JP2004216329A - 焼却灰のセメント原料化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特殊な密閉型車両を使用しなくてもダイオキシン類を飛散することなく広域的輸送を実現することができる焼却灰のセメント原料化方法を提供することを課題とする。
【解決手段】廃棄物焼却施設Aから排出された焼却灰が第1保管施設Bの収納部8に収納されると、スプリンクラー10により散水して焼却灰が水洗処理され、焼却灰中に含まれる塩類及び重金属類などが除去される。次に、セメント原料として好ましいレベルまで焼却灰の塩素濃度が低減されると、クレーン等により焼却灰を掘削すると共にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を焼却灰に添加しながら、焼却灰を第1保管施設Bから第2保管施設Cに移し替える。そして、第2保管施設Cで微生物と焼却灰とが接触することにより焼却灰中のダイオキシン類が分解される。その後、焼却灰はセメント原料として使用される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、焼却灰のセメント原料化方法に係り、特に廃棄物焼却施設から排出される焼却灰、すなわち焼却主灰及び飛灰(ばいじん)をセメント製造用の原料の一部として再資源化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可燃性の家庭ごみ廃棄物及び産業廃棄物は、ストーカ式焼却炉または流動床式焼却炉において焼却され、焼却灰として廃棄物最終処分場に埋立て処分される。ここで、焼却灰は焼却主灰及び飛灰(ばいじん)の両者を示す。焼却灰のうち集塵機等で捕集される飛灰は、高い塩素濃度を有すると共に、金属類及びダイオキシン類で過度に汚染されており、平成3年の廃棄物処理法の改正により特別管理一般廃棄物に指定されている。一方、焼却灰のうち焼却残渣として排出される焼却主灰(炉底灰、炉下灰)では、その塩素濃度、重金属類濃度及びダイオキシン類濃度が飛灰と比較するとはるかに低い。なお、廃棄物最終処分場の安全性を確保するため、最終処分される焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量が法律で定められる所定値を超過するものについては、遮断型最終処分場へ埋立て処分するか、溶融、セメント固化及びダイオキシン類の分解処理を行なった後、管理型最終処分場へ埋立て処分することが義務づけられている。
【0003】
ところで、廃棄物焼却施設より発生する焼却灰は、セメント原料として必要なCaO、SiO、Al及びFeなどを含んでいるため、セメント製造用の原料として十分に再資源化することができる。加えて、セメント製造の際の焼成工程で原料は1400℃以上の高温にさらされるため、焼却灰中のダイオキシン類の完全な分解が可能であるほか、重金属類はセメントクリンカ鉱物中に取り込まれて固定化することができる。
【0004】
この理由により、近年焼却灰を原料の一部に用いたセメント製造技術が確立され、単一のセメント焼成キルンにおいて年間の4万t焼却主灰と1万tの飛灰がセメントに再資源化されている。ここで、廃棄物焼却施設より排出される焼却主灰及び飛灰の塩素濃度は一般にそれぞれ1%及び15%程度である。上述の技術によれば、焼却主灰は磁力選別による鉄分除去及びふるいによる異物除去のみを施されてセメント原料とされる。一方、飛灰にはNaClが高濃度で含まれており、セメント製造プロセスへの過度な塩素の持ち込みはキルンの安定操業及びセメントの品質に悪影響を及ぼすため、水洗処理により塩素成分を除去した後にセメント原料化される。
【0005】
このとき、塩素成分の除去がなされていない焼却主灰と水洗処理された飛灰とからの塩素の持ち込み量を比較してみると、焼却主灰からはセメントクリンカ中190ppm、水洗処理された飛灰からはセメントクリンカ中14ppmとなり、再資源化量の多い焼却主灰からの塩素の持ち込み量のほうがはるかに多い。
焼却主灰からの脱塩素に水洗法が適用されていないのは、飛灰の水洗法による塩素の除去率が98%であるのに対して、焼却主灰の水洗法による塩素除去率が50%にとどまり、その結果、水洗設備の投資効果が低いとされていたためである。
【0006】
