まれる場合が多いが、硫酸イオンと同様の形態を示すセレンと六価クロムが、塩素濃度が低い水に分離される。よって、塩素濃度が高い水を廃水として処分する場合、当該水はセレンと六価クロム濃度も低く、その処理が容易となる。また、乾燥することなくアルカリ金属濃度を高めることができ、クリンカ冷却用やミルや混合機の槽内の温度調整用の散水を兼ねながら他の原料M3に投入する場合に、同じ散水量で、セメント又はセメント硬化物を構成するための添加剤として、より多量のアルカリ金属成分を活用することができる。
図4には、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造方法の更に別の実施形態が示される。
図4に示す実施形態では、図1又は図2において説明した実施形態において、入手された焼却灰M1を、更に分級により細粒分M6を得てからスラリー化して、以後の工程に供するようにしている。これによれば、例えば、焼却灰としてバイオマス灰を用いる場合、その細粒分にはアルカリ金属成分がより高含有に含まれているので、水溶性のアルカリ金属成分がより効率的に得られる。なお、図4に図示されないが、この実施形態においては、図3で説明した実施形態のとおり、脱水後の水洗後液M2を更にその塩素イオンを低減して水洗後液M5又はその水分除去物を得てから他の原料M3に投入してもよい。
また、一般に焼却灰に含まれる細粒分ほど反応性が高いので、細粒分M6を水洗した後に残る脱水物(改質焼却灰)については、これをセメント混合材に用いると好適である。また、水洗によりアルカリ金属、塩素、硫黄等の成分が低減されているのでセメントクリンカ原料として資源化することも可能である。一方、焼却灰M1を分級して細粒分M6を分取した後に残る粗粒分M7については、アルカリ金属やカルシウム成分が細粒分に比べて低く、塩素や硫黄成分の含有量も低いので、水洗の有無にかかわらずセメントクリンカ原料に用いると好適である。また、粗粒分はアルカリ金属や硫黄成分が細粒分に比べて低く反応性は低いが、塩素が大きく低減されるので、粉砕して反応性を高めたうえで、セメント混合材として資源化することも可能である。
本発明において限定されない任意の態様においては、その水洗工程において、更にpH調整剤を加えて水洗を行ってもよい。水洗の際のpHを酸性側に調整することで、pH調整しない場合に比べて、アルカリ金属や塩素成分をより効率的にスラリーの液相中に溶出させることができる。よって、水洗後液中にアルカリ金属成分がより多量に得られる。また、水洗後の脱水物として得られる改質焼却灰は、セメントクリンカ原料としてより好適となる。また、焼却灰中に含まれるカルシウム成分を、炭酸カルシウムや、セメント製造時にセメントクリンカに添加される硫酸カルシウムの形態とし、水洗後の脱水物として得られる改質焼却灰は、セメント混合材としてもより品質が均一化して好適となる。
pH調整剤としては、スラリーS1のpHを酸性側に調整することができるものであれば特に制限はない。例えば、酸溶液、CО含有ガス等が挙げられる。なかでも、pH調整剤の酸溶液として廃硫酸を用いると、廃物の資源化になるとともに、焼却灰としてバイオマス灰を使用し、水洗後の脱水物をセメント混合材として使用する場合に、バイオマス灰中に含まれるカルシウム成分を、硫酸カルシウム(石膏)の形態にしやすい。また、これにより得られる改質バイオマス灰は、新たな石膏代替素材の提供にもつながる。一方、pH調整剤としては、CО含有ガスであってもよい。すなわち、例えば、セメント設備のロータリーキルンの燃焼排ガスやバイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスには二酸化炭素(CO)が含まれているので、その燃焼排ガスをスラリーS1に吹込むことにより、pHを酸性側に調整することができる。これによれば、バイオマス灰中に含まれるカルシウム成分を炭酸化して炭酸カルシウムの形態にする。CО含有ガスは二酸化炭素が含まれていればよいが、効率的な炭酸化を促すためには、二酸化炭素濃度は10%以上が好ましく、20%がより好ましい。また、燃焼排ガスのなかでも、特にセメント設備の塩素バイパスダストを捕集後のガスには硫黄酸物(SOx)などの有害ガスが含まれるので、これを固定化する効果も期待できる。このようにセメント設備の燃焼排ガスを用いれば、その場で二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを得て焼却灰の改質に利用して、改質された焼却灰はセメント混合材等の原料として利用できる。また、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスを用いれば、その場で得た二酸化炭素を含有する燃焼排ガスによりバイオマス灰の改質を行い、セメント設備に輸送すればすぐさまセメント混合材等の原料として利用できる。
スラリーS1の水洗の際のpH条件としては、pH4~13であることが好ましく、pH5~12であることがより好ましい。なお、得られる水洗後液にスケールが発生しやすい場合は、上述したCО含有ガスによるpH調整や、あるいは炭酸アルカリ金属塩を添加することにより防止することができる。この点、焼却灰をバイオマス灰とした場合は、炭酸アルカリ金属塩が水洗後液中に含有されるのでスケールの発生が少なく好適である。
本発明において限定されない任意の態様においては、その水洗工程において、更にスラリーS1にアミン系二酸化炭素回収装置から得た廃液を加えて水洗を行ってもよい。ここで、工場などの排ガスから二酸化炭素を回収するためのアミン二酸化炭素回収装置では、劣化したアミン類を含む液は廃棄されるので、これを廃物利用するものである。アミン類は、二酸化炭素と反応して炭酸イオンの生成を促進する作用があることが知られており、効率よくカルシウム成分の炭酸化を進めることができる。また、分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有するアミン類は、セメントクリンカと合わせてミルでの粉砕する際には、粉砕助剤として機能することも知られている。具体的には、粉砕助剤として使用されるアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)等が挙げられる。よって、添加した廃液からアミン類が含水状態で改質焼却灰に持ち込まれた場合、そのような後工程での粉砕助剤としての機能性の付与も期待でき、セメント混合材としてより好適となる。
