JP2004167350A - 焼却灰の処理方法 - Google Patents

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靖久 田熊
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Abstract

【課題】この発明は、廃棄物焼却炉で生成される焼却灰から塩素成分を効率的に除去することにより、例えばセメント原料としての再資源化率を向上させることができる焼却灰の処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】廃棄物焼却炉1から排出された焼却主灰は冷却と発塵の防止を目的として水没ピット2へ投入された後、コンベア3によってドラム型選別機4へ輸送される。ドラム型選別機4では、洗浄水の散布を行いながら焼却主灰中に含まれている粗大な異物を除去する。焼却主灰は散布された洗浄水と伴に集水皿5を介してスパイラル分級機7に供給され、焼却主灰からNaCl、KClなどの可溶性の塩類を溶解した塩水を分離する。その後、焼却主灰は、スパイラル分級機7から一時保管施設9へ輸送されて収納され、ここで長期間の散水処理がなされる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、焼却灰の処理方法に係り、特に廃棄物焼却炉で生成される焼却灰から塩素成分を効率的に除去し、セメント製造用原料としての利用を容易とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、可燃性の家庭ごみ廃棄物及び産業廃棄物は、廃棄物焼却施設のストーカ式焼却炉または流動床式焼却炉において焼却され、焼却灰として廃棄物最終処分場に埋立て処分されている。焼却灰のうち集塵機等で捕集される飛灰(ばいじん)は、塩素濃度が高く、重金属類及びダイオキシン類で過度に汚染されており、平成3年の廃棄物処理法の改正により特別管理一般廃棄物に指定されている。一方、焼却灰のうち焼却残渣として排出される主灰(炉底灰、炉下灰)の塩素濃度、重金属類濃度及びダイオキシン類濃度は、飛灰と比較するとはるかに少ない。しかしながら、廃棄物最終処分場の安全性を確保するため、最終処分される焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量が、法律で定められる所定値を超過するものについては、遮断型最終処分場に埋立て処分するか、溶融、セメント固化、ダイオキシン類の分解処理を行なった後、管理型最終処分場に埋立て処分することが義務づけられている。
【0003】
ところで、廃棄物焼却施設より発生する焼却灰は、セメント原料として必要なCaO、SiO、Al及びFe等を含んでいるため、セメント焼成用の原料として十分に再資源化することができる。加えて、セメント焼成工程のなかで原料は1400℃以上の高温に晒されるため、焼却灰中のダイオキシン類の分解が可能であるほか、重金属類はセメントクリンカ鉱物中に取り込んで固定化することができる。
【0004】
これらの理由により、近年、焼却灰を原料の一部に用いたセメント製造技術が確立され、例えば単一のセメント焼成キルンにおいて年間4万トンの焼却主灰と1万トンの焼却飛灰がセメントに再資源化されている。焼却主灰中及び焼却飛灰中の塩素濃度は、それぞれ1%及び15%程度である。通常、焼却主灰は磁力選別による鉄分除去及びふるいによる異物除去のみを施してセメント原料とされる。一方、焼却飛灰にはNaCl等の形で塩素が高濃度で含まれているが、セメント製造プロセスへの過度な塩素の持ち込みはキルンの安定操業及びセメントの品質に悪影響を及ぼすため、水洗処理による塩素成分の除去の後セメント原料化されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、塩素成分の除去がなされていない焼却主灰と水洗処理された焼却飛灰とからの塩素の持ち込み量を比較してみると、焼却主灰からはセメントクリンカ中190ppm、水洗処理された焼却飛灰からはセメントクリンカ中14ppmとなり、再資源化量の多い焼却主灰からの塩素の持ち込み量のほうがはるかに多くなっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−322381号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年のセメント工場では、焼却灰だけでなく様々な廃棄物を原燃料の一部の代替物として再資源化している。これら廃棄物の処理量の増加に応じて、キルンの安定操業やセメント品質に悪影響を及ぼす塩素等の揮発性成分のキルンヘの持込み量も増加している。これら揮発性成分のうちの塩素の持ち込み量の増加に対する対策として塩素バイパス設備がある。塩素バイパス設備は、キルン尻付近の塩素等の揮発性成分濃縮領域からキルン排ガスの一部を抽気し、冷却することにより塩素化合物を主とする揮発性成分を固形化させた塩素バイパスダストを生成させ、この塩素バイパスダストを系外に排出することで、塩素をキルン内から除去する設備である。これにより、キルンの安定操業とセメントの品質を維持させることができる。