これに対し、近年焼却主灰の水洗による低脱塩素率の問題に関して特許文献1にみられるような技術提案がなされた。同技術は都市ごみ焼却灰のセメント原料化方法に関するものであり、都市ごみ焼却灰中に含まれる塩素成分を除去する工程において、表面に覆土を被せた状態で都市ごみ焼却灰を管理型処分場の土中に埋設し、その後、雨水にさらす以外に、スプリンクラー、散水車またはその他の散水設備によって強制散水するようになっている。
これは、都市ごみ焼却灰中にフリーデル氏塩などの難水溶性の塩類が含まれていても、長期間にわたる水洗によれば溶出除去が可能であることを示している。すなわち、水洗法により飛灰だけでなく焼却主灰からの効率的な脱塩素も可能であり、セメント原料としての有効利用量の増加に寄与することとなる。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−322381号公報
【0008】
一方、焼却主灰に2〜3ng−TEQ/gのダイオキシン類が含まれ、飛灰に10ng−TEQ/g程度のダイオキシン類が含まれている。これら人体に有害なダイオキシン類は、水洗手段によって分解されることはない。しかし、上述のように、セメント製造の焼成工程で原料が1400℃以上の高温にさらされる際に、焼却灰中のダイオキシン類の完全な分解が可能であるため、水洗処理後の焼却灰中にダイオキシン類が残留していてもこの焼却灰をセメント原料として利用することは技術的にはなんら問題はない。
【0009】
ところで、セメント製造工場はすべての都道府県に所在していないため、将来焼却灰のセメント原料化量が増加するような場合には、複数の都道府県が関与する広域的輸送の必要が想定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような水洗処理のみを施された焼却灰では、セメント原料として有効利用するのに好ましいレベルにまで塩素の濃度は低減されてはいるものの、依然として数ng−TEQ/gの濃度でダイオキシン類が残留している。そのため焼却灰に含まれるダイオキシン類が輸送時に飛散する虞があり、複数の都道府県にまたがる広域的輸送の実現が困難であった。
また、この輸送時のダイオキシン類の飛散を防止するために特殊な密閉型車両を用いて輸送することもできるが、特殊な密閉型車両を要するためその分コストが嵩んでしまう。
【0011】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、特殊な密閉型車両を使用しなくてもダイオキシン類を飛散することなく広域的輸送を実現することができる焼却灰のセメント原料化方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る焼却灰のセメント原料化方法は、焼却炉より排出された焼却灰を水洗処理すると共にこの焼却灰にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を接触させて焼却灰中のダイオキシン類を分解し、水洗処理及びダイオキシン類分解処理が施された焼却灰をセメントの原料として利用する方法である。
水洗処理は、天然の降水または強制散水により行われることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1を参照して、この発明の実施の形態に係る焼却灰のセメント原料化方法を説明する。廃棄物焼却施設Aは、廃棄物焼却炉1、その内部に水が貯留された水没ピット2、水没ピット2の内側から外側まで延在するコンベア3、コンベア3にそれぞれ対向するように設けられたドラム型選別機4と磁力選別機5、及びコンベア3で搬送された焼却主灰を一時貯蔵する灰出しバンカー6を有している。また、この廃棄物焼却施設Aとは別に水洗処理を行うための第1保管施設B及びダイオキシン分解処理を行うための第2保管施設Cが配置されており、廃棄物焼却施設Aから排出された焼却主灰がダンプトラック7などにより第1保管施設Bへ搬送されるようになっている。
なお、図示されていないが、廃棄物焼却施設Aには、廃棄物焼却炉1で発生する排ガスを冷却する排ガス冷却塔及びこの排ガスの中から飛灰を回収するための集塵機が備えられている。
【0014】