本発明において限定されない任意の態様においては、その水洗工程において、更に脱未燃炭素剤を加えて水洗を行ってもよい。これによれば、水洗後の脱水物をセメント又はセメント硬化物の原料として資源化する場合、その未燃カーボン量を減じることができる。特にバイオマス灰には多くの未燃カーボンが含まれるので、セメントクリンカ原料として使用する場合はプレヒーターの高温化を生じるおそれがあり、セメント混合材として使用する場合はコンクリートの黒ずみや流動性低下を生じるおそれがあるので、そのような不都合を防ぐことができる。具体的には、例えば、水洗のための粉体溶解槽に脱未燃炭素剤として油や界面活性剤などを加えて浮遊選鉱を行うことで、そのような処理を行わない場合に比べて、水洗後の脱水物中の未燃カーボン量を減じることができる。
本発明において限定されない任意の態様においては、水洗後の脱水物にCO含有ガスを吹込んでもよい。高温の排ガスを用いれば、脱水物中に含まれる水分の乾燥に役立つ。また、特に焼却灰としてバイオマス灰を使用し、水洗後の脱水物をセメント混合材として使用する場合には、脱水物中に残る易反応性のカルシウム成分を炭酸化することで、得られる改質バイオマス灰の更なる品質の均質化を図ることができ、ひいてはセメント混合材としてより好適となる。ガスの吹込み手段としては、脱水物をCO含有ガスと接触させることができればよく、脱水物を充填した容器にCO含有ガスを流通させたり、排ガス煙道中を通過させたりする等の手段を使用すればよい。また、上記したスラリーS1への吹込みと同様に、例えば、セメント設備のロータリーキルンの燃焼排ガスやバイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスには二酸化炭素(CO)が含まれているので、その燃焼排ガスを脱水物に吹込むことでもよい。
図5には、本発明に係る焼却灰のセメント又はセメント硬化物の製造システムの一実施形態を説明する概略構成説明図を示す。図5中の実線の矢印はスラリー、洗液等の固体又は液体の流れを、点線の矢印はセメント設備の焼成キルンからの燃焼排ガス等の気体の流れを、一点鎖線は制御信号等の信号の経路をそれぞれ表わしている(以下、図6~図8において同様である。)。
図5の実施形態に示されるように、本発明に係るセメント又はセメント硬化物の製造システムは、収容された焼却灰M1に水W1を加えてスラリーS1にして水洗するための粉体溶解槽1と、その水洗後、粉体溶解槽1から排出されたスラリーS2を脱水するための固液分離装置2と、固液分離装置2で分離された排水W2を水洗後液M2又はその水分除去物としてセメント設備20に投入するための水洗後液又はその水分除去物の投入装置3を備えている。更に、図5に示す実施形態では、粉体溶解槽1には、粉体溶解槽1に焼却灰M1を供給するための粉体供給装置11、水W1を供給するための液体供給装置12、酸溶液A1を供給するための酸溶液供給装置13、及びアミン系二酸化炭素回収装置から得た廃液B1を供給するための廃液供給装置14が付設されている。また、焼却灰M1と水W1の混合、及び、その混合によって生成したスラリーS1の攪拌のために攪拌翼を備えたスラリー攪拌装置15が付設されている。
粉体溶解槽1では、焼却灰M1と水W1を混合撹拌してスラリーS1を生成するスラリー化処理、及び、そのスラリーS1中で焼却灰M1に含まれていたアルカリ金属、塩素、硫黄等の成分を液相に溶出させる水洗処理が行われる。そのためのスラリー攪拌装置15としては、例えば、パドル型やスクリュー型の一般的な撹拌装置を使用することができる。
水洗の後、焼却灰M1に含まれていたアルカリ金属、塩素、硫黄等の成分がスラリー中で液相に溶出された状態となったスラリーS2は、粉体溶解槽1から排出され、固液分離装置2に移送される。スラリーS2の移送には、スラリー用渦巻きポンプ、ピストンポンプ、モーノポンプ等の通常のスラリー液用輸送装置(不図示)を用いればよい。
固液分離装置2では、スラリーS2を脱水して脱水物C1と排液W2が得られる。固液分離装置2としては、フィルタープレス、加圧葉状ろ過装置、スクリュープレス、ベルトプレス、ベルトフィルター、沈降分離等の一般的なろ過装置等を使用することができる。スラリーS2の脱水により、液相に溶出させた成分は排水W2へと除かれるので、得られる脱水物C1では、焼却灰M1に含まれていたアルカリ金属、塩素、硫黄等の成分の量が減じられている。一方で、排水W2にはアルカリ金属成分が比較的豊富に含まれているので、本発明においては、これをセメント又はセメント硬化物の原料となす。
具体的には、固液分離装置2で分離された水洗後液M2又はその水分除去物は、水洗後液又はその水分除去物の投入装置3によりセメント設備20に投入されてセメント又はセメント硬化物の原料として資源化される。水洗後液又はその水分除去物の投入装置3としては、水洗後液M2が液体の状態で投入される場合、例えば、水中ポンプ、ロータリーポンプ、送液ポンプ、薬注ポンプ、圧送手段、クリンカクーラーに付設された散水装置、ミル槽に敷設されたスプレー装置、コンクリートミキサへの水投入設備等、一般的な液体用輸送装置を使用することができる。また、水洗後液M2が、濃縮物や乾燥物の形態等、その水分除去物として投入される場合には、例えば、ベルトコンベア、スクリューコンベア、パイプコンベア、空気圧送、ロータリーフィーダー等、一般的な固形物用輸送装置を使用することができる。
なお、図5に示す実施形態では、固液分離装置2に水洗浄装置21を設け、その水洗浄装置21から水W3を供給して再脱水の処理を施すことによりケーキを洗浄できるようにしている。これにより、スラリーS2の液相のほぼすべてを水で置換でき、溶出させた成分の除去をより確実にすることができる。