【0008】
ただし、原燃料からの塩素の持ち込み量が増加した場合に、その対抗措置として排ガスの抽気率を増加するように塩素バイパス設備の仕様をスケールアップすると、今度はプロセス全体の熱効率が低下すると共に、設備が大型化することによる投資の増加及び設置のためのスペースに限界がある等の問題が生じてしまう。
このため、現在の技術では、クリンカ中の塩素の持ち込み量は300ppm程度が限界とされており、塩素除去がなされていない焼却主灰のセメント再資源化率は頭打ちの状況である。
【0009】
そこで、焼却主灰からの塩素の持ち込み量を低減させる手段として、焼却飛灰と同様に、焼却主灰も水洗による塩素除去が考えられる。ところが、焼却飛灰の水洗法による塩素の除去率が約98%であるのに対して、焼却主灰を水洗してもその塩素除去率は約50%に留まる。この焼却主灰と焼却飛灰の塩素除去率の相違は、そもそも焼却主灰中の塩素濃度が1%程度であり、焼却飛灰中の塩素濃度15%と比較してかなり低濃度であることだけでなく、塩素の存在形態の違いに起因している。すなわち、焼却飛灰中の塩素が主としてNaCl、KCl等の水溶性の塩として存在しているのに対して、焼却主灰中の塩素はフリーデル氏塩(3CaO・Al・CaCl・10HO)等の難水溶性の塩として存在するためである。
【0010】
この発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、廃棄物焼却炉で生成される焼却灰のうち焼却飛灰のみならず焼却主灰からも塩素成分を効率的に除去することにより、例えばセメント原料としての再資源化率を向上させることができる焼却灰の処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、廃棄物焼却(炉)施設から排出された直後の焼却灰を水没処理して冷却し、難水溶性の塩が形成される前に固液分離することで効率的な脱塩素が行なえる点に着目し、本願における第一の発明を案出するに至った。
【0012】
通常焼却主灰は、冷却や発塵の防止等を目的として廃棄物焼却炉から排出されるときに水没処理される。そして水との接触を保ったままピットに一時貯蔵される。焼却主灰が水洗によって十分な塩素の除去がなされないのは、焼却主灰中の塩素がフリーデル氏塩などのような難水溶性の塩として存在しているからである。
【0013】
水没処理前の焼却主灰中には、セメントクリンカの主要構成鉱物のひとつであるカルシウムアルミネート(3CaO・Al)、Ca化合物及びCl化合物等が存在する。この焼却主灰を水没させると、Ca化合物及びCl化合物のCa及びClは水溶液中へイオンとして溶け出し、焼却主灰中のカルシウムアルミネートが一定時間この水溶液と接触することにより難水溶性のフリーデル氏塩が形成される。
したがって、焼却炉から排出された焼却主灰の水との接触時間をできる限り短くすれば、難水溶性のフリーデル氏塩の形成を抑制し、易水溶性のNaCl及びKClの状態で塩素成分を除去することができる。
【0014】
第一の発明に係る焼却灰の処理方法は、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を水没処理して冷却し、焼却灰に難水溶性の塩が形成される前に固液分離し、その後、焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理するものである。
【0015】
焼却灰が廃棄物焼却(炉)施設から排出された直後に水没処理して直ちに固液分離することで焼却灰から塩素を除去する。このように、焼却炉から排出された焼却灰の水との接触時間をできる限り短くするような水処理を行なえば、難水溶性のフリーデル氏塩の形成を抑制することができるので、水洗法による脱塩素率の低下を招くことがなく、焼却灰中の塩素を効率的に除去することができる。
【0016】
高効率な塩素成分の除去を行った後、焼却灰を一時保管施設に収納して天然の降水による洗浄以外に、スプリンクラー、散水車またはその他の散水設備によって強制的に散水することで、先の固液分離で除去しきれなかった焼却灰中の水溶性の塩類及びもともと溶解速度の遅い重金属類を長期にわたり溶出除去する。この洗浄により、塩素成分の大半と一部重金属とが除去された焼却灰を得ることができる。