第1保管施設Bは、焼却灰を収納するための収納部8を有しており、収納部8の上部には自然の降雨の影響を極力防止して水洗条件の管理を厳密に行うための屋根9が形成されている。収納部8内にはスプリンクラー10が設置されており、このスプリンクラー10は収納した焼却灰の表面全体に均一な散水ができるように収納物8内の高い位置に設けられている。また、収納部8の底部には、焼却灰からの浸出水が効率的に集水されるように、傾斜面或いは浸出水を導水する溝などからなる集水設備11が形成されている。なお、収納部8の側面と底面及び屋根9は、鋼板やコンクリートなどの不透水性の材料から形成されている。また、第1保管施設Bの外部に水タンク12が配置されており、この水タンク12内に貯留された水がスプリンクラー10に供給されるようになっている。さらに、第1保管施設Bの外部には、第1保管施設Bの集水設備11で集水された浸出水を浄化するための水処理施設13が設置されている。
また、第2保管施設Cも、焼却灰を収納するための収納部14を有している。
【0015】
次に、この実施の形態に係る焼却灰のセメント原料化方法の動作について説明する。廃棄物の焼却灰は、焼却炉1より排出された後直ちに消火と発塵の防止を目的として、水没ピット2へ投入される。水没ピット2中では焼却灰中の水溶性のNaCl、KClなどの塩類が水に溶解する。続いて塩水で湿潤した焼却灰はコンベア3によりトロンメルなどのドラム型選別機4及び磁力選別機5へ輸送される。ドラム型選別機では粗大異物が分離され、磁力選別機5では焼却灰中の鉄屑などが除去される。塩水で湿潤した焼却灰は灰出しバンカー6で一時貯蔵された後、ダンプトラック7などで第1保管施設Bへ搬送されてその収納部8に収納される。
【0016】
また、廃棄物焼却炉1で発生する排ガスは、排ガス冷却塔において燃焼ガス中で蒸気または液体として存在していたNaCl、KClなどの塩類が固体となり、他のダストとともに飛灰として集塵機により回収される。ここで、飛灰中にはダイオキシン類が含まれているので、密閉型の車両を用いて第1保管施設Bまで輸送してその収納部8に収納する。この収納部8への収納の際、飛灰が周囲の環境へ飛散することを防止するため、散水しながら収納するか、水を添加してスラリー状として収納することが望ましく、また、飛灰の収納後に焼却主灰及び飛灰を天然の土壌などダイオキシン類を含まない無機粉体状物で覆土することが望ましい。
【0017】
このように焼却灰、すなわち焼却主灰及び飛灰が収納されると、第1保管施設Bのスプリンクラー10に水タンク12から水が供給されて散水が開始され、これにより焼却灰が水洗されて焼却灰中の水溶性の塩類および重金属類などが除去される。この水洗処理が長期間にわたって行われ、セメント原料とする上で望ましいレベルまで焼却灰中の塩類および重金属類が除去される。この水洗処理工程における散水量は1日当たり25mm以上であることが望ましい。
また、焼却灰の水洗に使用された水は焼却灰から浸出して第1保管施設Bの集水設備11で集水され、液体ポンプにより水処理施設13に設けられた貯水タンクへ送られる。水処理施設13では、この浸出水が河川放流または海洋放流が可能なレベルにまで浄化されて排水される。
【0018】
第1保管施設Bにおいて、セメント原料とする上で望ましいレベルにまで塩素濃度の低減が達せられた焼却灰は、第1保管施設Bの収納部8から第2保管施設Cの収納部14に移し替えられ、ここでダイオキシン類分解処理が開始される。このとき、クレーン及びコンベアなどにより焼却灰を掘削すると共にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を焼却灰に添加しながら移し替える。ここで、ダイオキシン類を分解する能力を有する微生物としては、カワタケ属、ヒラタケ属、シワタケ属、コガネシワウロコタケ属、シュタケ属、シュードモナス属、担子菌、アクレモニウム属、テラバクター属、モルチエレラ属、ペニシリウム属など公知のものを用いることができる。
そして、第2保管施設Cにおいて、ダイオキシン類を分解する能力を有する微生物と焼却灰とが接触することにより、焼却灰中に含まれるダイオキシン類が分解される。この分解処理が長期間にわたって行われ、セメント原料とする上で望ましいレベルまで焼却灰中のダイオキシン類濃度が低減される。その後、焼却灰はセメント原料として使用される。
【0019】
以上のように、第1保管施設Bにおける水洗処理及び第2保管施設Cにおけるダイオキシン類分解処理を施された焼却灰は、セメント原料としての有効利用が促進できる状態にまで適切に前処理されている。すなわち、セメント原料化率の向上の障害となる塩素成分が高効率で除去されると共に、セメントの品質確保の上で問題となる重金属類の濃度も低減され、さらに、焼却灰中に含まれていたダイオキシン類の分解も高効率で達せられている。従って、この焼却灰をセメント工場まで輸送するにあたり、特殊な密閉車両を使用する必要なくセメント工場までの安全な輸送が確保される。これにより、複数の都道府県にまたがる広域的輸送を実現することができる。また、この焼却灰をセメント原料として使用することにより、セメント製造プロセスへの塩素の持ち込み量を大幅に低減させることができるので、焼却灰のセメント原料化量を大幅に向上させることができる。