また、図5に示す実施形態では、セメント設備20で発生した燃焼排ガスG1を二酸化炭素含有ガス供給装置4を介して粉体溶解槽1に収容したスラリーS1に供給できるようにしている。上述したように、そのようなCO含有ガスG1の吹込みによりスラリーのpHを酸性側に調整することができるとともに、スラリーの攪拌や加温にも役立てることも可能である。
更に、図5に示す実施形態では、粉体溶解槽1には、粉体溶解槽1に収容されて生成したスラリーのpHを測定するpH測定装置16が付設されている。そして、pH測定装置16の測定結果が、制御装置10に随時送信され、制御装置10が、pH測定装置16の測定結果に基づいて、酸性溶液A1の供給量及び/又は燃焼排ガスG1の送気量を制御するようにしている。具体的な制御態様としては、例えば、制御装置10からの信号に基づいて、酸溶液供給装置13の排出バルブの開度を制御したり、二酸化炭素含有ガス供給装置4の排気バルブの開度を制御したりすることなどが挙げられる。pH測定装置16としては、公知の測定機器を用いればよく、特に、高濃度懸濁液用の測定機器を用いることが好ましい。スラリーS1の水洗の際のpH条件としては、上述したように、pH4~13であることが好ましく、pH5~12であることがより好ましい。
図6には、本発明に係る焼却灰のセメント又はセメント硬化物の製造システムの他の実施形態が示される。
図6に示す実施形態では、図5において説明した実施形態において、脱水物C1を改質焼却灰M4としてセメント設備20に投入するための脱水物投入装置5を、更に備えている。この実施形態によれば、上記した水洗後液M2又はその水分除去物に加え、脱水物C1として得られる改質焼却灰M4についても、脱水物投入装置5によりセメント設備20に投入してセメント又はセメント硬化物の原料として資源化することができる。脱水物投入装置5としては、例えば、ベルトコンベア、スクリューコンベア、パイプコンベア空気圧送、ロータリーフィーダー等、一般的な固形物輸送装置を使用することができる。
図7には、本発明に係る焼却灰のセメント又はセメント硬化物の製造システムの更に他の実施形態が示される。
図7に示す実施形態では、図5又は図6において説明した実施形態において、水洗後液M2の塩素イオンを低減するための塩素イオン低減化装置6を、更に備えている。この実施形態によれば、水洗後液M2の塩素イオンを低減して、塩素イオンの低減された水洗後液M5を生成してから、これを水洗後液又はその水分除去物の投入装置3によりセメント設備20に投入してセメント又はセメント硬化物の原料として資源化することができる。塩素イオン低減化装置6としては、例えば、イオン交換樹脂、膜分離、銀や鉛イオンによる沈殿形成などの手段を備える一般的な装置を使用することができる。また、塩素イオン低減化装置として、両性イオン交換樹脂及び/又はナノろ過膜によるものを使用すれば、上述したとおり、塩素イオンが濃縮された水中には当該セレンと六価クロムの濃度が低くなるので、その廃水の処理が容易となる一方、塩素イオンが低減された水の量は減少するので、固形化する場合には乾燥が容易になり、また、少ない水量でもより多量のアルカリ金属成分を他の原料に添加してセメント又はセメント硬化物の原料となすことができる。
なお、図7に示す実施形態では、図6に示す実施形態と同じく、改質焼却灰M4についても、塩素イオンの低減された水洗後液M5とともにセメント又はセメント硬化物の原料として資源化する態様を示しているが、図5に示す実施形態のとおり改質焼却灰M4の使用は任意であり、改質焼却灰M4はセメント又はセメント硬化物の原料として資源化されなくともよい。また、塩素イオンを低減した水洗後液M5は、任意に水分除去の処理を施してから用いてもよいことは、上述した水洗後液M2と同様であり、例えば濃縮物や乾燥物等の水分除去物の形態にしてからセメント設備20に投入するようにしてもよい。
図8には、本発明に係る焼却灰のセメント又はセメント硬化物の製造システムの更に別の実施形態が示される。
図8に示す実施形態では、図5~図7において説明した実施形態において、粉体溶解槽1に収容する焼却灰として、搬入した焼却灰M1の細粒分M6を得るための分級装置7を、更に備えている。この実施形態によれば、上述したとおり、例えば、バイオマス灰の細粒分にはアルカリ金属成分がより高含有に含まれているので、搬入したバイオマス灰を分級して細粒分を得、これを水洗することにより水溶性のアルカリ金属成分がより効率的に得られる。
また、図8に示す実施形態では、分級装置7で細粒分M6を分級した後に残る粗粒分M7についても、セメント設備20に投入するようにしている。すなわち、上記した水洗後液M2及び焼却灰M1の細粒分M6に加え、焼却灰M1の粗粒分M7についても、粗粒分投入装置8によりセメント設備20に投入して、セメント又はセメント硬化物の原料として資源化するようにしている。粗粒分投入装置8としては、例えば、ベルトコンベア、スクリューコンベア、パイプコンベア、空気圧送、ロータリーフィーダー等、一般的な固形物用輸送装置を使用することができる。
なお、図8に示す実施形態では、図6に示す実施形態と同じく、改質焼却灰M4についても、塩素イオンの低減された水洗後液M5とともにセメント又はセメント硬化物の原料として資源化する態様を示しているが、図5に示す実施形態のとおり改質焼却灰M4の使用は任意であり、改質焼却灰M4はセメント又はセメント硬化物の原料として資源化されなくともよい。また、図7に示す実施形態と同じく、水洗後液2の塩素イオンを低減して、塩素イオンの低減された水洗後液M5をセメント又はセメント硬化物の原料として資源化する態様を示しているが、図5に示す実施形態のとおり塩素イオンの低減化は任意であり、セメントで塩素が許容される量に応じて塩素イオンを低減しない水洗後液2を使用してもよい。更に、塩素イオンを低減した水洗後液M5は、任意に水分除去の処理を施してから用いてもよいことは、上述した水洗後液M2と同様であり、例えば濃縮物や乾燥物等の水分除去物の形態にして、所定量を他の原料M3に投入するようにしてもよい。