【0017】
また、上記問題に関して本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、フリーデル氏塩が形成された焼却灰であっても洗浄水を添加して攪拌することで残余の水溶性の塩類の溶出を促進することができる点に注目し、本願における第二の発明を案出するに至った。
【0018】
第二の発明に係る焼却灰の処理方法は、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理し、水を添加して攪拌することでスラリー状にした焼却灰を固液分離するものである。
【0019】
廃棄物焼却処理施設より排出された焼却灰を一時保管施設に収納して天然の降水による洗浄以外に、スプリンクラー、散水車またはその他の散水設備によって散水することで、焼却灰中の水溶性の塩類及びもともと溶解速度の遅い重金属類を長期にわたり溶出除去させ、塩素成分の大半と一部重金属とを除去することができる。
【0020】
また、セメント原料化に先立って、一時保管施設から取り出した焼却灰に水を添加してスラリー状となし、強制的な混合攪拌操作を加えることで、長期散水で洗浄しきれなかった残余の水溶性の塩類の溶出を促進させることができる。このスラリーを固液分離することで、塩素および重金属濃度の大幅な低減が達せられた焼却灰を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1にこの発明の実施の形態1に係る焼却灰の処理方法の流れを概略的に示す。廃棄物焼却炉1の近傍に水没ピット2が配置されると共に、水没ピット2内にコンベア3が配置されている。コンベア3は水没ピット2の底部から、上部に延び、さらにドラム型選別機4の近傍まで延びている。ドラム型選別機4の下方には集水皿5が配置されている。集水皿5の近傍には磁力選別機6が配設されている。また、集水皿5は固液分離を行うためのスパイラル分級機7に接続されている。スパイラル分級機7の一端に固液分離後の水を浄化処理する水処理系8が接続され、スパイラル分級機7の他端近傍に一次保管施設9が配置されている。
【0022】
廃棄物焼却炉1から排出された焼却主灰は直ちに冷却と発塵の防止を目的として水没ピット2へ投入される。焼却主灰はコンベア3により水没ピット2からトロンメルなどのドラム型選別機4へ輸送される。ドラム型選別機4では、洗浄水を散布しながら焼却主灰中に含まれている粗大な異物が取り除かれる。
【0023】
異物が除去された焼却主灰は、散布された洗浄水と共に集水皿5に供給されてスパイラル分級機7へと移動する。このとき、磁力選別機6により焼却主灰中の鉄屑などが除去される。スパイラル分級機7では、NaCl、KClなどの可溶性の塩類を溶解した塩水と焼却主灰とに固液分離される。固液分離後の塩素成分が溶解した水は水処理系8に送られ、重金属類に対して適切な浄化処理がなされた後に排水される。
【0024】
一方、固液分離により塩素成分が除去された焼却主灰は、スパイラル分級機7から一時保管施設9へ輸送されて収納され、ここで長期間の散水処理がなされる。一時保管施設9での散水処理は、水に対する溶解速度が遅い物質、例えばフリーデル氏塩および重金属類などの除去が時間をかけて達成される。
【0025】
このような処理を終えた焼却主灰は、セメント資源化率の向上の障害となる塩素成分が高効率で除去されているうえ、セメントの品質確保の上で問題となる重金属類も低減されるので、一時保管施設からセメント工場へ運び出されてセメント製造工程のなかの原料供給工程またはキルン尻部の高温部へそのまま添加し、セメント原料とすることができる。
【0026】
なお、焼却主灰が焼却炉から排出されてから固液分離装置であるスパイラル分級機7を通過するまでの滞留時間は5時間以内であることが望ましい。この間の滞留時間が長くなることは、難水溶性のフリーデル氏塩の生成につながり脱塩率の低下をまねくので好ましくない。
また、磁力選別機6を集水皿5の近傍に配置する代わりにコンベア3の近傍に設置し、コンベア3にて輸送中の焼却灰に対して鉄屑などを除去するようにしてもよい。
また、固液分離手段はスパイラル分級機7に限定されず、ベルトフィルタ方式であっても構わないし、遠心力を利用したデカンタ方式であっても構わない。
さらに、水没ピット2からドラム型選別機4の間で焼却主灰に対して焼却飛灰を添加して焼却主灰と一緒に焼却飛灰の処理をおこなうこともできる。
【0027】
実施の形態2.