【0020】
また、従来ダイオキシン類を含む飛灰などは、作業環境及び周辺環境への飛散の問題を考慮して、セメント製造の焼成工程においてそのまま添加する方法が採用されていたが、本発明によれば、焼却灰中のダイオキシン類の分解が達せられているので、特殊な添加設備を必要とせず、原料調合系から天然の石灰石など他の原料と同様に原料調合工程からの添加が可能となる。
【0021】
なお、上述の実施の形態におけるスプリンクラー10の代わりに、散水車またはその他の散水設備を使用して強制散水することにより水洗処理を行うことができる。また、強制散水する代わりに、天然の降水を利用して水洗処理を行ってもよい。
【0022】
また、上述の実施の形態における第1保管施設Bは、第1重金属類を凝集沈殿させて回収するためのpH調整槽、沈殿槽を設備することはもちろん、NaCl、KClなどの可水溶性の塩類を回収する塩回収設備などを備えることが望ましい。
さらに、廃棄物焼却炉1で排出された焼却灰は、できる限り短時間のうちに大量の水で水洗することで焼却灰中の塩素成分の脱塩素が効果的に行えるため、小容積で複数の第1保管施設Bを設置することが望ましい。
【0023】
また、上述の実施の形態では、焼却主灰及び飛灰を共に第1保管施設Bの収納部8に収納して水洗処理を行ったが、飛灰はもともと高い水洗脱塩効率を有しているので、飛灰のみを別の保管施設で水洗脱塩してから焼却主灰と共に第1保管施設Bに収納すればより効果的に脱塩することができる。
【0024】
また、上述の実施の形態では、廃棄物焼却施設Aとは別に水洗処理を行うための第1保管施設B及びダイオキシン分解処理を行うための第2保管施設Cが配置されていたが、これら第1保管施設B及び第2保管施設Cは、廃棄物焼却施設Aに一体に設置されていてもよい。
【0025】
また、上述の実施の形態では、水洗処理を行う第1保管施設Bとダイオキシン類分解処理を行う第2保管施設Cとをそれぞれ別に用意したが、この代わりに、同一の保管施設において、水洗脱塩処理及びダイオキシン類分解処理を行ってもよい。その場合には、ダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を均一に分布させるために掘削という作業が発生し、保管施設内において深さ方向に1m以上も掘削する必要がある。従って、上述の実施の形態のように、クレーン及びコンベアなどを使って焼却灰を掘削すると共にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を添加しながら移し替える方が経済的である。
さらに、第1保管施設Bから第2保管施設Cへ移し替える際に、食品廃棄物、食品廃棄物に由来する汚泥、生物活動に由来する糞尿、木質廃棄物などを添加することができる。これらの有機物は、微生物の繁殖を助長する栄養源として作用するので、ダイオキシン類の分解を効率的に行うことができる。
【0026】
【実施例】
ここで、人口16万人の自治体が運営管理する都市ごみ焼却処理施設を例にとって、本発明に係る焼却灰のセメント原料化方法を説明する。この焼却処理施設に一日に持ち込まれる都市ごみの量は平均するとおおよそ150トンである。この都市ごみの焼却により一日あたり約14トンの焼却主灰及び4.5トンの焼却飛灰が発生する。
上述の実施の形態で説明したように、焼却炉より排出された直後の焼却主灰を水没ピットに投入し、この焼却主灰をコンベアにより掻き揚げてドラム型選別機で粗大な異物が除去すると共に磁力選別機で鉄屑を分離除去した後、そのまま灰出しバンカーで一時貯蔵した。
一方、上述の実施の形態では排ガス処理系の集塵機で回収された飛灰を密閉車両で輸送したが、この実施例では、飛灰をスラリー化タンクに供給し、飛灰の重量の5倍の重量の水を添加してスラリーとし、飛灰中に含まれる可溶性の塩類を溶解させる操作を行った。このスラリーをベルトフィルター装置へ供給し固液分離操作を行い、飛灰中の塩類の除去を行った。塩類が除去された飛灰のケーキは、焼却主灰と共に灰出しバンカーで一時貯蔵した。なお、この操作においては、飛灰が湿潤な状態であるため、飛灰の飛散は十分抑制されている。したがって飛灰を焼却主灰とともに灰出しバンカーに貯蔵してもよく、第1保管施設に輸送して収納することもできる。