(水洗後液の利用)
以下には、本発明に係る方法において得られる水洗後液の利用態様について、更に具体的な例示を挙げて説明する。
上記に説明したとおり、水洗後液にはアルカリ金属成分が含まれているのでセメント又はセメント硬化物を構成するための添加剤として好適に活用される。この場合、脱水により得られる水洗後液の全部を用いてもよく、その一部を用いてもよい。いずれの場合も、従来は廃液の処分とされていた、その処理負荷を削減することができる。
水洗後液は、クリンカクーラーからミルの間に投入するようにしてもよい。これによれば、乾燥や固形化することなく、水分はクリンカ冷却用やミル内の温度調整用の散水を兼ねながら投入することができる。具体的には、例えばセメント設備における、400℃以下のクリンカクーラーや、その後の輸送機・粉砕機、ミルが挙げられる。投入時に400℃を超えると瞬時に蒸発して飛散する場合があり、一方、投入位置がミルより後段であるとセメントに水分が残り風化や水和の影響により品質が悪化する場合がある。
乾燥等により水分を減らすことで、クーラーからミルに投入する場合は、セメントを風化等させることなくセメント又はセメント硬化物を構成するための添加剤としてより多くのアルカリ金属を活用することができる。また、天日、熱風や乾燥器等により乾燥固化を行えば、粉砕されたセメントやコンクリート混練時にも操作性よく投入することができ、任意の量を容易に添加することができる。
投入量は、強度を高めるために、得られるセメント100質量部に対して、アルカリ金属塩として好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは1質量部以上となるように投入する。また、投入量の上限は、コンクリートの流動性が低下しないよう、セメント100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。
水洗後液は、両性イオン交換樹脂によりアルカリ金属炭酸塩の濃度が高い溶液を得てもよい。特にバイオマス灰の水洗水には、アルカリ金属炭酸塩が高濃度で含まれ、両性イオン交換樹脂により炭酸カリウム濃度の高い水を得ることできる。アルカリ金属炭酸塩は、公知の方法で、脱硫剤や二酸化炭素回収剤、肥料として利用できる。とくに回収したものを脱硫剤や二酸化炭素回収剤として、そのままセメント製造工程で用いることもできる。
以下には、水洗後液M2(もしくは塩素イオンの低減された水洗後液M5)のセメント設備20に搬送した後の利用態様について、更に具体的な例示を挙げて説明する。
(クリンカクーラーへの投入)
水洗後液M2(水洗後液M5)は、クリンカクーラーに、例えば、水中ポンプ、圧送等の一般的な液体用輸送装置を用いて、クリンカに直接あたるようにホースから吐出して投入することができる。この場合、クリンカ温度が400℃以下、かつ液滴径は5mm以上とすると、蒸発してアルカリ金属塩が飛散することなく添加できる。また、セメントが風化しないように水量や液滴径を適宜調節することができる。
(クリンカクーラーからミルの間に投入)
水洗後液M2(水洗後液M5)は、クリンカクーラーから仕上げミルの間の粗砕機、バケットエレベーター、ベルトコンベアなどの輸送機に投入することができる。例えば、水中ポンプ、薬注ポンプ等の一般的な液体用輸送装置を用いて、クリンカに直接あたるように液滴添加やシャワーにより投入することができる。クリンカ温度が80℃以上であると、装置への付着や固結が防止され、セメントを風化させずに多量の水洗後液を添加することができる。また、セメントが風化しないように水量や液滴径を適宜調節することができる。
(ミルへの投入)
水洗後液M2(水洗後液M5)は、仕上げミルに既存の散水設備である送液ポンプ等の一般的な液体用輸送装置を用いて、液滴添加やシャワーにより投入することができる。乾燥固化を行えば投入量を増加させることができる。
(混合セメント調製のための混合機に投入)
水洗後液M2(水洗後液M5)は、ミキサー、エアーブレンダー等の一般的な混合装置にスプレーノズル等を用いて投入することができる。ただし、セメントの温度は80℃以下であるので、セメントを風化させないように、シャワーやミストにして添加し、水量を調整することができる。乾燥固化を行えば投入量を増加させることができる。
上述の添加方法により製造されたセメントは、公知の方法で水や骨材等と混練して、セメント硬化物が製造される。
(コンクリートミキサに投入)
水洗後液M2(水洗後液M5)は、コンクリートミキサに既存の水投入設備を用いて投入することができる。コンクリートは、セメント、骨材、水、混和剤等を用いて製造するので、混和剤として投入するか、少なくとも水の一部として混合して投入することができる。こうして混練されたコンクリートは養生されてセメント硬化体が製造される。
(改質焼却灰の利用)
以下には、本発明に係る方法において得られる改質焼却灰の利用態様について、更に具体的な例示を挙げて説明する。
上記に説明したとおり、改質焼却灰は、塩素等のセメント忌避成分が減じられており、なお且つ、セメントの凝結や流動性に影響を及ぼす易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムの含有量が十分に減じられているので、セメント混合材としての品質を一定に保つことが容易となる。また、アルカリ金属が減じられており、セメントクリンカ原料として好適なものとなる。
具体的に、改質焼却灰は、通常、その塩素濃度が、例えば典型的には0.002質量%~0.1質量%の濃度、より典型的には0.005質量%~0.035質量%の濃度にまで低減している。
また、その全アルカリ金属濃度(RO換算=NaO+0.658×KO)が、例えば典型的には1質量%~8質量%、より典型的には3質量%~6質量%にまで低減している。
また、その硫黄酸化物濃度(SO換算)が、例えば典型的には0.5質量%~4質量%、より典型的には1質量%~3質量%にまで低減している。