図2にこの発明の実施の形態2に係る焼却灰の処理方法の流れを概略的に示す。廃棄物焼却炉1の近傍に水没ピット2が配置されると共に、水没ピット2内にコンベア3が配置されている。コンベア3は水没ピット2の底部から上部に延び、さらにドラム型選別機4及び磁力選別機6を介して灰出しバンカー10近傍まで延びている。灰出しバンカー10の下方には灰を洗浄処理施設に運搬するためのダンプトラック11が待機している。洗浄処理施設には、散水設備12が具備された一次保管施設9、水添加設備13が具備された混合攪拌装置14、および固液分離装置15が備えられている。固液分離装置15は、スパイラル分級機でも構わないし、ベルトフィルタ方式であっても構わないし、遠心力を利用したデカンタ方式であっても構わない。
【0028】
廃棄物焼却炉1から排出された焼却主灰は直ちに冷却と発塵の防止を目的として水没ピット2へ投入される。水没ピット2中では焼却主灰中の水溶性のNaCl、KClなどの塩類が水に溶解する。続いて塩水で湿潤した焼却主灰はコンベア3により水没ピット2からトロンメルなどのドラム型選別機4および磁力選別機6へ輸送される。ドラム型選別機4では焼却主灰に含まれていた粗大異物が除去され、磁力選別機6では焼却主灰に含まれていた鉄屑などが除去される。塩水で湿潤している焼却主灰は灰出しバンカー10で一時貯蔵された後、ダンプトラック11で洗浄処理施設に運搬される。
【0029】
洗浄処理施設にて、焼却主灰は一時保管施設9へ収納され、散水設備12により長期間にわたる散水処理、即ち焼却主灰の水洗処理がなされる。一時保管施設9での散水処理により、水溶性の塩類および重金属類などの除去が時間をかけて達成される。
【0030】
散水処理された焼却灰を一時保管施設9から取り出して混合攪拌装置14へ収納し、水添加設備13により洗浄水を添加しつつ強制的な混合攪拌操作を行ってスラリー状とし、残余の水溶性の塩類の溶出を促進させる。強制的な混合攪拌操作がなされた焼却灰のスラリーは固液分離装置15に供給されて焼却灰と洗浄水とが分離される。
【0031】
このような処理を終えた焼却主灰は、セメント資源化率の向上の障害となる塩素成分が高効率で除去されているうえ、セメントの品質確保の上で問題となる重金属類も低減されるので、洗浄処理施設からセメント工場へ運び出してセメント製造工程のなかの原料供給工程またはキルン尻部の高温部へそのまま添加し、セメント原料とすることができる。
【0032】
【実施例】
実施例1.
人口16万人の自治体が運営管理する都市ごみ焼却処理施設に一日に持ち込まれる都市ごみの量は平均するとおおよそ150トンである。この都市ごみの焼却により一日あたり約14トンの焼却主灰が発生する。焼却炉より排出された直後の焼却主灰中の塩素濃度を、蛍光X線の検量線法により定量したところ9400ppm程度であった。この焼却主灰を水没ピットに投入した。
【0033】
水没ピットの中では、焼却主灰中のNaClおよびKClなどの水溶性の塩類が水に溶解した。水没ピットの焼却主灰をコンベアにより掻き揚げて、塩水とともにドラム型選別機へ輸送し、ドラム型選別機にて焼却主灰に含まれていた粗大な異物を除去した。また、このとき、ドラム型選別機では、焼却主灰中の塩水を洗い流すために、塩素成分を含まない洗浄水(新水)をドラム型選別機の上部より、1時間あたり1.75トンの割合で散布した。この洗浄水の散布は複数の部位より分散して行うことが望ましい。
【0034】
その後、焼却主灰を洗浄水とともに集水皿を介してスパイラル分級機へ輸送した。また、集水皿上を移動している途中で磁力選別機にて焼却主灰から鉄成分を除去した。スパイラル分級機では焼却主灰と洗浄水とを固液分離し、分離された焼却主灰を一時保管施設へ収納した。一時保管施設では、一日あたり25mmの割合で3ヶ月間にわたり塩素成分を含まない水で焼却主灰を洗浄した。
【0035】
ここで、焼却炉より排出された直後の焼却主灰、スパイラル分級機で固液分離された焼却主灰および一時保管施設で長期にわたり散水洗浄した後の焼却主灰について、塩素濃度、重金属類(Cu、Pb、Zn)濃度を測定した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004167350
【0037】
Cl濃度についてみると、焼却炉排出直後の濃度(以下初期濃度)が9400ppmであったものが、スパイラル分級機の固液分離後には初期濃度の35%の3270ppmとなり、長期散水処理後の濃度は初期濃度の26%の2470ppmとなった。
一方、重金属類の濃度についてみてみると、固液分離段階での除去特性は必ずしも優れてはいないが、長期散水により初期濃度の50%程度まで低減できることが示された。このことは、もともと溶解度の小さい重金属類の水洗除去は十分な時間をかけてゆっくりと行うことが好ましいことを示している。
【0038】
塩素濃度および重金属類濃度が十分に低下した湿潤状態の焼却主灰を一時保管施設からセメント工場へ輸送し、セメント製造プロセスの原料供給工程で天然原料に添加してセメント原料の一部として再資源化した。
【0039】
従来技術によれば、セメント焼成用原料のうち焼却主灰が代替できる割合は2%程度であったものが、本願発明によれば約8%までの代替が可能となる。焼却主灰からの塩素の持ち込み量が、セメントクリンカ中200ppm程度に抑えることができるため、既存の能力の塩素バイパスが設備されているキルンであれば、工程トラブルの発生も起こらないし、またセメントの品質も低下することがない。
【0040】
実施例2.