【0027】
次に、灰出しバンカーで一時貯蔵された焼却灰の一部をダンプトラックで第1保管施設へ輸送し、その収納部(幅2m×長さ3.2m×深さ1m)に収納した。そして、収納された焼却灰の表面をダイオキシン類を含まない土壌で覆土し、ここで一日あたり25mmの割合で3ヶ月間にわたり塩素成分を含まない水で焼却灰を洗浄した。さらに、散水処理した焼却灰を掘り起こし、混練機を通して第2保管施設の収納部(幅2m×長さ3.2m×深さ1m)へ収納した。この混練操作の際に、木材の製材工程で発生した木屑を1mに対して0.2mとダイオキシン類を分解する能力を有する微生物のうちのシュードモナス属菌を培養した培地50mlとを添加して、焼却灰を第1保管施設から第2保管施設へ移し替え、その後、表面をダイオキシン類を含まない土壌で覆土して約1年間をかけてダイオキシン類の分解処理を行った。
【0028】
ここで、第1保管施設へ収納した直後の焼却灰(主灰及び水洗処理した飛灰からなる混合灰)、第1保管施設で水洗処理を施した後の焼却灰及び第2保管施設でダイオキシン類分解処理を施した後の焼却灰について、塩素濃度、重金属類(Cu、Pb、Zn)濃度及びダイオキシン類濃度を測定すると、表1のような結果が得られた。
【0029】
【表1】
Figure 2004216329
【0030】
Cl濃度についてみると、第1保管施設へ収納した直後の濃度(以下初期濃度)が7420ppmであったものが、水洗処理後には1710ppmとなり、ダイオキシン類分解処理後には1540ppmとなった。また、重金属類の濃度についてみると、Cu、Pb及びZnの濃度は、初期濃度がそれぞれ820ppm、560ppm及び1260ppmであったものが、水洗処理後にはそれぞれ400ppm、140ppm及び700ppmとなった。またダイオキシン類濃度についてみると、初期濃度が1.00ng−TEQ/gであったものがダイオキシン類分解処理後には0.40ng−TQE/gとなった。すなわち、焼却灰は、水洗処理されることにより焼却灰中の水溶性の塩類及びもともと溶解速度の遅い重金属類が長期にわたり溶出除去され、塩素成分と重金属とが高効率に除去されることがわかる。また、ダイオキシン類分解処理されることによりダイオキシン類が高効率に分解されることがわかる。
このように、セメント原料として望ましい状態にまで前処理した焼却灰は、掘削してダンプトラックに積替え、そのままセメント工場へ輸送してセメント製造工程の原料輸送系で天然原料に添加し、セメント原料の一部として使用した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、焼却炉より排出された焼却灰を水洗処理すると共にこの焼却灰にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を接触させて焼却灰中のダイオキシン類を分解し、水洗処理及びダイオキシン類分解処理が施された焼却灰をセメントの原料として利用するようにしたので、特殊な密閉型車両を使用しなくてもダイオキシン類を飛散することなく広域的輸送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る焼却灰のセメント原料化方法の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
1 廃棄物焼却炉、2 水没ピット、3 コンベア、4 ドラム型選別機、5磁力選別機、6 灰出しバンカー、7 ダンプトラック、8,14 収納部、9 屋根、10 スプリンクラー、11 集水設備、12 水タンク、13 水処理施設、A 廃棄物焼却施設、B 第1保管施設、C 第2保管施設。

Claims (2)

  1. 焼却炉より排出された焼却灰を水洗処理すると共にこの焼却灰にダイオキシン類を分解する能力を有する微生物を接触させて焼却灰中のダイオキシン類を分解し、
    前記水洗処理及びダイオキシン類分解処理が施された焼却灰をセメントの原料として利用することを特徴とする焼却灰のセメント原料化方法。
  2. 前記水洗処理は、天然の降水または強制散水により行われることを特徴とする請求項1に記載の焼却灰のセメント原料化方法。
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