また、セレンの溶出量が、例えば典型的には0.002mg/L~0.02mg/L、より典型的には0.005mg/L~0.01mg/Lにまで低減している。
また、六価クロム溶出量が、例えば典型的には0.01mg/L~0.1mg/L、より典型的には0.02mg/L~0.05mg/Lにまで低減している。
また、後述する試験例で示されるように、セメントの凝結や流動性に影響を及ぼす易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムの含有量が十分に減じられ、カルシウム成分が炭酸カルシウムや硫酸カルシウム(石膏)の形態となる。これにより、品質変動が抑制されている。
例えば、水酸化カルシウムの含有量は、典型的には0.5質量%以下、より典型的には0.1質量%以下である。
また、例えば、硫酸カルシウム(石膏)の含有量は、典型的にはSO換算で0.5質量%以上、より典型的には3質量%以上である。
なお、上記した塩素濃度は、周知の方法で測定することができ、例えば、酸分解処理した後、電位差滴定法により測定する方法などが好ましく例示される。
なお、上記した全アルカリ金属濃度(RO換算=NaO+0.658×KO)は、周知の方法で測定することができ、例えば、試料を酸分解処理した後、ICP発行分光分析法や、蛍光X線装置による検量線法などで測定することができる。
また、上記した硫黄酸化物濃度(SO換算)は、周知の方法で測定することができ、例えば、蛍光X線装置による検量線法などで測定することができる。
また、上記したセレン(Se)及び六価クロム(Cr6+)の溶出量は、周知の方法で測定することができ、例えば、JIS K 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-第1部:溶出試験方法 5.利用有姿による試験」に準拠し検液を作成し、セレン(Se)はICP質量分析法によって、六価クロム(Cr6+)はジフェニルカルバジド吸光光度法によって測定する方法などが好ましく例示される。
また、上記した水酸化カルシウムの含有量は、周知の方法で測定することができ、例えば、DSC(示差操作熱量計)による400℃付近の脱水に熱量の測定により求める方法などが好ましく例示される。
また、上記した硫酸カルシウム(石膏)の含有量は、周知の方法で測定することができ、例えば、X線粉末回折のパターンから、リートベルト法により定量する方法などが好ましく例示される。
なお、水洗により得られる改質焼却灰M4には水分が持ち込まれる場合があるが、改質焼却灰M4のなかで水分が反応して水和物を形成し、セメントの混合材として使用した場合に、セメントの強度発現性や流動性が低下することがある。水和物の形成を防ぐには、乾燥状態にして保管することが好ましい。また、得られた改質焼却灰M4に水分が含まれたまま使用する場合には、セメント設備20に迅速に搬送して、含まれる水分が蒸発する処理を行うことが好ましい。
以下には、改質焼却灰M4のセメント設備20に搬送した後の利用態様について、更に具体的な例示を挙げて説明する。
(クリンカクーラーへの投入)
改質焼却灰M4は、セメント設備20におけるクリンカクーラーに直接投入することができる。投入方法としては、クーラー内の所望の温度の位置に、クーラーの上部から落下させる方法が挙げられる。投入量は、セメントクリンカの質量に対して0.5~20質量%程度となるように設定する。なお、エアクエンチングクーラーを使用すれば、クーラー内の所定の位置に改質焼却灰M4を投入することができるので、好適である。
改質焼却灰M4をクーラーに投入する場合、クリンカ製造とは直接関係のない熱エネルギーを利用して水分を蒸発することができ好都合である。また、クーラー内に粉塵が大量に発生することを防ぐ意味から、改質焼却灰M4は含水率を好ましくは50質量%以下とし、塊状か粒状のまま投入することが好ましい。
また、クリンカクーラー内の温度は、通常は200~1200℃であり、その投入位置に応じて加熱温度を選択することができる。しかし、改質焼却灰M4に含有されているCaCOが分解して生石灰(CaO)を生成したり、二酸化炭素を放出したりすることがないよう、200℃~800℃の低温部分に投入することが好ましい。
クーラーから排出された後には、ミルにおいて必要に応じて石膏とともに粉砕・混合されて混合セメントとなる。その際、必要に応じて散水や粉砕助剤を添加することができる。炭酸化処理された焼却灰は、ミルに投入される前に乾燥しているので、粉砕は従来と同様の運転管理で行うことができる。また、改質焼却灰M4はクリンカとともに粉砕されて細粒になるので反応性も高くなる。
(クリンカクーラーからミルの間に投入)
改質焼却灰M4は、クリンカクーラーからミルの間の粗砕機、バケットエレベーター、ベルトコンベアなどの搬送機に投入することができる。含水する改質焼却灰M4である場合は、クリンカ温度が80℃以上であると、装置への付着や固結が防止され、セメントを風化させずに多量の改質焼却灰を添加することができる。クーラーから排出された後には、ミルにおいて必要に応じて石膏とともに粉砕・混合されて混合セメントとなる。
(ミルへの投入)
改質焼却灰M4は、セメントクリンカ、必要に応じて石膏を投入して粉砕、混合を行うミルに直接投入することができる。ミルは仕上げ粉砕機とも呼ばれ、円筒状のドラムの中で鋼鉄のボールとセメントクリンカ、石膏がドラムの回転によって互いに衝突しながら粉砕される。石膏を使用する場合、その石膏は、特に限定されるものではなく、例えば、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏等が例示できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明により提供される改質方法によって、焼却灰中のカルシウム成分が硫酸カルシウム(石膏)の形態に改質していると、その石膏の機能性も期待し得る。
改質焼却灰M4は、セメントクリンカの質量に対して0.5質量%~30質量%添加することが好ましい。また、石膏は、SO換算で好ましくは1.5質量%~5.0質量%添加することが、セメントの強度発現性および流動性を向上するうえで好ましい。