一日あたり約14トンの焼却主灰が発生する都市ごみ焼却処理施設の焼却炉より排出された直後の焼却主灰中の塩素濃度を、蛍光X線の検量線法により定量したところ7800ppm程度であった。この焼却主灰を水没ピットに投入した。
【0041】
水没ピットの中では、焼却主灰中のNaClおよびKClなどの水溶性の塩類が水に溶解した。水没ピットの焼却主灰をコンベアにより掻き揚げて、塩水とともにドラム型選別機へ輸送し、粗大な異物を除去した。続いて磁力選別機により、焼却灰に含まれる鉄屑を分離除去した。そして、塩水で湿潤した焼却灰をそのまま灰出しバンカーで一時貯蔵した後、ダンプトラックで洗浄処理施設の一時保管施設へ輸送し、ここで一日あたり25mmの割合で3ヶ月間にわたり塩素成分を含まない洗浄水を散水して焼却灰を水洗した。
【0042】
混合攪拌装置内にて、一時保管施設で散水処理した焼却主灰に、焼却主灰の重量(乾燥重量)に対して3倍の水を水添加設備より添加し、強制的に混合攪拌してスラリー状とした。このスラリーを固液分離装置であるスパイラル分級機により固液分離し、洗浄水は下水放流し、焼却主灰はそのままセメント工場へ輸送してセメント製造工程の原料輸送系で天然原料に添加することでセメント原料の一部を代替した。
【0043】
焼却炉より排出された直後の焼却主灰、一時保管施設で散水洗浄した後の焼却主灰および混合撹拌装置にて残余の水溶性の塩類の溶出を促進した後に固液分離した焼却灰について、塩素濃度、重金属類(Cu、Pb、Zn)濃度を測定した結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 2004167350
【0045】
Cl濃度についてみると、焼却炉排出直後の濃度(以下初期濃度)が7800ppmであったものが、長期散水処理後には初期濃度の31%の2420ppmとなった。さらに、固液分離後の濃度は初期濃度の11%の820ppmまで低下し、長期散水処理よりも固液分離による塩素の除去の効果のほうが優れていた。
一方、重金属類の濃度についてみてみると、長期散水処理後と固液分離処理後とでそれぞれの濃度に大差がなく、固液分離後の濃度はCuについては初期濃度の45%、Pbについては26%、Znについては61%にとどまった。
【0046】
長期散水処理後の固液分離工程は、塩素に対しては効果的であったが、重金属類に対してはその効果は小さかった。このことは、もともと溶解度の小さい重金属類の水洗除去は十分な時間をかけてゆっくりと行うことが好ましいことを示している。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、第一の発明によれば、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を水没処理して冷却し、焼却灰に難水溶性の塩が形成される前に固液分離し、その後、焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理するようにしたので、焼却灰の水没処理後、一時保管施設への収納に先立って効率よく塩素の除去を行うことができる。また、一時保管施設で長期間の水洗処理により溶解度の低い重金属類を溶出除去することで、焼却灰の効率的な洗浄が達せられる。
【0048】
また、第二の発明によれば、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理し、水を添加して攪拌することでスラリー状にした焼却灰を固液分離するようにしたので、比較的溶解度の高い塩類と溶解度の低い重金属類とを一次保管施設にて溶出除去後に、焼却灰中の残余の水溶性の塩類を効果的に除去することができる。
【0049】
このように、高効率で塩素の除去された焼却主灰は、セメント製造プロセスへの塩素の持ち込み量を大幅に低減させることができるので、セメント原料代替率の大幅の向上を見込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る焼却灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る焼却灰の処理方法の流れを概略的に示すフロー図である。
【符号の説明】
1 廃棄物焼却炉、2 水没ピット、3 コンベア、4 ドラム型選別機、5集水皿、6 磁力選別機、7 スパイラル分級機、8 水処理系、9 一次保管施設、10 灰出しバンカー、11 トラック、12 散水設備、13 水添加設備、14 混合攪拌装置、15 固液分離装置。

Claims (3)

  1. 廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を水没処理して冷却し、
    焼却灰に難水溶性の塩が形成される前に固液分離し、
    その後、焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理する
    ことを特徴とする焼却灰の処理方法。
  2. 廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を一次保管施設に収納して水洗処理し、
    水を添加して攪拌することでスラリー状にした焼却灰を固液分離する
    ことを特徴とする焼却灰の処理方法。
  3. セメント製造用原料として前記焼却灰を利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼却灰の処理方法。
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