ミルでの粉砕・混合の際、改質焼却灰M4は、含まれた水分が石膏の変質等を防ぐためにミル内の温度制御のために利用できる。また、水分過剰の場合には沈降分離などで簡易的に脱水可能であるし、水分が不足する場合には適切な量をミルに散水すればよい。なお、上述した廃液B1を使用した場合に、改質焼却灰M4にアミン類が残留していると、粉砕助剤としての機能性も期待し得る。また、上述したアミン類の残留による効果が期待できない場合には、適宜に適当な粉砕助剤を添加して、粉砕の効率を向上させることができる。
ミルにおいて粉砕された微粉末はセメントとして回収される。
上述の添加方法により製造された混合セメントは、公知の方法で水や骨材等と混練して、セメント硬化物が製造される。
(コンクリートミキサに投入)
改質焼却灰M4は、乾燥した粉体であればコンクリートミキサに既存の粉体投入設備を用いて投入することができる。改質焼却灰M4は、含水した固形状であれば、コンクリートミキサに固形物粉体投入設備を用いて投入することができる。コンクリートは、セメント、骨材、水、混和材、混和剤等を用いて製造するので、少なくとも混和材の一部として改質焼却灰M4を用いればよい。こうして混練されたコンクリートは養生されてセメント硬化体が製造される。
(クリンカ製造設備への投入)
アルカリ、塩素、硫黄等の成分が減じられた改質焼却灰M4は、その他のセメントクリンカ原料と混合したうえ、焼成して、セメントクリンカとすることもできる。例えばセメント設備における、セメントクリンカの原料の調合のための混合機への投入や、ロータリーキルン前のプレヒータートップや仮焼炉への投入や、ロータリーキルン窯尻や窯前の投入など、様々なセメント製造段階に投入可能なセメントクリンカ原料として好適に使用され得る。
なお、本発明に係る方法において得られる改質焼却灰は、水洗によりアルカリ金属成分が低減するものの石炭灰よりは高含有であるため、セメントクリンカ原料として用いるとアルカリ金属含有量の高いセメントが製造される場合がある。また、本発明に係る方法において得られる水洗後液の主成分はアルカリ金属塩である。したがって、これらをセメント又はセメント硬化物の原料として資源化した場合、コンクリートに多く含まれると骨材によってはアルカリ骨材反応を起こす可能性が高くなる。そのようなアルカリ骨材反応の可能性を低減するためには、高炉スラグ等の潜在水硬性物質、フライアッシュ等のポゾラン物質を混合した混合セメントの原料として利用することが好ましい。特に、焼却灰としてバイオマス灰を用いると、その場で同時に水洗により得られる水洗後液と改質バイオマス灰をセメント混合材として利用できる。一般的に混合セメントは活性が低いので、本発明に係る方法において得られる水洗後液を添加することでバイオマス灰の活性低下という弱点を補うことができる。
また、焼却灰の水洗の態様については、以下のような水洗順番が好ましく例示される。
・塩素濃度が低いものから水洗すると効率的なので、バイオマス灰を水洗前に分級した場合は、バイオマス灰粗粒分を水洗した水でバイオマス灰細粒分を洗うとよい。
・都市ごみ焼却灰や塩素バイパスダストと、バイオマス灰を用いる場合は、バイオマス灰を水洗した水で、都市ごみ焼却灰及び/又は塩素バイパスダストを洗うとよい。
・排水のスケールを抑制したい場合は、バイオマス灰の2回目の水洗をした水で都市ごみ焼却灰及び/又は塩素バイパスダストを水洗し、その水でバイオマス灰の1回目水洗を行うとよい。
・更に、排水のスケールを抑制したい場合は、バイオマス灰粗粒分を洗い、その水洗水でバイオマス灰細粒分を洗い(2回目)、その水洗水で都市ごみ焼却灰及び/又は塩素バイパスダストを洗い、その水洗水でバイオマス灰細粒分の1回目水洗を行ってもよい。
以下には、焼却灰M1を分級して得た粗粒分M7のセメント設備20に搬送した後の利用態様について、更に具体的な例示を挙げて説明する。
(クリンカ製造設備への投入)
粗粒分M7は、サイロや原料置場等に保管され、セメントクリンカ製造に合わせて必要量が検量され、クリンカ製造設備に搬送され得る。
粗粒分M7は、その他のセメントクリンカ原料とともに乾燥機に投入され乾燥されたり、粉砕機に投入され粉砕されたり、混合機に投入され混合されたりしてもよい。混合された原料は、プレヒータートップに投入され得る。
また、粗粒分M7は、含水量が高い場合など取り扱いその他のセメントクリンカ原料よりも困難な場合、仮焼炉やロータリーキルン窯尻に投入することもできる。
また、粗粒分M7は成形や造粒などを行い圧送が可能なものとすれば、窯前からキルン内へ投入することもできる。
キルンで焼成された粗粒分M7を含む原料は、セメントクリンカとなり、石膏ととともに粉砕されてセメントとなる。製造されたセメントは、公知の方法で水や骨材等と混練して、セメント硬化物が製造される。
以上のとおり、本発明によれば、焼却灰を水洗して得られる水洗後液をセメント又はセメント硬化物の原料として利用するので、従来は廃液中に処分されていたアルカリ金属成分を有効に資源化することができる。また、水洗後液を得た後に残る改質焼却灰は、水洗により塩素成分が除去されており、アルカリ金属や硫黄成分も除去されているから、セメントクリンカの原料として好適に資源化され得る。更に、この改質焼却灰は、急激な水和熱の抑制や、流動性低下の抑制、石膏代替などの機能の点から、セメント混合材や混和材利用の用途にも好適に資源化され得る。
最後に、試験例を挙げて本発明について更に詳細に説明する。ただし、これらの試験例は本発明の範囲を限定するものではない。
[試験例1]
木質バイオマス(間伐材)を燃料にして循環流動床炉による発電を実施しているバイオマス発電施設Aから飛灰(粒度D50(頻度)が45.3μm、750℃における強熱減量2.3%)を入手して、これを水洗すること、ならびにその水洗の際のpH条件が成分組成にどのような影響を与えるか調べた。具体的に、以下の手順で試験を行った。
〔1.試験〕
(a)バイオマス灰100gと水道水400gをビーカーに投入し、スラリーにして、攪拌機にて400rpmで30分間攪拌した。
(b)COガスでpHを調整して洗浄を行う場合には、pHメーターで液中pHを監視しながら流量を調整した。
(c)攪拌を停止後、ブフナーロートを使用して濾別し、得られた濾紙上のケーキには更に水道水400gを投入してスラリーを洗浄後、回収した。
(d)回収したケーキを自然乾燥後、重量を測定し、各種分析を行った。
表1には、各水洗条件の水準をまとめた。
Figure 2022045008000002
〔2.分析〕
Clの定量:試料を硝酸分解処理した後、電位差滴定法により測定した。
K,Naの定量:試料を酸分解処理した後、ICP発行分光分析法により測定した。
Se,Cr6+の溶出試験:JIS K 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-第1部:溶出試験方法 5.利用有姿による試験」に準拠し検液を作成し、SeはICP質量分析法によって、Cr6+はジフェニルカルバジド吸光光度法によって測定した。
C,Mg,Al,Si,P,S,Ca,Feの定量:40℃乾燥処理を施した試料を蛍光X線装置(FP法:ファンダメンタルパラメーター法)によって測定した。
表2、3には、各水洗条件の水準とともに各定量試験または溶出試験の結果をまとめて示す。
Figure 2022045008000003
Figure 2022045008000004
その結果、表2に示されるように、原灰を水洗することにより塩素のほとんどが水溶し、混合材として用いた場合のセメントを使用してセメント硬化体を製造しても鉄筋等への腐食作用の虞がないと評価される許容基準0.035質量%以下を満たすことができた。これに対して、カリウムやナトリウム等のアルカリ金属はガラス相に含まれるものが多いので灰にとどまる傾向であったが、硫黄分は半減しておりカルシウムやカリウム塩として水洗水に溶け出したことがわかる。
一方、原灰に含まれる水溶性セレンや六価クロムも水洗により有効に除かれており、混合材として用いた場合の重金属類の溶出の虞も低減することが明らかとなった。
表3に示されるように、このバイオマス灰は、SiOやCaOが主要な構成元素であった。なかでもKO含有率は水洗後も4質量%以上であり、反応性の高いポゾラン混合材として有用であることが明らかとなった。
また、水洗を、COガスを吹き込みながら行うとCO含有率が上昇することが明らかとなった。よって、これらのpH調整のための成分は、水洗の操作後にはその少なくとも一部が灰中に固定化されているものと考えられた。
表4には、XRD法(X線回折法)により灰中のカルシウム成分の存在形態を調べた結果を示す。
Figure 2022045008000005
その結果、表4に示されるように、原灰ではカルシウム成分の形態として、CaO(生石灰)、Ca(OH)(消石灰)、CaCO(石灰石)、CaSO(石膏)の各Ca化合物の存在が確認された。これに対して、pH調整せずに水洗した水準1-1では、CaO(生石灰)の存在は消失し、Ca(OH)(消石灰)の存在の減少がみられた。また、COガスを吹込みながらpH9の条件で水洗した水準1-2では、CaO(生石灰)とCa(OH)(消石灰)の存在が消失した。
[試験例2]
木質ペレットおよびパーム椰子殻を燃料にしてストーカ炉による発電を実施しているバイオマス発電施設Bから焼却飛灰(粒度D50(頻度)が20.0μm、750℃における強熱減量6.1%)を入手して、試験例1の水準1-1と同様の試験を行った。
表5には、試験例2で行った水洗条件の水準を示す。
Figure 2022045008000006
また、表6、7には、各水洗条件の水準とともに各定量試験または溶出試験の結果をまとめて示す。
Figure 2022045008000007
Figure 2022045008000008
その結果、表6に示されるように、原灰を水洗することにより塩素のほとんどが水溶し、混合材として用いた場合のセメントを使用してセメント硬化体を製造しても鉄筋等への腐食作用の虞がないと評価される許容基準0.035質量%以下を満たすことができた。これに対して、カリウム等のアルカリ金属はガラス相に含まれるものが多いので灰にとどまる傾向であったが、硫黄分は減少しておりカルシウムやカリウム塩として水洗水に溶け出したことがわかる。
表7に示されるように、このバイオマス灰は、SiOが主要な構成元素であった。なかでもKO含有率は水洗後も3.5質量%以上であり、反応性の高いポゾラン混合材として有用であることが明らかとなった。
[試験例3]
パーム椰子殻(石炭10%混焼)を燃料にして循環流動床炉による発電を実施しているバイオマス発電施設Cから焼却飛灰(粒度D50(頻度)が47.2μm、975℃における強熱減量4.2%)を入手して、これを分級することがバイオマス灰の成分組成にどのような影響を与えるか調べた。具体的に、目開き45μmのふるい(スピンエアシーブ:セイシン企業製SAR-75/200)を用いて、ふるい通過分として細粒分を、ふるい残分として粗粒分を得て、蛍光X線装置(セメント原料(粘土)の検量線法)によって化学成分を測定した。更には細粒分を試験例1の水準1-1と同様の水洗試験を行った。
Figure 2022045008000009
その結果、表8に示されるように、原灰を分級した細粉分に塩素と硫黄のほとんどが含まれることがわかる。更に、これを水洗することでClのほぼ全てと、SOとKOの一部が水溶し、効率的に水溶性アルカリ金属塩成分を水溶できることがわかる。これに対して、原灰を分級した粗粒分のアルカリ金属の減少量は小さいが、ClとSOをほとんど含まず、CaOが減少、SiOは増加しているので、石炭灰の化学組成に近くなり、セメントクリンカ原料として好適であることが明らかとなった。
なお、粗粒分はClをほとんど含まず、KO含有率は水洗後も3.5質量%以上であるのでポゾラン混合材として使用でき、粉砕を行えば反応性の高いポゾラン混合材として利用できることが明らかとなった。
1…粉体溶解槽、11…粉体供給装置、12…液体供給装置、13…酸溶液供給装置、14…廃液供給装置、15…スラリー攪拌装置、16…pH測定装置、2…固液分離装置、20…セメント設備、21…水洗浄装置、3…水洗後液又はその水分除去物の投入装置、4…二酸化炭素含有ガス供給装置、5…脱水物投入装置、6…塩素イオン低減化装置、7…分級装置、8…粗粒分投入装置、10…制御装置、A1…pH調整剤(酸溶液)、B1…廃液、C1…脱水物、M1…焼却灰、M2…水洗後液、M3…他の原料、M4…改質焼却灰、M5…塩素イオンが低減された水洗後液、M6…焼却灰の細粒分、M7…焼却灰の粗粒分、S1…スラリー(水洗前)、S2…スラリー(水洗後)、W1、W3…水、W2…排水

Claims (17)

  1. 焼却灰に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、
    前記スラリーを水洗する水洗工程と、
    前記水洗後のスラリーを脱水する脱水工程と、
    前記脱水後の水洗後液又はその水分除去物をセメント設備に投入する投入工程を備えていることを特徴とするセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  2. 前記水洗後液を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入する、請求項1記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  3. 前記水洗後液又はその水分除去物は、該水洗後液の塩素イオンを低減してから、前記セメント設備に投入する、請求項1又は2記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  4. 前記塩素イオンの低減が両性イオン交換樹脂及び/又はナノろ過膜によるものである、請求項3記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  5. 前記脱水後の改質焼却灰をセメント設備に投入する、請求項1~4のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  6. 前記焼却灰はバイオマス灰である、請求項1~5のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  7. 前記バイオマス灰は、飛灰又は分級した細粒分を用いる、請求項6記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  8. 前記水洗後液又はその水分除去物は、該水洗後液の塩素イオンを両性イオン交換樹脂により低減してから、前記セメント設備に投入する、請求項6又は7記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  9. 前記脱水後の改質バイオマス灰を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入する、請求項6~8のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  10. 前記水洗工程において、前記スラリーの水洗を該スラリーに二酸化炭素含有ガスの吹込みながら行う、請求項1~9のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造方法。
  11. 収容された焼却灰に水を加えてスラリーにして水洗するための粉体溶解槽と、
    前記粉体溶解槽から排出されたスラリーを脱水するための固液分離装置と、
    前記固液分離装置で分離された水洗後液又はその水分除去物をセメント設備に投入するための水洗後液又はその水分除去物の投入装置を備えていることを特徴とするセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  12. 前記水洗後液又はその水分除去物の投入装置は、前記水洗後液を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入するためのものである、請求項11記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  13. 前記水洗後液の塩素イオンを低減するための塩素イオン低減化装置を更に備えている、請求項11又は12記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  14. 前記粉体溶解槽に収容された前記スラリーに二酸化炭素含有ガスを吹込むための二酸化炭素含有ガス供給装置を更に備えている、請求項11~13のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  15. 前記固液分離装置で分離された前記脱水物を、セメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラー、セメントクリンカを予備粉砕するための予備粉砕ミル、仕上げ粉砕のための仕上げミル、前記クリンカクーラーと前記仕上げミルとの間の輸送機、混合セメント調製のための混合機、及びコンクリートミキサからなる群から選ばれた1種又は2種以上の設備に投入するための脱水物投入装置を更に備えている、請求項11~14のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  16. 前記粉体溶解槽に収容する焼却灰として分級した細粒分を得るための分級装置を更に備えている、請求項11~15のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。
  17. 前記焼却灰がバイオマス灰である、請求項11~16のいずれか1項に記載のセメント又はセメント硬化物の製造システム。

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